説明

電気的監視システムとともに使用する変流器組立体および同組立体を組み立てる方法

【課題】電気的監視システムとともに使用する変流器組立体および同組立体を組み立てる方法を提供する。
【解決手段】電気的監視システム10で使用される変流器組立体16に、その中に空洞を少なくとも部分的に画定する複数のシールド部材を含んでいる容器が含まれる。容器は、開口を画定する内面をさらに含み、開口は内面を通って延在する。容器の中に第1の変流器32が配置される。容器の中に第2の変流器34が配置され、第2の変流器は、第1の変流器と第2の変流器の間の電子的雑音の干渉の低減を助長するために、ある距離だけ第1の変流器から離隔される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される内容は、一般に監視システムに関し、より具体的には電気的監視システムとともに使用する変流器組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知の電気的監視システムは、大きな1次電流を、容易に測定可能なより小さな2次電流へと倍率変更するように構成された変流器を含む。既知の監視システムは、電動機に流れる電流を測定して、故障が起こってしまった後の破滅的な損傷から電動機を保護する。一般に、既知の変流器は、電動機に結合された導体を通って流れる電流を感知して、感知された電流が、所定の電流より大きいかどうか判断する。既知の電気的監視システムの動作中に、監視システムは、所定の電流より大きい電流が感知されたとき、電動機および/または導体への損傷が起こってしまった後に、電動機を電源から選択的に切り離す動作をする。少なくともいくつかの既知の電動機は、電気的絶縁を有する固定子巻線を含む。既知の電動機の動作中に、固定子巻線の絶縁が、損耗および/または損傷を受ける可能性がある。時間が経つにつれて、電動機の継続的動作により、電動機が損傷を受ける可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7969271号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、電気的監視システムとともに使用する変流器組立体および同組立体を組み立てる方法を提供することである。
【0005】
一実施形態では、電気的監視システムで使用する変流器組立体が提供される。この変流器組立体は、その中に空洞を少なくとも部分的に画定する複数のシールド部材を含んでいる容器を含む。この容器は、開口を画定する内面をさらに含み、同開口は内面を通って延在する。この容器の中に第1の変流器が配置される。この容器の中に第2の変流器が配置され、第1の変流器との間の電子的雑音の干渉の低減を助長するために、ある距離だけ第1の変流器から離隔される。
【0006】
別の実施形態では、電動機の動作を監視するのに使用する電気的監視システムが提供される。この電気的監視システムは、電流監視デバイスと、電動機に結合された変流器組立体とを含む。この変流器は、電動機に導かれた電流を感知して、感知された電流を示す信号を電流監視デバイスへ伝送するように構成される。この変流器組立体には、その中に空洞を少なくとも部分的に画定する複数のシールド部材を含んでいる容器が含まれる。この容器は、開口を画定する内面をさらに含み、同開口は内面を通って延在する。この容器の中に第1の変流器が配置される。この容器の中に第2の変流器が配置され、第1の変流器との間の電子的雑音の干渉の低減を助長するために、ある距離だけ第1の変流器から離隔される。
【0007】
さらに別の実施形態では、変流器組立体を組み立てる方法が提供される。この方法は、外側シールド部材を内側シールド部材に結合して容器を形成するステップを含む。外側シールド部材は、内側シールド部材と外側シールド部材の間に空洞が画定されるように、内側シールド部材から半径方向の外側に結合される。この容器の空洞の中に第1の変流器が結合される。この容器の空洞の中に第2の変流器が結合され、第2の変流器は、第1の変流器との間の電子的雑音の干渉を低減するために、ある距離だけ第1の変流器から離隔される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的変流器組立体を含んでいる例示の電気的監視システムのブロック図である。
【図2】図1に示された変流器組立体の斜視図である。
【図3】図2に示された変流器組立体の、線3−3に沿って得られた断面図である。
【図4】図2に示された変流器組立体の分解斜視図である。
【図5】図2に示された変流器組立体とともに使用され得る保護変流器の概略図である。
【図6】図2に示された変流器組立体とともに使用され得る高感度変流器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で説明される例示の方法およびシステムは、電動機内の固定子巻線の絶縁の作用状態を監視する高感度変流器を含んでいる変流器組立体を提供することにより、既知の監視デバイスの少なくともいくつかの短所を克服する。そのうえ、本明細書で説明される変流器組立体は、保護変流器および高感度変流器を密封する容器を含む。この容器は、保護変流器と高感度変流器の間で生成される電気的雑音の干渉量の低減を助長し、変流器を損傷から保護する。単一容器の内部に配置された保護変流器および高感度変流器を含んでいる変流器組立体を提供することにより、既知の監視デバイスと比較して、電動機内の固定子巻線の絶縁監視に使用する監視デバイスの製造コストが低減される。
【0010】
図1は、電動機システム12の動作を監視するための例示の電気的監視システム10のブロック図である。この例示的実施形態では、電気的監視システム10は、電流監視デバイス14と、電流監視デバイス14に結合された変流器組立体16とを含む。電動機システム12は、電力会社の送電網などの電源20に結合されている回転電動機18を含む。電動機18は、複数の固定子巻線(図示せず)を含み、1つまたは複数の導体22を介して電源20に結合されている。この例示的実施形態では、電動機18は、第1の導体24および第2の導体26を含む。導体24および26は、電動機18と電源20の間で、実質的に類似の電流を反対方向に導く。そのうえ、この例示的実施形態では、第1の導体24が、第1の電流28を矢印29によって表された第1の方向に搬送し、第2の導体26が、第2の電流30を矢印31によって表された第2の方向に搬送し、第2の電流30は、第1の電流28とほぼ等しく、第2の方向31は、第1の方向29に対して反対である。
【0011】
電気的監視システム10が、電動機システム12に結合されて、電動機18の固定子巻線の絶縁状態を監視する。そのうえ、電気的監視システム10により、電動機18の動作中に電動機18の固定子巻線の絶縁を監視することができる。この例示的実施形態では、第1の導体24および第2の導体26の漏れ電流を感知して、感知された漏れ電流を示す信号を電流監視デバイス14に伝送することができるように、導体24および26に対して変流器組立体16が電気的に結合される。監視デバイス14は、受け取った信号に少なくとも部分的に基づいて、固定子巻線の絶縁状態を判断する。
【0012】
この例示的実施形態では、変流器組立体16は、第1の変流器すなわち保護変流器32と、第2の変流器すなわち高感度変流器34とを含む。この例示的実施形態では、保護変流器32は、第1の開回路利得および第1の信号対雑音(S/N)比で動作し、高感度変流器34は、保護変流器32の第1の開回路利得および第1のS/N比より高い、第2の開回路利得および第2のS/N比で動作する。例えば、一実施形態では、保護変流器34は約0.1mV/mAの開回路利得を有し、高感度変流器32は約20mV/mAの開回路利得を有する。さらに、高感度変流器32は、保護変流器34のS/N比より約60dB高いS/N比を含み得る。
【0013】
この例示的実施形態では、保護変流器32および高感度変流器32は、それぞれ第1の導体24と第2の導体26の間の差動電流を感知して、それぞれが、感知された差動電流を表す信号を監視デバイス14に伝送する。この例示的実施形態では、高感度変流器32は、電流レベルの第1の範囲内にある差動電流を感知する。保護変流器34は、高感度変流器32の電流レベルの第1の範囲より大きい、電流レベルの第2の範囲内にある差動電流を感知する。
【0014】
電流監視デバイス14は、プロセッサ36およびメモリデバイス38を含む。プロセッサ36は、変流器組立体16と通信結合され、1つまたは複数のシステムおよびマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック回路(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および本明細書で説明される機能を実行することができる他の回路を含み得る任意の適切なプログラマブル回路を含む。上記の実例は単なる例示であり、したがって、用語「プロセッサ」の定義および/または意味を限定するようには少しも意図されていない。メモリデバイス38は、限定されることなく、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、ディスケット、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ならびに/あるいはプロセッサ36が命令および/またはデータを記憶し、取得し、かつ/または実行することを可能にする任意の適切なデバイスなどのコンピュータ読取り可能媒体を含む。
【0015】
この例示的実施形態では、電流監視デバイス14は、それぞれプロセッサ36に結合された保護モジュール40および診断モジュール42を含む。診断モジュール42は、高感度変流器34と通信結合されて、高感度変流器34から、導体24と導体26の間の、電流レベルの第1の範囲内にある電流差を表す監視信号を受け取る。診断モジュール42は、所定の期間に関して複数の時間ベースの差動電流値を計算して、差動電流のトレンド値を長時間にわたって計算する。診断モジュール42は、差動電流のトレンド値を計算することにより、電動機システム12内の電流漏れのより低い差動電流レベルでの検出を可能にし、電流漏れの増加を長時間にわたって監視することを可能にする。保護モジュール40は、保護変流器32から、電流レベルの第2の範囲内にある、導体24と導体26の間の電流差を表す監視信号を受け取るように、保護変流器32と通信結合される。また、保護モジュール40は、感知された電流差が、電流レベルの第2の範囲内にある所定の電流差の許容限度以上であると、電動機18の固定子巻線の絶縁状態が所定の状態より劣ると判断することになる。
【0016】
監視デバイス14は、ユーザに対する通知を表示するためのディスプレイ44も含む。ディスプレイ44は、プロセッサ36に結合され、真空蛍光ランプディスプレイ(VFD)および/または1つもしくは複数の発光ダイオード(LED)を含んでよい。それに加えて、またはその代わりに、ディスプレイ44は、限定されることなく、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイ、ならびに/あるいは画像データおよび/またはテキストをユーザに表示することができる任意の適切な視覚出力デバイスを含んでよい。例示的実施形態では、ユーザに対して、電動機18の状態、固定子巻線の絶縁状態、および/またはその他の情報がディスプレイ44上に表示されてよい。この例示的実施形態では、監視デバイス14は、電流レベルの第1の範囲内で差動電流の許容限度を検出すると、ユーザに対して第1の通知信号を表示し、感知された差動電流の増加を表す信号を長時間にわたって表示する。そのうえ、監視デバイス14は、電流レベルの第2の範囲内で差動電流の許容限度を検出すると、ユーザに対して第2の通知信号を表示する。また、監視デバイス14は、固定子巻線の絶縁状態が所定の状態より劣ると判断すると、第3の通知信号を表示する。
【0017】
図2は、変流器組立体16の斜視図である。図3は、線3−3に沿って得られた変流器組立体16の断面図である。図4は、変流器組立体16の分解斜視図である。図2〜図4に示されている同一の構成要素には、図1のものと同一の参照番号が付いている。この例示的実施形態では、変流器組立体16には、保護変流器32および高感度変流器34を収納するようにサイズ設定された空洞50を、互いに結合されて画定する複数のシールド部材48を含んでいる容器46が含まれる。この例示的実施形態では、各シールド部材48は、容器46から変流器32および34に伝わる電気的干渉の量の低減を助長するために、テープを巻いた複数のケイ素鋼層(図示せず)を含む。あるいは、シールド部材48は、容器46が本明細書で説明されるように機能することを可能にするために、任意の適切な材料も含んでよい。
【0018】
容器46は、半径方向の内面52と半径方向の外面54の間を半径方向に延在し、また、前面56と、反対側の後面58との間を軸方向に延在する。半径方向の内面52は、容器46を通って実質的に軸方向に延在する中央の開口60を画定する。この例示的実施形態では、容器46は、開口60が中心線軸62に沿って配向されるように、実質的に円筒状の形状を有する。あるいは、容器46は、三角形、正方形、長方形、または多角形でもよい。容器46は、内面52と外面54の間の幅64にわたって半径方向に延在し、また、前面56と後面58の間の長さ66にわたって軸方向に延在する。前面56および後面58が、それぞれ内面52と外面54の間に延在する。
【0019】
この例示的実施形態では、容器46は、それぞれが内側シールド部材68から半径方向の外側に結合された内側シールド部材68と外側シールド部材70とを含む。外側シールド部材70は、内側シールド部材68との間に空洞50を画定するように、内側シールド部材68から半径方向距離72だけ離隔される。内側シールド部材68は、半径方向の内面52を画定し、内面52と外面76の間の幅74にわたって半径方向に延在する。外側シールド部材70は、外面54を含んでおり、外面54と内面80の間の幅78にわたって半径方向に延在する。この例示的実施形態では、幅74は幅78より大きい。あるいは、幅74は、幅78未満であるか、またはほぼ等しくてよい。
【0020】
容器46は、第1の側のシールド部材82および反対の第2の側のシールド部材84も含む。内側シールド部材68および外側シールド部材70のそれぞれが、第1の側のシールド部材82から第2の側のシールド部材84まで軸62に沿って延在する。より具体的には、第1の側の部材82および第2の側の部材84のそれぞれが、内側シールド部材68と外側シールド部材70の間で半径方向に延在する。この例示的実施形態では、内側の部材68、外側の部材70、第1の側のシールド部材82、および第2の側のシールド部材84は、部材68、70、82、および84の間に空洞50を画定するように互いに結合される。
【0021】
保護変流器32は、容器の空洞50の中に配置され、内側シールド部材68と外側シールド部材70の間に配向される。保護変流器32は、軸62に対して配向された磁心86を含み、磁心86は、内側シールド部材68を囲む外面88を含む。そのうえ、この例示的実施形態では、高感度変流器34も、空洞50の中に配置されて、内側シールド部材68と外側シールド部材70の間に配向される。高感度変流器34は、軸62に対して配向され、内側シールド部材68を囲む外面92を有する磁心90を含む。保護変流器32と高感度変流器34の間の電気的雑音の干渉の量の低減を助長するために、高感度変流器34は、保護変流器32から軸方向に距離94だけ離隔される。そのうえ、保護変流器32と高感度変流器34の間に間隙96が画定される。
【0022】
この例示的実施形態では、容器46には、保護変流器32と高感度変流器34の間の電気的雑音の干渉の量の低減を助長するために間隙96の内部に配置されて保護変流器32と高感度変流器34の間に配向されている内部シールド部材98も含まれる。内部シールド部材98は、内側シールド部材68と外側のシールド部材70の間で半径方向に結合され、第1の側のシールド部材82と第2の側のシールド部材84の間で軸方向に結合される。空洞50の中に第1の室100および第2の室102を画定するように、空洞50の中に内部シールド部材98が配置される。第1の室100は、内部シールド部材98と第1の側のシールド部材82の間に延在し、保護変流器32を収納するようにサイズ設定して成形される。第2の室102は、内部シールド部材98と第2の側のシールド部材84の間に延在し、高感度変流器34を収納するようにサイズ設定して成形される。この例示的実施形態では、内部シールド部材98は、軸62に沿って軸方向の幅104を有する。そのうえ、部材98は、保護変流器32と高感度変流器34の間の電気的雑音の干渉の量の低減を助長するようにサイズ設定される。この例示的実施形態では、容器46には、変流器32および/または34を容器空洞50内で支持するのを容易にするために、シールド部材68、70、82、および/または84からそれぞれ外側に延在する複数のスペーサ106が含まれる。各スペーサ106は、容器46および軸62に対する変流器32および34の配向を維持するように、保護変流器32および/または高感度変流器34に接触して配向される。
【0023】
この例示的実施形態では、容器46には、変流器32および/または34を監視デバイス14に結合するように外側シールド部材70を通って延在する少なくとも1つのコネクタ組立体108も含まれる。この例示的実施形態では、容器46には、保護変流器32を監視デバイス14に結合するように外側シールド部材70を通って延在する1つまたは複数の保護コネクタ組立体110が含まれる。容器46には、高感度変流器34を監視デバイス14に結合するように外側シールド部材70を通って延在する1つまたは複数の診断コネクタ組立体112も含まれる。
【0024】
図5は保護変流器32の概略図である。図6は高感度変流器34の概略図である。この例示的実施形態では、保護変流器32には、第1の導体24および第2の導体26を通して収容するようにサイズ設定された中央の開口116を画定する磁心114が含まれる。第1の導体24および第2の導体26が、保護変流器32の1次巻線118を形成する。保護変流器32には、磁心114のまわりに巻かれた複数の巻数122を含んでいる2次巻線120も含まれる。2次巻線120には、保護変流器32を監視デバイス14に電気的に結合するように保護コネクタ組立体110に結合された端子124が含まれる。
【0025】
この例示的実施形態では、高感度変流器34は、中央の開口128を画定する磁心126を含む。開口128は、第1の導体24および第2の導体26を通して収容するようにサイズ設定される。第1の導体24および第2の導体26は、高感度変流器34用の1次巻線130を形成する。この例示的実施形態では、第1の導体24と第2の導体26は、実質的に類似の電流を反対方向に搬送する。図6に示されるように、第1の導体24は、矢印132で表される磁束を生成することができ、第2の導体26は、矢印134で表される反対方向の磁束を生成することができる。磁束パターン132および134の極が、基準軸138に対して実質的に垂直な磁気中性軸136を定義する。この例示的実施形態では、第1の導体24と第2の導体26は、磁心126の中心点140に対して対称に配向される。より具体的には、第1の導体24および第2の導体26のそれぞれが、磁気中性軸136と第1の導体24および第2の導体26とが実質的に垂直になるように、基準軸138に沿って配置される。
【0026】
この例示的実施形態では、高感度変流器34は複数の巻線142を含む。巻線142のそれぞれが、磁心126のまわりに巻きつけられた複数の巻数144を含む。各巻線142を、しっかりと詰め込まれた巻数144の組から形成するように、それぞれの巻数144が、隣接した巻数144に近接して配置される。
【0027】
この例示的実施形態では、高感度変流器34には、それぞれが磁心126上に配置されている、第1の巻線146、第2の巻線148、第3の巻線150、および第4の巻線152が含まれる。第1の導体24および第2の導体26によって生成された磁束パターン132および134が、巻線146、148、150、および152の中に電流を誘起する。巻線146、148、150、および152が、高感度変流器34用の2次巻線154を形成する。この例示的実施形態では、第1の巻線146が第2の巻線148に結合され、第3の巻線150が第4の巻線152に結合される。第1の巻線146および第2の巻線148は、監視デバイス14に結合されるように、それぞれが第1の端子156に結合される。同様に、第3の巻線150および第4の巻線152は、監視デバイス14に結合され得るように、それぞれが第2の端子158に結合される。この例示的実施形態では、第1の巻線146および第2の巻線148は、第1の導体24および第2の導体26内の漏れ電流を感知するように、磁気中性軸136に沿って配置される。第3の巻線150および第4の巻線152は、第1の導体24および第2の導体26によって搬送される部分的な放電電流および/または負荷電流を感知するように、基準軸138に沿って配向される。
【0028】
この例示的実施形態では、磁心114および126のそれぞれに、ニッケル、モリブデンおよび鉄を含み、かつ高い透磁率を有する磁性材料を含んでいる超合金が含まれる。また、磁心114および126は、ケイ素鋼、合金、および/またはフェライトを含んでよい。この例示的実施形態では、磁心114および126は、実質的に円形の断面形状を有する。あるいは、磁心114および126は、三角形、正方形、長方形、または多角形でもよい。
【0029】
本明細書で説明された例示的変流器は、例えば電動機、高調波発生器、タービン発電機、風力発電機、ケーブル、変圧器、GIS、加速装置および光起電性パネルなどの様々な用途に使用されてよい。さらに、この例示的変流器は、既知の変流器に対して、変流器の中央の開口内のケーブル位置に対する感度がより低く、利得がより高く設置が容易であり、平衡させるのが容易で、較正がより正確で再現可能であることなど、これらに限定されることなく、いくつかの利点を有する。
【0030】
電気的監視システム10の動作中に、電流監視デバイス14は、導体24と26の間の、電流レベルの第1の範囲内にある電流差を表す監視信号を、高感度変流器34から受け取る。監視デバイス14は、所定の期間に対して複数の時間ベースの差動電流値を計算し、差動電流のトレンド値を長時間にわたって計算する。監視デバイス14は、また、電流レベルの第1の範囲内にある差動電流を検出すると、ユーザに対して通知信号を表示し、感知された差動電流の増加を表す信号を長時間にわたって表示する。また、この例示的実施形態では、監視デバイス14は、保護変流器32から、電流レベルの第2の範囲内にある、導体24と26の間の電流差を表す監視信号を受け取る。監視デバイス14は、また、感知された電流差が、電流レベルの第2の範囲内の所定の差動電流の許容限度以上であるとき、電動機18の固定子巻線の絶縁状態が所定の状態より劣ると判断する。そのうえ、求められた固定子巻線の絶縁状態が所定の固定子巻線の絶縁状態より劣るものであると、監視デバイス14は、ディスプレイ44上に通知信号を表示する。
【0031】
容器46内の保護変流器32および高感度変流器34の配向は、導体24と導体26の間の差動電流の監視が容易になるように選択される。また、容器46の配向、サイズ、および形状は、保護変流器32と高感度変流器34の間で生成された電気的雑音の干渉の量の低減を助長し、かつ監視システム10の設置および動作中の損傷から変流器32および34を保護するように選択される。
【0032】
前述の装置および方法は、高感度変流器および保護変流器を使用する変流器組立体を含んでいる監視システムを提供することにより、既知の監視デバイスの少なくともいくつかの短所を克服する。また、本明細書で説明された変流器組立体には、変流器を損傷から保護し、かつ保護変流器と高感度変流器の間の電気的雑音の干渉の量を低減するために保護変流器および高感度変流器を密封するようにサイズ設定された容器が含まれる。単一容器の内部に配置された保護変流器および高感度変流器を含んでいる変流器組立体を使用することにより、電動機の固定子巻線の絶縁状態を監視するための監視デバイスの製造コストが、既知の監視デバイスに対して削減される。
【0033】
本明細書で説明された方法、システム、および装置の例示の技術的効果には、(a)第1の導体と第2の導体の間の電流差を表す監視信号を高感度変流器から受け取ること、(b)所定の期間に対して複数の時間ベースの差動電流値を計算すること、(c)差動電流のトレンド値を長時間にわたって計算すること、および(d)感知された差動電流の増加を表す信号を長時間にわたって表示することのうち、少なくとも1つが含まれる。
【0034】
電気的監視システムとともに使用する変流器組立体および同変流器組立体を組み立てる方法の例示的実施形態が、上記で詳細に説明されている。これらのシステムおよび方法は、本明細書で説明された特定の実施形態に限定されることなく、むしろ、同システムの構成要素および/または同方法のステップは、本明細書で説明された他の構成要素および/またはステップから独立して別個に利用されてよい。例えば、これらの方法は、他の電気的監視システムと組み合わせて用いられてもよく、本明細書で説明された電気的監視システムだけとともに実施することに限定されない。むしろ、例示的実施形態は、他の多くの監視システムの用途に関連して実施し、かつ利用することができる。
【0035】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴が、いくつかの図面で示されて他の図面では示されないこともあるが、これは便宜上の理由のみによるものである。本発明の原理によれば、図面のあらゆる特徴が、その他の図面のあらゆる特徴と組み合わせて参照され、かつ/または特許請求され得る。
【0036】
この書かれた説明は、最善の様式を含めて本発明を開示するために、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを製作して使用すること、ならびにあらゆる具体化された方法を実行することを含めて本発明を実施することも可能にするために、実例を用いている。本発明が特許権を受けられる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の実例を含み得る。そのような他の実例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉との実質のない相違点を有する同等な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に入るように意図されている。
【符号の説明】
【0037】
10 電気的監視システム
12 電動機システム
14 電流監視デバイス
16 変流器組立体
18 電動機
20 電源
22 導体
24 第1の導体
26 第2の導体
28 第1の電流
29 矢印
30 第2の電流
31 矢印
32 保護変流器
34 差動変流器
36 プロセッサ
38 メモリデバイス
40 保護モジュール
42 診断モジュール
44 ディスプレイ
46 容器
48 シールド部材
50 空洞
52 半径方向の内面
54 半径方向の外面
56 前面
58 後面
60 中央の開口
62 中心線軸
64 半径方向の幅
66 軸方向の長さ
68 内側シールド部材
70 外側シールド部材
72 半径方向の距離
74 半径方向の幅
76 外面
78 半径方向の幅
80 内面
82 第1の側のシールド部材
84 第2の側のシールド部材
86 磁心
88 外面
90 磁心
92 外面
94 軸方向の距離
96 間隙
98 内部シールド部材
100 第1の室
102 第2の室
104 軸方向の幅
106 スペーサ
108 コネクタ組立体
110 保護コネクタ組立体
112 診断コネクタ組立体
114 磁心
116 中央の開口
118 1次巻線
120 2次巻線
122 巻数
124 端子
126 磁心
128 開口
130 1次巻線 134 矢印
136 磁気中性軸
138 基準軸
140 中心点
142 巻線
144 巻数
146 第1の巻線
148 第2の巻線
150 第3の巻線
152 第4の巻線
154 2次巻線
156 第1の端子
158 第2の端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的監視システム(10)で使用する変流器組立体(16)であって、前記変流器組立体が、
空洞(50)を少なくとも部分的にその中に画定する複数のシールド部材(48)を備える容器(46)において、開口(60)を画定する内面(52)をさらに備え、前記開口が前記内面を通って延在する容器と、
前記容器の内部に配置された第1の変流器(32)と、
前記容器の内部に配置された第2の変流器(34)において、前記第1の変流器と前記第2の変流器の間の電子的雑音の干渉の低減を助長するために、ある距離だけ前記第1の変流器から離隔された第2の変流器とを備える変流器組立体(16)。
【請求項2】
前記容器(46)が、
前記容器の開口(60)を画定する半径方向の内面(52)、および前記容器の空洞(50)を少なくとも部分的に画定する半径方向の外面(76)を備える内側シールド部材(68)と、
外側シールド部材(70)であって、前記容器の空洞が、前記内側シールド部材と前記外側シールド部材の間に延在するように、前記内側シールド部材から半径方向の外側に結合された外側シールド部材(70)とを備える請求項1記載の変流器組立体(16)。
【請求項3】
前記第1の変流器(32)に対して電気的に結合された保護コネクタ組立体(110)であって、前記第1の変流器を電気的監視システム(10)に電気的に結合するように前記外側シールド部材(70)を通って延在する保護コネクタ組立体をさらに備える請求項2記載の変流器組立体(16)。
【請求項4】
前記第2の変流器(34)に対して電気的に結合された少なくとも1つの診断コネクタ組立体(112)であって、前記第2の変流器を前記電気的監視システム(10)に電気的に結合するように前記外側シールド部材(70)を通って延在する診断コネクタ組立体をさらに備える請求項3記載の変流器組立体(16)。
【請求項5】
前記容器(46)が、前記第1の変流器(32)と前記第2の変流器(34)の間の電子的雑音の干渉の低減を助長するために、前記第1の変流器と前記第2の変流器の間に内部シールド部材(98)を備える請求項1記載の変流器組立体(16)。
【請求項6】
前記内部シールド部材(98)が、前記内部のシールド部材(98)から外側に延在する少なくとも1つのスペーサ(106)を備える請求項5記載の変流器組立体(16)。
【請求項7】
前記第1の変流器(32)が、閉じた中央の開口(116)および巻線(120)を有する磁心(114)を備え、前記巻線が、前記磁心の外面のまわりに巻きつけられた複数の巻数(122)を備える請求項1記載の変流器組立体(16)。
【請求項8】
前記第2の変流器(34)が、閉じた中央の開口(128)および前記磁心の外面に結合された複数の巻線(142)を有する磁心(126)を備え、前記複数の巻線の各巻線が、前記外面のまわりに巻きつけられた複数の巻数(114)を備える請求項7記載の変流器組立体(16)。
【請求項9】
電動機(12)の動作を監視するための電気的監視システム(10)であって、前記電気的監視システムが、
電流監視デバイス(14)と、
前記電動機(12)に結合された変流器組立体(16)において、前記変流器組立体が、前記電動機に導かれた電流を感知して、前記電流監視デバイスに対して前記感知された電流を表す信号を伝送するように構成され、前記変流器組立体が、
その中に少なくとも部分的に空洞(50)を画定する複数のシールド部材(48)を備えている容器(46)において、前記容器が内面(52)をさらに備え、前記内面が前記内面を通って延在する開口(60)を画定する容器、
前記容器の内部に配置された第1の変流器(32)、および
前記容器の内部に配置された第2の変流器(34)において、前記第1の変流器と前記第2の変流器の間の電子的雑音の干渉の低減を助長するために、ある距離だけ前記第1の変流器から離隔された第2の変流器を備えている変流器組立体(16)とを備える電気的監視システム(10)。
【請求項10】
前記容器(46)が、
前記容器の開口(60)を画定する半径方向の内面(52)、および前記容器の空洞(50)を少なくとも部分的に画定する半径方向の外面(76)を備える内側シールド部材(68)と、
外側シールド部材(70)であって、前記容器の空洞が、前記内側シールド部材と前記外側シールド部材の間に延在するように、前記内側シールド部材から半径方向の外側に結合された外側シールド部材とを備える請求項9記載の電気的監視システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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