説明

電気自動車の給電情報配信システム

【課題】 電気自動車のユーザが給電装置に関する情報を容易に入手し得るようにした電気自動車の給電情報配信システムを提供する。
【解決手段】 電気自動車1に搭載されたバッテリへ電力を供給する給電装置2と、ユーザが所有する電気自動車1のナビゲーション装置3と、給電装置2あるいはナビゲーション装置3との間での送受信を通信網を介して実行する給電サーバ4とを備え、給電装置2の空き状況を給電サーバ4に収集し、その給電サーバ4からナビゲーション装置3へ給電装置2の空き状況を通信網を介して配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車に搭載されたバッテリを充電する給電装置に関する各種情報を電気自動車のユーザに配信する電気自動車の給電情報配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化などの環境問題から、内燃機関を搭載したガソリン自動車に代わるものとして、エネルギー源としてバッテリを搭載したプラグインハイブリッド車・電気自動車が開発されている。これら電気自動車の場合、走行を継続する必要性から、バッテリを充電しなければならない。そのため、これら電気自動車の普及拡大を目的として、バッテリを充電するための給電インフラの整備が進められている。
【0003】
これら電気自動車の普及拡大に伴って、電気自動車のバッテリを充電するための給電装置が市街地などの各所に設置されることになる。電気自動車のユーザは、市街地などのいずれかの場所に移動し、その場所に設置された給電装置でもって電気自動車のバッテリを充電しなければならない。
【0004】
従来、給電装置とこの給電装置から電力供給を受けるバッテリが搭載された電気自動車との間に通信手段を設けて情報のやり取りを行う電力供給システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1における電力供給システムは、自動車を駐車可能な給電スタンド(自動車にガソリンを供給するガソリンスタンドと同様に自動車に電力を供給する施設)に設置された給電装置(給電端末)と、この給電装置による電力の供給を管理する管理システムと、給電装置および管理システムを接続して情報の送受信を可能にするネットワークとで主要部が構成されている。
【0006】
この電力供給システムでは、利用者が給電スタンドの所定の場所に自動車を駐車してバッテリを給電装置に接続する。自動車に設けられた認証装置のカードリーダにICカード等の認証カードを挿入することにより、その認証カードに書き込まれた利用者情報をネットワークを介して管理システムに送信する。
【0007】
この管理システムでは、利用者データベースに登録されている利用者情報と照合し、この利用者が電力供給を受けられる資格を有するか否かを判定する。この判定の結果、利用者が認証された場合、管理システムからの給電開始指令に基づいて給電装置を制御して自動車のバッテリへ給電する。
【0008】
この給電終了後、バッテリから給電装置が取り外されると、その給電装置から電力使用量を読み出し、給電終了の通知および電力使用量を管理システムに送信し、その情報を履歴データベースに記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−77267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前述した特許文献1における電力供給システムでは、給電スタンドに設置された給電装置と管理システムとの間で情報の送受信を行っているが、その情報は、給電装置を利用する利用者情報などに限定されたものであった。この利用者情報は、給電装置の利用者が電力供給を受けられる資格を有するか否かを判定するために、管理システムが必要とするものであった。
【0011】
これに対して、給電装置を利用する電気自動車のユーザが必要とする情報もある。つまり、この給電装置は市街地などの各所に設置されるが、電気自動車のユーザが必要とする情報としては、給電装置に関する情報であり、例えば、各給電装置の設置場所や給電装置の空き状況および使用状況などがある。これら給電装置に関する情報を電気自動車のユーザが入手できるようにすることが要望されている。
【0012】
そこで、本発明は前述の要望に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、電気自動車のユーザが給電装置に関する情報を容易に入手し得るようにした電気自動車の給電情報配信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明に係る電気自動車の給電情報配信システムは、電気自動車に搭載されたバッテリへ電力を供給する給電装置と、電気自動車のユーザが所有する端末器と、給電装置あるいは端末器との間での送受信を通信網を介して実行する給電サーバとを備え、給電装置の情報を給電サーバに収集し、その給電サーバからユーザの端末器へ給電装置の情報を通信網を介して配信することを特徴とする。
【0014】
本発明では、給電サーバに収集された給電装置の情報をその給電サーバからユーザの端末器へ通信網を介して配信することにより、給電装置に関する情報で電気自動車のユーザが必要とするものを端末器で任意に選択しながら入手することが可能となる。
【0015】
本発明における通信網としてはインターネットを利用することが望ましい。このような簡易な通信網としてのインターネットを利用すれば、給電情報配信システムの構築が容易となる。なお、通信網としては、インターネット以外に携帯電話網も利用可能である。
【0016】
本発明における給電装置の情報としては、給電装置の空き状況や使用状況が有効である。つまり、給電装置の空き状況が情報として入手できれば、電気自動車のバッテリを迅速に充電することが可能となる。また、給電装置の使用状況が情報として入手できれば、電気自動車のバッテリの充電状態を的確に把握することができる。
【0017】
本発明における端末器は、電気自動車に搭載されたナビゲーション装置や、ユーザが所持する携帯端末装置が有効な手段である。このように端末器としてナビゲーション装置や携帯端末装置を利用すれば、そのナビゲーション装置や携帯端末装置のディスプレイに表示される地図などから給電装置の情報を迅速かつ明確に把握することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、給電サーバに収集された給電装置の情報をその給電サーバからユーザの端末器へ通信網を介して配信することにより、給電装置に関する情報で電気自動車のユーザが必要とするものを端末器で任意に選択しながら入手することが可能となる。その結果、電気自動車のユーザは、給電装置を有効利用することができ、その実用的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る電気自動車の給電情報配信システムの一つの実施形態で、VICS対応のナビゲーション装置を利用した給電情報配信システムの概略構成図と給電情報配信プロセスを示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る電気自動車の給電情報配信システムの他の実施形態で、インターネット対応のナビゲーション装置を利用した給電情報配信システムの概略構成図と給電情報配信プロセスを示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る電気自動車の給電情報配信システムの他の実施形態で、GPS機能付き携帯電話を利用した給電情報配信システムの概略構成図と給電情報配信プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る電気自動車の給電情報配信システムの実施形態を以下に詳述する。なお、以下の実施形態では、例えば市街地などの各所で自動車を駐車可能な給電スタンド(自動車にガソリンを供給するガソリンスタンドと同様に自動車に電力を供給する施設)に設置された給電装置に適用した場合について説明するが、この給電装置は、月極契約の駐車場やマンション等の集合住宅に付設された駐車場、駐車券を利用した料金精算機が設置されていないコインパーキング、ショッピングモールやホテルの駐車場に設置されたものに対しても適用することが可能である。
【0021】
図1は、電気自動車の給電情報配信システムにおける一つの実施形態を示す。この実施形態における給電情報配信システムは、電気自動車1に搭載されたバッテリへ電力を供給するために給電スタンドに設置された給電装置2と、電気自動車1のユーザが所有する端末器、例えば電気自動車1に搭載されたナビゲーション装置3と、給電サービス事業者が所有し、給電装置2との間での送受信を通信網としての携帯電話網を介して実行する給電サーバ4と、その給電サーバ4と専用回線で接続され、ユーザが所有する電気自動車1のナビゲーション装置3へ給電装置2に関する情報を送信するVICSサーバ5とを備えている。なお、この実施形態で使用されるナビゲーション装置3は、VICS対応のものを使用することになる。
【0022】
ここで、ナビゲーション装置3は、地上約2万kmの宇宙空間に配置されたGPS(Global Positioning Systems)衛星から発信する電波を受信し、この受信情報から算出された現地点の位置情報に基づいて、CD−ROM、DVD−ROMやHDD等に記憶された地図データベースから対応する地域の地図データを読み出し、その地図データと現在位置をマッチングさせてディスプレイ3aに表示させる経路案内機能を有する。
【0023】
また、VICS(Vehicle Information and Communication System)とは、(財)道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)が提供するサービスとして渋滞や交通規制などの道路交通情報を通信・放送メディアによってリアルタイムに送信し、ナビゲーション装置などの車載装置に文字や図形(地図など)として表示させる情報通信システムである。
【0024】
この実施形態における給電情報配信システムでは、給電サービス事業者が保有する給電サーバ4に、給電装置2の情報として空き状況を収集する。この給電装置2は、市街地などの各所に設置されており、各給電装置2の設置場所の位置データなどを記録した給電装置データベースが給電サーバ4に格納されている。給電サービス事業者では、給電サーバ4から給電装置2の空き状況データをVICSセンターのVICSサーバ5に専用回線を介して送信する。VICSセンターでは、給電装置2の空き状況データをVICS情報データに変換し、その変換されたVICS情報データを指定地域に存在する電気自動車1のナビゲーション装置3に送信する。このようにして、任意のユーザが所有する電気自動車1のナビゲーション装置3にVICS情報データに基づく給電装置2の空き状況が配信される。
【0025】
これにより、任意のユーザが所有する電気自動車1のナビゲーション装置3のディスプレイ3aには、電気自動車1が存在する周辺地域に設置された給電スタンドの給電装置2が地図上に表示され、どの地点にある給電装置2が「空き」あるいは「使用中」であるかの空き状況が表示される。その結果、電気自動車1のユーザは、このナビゲーション装置3のディスプレイ3aに表示された給電装置2の空き状況に基づいて「空き」の給電装置2がどの地点に存在するのかを認知することができ、これに基づいて電気自動車1を移動させることになる。
【0026】
また、この実施形態では、給電サーバ4により給電装置2の空き状況を配信するだけでなく、ナビゲーション装置3では、「空き」の給電装置2が設置された給電スタンドへのルート検索が可能である。また、「使用中」にある給電装置2が設置された給電スタンドへのルート検索やその給電装置2の予約も可能である。さらに、「使用中」にある給電装置2の予約に伴ってその給電装置2が空くまでの待ち時間を表示させることも可能である。これらルート検索、スタンド予約および待ち時間表示は、ナビゲーション装置3のディスプレイ3a上でのタッチパネル操作により実行可能であり、「空き」あるいは「使用中」の給電装置2が設置された給電スタンドまでの最短ルートを表示すると共に「予約中」「待ち時間1時間」などを表示する。
【0027】
この実施形態では、給電サービス事業者の給電サーバ4を専用回線を介してVICSセンターのVICSサーバ5に接続した場合について説明したが、他の通信網としてインターネットを利用することも可能である。なお、以下の実施形態では、通信網としてインターネットを利用した場合について説明するが、携帯電話網などの他の通信網を利用することも可能である。
【0028】
図2は、インターネットを利用した給電情報配信システムの実施形態を示す。この実施形態における給電情報配信システムは、電気自動車1に搭載されたバッテリへ電力を供給するために給電スタンドに設置された給電装置2と、ユーザが所有する電気自動車1に搭載されたナビゲーション装置3と、給電サービス事業者が所有し、給電装置2との間での送受信を通信網としての携帯電話網を介して実行する給電サーバ4とを備えている。なお、この実施形態で使用されるナビゲーション装置3は、インターネット対応のものを使用することになる。
【0029】
この実施形態における給電情報配信システムでは、給電サービス事業者が保有する給電サーバ4に、給電装置2の情報として空き状況を収集する。この給電装置2は、市街地などの各所に設置されており、各給電装置2の設置場所の位置データなどを記録した給電装置データベースが給電サーバ4に格納されている。給電サービス事業者では、給電サーバ4にて給電装置データに基づいて地図上で給電装置2の位置を示すと共に各給電装置2の空き状況を表示するWEBサイトを作成し、WEBサイトをインターネット上に配信する。電気自動車1を所有するユーザは、ナビゲーション装置3により前述のWEBサイトにアクセスすることで、そのナビゲーション装置3のディスプレイ3aに給電装置2の空き状況が表示される。
【0030】
任意のユーザが所有する電気自動車1のナビゲーション装置3のディスプレイ3aには、電気自動車1が存在する周辺地域に設置された給電スタンドの給電装置2が地図上に表示され、どの地点にある給電装置2が「空き」あるいは「使用中」であるかの空き状況が表示される。その結果、電気自動車1のユーザは、このナビゲーション装置3のディスプレイ3aに表示された給電装置2の空き状況に基づいて「空き」の給電装置2がどの地点に存在するのかを認知することができ、これに基づいて電気自動車1を移動させることになる。
【0031】
また、この実施形態では、給電サーバ4により給電装置2の空き状況を配信するだけでなく、ナビゲーション装置3では、「空き」の給電装置2が設置された給電スタンドへのルート検索が可能である。また、「使用中」にある給電装置2が設置された給電スタンドへのルート検索やその給電装置2の予約も可能である。さらに、「使用中」にある給電装置2の予約に伴ってその給電装置2が空くまでの待ち時間を表示させることも可能である。これらルート検索、スタンド予約および待ち時間表示は、ナビゲーション装置3のディスプレイ3a上でのタッチパネル操作により実行可能であり、「空き」あるいは「使用中」の給電装置2が設置された給電スタンドまでの最短ルートを表示すると共に「予約中」「待ち時間1時間」などを表示する。
【0032】
以上の実施形態では、電気自動車1のユーザが所有する端末器としてその電気自動車1に搭載されたナビゲーション装置3を利用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、電気自動車1のユーザが所有する端末器として携帯電話やPDAなどの携帯端末装置を利用することも可能である。
【0033】
図3は、電気自動車1のユーザが所有する端末器として携帯電話6を利用した給電情報配信システムの実施形態を示す。この実施形態における給電情報配信システムは、電気自動車1に搭載されたバッテリへ電力を供給するために給電スタンドに設置された給電装置2と、電気自動車1のユーザが所持する携帯電話6と、給電サービス事業者が所有し、給電装置2との間での送受信を通信網としての携帯電話網を介して実行する給電サーバ4とを備えている。なお、この実施形態で使用される携帯電話6は、GPS機能付きのものを使用することになる。
【0034】
この実施形態における給電情報配信システムでは、給電サービス事業者が保有する給電サーバ4に、給電装置2の情報として空き状況を収集する。この給電装置2は、市街地などの各所に設置されており、各給電装置2の設置場所の位置データなどを記録した給電装置データベースが給電サーバ4に格納されている。電気自動車1を所有するユーザは、携帯電話6によりインターネットを介して給電サービス事業者の給電サーバ4にアクセスし、GPSでの位置情報をその給電サーバ4に送信する。このGPSでの位置情報に基づいて給電サーバ4から現在位置周辺の給電装置2の空き状況が携帯電話6のディスプレイ6aに表示される。
【0035】
電気自動車1のユーザが所持する携帯電話6のディスプレイ6aには、現在位置の周辺地域に設置された給電スタンドの給電装置2が地図上に表示され、どの地点にある給電装置2が「空き」あるいは「使用中」であるかの空き状況が表示される。その結果、電気自動車1のユーザは、この携帯電話6のディスプレイ6aに表示された給電装置2の空き状況に基づいて「空き」の給電装置2がどの地点に存在するのかを認知することができ、これに基づいて電気自動車1を移動させることになる。
【0036】
また、この実施形態においても、給電サーバ4により給電装置2の空き状況を配信するだけでなく、携帯電話6では、「空き」あるいは「使用中」にある給電装置2が設置された給電スタンドへのルート検索やその給電装置2の予約も可能である。さらに、「使用中」にある給電装置2の予約に伴ってその給電装置2が空くまでの待ち時間を表示させることも可能である。これらルート検索、スタンド予約および待ち時間表示は、携帯電話6のディスプレイ6aに、「空き」あるいは「使用中」の給電装置2が設置された給電スタンドまでの最短ルートを表示すると共に「予約中」「残り1時間」などを表示することにより実現可能である。
【0037】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0038】
1 電気自動車
2 給電装置
3 端末器(ナビゲーション装置)
4 給電サーバ
6 端末器(携帯電話)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載されたバッテリへ電力を供給する給電装置と、前記電気自動車のユーザが所有する端末器と、前記給電装置あるいは前記端末器との間での送受信を通信網を介して実行する給電サーバとを備え、前記給電装置の情報を給電サーバに収集し、その給電サーバからユーザの端末器へ給電装置の情報を通信網を介して配信することを特徴とする電気自動車の給電情報配信システム。
【請求項2】
前記通信網としてインターネットを利用した請求項1に記載の電気自動車の給電情報配信システム。
【請求項3】
前記給電装置の情報は、その給電装置の空き状況である請求項1又は2に記載の電気自動車の給電情報配信システム。
【請求項4】
前記給電装置の情報は、その給電装置の使用状況である請求項1又は2に記載の電気自動車の給電情報配信システム。
【請求項5】
前記端末器は、電気自動車に搭載されたナビゲーション装置である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気自動車の給電情報配信システム。
【請求項6】
前記端末器は、ユーザが所持する携帯端末装置である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気自動車の給電情報配信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−163812(P2011−163812A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24365(P2010−24365)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000220882)株式会社エネゲート (42)
【Fターム(参考)】