説明

電気自動車の充電ポート

【課題】夜間等の視界不良時においても充電作業を容易に行うことができる電気自動車の充電ポートを提供する。
【解決手段】充電ソケット部3は、収容部2の奥側の衝立面2aに配置され、3本のスリーブ10と、これらの内部に配置された3本のロッド端子11と、スリーブ10の外周側に配置された位置決め溝12と、スリーブ10及び位置決め溝12を開閉する内蓋13とを有する。充電設備側の接続機器であるプラグは、位置決め溝12に回転方向の位置合わせをした状態でのみ充電ソケット部3に装着される。照明部4は、収容部2の底面2bに配置され、LED20と、LED20の外周を被うカバー21とを備えている。カバー21には、レンズ部21aが設けられている。照明部4は、下方から充電ソケット部3とその周辺を照らす。照明部4は、制御部によって点灯・消灯等が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の充電ポートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気を動力源とする電気自動車が実用化され市場に投入されるようになってきた。電気自動車には、電動モータのみを駆動源とする車両と、駆動源として電動モータとエンジンを有するハイブリッド車両とがある。いずれのタイプの電気自動車においても、電動モータに電力を供給するために蓄電装置としてのバッテリを搭載している。電動モータのみを駆動源とする車両は、バッテリの残存容量が低下した場合に、バッテリを充電する必要がある。電動モータとエンジンを駆動源とする車両も、バッテリの残存容量が低下した場合に、バッテリを充電する必要性がある場合もある。
【0003】
そのため、電気自動車には、特許文献1、2に示すように、充電ポートが設けられている。充電作業は、電気自動車側の充電用接続部に充電設備側のプラグ等を装着し、充電が完了するとプラグ等を取り外すことによって行う。このような充電作業は、昼間のみならず夜間に行うこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−166756号公報
【特許文献2】特開平10−152071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例の充電ポートには、充電用接続部を明るくする手段が備えられていない。市中の充電専用施設では、充電ポートを照らす外部照明が設けられているが、家庭で充電する際には充電ポートを照らす照明を確保できない可能性もあり、充電作業に支障を来す恐れがある。又、市中の充電専用施設における充電時でも、外部照明が充電ポートを的確に照明するという保証はない。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、夜間等の視界不良時においても充電作業を容易に行うことができる電気自動車の充電ポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、充電設備側の接続機器が装着される充電用接続部と、前記充電用接続部を照明する照明手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ユーザが操作可能で、且つ、前記照明手段をオン・オフさせるスイッチを備えることが好ましい。
【0009】
前記充電用接続部が収容された収容部を開閉する蓋体と、前記蓋体の開閉状態を検出する蓋体位置検出手段とを備え、前記蓋体が閉位置から開位置に変移したことを前記蓋体位置検出手段が検出すると、前記照明手段を点灯状態とし、前記蓋体が開位置から閉位置に変移したことを前記蓋体位置検出手段が検出すると、前記照明手段を消灯状態とすることが好ましい。
【0010】
イグニッションキーのオン時には、前記照明手段は消灯状態とすることが好ましい。
【0011】
前記蓋体位置検出手段が前記蓋体の閉位置から開位置への変移を検出して前記照明手段を点灯すると、点灯開始時から規定時間経過後に前記照明手段が消灯することが好ましい。
【0012】
前記照明手段は、点灯時には充電状態によって発光色が可変することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明手段の点灯によって充電用接続部を明るく照らすことができるため、夜間等の視界不良時においても充電作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示し、充電ポートの収容部を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、充電ソケット部の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、照明部の制御ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、照明部の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図4は本発明の一実施形態を示す。図1〜図3に示すように、電気自動車の充電ポート1は、車体(図示せず)の外形を形成する、例えばフェンダーパネル・フードパネル等の車体パネル(図示せず)の一面に設けられた凹状の収容部2と、この収容部2内に配置された充電用接続部である充電ソケット部3と、収容部2内に配置された照明手段である照明部4と、照明部4に付設されたスイッチ7と、収容部2内を開閉する蓋体5とを備えている。
【0017】
収容部2は、奥側の衝立面2aと底面2bと左右の側面2cより構成されており、車体の外側に開放されている。
【0018】
充電ソケット部3は、収容部2の奥側の衝立面2aに配置されている。充電ソケット部3は、3本のスリーブ10と、これらの内部に配置された3本のロッド端子11と、スリーブ10の外周側に配置された位置決め溝12と、スリーブ10及び位置決め溝12を開閉する内蓋13とを有する。充電設備側の接続機器であるプラグ(図示せず)は、位置決め溝12に回転方向の位置合わせをした状態でのみ充電ソケット部3に装着される。
【0019】
照明部4は、収容部2の底面2bに配置されている。照明部4は、RGB(赤、緑、青)発光部を有するLED(Light Emitting Diode)20と、LED20の外周を被うカバー21とを備えている。カバー21には、レンズ部21aが設けられている。照明部4は、下方から充電ソケット部3とその周辺を照らす。照明部4は、制御部30によって点灯・消灯等が制御される。
【0020】
スイッチ7は、押下式であり、押下操作毎に操作信号を制御部30に出力する。
【0021】
蓋体5の開閉状態は、蓋体位置検出手段6によって検出される。
【0022】
制御部30には、蓋体位置検出手段6の開閉信号、スイッチ7の操作信号、イグニッションキーのオン・オフ信号、充電開始信号、充電状態出力信号が入力される。制御部30は、図4に示すように、これら入力情報に基づいて照明部4のLED20の点灯・消灯等を制御する。この制御内容については、下記に説明する。
【0023】
次に、照明部4の点灯・消灯等の動作を図4のフローに基づき説明する。イグニッションキー信号がオンの場合には、作業者が充電作業を行うべく蓋体5が開けても、照明部4は点灯しない(ステップS1)。イグニッションキー信号がオフの場合に、作業者が充電作業を行うべく蓋体5が開けると(ステップS1,S2)、照明部4が白色で点灯する(ステップS3)。これにより充電ソケット部3が照らされる。
【0024】
照明部4が白色で点灯されると、スイッチ7の操作等がなければ(ステップS4,S5,ステップS8〜S10)、点灯開始時点から規定時間(例えば90秒)経過後に照明部4が消灯する(ステップS6)。照明部4が白色で点灯中に、スイッチ7が押下されれば(ステップS4,S5)、規定時間(例えば90秒)を待つことなく直ちに照明部4が消灯する(ステップS6)。消灯時に、スイッチ7が押下されれば(ステップS7)、照明部4が再び白色で点灯する(ステップS3)。
【0025】
また、照明部4が白色で点灯中に、充電開始信号を検出すると(ステップS8)、充電状態出力信号に基づいてLED20の点灯色が変化する(ステップS11)。具体的には、充電状態が10%以下では赤色、充電状態が11〜50%ではオレンジ色、充電状態が51〜80%では黄色、81〜99%では緑色、100%では青色に変化する。そして、点灯開始時点から規定時間(例えば90秒)経過すれば(ステップS12)、照明部4が消灯する(ステップS13)。消灯後にスイッチ7が押下されると、再び白色で点灯する(ステップS8)。
【0026】
照明部4が白色や着色で点灯中に、イグニッションキー信号がオフからオンに切り替わると(ステップS9、S16)、直ちに照明部4が消灯する(ステップS18)。イグニッションキー信号がオン状態では、スイッチ7が押下されても照明部4は点灯しない。
【0027】
照明部4が白色や着色で点灯中に、蓋体5が閉じられたことを検出すると(ステップS10、S17)、直ちに照明部4が消灯する(ステップS18)。
【0028】
以上説明したように、電気自動車の充電ポート1は、充電設備側のプラグ(図示せず)が装着される充電ソケット部3と、充電ソケット部3を照明する照明部4とを備えている。従って、照明部4の点灯によって充電ソケット部3を明るく照らすことができるため、夜間等の視界不良時においても充電作業を容易に行うことができる。特に、充電設備側のプラグ(図示せず)は、充電ソケット部3の位置決め溝12に位置合わせしなければ装着できないため、夜間等の視界不良時における装着作業性が格段に向上する。
【0029】
ユーザが操作可能で、且つ、照明部4をオン・オフさせるスイッチ7を備えている。従って、ユーザの必要に応じて照明部4を点灯させたり、消灯させたりできる。充電作業が不慣れなユーザ等にあっても確実に充電作業を行うことができ、使い勝手が良い。
【0030】
充電ソケット部3が収容された収容部2を開閉する蓋体5と、蓋体5の開閉状態を検出する蓋体位置検出手段6とを備え、蓋体5が閉位置から開位置に変移したことを蓋体位置検出手段6が検出すると、照明部4を点灯状態とし、蓋体5が開位置から閉位置に変移したことを蓋体位置検出手段6が検出すると、照明部を消灯状態とする。従って、蓋体5が閉じている場合には、照明部4が消灯しているため、無駄な電力消費を回避できる。
【0031】
イグニッションキーのオン時には、照明部4は消灯状態とされる。具体的には、イグニッションキーがオン時に蓋体5が開けられても照明部4は点灯しない。照明部4が点灯時に、イグニッションキーがオフからオンに切り替わると、照明部4が消灯される。照明部4の消灯時には、スイッチ7が押下されても照明部4は点灯しない。従って、照明部4を点灯させた状態での車両走行を確実に防止できる。
【0032】
蓋体位置検出手段6が蓋体5の閉位置から開位置への変移を検出して照明部4を点灯すると、点灯開始時から規定時間経過後に照明部4が消灯する。従って、プラグ(図示せず)を充電ソケット部3に装着する作業時に照明を確保しつつ、装着完了後に照明部4が点灯したままの状態で充電が行われるのを防止し、無駄な電力消費を回避できる。
【0033】
照明部4は、点灯時には充電状態によって発光色が可変する。従って、現在の充電状態を車外から視認できる。
【0034】
照明部4は、下方から充電ソケット部3を照明する。従って、照明部4の照射光をプラグ等で遮って充電ソケット部3が影で見え難くなるという事態を防止できる。
【0035】
この実施形態では、充電用接続部は充電ソケット部3であるが、これに限定されるものではなく、充電設備側の接続機器が装着されるものであれば良い。例えばパドル挿入口であっても良い。
【0036】
この実施形態では、スイッチ7は、押下式で、押下操作毎に操作信号を出力するものにて構成されているが、これに限定されるものではなく、例えばタクト式であっても良い。
【0037】
この実施形態では、照明部4は光源としてLEDを有するが、エレクトロルミネセンス(EL)、ランプ等であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 充電ポート
2 収容部
3 充電ソケット部(充電用接続部)
4 照明部(照明手段)
5 蓋体
6 蓋体位置検出手段
7 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電設備側の接続機器が装着される充電用接続部と、
前記充電用接続部を照明する照明手段とを備えたことを特徴とする電気自動車の充電ポート。
【請求項2】
請求項1記載の電気自動車の充電ポートであって、
ユーザが操作可能で、且つ、前記照明手段をオン・オフさせるスイッチを備えたことを特徴とする電気自動車の充電ポート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電気自動車の充電ポートであって、
前記充電ポートが収容された収容部を開閉する蓋体と、
前記蓋体の開閉状態を検出する蓋体位置検出手段とを備え、
前記蓋体が閉位置から開位置に変移したことを前記蓋体位置検出手段が検出すると、前記照明手段を点灯状態とし、前記蓋体が開位置から閉位置に変移したことを前記蓋体位置検出手段が検出すると、前記照明手段を消灯状態とすることを特徴とする電気自動車の充電ポート。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気自動車の充電ポートであって、
イグニッションキーがオン時には、前記照明手段を消灯状態とすることを特徴とする電気自動車の充電ポート。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の電気自動車の充電ポートであって、
前記蓋体位置検出手段が前記蓋体の閉位置から開位置への変移を検出して前記照明手段を点灯すると、点灯開始時から規定時間経過後に前記照明手段が消灯することを特徴とする電気自動車の充電ポート。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電気自動車の充電ポートであって、
前記照明手段は、点灯時には充電状態によって発光色が可変することを特徴とする電気自動車の充電ポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−130189(P2012−130189A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280638(P2010−280638)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(504136889)株式会社ファルテック (57)
【Fターム(参考)】