説明

電気湯沸し器

【課題】蒸気レス機能を有し、かつ保温性が高い電気湯沸し器を提供する。
【解決手段】蓋体内部を広く迂回する蒸気冷却通路の下部に断熱部を設けて内容器開口部側の断熱性を高くすることにより、十分な保温機能を維持する一方、上部側断熱部での断熱性能を相対的に小さくすることによって蒸気冷却通路の蒸気の冷却性能、凝縮性能を確保し、保温性能を低下させることなく、蒸気低減機能を実現して、外部に蒸気を出さないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気湯沸し器に関し、さらに詳しくは蒸気が外部に出ないようにした電気湯沸し器の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気ポットや電気ケトル等の電気湯沸し器は、一般に液体(水)を入れる内容器および該内容器内の液体(水)を加熱する加熱手段を備えた容器本体と、該容器本体上部の開口を覆蓋する蓋体とからなっており、該蓋体の上面には、加熱沸騰時等に外部(室内空間)に蒸気を排出する蒸気排出口が設けられている。
【0003】
上記蒸気排出口は、蓋体の内面側(内容器開口部側)における蒸気導入口部分から内容器内の蒸気を導入し、転倒止水弁を介した蓋体厚さ方向の距離の短かい蒸気排出通路を通して、蓋体の上面側に形成したスリット状の蒸気排出口から室内空間上方に向けて、同蒸気を蒸気のまま放出させるようになっている(例えば特許文献1、特許文献2を参照)。
【0004】
この結果、加熱沸騰時等における内容器内の圧力も低下し、内容器内の液体(水)は、安全かつスムーズに沸騰する。
【0005】
ところが、このような電気湯沸し器の場合、床面上に置いて使用されるケースもあり、そのような場合、子供などが蒸気排出口から吐出される蒸気に触れる可能性がある。また、多量の蒸気が出ると、室内の湿度が高くなり、ふすまや壁紙が湿る問題がある。
【0006】
また、必要以上に沸騰させると、省エネ性能も低下する。
【0007】
したがって、何等かの方法で、蒸気自体を外部に出さなくするか、または可能な限り蒸気発生量を低減することが好ましい。
【0008】
このような見地から、本願発明者らは、上記のような課題を解決するために、蓋体の内部に迂回状態で蒸気を凝縮する蒸気冷却通路を設け、蒸気冷却通路を流れている間に蒸気を液滴化させることによって、外部に蒸気を出さないようにした蒸気低減方式の電気ポットや電気ケトルを先に提案している(例えば特許文献3、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−189519号公報
【特許文献2】特開2009−172109号公報
【特許文献3】特願2011−118825号
【特許文献4】特願2011−115900号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のように蓋体内に蒸気冷却通路を設けて、同通路内で蒸気を凝縮させるようにした場合、蒸気冷却通路部分は冷却性が良いことが望まれる。このため、蓋体の蒸気冷却通路設置部の断熱性を低くして、外部への放熱性を良好にすることが考えられる。
【0011】
しかし、一方電気ポットでは、保温機能が高いことが重要であり、その場合、上記蓋体部分の断熱性が高いことが望まれる。
【0012】
したがって、そのような観点から考えると、蒸気の冷却機能だけを考えて、安易に蓋体の断熱性を低下させることはできない。
【0013】
また、一方、蒸気冷却通路部分での冷却性能を高くするためには、内容器側の熱が蒸気冷却通路側に伝わらないように断熱することも重要となる。
【0014】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、蓋体内部を迂回する蒸気冷却通路の下部に断熱部を設けて内容器開口部側との断熱性を高くすることにより、内側の湯の十分な保温機能と蒸気通路側への遮熱機能を実現する一方、上部側での断熱性を相対的に低くすることによって蒸気の冷却性能を高くし、保温性能を低下させることなく、可能な限り外部に出る蒸気量を少なくした電気湯沸し器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1) 第1の課題解決手段
本願発明では、上記課題を解決するための第1の課題解決手段として、液体を収容する内容器および該内容器を加熱する加熱手段を備えた容器本体と、該容器本体の上部側開口部を覆蓋する蓋体と、該蓋体内にあって、上記内容器の内部に連通する蒸気入口と該蓋体の外部に連通する蒸気出口との間を上記蒸気入口側から出口側方向に向けて迂回しながら蒸気を凝縮させる蒸気冷却通路とからなる電気湯沸し器であって、上記蓋体内の上記蒸気冷却通路の下部に、上記蒸気冷却通路と上記内容器の上部側開口部との間を断熱する断熱部を設けたことを特徴としている。
【0016】
このような構成の場合、内容器の内部に連通する蒸気入口と該蓋体の外部に連通する蒸気出口との間を上記蒸気入口側から出口側方向に向けて迂回しながら蒸気を凝縮させる蒸気冷却通路の下部側に、当該蒸気冷却通路と内容器の上部側開口部との間を断熱する断熱部が設けられていることから、内容器内の湯の熱が蓋体を介して蒸気冷却通路に伝わることが防止され、蒸気冷却通路の蒸気冷却機能が確保されるとともに、内容器内の湯温の低下が防止され、十分な保温性能が維持される。
【0017】
したがって、十分な保温機能と蒸気レス機能の両機能が同時に実現される。
【0018】
(2) 第2の課題解決手段
本願発明の第2の課題解決手段は、上記課題を解決するために、上記第1の課題解決手段において、蓋体内の蒸気冷却通路の上部には、下部側の断熱部よりも断熱力が小さい断熱部が設けられていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によると、蓋体全体としての断熱性能を向上させ、電気ポット等電気湯沸し器としての保温機能を向上させながら、蒸気冷却通路の有効な蒸気凝縮機能を確保することができる。
【0020】
また、人が蒸気冷却通路上流部等の温度が高い部分の上部に触れたとしても、熱さを感じさせなくて済む。
【0021】
(3) 第3の課題解決手段
本願発明の第3の課題解決手段は、上記課題を解決するために、上記第1又は第2の課題解決手段において、蒸気冷却通路が、保温性能向上作用を伴う断熱部として機能するようになっていることを特徴としている。
【0022】
上記のように、蒸気冷却通路には、内容器側から導入された温度の高い蒸気が、蒸気入口側から出口側に向けて広く流れる。したがって、該蒸気冷却通路は、それ自体として本来周囲の部材よりもはるかに温度が高く、その下方側に設けられた断熱部材を上方側から加温する加温手段としての作用を果たす。
【0023】
このため、単なる断熱部材に比べて遥かに保温機能向上作用が高く、蓋体部分において、より有効に内容器内の湯の保温性能を向上させる。
【0024】
(4) 第4の課題解決手段
本願発明の第4の課題解決手段は、上記課題を解決するために、上記第1,第2又は第3の課題解決手段において、蒸気冷却通路は、蒸気入口から蒸気出口まで1本の通路となっており、その途中の蒸気入口側位置に蒸気検知部があることを特徴としている。
【0025】
このような構成によると、従来の蒸気検知(沸とう検知)方式のように、蒸気排出通路とは別に蒸気検知通路を形成して蒸気検知(沸とう検知)を行う構成と違って蒸気入口から導入された蒸気の全てが蒸気検知部を通過するようになり、蒸気検知精度が向上し、沸とう検知の応答性が大きく向上する。
【0026】
そのため、沸とう開始(検知)に応じて速やかにヒータ等の加熱手段をOFFにすることが可能となり、沸とうによる蒸気の発生量を可及的少量に制限することができる。
【0027】
このため、より効果的に蒸気レス状態を実現することができるようになるとともに、無駄な消費電力を使わなくて済む。
【発明の効果】
【0028】
以上の結果、本願発明によると、ほぼ完全な蒸気レス構造でありながら、可及的に保温性能が高く、かつ省エネ効果も高い高性能の電気湯沸し器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明の実施の形態1にかかる電気湯沸し器(電気ポット)の蓋閉状態における外部構成を示す斜視図である。
【図2】本願発明の実施の形態1にかかる電気湯沸し器(電気ポット)の蓋開状態における内外構成を示す斜視図である。
【図3】本願発明の実施の形態1にかかる電気湯沸し器(電気ポット)の蓋閉状態における上下方向の断面図である。
【図4】本願発明の実施の形態1にかかる電気湯沸し器(電気ポット)の蓋体部分の拡大断面図(図1A−A切断部、図6のA′−A′切断部)である。
【図5】本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸し器(電気ポット)における蓋体部分の斜視図である。
【図6】本願発明の実施の形態1にかかる電気湯沸し器(電気ポット)における蓋体部分(図5)の上板を取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】本願発明の実施の形態1にかかる電気湯沸し器(電気ポット)における蓋体に取り付けられる蒸気回収ユニットおよび圧抜き通路ユニット部分の構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示す圧抜き通路ユニット部分の上下分解斜視図である。
【図9】図7に示す蒸気回収ユニット部分の斜視図である。
【図10】図9に示す蒸気回収ユニットの分解斜視図である。
【図11】本願発明の実施の形態1にかかる電気湯沸し器(電気ポット)の蒸気回収ユニットにおける蒸気冷却通路内の蒸気の流れを示す説明図である。
【図12】図3に示すX部拡大図の蒸気経路における内容器側から蒸気センサ部までの蒸気の流れおよび結露水の戻り状態を示す説明図である。
【図13】本願発明の実施の形態2にかかる電気湯沸し器(電気ケトル)の構成を示す断面図である。
【図14】本願発明の実施の形態3にかかる電気湯沸し器(電気ケトル)の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施の形態1>
以下、添付の図1〜図12を参照して、本願発明の実施の形態1に係る電気湯沸し器の構成および作用について、詳細に説明する。この実施の形態では、電気湯沸し器として、電気ポットが採用されている。
【0031】
この電気ポットは、湯沸かしおよび保温の両機能を備えており、例えば図1〜図4に示すように、液体(水)を収容する内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記内容器3を湯沸かし時および保温時において加熱する加熱手段である電気ヒータ4と、上記内容器3内のお湯を外部へ給湯注出するための給湯通路5と、AC電源が接続されている状態において上記給湯通路5を介して上記内容器3内のお湯を外部へ注出する電動式の給湯ポンプ6と、該給湯ポンプ6を駆動操作する給湯操作レバー4とを備えて構成されている。符号5aは上記給湯通路5の出口(即ち、吐出口)、5bは上記給湯通路5において上記容器本体1の前部に位置する直管部に設けられた透明な計量管である。
【0032】
上記容器本体1は、外側面部を構成する合成樹脂製の筒状(本実施の形態の場合、四角筒状)の外ケース7と、内側面部を構成する上記内容器3と、上記外ケース7と上記内容器3とを上部側で一体的に結合固定するとともに、上記蓋体2が閉蓋時に装着される合成樹脂製の環状の肩部材8と、底面部を構成する合成樹脂製の皿状の底部材9とからなっている。符号10は上記外ケース7の前部において上記水量管5bが見える位置に設けられた透明な水量覗き窓である。
【0033】
上記内容器3は、ステンレス製の有底円筒形状の内筒3Aと、同じくステンレス製で底部のない円筒形状の外筒3Bとを、上端側部分および下端側部分で相互に接合し、それら内筒3Aと外筒3Bとの間に真空断熱空間を設けた保温性能の高い真空二重壁構造の断熱構造体からなっており、その底部には、外周側における内筒3Aと外筒3Bとの接合部までを除いて、上記内筒3Aの底面部のみにより構成された1枚板部3aが形成されている。
【0034】
該一枚板部3aは、若干上方に高く突出して形成されていて、その下面側には、上記電気ヒータ4(例えば、雲母板にワット数の異なる2組の発熱体を保持させたマイカヒータ)が取り付けられている。
【0035】
上記蓋体2は、合成樹脂製の上板11(外カバー)と、該上板11に対して外周縁同士が相互に結合された合成樹脂製の下板(内カバー)12とからなっており、上記肩部材8の後端部8a(図3参照)に対してヒンジピン13およびヒンジロック部材14を介して上下方向に開閉自在且つ着脱自在に支持されている。
【0036】
また、上記蓋体2内には、上記内容器3内と連通する蒸気入口16と上記蓋体2の上面以外の位置(例えば、本実施の形態の場合には右前端部下面側)に開口する蒸気出口17(図4参照)とを結ぶジグザグに蛇行した蒸気冷却通路15が形成されている。該蒸気冷却通路15は、以下に述べるように平面的に上記蓋体2内に広く配設された蒸気回収ユニット18内に形成されている。そして、同蒸気冷却通路15内を流れる蒸気Vの冷却による凝縮効果を促進するために、上記蒸気回収ユニット18と蓋体2の上板11との間には、放熱用および断熱用の空間部32が設けられている一方、上記蒸気回収ユニット18と蓋体2の下板12との間には、下方側内容器3内からの熱の伝達を阻止して蒸気回収ユニット18が加温されないようにするとともに内容器3内で湯の保温性能を維持する発泡スチロールなどの断熱材よりなる断熱部材28が設けられている。
【0037】
なお、必要に応じて、上記蒸気回収ユニット18の上面(即ち、後述する上部構成部材18bの上面)に放熱効果の高いアルミ箔などを貼設しておけば、上記蒸気冷却通路15内を流れる蒸気Vから上記空間部32の空気に対する放熱効果がより一層高くなり、凝縮効果も向上する。
【0038】
上記蒸気回収ユニット18は、例えば図6〜図11に示すように、合成樹脂製の下部構成部材18aと同じく合成樹脂製の上部構成部材18bとを一体的に結合して構成されており、その半円形部後端(即ち、蓋体2の後端側)に位置する矩形部分19と、該矩形部分19の前方側に位置する半円形状の拡大部分20と、該拡大部分20の他端(例えば、図11の平面視状態における左側下端)から蓋体2の前方側(紙面下方側)に所定の長さ細長く延出する延出部分21とからなっている。
【0039】
そして、上述した蒸気入口16部分は、上記拡大部分20の後端部中央の下面側から下方に向けて筒状に設けられているとともに、上記蒸気出口17は、上記延出部分21の先端部下面側に下方に向けて筒状に設けられている。
【0040】
すなわち、この蒸気出口17は、図4、図7、図9、図10に示すように、下方に向けて所定の長さ筒状に延び、その先端側中心部に3本の扁平なリブを介して設けられた凸部17aが、上述した肩部材8の肩部前端側コーナ部8b部分に設けられている円筒状の止水弁SV部分の上部に嵌入されるようになっている。
【0041】
そして、同嵌入状態では、当該凸部17aが止水弁SVの断面T型の弁体aを上方側閉弁方向への付勢スプリングSの付勢力に抗して押し下げ、同円筒状の止水弁SVの蒸気通路40を上記蒸気冷却通路15(第6冷却通路15f)の蒸気出口17側に開放する。
【0042】
一方、止水弁SV側の蒸気通路40の出口部40aには、例えばラバー製の可撓性のある圧抜きパイプ41の一端41aが連結されており、該圧抜きパイプ41の他端は上記肩部材8の前部から所定寸法前方にフラットに延びた下口部材42の中央部寄り下方位置に延びて配設されている。そして、同延設端部には、下方に向けて開口し、上記下口部材42の下面側に組み付けられている下口カバー部材43に設けられた圧抜き用の空気出口44に対して連通せしめられている。
【0043】
この空気出口44は、図示のように左右方向に長い楕円形状の筒体よりなっており、その外周囲には、水平方向に所定の間隔を保って所定の高さ上方に立設された方形のリブ45が立設されており、楕円形状の筒体よりなる空気出口44の周囲に結露水を貯留するための結露水貯留ポケット45aを形成している。
【0044】
そして、上記圧抜きパイプ41の延設端部41bは、同結露水貯留ポケット45aを覆う形で嵌合する同じく方形の嵌合部に形成されている。
【0045】
なお、本実施の形態の場合、上記蒸気出口17は、蓋体2の下面側に向けて開口させ、その下部に止水弁SVを対応させるようにしたが、この蒸気出口17は、例えば蓋体2の外部であって、上面部以外の位置であれば、いずれの位置(例えば側面部)に開口するように構成してもよい。
【0046】
上記蒸気冷却通路15は、例えば図10、図11、図12に示すように、下方から上方に向けて延びる上記蒸気入口16から導入された蒸気Sを一旦後方側(即ち、上記矩形部分19の後端部側)に略ストレートに導く左側第1冷却通路15aと、該第1冷却通路15aの後端側から右側にUターンして矩形部分を前方側拡大部分20の後端部側まで略ストレートに延びた後、周方向に沿って前方に延びる第2冷却通路15bと、該第2冷却通路15bに続いて上記拡大部分20の前後方向略中間位置において左右両側に延びる第3冷却通路15cと、該第3冷却通路15cに続いて上記拡大部分20の左右両側に延びる第4冷却通路15dと、該第4冷却通路15dに続いて上記拡大部分20の前端部(最大径部分)において左右両端間に延びる第5冷却通路15eと、該第5冷却通路15eに続いて上記突出部分21の前端部まで延びて上記蒸気出口17部分の上部に達する第6冷却通路15fとからなっている。
【0047】
つまり、該蒸気冷却通路15は、該蒸気冷却通路15部分を流れる蒸気Vが通路内および外周囲(特に上面側)の空気層と効率良く熱交換(放熱)することによって凝縮、結露し易いように、蓋体2の全体から見て、その後端側にある蒸気入口16側から前端側にある蒸気出口17側にかけて、それらの間の最短距離ではなく、当該蓋体2の左右両端側間をジグザグ形状に時間をかけて複数回迂回(蛇行)する可及的に距離の長い蒸気冷却通路に構成されている。
【0048】
このようにすると、上記蓋体2の後端部側から前端部側にかけてそれらの間を左右両端側間に亘って複数回蛇行することによって蓋体2内に広く配設した第1〜第6冷却通路15a〜15fが、蒸気入口16から導入された蒸気Vの効果的な冷却空間として機能し、導入された蒸気Vが上記第1冷却通路15aから第6冷却通路15fに到る間で通路内外の空気と効果的に熱交換(放熱)されて効率良く凝縮し、ほぼ全ての蒸気が液滴化されて結露水Wとなる。
【0049】
そして、該液滴化された結露水Wは、後述のように蓋体2の連通穴23側方向に下降傾斜した同第1〜第5冷却通路15a〜15eを介して逆方向に還流され、第2冷却通路15bからユーターン部15Uを経て第1冷却通路15aに戻り、続く蒸気入口16側から下板12の蒸気導入口12a、内カバー部材26の結露水戻し口26bを介して内容器3内に回収される(図12参照)。
【0050】
この場合、上記蒸気入口16部分に戻された結露水Wは、さらに上述した下板12の蒸気導入口12aから内カバー部材26の底部上に戻され、同底部部分に設けられている開口26b,26b,26bから内容器3内に戻される。
【0051】
また、上記のような冷却通路15a〜15fの場合、電気ポットが左右のどちら側に転倒したとしても、上記左右ジグザグ形状の冷却通路のいずれか一方が上側となるところから、内容器3内のお湯が漏れ出ることがなくなる。
【0052】
そして、この場合、上記蓋体2後端側の上記第1冷却通路15aと第2冷却通路15bとの連通部(下板12の後端側縦壁部)、即ち、2つの通路のUターン部15u部分には、蒸気Vの温度を検出すべく肩部材8の側部内周面側に取り付けられているピン状の蒸気センサ22を臨ませるための連通穴(蒸気および結露水の出入口)23が形成されており、該連通穴23の開口周縁部には、上記蓋体2の閉蓋時において上記連通穴23の外周縁部分と肩部材8側の蒸気センサ22取付部外周面との間をシールするためのシールパッキン24が設けられている。
【0053】
そして、それにより上記第1冷却通路15aと上記第2冷却通路15bとは、上記蓋体2の閉蓋時においてのみ蒸気センサ22を介して相互にU状に連通されるようになっており、蓋体2の開蓋時において、上記連通穴23を介して第1冷却通路15aからの蒸気Vが第2冷却通路15bへ、また第6,第5,第4,第3,第2の冷却通路15f,15e,15d,15c,15bからの上述した結露水Wが流蒸気入口16を介して上述のように内容器3内へ還流される。
【0054】
なお、上記蓋体2の下板12の縦壁部分に形成された上記連通穴23の内側には、上記蒸気回収ユニット18の後端側矩形部分19の左右開口部19a(第1冷却通路15aの蒸気出口部),19b(第2冷却通路15bの蒸気導入口)が当接せしめられており、同開口部19a,19bの外周囲を上記パッキン24の内側リップ部分でシールすることにより、上記第1,第2の冷却通路15a,15bを相互に連通させている。
【0055】
ところで、上記蒸気回収ユニット18の上記第1〜第6冷却通路15a〜15fは、図9〜図11に示すように、当該蒸気回収ユニット18の上述した下部構成部材18aの上面に一体に設けられた成型段部25aおよびリブ(隔壁)25bによって区画形成されている。
【0056】
なお、上記蒸気冷却通路15の構成は、本実施の形態におけるように平面方向左右にジグザグに蛇行する形状の他、平面方向に螺旋状に迂回する通路あるいは蓋体2の外周を通る略円形の形状など種々の形状に変形することができる。
【0057】
そして、この実施の形態の場合、上記第3冷却通路15cには、上記第2冷却通路15bの出口側に位置して通路断面積が広がる通路拡大部15c1と、該通路拡大部15c1の右端側に位置して電気ポットの前方傾斜時あるいは前方転倒時に結露水Wをトラップするトラップ部15c2とが形成され、上記第4冷却通路15dには、上記第3冷却通路15cの出口側に位置して通路断面積が広がる通路拡大部15d1と、該通路拡大部15d1の左端側に位置して電気ポットの前方傾斜時あるいは前方転倒時に結露水Wをトラップするトラップ部15d2とが形成され、上記第5冷却通路15eには、上記第4冷却通路15dの出口側に位置して通路断面積が広がる通路拡大部15e1と、該通路拡大部15e1の右端側に位置して電気ポットの前方傾斜時あるいは前方転倒時に結露水Wをトラップするトラップ部15e2とが形成され、上記第6冷却通路15fには、上記第5冷却通路15eの出口側に位置して電気ポットの前方傾斜時あるいは前方転倒時に結露水Wをトラップするトラップ部15f2と、上記第6冷却通路15fの出口側に位置して電気ポットの前方傾斜時あるいは前方転倒時に結露水Wをトラップするトラップ部15f3とが形成されている。
【0058】
なお、本実施の形態においては、上記通路拡大部15c1,15d1,15e1は、第3ないし第5冷却通路15c〜15eと同一平面上において通路が拡大する構成となっているが、要は通路断面積が広がればよいのであって、上下方向(即ち、深さ方向)において通路断面積が広がるように構成することもできる。
【0059】
そして、上記蒸気回収ユニット18は、上記第6冷却通路15f、第1冷却通路15aを除く第2〜第5冷却通路15b〜15e部分が上記蓋体2の閉蓋時において、上記蓋体2の連通穴23(矩形部分19の開口部19a,19b)に向かって所定の傾斜角で下り傾斜となるように取り付けられている。
【0060】
なお、一方第1冷却通路15aは、同状態において、それとは逆方向に連通穴23部分から蒸気入口16方向に部分的に下降傾斜するように形成されている。
【0061】
このようにすると、第1〜第6冷却通路15a〜15fを流れる蒸気Vが凝縮して生じた結露水Wが、先ず蓋体2の連通穴23部分(ユーターン部15U)を介して第1冷却通路15aへ、そして該第1冷却通路15aから蒸気入口16、下板12の蒸気導入口12a、内カバー部材26の蒸気戻し口26b,26b・・を経て上記内容器3内に還流され易くなる。
【0062】
また、同第2〜第5冷却通路15b〜15e部分を以上のように傾斜させると、例えば図3,図4から明らかなように、上記蓋体2の上板11と当該蒸気回収ユニット18の第1〜第5冷却通路15a〜15e部分との間に、通路上流側(蒸気回収ユニット18後端側)ほど上下方向の間隔が大きくなる有効な放熱および断熱用の空間部32が形成されることになる。
【0063】
この空間部32は、まず上記上流側ほど温度が高く、凝縮度が低い第1,第2,第3の冷却通路15a,15b,15c内を流れる蒸気Vに対して、より放熱熱交換能力の大きな効果的な冷却空気層として機能とするとともに、蓋体2の上板11部分に対して高温蒸気の熱が伝わらないようにする有効な断熱空間部として機能する。
【0064】
すなわち、上記第1〜第6冷却通路15a〜15f内を流れる蒸気は、上流側ほど温度が高く、凝縮度も低い。
【0065】
したがって、同部分では十分な温度差のある十分な量の空気(蓋体2の隙間から入った外気を含む)と熱交換させることによって可能な限り凝縮・液滴化するとともに、人が触れる上板11部分の温度が高くならないように可及的有効な断熱を図る。
【0066】
一方、下流側に行くと冷却通路内を流れる蒸気の温度も下がり、凝縮も進んでいるので、必ずしも多くの空気量を必要とせず、或る程度の量の空気との有効な熱交換によって凝縮作用を促進するとともに、念のために上板11との断熱をも図る。
【0067】
これらの構成によると、上記第5冷却通路15e部分までの間で殆どの蒸気Vが凝縮回収されてしまい、通路部分の温度も略安全な低い温度に低下する。
【0068】
このため、上記最終段の第6冷却通路15f部分に到ると、最早殆ど蒸気は消失しており、蒸気出口17から止水弁SV側に出るのは略内圧上昇に伴う空気圧(図10中の破線矢印参照)のみとなる。
【0069】
したがって、同部分における上板11との間の隙間は、図示のような小さなものでも十分であり、特に断熱空間という程のものを設置しなくても足りる。
【0070】
そして、最終的に蒸気出口17から止水弁SVを介して圧抜きパイプ41内に逃がされた空気圧は、同圧抜きパイプ41終端の上述した空気出口44部分に供給されて下口カバー部材43の下方に排出される。
【0071】
この場合、同排出空気中に少しでも凝縮後の水滴が含まれているような場合、同水滴は上述した結露水貯留ポケット45a内に貯留される。
【0072】
なお、符号50,50・・は、蒸気回収ユニット18の上面側に立設された上板11用の支柱である。
【0073】
また、上記のように蓋体2における下板12の下面側には、上記蒸気入口16への蒸気導入口26a,26a・・と結露水戻し口26b,26b・・を備えた金属製の内カバー部材26が固定されており、該内カバー部材26の外周縁(全周)には、上記蓋体2の閉蓋時において上記内容器3の上端側開口部に圧接される耐熱ラバー製のシールパッキン27が設けられている。
【0074】
そして、蒸気導入口26a,26a・・は、断面台形状に上方に凸となり、その外周囲の底部寄りも高くなった凸部部分の天板部分に形成されている一方、結露水戻し口26b,26b・・は、それよりも低い底部部分に形成されている。
【0075】
したがって、結露水Wが戻されている時にも蒸気導入口26a,26a・・は、常に開放されており、スムーズな蒸気の導入が可能である。
【0076】
なお、図1、図5、図6中の符号29は蓋体2の開閉状態を操作する蓋開閉レバー、29a,29aはロック用の係合片、図1〜図4中の符号30は各種スイッチ類の操作面や液晶表示手段の表示面を備えた操作パネル部、31は電気ポットを持ち運ぶ際に用いる把手である。
【0077】
以上のように構成したことにより、図11のように、内カバー26の沸騰開始後、蓋体2下部の蒸気導入口26a,26a・・、下板12の蒸気導入口12aを経て、蒸気回収ユニット18の蒸気入口16に導かれた内容器3からの蒸気Vは、蒸気冷却通路15(15a〜15f)を蒸気出口17側に向かって流れる過程において(図11参照)、先ず第1冷却通路15aを出て直ぐに蒸気センサ22により蒸気温度が検出される。そして、同時点で直ちに沸騰と判定し、直に電気ヒータ4をOFFして蒸気が出ないようにする。
【0078】
従って、同構成によると、従来の内容器3の底部の温度を検出する底センサによる沸騰検知よりも遥かに早く沸とう検知することができるようになり、沸とう開始後直ちに電気ヒータ4による加熱を停止するので、内容器3内のお湯から生ずる蒸気が極めて少なくなるとともに、省エネになる。
【0079】
その後、蒸気Vは、該蒸気センサ22部分をUターンして第2冷却通路15bから第3冷却通路15cに入り、該第3冷却通路15cおける通路拡大部15c1部分において圧力が低減されるとともに通路内空気によって冷却され、凝縮が促進される。その後、第4冷却通路15dおよび第5冷却通路15eを流れる過程においても、それぞれその通路拡大部15d1および15e1において同様に圧力が低減されるとともに通路内空気によって冷却され、凝縮が促進される。従って、第1冷却通路15aから第2,第3,第4,第5,第6冷却通路15b,15c,15d,15e,15fを流れる過程において、殆ど全ての蒸気Vが凝縮して結露水Wに変えられ、蒸気出口17からは蒸気の排出が殆どなくなる。
【0080】
そして、上記第1〜第6の各冷却通路において結露した結露水Wは、上記蓋体2の閉蓋状態において略全体が蒸気入口16側連通穴23に向かって下り傾斜となっている蒸気冷却通路15を介して蒸気Vとは逆方向に流れ、第2冷却通路15bからユーターン部15U、ユーターン部15Uから第1冷却通路15aを経て、蒸気入口16、下板12の蒸気導入口12a、内カバー部材26の結露水戻し口26b,26b・・から内容器3内に還流される。
【0081】
また以上の構成では、上記のように内容器3の内部に連通する蒸気入口16と蓋体2の外部に連通する蒸気出口17との間を、上記蒸気入口16側から蒸気出口17側方向に向けて平面方向に迂回しながら通路内の蒸気Vを凝縮させる蒸気冷却通路15a〜15fの下部側に、当該蒸気冷却通路15a〜15fと内容器3の上部側開口部との間を断熱する断熱部材28が設けられていることから、内容器3内の湯の熱が蓋体2を介して蒸気冷却通路15a〜15f側に伝わることが防止され、より確実に蒸気冷却通路15a〜15fの蒸気冷却機能が確保されるとともに、その断熱機能により内容器3内の湯温の低下が防止され、十分な保温性能が維持される。
【0082】
したがって、十分な保温機能と蒸気レス機能の両機能が同時に実現される。
【0083】
また、以上の構成では、その場合において、蓋体2内の蒸気冷却通路15a〜15fの上部には、当該下部側の断熱部材28よりも断熱力が小さい断熱部として、放熱および断熱用の空間部32が設けられている。
【0084】
このような構成によると、上下2組の断熱部により、蓋体2全体としての断熱性能を可及的に向上させ、電気ポットとしての保温機能を向上させながら、しかも蒸気冷却通路15a〜15fの有効な蒸気凝縮性能を確保することができる。
【0085】
また、人が蒸気冷却通路15a〜15f上流部等の温度が高い上板11部分に触れたとしても、熱さを感じさせなくて済む。
【0086】
また、以上の構成では、蒸気冷却通路15a〜15fが、保温性能向上作用を伴う断熱部として機能するようになっている。
【0087】
上記のように、蒸気冷却通路15a〜15fには、内容器3側から導入された温度の高い蒸気が、蒸気入口16側から出口17側に向けて広く流れる。したがって、該蒸気冷却通路15a〜15fは、本来周囲の部材よりもはるかに温度が高く、その下方側に設けられた断熱部材28を上方側から加温する作用を果たす。
【0088】
このため、単なる断熱部材に比べて遥かに保温機能向上作用が高く、蓋体2部分において、より有効に内容器内の湯の保温性能を向上させる。
【0089】
さらに、以上の構成では、それらの場合において、特に上記蒸気冷却通路15a〜15fは、蒸気入口16から蒸気出口17まで完全な1本の通路となっており、その途中の蒸気入口16側ユーターン部15U位置に蒸気検知部としての蒸気センサ22が設けられている。
【0090】
このような構成によると、従来の蒸気検知(沸とう検知)方式のように、蒸気排出通路とは別に蒸気検知通路を形成して蒸気検知(沸とう検知)を行う構成と違って、蒸気入口から導入された蒸気の全てが蒸気検知部を通過するようになり、蒸気の検知精度が向上し、沸とう検知の応答性が大きく向上する。
【0091】
そのため、沸とう開始(検知)に応じて速やかに電気ヒータ等の加熱手段をOFFにすることが可能となり、沸とうによる蒸気の発生量を可及的少量に制限することができる。
【0092】
このため、より効果的に蒸気レス状態を実現することができるようになるとともに、無駄な消費電力を使わなくて済む。
【0093】
これらの結果、本願発明によると、ほぼ完全な蒸気レス構造でありながら、保温性能が高く、かつ省エネ効果も高い高性能の電気ポットを安価に提供することができる。
【0094】
<実施の形態2>
次に図13は、本願発明の実施の形態2に係る電気湯沸し器の構成を示している。
【0095】
最近では、常時保温ヒータに通電して置くことが必要な上記実施の形態1の電気ポットに代わって、お湯が必要な時にのみ、加熱手段に通電して簡易かつ速やかに湯沸しを行うことができるようにした電気ケトルが、省エネ性の高い湯沸し手段として重宝されている。
【0096】
この電気ケトルは、水を入れる液体容器および該液体容器を加熱する電気的な加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置されるようになっており、湯沸し器本体が載置された状態において、湯沸し器本体側の上記加熱手段の受電部に電源を供給する給電部を備えた電源台とからなっている。
【0097】
そして、例えば湯沸しが行われ、その後、沸とう状態になると、沸とう蒸気検知用の蒸気センサ(例えばバイメタル、サーミスタなど)により沸とうしたことが検知され、速やかに上記電源台の給電部から上記湯沸し器本体側湯沸し加熱手段への通電をOFFにして、湯沸しを停止するようになっている。
【0098】
このような電気ケトルの場合にも、沸騰時には、相当量の蒸気が発生するので、上述した電気ポットの場合と全く同様の問題があり、可能な限り蒸気発生量を低減することが望まれる。
【0099】
この実施の形態は、このような観点から構成されたもので、電気湯沸し器として、上述のような電気ケトルが採用されている。
【0100】
すなわち、この実施の形態の電気ケトルは、内側に貯湯用の液体容器60を備えた容器本体61と、該容器本体61の上部側開口部を開閉する蓋体62と、上記液体容器60を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ63と、上記液体容器60内の湯を外部へ給湯するための湯注出口64と、上記容器本体61の外ケース61A背部に上端側から下端側に延びる状態で一体に取り付けられた側面コ字形の把手部65とを備えて構成されている。
【0101】
容器本体61は、底部材61aを備えた合成樹脂製の円筒状の外ケース61Aと、その上端側全周囲に設けられた合成樹脂製の環状の肩部材61bとからなり、該肩部材61b内側の容器係止部を介して、上記液体容器60の上端(開口縁部)が支持されている。
【0102】
液体容器60は、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の筒体からなっており、その底部60aの下面側外周に、上記湯沸しヒータ(シーズヒータ)63が周方向に延びて設けられている。
【0103】
この場合、同湯沸しヒータ63は、中央部分がフラットな伝熱性の良いヒータプレート63aの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部63bを形成し、同ヒータ埋設用凸部63b内に埋め込む形で設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部63bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている(図示省略)。
【0104】
一方、上記ヒータプレート63aの下面側には、上記ヒータ埋設用凸部63bの内周側に位置して、受電用の棒状電極、スリーブ状電極、スリーブ状の挿脱用ガイド筒よりなる筒体状の受電カプラ66を備えた第1の電源基板(詳細な構造は図示省略)が設けられている。
【0105】
この第1の電源基板の上記把手部65側端部には、上記湯沸しヒータ63両端の電源リード端子とリード線を介して接続するための電源コネクタ端子が設けられている。そして、その内の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して、上記把手部65内の配線空間65aを介して把手部65上端側のON,OFF操作用レバースイッチ67の開閉接点、蒸気センサ(沸騰検知センサ)70のバイメタル開閉接点部とそれぞれ直列な関係で接続され、同バイメタルの開閉接点部分からは電源配線であるリード線を介して同じく把手部65内の配線空間65a内をユーターンして上記湯沸しヒータ63の一端側電源リード端子に接続されている。
【0106】
また第1の電源基板側の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して上記湯沸しヒータ63の他端側電源リード端子に接続されている。
【0107】
次に蓋体62は、合成樹脂製の上板62aと、該上板62aに対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板62bと、その下方の金属製の内カバー部材62cとからなっており、上記肩部材61b内側の開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されるようになっている。
【0108】
上記上板62aと下板62bとの間には、断熱材28および蒸気回収ユニット88を設置することができる所望の広さの空間に形成されており、その把手部65側沸騰検知通路84部分には、蒸気センサ70が設けられている。
【0109】
上記蓋体62の下板62b部分は、例えば全体が断面ハット形に成型され、その本体部分が内容器60の開口径に対応した所定の深さの筒体に形成されている。
【0110】
そして、同筒体部の下面側部分には、その中心部を筒体部下面の中心部よりも所定寸法だけ後端側に偏位させた所定の径の下方側に凹んだ凹溝部80が形成されている。
【0111】
そして、この凹溝部80内に、発泡スチロール等の断熱材28が充填されている。
【0112】
そして、その上部側に位置して、上述の蒸気回収ユニット88が設置されている。
【0113】
下板62bの凹溝部80の後端側(把手部65側)には、下方側から上方側に延びる円筒状の蒸気導入口81が一体に成型されている。この蒸気導入口81の上端側開口部は、後方に向けてアングル状に曲成された接続パイプ82を介して肩部材61bおよび把手取付部83側沸騰検知通路84部分に接続されている。
【0114】
この沸騰検知通路84は、上記把手取付部83部分で側方にユーターンするユーターン通路となっており、その下流側開口部は、パッキンを介して上記蒸気回収ユニット88の下部側第1の蒸気冷却通路88aの一端側(入口部分)に連通せしめられている。
【0115】
そして、沸騰検知用の蒸気センサ70は、上記沸騰検知通路84のユーターン部中央の上面側に設置されている。
【0116】
一方、蒸気回収ユニット88は、上記沸騰検知通路84側から湯注出口64側に延びる第1の蒸気冷却通路88aと該第1の蒸気冷却通路88aの延設端側から再び把手部65側にユーターンする上部側第2の蒸気冷却通路88bとの複数本の迂回した蒸気冷却通路を備えて構成されており、その下面側は上述のように発泡スチロール等の断熱部材28で断熱されて、内容器63側の湯からの熱が伝わらないようになっているとともに、上面側は上板11との間形成された放熱および断熱空間85側に開放されている。
【0117】
したがって、第1,第2の蒸気冷却通路88a,88b内に導入された蒸気Vは、上述した実施の形態1の電気ポットの場合と同様に内容器60側からの熱の影響を受けることなく、効果的に冷却凝縮されて結露水Wとなる。
【0118】
ここで、上記第1の蒸気冷却通路88aは把手部65側から湯注出口64側に向けて昇り傾斜し、他方第2の蒸気冷却通路88bは湯注出口64側から把手部65側に向けて昇り傾斜する形で設置されている。したがって、上記蒸気Vが凝縮して生じる結露水Wは、蒸気Vの進行方向(2点鎖線の矢印)とは逆方向に戻り(実線矢印)、沸騰検知通路84のユーターン部から蒸気導入口81を経て、次に述べる内カバー部材62cの結露水戻し口93b,93b・・・から内容器63内に戻される。
【0119】
すなわち、上記蓋体62における下板62bの下方側には、上記蒸気導入口81への蒸気導入口93a,93a・・と結露水戻し口93b,93b・・を備えた金属製の内カバー部材62cが固定されており、該内カバー部材62cの外周縁(全周)には、上記蓋体62の閉蓋時において上記内容器60の上端側開口部に圧接される耐熱ラバー製のシールパッキン97が設けられている。
【0120】
そして、蒸気導入口93a,93a・・は、そのフラット部中央に、また結露水戻し口93b,93b・・・は、上記凹溝部80の下方に位置して逆円錐台形状に下方に凸となり、その外周囲よりも低くなった凹部底面部分に形成されている。
【0121】
したがって、結露水Wが戻されている時にも蒸気導入口93a,93a・・は、略開放されており、スムーズな蒸気Vの導入が可能となる。
【0122】
また、上記蒸気回収ユニット88の第2の蒸気冷却通路88bの他端、すなわち下流端は、把手取付部83部分で、本体ケース61Aの後端側内を下方に降り、把手部65の下端面部分で外部に開放(空気出口89b)された圧抜き通路89の上端89aにパッキンP1,P2を介して接続されている。
【0123】
その他の構成は、基本的に実施の形態1の電気ポットと共通である。
【0124】
したがって、以上のような構成によれば、電気ケトルの場合において、上記電気ポットの場合と全く同様の蒸気レス機能を実現することができる。
【0125】
また、その場合において、同様に蓋体62部分の断熱、保温性能を向上させることができるから、本体ケース61A側の保温機能を向上させる構成を採用しさえすれば、電気ケトルにおいて保温機能を付与することも可能となる。
【0126】
なお、図13中において、符号90は給湯用の内側湯注出通路68の入口部分を開閉する弁体を開閉作動させる給湯ロックスイッチ、また符号100は、容器本体61側の受電カプラ66に対応する給電カプラ101を備えた給電用の電源台である。
【0127】
<実施の形態3>
次に図14は、本願発明の実施の形態3に係る電気湯沸し器の構成を示している。
【0128】
この実施の形態は、上記実施の形態2と同様の電気ケトルにおいて、圧抜き用の空気出口96を蓋体62の天面に開口させ、第2の蒸気冷却通路88bの終端側開口部88cを同空気出口96に対応させて設けたものであり、実施の形態2のような上方から下方へ長い圧抜き通路89を不要としている。
【0129】
このような構成の場合にも、上記蒸気回収ユニット88の第1,第2の蒸気冷却通路88a,88b部分で、十分に蒸気が回収されることから、蓋体62天面側の空気出口96部分からは余り蒸気が出ないので、ほぼ同様の蒸気レス機能を実現することが可能である。
(変形例)
なお、本願発明は、上記各実施形態において説明した構成に限定されるものではなく、その発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜設計変更することが可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0130】
1は容器本体
2は蓋体
3は内容器
4は電気ヒータ(加熱手段)
15は蒸気冷却通路
15aは第1冷却通路
15bは第2冷却通路
15cは第3冷却通路
15dは第4冷却通路
15eは第5冷却通路
15fは第6冷却通路
15uはユーターン部
16は蒸気入口
17は蒸気出口
28は断熱部材
32は空間部
61は容器本体
62は蓋体、
70は蒸気センサ
88は蒸気回収ユニット
88aは第1の蒸気冷却通路
88bは第2の蒸気冷却通路
89は圧抜き通路
89bは空気出口
100は電源台
Vは蒸気
Wは結露水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する内容器および該内容器を加熱する加熱手段を備えた容器本体と、該容器本体の上部側開口部を覆蓋する蓋体と、該蓋体内にあって、上記内容器の内部に連通する蒸気入口と該蓋体の外部に連通する蒸気出口との間を上記蒸気入口側から蒸気出口側方向に向けて迂回しながら蒸気を凝縮させる蒸気冷却通路とからなる電気湯沸し器であって、上記蓋体内の上記蒸気冷却通路の下部に、上記蒸気冷却通路と上記内容器の上部側開口部との間を断熱する断熱部を設けたことを特徴とする電気湯沸し器。
【請求項2】
蓋体内の蒸気冷却通路の上部には、下部側の断熱部よりも断熱力が小さい断熱部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気湯沸し器。
【請求項3】
蒸気冷却通路が、保温性能向上作用を伴う断熱部として機能するようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気湯沸し器。
【請求項4】
蒸気冷却通路は、蒸気入口から蒸気出口まで1本の通路となっており、その途中の蒸気入口側位置に蒸気検知部があることを特徴とする請求項1,2又は3記載の電気湯沸し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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