説明

電気的性質の向上したハロゲンフリー難燃性ポリアミド組成物

ポリアミドと、ホスフィン酸金属塩及び窒素化合物を含む難燃剤系と、充填材とを含んでなる難燃性ポリアミド組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的性質の向上したハロゲンフリー難燃性ポリアミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気用途に使用されるポリマー材料は、良好な機械的性質(例えば、引張弾性率及び引張強さ)を示すとともに、併せて難燃性に関する厳しい工業規格及び良好なアークトラッキング抵抗性を満たす必要がある。ますます厳しくなる要求条件には、国際電気標準会議(IEC)のグローワイヤー燃焼性指数(GWFI)又はUnderwriters Laboratories,Inc.のUL−94燃焼性等級を満たし又は超えることも含まれる。
【0003】
ポリアミド樹脂は傑出した耐熱性及び成形加工性を示し、各種の用途に有用である。しかし、ポリアミドは難燃性に劣るので、特定の用途が要求する所望の難燃性を得るために難燃剤の添加が必要とされる。ハロゲン化化合物及びアンチモン化合物は、ポリアミド組成物で難燃性を達成するための方法を提供し得る。しかし、臭素及びアンチモンの存在は、電気及び電子分野並びに装置類や輸送機関におけるその使用を制限する。特に臭素化難燃剤は、組成物を燃やした場合に環境問題を引き起こす。
【0004】
公知の商業的に入手可能なガラス繊維強化ハロゲンフリー難燃性ポリアミド材料は、工業的要件のすべてを満たすことができない。例えば、かかる材料はUL−94のV0等級を満たすことができない。米国特許第6365071号には、ホスフィン酸塩又はジホスフィン酸塩を成分Aとして含むと共に、例えばトリアジン系化合物、シアヌレート系化合物、アラントイン系化合物、グリコールウリル系化合物、ベンゾグアナミン系化合物などをはじめとする窒素化合物を成分Bとして含む熱可塑性ポリマー(特にポリエステル)用の相乗的な防炎剤組合せが開示されている。米国特許出願公開第2004/0021135A1号には、少なくともホスフィン酸塩化合物10〜90質量%、1,3,5−トリアジン化合物のポリリン酸塩90〜10質量%、及びオレフィンコポリマー0〜30質量%を含む、熱可塑性樹脂組成物(特にガラス繊維強化ポリアミド組成物)中で使用するためのハロゲンフリー難燃剤組成物が開示されている。
【0005】
良好な機械的性質を保持しながら、良好な難燃性及び優れたアークトラッキング抵抗性を示すハロゲンフリー難燃性ポリアミド組成物に対するニーズが今なお存在している。
【特許文献1】米国特許第6365071号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0021135号明細書
【特許文献3】米国特許第2071250号明細書
【特許文献4】米国特許第2071251号明細書
【特許文献5】米国特許第2130523号明細書
【特許文献6】米国特許第2130948号明細書
【特許文献7】米国特許第2241322号明細書
【特許文献8】米国特許第2312966号明細書
【特許文献9】米国特許第2512606号明細書
【特許文献10】米国特許第4174358号明細書
【特許文献11】米国特許第4474927号明細書
【特許文献12】米国特許第4346194号明細書
【特許文献13】米国特許第4251644号明細書
【特許文献14】米国特許第3884882号明細書
【特許文献15】米国特許第4147740号明細書
【特許文献16】米国特許第3379792号明細書
【特許文献17】米国特許第4315086号明細書
【特許文献18】米国特許第4600741号明細書
【特許文献19】米国特許第4642358号明細書
【特許文献20】米国特許第4826933号明細書
【特許文献21】米国特許第4866114号明細書
【特許文献22】米国特許第4927894号明細書
【特許文献23】米国特許第4980424号明細書
【特許文献24】米国特許第5041504号明細書
【特許文献25】米国特許第5115042号明細書
【特許文献26】米国特許第5780534号明細書
【特許文献27】米国特許第6013707号明細書
【特許文献28】米国特許第3993726号明細書
【特許文献29】米国特許第5213889号明細書
【特許文献30】国際公開第2004/0022640号パンフレット
【特許文献31】欧州特許第1522551号明細書
【特許文献32】欧州特許第1454948号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、良好な難燃性、良好な電気的性能(例えば、アークトラッキング抵抗性)及び良好な機械的性質の組合せを有する繊維強化難燃性ポリアミド組成物に関する。かかる組成物は、ポリアミド約30〜約65重量%、i)ホスフィン酸金属塩又はジホスフィン酸金属塩と、ii)ベンゾグアニン化合物、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのテレフタル酸エステル化合物、アラントイン化合物、グリコールウリル化合物、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート化合物、ジメラミンホスフェート化合物、メラミンピロホスフェート化合物、メレム、メラム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の窒素化合物を含む難燃剤系約3〜約40重量%、及び補強充填材及び非補強無機充填材約30〜約70重量%(ただし、上記の量はすべて成分の合計重量を基準にしたものである。)を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ポリアミド、難燃剤系及び補強充填材を含んでなる本発明の非ハロゲン化組成物は、電気用途のために工業界で要求される優れた特性を示すことが判明した。
【0008】
かかる電気用途では、多くの場合、ポリアミド組成物がクラス1又はクラス0を満たすのに十分なアークトラッキング抵抗性(CTI)を示すと共に、30秒以内の燃焼時間を用いた場合に1.6ミリメートルの厚さ及び960℃の温度でのGWFI(グローワイヤー燃焼性指数)及び/又はUL−94に準拠して厚さ1.6mmでの垂直燃焼試験でV0の燃焼性等級のような良好な難燃性を示すことが要求される。さらに、かかる組成物はISO−527に準拠して70MPa以上の引張強さのような優れた機械的性質も示す。本発明の組成物の一実施形態では、本組成物の補強剤を増加させると、優れた機械的性質及び耐衝撃性を維持しながら変化を受けにくい組成物の電気的性能が得られる。
【0009】
本明細書中で単数形で記載したものは数量の制限を意味するわけではなく、記載したものが1以上存在することを表している。本明細書中に開示したすべての範囲は、両端を含むと共に結合可能である。
【0010】
ポリアミド樹脂は、アミド基(−C(O)NH−)の存在を特徴とする、ナイロンとして知られる樹脂類の総称である。ナイロン−6及びナイロン−6,6が、様々な商業的供給源から入手できる好適なポリアミド樹脂である。しかし、ナイロン−4、ナイロン−4,6、ナイロン−12、ナイロン−6,10、ナイロン−6,9、ナイロン−6,12、ナイロン−9T、ナイロン−6,6とナイロン−6のコポリマー、及びその他のナイロン(例えば、非晶質ナイロン)のような他のポリアミドも有用であり得る。各種ポリアミドの混合物並びに各種のポリアミドコポリマーも有用である。
【0011】
ポリアミドは、米国特許第2071250号、同第2071251号、同第2130523号、同第2130948号、同第2241322号、同第2312966号及び同第2512606号に記載されたもののような多数の公知方法で得ることができる。例えば、ナイロン−6はカプロラクタムの重合生成物である。ナイロン−6,6は、アジピン酸と1,6−ジアミノヘキサンとの縮合生成物である。同様に、ナイロン−4,6はアジピン酸と1,4−ジアミノブタンとの縮合生成物である。アジピン酸のほか、ナイロンの製造のために有用な他の二酸には、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、並びにテレフタル酸及びイソフタル酸などがある。他の有用なジアミンには、とりわけ、m−キシリレンジアミン、ジ−(4−アミノフェニル)メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)プロパンがある。カプロラクタムと二酸及びジアミンとのコポリマーも有用である。
【0012】
本明細書中での「ポリアミド」という用語の使用は、強化ポリアミド又はスーパータフポリアミドを包含するものであることも理解すべきである。例えばE.I.duPont社からZYTEL STの商品名で商業的に入手できるもの、或いは特に米国特許第4174358号、同第4474927号、同第4346194号及び同第4251644号に従って製造されるもの並びに上述のものの1種以上を含む組合せのような、スーパータフポリアミド又は(さらに一般的に知られているような)スーパータフナイロンが使用できる。
【0013】
一般に、これらのスーパータフナイロンは、1種以上のポリアミドを1種以上のエラストマー性ポリマー又はコポリマー強化剤とブレンドすることで製造される。好適な強化剤は、上述の米国特許並びに米国特許第3884882号(Caywood,Jr.)、同第4147740号(Swigerら)及び“Preparation and Reactions of Epoxy−Modified Polyethylene”,J.Appl.Poly.Sci.,V 27,pp.425−437(1982)に開示されている。通例、これらのエラストマー性ポリマー及びコポリマーは、直鎖状のもの又は枝分れしたもの並びにグラフトポリマー及びコポリマー(コアシェル型グラフトコポリマーを含む)であり得ると共に、共重合又は予め生成したポリマー上へのグラフティングにより、ポリアミド母材と相互作用するか又はポリアミド母材に密着してポリアミドポリマーの靭性を高め得る官能性及び/又は活性もしくは高極性の基を有するモノマーが組み込まれていることを特徴とする。
【0014】
一実施形態では、ポリアミドは組成物の総重量を基準にして30〜約65重量%の量で存在する。第二の実施形態では、約30〜約60重量%である。第三の実施形態では、約40〜約55重量%である。
【0015】
一実施形態では、本組成物はポリアミド樹脂と共にポリアリーレンエーテルを含み、ポリアリーレンエーテルとポリアミドとの比が2:1以下である。本明細書中で使用するポリアリーレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンエーテルイオノマー、ポリアリーレンエーテルコポリマー、ポリアリーレンエーテルグレンエーテルとアルケニル芳香族化合物又はビニル芳香族化合物とのブロックコポリマーなど、並びに上述のポリアリーレンエーテルの1種以上を含む組合せを包含する。部分架橋ポリアリーレンエーテル並びに枝分れ及び線状ポリアリーレンエーテルの混合物も、耐熱性組成物中で使用できる。ポリアリーレンエーテルは、下記の式(I)の構造単位を複数含んでいる。
【0016】
【化1】

式中、各構造単位について、各Q及びQは独立にハロゲン、第一もしくは第二低級アルキル(例えば、7以下の炭素原子を含むアルキル)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子とを2以上の炭素原子が隔てているハロ炭化水素オキシなどである。各Qはアルキル又はフェニルであることが望ましい。一実施形態では、アルキル基が1〜4の炭素原子を有し、各Qが水素であることが望ましい。
【0017】
ポリアリーレンエーテルはホモポリマー及びコポリマーであり得る。ホモポリマーは、2,6−ジメチルフェニレンエーテル単位を含むものである。適当なコポリマーには、例えば上記単位を2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と共に含むランダムコポリマー、又は別法として2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合で得られるコポリマーがある。また、ビニルモノマー又はポリスチレンのようなポリマーをグラフト化して得られる部分を含むポリアリーレンエーテル、及び低分子量ポリカーボネート、キノン類、複素環式化合物及びホルマール類のようなカップリング剤を2本のポリアリーレンエーテル鎖のヒドロキシ基と反応させてさらに高分子量のポリマーとしたカップルドポリアリーレンエーテルも包含される。好適なポリアリーレンエーテルにはさらに、上記のホモポリマー又はコポリマーの1種以上を含む組合せも包含される。
【0018】
本組成物がポリアミド及びポリ(アリーレンエーテル)を含む場合、本組成物はさらに、ポリ(アリーレンエーテル)−ポリアミド樹脂ブレンドの物理的性質を向上させると共に、一層高い比率のポリアミド成分の使用を可能にするために相溶化剤を任意に含み得る。本明細書中で使用する「相溶化剤」という用語は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリアミド又は好ましくはその両方と相互作用する多官能性化合物をいう。この相互作用は、化学的なもの(例えば、グラフティング)又は物理的なもの(例えば、分散相の表面特性の変化)であり得る。いずれの場合にも、得られるポリ(アリーレンエーテル)−ポリアミド組成物は、特に向上した衝撃強さ、成形ニットライン強さ及び/又は伸びで証明されるように、向上した相溶性を示すように思われる。本明細書中で使用する「相溶化ポリ(アリーレンエーテル)−ポリアミド基礎樹脂」という用語は、上述のような薬剤を用いて物理的又は化学的に相溶化された組成物、並びに例えば米国特許第3379792号に教示されているようにかかる薬剤なしで物理的に相溶化し得る組成物をいう。
【0019】
好適な相溶化剤には、例えば、液状ジエンポリマー、エポキシ化合物、酸化ポリオレフィンワックス、キノン類、オルガノシラン化合物、多官能性化合物、及び前述の相溶化剤の1種以上をポリフェニレンエーテルと反応させて得られる官能化ポリフェニレンエーテルがある。
【0020】
上記その他の相溶化剤は、米国特許第4315086号、同第4600741号、同第4642358号、同第4826933号、同第4866114号、同第4927894号、同第4980424号、同第5041504号及び同第5115042号に一層詳しく記載されている。上述の相溶化剤は、単独で又は互いに様々に組み合わせて使用できる。さらに、これらは溶融ブレンドに直接添加でき、或いはポリフェニレンエーテル及びポリアミドの一方又は両方並びに本発明の組成物の製造に際して使用される他の樹脂材料と予備反応させることができる。
【0021】
本発明の組成物の製造に際して相溶化剤を使用する場合、初期使用量は選択された特定の相溶化剤及びそれを添加する特定のポリマー系に依存する。一般に、存在する場合、相溶化剤は組成物の総重量を基準にして約0.01〜約25重量%、さらに具体的には約0.4〜約10重量%、さらに具体的には約1〜約3重量%の量で存在し得る。
【0022】
本組成物はさらに難燃剤系を含んでいて、この難燃剤系はホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩を含んでいる。好適なホスフィン酸塩及びホスフィン酸塩は、例えば、a)下記の式(I)のホスフィン酸塩、下記の式(II)のジホスフィン酸、上述のもののポリマー、又はこれらの組合せと、
【0023】
【化2】

(式中、R及びRは各々独立に水素、線状もしくは枝分れC〜Cアルキル基、又はアリール基であり、Rは線状もしくは枝分れC〜C10アルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基であり、Mはカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム又は亜鉛であり、mは2又は3であり、nは1又は3であり、xは1又は2である。)
b)ベンゾグアニン化合物、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのテレフタル酸エステル化合物、アラントイン化合物、グリコールウリル化合物、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート化合物、ジメラミンホスフェート化合物、メラミンピロホスフェート化合物、メレム、メラム、アンメリン、アンメリド及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の窒素化合物とを含んでいる。
【0024】
本明細書中で使用する「ホスフィン酸塩」とは、ホスフィン酸及びジホスフィン酸の塩並びにこれらのポリマーを包含する。ホスフィン酸塩の成分としての例示的なホスフィン酸には、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸及びジフェニルホスフィン酸がある。本発明のホスフィン酸の塩は、米国特許第5780534号及び同第6013707号に記載された公知方法で製造できる。
【0025】
好適な窒素化合物には、下記の式(III)〜(VIII)の化合物又はこれらの組合せがある。
【0026】
【化3】

式中、R、R及びRは独立に水素、ヒドロキシ、アミノ又はモノ−もしくはジ−C〜Cアルキルアミノ、或いはC〜Cアルキル、C〜C16シクロアルキル又はアルキルシクロアルキル(各々、ヒドロキシル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、アシル、アシルオキシ、C〜C12アリール、−OR又は−N(R)Rで置換されていてもよい。)、或いはN−脂環式基又はN−芳香族基(N−脂環式基はピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピペラジンなどの環状含窒素化合物を意味し、N−芳香族基はピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラジンなどの含窒素ヘテロ芳香環化合物を意味する。)であり、R、R、R、R10及びR11は独立に水素、C〜Cアルキル、C〜C16シクロアルキル又はアルキル(シクロアルキル)(各々、ヒドロキシル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、アシル、アシルオキシ、C〜C12アリール又は−ORで置換されていてもよい。)であり、Xはリン酸又はピロリン酸であり、qは1、2、3又は4であり、bは1、2、3又は4である。
【0027】
本組成物はさらに耐衝撃性改良剤を含んでいてもよい。例示的な耐衝撃性改良剤には、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBS)、スチレン−(エチレン−ブテン)−スチレン(SEBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、スチレン−無水マレイン酸(SMA)コポリマー、アルキルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル(AMSAN)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、上述の耐衝撃性改良剤の1種以上を含む組合せなどを含むスチレンブロックコポリマーがある。他の好適な耐衝撃性改良剤には、スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレン(SEPS)、スチレン−(エチレン−ブテン)(SEB)、スチレン−(エチレン−プロピレン)(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−イソプレン、スチレン−ブタジエン、α−メチルスチレン−イソプレン−α−メチルスチレン、α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレン、並びにこれらの水素化誘導体がある。スチレンブロックコポリマーは、線状又は放射状のものであり得ると共に、ジブロック型又はトリブロック型のものであり得る。さらに他の耐衝撃性改良剤には、熱可塑性エラストマー(TPE)がある。
【0028】
組成物中に存在する耐衝撃性改良剤の量は、組成物の総重量を基準にして約15重量%までであり得る。一実施形態では、約3〜約10重量%である。別の実施形態では、約3〜約7重量%である。
【0029】
本組成物はさらに、繊維状充填材をはじめとする補強充填材を含む。繊維状充填材は、ポリマー樹脂中に使用されると共に、1を超えるアスペクト比を有する任意の常用充填材であり得る。かかる充填材は、ホイスカー、針、棒、チューブ、ストランド、細長い小板、層状小板、楕円体、微小繊維、ナノ繊維やナノチューブ、細長いフラーレンなどの形態で存在し得る。かかる充填材が凝集体として存在する場合、1を超えるアスペクト比を有する凝集体も繊維状充填材として十分である。
【0030】
好適な繊維状充填材には、例えば、補強充填材として使用できるEガラス、Aガラス、Cガラス、ECRガラス、Rガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス及び石英などのガラス繊維がある。他の好適な無機繊維状充填材には、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び硫酸カルシウム半水塩の1種以上を含むブレンドから導かれるものがある。繊維状充填材にはまた、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケル又は銅を含む単結晶繊維又は「ホイスカー」も含まれる。他の好適な無機繊維状充填材には、炭素繊維、ステンレス鋼繊維、金属被覆繊維などがある。
【0031】
加えて、繊維を形成し得る有機ポリマーをはじめとする有機補強繊維状充填材も使用できる。かかる有機繊維状充填材の実例には、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル、アラミドをはじめとする芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド又はポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂及びポリ(ビニルアルコール)がある。かかる補強充填材はモノフィラメント又はマルチフィラメント繊維の形態で供給し得ると共に、単独で又は他種の繊維と組み合わせて使用できる。後者の場合には、例えば、共織りにより、コア/シース構造、サイド・バイ・サイド構造、オレンジ型構造又はマトリックス・フィブリル構造より、或いは繊維製造分野の当業者にとって公知の他の方法により、他種の繊維と組み合わせて使用できる。
【0032】
本組成物はさらに、補強充填材に加えて無機充填材を含んでいてもよい。かかる無機充填材には、低アスペクト比無機充填材がある。当技術分野で公知のかかる添加剤の例には、“Plastic Additives Handbook,4th Edition”,R.Gachter and H.Muller(eds.),P.P.Klemchuck(assoc.ed.),Hansen Publishers,New York,1993に記載されたものが含まれる。
【0033】
低アスペクト比充填材の非限定的な例には、溶融シリカや結晶性シリカや天然ケイ砂や各種のシラン被覆シリカのようなシリカ粉末、窒化ホウ素粉末やケイ酸ホウ素粉末、アルカリ土類金属塩、アルミナや酸化マグネシウム(又はマグネシア)、ウォラストナイト(表面処理ウォラストナイトを含む)、硫酸カルシウム(例えば、その無水物、二水塩又は三水塩)、炭酸カルシウム、他の炭酸金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸ベリリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム及び炭酸ラジウム)、タルク、ガラス粉末、ガラス−セラミック粉末、焼成クレーを含むクレー(例えば、硬質カオリンや軟質カオリンや焼成カオリンを含むカオリン)、雲母、長石及びカスミ石閃長岩、オルトケイ酸の塩又はエステル及びその縮合生成物、ケイ酸塩、ゼオライト、石英、ケイ石、パーライト、けいそう土、炭化ケイ素、硫化亜鉛、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、リン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、亜鉄酸バリウム、硫酸バリウム及び重晶石、粒子状のアルミニウム、青銅、亜鉛、銅及びニッケル、カーボンブラック(導電性カーボンブラックを含む)、ガラスフレークやフレーク状炭化ケイ素や二ホウ化アルミニウムやアルミニウムフレークや鋼フレークのようなフレーク状充填材、などがある。
【0034】
組成物中に存在する充填材の総量は、組成物の総重量を基準にして約30〜約60重量%、さらに具体的には約35〜約55重量%、さらに一段と具体的には約40〜約50重量%であり得る。一実施形態では、補強充填材と非補強無機鉱物充填材との比は1を超え、特別には約1.2を超え、さらに特別には約1.5を超える。
【0035】
本組成物はさらに、当技術分野で公知の他の添加剤を含んでいてもよい。好適な添加剤には、耐摩耗添加剤、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン(MoS)、黒鉛、上述の耐摩耗添加剤の1種以上を含む組合せ、などがある。
【0036】
必要に応じ、樹脂の混合又は成形に際し、すべての樹脂組成物に他の常用添加剤を物理的性質、難燃性及び/又は電気的性質にいかなる有害な効果も及ぼさない量で添加することができる。例えば、着色剤(顔料又は染料)、耐熱剤、酸化防止剤、有機繊維状充填材、耐候剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤及び流動性向上剤などが添加できる。
【0037】
本発明が上述の組成物の反応生成物を包含することは自明なはずである。
【0038】
本組成物の製造は、緊密なブレンドの形成のための条件下で成分をブレンドすることで達成できる。すべての成分を最初から加工装置に添加することができるが、或いは特定の添加剤をポリアミドと予備配合することもできる。ブレンドは、一軸又は二軸押出機、或いは成分に剪断作用を及ぼすことができる類似の混合装置内で混合することで形成できる。別の実施形態では、射出成形機で長い繊維をマスターバッチ中にブレンドすることができる。
【0039】
一実施形態では、ブレンドの加工に際して別々の押出機が使用される。別の実施形態では、組成物は、各種成分の添加を可能にする複数の供給口を長さ方向に沿って有する単一の押出機を用いて製造される。押出機の1以上のガス抜き口を通して溶融物に真空を作用させることで、組成物中の揮発性不純物を除去できる。
【0040】
一実施形態では、最初にポリアミド樹脂をヘンシェル高速ミキサー内で難燃剤系及び補強充填材(例えば、チョップトガラスストランド)とブレンドする。このブレンディングは、特に限定されないが、手混合をはじめとする他の低剪断法でも達成できる。次いで、ホッパーを介してブレンドを二軸押出機のスロートに供給する。別法として、非細断ストランドを押出機に直接供給することでガラス繊維を組成物中に配合できる。押出機バレル内でガラスストランドに加わる剪断作用の結果として、分散したガラス繊維は長さが減少する。
【0041】
別の実施形態では、補強充填材(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミドなど)はポリアミド及び難燃剤系とブレンドされず、引抜成形として知られる方法で難燃性ポリアミド組成物中に配合される。この方法は、多数の参考文献(例えば、米国特許第3993726号及び同第5213889号)に記載されている。引抜成形法では、溶融ポリマー浴を通して繊維のトウ又はロービングを引抜くことで繊維を含浸させる。含浸した繊維製品は、製品を合体させるための手段(例えば、サイジングダイ)を通して引き抜くことができる。一実施形態では、以後に連続製品を必要とする加工方法で使用するため、含浸製品をロール上に巻き取ることができる。さらに別の実施形態では、本発明の組成物を含浸させた繊維を細断することで、2mm〜100mmの長さを有する整列繊維を含むペレット又はグラニュールを得ることができる。これらは、物品を形成するための通常の成形法又は押出法で使用できる。
【0042】
本発明の組成物は、フィルム及びシート押出し、射出成形、ガス支援射出成形、押出成形、圧縮成形並びにブロー成形のような通常の熱可塑的方法を用いて物品に加工できる。フィルム及びシート押出法は、特に限定されないが、メルトキャスティング、吹込フィルム押出し及びカレンダリングを含んでいてもよい。共押出法及びラミネーション法を用いることで、複合多層フィルム又はシートを形成できる。耐擦過性、耐紫外線性、美的外観などの追加の性質を付与するため、単層又は多層基体に単一又は複数のコーティング層をさらに施工することもできる。コーティングは、ロール塗り、吹付け、浸し塗り、はけ塗り又は流し塗りのような標準的な塗布技術で施工できる。本発明のフィルム及びシートは、別法として、適当な溶媒中での本組成物の溶液又は懸濁液を基体、ベルト又はロール上に流延し、次いで溶媒を除去することでも製造できる。別の実施形態では、本組成物は、例えば耐久性物品、構造製品、及び電気部品や電子部品などの成形物品を製造するために使用される。
【0043】
一実施形態では、本組成物は、1.6ミリメートル(mm)の試験片に形成した場合、UL−94に準拠してV2以上、さらに具体的にはV1以上、さらに一段と具体的にはV0以上の燃焼性等級を示す。
【0044】
さらに別の実施形態では、本組成物は、4.0mmの厚さ及び最小60.0mmの直径を有する試験片を使用しながら国際電気標準会議(IEC)規格IEC−60112/3rdに準拠して測定した場合、約400ボルトを超え、具体的には約500ボルトを超え、さらに一段と具体的には約550ボルトを超え、なお一層具体的には約600ボルトを超える比較トラッキング指数(CTI)を示す。
【0045】
本明細書中に記載した組成物は、IEC−60695−2−12に準拠して測定した場合、約2.0mm以上の試験片厚さで960℃のグローワイヤー燃焼性指数(GWFI)を示すことが判明した。
【0046】
さらに別の実施形態では、本明細書中に記載した組成物は、4.0ミリメートルの厚さを有する試験片に形成した場合、ISO規格527/1で測定して約9.5ギガパスカル(GPa)以上、さらに具体的には約10.5GPa以上の引張弾性率を示すと共に、約70メガパスカル(MPa)以上、さらに具体的には約100MPa以上、さらに一段と具体的には約125MPa以上の引張強さを示す。本組成物を引抜成形法で製造する一実施形態では、4.0ミリメートルの厚さを有する試験片は、約11ギガパスカル(GPa)以上、さらに具体的には約12GPa以上、さらに一段と具体的には14GPa以上の引張弾性率を示す。
【0047】
本発明の方法で製造される組成物及びかかる組成物から製造される物品も本発明の技術的範囲内にあることは自明なはずである。すべての引用された特許、特許出願及び他の参考文献の開示内容は、援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【実施例】
【0048】
以下の非限定的な実施例で本発明をさらに例証する。
【0049】
以下の実施例に関する配合物は、下記の表1に示す成分から調製した。
【0050】
【表1】


中程度のスクリューシビアリティをもったスクリューデザインを使用する共転型二軸押出機(Werner & Pfleiderer、ZSK40タイプ)内において、270〜300℃の溶融温度及び毎時45〜100キログラムの速度で成分を配合した。次いで、実験室サイズの機械から商用サイズの機械にまでわたる典型的な射出成形機を用いて、得られた樹脂混合物を試験片に成形した。溶融温度は約270〜300℃であり、金型温度は約50〜120℃であった。次いで、下記の試験法で成形試験片を試験した。
【0051】
燃焼性試験は、直立状態に配置された0.8mm及び1.6mmの試験片に関し、“Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances,UL94”と題するUnderwriters Laboratories Inc.,Bulletin 94の方法に準拠して実施した。この方法に従い、試験結果に基づいて材料をV0、V1又はV2として等級づけした。
【0052】
引張弾性率及び引張強さは、4.0mmの厚さを有する試験片を使用しながらISO規格527/1によって測定した。引張弾性率の値はギガパスカル(GPa)単位で示し、引張強さの値はメガパスカル(MPa)単位で示す。
【0053】
ノッチ付きアイゾット衝撃強さはISO 180−1Aに準拠して測定し、結果はキロジュール/平方メートル(KJ/m)単位で示す。
【0054】
比較トラッキング指数(CTI)は、4.0mmの厚さ及び最小60.0mmの直径を有する試験片を使用しながら国際電気標準会議(IEC)規格IEC−60112/3rdに準拠して測定した。400〜599ボルトのトラッキング指数はクラス1に相当し、600ボルト以上はクラス0に相当する。
【0055】
グローワイヤー燃焼性指数(GWFI)は、1.0〜1.6mmの厚さ及び60.0×60.0mmの寸法を有する試験片を使用しながらIEC−60695−2−12に準拠して測定した。
【0056】
表2は、公知難燃剤であるメラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、又は臭素化ポリスチレンと三酸化アンチモンを含むが、ホスフィン酸塩を含まないガラス繊維充填ポリアミド組成物の成績を示している。n.c.は等級づけされなかったことを表す。
【0057】
【表2】


表2に例示される通り、比較例(CE)1及び2は、ハロゲン化ガラス繊維強化ポリアミド組成物がCTIの要件(最小450ボルト)を満たさなかったことを示している。比較例3〜5は、メラミンシアヌレートを含むガラス繊維強化ポリアミド組成物がUL94のV0等級を満たさなかったことを示している。最後に、メラミンホスフェートを含むガラス繊維強化ポリアミド組成物に関する比較例6〜8は、劣ったCTI性能を示した。
【0058】
表3は、公知難燃剤であるメラミンシアヌレート又はレゾルシノールビスジフェニルホフェートを含むが、ホスフィン酸塩を含まないガラス繊維充填ポリアミド組成物の成績を示している。
【0059】
【表3】


表3に例示される通り、有機リン化合物に基づく比較例9〜11はUL94のV0等級を満たさなかった。比較例13〜16は、様々なガラス繊維配合量の下でメラミンシアヌレートを含む組成物もUL94のV0等級を満たさなかったことを示している。
【0060】
表4は、ホスフィン酸金属塩又はジホスフィン酸金属塩と窒素化合物との難燃剤系(成分A)を含む実施例17〜25の組成物を例示している。
【0061】
【表4】


表4中では、実施例17〜20は、ガラス繊維配合量を増加させた場合、電気的性能及び燃焼性性能を損なうことなしに機械的性質の増加を示している。実施例21〜25は、25%のガラス繊維の存在下で17.5%の難燃剤系を使用すれば、引張弾性率及び引張強さに関する優れた機械的性質を保持しながら、UL94(V0)、CTI(最小450ボルト)及びGWFI(合格)に関する工業的要件を満たす組成物が得られることを示している。
【0062】
【表5】


表5中では、実施例25〜30は様々な配合方法で製造した材料の比較を示している。実施例26は、通常の共転型二軸押出法を用いて配合した基準材料である。実施例27〜30は、引抜成形法を用いて配合した。実施例27及び29は難燃剤を含まないのに対し、実施例28及び30は難燃剤組成物を含んでいる。実施例27〜30は、引抜成形法を用いて製造した本発明の組成物が格段の機械的性質を有することを示している。さらに、引抜成形法で製造した結果として長ガラス繊維の連続分布を有すると共に、成形品中で母材として作用する実施例28及び30は、3.0mmで775℃のGWIT(実施例28及び30)のような工業的要件を満たし又は超える燃焼性及び電気的性能を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド30〜65重量%、
i)ホスフィン酸金属塩又はジホスフィン酸金属塩と、
ii)ベンゾグアニン化合物、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのテレフタル酸エステル化合物、アラントイン化合物、グリコールウリル化合物、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート化合物、ジメラミンホスフェート化合物、メラミンピロホスフェート化合物、メレム、メラム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の窒素化合物と
を含む難燃剤系3〜40重量%、及び
補強充填材及び非補強無機充填材30〜70重量%
(ただし、上記の量はすべて成分の合計重量を基準にしたものである。)を含んでなる難燃性ポリアミド組成物。
【請求項2】
ホスフィン酸金属塩が下記の式(I)を有し、ジホスフィン酸金属塩が下記の式(II)を有する、請求項1記載の組成物。
【化1】

(式中、R及びRは各々独立に水素、線状もしくは枝分れC〜Cアルキル基、又はアリール基であり、Rは線状もしくは枝分れC〜C10アルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基であり、Mはカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム又は亜鉛であり、mは1、2又は3であり、nは1又は3であり、xは1又は2である。)
【請求項3】
窒素化合物が、下記の式(III)〜(VIII)の化合物又はこれらの組合せからなる、請求項1記載の組成物。
【化2】

(式中、R、R及びRは独立に水素、ヒドロキシ、アミノ又はモノ−もしくはジ−C〜Cアルキルアミノ、或いはC〜Cアルキル、C〜C16シクロアルキル又はアルキルシクロアルキル(各々、ヒドロキシル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、アシル、アシルオキシ、C〜C12アリール、−OR又は−N(R)Rで置換されていてもよい。)、或いはN−脂環式基又はN−芳香族基(N−脂環式基はピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピペラジンなどの環状含窒素化合物を意味し、N−芳香族基はピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラジンなどの含窒素ヘテロ芳香環化合物を意味する。)であり、R、R、R、R10及びR11は独立に水素、C〜Cアルキル、C〜C16シクロアルキル又はアルキルシクロアルキル(各々、ヒドロキシル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、アシル、アシルオキシ、C〜C12アリール又は−O−Rで置換されていてもよい。)であり、Xはリン酸又はピロリン酸であり、qは1、2、3又は4であり、bは1、2、3又は4である。)
【請求項4】
ポリアミドが、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−4、ナイロン−4,6、ナイロン−12、ナイロン−6,10、ナイロン−6,9、ナイロン−6,12、ナイロン−9T、ナイロン−6,6とナイロン−6のコポリマー、ポリアミドコポリマー、ポリアミドブレンド及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
補強充填材と非補強無機充填材との比が1より大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
補強充填材がガラス繊維である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
非補強無機充填材が、焼成クレー、タルク、ウォラストナイト、硫酸バリウム、雲母、チタン酸バリウム、オルトケイ酸の塩又はエステル、ケイ酸塩、ゼオライト、シリカ、ガラス粉末、ガラス−セラミック粉末、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸金属塩及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
さらに、約20重量%以下の耐衝撃性改良剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
さらに、組成物の総重量を基準にして約20重量%以下の耐摩耗添加剤を含み、耐摩耗添加剤がポリテトラフルオロエチレン、二硫化モリブデン、黒鉛、アラミド、炭素繊維、炭素粉末及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
当該組成物がUL−94に準拠して1.6ミリメートルの厚さでV0の等級を示す、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
当該組成物がIEC−60695−2−12に準拠して測定して約1.6ミリメートルの厚さで960℃以上のグローワイヤー燃焼性指数を示す、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
当該組成物が国際電気標準会議規格IEC−60112−3rdに準拠して測定して約400Vを超える比較トラッキング指数を示す、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
ナイロン−6、ナイロン−6,6又はこれらの組合せ約30〜約65重量%、
i)下記の式(I)のホスフィン酸金属塩又は下記の式(II)のジホスフィン酸金属塩と、
【化3】

(式中、R及びRは各々独立に水素、線状もしくは枝分れC〜Cアルキル基、又はアリール基であり、Rは線状もしくは枝分れC〜C10アルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基であり、Mはカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム又は亜鉛であり、mは1、2又は3であり、nは1又は3であり、xは1又は2である。)
ii)ベンゾグアニン化合物、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのテレフタル酸エステル化合物、アラントイン化合物、グリコールウリル化合物、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート化合物、ジメラミンホスフェート化合物、メラミンピロホスフェート化合物、メレム、メラム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の窒素化合物と
を含む難燃剤系約3〜約40重量%、及び
ガラス繊維と、焼成クレー、タルク、ウォラストナイト、硫酸バリウム、雲母、チタン酸バリウム、オルトケイ酸の塩又はエステル、ケイ酸塩、ゼオライト、シリカ、ガラス粉末、ガラス−セラミック粉末、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸金属塩及びこれらの組合せからなる群から選択される非補強無機充填材約30〜約60重量%
(ただし、上記の量はすべて成分の合計重量を基準にしたものである。)を含んでなる難燃性ポリアミド組成物。
【請求項14】
さらにポリアリーレンエーテルを含み、ポリアリーレンエーテルとポリアミドとの比が2:1以下である、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
さらにポリアリーレンエーテルを含み、ポリアリーレンエーテルとポリアミドとの比が2:1以下である、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
請求項1記載の組成物を含んでなる物品。
【請求項17】
請求項13記載の組成物を含んでなる物品。
【請求項18】
a)ポリアミド約30〜約65重量%、i)ホスフィン酸金属塩又はジホスフィン酸金属塩と、ii)ベンゾグアニン化合物、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのテレフタル酸エステル化合物、アラントイン化合物、グリコールウリル化合物、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート化合物、ジメラミンホスフェート化合物、メラミンピロホスフェート化合物、メレム、メラム及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の窒素化合物とを含む難燃剤系約3〜約40重量%とのポリマーブレンド、及び
b)補強繊維約30〜70重量%
を含んでなる組成物であって、補強繊維が連続溶融引抜成形プロセス中にポリマーブレンドで濡れることで当該組成物からなる試験片に11GPa以上の引張弾性率強さが付与される組成物。
【請求項19】
請求項16記載の組成物を溶融均質化し、溶融生成物を押出し、押出物を細断してペレットとすることによって得られるペレット。
【請求項20】
請求項18記載の組成物を含んでなる物品。

【公表番号】特表2007−536402(P2007−536402A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511440(P2007−511440)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/014727
【国際公開番号】WO2005/116139
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】