説明

電気測定装置

【課題】分電盤内の複数の分岐ブレーカから各電気機器へ供給される供給電気量を測定することができる電気測定装置において、設置場所が少なくて済む当該電気測定装置を提供する。
【解決手段】電気測定装置200は、分電盤内の複数の分岐ブレーカ150A〜150Dから各電気機器へ供給される供給電気量を測定することができる。電気測定装置200は、電気測定部10A,10Bとマトリックススイッチ60とを備えている。電気測定部10A,10Bは、各分岐ブレーカ150A〜150Dからの供給電気量の各々を測定対象とし、分岐ブレーカ150A〜150Dの数よりも数が少ない。マトリックススイッチ60は、分岐ブレーカ150A〜150Dと電気測定部10A,10Bとの間に配設され、電気測定部10A,10Bの測定対象を切替えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気測定装置に係る発明であり、特に、分電盤において設置され、分岐ブレーカから各電気機器へ供給される供給電気量を測定することができる電気測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器とコンセントとの間に配設され、前記電気機器に供給される電気量を測定することができる電気測定装置が存在する。一方、電器機器毎に電気測定装置を各々設けることを回避する方法として、分岐ブレーカから各電気機器へ供給される供給電気量を測定する電気測定装置を、分電盤に設ける方法が考えられる(たとえば、特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−103621号公報
【特許文献2】特開2001−112123号公報
【特許文献3】特開2005−249683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、分電盤に電気測定装置を各々配設することにより、電気測定装置を一箇所で管理することができる。しかしながら、分電盤内には余分なスペースがあまり設けられていないので、配設される電気測定装置の小型化が必要不可欠である。
【0005】
そこで、本発明は、分電盤内の複数の分岐ブレーカから各電気機器へ供給される供給電気量を測定することができる電気測定装置において、設置場所が少なくて済む当該電気測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の電気測定装置は、分電盤内の複数の分岐ブレーカから各電気機器へ供給される供給電気量を測定する電気測定装置であって、各前記分岐ブレーカからの前記供給電気量の各々を測定対象とし、前記分岐ブレーカと同数の電気測定部と、前記電気測定部の測定結果を管理する制御部と、前記電気測定部と前記制御部との間に配設され、前記電気測定部と前記制御部との択一的な接続を順次切替えることができる切替え部とを、備えており、前記択一的な接続時において、前記電気測定部は、前記制御部へ前記測定結果を送信する。
【0007】
また、本発明に係る請求項2に記載の電気測定装置は、請求項1に記載の電気測定装置であって、前記制御部は、各前記電気測定部に対する識別情報が設定されており、前記識別情報毎に、当該識別情報に対応する前記電気測定部からの前記測定結果を管理する。
【0008】
また、本発明に係る請求項3に記載の電気測定装置は、請求項2に記載の電気測定装置であって、外部装置との通信を可能せしめる通信部を、さらに備えており、前記制御部は、所定時間の間、前記電気測定部から送信される前記測定結果を随時保持し、前記所定時間経過後、前記通信部は、前記制御部が保持していた前記測定結果を、前記識別情報と共に外部装置へ送信する。
【0009】
また、本発明に係る請求項4に記載の電気測定装置は、請求項3に記載の電気測定装置であって、前記通信部は、電力線通信を行うPLC部である。
【発明の効果】
【0010】
また、本発明に係る請求項1に記載の電気測定装置では、電気測定部は2以上であり、電気測定部と制御部との択一的な接続を順次切替えることができる切替え部を備えている。そして、当該択一的な接続時において、電気測定部は、制御部へ測定結果を送信する。
【0011】
したがって、電気測定部と制御部などを備えた電気測定装置を各分岐ブレーカ毎に配設する構成と比較して、当該請求項1に係る電気測定装置の方が制御部などの部品数を削減できる。つまり、当該請求項1に係る電気測定装置を採用した方が、上記比較対象を用いた場合よりも、分電盤(若しくは、分電盤付近)において、当該電気測定装置の設置面積を削減することができる。
【0012】
また、本発明に係る請求項2に記載の電気測定装置では、制御部は、各電気測定部に対する識別情報が設定されている。そして、制御部は、識別情報毎に、当該識別情報に対応する電気測定部からの測定結果を管理する。
【0013】
したがって、一の電気測定装置から外部装置へと、電気測定装置に対して設定されている一の実アダプタ番号を用いて、複数の電気測定部による測定結果を識別情報で区別した状態で送信することができる。
【0014】
また、本発明に係る請求項3に記載の電気測定装置は、外部装置との通信を可能せしめる通信部を備えている。通信部は、制御部が保持していた測定結果を、外部装置へ送信する。
【0015】
したがって、一の電気測定装置から外部装置へと、電気測定装置に対して設定されている一の実アダプタ番号を用いて、複数の電気測定部による測定結果を送信することができる。
【0016】
また、本発明に係る請求項4に記載の電気測定装置では、通信部は、電力線通信を行うPLC部である。
【0017】
したがって、分電盤から家屋に配設されている電力線を有効活用して、同じ電力線に接続される他の外部端末と信号の送受信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係る電気測定装置の構成を示す図である。
【図2】制御部と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図3】制御部と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図4】制御部と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図5】制御部で管理・保持されている電気供給量を例示する図である。
【図6】各分岐ブロック毎に電気測定装置が配設される場合を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る電気測定装置の構成を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る電気測定装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図9】分岐線路と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図10】分岐線路と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図11】制御部で管理・保持されている電気供給量を例示する図である。
【図12】実施の形態3に係る電気測定装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図13】分岐線路と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図14】分岐線路と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図15】分岐線路と電気測定部との接続の様子を示す図である。
【図16】制御部で管理・保持されている電気供給量を例示する図である。
【図17】電気測定部が一つである電気測定装置の構成を示す図である。
【図18】電気測定装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図19】電気測定装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
複数の電気機器を使用する一般家屋等には、分電盤が配置される。分電盤の内部に配置された複数の分岐ブレーカを介して、主幹線路を複数の分岐線路に分岐接続する。主幹線路には受電設備から電力が供給され、各分岐線路には家屋内に設けられたコンセントやOAタップが接続され、これらコンセント等には電気機器が接続される。そして、分岐ブレーカを介して各電気機器に電力が供給される。また、電気機器への電力負荷が過剰となって分岐線路に所定値以上の電力が供給された場合には、分岐ブレーカが動作して当該分岐線路への電力供給が遮断される。
【0020】
本発明は、分電盤内の複数の分岐ブレーカから各電気機器へ供給される供給電気量を測定する電気測定装置に関するものである。以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0021】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態の形態に係る電気測定装置100の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態では、分岐ブレーカ150A,150B,150Cの数を3つとしているが、当該数に限定される必要は無い。
【0022】
分電盤内に配設される分岐ブレーカ150A,150B,150Cを介して、主幹線路を各分岐線路160A,160B,160Cに分岐接続する。分岐ブレーカ150A,150B,150Cから分岐線路160A,160B,160Cを介して各電気機器に供給される電力・電流等の電気量(以下、供給電気量と称する)を把握するための電気測定装置100の構成は、次の通りである。
【0023】
図1に示すように、電気測定装置100は、電気測定部10A,10B,10Cと、マトリックススイッチ(切替え部と把握できる)20と、制御部30と、PLC部40と、プラグ50とから構成されている。
【0024】
電気測定部10A,10B,10Cは、分岐ブレーカ150A,150B,150Cの数と同数だけ配設されている。各電気測定部10A,10B,10Cは、各分岐ブレーカ150A,150B,150Cからの供給電気量の各々を測定対象とする。具体的に、電気測定部10Aは、分岐ブレーカ150Aから供給される供給電気量を測定対象とし、電気測定部10Bは、分岐ブレーカ150Bから供給される供給電気量を測定対象とし、電気測定部10Cは、分岐ブレーカ150Cから供給される供給電気量を測定対象としている。
【0025】
制御部30は、電気測定装置100全体を制御するマイコンである。制御部30は、後述するように、切替え信号によりマトリックススイッチ20における切り替え動作を制御することができる。また、制御部30では、電気測定部10A,10B,10Cにおいて測定された測定結果を管理することができる。具体的に、制御部30には、各電気測定部10A,10B,10Cに対する識別情報(以下、仮想アダプタ番号と称する)が設定登録されている。そして、制御部30は、仮想アダプタ番号毎に、当該仮想アダプタ番号に対応する電気測定部10A,10B,10Cからの測定結果を、当該仮想アダプタ番号と関連付けて管理する。
【0026】
マトリックススイッチ20は、電気測定部10A,10B,10Cと制御部30との間に配設される。ここで、マトリックススイッチとは、複数の入力端子と複数の出力端子とを内部的に接続する回路ICである。この接続は制御端子に入力される切り替え信号によって制御される。マトリックススイッチ20は、電気測定部10A,10B,10Cと制御部30との択一的な通信のための接続を、順次切替えることができる。当該択一的な接続時において、電気測定部10A,10B,10Cは、制御部30へ自器における測定結果を送信する。なお、当該マトリックススイッチ20の代わりに、セレクタを採用しても良い。
【0027】
PLC部40は、外部装置との通信を行う通信部である。プラグ50はコンセントに接続され、PLC部40は、プラグ50および家屋内に配設されている電力線を介して、他のPLC通信機器と、電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行う。PLC部40は、制御部30が保持・管理していた測定結果を、仮想アダプタ番号と共に外部装置へ送信する。
【0028】
次に、本実施の形態に係る電気測定装置100の動作を説明する。
【0029】
電気測定部10A,10B,10Cは、常時、各分岐ブレーカ150A,150B,150Cから供給される電気供給量を測定している。また、制御部30には、各電気測定部10A,10B,10Cに対する仮想アダプタ番号が設定されている。たとえば、制御部30には、電気測定部10Aに対して仮想アダプタ番号IDAが設定されている。また、制御部30には、電気測定部10Bに対して仮想アダプタ番号IDBが設定されている。さらに、制御部30には、電気測定部10Cに対して仮想アダプタ番号IDCが設定されている。
【0030】
さて、当該測定開始時点Toから10秒(時刻T1と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SELとして、第一の切替え信号を送信する。当該第一の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う(図2参照)。
【0031】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻Toから時刻T1までの積算値を送信する。制御部30では、第一の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0032】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SELとして、第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う(図3参照)。
【0033】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻Toから時刻T1までの積算値を送信する。制御部30では、第二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDBと関連付けて保持・管理する。
【0034】
制御部30が電気測定部10Bからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SELとして、第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Cと制御部30とを接続する接続切り替えを行う(図4参照)。
【0035】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Cと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Cは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Cで測定した電気供給量の時刻Toから時刻T1までの積算値を送信する。制御部30では、第三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Cからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDCと関連付けて保持・管理する。
【0036】
さて、上記測定開始時点Toから20秒(時刻T2と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SELとして、第一の切替え信号を送信する。当該第一の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う(図2参照)。
【0037】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻T1から時刻T2までの積算値を送信する。制御部30では、第一の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0038】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SELとして、第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う(図3参照)。
【0039】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻T1から時刻T2までの積算値を送信する。制御部30では、第二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDBと関連付けて保持・管理する。
【0040】
制御部30が電気測定部10Bからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SELとして、第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Cと制御部30とを接続する接続切り替えを行う(図4参照)。
【0041】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Cと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Cは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Cで測定した電気供給量の時刻T1から時刻T2までの積算値を送信する。制御部30では、第三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Cからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDCと関連付けて保持・管理する。
【0042】
このように、10秒間隔毎に、上記接続切替え処理および電気供給量の送信処理を繰り返し実行する。そして、上記測定開始時点Toから60秒経過後には、制御部30には、図5に例示するような電気供給量に関するテーブル情報が保持・管理される。図5に示すように、各電気測定部10A,10B,10Cからの10秒毎の測定結果(電気供給量の積算値:ワット(W))が、仮想アダプタ番号IDA,IDB,IDC毎に、管理・保持されている。
【0043】
制御部30は、所定時間(上記例では1分間)の間、各電気測定部10A,10B,10Cから送信される測定結果(図5参照)を随時保持した後、PLC部40は、プラグ50および電力線を介して、当該図5に示す1分間のデータを、他のコンセント等に接続されているサーバ(外部装置と把握できる)へと送信する。つまり、制御部30が1分間保持していた10秒毎の各電気測定部10A,10B,10Cにおける測定結果を、仮想アダプタ番号IDA,IDB,IDCと関連付けて、サーバへ送信する。
【0044】
なお、サーバへの当該送信処理は、電気測定装置100に設定されている一の実アダプタ番号を用いて実施される。つまり、電力線通信におけるルーティングは、一つの実アダプタ番号に対してのみ実施される。
【0045】
また、上記サーバへのデータ送信処理後においても、10秒間隔毎の上記接続切替え処理および当該接続切替え処理後の電気供給量の制御部30への送信処理と、1分間隔毎の当該1分間保持していた電気供給量情報のサーバへの送信処理とを、繰り返し実行する。
【0046】
以上のように、本実施の形態に係る電気測定装置100は、電気測定部10A,10B,10Cと制御部30との択一的な接続を順次切替えることができるマトリックススイッチ20を備えている。そして、上記択一的な接続時において、電気測定部10A,10B,10Cは、制御部30へ測定結果を送信している。
【0047】
したがって、図6に示すように、電気測定部10と制御部30とPLC部40とプラグ50とを備えた電気測定装置110を各分岐ブレーカ毎に配設する構成(比較構成と称する)と比較して、本実施の形態の方が、制御部30とPLC部40とプラグ50の数を削減できる。つまり、本実施の形態を採用した方が、上記比較構成を用いた場合よりも、分電盤(若しくは、分電盤付近)において、当該電気測定装置100の設置面積を削減することができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る電気測定装置100では、制御部30は、仮想アダプタ番号IDA,IDB,IDC毎に、当該仮想アダプタ番号IDA,IDB,IDCに対応する電気測定部10A,10B,10Cからの測定結果を管理している。そして、所定時間経過毎に、PLC部40は、制御部30が保持していた前記測定結果を、仮想アダプタ番号IDA,IDB,IDCと共にサーバへ送信する。
【0049】
したがって、複数の電気測定部10A,10B,10Cの測定結果を、一の電気測定装置100からサーバへと送信することができる。つまり、電気測定装置100に対して設定されている一の実アダプタ番号を用いて、複数の電気測定部10A,10B,10Cの測定結果をサーバへと送信することができる。
【0050】
また、本実施の形態に係る電気測定装置100では、制御部30は、各電気測定部10A〜10Cに対する識別情報(仮想アダプタ番号)が設定されており、識別情報毎に、当該識別情報に対応する電気測定部10A〜10Cからの測定結果を管理する。
【0051】
したがって、一の電気測定装置100からサーバへと、電気測定装置100に対して設定されている一の実アダプタ番号を用いて、複数の電気測定部10A〜10Cによる測定結果を識別情報で区別した状態で送信することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る電気測定装置100は、外部端末と電力線通信を行う。したがって、分電盤から家屋に配設されている電力線を有効活用して、同じ電力線に接続される他の外部端末と信号の送受信を行うことができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、10秒間隔で制御部30が測定値を読み込み、1分間隔でPLC部40が測定値をサーバに送信する場合について説明した。当該「10秒間隔」および「1分間隔」は、実施環境等に応じて、任意の値に変更・設定されることは言うまでも無い。
【0054】
<実施の形態2>
図7は、本実施の形態の形態に係る電気測定装置200の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態では、分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dの数を4つとしているが、当該数に限定される必要は無い。
【0055】
分電盤内に配設される分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dを介して、主幹線路を各分岐線路160A,160B,160C,160Dに分岐接続する。分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dから分岐線路160A,160B,160C,160Dを介して各電気機器に供給される電力・電流等の電気量(以下、供給電気量と称する)を把握するための電気測定装置200の構成は、次の通りである。
【0056】
図7に示すように、電気測定装置200は、電気測定部10A,10Bと、マトリックススイッチ(第二の切替え部と把握できる)20と、制御部30と、PLC部40と、プラグ50と、マトリックススイッチ(第一の切替え部と把握できる)60とから構成されている。
【0057】
電気測定部10A,10Bは、分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dの数よりも少ない数だけ配設されている。なお、本実施の形態では、分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dの数は「4」であり、電気測定部10A,10Bの数は、分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dの数よりも少ない「2」とする。ここで、当該分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dの数および当該電気測定部10A,10Bの数は、任意の値に変更可能である。ただし、電気測定部10A,10Bの数は、分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dの数よりも少なくなっている。各電気測定部10A,10Bは、各分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dからの供給電気量の各々を測定対象とする。
【0058】
制御部30は、電気測定装置200全体を制御するマイコンである。制御部30は、後述するように、切替え信号によりマトリックススイッチ60およびマトリックススイッチ20における切り替え動作を各々制御することができる。また、制御部30では、電気測定部10A,10Bにおいて測定された測定結果を管理することができる。具体的に、制御部30には、各電気測定部10A,10Bに対する識別情報(以下、仮想アダプタ番号と称する)が設定登録されている。そして、制御部30は、仮想アダプタ番号毎に、当該仮想アダプタ番号に対応する電気測定部10A,10Bからの測定結果を、当該仮想アダプタ番号と関連付けて管理する。なお、制御部30は、各分岐ブレーカ150A,150B,150C,150D毎に、電気測定部10A,10Bからの測定結果を管理することもできる。
【0059】
マトリックススイッチ20は、電気測定部10A,10Bと制御部30との間に配設される。そして、マトリックススイッチ20は、電気測定部10A,10Bと制御部30との択一的な通信のための接続を、順次切替えることができる。当該択一的な接続時において、電気測定部10A,10Bは、制御部30へ自器における測定結果を送信する。なお、当該マトリックススイッチ20の代わりに、セレクタを採用しても良い。
【0060】
また、マトリックススイッチ60は、分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dと電気測定部10A,10Bとの間に配設される。そして、マトリックススイッチ60は、電気測定部10A,10Bの上記測定対象を切替えることができる。
【0061】
PLC部40は、外部装置との通信を行う通信部である。プラグ50はコンセントに接続され、PLC部40は、プラグ50および家屋内に配設されている電力線を介して、他のPLC通信機器と、電力線通信(PLC)を行う。PLC部40は、制御部30が保持・管理していた測定結果を、仮想アダプタ番号と共に外部装置へ送信する。
【0062】
次に、本実施の形態に係る電気測定装置200の動作を、図8のタイミングチャートを用いて説明する。
【0063】
電気測定部10A,10Bは、常に、各分岐ブレーカ150A,150B,150C,150Dの何れかから供給される電気供給量を測定している。また、本実施の形態では、制御部30は、各測定対象160A,160B,160C,160Dに対する仮想アダプタ番号(識別情報と把握できる)が設定されている。本実施の形態では、たとえば、制御部30には、分岐線路160A(または分岐ブレーカ150A)に対して仮想アダプタ番号IDAが設定されている。また、制御部30には、分岐線路160B(または分岐ブレーカ150B)に対して仮想アダプタ番号IDBが設定されている。また、制御部30には、分岐線路160C(または分岐ブレーカ150C)に対して仮想アダプタ番号IDCが設定されている。さらに、制御部30には、分岐線路160D(または分岐ブレーカ150D)に対して仮想アダプタ番号IDDが設定されている。
【0064】
また、制御部30には、電気測定部10A,10Bにおける測定対象160A,160B,160C,160Dの連続測定時間が設定されている。本実施の形態では、動作中は当該連続測定時間は固定的であるが、ユーザにより外部操作により、当該連続測定時間は、所望の値として設定される。本実施の形態では、当該連続測定時間を10秒とする。
【0065】
後述するように、制御部30は、所定の電気測定部10A,10Bに一の測定対象160A,160B,160C,160Dを上記連続測定時間測定させた後、当該所定の電気測定部10A,10Bに他の測定対象160A,160B,160C,160Dを上記連続測定時間測定させるように、マトリックススイッチ60を制御する。具体的には、次の通りである。
【0066】
当該測定開始時点Toにおいて、制御部30は、マトリックススイッチ60に対して、切替え信号SEL2として、第一の切替え信号を送信する。当該第一の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ60は、電気測定部10Aによる分岐線路160Aに流れる電気供給量の測定および電気測定部10Bによる分岐線路160Cに流れる電気供給量の測定が可能となるように、接続切り替えを行う(図9参照)。
【0067】
当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、時刻Toから時刻T1までの間(10秒間)、分岐線路160Aに流れる電気供給量を測定する。これに対して、電気測定部10Bは、時刻Toから時刻T1までの間(10秒間)、分岐線路160Cに流れる電気供給量を測定する。
【0068】
さて、当該測定開始時点Toから10秒(時刻T1と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0069】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻Toから時刻T1までの積算値を送信する。制御部30では、第一,二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0070】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0071】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻Toから時刻T1までの積算値を送信する。制御部30では、第一,三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDCと関連付けて保持・管理する。
【0072】
さて、当該時刻T1において、制御部30は、マトリックススイッチ60に対して、切替え信号SEL2として、第四の切替え信号を送信する。当該第四の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ60は、電気測定部10Aによる分岐線路160Bに流れる電気供給量の測定および電気測定部10Bによる分岐線路160Dに流れる電気供給量の測定が可能となるように、接続切り替えを行う(図10参照)。
【0073】
当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、時刻T1から時刻T2までの間(10秒間)、分岐線路160Bに流れる電気供給量を測定する。これに対して、電気測定部10Bは、時刻T1から時刻T2までの間(10秒間)、分岐線路160Dに流れる電気供給量を測定する。
【0074】
さて、時刻T1から10秒(時刻T2と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0075】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻T1から時刻T2までの積算値を送信する。制御部30では、第四,二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDBと関連付けて保持・管理する。
【0076】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0077】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻T1から時刻T2までの積算値を送信する。制御部30では、第四,三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDDと関連付けて保持・管理する。
【0078】
さて、時刻T2において、制御部30は、マトリックススイッチ60に対して、切替え信号SEL2として、上記第一の切替え信号を送信する。当該第一の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ60は、電気測定部10Aによる分岐線路160Aに流れる電気供給量の測定および電気測定部10Bによる分岐線路160Cに流れる電気供給量の測定が可能となるように、接続切り替えを行う(図9参照)。
【0079】
当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、時刻T2から時刻T3までの間(10秒間)、分岐線路160Aに流れる電気供給量を測定する。これに対して、電気測定部10Bは、時刻T2から時刻T3までの間(10秒間)、分岐線路160Cに流れる電気供給量を測定する。
【0080】
さて、時刻T2から10秒(時刻T3と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0081】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻T2から時刻T3までの積算値を送信する。制御部30では、第一,二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0082】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0083】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻T2から時刻T3までの積算値を送信する。制御部30では、第一,三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDCと関連付けて保持・管理する。
【0084】
このように、図8に示すタイミングチャートに従って、上記各切替え処理、測定処理、およびデータの送信処理を繰り返し実施する。そして、上記測定開始時点Toから60秒経過後には、制御部30には、図11に例示するような電気供給量に関するテーブル情報が保持・管理される。図11に示すように、各測定対象160A〜160Dの10秒毎の測定結果(電気供給量の積算値:ワット(W))が、仮想アダプタ番号IDA〜IDD毎に、管理・保持されている。
【0085】
さて、図11より分かるように、各測定対象160A〜160Dにおいて、測定されていない期間が存在する。そこで、各測定対象160A〜160D毎に、制御部30は、第一の期間の所定の測定対象の測定結果である第一の測定値と、第一の期間経過後から所定の時間後に開始された第二の期間の所定の測定対象の測定結果である第二の測定値とを用いて、所定の期間における測定対象の仮想測定値を求める。
【0086】
たとえば、制御部30は、測定対象160A(仮想アダプタ番号IDA)のToからT1までの測定結果として「100」を有している。さらに、制御部30は、測定対象160AのT2からT3までの測定結果として「300」を有している。そこで、制御部30は、当該「100」および「300」を用いて、時刻T1から時刻T2までの測定対象160Aの仮想測定値を求める。たとえば、制御部30は、「100」と「300」との平均を算出(={100+300}/2)することにより、当該仮想測定値「200」を求める。
【0087】
上記のように方法により、制御部30は、図11のテーブルの空白部分を仮想測定値を求めることにより、埋める。
【0088】
当該仮想測定値を全て求めた後、PLC部40は、プラグ50および電力線を介して、空白が埋められた図11に示す1分間のデータを、他のコンセント等に接続されているサーバ(外部装置と把握できる)へと送信する。つまり、制御部30が1分間保持していた10秒毎の各測定対象160A〜160Dの測定結果を、仮想測定値と共に、仮想アダプタ番号IDA〜IDDと関連付けて、サーバへ送信する。
【0089】
なお、サーバへの当該送信処理は、電気測定装置200に設定されている一の実アダプタ番号を用いて実施される。つまり、電力線通信におけるルーティングは、一つの実アダプタ番号に対してのみ実施される。
【0090】
また、上記サーバへのデータ送信処理後においても、10秒間隔毎の上記接続切替え処理、接続切替え処理後の電気供給量の測定、接続切替え処理後の制御部30への送信処理、仮想測定値の算出、および1分間隔毎の当該1分間保持していた電気供給量情報のサーバへの送信処理は、繰り返し実行される。
【0091】
以上のように、本実施の形態に係る電気測定装置200は、各分岐ブレーカ150A〜150Dからの供給電気量の各々を測定する電気測定部10A,10Bを備えている。そして、マトリックススイッチ60は、分岐ブレーカ150A〜150Dと電気測定部10A,10Bとの間に配設され、電気測定部10A,10Bの測定対象160A〜160Dを切替えることができる。
【0092】
したがって、電気測定部10A,10Bの配設数を、分岐ブレーカ150A〜150Dの数よりも少なくすることができる。よって、本実施の形態を採用することにより、分電盤(若しくは、分電盤付近)において、当該電気測定装置200の設置面積を削減することができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る電気測定装置200では、制御部30は、電気測定部10A,10Bにおける測定対象160A〜160Dの連続測定時間(上記では10秒)を有している。そして、制御部30は、所定の電気測定部10A,10Bに一の測定対象160A〜160Dを連続測定時間測定させた後、当該所定の電気測定部10A,10Bに他の測定対象160A〜160Dを連続測定時間測定させるように、マトリックススイッチ60を制御している。
【0094】
したがって、全ての測定対象160A〜160Dを均等に測定することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、各動作のタイミングは「10秒間隔」および「1分間隔」に基づいて実施されていた。しかし、これらの時間間隔は、実施環境等に応じて、任意の値に変更・設定されることは言うまでも無い。
【0096】
しかしながら、制御部30は、電気測定部10A,10Bにおける測定対象160A〜160Dの連続測定最小時間を変更可能な値として設定することができ、測定対象160A〜160Dの連続測定時間が、当該連続測定最小時間未満とならないように、上記マトリックススイッチ60を制御することが望ましい。
【0097】
当該連続測定最小時間は、たとえば次のようにして決定される。
【0098】
電気測定部10A,10Bでは、測定されるアナログ値の電気供給量をデジタル値として検出する。つまり、電気測定部10A,10Bでは、アナログ値の積算値に応じて、所定の量子化単位で電気供給量が検出される。たとえば、量子化単位が「5」単位であるなら、積算値が0以上5未満なら、デジタル量である電気供給量は「0」で検出され、積算値が5以上10未満であるなら、デジタル量である電気供給量は「5」で検出され、積算値が10以上15未満であるなら、デジタル量である電気供給量は「10」で検出される。
【0099】
もし、電気機器が待機状態であり、当該電気機器の待機電力が少ない場合において、連続測定時間があまりにも小さいと、電気測定部10A,10Bでの測定値の積算値は、最小の量子化値(上記の例では「5」)までも到達しない。つまり、このような場合には、電気機器が待機電力を消費しているのにも係らず、当該電気機器に供給される電気供給量は、電気測定部10A,10Bにおいて常にゼロとして検出される。
【0100】
そこで、電気機器に極めて小さい待機電力が供給されている場合においても、電気測定部10A,10Bが当該待機電力の電気供給量を所定の値として測定できるようにする必要がある。つまり、電気測定部10A,10Bでの当該待機電力の測定値の積算値が、最小の量子化値(上記の例では「5」)に到達することができる程度の長さの連続測定時間を設ける必要がある。当該連続測定時間の最小のものが、連続測定最小時間であり、当該観点から、当該連続測定最小時間が決定される。
【0101】
また、本実施の形態に係る電気測定装置200では、現実に測定された電気供給量の測定値を用いて仮想測定値を求め、当該仮想測定値を測定されていない期間の電気供給量として採用している。
【0102】
したがって、分岐ブレーカ150A〜150Dの数よりも少ない数の電気測定部10A,10Bにより各電気供給量を測定することにより生じる弊害、つまり電気供給量の測定しない期間が生じるという弊害を、解消することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、当該仮想測定値は、実際に測定された二つの測定値の平均の算出により導出される。このように、仮想測定値は、極めて簡単な演算処理により導出されるので、仮想測定値が求まるまでの処理の高速化が可能となり、仮想測定値を求める処理による処理負担の軽減も可能となる。
【0104】
なお、マトリックススイッチ20およびPLC部40を設けることにより奏される効果は、実施の形態1で説明した内容と同様である。
【0105】
<実施の形態3>
実施の形態2では、各電気測定部10A,10Bは、各測定対象160A〜160Dの測定時間を、平等の時間配分で割り振られていた(図8参照)。たとえば、図8の例では、各測定対象160A〜160Dの測定処理は全て、10秒間の連続測定時間と10秒間の非連続測定時間との繰り返しにより、構成されている。
【0106】
ところで、実際上では各電気機器の使用状況に応じて、分岐ブレーカ150A〜150Dから供給される電気供給量の時間変動が大きくなる場合がある。時間変動が大きい電気供給量の測定に際しては、実施の形態2で説明した仮想測定値による補間は多用することは望ましくない。これは、電気供給量の時間変動が大きい場合には、演算処理により導出される仮想測定値と、当該仮想測定値が補完される期間に実際に供給されている電気供給量の値との間のずれが、大きくなる可能性があるからである。
【0107】
そこで、本実施の形態では、分岐ブレーカ150A〜150Dから供給される電気供給量の時間変動が変化を考慮して、各電気測定部10A,10Bによる各測定対象160A〜160Dの測定時間の、割り振りを動的に変更する。具体的に、制御部30は、各分岐ブレーカ150A〜150Dから供給される供給電気量の時間変動を各々監視している。そして、当該監視の結果、時間変動が大きい測定対象ほど、電気測定部10A,10Bにおける所定の単位時間における測定時間を長くするように、マトリックススイッチ60を制御する。
【0108】
なお、実施の形態2で用いた符号と同じ構成・信号等を意味するものは、本実施の形態においても同じ符号を付している。
【0109】
以下、本実施の形態に係る電気測定装置の動作を、図12に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、本実施の形態に係る電気測定装置の構成は、図7に示した実施の形態2に係る電気測定装置200の構成と同じである。
【0110】
実施の形態2で説明した動作を初期動作として行っており、制御部30は、各分岐ブレーカ150A〜150Dからの電気供給量の時間変動を各々監視している。制御部30は、分岐ブレーカ150Aから供給される電気供給量の時間変動が最も大きく、分岐ブレーカ150Bから供給される電気供給量の時間変動が次に大きく、分岐ブレーカ150C,150Dから供給される電気供給量の時間変動は各々最も小さく、同程度であることを検出したとする。つまり、制御部30は、分岐ブレーカ150Aにおける電気供給量の時間変動>分岐ブレーカ150Bにおける電気供給量の時間変動>分岐ブレーカ150Cにおける電気供給量の時間変動≒分岐ブレーカ150Dにおける電気供給量の時間変動、の関係を検出したとする。
【0111】
このような場合には、制御部30は、たとえば図12に示すタイミングチャートに従った動作が可能となるように、所定のタイミングで、各マトリックススイッチ20,60に対して各切替え信号SEL1,SEL2を送出する。具体的には、次の通りである。
【0112】
上記電気供給量の時間変動の関係を検出した後、時刻TNにおいて、制御部30は、マトリックススイッチ60に対して、切替え信号SEL2として、第一の切替え信号を送信する。当該第一の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ60は、電気測定部10Aによる分岐線路160Aに流れる電気供給量の測定および電気測定部10Bによる分岐線路160Bに流れる電気供給量の測定が可能となるように、接続切り替えを行う(図13参照)。
【0113】
当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、時刻TNから時刻TN+1までの間(10秒間)、分岐線路160Aに流れる電気供給量を測定する。これに対して、電気測定部10Bは、時刻TNから時刻TN+1までの間(10秒間)、分岐線路160Bに流れる電気供給量を測定する。
【0114】
さて、時刻TNから10秒(時刻TN+1と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0115】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻TNから時刻TN+1までの積算値を送信する。制御部30では、第一,二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0116】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0117】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻TNから時刻TN+1までの積算値を送信する。制御部30では、第一,三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDBと関連付けて保持・管理する。
【0118】
さて、当該時刻TN+1において、制御部30は、マトリックススイッチ60に対して、切替え信号SEL2として、第四の切替え信号を送信する。当該第四の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ60は、電気測定部10Aによる分岐線路160Aに流れる電気供給量の測定および電気測定部10Bによる分岐線路160Cに流れる電気供給量の測定が可能となるように、接続切り替えを行う(図14参照)。
【0119】
当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、時刻TN+1から時刻TN+2までの間(10秒間)、分岐線路160Aに流れる電気供給量を引き続き測定する。これに対して、電気測定部10Bは、時刻TN+1から時刻TN+2までの間(10秒間)、分岐線路160Cに流れる電気供給量を測定する。
【0120】
さて、時刻TN+1から10秒(時刻TN+2と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0121】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻TN+1から時刻TN+2までの積算値を送信する。制御部30では、第四,二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0122】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0123】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻TN+1から時刻TN+2までの積算値を送信する。制御部30では、第四,三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDCと関連付けて保持・管理する。
【0124】
さて、時刻TN+2において、制御部30は、マトリックススイッチ60に対して、切替え信号SEL2として、上記第一の切替え信号を送信する。当該第一の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ60は、電気測定部10Aによる分岐線路160Aに流れる電気供給量の測定および電気測定部10Bによる分岐線路160Bに流れる電気供給量の測定が可能となるように、接続切り替えを行う(図13参照)。
【0125】
当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、時刻TN+2から時刻TN+3までの間(10秒間)、分岐線路160Aに流れる電気供給量を測定する。これに対して、電気測定部10Bは、時刻TN+2から時刻TN+3までの間(10秒間)、分岐線路160Bに流れる電気供給量を測定する。
【0126】
さて、時刻TN+2から10秒(時刻TN+3と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0127】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻TN+2から時刻TN+3までの積算値を送信する。制御部30では、第一,二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0128】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0129】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻TN+2から時刻TN+3までの積算値を送信する。制御部30では、第一,三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDBと関連付けて保持・管理する。
【0130】
さて、時刻TN+3において、制御部30は、マトリックススイッチ60に対して、切替え信号SEL2として、第五の切替え信号を送信する。当該第五の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ60は、電気測定部10Aによる分岐線路160Aに流れる電気供給量の測定および電気測定部10Bによる分岐線路160Dに流れる電気供給量の測定が可能となるように、接続切り替えを行う(図15参照)。
【0131】
当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、時刻TN+3から時刻TN+4までの間(10秒間)、分岐線路160Aに流れる電気供給量を測定する。これに対して、電気測定部10Bは、時刻TN+3から時刻TN+4までの間(10秒間)、分岐線路160Dに流れる電気供給量を測定する。
【0132】
さて、時刻TN+3から10秒(時刻TN+4と称する)経過したとき、制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第二の切替え信号を送信する。当該第二の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Aと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0133】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Aと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Aは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Aで測定した電気供給量の時刻TN+3から時刻TN+4までの積算値を送信する。制御部30では、第五,二の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Aからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDAと関連付けて保持・管理する。
【0134】
制御部30が電気測定部10Aからの電気供給量を受信すると、当該制御部30は、マトリックススイッチ20に対して、切替え信号SEL1として、上記第三の切替え信号を送信する。当該第三の切替え信号の受信により、マトリックススイッチ20は、電気測定部10Bと制御部30とを接続する接続切り替えを行う。
【0135】
当該接続切替え処理により、電気測定部10Bと制御部30との間での双方向性の信号TX、RXの送受信が可能となる。そこで、当該接続切替え処理の後、電気測定部10Bは、マトリックススイッチ20を介して制御部30へ、当該電気測定部10Bで測定した電気供給量の時刻TN+3から時刻TN+4までの積算値を送信する。制御部30では、第五,三の切替え信号送信後に受信した電気測定部10Bからの電気供給量の積算値を、仮想アダプタ番号IDDと関連付けて保持・管理する。
【0136】
上記までの処理を1周期として、所定の時間、当該1周期の処理を繰り返し実施する。このように、制御部30は、時間変動が大きい測定対象ほど、電気測定部10A,10Bにおける所定の単位時間における測定時間を長くするように、マトリックススイッチ60を制御している。上記電気供給量の時間変動の大小関係が成立する場合には、図12に例示するように、電気測定部10Aは、測定対象160Aを連続して測定し、電気測定部10Bは、10秒単位毎に、測定対象160B→測定対象160C→測定対象160B→測定対象160Dの順に繰り返し測定する。つまり、所定の単位時間当たりにおける、各測定対象の測定時間の比率は、測定対象160A:電気測定部10B:測定対象160C:測定対象160D=4:2:1:1、である。
【0137】
上記動作を行うことにより、上記測定開始時点TNから60秒経過後には、制御部30には、図16に例示するような電気供給量に関するテーブル情報が保持・管理される。図16に示すように、各測定対象160A〜160Dの10秒毎の測定結果(電気供給量の積算値:ワット(W))が、仮想アダプタ番号IDA〜IDD毎に、管理・保持されている。
【0138】
さて、図16より分かるように、各測定対象160B〜160Dにおいて、測定されていない期間が存在する。そこで、各測定対象160B〜160D毎に、制御部30は、第一の期間の所定の測定対象の測定結果である第一の測定値と、第一の期間経過後から所定の時間後に開始された第二の期間の所定の測定対象の測定結果である第二の測定値とを用いて、所定の期間における測定対象の仮想測定値を求める。
【0139】
たとえば、制御部30は、測定対象160B(仮想アダプタ番号IDB)のTNからTN+1までの測定結果として「100」を有している。さらに、制御部30は、測定対象160BのTN+2からTN+3までの測定結果として「200」を有している。そこで、制御部30は、当該「100」および「200」を用いて、時刻TN+1から時刻TN+2までの測定対象160Aの仮想測定値を求める。たとえば、制御部30は、「100」と「200」との平均を算出(={100+200}/2)することにより、当該仮想測定値「150」を求める。
【0140】
また、制御部30は、測定対象160C(仮想アダプタ番号IDC)のTN+1からTN+2までの測定結果として「0」を有している。さらに、制御部30は、測定対象160CのTN+5からTN+6までの測定結果として「5」を有している。そこで、制御部30は、当該「0」および「5」を用いて、時刻TN+2から時刻TN+5までの測定対象160Cの仮想測定値を求める。たとえば、制御部30は、「0」と「5」との平均を算出(={0+5}/2)することにより、当該仮想測定値「2.5」を求める。
【0141】
上記のように方法により、制御部30は、図16のテーブルの空白部分を仮想測定値を求めることにより、埋める。
【0142】
当該仮想測定値を全て求めた後、PLC部40は、プラグ50および電力線を介して、空白が埋められた図16に示す1分間のデータを、他のコンセント等に接続されているサーバ(外部装置と把握できる)へと送信する。つまり、制御部30が1分間保持していた10秒毎の各測定対象160A〜160Dの測定結果を、仮想測定値と共に、仮想アダプタ番号IDA〜IDDと関連付けて、サーバへ送信する。
【0143】
なお、サーバへの当該送信処理は、電気測定装置100に設定されている一の実アダプタ番号を用いて実施される。つまり、電力線通信におけるルーティングは、一つの実アダプタ番号に対してのみ実施される。
【0144】
また、上記サーバへのデータ送信処理後においても、10秒間隔毎の上記接続切替え処理、接続切替え処理後の電気供給量の測定、接続切替え処理後の制御部30への送信処理、仮想測定値の算出、および1分間隔毎の当該1分間保持していた電気供給量情報のサーバへの送信処理は、繰り返し実行される。
【0145】
以上のように、本実施の形態に係る電気測定装置200は、初期動作として実施の形態2で説明した動作を行っている。また、制御部30は、各分岐ブレーカ150A〜150Dからの供給電気量の時間変動を各々監視しており、監視の結果、時間変動が大きい測定対象ほど、電気測定部10A,10Bにおける所定の単位時間における測定時間を長くするように、マトリックススイッチ60を制御している。
【0146】
したがって、実施の形態2で説明した効果に加えて、次の効果を有する。つまり、本実施の形態では、時間変動が大きい測定対象ほど、仮想測定値導出の多用を抑制している。よって、電気供給量の時間変動が大きな測定対象においては、極力仮想測定値でなく実測定値を取得しているので、当該電気供給量の時間変動が大きな測定対象において正確な電気供給量情報を取得することができる。
【0147】
なお、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、制御部30は、電気測定部10A,10Bにおける測定対象160A〜160Dの連続測定最小時間を変更可能な値として設定することができ、測定対象160A〜160Dの連続測定時間が、当該連続測定最小時間未満とならないように、上記マトリックススイッチ60を制御することが望ましい。
【0148】
なお、実施の形態2,3において、電気測定部の数は、分岐ブレーカの数よりも少なければ幾つでも良く、複数の分岐ブレーカに対して、電気測定部は一つであっても良い。この場合には、図17に示すように、電気測定装置250は、マトリックススイッチ60、電気測定部10、制御部30、PLC部40およびプラグ50により構成される。つまり、電気測定部10が一つだけの構成の場合には、図7の構成と異なり、マトリックススイッチ20は省略される。換言すれば、電気測定部が2以上の場合は、マトリックススイッチ20が電気測定装置内に配設される。
【0149】
図7の構成の場合において、実施の形態2で説明したように、各測定対称160A〜160Cを均等に測定する場合には、図18に示すタイミングチャートに従い、制御部30はマトリックススイッチ60の切り替え動作を制御する。また、図7の構成の場合において、実施の形態3で説明したように、分岐ブレーカ150A〜150Cからの電気供給量の時間変化を考慮した各測定対称160A〜160Cの測定時間の割り振りを行う場合には、図19に例示するタイミングチャートに従い、制御部30はマトリックススイッチ60の切り替え動作を制御する。なお、制御部30が、分岐ブレーカ150Aにおける電気供給量の時間変動>分岐ブレーカ150Bにおける電気供給量の時間変動≒分岐ブレーカ150Cにおける電気供給量の時間変動、の関係を検出したとき、制御部30は図19に例示する制御を行う。
【符号の説明】
【0150】
10,10A,10B,10C 電気測定部
20,60 マトリックススイッチ
30 制御部
40 PLC部
50 プラグ
100,200,250 電気測定装置
150A,150B,150C,150D 分岐ブレーカ
160A,160B,160C,160D 分岐線路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤内の複数の分岐ブレーカから各電気機器へ供給される供給電気量を測定する電気測定装置であって、
各前記分岐ブレーカからの前記供給電気量の各々を測定対象とし、前記分岐ブレーカと同数の電気測定部と、
前記電気測定部の測定結果を管理する制御部と、
前記電気測定部と前記制御部との間に配設され、前記電気測定部と前記制御部との択一的な接続を順次切替えることができる切替え部とを、
備えており、
前記択一的な接続時において、前記電気測定部は、
前記制御部へ前記測定結果を送信する、
ことを特徴とする電気測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
各前記電気測定部に対する識別情報が設定されており、
前記識別情報毎に、当該識別情報に対応する前記電気測定部からの前記測定結果を管理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気測定装置。
【請求項3】
外部装置との通信を可能せしめる通信部を、さらに備えており、
前記制御部は、
所定時間の間、前記電気測定部から送信される前記測定結果を随時保持し、
前記所定時間経過後、前記通信部は、
前記制御部が保持していた前記測定結果を、前記識別情報と共に外部装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電気測定装置。
【請求項4】
前記通信部は、
電力線通信を行うPLC部である、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−50464(P2013−50464A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−261160(P2012−261160)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【分割の表示】特願2008−202477(P2008−202477)の分割
【原出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)