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電気絶縁紙
説明

電気絶縁紙

【課題】絶縁破壊強さに優れ、かつ、吸湿寸法安定性、熱寸法安定性に優れ、かつ、抄紙時の工程通過性に優れた電気絶縁紙を提供する。
【解決手段】フィブリル化したアラミド繊維とポリフェニレンサルファイド短繊維とを含む湿式不織布であって、ポリフェニレンサルファイド短繊維における未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の分率が95質量%以上であって、かつ、湿式不織布における未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の混率が50〜99質量%であり、絶縁破壊強さが15kV/mm以上であることを特徴とする電気絶縁紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アラミド繊維とポリフェニレンサルファイド繊維とを混抄してなる電気絶縁紙なるものが開示されている(特許文献1、2)。しかし、これらの混抄紙では、通気するほどの貫通孔があり、貫通孔部分で通電するため、絶縁破壊強さを向上できるものではなかった。
【0003】
また、パルプ状のアラミド繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とを含む湿式不織布からなる電池セパレーターなるものが特許文献3に開示されている。しかし、この湿式不織布は電気絶縁紙とは異なり、電解液の吸液速度を優れたものとするために、湿式不織布中には空隙が多い。その空隙部分で部分放電を経て絶縁破壊を生じるため、十分な絶縁破壊強さを得ることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−189169号公報
【特許文献2】特開平2−47389号公報
【特許文献3】特開2001−40597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、絶縁破壊強さに優れ、かつ、吸湿寸法安定性、熱寸法安定性に優れ、かつ、抄紙時の工程通過性に優れた電気絶縁紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明は、主として次の構成を有する。すなわち、フィブリル化したアラミド繊維とポリフェニレンサルファイド短繊維とを含む湿式不織布であって、該ポリフェニレンサルファイド短繊維における未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の分率が95質量%以上、かつ、湿式不織布における未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の混率が50〜99質量%であり、絶縁破壊強さが15kV/mm以上である湿式不織布からなることを特徴とする電気絶縁紙、である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、絶縁破壊強さに優れ、かつ、吸湿寸法安定性、熱寸法安定性に優れ、かつ、抄紙時の工程通過性に優れた電気絶縁紙を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の電気絶縁紙は、フィブリル化したアラミド繊維とポリフェニレンサルファイド(以下、PPSという)短繊維とを含む湿式不織布からなり、該PPS短繊維は未延伸PPS短繊維を含むものである。
【0009】
フィブリル化したアラミド繊維で湿式不織布中の大きな空隙をなくして小さな空隙にし、未延伸PPS短繊維を溶融して、上記小さな空隙をなくして電気絶縁破壊強さを向上することができる。
【0010】
本発明における湿式不織布は、アラミド繊維を含む。アラミド繊維を含むことで熱寸法安定性や難燃性に優れた湿式不織布を得ることができる。特に、優れた熱寸法安定性を得ることができるので、抄紙して乾燥するときの熱収縮等を抑制し、安定して連続抄紙加工等することができるようになる。
【0011】
アラミド繊維としては、一般的な芳香族ポリアミドであれば特に限定はされず、ポリパラフェニレンテレフタルアミドや、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド等をあげることができるが、なかでもフィブリル化し易く、耐熱性にも優れたポリパラフェニレンテレフタルアミドが好ましい。
【0012】
アラミド繊維は、その少なくとも一部がフィブリル化していることが好ましい。ここで、フィブリル化とはたて方向に繊維が2本以上に裂け単繊維よりも細い状態となった部分を有することをいう。フィブリル化することで、繊維同士の絡合性が向上し、紙力が向上することで、抄紙時の工程通過性に優れた湿式不織布を得ることができる。また、フィブリルで繊維間の大きな空隙を少なくして緻密な湿式不織布を得ることができる。
【0013】
なお、アラミド繊維は短繊維をフィブリル化したものが好ましい。短繊維の方が水分散性がよく目付けムラの小さな湿式不織布を得やすくなる。
【0014】
本発明における湿式不織布は、PPS短繊維を含む。PPS短繊維を含むことで吸湿寸法安定性に優れた湿式不織布を得ることができる。
【0015】
PPSは、繰り返し単位としてp−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位などのフェニレンサルファイド単位を含有するポリマーである。PPSは、これらのいずれかの単位のホモポリマーでもよいし、両方の単位を有する共重合体でもよい。また、他の芳香族サルファイドとの共重合体であってもよい。
【0016】
また、PPSの重量平均分子量としては、40000〜60000が好ましい。40000以上とすることで、PPS繊維として良好な力学的特性を得ることができる。また、60000以下とすることで、溶融紡糸の溶液の粘度を抑え、特殊な高耐圧仕様の紡糸設備を必要とせずに済む。
【0017】
本発明における湿式不織布におけるPPS短繊維は、未延伸PPS短繊維を含むことが重要である。未延伸PPS短繊維は加熱加圧すると容易に変形するので、空隙をつぶし、湿式不織布を構成するアラミド繊維やPPS短繊維(未延伸PPS短繊維、延伸PPS短繊維)等と融着して、緻密な湿式不織布を得ることができる。このように未延伸PPS短繊維の少なくとも一部が融着していることにより、絶縁破壊強さを向上させ、絶縁破壊強さ15kV/mm以上を達成することができる。
【0018】
湿式不織布に含まれるPPS短繊維における未延伸PPS短繊維の分率は95質量%以上であることが重要である。95質量%以上とすることで、緻密な湿式不織布を得、絶縁破壊強さを向上することができる。
【0019】
なお、未延伸PPS繊維とは、エクストルダー型紡糸機等で口金を通して溶融紡糸した後、概ね延伸することなく得たPPS繊維のことをいう。
【0020】
湿式不織布全体における未延伸PPS短繊維の混率は50〜99質量%であることが好ましい。50質量%未満であると、未延伸PPS短繊維の割合が十分でなく、湿式不織布中の空隙を十分に潰すことができず、目的とする絶縁破壊強さを得ることができない。また、99質量%よりも多いと、アラミド繊維の割合が少なくなりすぎて、十分な寸法安定性を得ることができない。さらには、未延伸PPS短繊維の混率は、湿式不織布全体に対して70〜99質量%であることが好ましい。
【0021】
本発明における湿式不織布におけるPPS短繊維の単繊維繊度としては、未延伸繊維及び延伸繊維のいずれも0.05dtex以上5dtex以下が好ましい。0.05dtexよりも細いと繊維同士が絡み易くなり均一に分散するのが難しくなる。5dtexよりも太くなると繊維が太く、硬くなり、繊維同士の絡合力が弱くなるので、十分な紙力が得られず、破れ易い湿式不織布になってしまう。
また、PPS短繊維の繊維長としては、未延伸繊維及び延伸繊維のいずれも0.5〜15mmが好ましく、より好ましくは1〜8mmである。0.5mm以上とすることで、繊維同士の絡合により湿式不織布の強度を高くすることができる。また25mm以下とすることで、繊維同士の絡合がダマになるなどしてムラ等が生じるのを防ぐことができる。
【0022】
上記フィブリル化したアラミド繊維とPPS短繊維とを混抄して通常用いられる抄紙機でドライウェブを得、加熱加圧処理して未延伸PPS短繊維を融着して空隙をつぶすことで、15kV/mm以上の電気絶縁紙を得ることができる。絶縁破壊強さが15kV/mm以上になることで、モーターや変圧器等の中に用いる電気絶縁紙として用いることができるようになる。
【0023】
なお、本発明における絶縁破壊強さは、JIS K 6911:1995に則り測定した値を言う。すなわち、試料の異なる5か所から約10cm×10cmの試験片を採取し、直径25mm、質量250gの円盤状の電極で試験片を挟み、試験媒体には空気を用い、0.25kV/秒で電圧を上昇させながら周波数60Hzの交流電圧をかけ、絶縁破壊したときの電圧を測定する。得られた絶縁破壊電圧をあらかじめ測定しておいた中央部の厚さで割り、算出した値を絶縁破壊強さとする。
【0024】
次に、本発明の湿式不織布を製造する方法について説明する。
【0025】
未延伸PPS繊維は、PPSポリマーを、エクストルダー型紡糸機等で溶融紡糸し、概ね延伸することなく処理することで得ることができる。また、延伸PPS繊維は、未延伸PPS繊維と同様にPPSポリマーを、エクストルダー型紡糸機等で溶融紡糸し、3.0倍以上、好ましくは5.5倍以下、さらに好ましくは3.5〜5.0倍の範囲で延伸することにより得ることができる。この延伸は1段で延伸してもよいが、2段以上の多段延伸を行ってもよい。2段延伸を用いる場合の1段目の延伸は総合倍率の70%以上、好ましくは75〜85%とし、残りを2段目の延伸で行なうのが好ましい。得られた未延伸糸および延伸糸は捲縮を付与せずにカットしてもよいし、捲縮を付与してカットしてもよい。PPS短繊維における捲縮の有無については、有するものと有しないものとのそれぞれに利点がある。捲縮を有するPPS短繊維は、繊維同士の絡合性が向上して強度の優れた湿式不織布を得るのに適している。一方、捲縮を有しないPPS短繊維は、ムラが小さい均一な湿式不織布を得るのに適している。
【0026】
次にアラミド繊維について、パラ系アラミド繊維を例として説明する。パラ系アラミド繊維は、高圧ホモジナイザーを用い、パラ系アラミドの懸濁液を高速で小さな径のオリフィスに通過させて吐出させることにより得ることができる。
【0027】
またパラ系アラミド繊維をフィブリル化させる手段としては例えば、前記オリフィスの出口近くに壁を設置し、吐出直後のパラ系アラミド繊維を壁に衝突させて繊維に衝撃を与える方法を用いることができる。また、カットファイバーとした後で、ナイヤガラビーター、ホモジナイザー、ディスクリファイナー、ライカイ機、すり棒とすり鉢、ウォータージェットパンチ等によりすり潰すことによってフィブリル化してもよい。
【0028】
上記したようなパラ系アラミド繊維とPPS短繊維とを混抄して湿式不織布とする方法の一例を示す。まず、パラ系アラミド繊維とPPS短繊維とを、水中に分散させ、抄紙用分散液をつくる。
【0029】
抄紙用分散液に対するパラ系アラミド繊維およびPPS繊維の合計量としては、0.005〜5質量%が好ましい。合計量を0.005質量%にすることで、抄紙工程での水を効率よく活用することができる。また、5質量%以下にすることで繊維の分散状態が良くなり均一な湿式不織布を得ることができる。
【0030】
分散液は、予めパラ系アラミド繊維の分散液とPPS繊維の分散液とを別々につくってから両者を抄紙機で混合してもよいし、直接、両方を含む分散液つくってもよい。それぞれの繊維の分散液を別々につくってから両者を混合するのは、それぞれの繊維の形状・特性等に合わせて攪拌時間を別個に制御できる点で好ましく、直接両方を含む分散液を作るのは工程簡略の点で好ましい。
【0031】
抄紙用分散液には、水分散性を向上するためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系などの界面活性剤などからなる分散剤や油剤、また泡の発生を抑制する消泡剤等を添加してもよい。
【0032】
上記のように準備した抄紙用分散液を、丸網式、長網式、傾斜網式などの抄紙機または手漉き抄紙機を用いて抄紙し、これをヤンキードライヤーやロータリードライヤー等で乾燥し、ドライウェブとすることができ、これに加熱・加圧処理を施した湿式不織布を電気絶縁紙とする。なお、本発明においては加熱及び加圧を同時に行うことを加熱・加圧処理と言い、乾燥などの加熱のみで加圧を行わない処理とは区別する。ドライウェブとは、湿式抄造した不織布のうちこの加熱・加圧処理を施していないものを言う。
【0033】
電気絶縁紙の絶縁破壊強さを大きくするために、ドライウェブの結晶化熱量を10J/g以上であることが好ましい。結晶化熱量は、好ましくは15J/g以上である。ドライウェブの結晶化熱量を10J/g以上とするためには、抄紙工程において、未延伸PPS短繊維を完全には結晶化させないことが重要である。具体的には、この結晶化熱量を達成するために抄紙工程における乾燥温度を(未延伸PPS短繊維の結晶化温度+10℃)以下にすることが好ましく、さらに好ましくは、結晶化温度未満にすることが好ましい。特に、結晶化温度〜結晶化温度+10℃では、未延伸PPS短繊維の結晶化が進みやすいので乾燥工程を通過する時間を短くすることが好ましい。ここで、抄紙工程の乾燥温度とは、上記抄紙工程の乾燥時の処理温度(雰囲気温度)の最高温度のことをいう。
【0034】
(未延伸PPS短繊維の結晶化温度+10℃)以下の温度で乾燥処理をすることで未延伸PPS短繊維の非晶質部分が残留する。非晶質PPSは軟化して塑性変形しやすいため、加熱・加圧処理を施したときに、変形して空隙を埋め、貫通孔などを少なくし、湿式不織布を緻密にすることができ、絶縁破壊強さを向上することができる。なお、乾燥温度が低すぎると水分を蒸発させることができず、乾燥できないので、乾燥温度は80℃以上、さらに好ましくは95℃以上であることがよい。
【0035】
なお、結晶化温度は後述する実施例の欄の[測定・評価方法](1)項の結晶化熱量測定と同じ条件測定した主発熱ピークの頂点温度を言う。
【0036】
本発明の製造においては、フィブリル化したパラ系アラミド繊維と未延伸PPS短繊維を含むPPS短繊維とを混抄したドライウェブに加熱・加圧処理をする工程を含むことが重要である。加熱・加圧処理することで、上記の通り未延伸PPS短繊維を溶融軟化させて空隙を潰して繊維間を融着して、絶縁破壊強さ15kV/mm以上を達成させることができる。加熱・加圧する手段としては、いかなる手段でも良いが、例えば、平板等での熱プレス、カレンダーなどを採用することができる。なかでも、連続して加工することができるカレンダーが好ましい。カレンダーのロールは、金属−金属ロール、金属−紙ロール、金属−ゴムロール等を使用することができる。
【0037】
本発明における湿式不織布では、加熱・加圧処理の温度条件は未延伸PPS短繊維のガラス転移温度以上融点以下の温度がよく、さらに好ましくは160〜250℃であり、さらに好ましくは160〜220℃である。処理温度が未延伸PPPS短繊維のガラス転移温度よりも低いと、繊維同士が熱融着せず緻密な湿式不織布を得ることができない。一方、融点を超えると、未延伸PPS短繊維が軟らかくなりすぎて、カレンダーのロールや熱プレスの板等の加熱加圧装置に貼りついてしまい、安定して量産加工ができない。また、湿式不織布としても、表面が荒れたものができてしまう。
【0038】
加熱・加圧処理としてカレンダー加工を採用した場合の圧力としては、98〜7000N/cmが好ましい。98N/cm以上とすることで繊維間の空隙を潰すことができる。一方、7000N/cm以下とすることで、加熱・加圧処理工程における湿式不織布の破れ等を防ぎ、安定して処理を施すことができる。工程速度としては、1〜30m/minが好ましく、より好ましくは2〜20m/minである。1m/min以上とすることで、良好な作業効率を得ることができる。一方、30m/min以下とすることで、湿式不織布の内部の繊維にも熱を伝導させ、繊維の熱融着の実効を得ることができる。
【0039】
このようにして得られた湿式不織布は絶縁紙として、打ち抜き、折り曲げ加工等して所定の形状にして、モーターに挿入し、ウエッジやスロットライナー、相間紙として用いることができる。また、変圧器において、コイル線間絶縁紙や、層間絶縁紙として用いることもできる。さらに、上記湿式不織布にエポキシ系やポリエステル系の粘着剤を塗布して、コイルや引き出し線の固定等に用いる絶縁テープとして用いることもできる。
【実施例】
【0040】
[測定・評価方法]
(1)結晶化熱量
乾燥後(加熱・加圧処理前)のドライウェブサンプルを約2mg精秤し、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−60)で窒素下、昇温速度10℃/分で昇温し、観察される主発熱ピークの発熱量を測定することにより行った。
【0041】
(2)目付
JIS L 1906:2000に準じて、20cm×20cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
【0042】
(3)厚さ
JIS L 1906:2000で準用するJIS L 1096:1999に準じて、試料の異なる10か所について、厚さ測定機を用いて、直径22mmの加圧子による2kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。
【0043】
(4)絶縁破壊強さ
JIS K 6911:1995に則り測定した。試料の異なる5か所から約10cm×10cmの試験片を採取し、直径25mm、質量250gの円盤状の電極で試験片を挟み、試験媒体には空気を用い、0.25kV/秒で電圧を上昇させながら周波数60Hzの交流電圧をかけ、絶縁破壊したときの電圧を測定した。得られた絶縁破壊電圧をあらかじめ測定しておいた中央部の厚さで割り、絶縁破壊強さを算出した。
【0044】
(5)吸湿寸法変化率
試料の異なる3か所からタテ25cm×ヨコ5cmの試験片を採取し、シリカゲルの入ったデシケーター中にて25℃で24時間乾燥し、タテ方向に200.0mmの間隔のしるしをつけた。
【0045】
次いで、相対湿度90%、温度25℃に調整した恒温・恒湿槽内にて上記試験片を6時間放置した後に恒温・恒湿槽から取り出し、10分以内に上記しるしの間隔Lを測定し、寸法変化率を下の式で算出した。その平均値を算出し小数点以下1けたに丸めた。
寸法変化率(%)=(1−L/200.0)×100
ここに、L:相対湿度90%にて放置後のしるしの間隔(mm)。
【0046】
(6)熱寸法変化率(乾熱収縮率)
試料の異なる3か所から100.0mm×100.0mmの試験片を採取し、180℃の熱風乾燥機中で4時間熱処理し、25℃にて2時間放置後、試験片の面積を測定して、熱寸法変化率を次式によって算出し、その平均値を算出し小数点以下1けたに丸めた。
熱寸法変化率(%)={(10000−A)/10000}×100
ここに、A:熱処理後の試験片の面積(mm)。
【0047】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
各繊維の分率・混率及び目付が表1のとおりになるように、以下の方法で湿式不織布をそれぞれ製造した。
【0048】
(パラ系アラミド繊維)
フィブリルを有するパラ系アラミド繊維として、デュポン(DuPont)社製‘ケブラー’パルプ、品番1F303を用いた。
【0049】
(パラ系アラミド繊維の分散液)
上記パラ系アラミド繊維を、表1記載の質量分の小数第1位を切り上げた数に概ね等分し、1等分ずつをとり、おのおの水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌することを繰り返し、分散液とした。攪拌時間としては、15秒とした。
【0050】
(未延伸PPS短繊維)
未延伸PPS短繊維として、単繊維繊度3.0dtex、カット長6mmの東レ社製‘トルコン’、品番S111を用いた。
【0051】
(未延伸PPS短繊維の分散液)
上記未延伸PPS短繊維を、それぞれ表1記載の質量分の小数第1位を切り上げた数に概ね等分し、1等分ずつをとり、おのおの水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌することを繰り返し、分散液とした。攪拌時間としては、繊維同士が絡むのを防ぐために10秒とした。
【0052】
(延伸PPS短繊維)
延伸PPS短繊維として、単繊維繊度1.0dtex、カット長6mmの東レ社製‘トルコン’、品番S301を用いた。
【0053】
(延伸PPS短繊維の分散液)
上記延伸PPS短繊維を、それぞれ表1記載の質量分の小数第1位を切り上げた数に概ね等分し、1等分ずつをとりおのおの水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌することを繰り返し、分散液とした。攪拌時間としては、繊維同士が絡むのを防ぐために10秒とした。
【0054】
(抄紙)
各実施例・比較例において使用した繊維の分散液を、底に140メッシュで大きさ25cm×25cmの手漉き抄紙網を設置した大きさ25cm×25cm、高さ40cmの手すき抄紙機(熊谷理機工業社製)に投入し、さらに水を追加して抄紙分散液の総量を20Lとし、攪拌棒で十分に攪拌した。
手すき抄紙機の水を抜き、抄紙網に残った湿紙をろ紙に転写した。
【0055】
(乾燥)
上記湿紙をろ紙ごとロータリー式乾燥機に投入し、工程通過速度0.5m/min、工程長1.25m(処理時間2.5min)にて乾燥する処理を表裏各3回、合計6回繰り返した。なお、乾燥温度は表1に示す。
【0056】
(加熱加圧処理)
上記乾燥処理した湿式不織布をろ紙から剥離して、鉄ロールとペーパーロールとからなるカレンダー加工機に通した。カレンダー圧力は100kN/25cm(4kN/cm)とし、表裏各1回の2回処理した。なお、処理温度と加工速度は表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例1〜6において絶縁破壊強さも強く、吸湿寸法安定性、熱寸法安定性に優れた電気絶縁紙を得ることができた。また、試験片表面を電子顕微鏡を用いて倍率300倍で観察したところ、未延伸PPS短繊維による融着が有ることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の電気絶縁紙は、モーター、コンデンサー、変圧器、ケーブル等に用いられる電気絶縁紙として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィブリル化したアラミド繊維とポリフェニレンサルファイド短繊維とを含む湿式不織布であって、該ポリフェニレンサルファイド短繊維における未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の分率が95質量%以上、かつ、湿式不織布における未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の混率が50〜99質量%であり、絶縁破壊強さが15kV/mm以上である湿式不織布からなることを特徴とする電気絶縁紙。
【請求項2】
結晶化熱量が10J/g以上であるドライウェブに前記未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維のガラス転移温度以上融点以下の温度で加熱・加圧処理を施すことにより得られたことを特徴とする請求項1に記載の湿式不織布からなる電気絶縁紙。
【請求項3】
前記未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の湿式不織布における混率が70〜99質量%であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の電気絶縁紙。
【請求項4】
前記アラミド繊維が、パラ系アラミド繊維であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁紙。

【公開番号】特開2009−277653(P2009−277653A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98708(P2009−98708)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】