説明

電気絶縁用ワニス組成物及びその使用法

電気絶縁性熱可塑性樹脂コーティングを形成するワニス組成物が開示される。該ワニス組成物は、少なくとも1つの脂肪族不飽和基を有し、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が約0.06〜約0.25dL/gである官能性ポリ(フェニレンエーテル)を含む。該ワニス組成物はさらに、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、反応性液体モノマーと、相溶化剤と、を含む。該ポリマー類と反応性液体モノマーは硬化すると、前記絶縁性熱可塑性樹脂を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁機械用のワニス組成物、特にポリ(フェニレンエーテル)含有ポリマーブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
モータなどの電気誘電装置のステータ巻線には、表面にエナメルや他の絶縁塗料を有するマグネットワイヤーが巻かれるが、この巻線をさらにコーティングして周囲から密封することが望ましいことが多い。このステータ巻線が水分や、砂と泥などの摩耗性物質に曝露される環境でモータが使用される場合は、追加のコーティングを行って、こうした環境からこのステータ巻線をさらに保護することが望ましいことが多い。例えば、機関車のトラクションモータの冷却システムに使われるブロワモータでは、ステータ巻線を保護することが望ましい。また、水分と共に、砂や泥などが直接吹き付ける油田での駆動ポンプに用いられる開閉モータでも、ステータ巻線の保護が望ましい。
【0003】
ある機関車トラクションモータに用いられるものなどの、従来の硬化性ワニス組成物は、不飽和ポリエステル樹脂(UPR)系のいわゆる「無溶剤」ワニスである。しかしながら、こうしたワニス系のガラス転移温度(Tg)は80℃を大幅に下回っている。したがって、通常は約160℃のモータ運転温度におけるそれらの性能は、運転期間が長期に及ぶと著しい熱劣化が起こり得る。また、特に機関車運転に伴う振動を受けると、こうしたワニス類は細かく砕けるか割れる傾向がある。また、こうしたUPRワニス類は吸湿速度が大きく、そのエステル結合が加水分解性であるために、より頻繁にメインテナンスするに繋がり得る。
【0004】
従って、耐高温性にすぐれたワニス組成物と、該ワニス組成物を用いた電気装置の絶縁方法が求められている。
【発明の開示】
【0005】
少なくとも1つの脂肪族不飽和基を有し、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が約0.06dL/g〜約0.25dL/gの範囲にある官能性ポリ(フェニレンエーテル)と、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、反応性液体モノマーと、相溶化剤と、を含む組成物が開示される。
【0006】
また、モータ部品を提供するステップと、上記に記載のワニス組成物を前記モータ部品に塗布するステップと、前記ワニス組成物を硬化させて前記モータ部品上に電気絶縁性熱硬化性コーティングを形成するステップと、を備えることを特徴とするワニス組成物を用いたモータの電気絶縁方法が開示される。
【0007】
本発明の他の特長は、以下の典型的な実施形態に関するより詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のある典型的な実施形態では、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、低固有粘度(IV)の官能性ポリ(フェニレンエーテル)と、遊離基反応または連鎖反応に参画し得る反応性液体モノマーと、相溶化剤と、を含み、前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は少なくとも1つの不飽和基を有し、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が約0.06dL/g〜約0.25dL/g、具体的には約0.09〜0.15dL/gであることを特徴とする組成物が開示される。
【0009】
本発明の別の典型的な実施形態では、ある組成物は、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、25℃のクロロホルム中で測定して約0.06dL/g〜約0.25dL/gの固有粘度と反応性液体モノマーとを含む低固有粘度(IV)の官能性ポリ(フェニレンエーテル)と、反応性液体モノマーと、相溶化剤と、のブレンドを含み、硬化すると、ガラス転移温度は約75℃より高い。
【0010】
別の実施形態では、モータの電気絶縁用のある組成物は、それぞれ1つまたは2つのアクリロイルまたはメタクリロイル末端基を有し、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が約0.06dL/g〜約0.25dL/gの範囲にある単官能性または二官能性ポリ(フェニレンエーテル)と、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、ビニルトルエン、スチレン、アルキルスチレン類およびこれらの組み合わせから成る群から選択される反応性液体モノマーと、を含み、前記アルキルは、C−Cアルキルであり、選択的に1つまたは複数のハロゲン類で置換され得る。
【0011】
PPE(ポリ(フェニレンエーテル)およびUPR(不飽和ポリエステル樹脂)またはVER(ビニルエステル樹脂)はそれぞれ、ビニルトルエンおよび他の反応性液体モノマー類に溶解することが知られている。しかしながら、反応性液体モノマー中の2つのポリマー類の混合物は、非混和性層あるいは非混和性相を生じ得る。相分離は、主要ポリマーであるPPEおよびUPRまたはVERの混合質量比が50:50に近い場合、特に急速に起こり得る。相分離は種々の比率で起こり得るが、主要ポリマーの混合質量比が例えば95:5または5:95の場合と比較して、50:50に近づくと特に急速に起こる。
【0012】
PPEとUPRあるいはPPEとVERのブレンドを含有する改良ワニス組成物類は、コーティング前のポリマー混合物の安定化に用いられる相溶化剤の使用によって得られることがわかった。ある実施形態では、該相溶化剤は、例えばアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー由来のアクリルブロックおよびスチレンモノマー由来のスチレン系ブロックなどの、アクリルおよびスチレン系ブロック類を含むブロック共重合体である。例えば、メタクリル酸ブロック類とスチレンブロック類が特に効果的であることがわかった。例えばブタジエンなどの共役ジエンのモノマー類から誘導されるブロックを追加できる。しかしながら、ブロック類の追加は選択的である。相溶化剤を用いることによって、温度20℃で少なくとも約24時間、具体的には温度20℃で3ヶ月以上、相安定したPPEとUPRのブレンドが得られる。前記の相溶化剤を用いることによって、該ブレンドは種々の温度において相安定であり、例えば温度45℃で同じく少なくとも約24時間、具体的には温度45℃で3ヶ月以上相安定である。「相安定」とは、液を2つの相に分離する目に見える巨視的な分離がないことを意味する。
【0013】
該相溶化剤は一般に、芳香族モノマー、具体的にはPPE混和性のスチレン系モノマー由来の1つのブロックと、例えばアクリレート、メタクリレート、酢酸ビニル、無水マレイン酸モノマーなどから誘導される、あるいはポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレートなどのポリエステルブロックを形成するモノマー類から誘導される、UPEまたはVER混和性の他のブロックまたは鎖と、を含むブロック共重合体である。この場合、該ブロック共重合体を使用して、そうでなければ非混和性である2つのポリマー間の相分離を防止している。前記相溶化剤のブロックを形成するスチレン系モノマーは、例えば下記の式で表されるモノマーとすることができる。
【化1】

式中、R11は、水素、炭素原子数が1〜7の低アルキルまたはハロゲンであり、Zはハロゲンまたは炭素原子数が1〜7の低アルキルであり、pは1〜5である。
【0014】
ある典型的な実施形態では、相溶化剤として使用されるブロック共重合体類は、Arkema社(フィラデルフィア)からNANOSTRENGTHの商標名で市販されており、その中には、共重合体中にスチレンブロックとブタジエンブロックとを有する比較的極性のポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)ブロック類が含まれる。NANOSTRENGTH共重合体類は、ポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)で構成されており、SBMブロック共重合体と呼ばれる。一部の実施形態では、NANOSTRENGTH SBM類はアニオン技術を用いて重合化でき、PMMAブロックに対して高度にシンジオタクチックな構造が得られる、すなわち、PMMAブロックのモノマー単位は右旋性と左旋性とを交互に繰り返す。具体的な種類としては、Arkema社からNANOSTRENGTH E20、A012、A123およびA250として市販されているブロック共重合体類が挙げられる。こうしたSBMブロック共重合体類は、Arkema社からCLEARSTRENGTHのファミリー商標名でも市販されている。スチレン−ポリオレフィン−メタクリル酸メチルの他の使用可能なブロック共重合体類はAtofina社から市販されており、その中にはAF−X223、AF−X333、AF−X012、AF−X342、AF−X004およびAF−X250などが含まれる。他の相溶化剤としては、スチレンと無水マレイン酸の低分子量ブロック共重合体類がある。それらのスチレンと無水マレイン酸のモル比は、例えば1:1〜4:1などのように変化し得る。それらには部分モノエステル類が含まれる。こうしたブロック共重合体類は、Sartomer社(エクストン、PA)からSMA3840(登録商標)として市販されている。こうしたブロック共重合体類は当業者には既知であり、また固体状にできる。
【0015】
ある実施形態では、本ワニス組成物は、組成物に対して約20〜約70質量%、この範囲で具体的には25質量%以上、より具体的には30質量%以上、さらにより具体的には35質量%以上、さらにより具体的には40質量%以上であり、またこの範囲で具体的には65質量%以下、より具体的には60質量%以下、さらにより具体的には55質量%以下、さらにより具体的には40質量%以下の反応性液体モノマーと、組成物に対して約10〜45質量%、この範囲で具体的には15質量%以上、より具体的には20質量%以上、さらにより具体的には25質量%以上であり、またこの範囲で具体的には40質量%以下、より具体的には35質量%以下、さらにより具体的には30質量%以下の官能性ポリ(フェニレンエーテル)と、組成物に対して約2〜20%、この範囲で具体的には5質量%以上、より具体的には8質量%以上、さらにより具体的には10質量%以上であり、またこの範囲で具体的には17質量%以下、より具体的には15質量%以下、さらにより具体的には12質量%以下の相溶化剤と、を含んでおり、ここで、これらの質量%は組成物の合計質量に対するものである。
【0016】
従って、ある実施形態では、該ワニス組成物は「無溶剤」ワニスであり得る。無溶剤とは、混合によって該ワニス組成物が硬化し、ポリマー類と反応性液体モノマーとが反応して電気絶縁性熱硬化性樹脂を形成することを意味する。また、無溶剤であるとは、官能性PPEおよびUPRまたはVERと共重合化しない溶剤類を含まないことも意味する。
【0017】
該組成物中の官能性ポリ(フェニレンエーテル)は、少なくとも1つの脂肪族炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を含むポリ(フェニレンエーテル)(PPE)とすることができる。官能性ポリ(フェニレンエーテル)類には、キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)類および環状−官能性ポリ(フェニレンエーテル)類が含まれる。官能性ポリ(フェニレンエーテルは、本ワニス組成物中の官能性ホモポリマーまたは共重合体とすることができる。該官能性PPEは、低分子量ポリカーボネート類、キノン類、複素環類、フォルマル類などのカップリング剤が2つのポリ(フェニレンエーテル)鎖と既知の方法で反応して高分子量のポリマーを製造するカップル化PPEと共に、ビニルモノマー類およびポリスチレン類やエラストマー類などのポリマー類のグラフトにより調製される部分を含むPPEから誘導することもできるが、但し、遊離OH基の実質的な部分が残っていなければならない。ある典型的な実施形態では、官能化されたPPEはホモポリマーである。
【0018】
該官能化ポリ(フェニレンエーテル)がキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)の場合、少なくとも1つの末端水酸基が末端処理されるか、あるいは脂肪族不飽和基を含む末端基で「キャップ化」されて官能化PPEを作る。該キャップ化PPEは単官能基化されているか、または、例えば二官能基化などのように多官能基化されている。すなわち、キャッピング化はPPB鎖の一端のみあるいは両端、または分枝鎖PPEの複数端で起こり得る。上記の通り、末端キャップは、例えばアクリロイルまたはメタクリロイル基などの任意の脂肪族不飽和官能基とすることができる。
【0019】
ある実施形態では、該キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)は、式(I)の構造を有する少なくとも1つの一価フェノールの重合生成物であるポリ(フェニレンエーテル)のキャップ化により製造される。
【化2】

式中、QおよびQはそれぞれ独立に、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、QおよびQはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシである。好適な一価フェノールには、Hayの米国特許第3,306,875号に記載されているものが含まれ、さらに好適な一価フェノールとしては、2,6−ジメチルフェノールおよび2,3,6−トリメチルフェノールが挙げられる。該ポリ(フェニレンエーテル)は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールなどの少なくとも2つの一価フェノール類の共重合体であってもよい。より具体的には、上記のC−C12基はすべて、C−C基とすることができる。本明細書では、用語「ヒドロカルビル」は、単独で用いられていても、他の用語の接頭辞、接尾辞あるいはその一部として用いられていても、炭素と水素だけを含む残基を指す。残基は、脂肪族あるいは芳香族、直鎖、環式、二環式、分枝鎖、飽和あるいは不飽和とすることができる。それにはまた、脂肪族、芳香族、直鎖、環式、二環式、分枝鎖、飽和および不飽和の炭化水素部分の組み合わせが含まれていても良い。
【0020】
ある実施形態では、キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)は、式(II)の構造を有する少なくとも1つのキャッピング基を含む。
【化3】

式中、R、RおよびRは各々独立に、水素、C−C18ヒドロカルビル、C−C18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミダート、チオカルボキシレートなどである。一部の実施形態では、該キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)は、少なくとも1つのアクリレート(R=R=R=水素)あるいはメタクリレート(R=メチル、R=R=水素))キャピング基を含む。接頭辞「(メタ)アクリル−」は「アクリル−」および「メタクリル−」の両方を含んでいることは理解されるであろう。ある実施形態では、C−C18ヒドロカルビルとC−C18ヒドロカルビルオキシカルボニルは炭素原子数を7個まで含むことができる。
【0021】
一部の実施形態では、該キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)は、一価フェノールの残基を含む式(III)の構造を有するモノキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であってもよい。
【化4】

式中、Q、Q、QおよびQはそれぞれ上記に定義したものであり、pは1〜約100、具体的には2〜約30、より具体的には3〜約20であり、RはC−C12ヒドロカルビレンであり、nは0または1であり、R、RおよびRは各々独立に、水素またはC−C18ヒドロカルビルでありであり、pは、25℃のクロロホルム中で測定したPPEの固有粘度が約0.06dL/g〜約0.25dL/gとなる数字、また、約0.09dL/g〜約0.15dL/gとなる数字とすることができる。
【0022】
一部の実施形態では、該キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)は式(IV)の構造を有するモノキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)である。
【化5】

式中、QとQは各々独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、sは1〜約20、具体的には1〜約15、より具体的には1〜約10、さらにより具体的には1〜約8である。
【0023】
一部の実施形態では、該キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)は、一価、二価フェノール、または一価フェノールと二価フェノールの反応生成物を含み、式(V)の構造を有するバイキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)になり得る。
【化6】

式中、Q、Q、QおよびQはそれぞれ上記に定義したものであり、xとyは、その合計が2〜約100であることを条件に、それぞれ独立に0〜約100であり、Rは独立にC−C12ヒドロカルビレンであり、nは独立に0または1であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素またはC−C18ヒドロカルビルであり、Lは、式(VI)の構造を有する。
【化7】

式中、Qは独立に、水素、ハロゲン、未置換または置換C−C12ヒドロカルビル(但し、第三級ヒドロカルビルではない)、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、または少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子とを分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、zは0または1であり、Xは下式から成る群から選択される構造を有する。
【化8】

式中、Rは独立に、水素とC−C12ヒドロカルビルから成る群から選択され、RとRはそれぞれ独立に、水素、C−C12ヒドロカルビル、および選択的に、共同でC−C12アルキレン基を形成し得るC−Cヒドロカルビレンから成る群から選択される。
【0024】
本発明の典型的な実施形態に従って使用される官能性PPEは、これに限定されないが、米国特許第6,897,282号および同第7,329,708号に記載された方法を含む任意の好適なキャップ化PPE製造方法を用いて製造してもよい(上記2つの特許は参照によりそのすべてが本明細書に援用される)。例えば、2,6−キシレノールまたは2,3,6−トリメチルフェノールなどの、少なくとも1つのモノヒドロキシ芳香族化合物の酸化カップリングから本プロセスを始めることができる。
【0025】
一般に、触媒系はこうしたカップリング用に用いられ、通常は、銅、マンガンあるいはコバルト化合物などの少なくとも1つの重金属化合物を含んでおり、通常、他の種々の材料と組み合わせて使用される。重合は、ベンゼンまたはトルエンなどの好適な溶媒中で、例示的には例えば、約20℃〜約100℃の範囲の温度で行われる。その後、触媒は除去される。
【0026】
触媒を除去後、PPE単離の一部として、重合用溶剤を除去してPPE含有溶液を濃縮し固形分濃度を上げる。溶剤除去前およびまたは除去中に、PPEの所望の末端基に応じて好適な官能化剤を添加し、キャップ化PPEを生成する。例えば、本発明の一実施例による、(メタ)アクリロイル末端基を有するPPEを製造するための好適な官能化剤はメタクリル酸無水物である。PPEは室温では通常固体であり、また、室温で反応性液体モノマーに部分的に溶解する。
【0027】
一部の実施形態では、該官能化ポリ(フェニレンエーテル)は式(VII)の構造を有するバイキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)である。
【化9】

式中、QとQはそれぞれ独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、xとyは、その合計が2〜約100であるということを条件に、それぞれ独立に0〜約100である。
【0028】
一部の実施形態では、該官能化ポリ(フェニレンエーテル)は、式(VIII)の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)である。
【化10】

式中、Uは、1つまたは複数のC−Cアルキル基で選択的に置換されたC−C18アリール基であり、Vはフェニレンエーテル基であり、kは1〜約100であり、rは1〜6であり、Wはフェニレン基または酸素原子であり、R、RおよびR10はそれぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、C−CアルケニルおよびC−Cアルキニルから成る群から選択され、qは1、2、3または4である。この構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)類の合成方法は、Inoueらの米国特許出願第2004/0146692A1号に記載されている。
【0029】
別の実施形態では、該官能化ポリ(フェニレンエーテル)には、下式の繰り返し構造単位を含む環状−官能化ポリ(フェニレンエーテル)が含まれる。
【化11】

式中、L−Lはそれぞれ独立に、水素、C−C12アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。ここで、該アルケニル基は下式で表され、
【化12】

式中、L〜Lは独立に水素またはメチルであり、aは0、1、2、3または4である。また、該アルキニル基は下式で表され、
【化13】

式中、Lは水素、メチルまたはエチルであり、bは0、1、2、3または4である。また、該環状−官能化ポリ(フェニレンエーテル)中の全L〜L置換基の約0.02モル%〜約25モル%はアルケニルおよびまたはアルキニル基である。アルケニルおよびまたはアルキニル基はこの範囲内では、少なくとも約0.1モル%、より具体的には少なくとも約0.5モル%であることが好適であり得る。また、アルケニルおよびまたはアルキニル基はこの範囲で、約15モル%まで、より具体的には約10モル%までであることが好適であるかもしれない。本実施形態の該環状−官能化ポリ(フェニレンエーテル)は、既知の方法によって調製されてもよい。例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)などの未官能化ポリ(フェニレンエーテル)をn−ブチルリチウムなどの試薬で金属化し、その後、臭化アリルなどのハロゲン化アルケニルおよびまたは臭化プロパルギルなどのハロゲン化アルキニルと反応させてもよい。環状−官能化ポリ(フェニレンエーテル)樹脂類のこの調製方法およびその他の調製方法は、例えばKatayoseらの米国特許第4,923,932号に記載されている。
【0030】
一部の実施形態では、該環状−官能化ポリ(フェニレンエーテル)は、ポリ(フェニレンエーテル)とα,β−不飽和カルボニル化合物またはα,β−ヒドロキシカルボニル化合物との溶融反応生成物である。α,β−不飽和カルボニル化合物には、例えば無水マレイン酸、シトラコン酸無水物などが含まれる。α,β−ヒドロキシカルボニル化合物には、例えばクエン酸などが含まれる。このような官能化は通常、約190〜約290℃の範囲の温度で該ポリ(フェニレンエーテル)と所望のカルボニル化合物とを溶融混合させて行われる。
【0031】
本組成物中の不飽和ポリエステル樹脂は一般に、少なくとも1つの多価アルコールと、不飽和多塩基酸を含む少なくとも1つの多塩基酸との反応で得られる。該不飽和ポリエステル樹脂の製造に用いられる不飽和多塩基酸の具体的な例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、二量体メタクリル酸、ナド酸、テトラヒドロフタル酸、エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサクロロ−エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、ハロゲン化フタル酸などと、これらに対応するエステル類および無水物類が挙げられる。好適な不飽和酸としては、マレイン酸、フマル酸、およびこれらのエステル類および無水物類が挙げられる。
【0032】
多官能性飽和酸および芳香族酸は、エチレン性不飽和密度を低減してコーティングに所望の化学的および機械的特性を与えるために、多塩基不飽和酸と共によく用いられる。飽和酸および芳香族多塩基酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、エイコ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸など、およびこれらのエステル類および無水物類が挙げられる。好適な芳香族多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸およびこれらのエステル類および無水物類が挙げられる。
【0033】
多価アルコール類には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、テトラブロモビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物などが含まれる。典型的な多価アルコールはプロピレングリコールである。
【0034】
ある実施形態では、該不飽和ポリエステルは、プロピレングリコールを含む少なくとも1つの多価アルコールと、マレイン酸または無水マレイン酸を含む少なくとも1つの不飽和多塩基酸と、フタル酸、無水フタル酸またはイソフタル酸を含む少なくとも1つの芳香族多塩基酸と、の反応生成物である。不飽和ポリエステル樹脂は多くの場合、さらにアルケニル芳香族モノマーを含む組成物として市販されており、この中には、例えばAshland Chemical社からAshland Q6585およびMR14072として市販されているものや、Alpha Owens Corning社からAOC−XV2346として市販されている不飽和ポリエステル樹脂が含まれる。Ashland社からQ6585として市販されている不飽和ポリエステル樹脂は、メーカの説明では、「低収縮用途および収縮制御用途に用いられる高反応性、肥厚性ポリエステル樹脂」である。該材料に添付のデータシートでは、スチレン含有量は35質量%である。別の不飽和ポリエステル樹脂がVon Roll社(スケネクタディ、NY)から707Cとして市販されている。後者の不飽和ポリエステル樹脂ビニルトルエン溶液(PPEは含まない)はワニスに使用されている。
【0035】
該不飽和ポリエステルの代替物としての硬化性ワニス組成物は、ビニルエステル樹脂を含み得る。不飽和ポリエステル樹脂は、主鎖中に不規則に配置したビニル結合を有するが、ビニルエステル樹脂は、主鎖の両端に配置したビニル結合を有する。特に、あるビニルエステル樹脂は、Dow社(ミシガン)からDERAKANE(登録商標)M311−450として市販されている。ある実施形態では、該ビニルエステル樹脂は、ビスフェノールAと、メタクリル酸などの不飽和酸で末端処理されているエピクロルヒドリンエポキシと、の直鎖反応生成物である。
【0036】
該ワニス組成物の他の主要部分は、ワニスの塗布前に組成物中のポリマー類を溶解させる反応性液体モノマーである。「反応性液体モノマー」とは、液体状であって、主要ポリマー類(PPEとUPR)と共に硬化して熱硬化性樹脂を形成する任意の反応性モノマーを意味する。典型的な溶剤には、ビニルトルエン、スチレン、t−ブチルスチレン、ジブロモスチレンおよびこれらの組み合わせが含まれる。全主要ポリマー類と反応性液体モノマーの好適な比率は任意であるが、通常は、UPR+PPE:溶剤の質量比で約2:1〜約1:5であり、この比は約1:1であってもよい。しかしながら、例えば、ワニス性能をさらに向上させる任意の添加剤あるいは架橋剤を添加する場合は、この比率をさらに変えてもよい。
【0037】
典型的な実施形態によるワニス組成物は、従来のワニスに対して優れた特性を有することが見出され、その中には、通常約70℃であり約170℃以上にまで上げられる著しく高いガラス転移温度(Tg)が含まれる。より具体的には、前記Tgは約100℃〜約165℃である。その結果、該ワニスは、主要ポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂だけを含有するワニスなどの従来のワニスに対して、高い熱安定性を示す。
【0038】
該組成物を調製する方法は特に制限されない。例えば、官能化ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族モノマーと、不飽和ポリエステルまたはビニルエステルと、の緊密混合を形成して該組成物を調製できる。官能化ポリ(フェニレンエーテル)がキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)の場合は、非キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)を前記アルケニル芳香族モノマーの一部に溶解させ、キャッピング剤を添加してアルケニル芳香族モノマーの存在下でキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)を形成し、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂、および他の任意の成分または添加剤を加えて該硬化性組成物を形成することによって、該組成物を前記非キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)から直接調製できる。あるいは、前記不飽和ポリエステル樹脂(UPR)またはビニルエステル樹脂(VER)は、既にワニス組成物を含有する反応性モノマー中で得られ、その場合、PPEと添加した反応性液体モノマー+架橋剤は予混合中で別個に調製でき、次にUPRまたはVERワニス組成物と混合される。相溶化剤は、例えば添加する反応性液体モノマー中で溶解させ、次に配合したPPEおよびUPRまたはVERと混合させるか、あるいはPPEを溶解させたPPE予混合に添加できる。
【0039】
該ワニス組成物は一般に、機関車またはオフハイウェー車用トラクションモータの巻線などの、発電機またはモータ巻線に塗布して硬化させる。典型的な実施形態では、該硬化プロセスにより、モノマー希釈剤がPPEおよびUPRと化学的に反応する化学反応を生じて、モータ巻線組立部全体を保護する熱硬化性ワニスコーティングを共に形成する。該硬化は自己開始型であっても、あるいは触媒などの硬化開始剤の使用により、PPEと、UPRまたはVERと、反応性液体モノマー間の反応開始を要求するものであってもよい。
【0040】
該硬化開始剤には、高温で遊離基を生成できる任意の化合物が含まれる。こうした硬化開始剤にはパーオキシ系および非パーオキシ系ラジカル開始剤が含まれ得る。有用なパーオキシ系開始剤には、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−ブチルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシ−3−イン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルパーオキサイドなど、およびそれらの混合物が含まれる。好適な非パーオキシ系開始剤には、例えば2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−トリメチルシリルオキシ−2,3−ジフェニルブタンなど、およびこれらの混合物が含まれる。該硬化開始剤にはさらに、不飽和成分のアニオン重合を開始できる任意の化合物が含まれてもよい。こうしたアニオン重合開始剤には、例えば、ナトリウムアミド(NaNH)やリチウムジエチルアミド(LiN(C)などのアルカリ金属アミド類、C−C10アルコキシド類のアルカリ金属およびアンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物類、水酸化アンモニウム類、アルカリ金属シアニド類、アルキルリチウム化合物n−ブチルリチウムなどの有機金属化合物類、臭化フェニルマグネシウムなどのグリニャール試薬などおよびこれらの組み合わせが含まれる。ある実施形態では、該硬化開始剤は、2,5−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキサンまたはジクミルパーオキサイド、あるいはこれらの組み合わせなどの過酸化物である。該硬化開始剤は、約0℃〜約200℃の範囲の温度で硬化を促進できる。硬化開始剤が使用される場合、その量は、PPEとUPRまたはVERと反応性液体モノマーとの合計質量100質量部に対して、通常約0.005〜約2質量部である。
【0041】
該組成物の硬化方法には特に制限されない。該組成物は、例えば熱硬化により、あるいは、高周波加熱、UV照射および電子線照射を含む照射方法により硬化させてもよい。例えば、10秒間の高周波加熱により連鎖反応硬化を起こして該組成物を硬化させてもよい。加熱硬化を用いる場合、その温度は約80℃〜約300℃の範囲で選択されてもよく、加熱時間は約5秒〜約24時間の範囲としてよい。例えば、硬化開始剤がジクミルパーオキサイドの場合、ワニスは、約120℃〜約200℃の範囲の温度において、約1分間〜約10時間の範囲で硬化させられてもよい。
【0042】
硬化は、複数段階で行いその段階ごとに時間と温度を変えてもよい。例えば、部分的に硬化させて、多くの場合不粘着性の樹脂を製造し、次にこれをより高い温度で長時間加熱する段階に分けてもよい。熱硬化性分野の当業者であれば、過度の実験を行うことなく、適切な硬化条件を決定できる。一部の実施形態では、該組成物を部分的に硬化させてもよい。しかしながら、本明細書における「硬化組成物」あるいは「硬化後の組成物」の特性に関する言及は一般に、実質的に十分硬化した組成物を指す。熱硬化性分野の当業者であれば、過度の実験を行うことなく、サンプルが十分に硬化しているか否かを判断してもよい。例えば、分析中に起こる後硬化を示す発熱を調べる示差走査熱量測定を用いて、サンプルを分析してもよい。実質的に十分硬化したサンプルは、こうした分析において、ほとんどまたは全く発熱しないであろう。
【0043】
該ワニス組成物を塗布し、その後任意の適切な方法を用いて硬化させることができる。こうした方法の1つの例は減圧含浸法であり、ここでは、取り込まれた空気または他のガスを引き抜く高真空下の圧力容器内にモータ巻線組立部全体を入れる。ワニスを該圧力容器に導入し、容器全体を典型的には少なくとも0.62MPa(90lb/in)以上に加圧して巻線全体に浸透させる。該組立部を高温下で焼いてワニス組成物を硬化させる、すなわち、主要ポリマーと反応性液体モノマーと任意の添加剤とにより熱硬化性樹脂を形成し、実質的に水分を通さない固体の密封された絶縁システムを製造する。他の好適なコーティングおよび硬化方法を例示的に挙げると、ディップコートや滴下処理法などがある。
【0044】
本発明の典型的な実施形態による組成物は、特に現存の不飽和ポリエステル樹脂ワニスと比較して優れた特性を与えるが、硬化前のワニス組成物に添加剤を導入して、さらに種々の特性を向上させてより望ましいものとしてもよい。例えば、特にPPEが単官能性である実施形態やPPEの固有粘度が比較的低い実施形態では、架橋剤を添加して延性や熱安定性をさらに向上させてもよい。架橋剤は、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの重合可能な基を含む化合物として定義される。具体的には、キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)の場合、前記架橋剤は、PPE末端キャップと同じ官能基を有する。例えば、末端キャップがメタクリレート基の場合、特に好適な架橋剤としては、メタクリレート−グラフト化ポリブタジエン、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
他の好適な架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン類、ジアリルベンゼン類、トリビニルベンゼン類、トリアリルベンゼン類、ジビニルフタレート類、ジアリルフタレート類、トリアリルメセート、トリアリルメシテート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エトキシ化)2−401,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40エチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40エチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60グリセロールトリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60グリセロールトリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)4−80ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)4−80ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)6−120ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)6−120ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
架橋剤を使用する場合、その量は、PPEとUPR(またはVER)と反応性液体モノマーの合計質量100質量部に対して、約1〜約30質量部の範囲で用いてもよい。この範囲で架橋剤は、具体的には25質量部まで、より具体的には20質量部までとすることができ、またこの範囲で、具体的には5質量部以上、より具体的には10質量部以上、さらにより具体的には15質量部以上とすることができる。
【0047】
添加剤の中には、硬化抑制剤およびまたは該ワニス組成物の寿命を向上させ得る安定剤が含まれていてもよい。好適な硬化抑制剤としては、例えばジアゾアミノベンゼン、フェニルアセチレン、sym−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、アセトアルデヒド、アニリン凝縮液、N,N’−ジブチル−o−フェニレンジアミン、N−ブチル−p−アミノフェノール、2,4,6−トリフェニルフェノキシル、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、モノアルキルヒドロキノン類、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキノン、C−Cアルキル−置換カテコール類(4−tert−ブチルカテコールなど)、ジアルキルヒドロキノン、2,4,6−ジクロロニトロフェノール、ハロゲン−ortho−ニトロフェノール類、アルコキシヒドロキノン類、フェノール類とカテコール類のモノ−およびジ−およびポリスルフィド類、チオール類、キノンのオキシム類およびヒドラゾン類、フェノチアジン、ジアルキルヒドロキシルアミン類など、およびこれらの組合せが挙げられる。好適な硬化抑制剤にはさらに、遊離水酸基を有するポリ(フェニレンエーテル)類が含まれる。硬化抑制剤を使用する場合、その量は、組成物の全質量100質量部に対して約0.001〜約10質量部の範囲であってもよい。使用される場合には、硬化開始剤と組み合わせてまたはそれに代わって使用してもよい。
【0048】
該組成物は選択的に、さらに、例えば染料、顔料、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、潤滑剤、流動性改良剤、防滴剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、流動性促進剤、加工助剤、基板接着剤、離型剤、強化剤、低収縮剤、応力緩和剤、およびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。一般に「低収縮剤」(LPA)と呼ばれる特定の熱可塑性物質は該組成物に含まれていないことが望ましい。LPAは硬化中に硬化マトリックスから拒絶されて、通常は大きさが約5μm未満の固体領域として分離され、硬化マトリックス中に分散されたLPA領域をひずみ緩和部位として他とは異なるものにしている。従って、組成物中にLPAが存在しなければ、誘電性破壊の弱点を防止できる。
【0049】
上記に示す通り、該ワニス組成物は、機関車やオフハイウェー車(OHV)用トラクションモータなどのモータおよび発電機用電気絶縁性コーティングとして特に有用である。これは、典型的な実施形態によるワニス組成物が、熱サイクルに対して改良された耐性を示すことによる。また、該組成物はより大きな延性を有しており、従来のワニス組成物よりも高い破壊伸び率を示す。
【0050】
現存のUPRワニス組成物は一般に、破壊伸び率が約1%と比較的延性が小さいが、本発明の典型的な実施形態は一般に高い延性を有しており、破断伸び率は約2%より大きくてもよく、また約2.5%より大きくてもよく、また約3%より大きくてもよい。
【0051】
熱サイクル耐性をナット割れ試験で好都合に測定することができる。ナット割れ試験では、半インチ六角ナットを直径が2インチのアルミニウム鍋の中心に置く。アルミニウム鍋中のナット上に12gのワニス組成物を注ぎ、次に、約15分間減圧下でガス抜きしてサンプルを製作する。その後、該サンプルを硬化させる。硬化後に最初の検査を行い、サンプルを氷浴中(0℃)に30分間入れる。30分後、サンプルを取り出して割れ検査を行い、直ちに180℃オーブン中に30分間入れる。その後取り出して検査し、直ちに氷浴中に戻す。このサイクルをこれらの温度で5回繰り返す。サンプルに割れがなくこれらのサイクルに合格すれば、該組成物は、ワニス塗布に対する熱サイクルに対して十分な延性と耐性を有していることが示される。サイクル中に割れた組成物は本試験に不合格となり、一般にワニス塗布には適切でない。
【0052】
本発明の典型的な実施形態によるワニス組成物の他の利点は、主要ポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂だけを有するワニス組成物と比較して、水分吸収が低減されることである。
【0053】
該組成物の典型的な実施形態では、硬化すると、180℃を超える改良された熱安定性を示し、この中には、215℃×100時間の熟成後の質量損失の少なさにおいても著しく改良さされていることも含まれる。他の有利な特性としては、加水分解安定性や低割れ性あるいは低チッピング性が挙げられる。機械的特性または電気的特性も改良される。すなわち、低誘電率と誘電正接、寸法安定性、特に酸または塩基に対する耐薬品性である。得られた特性のバランスは、不飽和ポリエステル樹脂だけを用いたものと比較して改良されている。その結果、本ワニスは、トラクションモータなどの寿命を著しく延ばすことができる。
【0054】
本発明には少なくとも次の実施形態が含まれる。
【0055】
実施形態1:少なくとも1つの脂肪族不飽和基を有し、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が約0.06dL/g〜約0.25dL/gである官能化ポリ(フェニレンエーテル)と、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、反応性液体モノマーと、相溶化剤と、を含むことを特徴とする硬化性組成物。
【0056】
実施形態2:前記硬化性組成物は、温度20℃で少なくとも24時間、相安定であることを特徴とする実施形態1に記載の硬化性組成物。
【0057】
実施形態3:前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は、脂肪族不飽和基を含む基で末端キャップ化されたポリ(フェニレンエーテル)であることを特徴とする実施形態1または実施形態2に記載の硬化性組成物。
【0058】
実施形態4:前記官能化ポリ(フェニレンエーテル)は、2つのメタクリロイル末端基を有する二官能性キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であることを特徴とする実施形態1乃至実施形態3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0059】
実施形態5:前記官能化ポリ(フェニレンエーテル)は、下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化14】

式中、QおよびQはそれぞれ独立に、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、QおよびQはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、pは1〜約100であり、RはC−C12ヒドロカルビレンであり、nは0または1であり、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素またはC−C18ヒドロカルビルであることを特徴とする実施形態1乃至実施形態3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0060】
実施形態6:前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化15】

式中、QとQは各々独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、sは1〜約20であることを特徴とする実施形態1乃至実施形態3および実施形態5に記載の硬化性組成物。
【0061】
実施形態7:前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化16】

式中、QおよびQはそれぞれ独立に、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、QおよびQはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、xとyは、その合計が2〜約100であることを条件に、それぞれ独立に0〜約100であり、Rは独立にC−C12ヒドロカルビレンであり、nは独立に0または1であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素またはC−C18ヒドロカルビルであり、Lは、下記式の構造を有し、
【化17】

式中、Qは上記で定義した通り、独立に、水素、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、または少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子とを分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、zは0または1であり、Xは下式から成る群から選択される構造を有しており、
【化18】

式中、Rは独立に、水素とC−C12ヒドロカルビルから成る群から選択され、RとRはそれぞれ独立に、水素、C−C12ヒドロカルビルおよび共同でC−C12アルキレン基を選択的に形成するC−Cヒドロカルビレンから成る群から選択されることを特徴とする実施形態1乃至実施形態4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0062】
実施形態8:前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は、下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化19】

式中、QとQはそれぞれ独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、xとyは、その合計が2〜約100であることを条件に、それぞれ独立に0〜約100であることを特徴とする実施形態1乃至実施形態4および実施形態7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0063】
実施形態9:前記相溶化剤は、前記官能化ポリ(フェニレンエーテル)と混和性の芳香族モノマー由来のブロックと、前記不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と混和性のモノマー由来のブロックと、を含むブロック共重合体であることを特徴とする実施形態1乃至実施形態8のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0064】
実施形態10:前記相溶化剤は、無水アクリル酸ブロックまたは無水マレイン酸ブロックおよびスチレン系ブロックを含むことを特徴とする実施形態1乃至実施形態9のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0065】
実施形態11:前記相溶化剤は、メタクリル酸エステルモノマー類由来のアクリルブロックと、スチレンモノマー由来のスチレン系ブロックと、を含み、前記アクリルブロックとスチレン系ブロックはそれぞれ、前記共重合体の一端に位置していることを特徴とする実施形態1乃至実施形態10のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0066】
実施形態12:前記相溶化剤は、ポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)共重合体を含むことを特徴とする実施形態1乃至実施形態11のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0067】
実施形態13:少なくとも1つの多価アルコールと、不飽和多塩基酸を含む少なくとも1つの多塩基酸との反応で得られる不飽和ポリエステル樹脂を含み、前記不飽和多塩基酸は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、二量体メタクリル酸、ナド酸、テトラヒドロフタル酸、エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサクロロ−エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、ハロゲン化フタル酸、およびこれらに対応するエステル類および無水物類から成る群から選択されることを特徴とする実施形態1乃至実施形態12のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0068】
実施形態14:前記不飽和ポリエステル樹脂はさらに、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、エイコ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびこれらのエステル類および無水物類の1つまたは複数から誘導される繰り返し単位を含むことを特徴とする実施形態13に記載の硬化性組成物。
【0069】
実施形態15:前記多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール,ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物およびテトラブロモビスフェノールアルキレンオキシド付加物から成る群から選択されることを特徴とする実施形態13に記載の硬化性組成物。
【0070】
実施形態16:前記反応性液体モノマーは、ビニルトルエン、スチレン、t−ブチルスチレン類、ジブロモスチレン類およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする実施形態1乃至実施形態15のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0071】
実施形態17:25℃のクロロホルム中で測定した前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)の固有粘度は、約0.09〜約0.25dL/gであることを特徴とする実施形態1乃至実施形態16のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0072】
実施形態18:ビスフェノール、エポキシおよびモノカルボン酸の反応生成物系のビニルエステルを含むことを特徴とする実施形態1乃至実施形態17のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0073】
実施形態19:ジビニルベンゼン類、ジアリルベンゼン類、トリビニルベンゼン類、トリアリルベンゼン類、ジビニルフタレート類、ジアリルフタレート類、トリアリルメセート、トリアリルメシテート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート),ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシラン、ビスフェノールAジメタクリレート、(エトキシ化)1−20ノニルフェノール(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)1−20ノニルフェノール(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40エチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40エチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60グリセロールトリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60グリセロールトリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)4−80ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)4−80ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)6−120ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)6−120ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、およびこれらの混合物から成る群から選択される架橋剤をさらに含むことを特徴とする実施形態1乃至実施形態18のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0074】
実施形態20:官能化ポリ(フェニレンエーテル)と不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂の合計質量と、前記反応性液体モノマーの質量との比は、約2:1〜約1:5質量比であることを特徴とする実施形態1乃至実施形態19のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0075】
実施形態21:前記硬化性組成物で形成される熱硬化性樹脂のガラス転移温度は約100℃〜約165℃であることを特徴とする実施形態1乃至実施形態20のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0076】
実施形態22:実施形態1に記載の硬化性組成物であって、前記硬化性組成物は電気絶縁性モータ用に使用され、前記硬化性組成物は、下記式の構造であって、
【化20】

式中、QとQは各々独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、nは、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度を約0.06〜0.25dL/gとする数字であることを特徴とする構造を有する、10〜45質量%のポリ(フェニレンエーテル)を含み、前記硬化性組成物は30〜50質量%の不飽和ポリエステル樹脂を含み、前記硬化性組成物は、2〜20質量%の、ポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)−ブロック構造共重合体を含み、前記硬化性組成物は、ビニルトルエン、スチレン、t−ブチルスチレン、ジブロモスチレンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される、20〜70質量%の反応性液体モノマーを含み、前記硬化性組成物は、1〜30質量%の多官能性アクリレート架橋剤を含み、これらすべての質量%は前記組成物の合計質量に対するものであることを特徴とする硬化性組成物。
【0077】
実施形態23:温度20℃で少なくとも24時間相安定であることを特徴とする実施形態22に記載の硬化性組成物。
【0078】
実施形態24:前記反応性液体モノマーはビニルトルエンであり、前記架橋剤はエトキシ化ビスフェノールAジメタアクリレートであることを特徴とする実施形態22に記載の硬化性組成物。
【0079】
実施形態25:実施形態1に記載のワニス組成物をモータ部品に塗布するステップと、前記ワニス組成物を硬化させて前記モータ部品上に電気絶縁性熱硬化性コーティングを形成するステップと、を備えることを特徴とするをワニス組成物を用いたモータの電気絶縁方法。
【0080】
実施形態26:前記ワニス組成物は、下記式の構造であって、
【化21】

式中、QとQは各々独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、nは、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度を約0.06〜0.25dL/gとする数字であることを特徴とする構造を有する、10〜45質量%のポリ(フェニレンエーテル)と、30〜50質量%の不飽和ポリエステル樹脂と、2〜20の質量%のポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)−ブロック構造共重合体と、ビニルトルエン、スチレン、t−ブチルスチレン、ジブロモスチレンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される、20〜70質量%の反応性液体モノマーと、1〜30質量%の多官能性アクリレート架橋剤と、を含み、すべての質量%は前記組成物の合計質量に対するものであることを特徴とする実施形態25に記載の方法。
【0081】
以下の実施例は説明の目的で行われるものであり、本発明を制限するものではない。
実施例1
【0082】
これは理論的な実施例である。米国特許第6,897,282号に記載された方法は、固有粘度が0.06dl/gの、式IIに示したメタクリレートキャップ化PPE化合物の製造に用いられる。次に、該組成物の40質量%の、該PPE、ジメタクリレート架橋剤および相溶化剤と、60質量%のUPRと、をビニルトルエンに添加してワニス組成物を形成する。該架橋剤はSR348(Sartomer社(エクストン、PA)から市販されているエトキシ化ビスフェノールAジメタ)であり、PPE+UPR/ビニルトルエン/SR348の質量比が6:4:1となるように添加する。該相溶化剤は、ポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)から成るNANOSTRENGTH A250 SMBブロック共重合体であり、PPE+UPR/ビニルトルエン/相溶化剤の質量比が6:4:2となるように添加する。その後、2,5−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキサン(Azko Nobel Polymer Chemicals社(シカゴ、IL)からTRIGONOX101として市販されている)を、硬化開始剤として2質量%添加する。該ワニスを減圧下でガス抜きし、次に、あらかじめ加熱した対流式オーブン内で150℃×30分間で硬化させ熱硬化性樹脂とする。
実施例2
【0083】
メタクリレート官能性PPE(IVが0.09、SABIC Innovative Plastics社(セルカーク、NY)から市販されている)と、ビニルトルエン(VT)と、触媒化不飽和ポリエステルのビニルトルエン溶液(Von Roll社(スケネクタディ、NY)からVon Roll 707C(登録商標)として市販されている)と、ジクミルパーオキサイド(DCP)硬化触媒と、を混合して表1中のA〜Fの一連の処方を調製した、次に、これらの処方の一部のガス抜きを行い、160℃×2時間、その後180℃×1時間で硬化させた。処方B、C、DおよびEの残りの部分は、室温放置後相分離していた。
【表1】

【0084】
ASTM D7028−07に準じた動的力学試験(DMA)を、2.5”×0.5”×0.125”(6.4cm×1.3cm×0.32cm)の寸法のサンプルで行った。この分析によるTgを表に示す。また、熱重量分析を1000℃までの雰囲気中で行った。著しい熱分解が生じ始めた時点を、初期質量の5%および10%が損失した時点の温度として示す。
表2は、これらの結果の要約を示す。
【表2】

【0085】
333mgのSBMブロック共重合体相溶化剤であるNanoStrength(登録商標)E20を相溶化剤として添加した以外は、Dと同じ方法で処方を調製した。また、33mgのt−ブチルカテコールを安定剤として添加した。この処方(G)は室温で相分離しなかった。この材料の硬化物のTgは130℃であった。
【0086】
本明細書では、本発明を開示するために、また、当業者が本発明を成しまた利用するために、最良の実施形態を含めた実施例を用いている。本発明の特許可能な範囲は請求項によって定義され、当業者にもたらせられる他の実施例も包含し得る。こうした他の実施例は、請求項の文字どおりの言葉と違わない構成要素を有する場合、あるいは請求項の文字どおりの言葉とごくわずかな違いしかない等価な構成要素を含む場合には、請求項の範囲内であると意図される。
【0087】
引用された特許、特許出願および他の参考文献はすべて、参照により本明細書に援用される。しかしながら、本出願中の用語が援用された参考文献の用語と矛盾するか対立する場合、本出願の用語が援用された参考文献の矛盾する用語に優先する。
【0088】
本明細書で開示された範囲はすべて、終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせできる。
【0089】
本発明の記述文脈(特に以下の請求項の文脈)における単数表現は、本明細書で別途明示がある場合または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数および複数を含むものと解釈される。また、本明細書で用いられる、「第1の」「第2の」などの用語は、いかなる順序や量あるいは重要度を表すものではなく、ある成分と他の成分とを区別するために用いるものである。量に関連して用いられる修飾語「約」は、述べられた数値を含んでおり、文脈で指図された意味(例えば、特定の量の測定に付随する誤差の程度を含むなど)を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの脂肪族不飽和基を有し、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が約0.06dL/g〜約0.25dL/gである官能化ポリ(フェニレンエーテル)と、
不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、
反応性液体モノマーと、
相溶化剤と、
を含むことを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記硬化性組成物は、温度20℃で少なくとも24時間、相安定であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は、脂肪族不飽和基を含む基で末端キャップ化されたポリ(フェニレンエーテル)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記官能化ポリ(フェニレンエーテル)は、2つのメタクリロイル末端基を有する二官能性キャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記官能化ポリ(フェニレンエーテル)は、下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化1】

式中、QおよびQはそれぞれ独立に、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、QおよびQはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、pは1〜約100であり、RはC−C12ヒドロカルビレンであり、nは0または1であり、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素またはC−C18ヒドロカルビルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化2】

式中、QとQは各々独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、sは1〜約20であることを特徴とする請求項1乃至請求項3および請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化3】

式中、QおよびQはそれぞれ独立に、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、QおよびQはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、xとyは、その合計が2〜約100であることを条件に、それぞれ独立に0〜約100であり、Rは独立にC−C12ヒドロカルビレンであり、nは独立に0または1であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素またはC−C18ヒドロカルビルであり、Lは、下記式の構造を有し、
【化4】

式中、Qは上記で定義した通り、独立に、水素、ハロゲン、第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、または少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子とを分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、zは0または1であり、Xは下式から成る群から選択される構造を有しており、
【化5】

式中、Rは独立に、水素とC−C12ヒドロカルビルから成る群から選択され、RとRはそれぞれ独立に、水素、C−C12ヒドロカルビルおよび共同でC−C12アルキレン基を選択的に形成するC−Cヒドロカルビレンから成る群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)は、下記式の構造を有するキャップ化ポリ(フェニレンエーテル)であり、
【化6】

式中、QとQはそれぞれ独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、xとyは、その合計が2〜約100であることを条件に、それぞれ独立に0〜約100であることを特徴とする請求項1乃至請求項4および請求項7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記相溶化剤は、前記官能化ポリ(フェニレンエーテル)と混和性の芳香族モノマー由来のブロックと、前記不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と混和性のモノマー由来のブロックと、を含むブロック共重合体であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記相溶化剤は、無水アクリル酸ブロックまたは無水マレイン酸ブロックおよびスチレン系ブロックを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記相溶化剤は、メタクリル酸エステルモノマー類由来のアクリルブロックと、スチレンモノマー由来のスチレン系ブロックと、を含み、前記アクリルブロックとスチレン系ブロックはそれぞれ、前記共重合体の一端に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記相溶化剤は、ポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)共重合体を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの多価アルコールと、不飽和多塩基酸を含む少なくとも1つの多塩基酸との反応で得られる不飽和ポリエステル樹脂を含み、前記不飽和多塩基酸は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、二量体メタクリル酸、ナド酸、テトラヒドロフタル酸、エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサクロロ−エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、ハロゲン化フタル酸、およびこれらに対応するエステル類および無水物類から成る群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項14】
前記不飽和ポリエステル樹脂はさらに、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、エイコ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびこれらのエステル類および無水物類の1つまたは複数から誘導される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項13に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
前記多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール,ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物およびテトラブロモビスフェノールアルキレンオキシド付加物から成る群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
前記反応性液体モノマーは、ビニルトルエン、スチレン、t−ブチルスチレン類、ジブロモスチレン類およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項17】
25℃のクロロホルム中で測定した前記官能性ポリ(フェニレンエーテル)の固有粘度は、約0.09〜約0.25dL/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項18】
ビスフェノール、エポキシおよびモノカルボン酸の反応生成物系のビニルエステルを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項19】
ジビニルベンゼン類、ジアリルベンゼン類、トリビニルベンゼン類、トリアリルベンゼン類、ジビニルフタレート類、ジアリルフタレート類、トリアリルメセート、トリアリルメシテート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート),ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシラン、ビスフェノールAジメタクリレート、(エトキシ化)1−20ノニルフェノール(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)1−20ノニルフェノール(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40エチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40エチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−401,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−401,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)2−40ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)2−40ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60グリセロールトリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60グリセロールトリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)3−60イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)3−60イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)4−80ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)4−80ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(エトキシ化)6−120ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、(プロポキシ化)6−120ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート類、およびこれらの混合物から成る群から選択される架橋剤をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項20】
官能化ポリ(フェニレンエーテル)と不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂の合計質量と、前記反応性液体モノマーの質量との比は、約2:1〜約1:5質量比であることを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項21】
前記硬化性組成物で形成される熱硬化性樹脂のガラス転移温度は約100℃〜約165℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の硬化性組成物であって、前記硬化性組成物は電気絶縁性モータ用に使用され、前記硬化性組成物は、下記式の構造であって、
【化7】

式中、QとQは各々独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、nは、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度を約0.06〜0.25dL/gとする数字であることを特徴とする構造を有する、10〜45質量%のポリ(フェニレンエーテル)を含み、前記硬化性組成物は30〜50質量%の不飽和ポリエステル樹脂を含み、前記硬化性組成物は、2〜20質量%の、ポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)−ブロック構造共重合体を含み、前記硬化性組成物は、ビニルトルエン、スチレン、t−ブチルスチレン、ジブロモスチレンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される、20〜70質量%の反応性液体モノマーを含み、前記硬化性組成物は、1〜30質量%の多官能性アクリレート架橋剤を含み、これらすべての質量%は前記組成物の合計質量に対するものであることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項23】
温度20℃で少なくとも24時間相安定であることを特徴とする請求項22に記載の硬化性組成物。
【請求項24】
前記反応性液体モノマーはビニルトルエンであり、前記架橋剤はエトキシ化ビスフェノールAジメタアクリレートであることを特徴とする請求項22に記載の硬化性組成物。
【請求項25】
請求項1に記載のワニス組成物をモータ部品に塗布するステップと、
前記ワニス組成物を硬化させて前記モータ部品上に電気絶縁性熱硬化性コーティングを形成するステップと、
を備えることを特徴とするをワニス組成物を用いたモータの電気絶縁方法。
【請求項26】
前記ワニス組成物は、下記式の構造であって、
【化8】

式中、QとQは各々独立に、メチルまたはジ−n−ブチルアミノメチルであり、nは、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度を約0.06〜0.25dL/gとする数字であることを特徴とする構造を有する、10〜45質量%のポリ(フェニレンエーテル)と、30〜50質量%の不飽和ポリエステル樹脂と、2〜20の質量%のポリスチレン−ブロック−ポリ(1,4−ブタジエン)−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)−ブロック構造共重合体と、ビニルトルエン、スチレン、t−ブチルスチレン、ジブロモスチレンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される、20〜70質量%の反応性液体モノマーと、1〜30質量%の多官能性アクリレート架橋剤と、を含み、すべての質量%は前記組成物の合計質量に対するものであることを特徴とする請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2011−519983(P2011−519983A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505067(P2011−505067)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/038163
【国際公開番号】WO2009/131785
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】