説明

電気粘性流体組成物

【課題】微粒子分散系電気粘性流体は、表面吸着水または構造水の誘電分極によって粒子がブリッジを形成する現象を利用するものであったため、表面吸着水または構造水の離脱により電気粘性効果が消滅する等、特性の安定性を欠く。
【解決手段】シリコーンオイル等の電気絶縁性媒体に、式(1)で表わされる非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物を分散させる構成にすることによって、電圧印加時の剪断力抵抗が大きく、120℃の高温においても特性に変化がなく、長期にわたって特性が安定しており、さらには電極を腐蝕させることがない電気粘性流体組成物を得る。
(MO)(MgO)(Al・SiO・nHO (1)
(式中Mはアルカリ金属イオン、0.02≦x≦0.3,0≦y≦0.33,0≦z≦0.33,0<y+z,0≦n≦1.5)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印加電圧によりその粘性が変化する電気粘性流体組成物、特に電気絶縁性媒体と分散質を含む分散系含水型の電気粘性流体組成物および分散質に関するものであり、クラッチ、バルブ、ショックアブソーバー等のアクチュエーター、インクジェットプリンター、電子ペーパー、表示装置等に使用することができる電気粘性流体組成物および分散質に関する。
【背景技術】
【0002】
分散系含水型の電気粘性流体(ER流体)は、電気絶縁性の分散媒に、層間に結合水を持つ層状化合物、あるいは表面に水酸基をもつ化合物等、すなわち含水誘電体微粒子を分散させた液体であって、電界強度が強くなるにつれ粘度が増大し、その結果せん断応力が増大する効果(ウィンズロー効果)を示す流体である。分散系含水型の電気粘性流体組成物においてこのような効果が発現する機序については諸説提案されている。現在のところ、微粒子表面の水酸基を含む拡散電気二重層の電荷分布が、外部からの電界により分極することにより、静電引力がはたらき、隣り合う微粒子が結合していき、ブリッジを形成する結果、せん断応力が発現するという説(電気二重層説)が有力であるが結論は出ていない。
【0003】
分散質を構成する微粒子としては、使用温度範囲が広く、製造プロセスが比較的単純である無機化合物微粒子が実用面で有利である。
【0004】
電気二重層説に従えば、無機化合物微粒子を用いて分散系含水型の電気粘性流体を構成するためには、微粒子に結晶水、表面吸着水または表面水酸基が存在する必要がある。さらに、実用面においては、使用温度範囲内でそれらの水が容易に遊離しないこと、および常温での長期間の保存によってそれらの水が容易に遊離しないことが必要である。
【0005】
分散系かつ含水型の電気粘性流体組成物として、電気絶縁性の分散媒に無機酸化物または水酸化物等の水和物粒子を分散させたものが提案されている。
【0006】
特許文献1には粒子径が0.01〜0.02μm、比表面積が105m2/gの球状二酸化ケイ素粉末と酸化ナトリウムからなる比表面積が101m2/gの酸化ケイ素粉末をシリコーンオイル中に分散させた電気粘性流体が開示されている。該文献によれば、ナトリウムを含有する二酸化ケイ素粉末は、含有しない二酸化ケイ素粉末に比べてはるかに高い電気粘性効果を示している。
【0007】
特許文献2には、無機質固体粒子である平均粒径5μmの球状シリカ粒子表面に、平均厚さ0.2μmのニッケルメッキ処理により導電性薄膜層を形成し、さらにアルミニウム酸化皮膜により表面に絶縁薄膜層を形成させた三層構造からなる微粒子を、ジメチルシリコーンオイル中に分散させた安定性の改善した電気粘性流体が開示されている。吸水したシリカが70℃ 3時間の加熱によりほとんど剪断応力を示さなくなったのに対し、該文献の三層構造からなるシリカ微粒子は、120℃ 24時間の加熱前後で同等の剪断応力を示す。
【0008】
特許文献3には、電気絶縁性液体に、分散質としてシリカゲル、さらにエチレングリコールまたはヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、臭化リチウム、水酸化ナトリウム等の塩または塩基を分散させた電気粘性流体が開示されている。該文献の第1および2表によれは、鉱油、シリカゲル、コハク酸イミド(分散剤)の系に対し上記いずれかの塩または塩基を添加することにより、40〜90℃の温度範囲において優れた応答性、再現性、経時安定性および高い増粘効果を示す。
【0009】
特許文献4には、電気抵抗の高い電気絶縁性媒体に、下記式
MaO(Al2O3)b(SiO2)c(H2O)d

(M:1価または2価の主族金属カチオン、水素またはアンモニウムイオン、a:Mが2価のときは1であり、Mが1価のときは2であり、b/cは1を越えることができず、cは1より小さくはない)
で表される、結晶質ゼオライトを含むアルミノ珪酸塩を分散させた電気レオロジー性流体が開示されている。上記式における主族金属カチオンとは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムまたはこれらの混合物である。該電気レオロジー性流体は、比較的高い(降伏応力または剪断応力)/(印加電場強度)比、低い導電率および高い絶縁破壊電圧という、動的または静的およびDCまたはAC駆動にかかわらず良好な特性をもつことが開示されている。
【0010】
特許文献5には、γ−アルミナ等の多孔質微粒子を電気絶縁性媒質に分散させた電気粘性流体において、多孔質微粒子表面に、金属塩の超微粒子すなわち塩化ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を担持させることによって、従来の電気粘性流体に比べてより大きな誘起剪断応力が得られ、電流が小さく、100℃以上の高温にさらされても、常温とほとんど変わらないことが開示されている。
【0011】
特許文献6には、非晶質含水ケイ酸マグネシウムとその製造方法が開示されている。該文献によれば、水溶性マグネシウム化合物と水溶性ケイ酸化合物、および必要に応じてpH調整用に無機酸を用いて反応することにより非晶質含水ケイ酸マグネシウムを合成することができる。
【特許文献1】特許第2615994号公報
【特許文献2】特許第2617959号公報
【特許文献3】特開平2−91195号公報
【特許文献4】特開平2−284991号公報
【特許文献5】特開平7−157745号公報
【特許文献6】特開2004−75674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
現在、分散系かつ含水型の電気粘性流体に関する課題として、以下の五つが挙げられる。
(1)電圧印加時の電流密度が大きい。0.1mA/m2以下にまで低減する必要がある。
(2)表面吸着水の遊離等の原因により常温における経時安定性に乏しい。
(3)120℃以上の高温での連続使用において、吸着水の離脱により電気粘性効果が消滅する。
(4)電気粘性効果が小さい。
(5)長期間使用すると電極の腐蝕が発生する。
【0013】
上記の課題のうち特に(2)と(3)は、含水型電気粘性流体においてはウィンズロー効果の発現そのものに寄与する吸着水または構造水の熱挙動に関わる欠点である。これらの課題を解決するために以下のような方法が提案されている。
【0014】
特許文献1の方法によれば、実質的には水を含まない非含水型であるにもかかわらず、塩化ナトリウムが表面吸着水の役割を果たすため、含水型特有の水の遊離による電気粘性効果の消滅という課題は解決されているものの、ナトリウムイオンおよび塩素イオンの存在により、電圧印加時の電流密度が大きく、また電極を腐食させるという新たな欠点がある。
【0015】
特許文献2の方法によれば、シリカ等の誘電体表面に導電性薄膜層を形成することにより、ウィンズロー効果発現に寄与するシリカの結合水および吸着水の離脱を阻止することができるため、安定性の改善が可能であるが、膜構成であるため、製造に多くのプロセスが必要であり、導電性薄膜層の遮蔽効果により内部電場が弱まり大きな剪断応力が得られないという欠点がある。
【0016】
特許文献3の方法は、分散質としてのシリカゲルの他に、さらにエチレングリコールまたはヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、臭化リチウム、水酸化ナトリウム等の塩または塩基を分散させたことにより、応答性、再現性、経時安定性の改善は望めるものの、大きなER効果を得るために塩または塩基の添加量を増加させると電流値が大きくなるという欠点がある。
【0017】
特許文献4の方法は、ゼオライト誘導体を使用しているため、そのER特性は吸着水分の影響を受けやすく、安定性がないという欠点がある。
【0018】
特許文献5の方法によれば、吸着水の離脱がないため特性が安定した電気粘性流体が得られるが、原料由来のハロゲンが電気粘性流体中に残留するため、電極を腐食させるという欠点がある。
以上のように、前記(1)〜(5)の課題を全て解決できうる電気粘性流体組成物はこれまで提案されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、電気絶縁性媒体に無機化合物粒子を分散させた電気粘性流体組成物において、該無機化合物として非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物を使用することにより、従来の含水型かつ分散系の電気粘性流体組成物における課題を解決した。すなわち、シリコーンオイル等の媒体に、式(A)で表される非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物を分散させた本発明の電気粘性流体組成物は、電圧印加時の剪断力抵抗が大きく、120℃の高温においても特性に変化がなく、長期にわたって特性が安定しており、さらには電極を腐蝕させることがない。
(M2O)(MgO)(Al2O3)・SiO2・nH2O (A)
(ただし、式中においてMはアルカリ金属イオン、x、y、zおよびnは0.02≦x≦0.3、0≦y≦0.33、0≦z≦0.33、0<y+z、0≦n≦1.5 とする)
【0020】
本発明の分散質としての式(A)で表されるアルカリ金属含有ケイ酸塩化合物は非晶質であることが好ましい。非晶質であるとは、内部標準を用いて測定したX線回折像から求められる結晶化度が0.9以下であることを意味する。たとえば、非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物が非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウムである場合、内部標準として酸化マグネシウムを用いる。非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末と酸化マグネシウム粉末を9:1の重量比で混合し、X線回折により2θ=20°付近の回折ピークであるナトリウム含有ケイ酸マグネシウム(002)面のピーク高さAと2θ=43°付近の回折ピークである酸化マグネシウム(200)面のピーク高さBとの比率A/Bにより表すことができる。本発明においては、結晶化度が0.5以下であることが好ましく、最適な実施態様では結晶化度が0.2 以下である。図7は、測定の一例である。
【0021】
式(A)におけるMは、好ましくは、Na+、K+およびLi+なる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンであり、最適な実施態様ではNaである。
【0022】
アルカリ金属Mの含有量は、酸化物(M2O)換算で2重量%以上であり、好ましくは3重量%以上であり、最適な実施態様では4重量%である。
【0023】
本発明の非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物の120℃における乾燥減量は5〜20%の範囲が好ましく、より好ましくは6〜15%であり、最適な実施態様では8%である。
【0024】
本発明の分散質としての非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物の具体例として、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム、非晶質ナトリウム含有ケイ酸アルミニウム、非晶質カリウム含有ケイ酸マグネシウム、非晶質カリウム含有ケイ酸アルミニウム、非晶質リチウム含有ケイ酸マグネシウム、非晶質リチウム含有ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、最適な実施態様では、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウムである。
【0025】
(A)式で表されるアルカリ金属含有ケイ酸塩化合物に、組成上類似のケイ酸塩化合物として、たとえばタルク(滑石)やセピオライト等の天然鉱物が挙げられるが、両者共結晶質であり、特にタルクはアルカリ金属を含有しないため、本発明の用途には適さない。
【0026】
本発明における分散質は、前記したような非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物のうちのいずれか1種類のみでも効果的であるが、2種類以上、例えば非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウムと、非晶質ナトリウム含有ケイ酸アルミニウムを配合すればさらに効果的でる。
【0027】
本発明の非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物は、特許文献6 第4ページ右段16行目〜第5ページ右段19行目 または第6ページ右段12行目〜28行目等に記載の方法に基づいて合成することができる。すなわち、マグネシウムおよび/またはアルミニウムの水溶性化合物とMの水溶性ケイ酸化合物を、無機酸でpHを9程度に調整しながら室温で反応させることにより非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物を合成することができる。ただし、本発明の用途には、アルカリ金属が重要な役割を果たすので、イオン交換処理によるアルカリ金属低減は行わない。このような方法で合成した非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物のBET比表面積は70〜300 m2/gであり、平均粒子径は20〜30μmである。
【0028】
前記マグネシウムの水溶性化合物としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等があげられ、最適実施態様では、硫酸マグネシウムである。前記アルミニウムの水溶性化合物としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等があげられ、最適実施態様では、硫酸アルミニウムである。
【0029】
Mすなわちアルカリ金属のケイ酸化合物としては、Mがナトリウムである場合は、一般式Na2O・nSiO2(n=2〜4)で示されるケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムまたはオルトケイ酸ナトリウム等が挙げられ、Mがカリウムである場合はケイ酸カリウム等、Mがリチウムである場合はメタケイ酸リチウム等が挙げられ、最適実施態様では3号水ガラス(Na2O・3SiO2)を用いる。
【0030】
本発明における電気粘性流体組成物において、分散媒となる電気絶縁性媒体としては、シリコーンオイル、フッ素油、エステル系オイル、鉱油等が挙げられるが、最適な実施態様では、シリコーンオイルである。
【0031】
本発明における電気粘性流体組成物において、分散質としての非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物の含有量は、5〜50重量%の範囲が好ましいが、電圧OFF時の初期粘度が低いほうが好ましいことを考慮すると、5〜20重量%の範囲がより好ましく、最適な実施態様では、10重量%である。
【0032】
本発明における電気粘性流体組成物は、分散媒および分散質以外の成分として、例えば界面活性剤等を含有していてもよい。
【0033】
かくして本発明によれば、電気粘性流体組成物が提供される。
(1)電気絶縁性媒体と分散質組成物を含む電気粘性流体組成物において使用するための、下記式(A)で表される非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物を含む分散質組成物。
(M2O)(MgO)(Al2O3)・SiO2・nH2O (A)
(ただし、式中においてMはアルカリ金属イオン、x、y、zおよびnは0.02≦x≦0.3、0≦y≦0.33、0≦z≦0.33、0<y+z、0≦n≦1.5 とする)
(2)前記ケイ酸塩化合物の120℃における乾燥減量が5〜20%の範囲であることを特徴とする上記(1)記載の分散質組成物。
(3)前記ケイ酸塩化合物のアルカリ金属の含有量が、酸化物(M2O)換算で2重量%以上であることを特徴とする上記(1)記載の分散質組成物。
(4)前記ケイ酸塩化合物がケイ酸マグネシウムであることを特徴とする上記(1)記載の分散質組成物。
(5)前記ケイ酸塩化合物がケイ酸アルミニウムであることを特徴とする上記(1)記載の分 散質組成物。
(6)電気絶縁性媒体100重量部に対し、分散質として上記式(A)で表される非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物が5〜20重量部分散している電気粘性流体組成物。
(7)前記電気絶縁性媒体がシリコーンオイルであることを特徴とする上記(6)記載の電気粘性流体組成物。
【0034】
以下本発明の電気粘性流体組成物についてさらに詳細に説明する。
本発明における電気粘性流体組成物の分散質は、ケイ酸塩化合物の構造中に、ケイ酸塩化合物の負電荷を中和する形でNa等のアルカリ金属イオンを含有させた化合物であり、従来の特許文献1、同3あるいは同5のように、分散質とは別にNaCl等のアルカリ金属塩を添加する方法と異なり、遊離イオンが電極上で析出物を形成したり、ハロゲンによって電極が腐蝕するという問題はない。さらには、遊離性のイオンがないため高電圧を印加しても電流密度は小さい。
【0035】
また、本発明においては、ウィンズロー効果の発現は、シラノール基の水酸基部分または水酸基部分への吸着水分の誘電分極によるものではなく、構造中のアルカリ金属イオンの移動による誘電分極によるものなので、特許文献4で開示された方法のような吸着水分の離脱による不安定性がないし、特許文献2の方法のように導電性被膜で表面を覆うことによる内部電場の低下が起こらないため、粘度の変化率が大きい。
上記特性の安定性は常温のみならず120℃を越える高温においても同様である。
【0036】
本発明の電気粘性流体組成物の分散質は、非晶質のアルカリ金属含有ケイ酸塩化合物であるため、類似した組成ではあるが結晶質のタルクやセピオライト(ともに天然のケイ酸マグネシウム)に比較すると単位印加電圧当たりの粘度の変化率がはるかに大きい。非晶質であることによる粘度変化率増大効果については明らかではないが、発明者らは非等方等質の結晶物質より等方等質の非晶質である方が分極の自由度が大きいからであると考えている。
【0037】
本発明の電気粘性流体組成物の分散質としての非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物は、本発明では平均粒子径が20〜30μmであるが、従来から知られているように数μm前後にまで微細化すれば、単位印加電圧当たりの粘度の変化率がはるかに大きくなることが予想される。
【0038】
本発明の非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物は、前述したように特許文献6に記載の方法に基づいて合成することができる。
【0039】
具体的には、例えば非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウムは、硫酸マグネシウム(MgSO4)とケイ酸ナトリウム(Na2O・nSiO:nは2〜4)を反応させることにより合成できる。反応の際に、必要に応じて例えば硫酸を添加してpH調整を行う。
【0040】
反応生成物のNa含有量を多くするためには、反応させるケイ酸ナトリウムの量を多くすればよい。
【0041】
得られた反応懸濁液は、固液分離して水洗後、脱水し乾燥させる。乾燥は噴霧乾燥、棚式乾燥によって行う。
【0042】
さらに、必要であれば、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて粉砕することによりさらに微細な粉末が得られる。
【0043】
特許文献6に記載の方法においては、本発明とは異なる使用目的に対応してナトリウム含有量を低減するため、水洗後イオン交換を行うが、本発明においてはこの工程は削除される。
【発明の効果】
【0044】
本発明の第一の効果は、電圧印加時の電流密度が小さい電気粘性効果が得られることである。第二の効果は、常温で長期間にわたって電気粘性効果が安定した電気粘性流体組成物が得られることである。第三の効果は、120℃以上の高温での連続使用においても電気粘性効果が持続する電気粘性流体組成物が得られることである。第四の効果は、単位印加電圧当たりの粘度変化率の大きな電気粘性流体組成物が得られることである。第五の効果は、長期間使用しても電極の腐蝕が発生しない電気粘性流体組成物が得られることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
実施例以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下用いた全ての薬品は、特に記すもの以外和光純薬製の一級試薬を使用した。
【実施例1】
【0046】
分散質の合成
(実施例1−1)(Na2O)0.061 (MgO)0.055・SiO2・0.448 H2Oの合成
硫酸マグネシウム0.338モル/Lの水溶液、硫酸0.958モル/L水溶液、およびNa2O 1.052モル/L、SiO2 3.324モル/Lの3号水ガラス水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が9.27mL/分、9.16mL/分および14.90mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で6時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは9.89であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0047】
(実施例1−2)(Na2O)0.094 (MgO)0.329・SiO2・1.268 H2O の合成
硫酸マグネシウム1.378モル/Lの水溶液、NaOH 1.114モル/L水溶液、およびNa2O 0.707モル/L、SiO2 2.227モル/Lの3号水ガラス水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が9.03mL/分、6.70mL/分および17.60mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で8時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは10.19であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0048】
(実施例1−3)(Na2O)0.021 (MgO)0.058・SiO2・0.441 H2O の合成
硫酸マグネシウム 0.239モル/Lと硫酸0.534モル/Lの混合溶液およびNa2O 0.715モル/L、SiO2 2.236モル/Lの3号水ガラス水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が16.14mL/分、17.19mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で6時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは8.40であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0049】
(実施例1−4)(Na2O)0.034 (MgO)0.092・SiO2・0.465 H2O
の合成
硫酸マグネシウム0.604モル/Lと硫酸1.054モル/Lの混合溶液およびNa2O 1.057モル/L、SiO2 3.324モル/Lの3号水ガラス水溶液をそれぞれ調整し、容積3Lのステンレス製反応槽に、予め水を1.35L入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が8.27mL/分、15.04mL/分となるように定量ポンプで供給し、80℃で2時間反応した。得られた反応スラリーのpHは9.51であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0050】
(実施例1−5)(Na2O)0.043 (MgO)0.065・SiO2・0.386 H2O の合成
硫酸マグネシウム0.271モル/Lの水溶液、硫酸0.914モル/L水溶液、およびNa2O 1.067モル/L、SiO2 3.360モル/Lの3号水ガラス水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が10.36mL/分、9.83mL/分および13.15mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で11時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは9.45であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0051】
(実施例1−6)(Na2O)0.026 (MgO)0.125・SiO2・0.410 H2O の合成
容積1Lのステンレス製反応槽に、硫酸マグネシウム 0.940モル/Lと塩酸1.880モル/Lの混合溶液319.1mLを入れ、攪拌しながらNa2O 1.070モル/L、SiO2 3.445モル/Lの3号水ガラス水溶液560.7mLを、流量が56.07mL/分となるように滴下し、室温で2時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは8.74であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質ナトリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0052】
(実施例1−7)(K2O)0.049 (MgO)0.079・SiO2・0.417 H2O
の合成
硫酸マグネシウム0.276モル/Lの水溶液、硫酸1.814モル/L水溶液およびケイ酸カリウム(K2SiO3)2.466モル/L水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が11.17mL/分、10.90mL/分および11.27mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で10時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは9.92であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質カリウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0053】
(実施例1−8)(Li2O)0.210 (MgO)0.107・SiO2・0.491 H2O
の合成
硫酸マグネシウム0.271モル/Lの水溶液、硫酸1.883モル/L水溶液およびメタケイ酸リチウム(Li2SiO3)2.232モル/L水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が11.06mL/分、10.19mL/分および12.08mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で11時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは9.63であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質リチウム含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0054】
(実施例1−9)(Na2O)0.059 (Al2O3)0.048・SiO2・0.454 H2O
の合成
硫酸アルミニウム0.459モル/Lの水溶液、硫酸1.118モル/L水溶液およびNa2O 1.047モル/L、SiO2 3.309モル/Lの3号水ガラス水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が8.66mL/分、5.68mL/分および18.99mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で8時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは9.42であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質リチウム含有ケイ酸アルミニウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0055】
(実施例1−10)(K2O)0.044 (Al2O3)0.044・SiO2・0.633 H2O
の合成
硫酸アルミニウム0.276モル/Lの水溶液、硫酸1.877モル/L水溶液およびケイ酸カリウム(K2SiO3)2.532モル/L水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が7.71mL/分、11.63mL/分および13.47mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で7時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは9.58であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質カリウム含有ケイ酸アルミニウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0056】
(実施例1−11)(Li2O)0.194 (Al2O3)0.103・SiO2・0.523 H2O
の合成
硫酸アルミニウム0.345モル/Lの水溶液、硫酸1.842モル/L水溶液およびメタケイ酸リチウム(Li2SiO3)2.311モル/L水溶液をそれぞれ調整し、溢流装置で容積1Lとしたステンレス製反応槽に、予め水を500mL入れ、攪拌しながら、それぞれの流量が9.41mL/分、9.87mL/分および14.05mL/分となるように定量ポンプで供給し、室温で10時間連続反応した。得られた反応スラリーのpHは9.39であった。スラリーを乾燥し、さらに粉砕機によって粉砕し、非晶質リチウム含有ケイ酸アルミニウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
(比較例1−1)(MgO)0.146・SiO2・0.465 H2O の合成
実施例1−6で得られた反応スラリーをヌッチェにて吸引しながら脱水し、ケーキを形成させた後、0.276モル/L 硫酸マグネシウム水溶液を、ケーキ中の固形物重量に対し20倍量で洗浄し、ナトリウムをイオン交換除去し、さらに同様に20倍量のイオン交換水で水洗した。得られた洗浄済みケーキを乾燥後、粉砕機によって粉砕し、ナトリウムを含有しない非晶質アルカリ金属非含有ケイ酸マグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表2に示す。
【0059】
(比較例1−2)MgO)0.106 (Al2O3)0.009・SiO2・0.592 H2O
の合成
実施例1−6で得られた反応スラリーをヌッチェにて吸引しながら脱水し、ケーキを形成させた後、0.01モル/L 硫酸アルミニウム水溶液を、ケーキ中の固形物重量に対し20倍量で洗浄し、ナトリウムをイオン交換除去し、さらに同様に20倍量のイオン交換水で水洗した。得られた洗浄済みケーキを乾燥後、粉砕機によって粉砕し、非晶質アルカリ金属非含有ケイ酸アルミニウムマグネシウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表2に示す。
【0060】
(比較例1−3)
本比較例であるタルク (MgO)0.757 (Al2O3)0.002・SiO2・0.255 H2O(市販品)粉末の組成および諸特性を表2に示す。
【0061】
(比較例1−4)
本比較例である市販の非晶質アルカリ金属非含有ケイ酸マグネシウム (Na2O)0.031 (MgO)0.344・SiO2・1.171 H2O(KW−600:市販品/協和化学工業(株))粉末の組成および諸特性を表2に示す。
【0062】
(比較例1−5)
本比較例である市販の非晶質アルカリ金属非含有ケイ酸マグネシウム (Na2O)0.036 (MgO)0.592・SiO2・1.570 H2O(アトリフ:市販品/協和化学工業(株))粉末の組成および諸特性を表2に示す。
【0063】
(比較例1−6)(Al2O3)0.100・SiO2・0.583 H2Oの合成
実施例1−9で得られた反応スラリーをヌッチェにて吸引しながら脱水し、ケーキを形成させた後、0.01モル/L 硫酸アルミニウム水溶液を、ケーキ中の固形物重量に対し20倍量で洗浄し、ナトリウムをイオン交換除去し、さらに同様に20倍量のイオン交換水で水洗した。得られた洗浄済みケーキを乾燥後、粉砕機によって粉砕し、非晶質アルカリ金属非含有ケイ酸アルミニウム粉末を得た。得られた粉末の組成および諸特性を表2に示す。
【0064】
以上、本発明の非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物粉末、および比較対照として、アルカリ金属を含有しない非晶質ケイ酸塩化合物粉末を合成した。
【0065】
【表2】

【実施例2】
【0066】
電気粘性効果の測定
(試料)
実施例1で合成した各分散質を、共通の分散媒であるシリコーンオイル(KF96-20CS/信越化学) 100重量部に対し5重量部分散させて電気粘性流体組成物を調製した。
(測定方法)
1.装置
二重円筒型粘度計 FannVGメーター
ボブとローター間隔 1.165mm
ボブの円筒部 φ35mm×H38mm(S=0.0042m2
剪断速度 170 sec−1
直流高圧電源 HARB10R10(松定プレシジョン)
2.方法
ビーカーに試料を入れ、超音波により十分に分散させておく。図1に示すように、試料を二重円筒型粘度計にセットする。二重円筒型粘度計は、ボブがプラス、ローターがGNDになるように直流高圧電源と接続しておく。ボブ−ローター間に充填された試料に、DC電圧を印加し、見かけ粘度と印加電圧の比(見かけ粘度上昇/単位印加電圧:以下粘度変化率)を調べた。濃度については5phrと10phrの2種類、さらに120℃で16時間および6日間乾燥処理後の粘度変化率を調べた。
3.結果
実施例1-1〜1-11および比較例1-1〜比較例1-6で得た分散質を使用して調製した電気粘性流体組成物につき、粘度変化率を調べた結果を、実施例2-1〜2-11および比較例2-1〜2-6として表3および表4に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
そのうち、分散質濃度が5phrの場合の、実施例1-2、1-4および比較例1-3、1-4について、電圧(V)-見かけ粘性(cp)のグラフを図2に示す。
【0070】
また、実施例2-2につき、濃度5phrの場合の初期データおよび120℃ 16時間乾燥させた後の電圧(V)-見かけ粘性(cp)のグラフを図3に、比較例2-4につき、濃度5phrの場合の初期データおよび120℃ 16時間乾燥させた後の電圧(V)-見かけ粘性(cp)のグラフを図4に示す。
【0071】
アルカリ金属含有量が1.5%未満の比較例では、粘度変化率が大きくても0.1程度であり、しかも120℃で乾燥させると全く粘度変化を示さなくなる。一方、Na、KおよびLiのアルカリ金属の種類によらずアルカリ金属含有量が1.5%以上の本発明実施例では粘度変化率が大きく、また、120℃で乾燥させても電気粘性を維持していることがわかる。
【0072】
さらに、図5は、実施例2−2につき、分散質の濃度を10phrにした場合の、初期データおよび120℃で 16時間乾燥させた後の電圧(V)−見かけ粘性(cp)のグラフである。図5が示すように、本発明の電気粘性流体組成物においては、分散質の濃度を大きくすることにより、顕著に大きな粘度変化率を示すことがわかる。従って、分散質の濃度を、本発明の実施例に開示された濃度範囲である5〜10phrを越える濃度に設定することにより、より大きな粘度変化率を示す電気粘性流体組成物を得ることが可能であることには容易に想到する。分散質の濃度を大きくするためには、本発明の分散質をさらに粉砕する等により、粒子径を微細化することによって達成できる。
【実施例3】
【0073】
電流値の測定
実施例1−1〜1−11および比較例1−1〜比較例1−6で得た分散質を使用して調製した電気粘性流体組成物につき、実施例2と同様の測定法で、各試料に電圧を印加したときの、電流値を測定した結果を表5および6に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
アルカリ金属含有量が1.5%以上の本発明実施例では、アルカリ金属を含有しない比較例と同様に、120℃で乾燥させて付加水分を離脱させることにより、1mA以下の極微少な消費電流でもその効果を発揮することがわかる。
【実施例4】
【0077】
示差熱分析テスト
実施例1-1で調製した非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物粉末について示差熱分析を行った結果、図6の結果を得た。本発明の分散質としては、図6のような、すなわち120℃以上で平坦な温度-重量曲線を示すことが望ましい。
【実施例5】
【0078】
X線回折
実施例1-1で調製した非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物粉末についてX線回折分析を行った結果、図7のX線回折図を得た。
図7において、ピーク1は非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物のピークであり、ピーク2は内部標準である酸化マグネシウム(和光純薬試薬特級)のピークである。
【0079】
分析、テストの方法および装置の説明
分析、テストの方法および装置を以下に説明する。
(1) SEM
方法:加速電圧15KV、作動距離10mm、倍率2千倍、1万倍、2万倍
装置: S-3000N(日立)
(2) 示差熱分析
方法:空気雰囲気100ml/min ;参照試料α-アルミナ; 昇温速度10℃/分
装置:Thermal Analysis
Station TAS 100;TG8110(理学)
(3) 粒度分布の分析
方法:0.2%のヘキサメタリン酸ナトリウムに試料粉末を添加し(濃度:Wt1%)、超音波で3分間分散させ、粒子径を測定した。
装置: LA-910(HORIBA)
(4) 比表面積BETの分析
方法:3点法による
装置: NOVA2000高速比表面積/細孔分布測定装置(ユアサ
アイオニクス)
(5) X線回折の分析
方法:Cu-Kα、角度(θ):5〜65、ステップ:0.02、スキャンスピード:4、管電圧:40kV、管電流:20mV。
装置:RINT2200VX線回折システム(理学電機(株)社製)
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は実施例2にかかる二重円筒型粘度計と直流高圧電源からなる電気粘性効果の測定装置概略図である。
【図2】図2は、分散質濃度が5phrの場合の、実施例1−2、1−4および比較例1−3、1−4について、電圧(V)−見かけ粘性(cp)のグラフである。横軸がDC電圧(V)、縦軸が見かけ粘性(cp)である。
【図3】図3は実施例2−2につき、分散質濃度が5phrの場合の初期データおよび120℃ 16時間乾燥させた後の電圧(V)−見かけ粘性(cp)のグラフである。
【図4】図4は比較例2−4につき、分散質濃度が濃度5phrの場合の初期データおよび120℃ 16時間乾燥させた後の電圧(V)−見かけ粘性(cp)のグラフである。
【図5】図5は実施例2−2につき、分散質濃度が濃度10phrの場合の初期データおよび120℃ 16時間乾燥させた後の電圧(V)−見かけ粘性(cp)のグラフである。
【図6】図6は実施例4にかかる非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物粉末の示差熱分析図である。横軸が温度(℃)、縦軸が重量(%)である。
【図7】図7は実施例5にかかる非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物粉末のX線回折図である。図中のピーク1は非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物のピークであり、ピーク2は内部標準である酸化マグネシウムのピークである。
【符号の説明】
【0081】
1・・・二重円筒型粘度計本体
2・・・ボブ
3・・・ローター
4・・・電気粘性流体組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性媒体と分散質組成物を含む電気粘性流体組成物において使用するための、下記式(A)で表される非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物を含む分散質組成物。
(M2O)(MgO)(Al2O3)・SiO2・nH2O (A)
(ただし、式中においてMはアルカリ金属イオン、x、y、zおよびnは0.02≦x≦0.3、0≦y≦0.33、0≦z≦0.33、0<y+z、0≦n≦1.5とする)
【請求項2】
前記ケイ酸塩化合物の120℃における乾燥減量が5〜20%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の分散質組成物。
【請求項3】
前記ケイ酸塩化合物のアルカリ金属の含有量が、酸化物(M2O)換算で2重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の分散質組成物。
【請求項4】
前記ケイ酸塩化合物がケイ酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1記載の分散質組成物。
【請求項5】
前記ケイ酸塩化合物がケイ酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の分散質組成物。
【請求項6】
電気絶縁性媒体100重量部に対し、分散質として上記式(A)で表される非晶質アルカリ金属含有ケイ酸塩化合物が5〜20重量部分散している電気粘性流体組成物。
【請求項7】
前記電気絶縁性媒体がシリコーンオイルであることを特徴とする請求項6記載の電気粘性流体組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−342237(P2006−342237A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168272(P2005−168272)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000162489)協和化学工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】