説明

電気的な回路アセンブリおよびそれを組み込んでいる構造コンポーネント

【課題】 電気的な回路アセンブリおよびそれを組み込んでいる構造コンポーネントを提供することである。
【解決手段】 構造的な健康監視配置は、複合物を通り抜ける電気的な経路を規定している複合物に内在性の複数の電気的な導電ファイバーを有する繊維強化複合材料から形成されるコンポーネントが具備されている。経路は、材料を介して流れる経路を検出するように作用する。検出器は、構造的な事象を表す電気的特性の変化を監視する。経路は、電気的な連続性が直接または間接的にモニタされ、オープンまたはクローズノードグリッドとして構成されることができる。あるいは、それらは、ピエゾ抵抗素子の特性を有しているファイバーであることができ、および、レジスタンスの変化は、モニタされることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路アセンブリおよびそれを組み込んでいる構造コンポーネントに関し、特には、配置を監視する構造的な健全性(structural health)だけに限るものではない。
【背景技術】
【0002】
多くの応用、例えば航空機および他の乗物、および、インテリジェント構造の開発における複合材料の増加する使用について、複合材料の構造的な健全性を監視するための配置(arrangements)の必要性が存在する。「構造的な健全性」という用語は、対象物による衝撃、腐食などによって生じられる外側のダメージ、同様に、内部ダメージ、例えばストレス誘発性クラック、層間剥離、および、複合物がさらされる局所的応力および歪の単なる測定に関して材料の健全性を意味するために用いる。航空機において、例えば、ナビゲーションシステムは機体が対象とされ、加速度を決定し、および、報告する慣性プラットホームを有することができる。しかし、それは局所的応力、および、歪の大きさについて報告しないだろう。
【発明の概要】
【0003】
したがって、我々は、構造的な健全性のモニタ機能を組み込んだ複合材料を開発した。
【0004】
一つの方法として、構造的な健全性監視配置は、前記複合材料を介して電気的な経路の実行を規定している複数の電気導電ファイバーを含んでいる繊維強化複合材料から形成されるコンポーネントと、一つ以上の前記経路の電気的な特性を監視する検出器とを具備しており、このことにより、前記コンポーネントの構造的な状態を決定する。
【0005】
好ましい実施態様において、それらが二重の機能を実行して、および、コンポーネントの構造的な完全性をかなり傷つけないように、電気導電ファイバーはファイバーを補強するように構造に対して内在性でありえる。
【0006】
位置情報を提供するために、前記経路は、それぞれの共通軸方向(co-ordinate directions)のグループにおいて配置されることができる。それで、例えば、前記グループは、XおよびY方向の検出を可能にするために、二次元配列の直交線形の方向において延びることができる。深さ情報が必要とされる所で、前記グループはこのことにより、第3のZ方向の検出を可能にするように第3の直交方向において層化されることができる。
【0007】
これらの配置の各々において、グリッドは、モニタされる範囲またはコンポーネントに渡って規定され、および、我々は、グリッド構成の2つのタイプを提供する。オープンノードのネットワークにおいて、電気的な経路は、前記共通軸方向のノードまたは交差で電気的なコンタクトにない。クローズノードのネットワークにおいて、電気的な経路は、前記共通軸方向のノードで、電気的なコンタクトにあり、このことによりクローズノードのネットワークを提供する。
【0008】
オープンノードのネットワークにおいて、検出器は、1つ以上の選択された経路の連続性をモニタすることができて、および、このことにより、一つ以上の前記経路のブレークイン連続性が生じている場合の共通軸を決定することができる。クローズノードのネットワークにおいて、検出器は、ネットワーク全体の選択された経路の間のネットワークレジスタンスをモニタすることができ、このことにより、検出可能な抵抗値変化が生じている場合の位置を導き出す。この種のセットアップにおいて、検出器は、前記経路に関係しているデータを収集するために間を置かれた間隔でモニタすることができて、および、前記データの変化が1つ以上の位置で閾値を超えるか決定することができる。
【0009】
別の配置において、電気導電ファイバーは、ピエゾ抵抗素子を選択する。それによって、所定のファイバーのレジスタンスは加えられた歪によって変化する。
【0010】
単純な圧縮および張力のローディングが測定されることができるが、好ましい実施態様で、選択された経路は、コンポーネントのニュートラルな曲げ軸から間隔を置いて配置され、このことによりコンポーネントの曲げの検出を可能にする。同様に、適切なファイバー配置は、捻りを測定するように設計されていることができる。1つの配置において、電気導電経路の2つのグループは、各グループのレジスタンスの変化を監視する検出器によってニュートラルな曲げ軸のどちらかの側面の一方に間隔を置かれることができ、このことにより、引張荷重、圧縮荷重、第1のセンスの曲げまたは対抗する第2のセンスの曲げに関していかなる歪も区別する(classifying)。
【0011】
コンポーネントは、前記コンポーネントの少なくとも1つの外面に隣接して配置される電気的なスクリーニングエレメントを含むことができ、および、前記電気的なスクリーニングエレメントは、1つ以上の前記電気的な経路の各々の端部に接続される。そして、このことにより、グラウンドまたは戻り経路としての機能を果たす。
【0012】
別の態様においては、本発明は、前記複合物を通り抜けて作動するピエゾ抵抗素子の材料の複数の細長い導線を含んでいる繊維強化複合材料から形成されるコンポーネントと、1つ以上の前記細長い導線のレジスタンスを監視する検出器とを具備しており、このことにより、前記コンポーネントの構造的な状態を決定する、構造的な健全性監視配置を提供する。
【0013】
各導電ファイバーが電気導電表面を有することは、好まれる。この表面は、ファイバーの内部上に提供される電気導電コーティングであることができる。ここで、ファイバーは中空である。加えて、または、あるいは、電気導電表面は、ファイバーの曝された表面に提供されることができる。なお更に、また、各ファイバーは、電気導電材料自体から作られることができる。例えば、また、各導電ファイバーは、他の導電ファイバーからそれを電気的に絶縁するために、ガラスファイバーによって囲まれることがありえる。さらに、ファイバーは、構造において他のこのような牽引から電気的に分離される導通牽引の中に他の同様なファイバーによって収集されることができる。
【0014】
電気導電コーティング、コアまたは層がファイバー上に、または、その中に堆積されることができるさまざまな異なる方法がある。例えば、電気導電コーティング、コアまたは層は、気相において少なくとも部分的に堆積されることができる。別の形態として、電気導電コーティング、コアまたは層は、溶融金属材料をファイバーに加えて、および、前記金属材料が前記導電層またはコーティングを形成するために凝固することを可能にすることによって堆積させることができる。別の方法は、無電解メッキ、電気メッキまたは両方の組合せによってコーティング、コアまたは層を加えることである。例えば、第1の層(または複数の層)は、電気メッキによって堆積され得て、次の層(または複数の層)が無電解メッキによって堆積されることができる。これは、全体のメッキ工程のより大きなコントロールを可能にする。
【0015】
コーティング、コアまたは層は、銀、金、銅、アルミニウム、クロミウム、ニッケル鉄、ガリウム、インジウムおよびスズ、および、上述した1つ以上を含む合金、並びに、導電性ポリマー、電解液(electrolytes)およびコロイドをも含む金属のうちのいずれかを含み、しかしこれに限らず、いかなる適切な導電材料からも選択されることができる。ファイバーは、炭素繊維、ガラスファイバー、鉱物のファイバー、セラミック繊維、ポリマーファイバー、および、金属ファイバーを含んでいる繊維強化複合材料の構造にて使われることができるいかなる適切なファイバーもありえる。
【0016】
好ましくは、マトリックス材料には、電気絶縁である適切な材料が具備されている。マトリックス材料は、ポリマー、エラストマ、金属、ガラス、および/若しくはセラミック、またはこれらの混合物であることができる。
【0017】
「電気導電」および「電気的に絶縁」の用語は、相対的なものであり、有効な電気信号が所望の信号またはパワー経路に沿って伝えられることを意味するように、解釈されるものである。
【0018】
「金属」という用語は、単に純金属だけではなく合金をも含むように用いる。また、半導体およびセミメタリックは、含まれる。
【0019】
このように、配置は、構造コンポーネントが曝されるさまざまな物理的、化学的、電気的または電磁気的な影響をモニタすることができる。
【0020】
構造コンポーネントの監視の好ましい実施態様において、前記コンポーネントは、第1の座標方向に延びている複数の間隔を置かれた電気導電ファイバーのグループと、第2の座標方向に延びている複数の電気導電ファイバーの第2のグループとを具備している。そして、第1および第2のグループを監視ための電気的な監視手段は、それぞれのファイバーの電気的な特性を決定し、および、コンポーネントの構造的な健全性の指示を提供し、および、両方のグループの1つ以上のファイバーの前記電気的な特性を変更する事象(イベント)の位置の指示を提供する。この方法において、亀裂または衝撃が発せられた場所は、決定されることができる。好適な方法には、キャパシタンス、リフレクトメトリ(reflectometry)、および、時間分域反射率測定(time domain reflectometry)が含まれる。
【0021】
それで、前記第1および第2のグループは、通常、電気導電ファイバーのカラム、および、列を提供するために、直交方向に配置されることができ、および、前記電気的な監視手段は、列、および、カラムを参照することで事象(イベント)のため、前記電気的な特性の変化を検出するように適合されることができる。このことにより、事象の位置の指示を提供する。
【0022】
構造的なダメージまたは他のいかなる観測可能な事象の位置を決定する他の方法を使用することは可能なことはいうまでもない。そして、その方法は、2つのアレイの使用を必要としない;それは、例えば、時間分域反射率測定が、場合を位置づけるために用いることができる。
【0023】
本発明は、次の明細書、および、実施例、添付の図面を参照することで、より適切に理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、複合クーポン(composite coupon)を浸透させる配置の概略図である。
【図2】図2は、構造的なダメージの検出および位置を可能にするために設計された配置の概略図である。
【図3a】図3aは、本発明の実施形態にてオーミックを使用する結合の構成の詳細図である。
【図3b】図3bは、本発明の実施形態にてコンタクトレスの容量性結合を使用する結合の構成の詳細図である。
【図3c】図3cは、本発明の実施形態にてコンタクトレスの誘導結合を使用する結合の構成の詳細図である。
【図4】図4は、航空機の延長した表面積上の監視センサに対する本発明の配置の使用の概略図である。
【図5】図5は、中心コア導線が伝送特徴が変化されることを可能にする中間体ファイバーによってコアから間隔を置いて配置されるスクリーニングファイバーの層によって囲まれる複合構造の概略図である。
【図6】図6は、クローズノードの構造的な健全性モニタリングシステムを有する複合コンポーネントの概略図である。
【図7a】図7aは、ピエゾ抵抗素子の構造的な健全性モニタリングシステムを有する複合コンポーネントの概略図である。
【図7b】図7bは、ピエゾ抵抗素子の構造的な健全性モニタリングシステムを有する複合コンポーネントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施例では、中空のファイバーは、内部に電気導電コーティング、層またはコアを提供される。それで、ファイバー複合材料が経路に信号、パワーなどを提供するために、それを介して実行される電気導電ファイバーを有するように作られることができる。このようにして、ファイバー複合構造は、ファイバー内に完全に収容されている電気導電領域によって、外部のファイバーとマトリックス材料との間の界面が影響を受けないことを提供されることができる。
【0026】
金属化技術
CVD
気相式金属堆積方法は、被覆材料の粘性が液体相より数桁低い大きさであることが、魅力的であると考えられる。相対的に高い流量が適度の圧力で達成されることができるので、これは非常に小さいコンポーネントの中への活性材料の浸潤を単純化する。上昇された温度(250°C)で水素または酸素の銀のピバル酸塩の還元に基づくポテンシャルCVDテクニックは、「bourida M, Guillon H, Jimenez C, Decams J M, Valet 0, Doppelt P, Weiss F, “Process for the deposition by Process for the deposition by CVD of a silver film on a substrate” 米国特許20070148345」に記載されている。
【0027】
液体金属
液体金属による直接の溶浸は、金属のコア化されたファイバーを作成する単純な、および、直接のアプローチを提供する。ファイバー、および、複合物がダメージの危険なしに処理されることがありえるように、都合よく低い融解点によって金属を使用することは、望ましい。
【0028】
タケヤスその他によって記載されているように、適切なメッキテクニックは、グリセリンによってクロロ金酸溶液(HAuCl4)の還元を使用する。「Takeyasu N, Tanaka T and Kawata S, “Metal deposition into deep microstructure by electroless plating”,日本応用物理学会誌、44、N0.35、2005、pp.1134―1137」。
【0029】
記載されているメッキ工程は、次のコンポーネントを使用する:
めっき液=DI水中にて 0.024M HAuCl4+0.75M NaOH+0.086M NaCl
還元剤=DI水中にて 0.5%vol.グリセリン
増感剤=DI水中にて 26mM SnCl2+70mMトリフルオロ酢酸(TFA)
実施例1
図1を参照し、フルスケールのファイバーの溶浸が調査されるように、長さ30−40mm、幅10−15mm、厚さ2−3mmの寸法の短い複合クーポン18が準備された。複合物は、0°/90°での織物を使用して作られ、それで、クーポンの長い端部20は、90°方向に流れているファイバー内への材料の進入を妨げるようにシールされる。ポリカーボネートリザーバ22、および、圧力フィッティング24は、材料の導入または除去を容易にするために、クーポンの開いた端部のうちの1つを通じて結合される。単一のファイバー試験片によって、この構成が、材料にキャピラリアクションによって、または、正および負の圧力差動装置を用いることによって導入されることを可能にする。
【0030】
複合試験片は、フルスケールで金溶液のメッキ反応を調査するために用いられた。リザーバは、増感剤を充填され、および、これは、試料の開いた端部が湿っているのを見られるまで、2.5バール(bar)のドライ窒素の使用を介して吹きつけられた。2.5バールの典型的な充填時間は、長さ40mmのパネルに対して5−10秒のオーダであった。過剰な増感剤は、ピペットによってリザーバから取り除かれて、および、DI水に置き換えられ、そこでリザーバが空になるまで、吹き付けられた。いかなる過剰な増感剤も確実に取り除かれたことに確保しようとして、水洗プロセスは、第2の時間、繰り返された。残りの流体の大部分が放出されたことを示しているバブルがパネルの開いた端部に見られるまで、吹込みは続けられた。新たに準備された6X金/エチレングリコール水溶液はリザーバに導入され、および、前のように、2.5バールのドライ窒素を使用して吹込みは始まられた。壁が数秒で黒くなったように、反応はリザーバにおいてすぐ始まるのを見られた。その小さいサイズ、および、狭い誘導ポートのために完全にリザーバをすすぐことが困難であるように、これがおそらく過剰な増感剤の存在に起因したと思われた。吹込みは数分間続けられ、および、パネルは短い時間でピンクの外観をとることが観測された。ほぼ5分後に、吹込みは中断され、および、リザーバは圧力差動装置を取り除くために排気された。リザーバは、複合パネルであった過剰なめっき液をなお充填され、および、いかなる残された金属もメッキされるように試料は2時間この状態におかれた。この間に、ピンクの色彩は、次第により強くなった。ピペットにも観測される薄い金膜が、金属外観をとる前のピンク/紫の呈色を示したように、この変色は金がファイバー上へメッキされたという指示としてとられた。
【0031】
実施例2
2回目の試験は、増感剤によってリザーバのコンタミネーションを回避する電位法(potential method)を調査するために実行された。先の観測は、長さ100mmのパネルを浸透させるのにほぼ8分かかることを示した。増感剤は、浸漬によって複合パネルの開いた端部から導入され、および、10分は溶浸のために可能にされた。キャピラリアクション(capillary action)による溶浸がリザーバ内部でパネルの最遠端部で自動的に止まるように、リザーバのコンタミネーションは回避された。充填の後、前にように、増感剤は2.5バールの窒素を使用して吹き飛ばされた。リザーバは、それでDI水を充填されて、および、パネルを洗い落す(rinse out)ために吹きつけられた。2回のリンスは、前のように実行された。リザーバは、めっき液を充填されて、および、ほぼ4分吹きつけられた。パネルは、ほぼ直ちに開いた端部から変色し始め、ほぼ5分でパネルの他端へ紫色が進行した。変色は、それがピペットに対して観測されてそれと類似の率で暗くなり続け、充填の最初のほぼ20〜30分後リザーバの残留物流体において観測されなかった。パネルは、メッキを終えるために、終夜めっき液で全部をそのままにされた。複合パネルは、最初の試みの後よりかなり暗く、および、リザーバは修正された充填法が成功していて、および、ポテンシャル金属の大部分がファイバー上へ堆積したことを示唆している変色およびメッキがほぼ完全に無くなった。
【0032】
消耗されためっき液は、吹き飛ばされて、および、新しい溶液に置き換えられた。パネルは、浸透して、および、再び、数時間おかれ、変色はファイバーが最終的に黒くみえて次第により暗くなった。パネルの開いた端部近くの検査は、それらがわずかな金属光沢以外黒いことを明らかにし、これらもコーティングされたことを所々で示唆した。デジタル電量計(DVM)は、パネルの端部、および、測定可能なもの以外の、高さ全体に、配置され、レジスタンスは、常時接続が形成されていたことを示唆して記録された。
【0033】
実施例3,4および5
3つのコンセプト実証機(デモンストレータ)は、材料のポテンシャル使用を調査するために作られた。それらの直径が実際のシステムで使用するガラスファイバーと同じオーダーであるように、これらの実証機が表示する導電性の構造としてNiコーティングされた炭素繊維を使用した。第1のパネル(実施例3)が、多重の平行な接続を組み込む能力を示して、および、ポテンシャル接続方法を調査するために、および、電気的試験のために使われた。導電性のピンは、直接、導電性のファイバー牽引の位置の上の表面に垂直の小さい穴を穿設することによって、パネルに追加された。金メッキの半田ピンは、電気的なコンタクトを形成するために穴に押してはめ込まれた。ピンのいくつかは、付加されたローブスト性(robustness)のために銀がロードされた導電性のエポキシ樹脂を使用しているパネルにも結合された。
【0034】
第2のパネル(実施例4)は、3つの平行な電気的な接続を与えるように構成された。これらは、パネル端部上に組込コネクタを介してアクセス可能であった。パネルは、9Vのバッテリ、および、LEDを用いたパワーを伝える材料の能力を示した。双色(赤/緑の)LEDは、多重のパワーレールを伝える能力を示すために用いた。
【0035】
第2の実証機は、材料を介してデータを移送する実現可能性を調査するためにも用いた。3つの導線によって、パネルが両方向のRS232コンパチブルシリアルデータ列を伝えるように構成されることを可能にした。テキスト、および、データファイルは、56kbit/sまでの速度で2台のラップトップコンピュータ間で移送された。
【0036】
図2を参照し、第3の実証機(実施例5)は、XおよびY平面に走っている平行の導線32の8x8アレイを含んでいるパネル30がほぼ150mm角からなる。導線は、およそ10mm間隔で離れて置かれ、および、平面方向の絶縁被膜は、いくつかの層の織られたガラスファイバーマットからX導線とY導線との間に形成された。
【0037】
導線の信号伝送特性は、1つの端部で正弦波信号を注入することによってテストされて、および、最遠端部で減衰または劣化のサインをモニタリングする。試験セットアップは信号線、および、戻りラインとしてX平面上の2つの隣接するトラックを使用し、および、出力は56Ω負荷にて測定された。
【0038】
図2の8X8 X―Yアレイの材料をポテンシャル使用の更なる実証は、基本的なダメージ検出/指示システムとして構成された。単純な電子的回路34は、ダメージの位置がLEDの8x8アレイ36に示されることを可能にするために追加された。そのダメージを受けていない状態のパネルについては、LEDは、照らされなかった。8mmの穴38は、インジケータパネル上の点灯に適切なLEDに、一対のXYファイバーの交差を介して穿設された。この試験は、分離した埋め込まれたセンサを必要とすることなくコンポーネントの大きい範囲の上のダメージを検出するシステムのポテンシャルを示した。
【0039】
導電エレメントが他の回路またはコンポーネントに電気的に結合されることができる異なる方法がいくつかある。例えば、図3aに示されるように、例えば導電ファイバー42と直接的に物理的なコンタクトにて、および、複合物から延びる端末40を提供することによって、結合がオーミックでなされる。別の形態として、図3b、および、3cに示されるように、容量性または誘導性の結合部材44または46によって、コンタクトレスで結合される。このような配置の利点は、例えば、もし元々の導電ファイバーがダメージを受けるならば、結合部材が電気的な回路を再構成するために必要に応じて新しい位置を定められることができるということである。結合部材は、下にある導電ファイバーと必要な電気的な継手を提供するために永久に、または、半永久に複合材料に接着でありえる接着パッドの形状をとることがありえる。
【0040】
こうして形成される回路が、いくつかの場合で、パワーを伴って、アナログまたはデジタルデータ信号を共に送信するのに使われることができる。例えば、データ信号は、キャリア上へ変調することができ、および、キャリアはパワーソースを提供するために調整されることができる。こうして形成される回路が、従来の電源またはデータ転送以外の多数の目的使われることができる。それで、例えば、図4に示されるように、空力研究または空力コントロールで、表面センサ50のアレイは構造および/または空力環境に関する1つ以上のパラメータを検出するために航空機上の複合エレメント52の露出した表面に提供されることができ、および、複合エレメントの中で電気導電ファイバー54によって装置56をモニタリングするために接続される。センサ50と電気導電ファイバー52との間で誘導性または容量性結合の使用は、簡単な再構成、および、セットアップを可能にする。
【0041】
必要であれば回路がルート変更されることができるように、複合物上の導線のアレイの提供によって冗長性(redundancy)が中で構築されることを可能にする。導線は、複合材料を加熱して、および、それで防氷をすることを提供するか、または本体の赤外線特性を修正されることを可能にするために使用されることができる。
【0042】
図5に示されるように、例えば、高周波電気信号の伝送または処理のために、複合構造60は、信号経路に沿った電気的な特性が修正されることを可能にするように設計される。それで、そこの横断面には、炭素繊維外側のスクリーニングまたはグラウンド導線スキン62、および、中心コア導線64があり、ファイバー66を充填される中心コア導線とスクリーニングの間のボリュームを有する。これらの中間体ファイバー66は、固体若しくは中空またはその両方の混合物であることができる。いくつかのファイバーが中空である所で、導線のインピーダンスまたはキャパシタンスはマニホールドシステム(図示せず)を介して前記中空ファイバーに、または、それから適切な流体材料を導入するかまたは取り除くことによって修正されることができる。
【0043】
ここで記載されている装置および方法が複合ファイバー構造が純粋に構造的であるより別の機能を実行するために構成される他の技術によって用いられることができることはいうまでもない。例えば、ここで記載の装置および方法は、設備によって構造的な健全性を監視および/または自己修復を、例えばシールドが可能なインテリジェント構造をなす他の技術、および、輻射および/または可能な構造の検出と組み合わせられる。
【0044】
図2において示されて、および、実施例6に記載されている配置において、導線(一方で、導電経路として示している)は、XおよびY共通軸方向に延びている導電ファイバーの牽引から形成され、しかし、XおよびY経路が互いから絶縁されるように、交差ポイントでコンタクトされていない。これは、オープンノードのグリッドまたはネットワークとしてここで参照される。例えば極座標系のような、他の座標系が使われることができることは当然理解される。そして、経路は、非線形であることができ、および、特に興味がありこれらの範囲のグリッドの分解能を増加させるか、または構造の応力濃度のライン全体の経路を位置合わせするために例えば領域に集中するように設計されていることができる。いまだ、更に、例えばクラック検出について、経路がジグザクの形状でありえる。更なるオプションとして、コンポーネントは、X―Yオープンノードのグリッドの層を提供されることができる。そして、複合物の厚さにわたって起こっている事象が検出されることができるように、Z方向において積み重なる。例えば、層間剥離または割れは深さのどこでも起こすことができ、したがって、Z方向の感度または検出可能性は更なる利点を提供する。
【0045】
実施例7 − クローズノードグリッド
ここで、図6を参照し、この配置において、電気導電ファイバーによって規定される前にあるように、電気導電経路のグループがあり、しかし、この配置で、XおよびY経路は、クローズノードコンフィギュレーションのそれらの交点で電気的なコンタクトにある。従って、この構成の経路は、XおよびY方向においてアドレス可能である直交レジスタンスネットワークをなす。このようなネットワークの電気的な反応、および、解析は、当業者に周知である。
【0046】
本配置において、プロセッサ74は、次々に信号をカラム70の各々に加え、および、各カラム、各列の電圧は、プロセッサによって検出され、そして、保存される。これはすべてのカラムについて繰り返され、および、こうして、全体のネットワークデータは取り込まれる。これは、ネットワークの列、および、カラムに対応するテーブル76を規定して、および、選択された列とカラムとの間の電圧降下を表しているデータをテーブルの各セルに保存することによって、都合よく、なされることができる。それで、これらの値を調べて、および、例えば事象のピーク、位置を探すことによって、ネットワークを中断している亀裂またはスポーリング78は、決定されることができる。例えば、値は、ディスプレイ80上の二次元であるか3次元画像として符号化されて、および、色で示されることができる。外的因子の変更を可能にするために、プロセッサは、データのフレームを得て、および、それで連続したフレームの違いモニタするために、上記の表形式(tabular form)によって表されるデータ値を走査するかまたは変換するために作動することができる。差異の監視のこの技術は、上記のオープンノードグリッドに加えられることもできる。
【0047】
構成の別のタイプにおいて、この技術が、他の適切な構造的な健全性モニタリング法、例えば音響(acoustic)、アクティブ/パッシブな音波検知(acoustic detection)、慣用歪ゲージ、光(ブラッグ回折格子タイプ)歪ゲージ、および、時間分域反射率測定と連動して用いられることができる。
【0048】
実施例8
ここで、図7(a)および7(b)を参照し、この配置において、ある材料のピエゾ抵抗素子の特性は、コンポーネントがさらされる応力および歪を測定するために使用される。この配置において、複合材料の内在性のエレメントである炭素の補強されたファイバーは、細長く、高いアスペクトレシオ(一般的に20:1を超える)の中で、別々の導電経路82、84を規定する。炭素繊維は、本質的に、圧電的性質を有し、それによって、ファイバーが正の歪(加えられた引張応力から)受けるときにレジスタンスが増加し、そして、ファイバーが負歪(圧縮応力から)にさらされるときに、減少する。ゲージファクタは、ほぼ0.2であるように測定された。
【0049】
図7(a)および7(b)の配置において、導電ファイバーの1つのグループ82は、ニュートラルな曲げ軸および1つ下の84より上に配置されている。検出器86は、経路のレジスタンスを検出して、そして、これから各経路に沿って応力/歪を決定する。レジスタンスは、周知の様式のブリッジ回路を使用して比較されることができる。1つの配置において、ニュートラル曲げ軸の上下のグループのレジスタンスの変化は、モニタされ、および、コンポーネントがテンションか、圧縮か曲げの下にあるか決定するように分析される。それで、もし両方のグループがテンションを示すならば、これはコンポーネントがテンション(引っ張り)の下にあることを示し、および、コンプレッション(圧縮)に対しても同様に適用される。1つのグループが、圧縮を示し、他のグループがテンション(引っ張り)の際は、コンポーネントが、テンションにあることによって決定される曲げセンスによって、曲げを経験していることを示す。
【0050】
図示しない他の配置において、コンポーネントの厚さを介して分布して、および、それぞれ個別にアドレス可能ないくつかのグループがありうる。
【0051】
図7(a)および7(b)に示されるように、コンポーネントは、コンポーネントの上面および下面に隣接してスクリーニングまたは接地層を提供される。これらの層は、電気導電であり、および、導電ファイバーから形成されることができる。層が、互いに接続していることができて、および、隣接する層に対するファイバーの各グループの一端の接続による共通の戻り経路として使われることができる。それらが検出しているグループのピエゾ抵抗効果に寄与またはマスキングしないことを確保することは、この場合において重要である。それで、これらのスクリーニング層は、コンポーネントがロードされるときに、抵抗レスポンスを提供しない導電ファイバーのレイアップから作られることができる。
【0052】
この配置において、上記の連続性グリッド構造によって、ファイバーのそれぞれのグループは、共通軸グループ、例えば事象の位置を決定するように相関している出力データを有するXおよびYに配置されることができる。ここではいうまでもなく、検知経路がファイバーの連続性よりもむしろ歪に応答するように、歪み波が衝撃点から移動するように、XとYグループの間の隙間の対象物の衝撃は拾われるだろう。従って、両方のグループ上の連続的な監視読み取りによって、衝撃の位置は、データを補間することによって決定されることができる。先の配置によって、衝撃点が導き出されることができるように、XおよびYデータは、最適に、列データおよびカラムデータを有する二次元画像、閾値または色コード化として表示されることができる。同様に、データは、データが変化を特定するように、フレームの間で比較されて、インターバルで、得られることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造的な健全性監視配置であって、
複合材料を介して実行される電気的な経路を規定している複数の電気導電ファイバーを含んでいる繊維強化複合材料から形成されるコンポーネントと、
1つ以上の前記経路の電気的な特性を監視する検出器とを具備し、
このことにより、前記コンポーネントの構造的な状態を決定する、構造的な健全性監視配置。
【請求項2】
前記電気導電ファイバーは、ファイバーを補強している、請求項1に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項3】
前記経路は、それぞれの共通方向にグループにおいて配置されている、請求項1または請求項2に係る構造的な健康監視配置。
【請求項4】
前記グループは、XおよびYディメンションの検出を可能にするように二次元配列の直交線形の方向において延びている、請求項3に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項5】
前記グループは、層化されており、これにより、第3のZ方向の検出を可能にする、請求項4に係る構造的な健康監視配置。
【請求項6】
前記電気的な経路は、前記共通軸方向のノードで電気的なコンタクトがなく、
このことによりオープンノードネットワークを提供する、請求項3または請求項4に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項7】
前記電気的な経路は、前記共通軸方向のノードで電気的なコンタクトがあり、
このことによりクローズノードネットワークを提供する、請求項3または請求項4に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項8】
前記検出器は、1つ以上の選択された経路の連続性を検出し、
このことにより、1つ以上の前記経路のブレークイン連続性を生じている事象の共通軸を決定する、請求項6に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項9】
前記検出器は、ネットワークに渡って、選択された経路の間のネットワークレジスタンスを監視し、
このことにより、検出可能なレジスタンスの変化を生じている事象の位置を導き出す、請求項7に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項10】
前記検出器は、前記経路に関係しているデータを収集するために間を置かれた間隔でモニタし、
前記データの変化が1つ以上の位置で閾値を超えるかを決定する、請求項7または8に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項11】
前記電気導電ファイバーは、ピエゾ抵抗素子に選択され、
このことにより、所定のファイバーのレジスタンスが加えられた歪によって変化する、請求項1〜5のいずれか1項に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項12】
選択された経路は、前記コンポーネントのニュートラルな曲げ軸から間隔を置いて配置され、
このことにより、前記コンポーネントの曲げの検出を可能にする、請求項11に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項13】
各グループのレジスタンスの変化を監視する検出器を有するニュートラルで曲がる軸のどちらかの面に間隔を置かれた電気導電経路の2つのグループを含み、
このことにより、引張荷重、圧縮荷重、第1のセンスまたは第2の対抗するセンスの曲げに関するローディングを区分する、請求項12に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項14】
前記コンポーネントは、前記コンポーネントの少なくとも1つの外面に隣接して配置される電気的なスクリーニングエレメントを含む、先行する請求項のいずれか1項に係る構造的な健全性監視配置。
【請求項15】
前記電気的なスクリーニングエレメントは、1つ以上の前記電気的な経路のそれぞれの端部に対して連結されており、
このことにより、グラウンドまたは戻り経路をとしての機能する、請求項14記載の構造的な健全性監視配置。
【請求項16】
構造的な健全性監視配置であって、
複合物を通り抜けて作動するピエゾ抵抗素子の材料の複数の細長い導線を含んでいる繊維強化複合材料から形成されるコンポーネントと、
1つ以上の前記細長い導線のレジスタンスを監視する検出器とを具備し、
このことにより、前記コンポーネントの構造的な状態を決定する、構造的な健全性監視配置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2011−527432(P2011−527432A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517240(P2011−517240)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050800
【国際公開番号】WO2010/004324
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(390038014)ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ− (74)
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
【Fターム(参考)】