説明

電気移動体用充電装置

【課題】給電コネクタの受電コネクタへの非ロック状態を、簡単な構成で検出して、利用者に知らせることのできる電気移動体用充電装置を提供する。
【解決手段】給電コネクタ16は、ロックレバー102に設けられた嵌合穴110に嵌合し得る可動鉄心30を有するソレノイド26を備えている。可動鉄心の駆動によって開閉される第1のスイッチ42に直列に抵抗44が接続され、この直列回路がソレノイドのコイル28に並列に接続されて抵抗/コイル回路を構成する。充電器12には、抵抗/コイル回路に並列に接続された、電流センサ58と第2のスイッチ60と直流電源62との直列回路からなるセンサ/電源回路と、電流センサの検出電流の値から、コネクタがロック状態にあるか否かを判定するコネクタロック判定部70とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車,船舶などの移動体に搭載されるバッテリを充電する電気移動体用充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車の普及には、自動車に搭載されるバッテリを短時間で急速充電する自動車用充電装置が必要とされる。このような充電装置を設置した給電スタンドでは、利用者が充電装置の給電コネクタを自動車の車体に設けられた受電コネクタに接続して、車載バッテリの充電を行う。
【0003】
給電コネクタを受電コネクタに接続する場合、接続した給電コネクタが受電コネクタから抜けないようにロックするために、ソレノイドを利用したコネクタロック機構が用いられている。
【0004】
コネクタロック機構の一例として、給電コネクタを受電コネクタにソレノイドで直接ロックするものが知られている(特許文献1)。これによれば、給電コネクタが受電コネクタに完全に接続された状態で、ソレノイドを作動して、可動鉄心を受電コネクタ側の嵌合穴に嵌合させて、給電コネクタが受電コネクタから抜けないようにロックしている。
【0005】
また、コネクタロック機構の他の例としては、受電コネクタに係合し得るロックレバーを有するタイプの給電コネクタにおいて、ソレノイドを作動して、ロックレバーの動きを固定するものがある。このタイプのものは、ロックレバーを固定することによって、給電コネクタが受電コネクタから抜けないようにロックしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−4731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したいずれの従来技術においても、ソレノイドの可動鉄心が、正常に作動しなければ、給電コネクタが受電コネクタにロックされず、給電中に、給電コネクタが受電コネクタから引き抜かれる恐れがある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、電気自動車などの電気移動体のバッテリを充電する充電装置であって、ソレノイドの可動鉄心が正常に作動しない場合に、給電コネクタの受電コネクタへの非ロック状態を利用者に知らせることのできる電気移動体用充電装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ソレノイドの可動鉄心の作動状態を簡単な構成で検出できる電気移動体用充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電気移動体に設けられた、搭載バッテリに接続された受電コネクタに接続される給電コネクタと、給電コネクタにケーブルを介して接続された充電器とを備えている。
【0011】
給電コネクタは、受電コネクタに接続されたときに、給電コネクタを受電コネクタに対してロック状態にする、ソレノイドを含むコネクタロック機構を有している。
【0012】
さらに、給電コネクタが受電コネクタに接続されたときに、ソレノイドの可動鉄心が正常に作動したか否かを検出し、給電コネクタが受電コネクタに対し、ロック状態にあるか非ロック状態にあるかを検出するコネクタロック状態検出手段を備えている。
【0013】
充電器は、コネクタロック状態検出手段が、給電コネクタが受電コネクタに対して、非ロック状態にあることを検出すると、非ロック状態にあることを報知する報知手段を有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コネクタロック状態検出手段が、給電コネクタが受電コネクタに対し、非ロック状態にあることを検出すると、報知手段はコネクタが非ロック状態にあることを報知するので、利用者はコネクタが非ロック状態にあることを知り、コネクタの接続操作をやり直して、ロック状態にすることができる。さらに、コネクタロック状態検出手段を、簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の自動車用充電装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるロックレバーを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図4】給電コネクタの抵抗/コイル回路と、充電器のセンサ/電源回路との等価回路を示す図である。
【図5】可動鉄心がロックレバーの嵌合穴に嵌合した状態および嵌合しない状態を示す図である。
【図6】抵抗/コイル回路に流れる電流およびしきい値I,Iを示す図である。
【図7】判定の処理フローを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の構成を示す図である。
【図9】可動鉄心が受電コネクタの嵌合穴に嵌合した状態および嵌合しない状態を示す図である。
【図10】第1のスイッチの他の例を示す図である。
【図11】嵌合部を凹部とした例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、電気自動車用の充電装置について説明するが、電気的駆動源で駆動される船舶などの移動体にも、適用できるものである。
【0017】
[第1の実施の形態]
コネクタロック機構が、ソレノイドおよびロックレバーで構成される実施の形態について、説明する。
【0018】
図1に示すように、自動車用充電装置10は、充電器12と、充電器12に接続された給電ケーブル14と、給電ケーブル14の先端に接続された給電コネクタ16とを備えている。
【0019】
バッテリ18を搭載した車両20の車体に設けられた受電コネクタ22に、給電コネクタ16を接続することによって、充電器12からバッテリ18を充電する。
【0020】
(給電コネクタの構成)
図2に示すように、給電コネクタ16は、軸100に回動可能に支持されたロックレバー102を備えている。ロックレバーの先端は、爪部106となっており、この爪部は、ロックレバーを操作することによって、受電コネクタ22のソケット34に設けられた係止穴108に係止させることができる。
【0021】
ロックレバー102には、嵌合穴110が設けられている。図3に示すように、コネクタケース24の内部には、嵌合穴110の近傍に、ソレノイド26が配置されている。ソレノイド26は、ソレノイドコイル28と、ソレノイドコイル28に電流が供給されると、突出方向に駆動される可動鉄心30とを有している。可動鉄心30は、ソレノイドコイル28に電流が供給されないときには、ばね(図示せず)によって復帰方向に付勢されている。
【0022】
ソレノイドコイル28に電流が供給され、可動鉄心30が駆動されると、可動鉄心30はロックレバー102の嵌合穴110に嵌合する。これにより、ロックレバー102の動きが固定され、爪部106の係止穴108への係止が保持されるので、給電コネクタ16は受電コネクタ22に対してロック状態にされる。
【0023】
ソレノイドコイル28への電流の供給が停止されると、可動鉄心30は、ばねの力により復帰され、ロックレバー102の嵌合穴110からはずれる。これにより、給電コネクタ16の受電コネクタ22に対するロック状態が解除される。
【0024】
このように、ソレノイド26は、コネクタのロック状態と非ロック状態とを、切り換えることができる
ソレノイド26の可動鉄心30には、1個の接触子38が固定されており、可動鉄心30の近傍には接触子38の両端が接触し得る2個の固定接点40a,40bがそれぞれ設けられている。1個の接触子と2個の固定接点とで、スイッチ42を構成する。
【0025】
スイッチ42は、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合しないときには、接触子38が固定接点40a,40bに接触せず、すなわち開いており、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合したときには、接触子38が固定接点40a,40bに接触する、すなわち閉じるように、配置構成されている。
【0026】
スイッチ42には、直列に抵抗44が接続されている。スイッチ42と抵抗44との直列回路(以下、抵抗回路という)は、ソレノイドコイル28に並列に接続される。
【0027】
スイッチ42が閉じたときには、抵抗44とソレノイドコイル28との並列回路が構成され、スイッチ42が開いたときには、ソレノイドコイル28のみからなる回路が構成される。このようにスイッチ42の開閉によって、回路構成が切り換えられる。抵抗回路がソレノイドコイルに並列に接続された回路を、抵抗/コイル回路というものとする。
【0028】
給電コネクタ16は、受電コネクタ22の充電用雄端子48に接続される充電用雌端子50を有している。給電コネクタ16は、さらに、車両20と通信するための通信用端子、グランド用端子などを有しているが、本発明とは直接関係がないので、図示を省略する。
【0029】
抵抗/コイル回路は、ケーブル14に含まれる電流ライン52を介して、充電器12に接続される。
【0030】
(充電器の構成)
充電器12は、車載バッテリを充電する充電回路54を有している。充電用電源(図示せず)を含む充電回路54は、ケーブル14に含まれる電源ライン56を経て、給電コネクタ16の充電用雌端子50に接続される。
【0031】
充電器12は、さらに、電流センサ58と、スイッチ60と、直流電源62との直列回路からなるセンサ/電源回路を有している。このセンサ/電源回路は、給電コネクタ16の上述した抵抗/コイル回路に並列に接続される。接続は、上述したように、ケーブル14に含まれる電流ライン52により行われる。
【0032】
図4に、給電コネクタ16の抵抗/コイル回路と、電流ライン52と、充電器12のセンサ/電源回路との等価回路を示す。図中、抵抗回路を参照番号46で、抵抗/コイル回路を参照番号64で、センサ/電源回路を参照番号65で示す。
【0033】
図3に戻り、充電器12は、さらに、制御ユニット66を有している。制御ユニット66は、充電器全体の制御を行うものであり、プロセッサで構成され、ソフトウエアで実行されるものである。制御ユニット66は、本発明に関係するスイッチ制御部68およびコネクタロック判定部70を、機能的に含んでいる。
【0034】
給電コネクタ16の抵抗/コイル回路64と、充電器12のセンサ/電源回路65およびコネクタロック判定部70とで、本発明に係るコネクタロック状態検出手段を構成する。
【0035】
図4の等価回路から分かるように、コネクタロック状態検出手段の回路部分は、極めて簡単な構成で実現できる。
【0036】
スイッチ制御部68は、充電器12に設けられたスタートボタン72,ストップボタン74(図1を参照)からのオン情報と、後述する車両側からの充電完了情報と、コネクタロック判定部70からの指示とに基づいて、スイッチ60のオン,オフを制御する。なお、スタートボタン72は、利用者により操作され、自動車用充電装置10の動作開始を指示し、ストップボタンは、利用者により操作され、自動車用充電装置の動作終了を指示するものである。
【0037】
コネクタロック判定部70には、電流センサ58が検出した電流の値が入力される。コネクタロック判定部70は、入力された電流の値から、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合したか否かの判断を行う。嵌合した場合には、給電コネクタ16が受電コネクタ22に対してロック状態にされたと判定し、嵌合しなかった場合には、給電コネクタ16が受電コネクタ22に対してロック状態されていないと判定する。
【0038】
この判定を行うために、コネクタロック判定部70は、2つのしきい値I,Iを有している。しきい値Iは、図4の等価回路において、スイッチ60がオンされたときに、抵抗/コイル回路64に電圧が印加されて、スイッチ42が開いた状態でソレノイドコイル28のみに流れる電流より小さい値になるように設定されている。しきい値Iは、図4の等価回路において、スイッチ60がオンされたときに、抵抗/コイル回路64に電圧が印加されて、スイッチ42が閉じた状態でソレノイドコイル28および抵抗回路46のそれぞれに流れる電流の合成電流より小さく、かつ、ソレノイドコイル28のみに流れる電流より大きくなるように設定されている。
【0039】
充電器12には、図1に示すように、利用者へ自動車用充電装置10の操作を案内するガイダンスパネル76が設けられている。ガイダンスパネル76は、文字表示のための表示出力装置(ディスプレイ,ランプ,LEDなど)78、および/または、音響出力のための音響出力装置(スピーカ,ブザーなど)80を有している。
【0040】
これらの表示出力装置78および音響出力装置80は、本発明に係る報知手段を構成する。給電コネクタ16の受電コネクタ22への接続が不完全な場合に、報知手段を利用して、利用者へアラームを発生させることができる。
【0041】
(自動車用充電装置の動作)
次に、自動車用充電装置10の動作を説明するが、本発明に関係する動作のみを説明するものとする。
【0042】
利用者は、車両20の車載バッテリ18を充電する場合、自動車用充電装置10の給電コネクタ16を、車両の受電コネクタ22に接続し、ロックレバー102を爪部106が係止穴108に係止するように操作した後、充電器12のスタートボタン72を押す。
【0043】
スイッチ制御部68は、スタートボタン72からのオン情報を検出すると、スイッチ60をオンする。スイッチ60がオンされると、直流電源62から電流ライン52を経て、給電コネクタ16のソレノイドコイル28に電圧Vdcが供給される。ソレノイドコイル28に電流が流れ、コイルが励磁されて、可動鉄心30が駆動される。
【0044】
このとき、ロックレバー102の操作が完全であれば、図5(A)に示すように、可動鉄心30の位置はロックレバー102の嵌合穴110の位置に一致しており、駆動された可動鉄心30は、嵌合穴110に嵌合する。これにより、ロックレバー102が固定され動かないので、給電コネクタ16は、受電コネクタ22に対しロック状態になる。
【0045】
ロック状態では、図5(A)に示すように、接触子38が2個の固定接点40a,40bに接触する。したがって、スイッチ42が閉じる。
【0046】
他方、ロックレバー102の操作が不完全であれば図5(B)に示すように、可動鉄心30の位置がロックレバー102の嵌合穴110の位置に一致せず、可動鉄心30が駆動されても、可動鉄心30がロックレバー102の側壁に突き当たり、可動鉄心30が嵌合穴110に嵌合しない。このため、給電コネクタ16は、受電コネクタ22に対し非ロック状態になる。
【0047】
非ロック状態では、図5(B)に示すように、接触子38が2個の固定接点40a,40bに接触しない。したがって、スイッチ42は開いたままである。
【0048】
図4に示す等価回路から分かるように、抵抗/コイル回路64に流れる電流は、スイッチ42が閉じているときと、開いているときとでは、その値Iが異なる。図6に、異なる電流値を示す。
【0049】
図6(A)に示すように、ソレノイドコイル28に、時刻tで電圧Vdcが印加されると、ソレノイドコイルに電流が流れ、可動鉄心30を駆動する。
【0050】
可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合すると、時刻tでスイッチ42が閉じるものとする。図6(B)に示すように、抵抗/コイル回路64を流れる電流は、時刻t〜時刻tの間は、ソレノイドコイル28にのみ流れる電流であり、時刻t以降は、ソレノイドコイル28を流れる電流と抵抗回路46を流れる電流との合成電流である。
【0051】
可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合しなければ、スイッチ42は開いたままであり、図6(C)に示すように、時刻t以降、抵抗/コイル回路64を流れる電流は、ソレノイドコイル28を流れる電流のみである。
【0052】
なお、図6(B),(C)には、前述したしきい値I,Iを、示してある。これらのしきい値は、コネクタロック判定部70での判定処理に、利用される。
【0053】
以上の説明から分かるように、時刻tから時刻tまでの時間Tは、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合するまでの時間である。したがって、コネクタロック判定部70では、図6(B)に示す電流と、図6(C)に示す電流とを峻別するためには、電流が時刻tで立ち上がって、時間Tを経過した後の電流値Iを、しきい値I,Iと比較すれば、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合したか否かを判断できる。その結果、ロックレバー102によって、給電コネクタ16が受電コネクタ22に対してロック状態になったか否かの判定が可能となる。
【0054】
以下、判定の処理フローを、図7を参照して説明する。
【0055】
スイッチ制御部68によって、時刻tでスイッチ60がオンされ(ステップS1)、図6(A)に示した直流電源62の電圧Vdcが、電流ライン52に印加される(ステップS2)。
【0056】
電流ライン52に流れる電流の値Iを電流センサ58が検出し、コネクタロック判定部70に送る(ステップS3)。
【0057】
コネクタロック判定部70は、時刻tから時間Tだけ経過した時刻t以降の電流値Iを、しきい値Iと比較する(ステップS4)。
【0058】
電流値Iがしきい値I以下であれば、直流電源62から抵抗/コイル回路64を経る電流経路に回路断線が存在していると判断し(ステップS5)、スイッチ制御部68を指示して、スイッチ60をオフし(ステップS10)、判定処理を終了する。
【0059】
このような回路断線がある場合には、充電器12は充電動作に進まないから、充電器の利用者および充電器の設置者に報知されるが、その手段は本発明とは直接関係しないので、説明を省略する。
【0060】
ステップS4において、電流値Iがしきい値Iより大きいと判断されたならば、電流経路に断線はなく、ソレノイドコイル28に電圧Vdcが印加され、ソレノイドコイル28に電流が流れ、コイルが励磁されて、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合する方向に駆動されていることが分かる。
【0061】
コネクタロック判定部70は、時刻t以降の電流値Iがしきい値I以上であるか否かから(ステップS6)、可動鉄心30が嵌合穴110に嵌合したか(可動鉄心の正常な作動)、嵌合しなかったか(可動鉄心の正常でない作動)を検出することによって、給電コネクタ16が受電コネクタ22に対してロック状態になったか否かを、判断する。
【0062】
ステップS6において、電流値Iがしきい値I以上であれば、コネクタロック判定部70は、給電コネクタ16が受電コネクタ22に対してロック状態にあると判定する(ステップS7)。
【0063】
すなわち、図5(A)に示したように、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合することによって、接触子38が固定接点40a,40bに接触し(スイッチ42が閉じる)、抵抗回路46に電流が流れ、ソレノイドコイル28に流れる電流との合成電流が検出された結果である。
【0064】
このときコネクタロック判定部70は、充電回路54に充電開始を指示する(ステップS8)。充電回路54は、充電開始を指示されると、電源ライン52,給電コネクタ16,受電コネクタ22を経て、車両20のバッテリ18を充電する。
【0065】
バッテリ18の充電が完了した場合には、車両からの通信によって充電完了が、制御ユニット66に通知される。制御ユニット66は、充電回路54に充電停止を指示する(ステップS9)。続いて、スイッチ制御部68を指示して、スイッチ60をオフする(ステップS10)。
【0066】
充電器12の充電動作を停止する場合には、ストップボタン74をオンすれば、スイッチ制御部68は、スタートボタン72からのオン情報を検出し、スイッチ60をオフする。
【0067】
いずれの場合も、スイッチ60がオフされると、ソレノイドコイル28へ電圧Vdcが印加されなくなり、ばねの付勢力により可動鉄心30が復帰する。すなわち、ロック状態が解除される。利用者は、ロックレバー102を操作して、爪部106を係止穴108からはずして、給電コネクタ16を受電コネクタ22から抜くことができる。
【0068】
ステップS6において、電流値Iがしきい値Iより小さければ、給電コネクタ16は受電コネクタ22に対して非ロック状態にあると判定する(ステップS11)。
【0069】
すなわち、図5(B)に示したように、可動鉄心30がロックレバー102の嵌合穴110に嵌合せず、接触子38が固定接点40a,40bに接触しないので(スイッチ42が開いたままである)、抵抗回路46に電流が流れず、ソレノイドコイル28に流れる電流のみが検出された結果である。
【0070】
このときコネクタロック判定部70は、スイッチ制御部68にスイッチ60をオフするように指示する。スイッチ60がオフされると(ステップS12)、ソレノイドコイル28へ電圧Vdcが印加されなくなり、ばねの付勢力により可動鉄心30が復帰する。
【0071】
一方、コネクタロック判定部70は、ガイダンスパネル76の表示出力装置78にアラーム表示を指示して(ステップS13)、例えば「ロックレバーの操作が完全ではありません。ロックレバーの操作をやり直して、スタートボタンを再度押してください。」と文字表示させたり、あるいは音響出力装置80に指示して、音声で出力させる。また、表示出力および音響出力の両方を、行ってもよい。
【0072】
利用者は、このようなアラームによって、ロックレバーの操作をやり直し、給電コネクタ16を受電コネクタ22に対してロック状態にすることができる。
【0073】
[第2の実施の形態]
コネクタロック機構が、ソレノイドで構成される実施の形態について、説明する。
【0074】
第1の実施の形態と異なる点は、給電コネクタの受電コネクタへのロックをソレノイドで直接行うことである。
【0075】
以下の説明において、第1の実施の形態の要素と同一の要素には、同一の参照番号を用いる。
【0076】
(給電コネクタの構成)
図8に示すように、給電コネクタ16は、コネクタケース24の内部に、コネクタロック機構を構成するソレノイド26を有している。
【0077】
コネクタケース24には、駆動された可動鉄心30をコネクタケース24の外に突出させるための穴32が設けられている。
【0078】
ソレノイドコイル28に電流が供給されると、可動鉄心30は駆動され、穴32から突出し、車両側の受電コネクタ22のソケット34に設けられた嵌合穴36に嵌合する。これにより、給電コネクタ16が受電コネクタ22にロックされる。
【0079】
ソレノイドコイル28への電流の供給が停止されると、可動鉄心30は、ばねの力により復帰され、受電コネクタ22の嵌合穴36からはずれる。これにより、給電コネクタ16の受電コネクタ22へのロックが解除される。
【0080】
このように、ソレノイド26は、コネクタのロック状態と非ロック状態とを、切り換えることができる。
【0081】
スイッチ42の構成は、図3に示した構成と同じである。また、抵抗/コイル回路64の構成は、図4に示した構成と同じである。給電コネクタ16のその他の構成も、図3に示した構成と同じである。
【0082】
(充電器の構成)
充電器12の構成は、図3に示した構成と同じである。また、給電コネクタ16の抵抗/コイル回路64と、充電器12のセンサ/電源回路65との等価回路は、図4の等価回路と同じである。
【0083】
(自動車用充電装置の動作)
次に、自動車用充電装置10の動作を説明するが、第2の実施の形態に関係する動作のみを説明するものとする。
【0084】
利用者は、車両20の車載バッテリ18を充電する場合、自動車用充電装置10の給電コネクタ16を、車両の受電コネクタ22に接続し、充電器12のスタートボタン72を押す。
【0085】
スイッチ制御部68は、スタートボタン72からのオン情報を検出すると、スイッチ60をオンする。スイッチ60がオンされると、直流電源62から電流ライン52を経て、給電コネクタ16のソレノイドコイル28に電圧Vdcが供給される。ソレノイドコイル28に電流が流れ、コイルが励磁されて、可動鉄心30が駆動される。
【0086】
このとき、給電コネクタ16の受電コネクタ22への挿入が完全であれば、図9(A)に示すように、可動鉄心30の位置は受電コネクタ22の嵌合穴36の位置に一致しており、駆動された可動鉄心30は、受電コネクタの嵌合穴36に嵌合する。これにより、給電コネクタ16は、受電コネクタ22に対しロック状態になる。
【0087】
他方、給電コネクタ16が受電コネクタ22に完全に接続されていなければ、図9(B)に示すように、可動鉄心30の位置が受電コネクタ22の嵌合穴36の位置に一致せず、可動鉄心30が駆動されても、可動鉄心30が受電コネクタ22のソケット34の内壁に突き当たり、可動鉄心30が嵌合穴36に嵌合しない。このため、給電コネクタ16は、受電コネクタ22に対し非ロック状態になる。
【0088】
このようなコネクタのロック状態、非ロック状態は、第1の実施の形態と同様に、図7に示した手順で判断される。
【0089】
非ロック状態の場合、コネクタロック判定部70は、表示出力装置78にアラーム表示を指示して、例えば「コネクタの接続が完全ではありません。コネクタの接続をやり直して、スタートボタンを再度押してください。」と文字表示をしたり、あるいは音響出力装置に指示して、音声で出力する。また、表示出力および音響出力の両方を、行ってもよい。
【0090】
利用者は、このようなアラームによって、給電コネクタ16の受電コネクタ22への接続をやり直し、接続を完全にする。
【0091】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、第1および第2の実施の形態における給電コネクタ16内のスイッチ42とは、異なる構造のスイッチとした。図10に示すように、可動鉄心30に2個の可動接点82a,82bを、可動鉄心の長手方向に離間させて固定し、可動鉄心30の片側の近傍に2個の固定接点84a,84bを、可動鉄心の長手方向に沿って離間させて設ける。
【0092】
2個の可動接点82a,82bは、可動鉄心30によって電気的に導通がとられている。あるいは、2個の可動接点を導体で接続させてもよい。
【0093】
2個の可動接点82a,82bと、2個の固定接点84a,84bとで、スイッチ86を構成する。
【0094】
[その他の実施の形態]
可動鉄心30が嵌合する嵌合部は、第1および第2の実施の形態においては、共に嵌合穴としている。嵌合部は、穴に限るものではなく、凹部とすることもできる。
【0095】
図11に、第2の実施の形態において、凹部とした例を示す。図11において、受電コネクタ22のソケット34に設けられた凹部87を示す。なお図中、参照番号88は、受電コネクタ22のケースを示している。
【0096】
図示しないが、第1の実施の形態において、ロックレバー102の嵌合穴110を、凹部にしてもよい。
【0097】
また、第1および第2の実施の形態においては、コネクタロック機構は、ソレノイドコイルが励磁されると、可動鉄心が駆動されるタイプのものである。これに代えて、固定鉄心をソレノイドコイルで磁化して、電磁石にして可動鉄心を駆動するタイプのソレノイドであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 自動車用充電装置
12 充電器
14 給電ケーブル
16 給電コネクタ
18 車載バッテリ
20 車両
22 受電コネクタ
24 コネクタケース
26 ソレノイド
28 ソレノイドコイル
30 可動鉄心
32 穴
34 ソケット
36 嵌合穴
38 接触子
40a,40b 固定接点
42 スイッチ
44 抵抗
46 抵抗回路
48 充電用雄端子
50 充電用雌端子
52 電流ライン
54 充電回路
56 電源ライン
58 電流センサ
60 スイッチ
62 直流電源
64 抵抗/コイル回路
65 センサ/電源回路
66 制御ユニット
68 スイッチ制御部
70 コネクタロック判定部
72 スタートボタン
74 ストップボタン
76 ガイダンスパネル
78 表示出力装置
80 音響出力装置
82a,82b 可動接点
84a,84b 固定接点
86 スイッチ
87 凹部
88 受電コネクタのケース
100 軸
102 ロックレバー
106 爪部
108 係止穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気移動体に設けられた、搭載バッテリに接続された受電コネクタに接続される給電コネクタと、前記給電コネクタにケーブルを介して接続された充電器とを備える電気移動体用充電装置において、
前記給電コネクタは、前記受電コネクタに接続されたときに、前記給電コネクタを前記受電コネクタに対してロック状態にする、ソレノイドを含むコネクタロック機構を有し、
前記給電コネクタが前記受電コネクタに接続されたときに、前記ソレノイドの可動鉄心が正常に作動したか否かを検出し、前記給電コネクタが前記受電コネクタに対し、ロック状態にあるか非ロック状態にあるかを検出するコネクタロック状態検出手段を備え、
前記充電器は、前記コネクタロック状態検出手段が、前記給電コネクタが前記受電コネクタに対して、非ロック状態にあることを検出すると、非ロック状態にあることを報知する報知手段を有する、
ことを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気移動体用充電装置において、
前記受電コネクタは、係止部を有し、
前記コネクタロック機構は、前記係止部に係止するロックレバーをさらに有し、前記ロックレバーには、前記可動鉄心が嵌合する嵌合部が設けられ、
前記給電コネクタが前記受電コネクタに接続されたときに、前記ロックレバーが前記係止部に係止された状態で、前記ソレノイドの可動鉄心が、前記ロックレバーの嵌合部に嵌合することによって、前記ロックレバーの動きを固定して、前記給電コネクタを前記受電コネクタに対してロック状態にする、
ことを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電気移動体用充電装置において、
前記受電コネクタは、前記可動鉄心が嵌合する嵌合部を有し、
前記給電コネクタは、前記給電コネクタが前記受電コネクタに接続されたときに、前記ソレノイドの可動鉄心が、前記受電コネクタの嵌合部に嵌合することによって、前記給電コネクタを前記受電コネクタに対してロック状態にする、
ことを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電気移動体用充電装置において、
前記コネクタロック状態検出手段は、
前記給電コネクタに設けられ、前記可動鉄心の駆動によって開閉される第1のスイッチおよび前記第1のスイッチに直列に接続された抵抗からなる抵抗回路と、前記抵抗回路に並列に接続された前記ソレノイドのコイルとからなる抵抗/コイル回路と、
前記充電器に設けられ、前記抵抗/コイル回路に並列に接続された、電流センサと第2のスイッチと直流電源との直列回路よりなるセンサ/電源回路と、前記電流センサの検出電流の値から、前記給電コネクタが前記受電コネクタに対してロック状態にされたか否かを判定するコネクタロック判定部とで構成される、
ことを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動車用充電装置において、
前記給電コネクタが前記受電コネクタに接続された後に、前記第2のスイッチがオンされると、
前記コネクタロック判定部は、
前記電流センサが検出した電流値が、前記ソレノイドのコイルのみに流れる電流の値である場合には、前記第1のスイッチが開いており、前記可動鉄心が前記嵌合部に嵌合しておらず、前記給電コネクタが前記受電コネクタに対してロック状態にないと判定し、
前記電流センサが検出した電流値が、前記ソレノイドのコイルに流れる電流と前記抵抗回路に流れる電流との合成値である場合には、前記第1のスイッチが閉じており、前記可動鉄心が前記嵌合部に嵌合し、前記給電コネクタが前記受電コネクタに対してロック状態にあると判定する、
ことを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気移動体用充電装置において、
前記報知手段は、前記コネクタロック判定部が、前記給電コネクタが前記受電コネクタに対してロック状態にないと判定した場合に、前記給電コネクタが前記受電コネクタに対してロック状態にないことを表示する表示装置または音響で知らせる音響装置であることを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項7】
請求項4,5または6に記載の電気移動体用充電装置において、
前記第1のスイッチは、前記可動鉄心に固定された1個の接触子と、前記可動鉄心の近傍に設けられ、前記接触子の両端がそれぞれ接触し得る2個の固定接点とで構成されることを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項8】
請求項4,5または6に記載の電気移動体用充電装置において、
前記第1のスイッチは、前記可動鉄心に固定された2個の可動接点と、前記可動鉄心の近傍に設けられ、前記2個の可動接点がそれぞれ接触し得る2個の固定接点とで構成されることを特徴とする電気移動体用充電装置。
【請求項9】
請求項2または3に記載の電気移動体用充電装置において、
前記嵌合部は、穴または凹部であることを特徴とする電気移動体用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−130127(P2012−130127A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278261(P2010−278261)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000002842)株式会社高岳製作所 (72)
【Fターム(参考)】