説明

電気自動車の電力制御ユニット支持構造

【課題】PCUと周辺部材との接触を防ぎ、PCUを保護できるとともに、PCUを安定して支持できる電気自動車のPCU支持構造を提供する。
【解決手段】バッテリから供給される電力を制御してモータに供給するPCU5を車体に支持する電気自動車のPCU支持構造において、PCU5は、車体とは別体で車体に着脱可能に設けられたユニット支持フレーム31を介して車体に支持され、ユニット支持フレーム31は、PCU5に上下方向で重なる位置に配置されるとともに、上下方向から見てPCU5を取り囲むように配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の電力制御ユニット支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車等において、車体前部に配置されたモータルーム内には、例えばモータと、モータの駆動を制御するインバータと、が収納されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の構成において、インバータは、前側下部の左右2箇所、及び後側下部の左右2箇所でフレームに締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−20624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した車両においては、例えば衝突等した場合に、車体に入力される衝撃荷重によりインバータの周辺部材(例えば、低電圧バッテリ等)がインバータに向けて押し込まれることになる。
このとき、上述した従来技術にあっては、衝突時に押し込まれた周辺部材がインバータに接触して、インバータが破損する等の虞がある。
【0005】
また、インバータが下部でフレームに支持されているため、インバータとフレームとの固定点と、インバータの重心と、の距離が比較的遠い。そのため、インバータの安定性が悪く、また車両の挙動に起因してインバータとフレームとの固定点に作用する応力が大きくなるという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、電力制御ユニットと周辺部材との接触を防ぎ、電力制御ユニットを保護できるとともに、電力制御ユニットを安定して支持できる電気自動車の電力制御ユニット支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、バッテリから供給される電力を制御してモータ(例えば、実施形態におけるモータ4)に供給する電力制御ユニット(例えば、実施形態におけるPCU5)を車体(例えば、実施形態における2)に支持する電気自動車(例えば、実施形態における電気自動車1)の電力制御ユニット支持構造において、前記電力制御ユニットは、前記車体とは別体で前記車体に着脱可能に設けられたサブフレーム(例えば、実施形態におけるユニット支持フレーム)を介して前記車体に支持され、前記サブフレームは、前記電力制御ユニットに上下方向で重なる位置に配置されるとともに、上下方向から見て前記電力制御ユニットを取り囲むように配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明では、前記電力制御ユニットは、制御デバイスが収納された上側ケース(例えば、実施形態におけるアッパケース51)及び下側ケース(例えば、実施形態におけるロアケース52)と、これら前記上側ケース及び前記下側ケースの間に配置されるとともに、その上下両面側に前記制御デバイスが配設され、前記上側ケース及び前記下側ケースとの間で熱交換を行う金属製のヒートシンク筐体(例えば、実施形態におけるヒートシンク筐体53)と、を備え、前記ヒートシンク筐体は、前記車体及び前記サブフレームよりも剛性が高く構成され、前記電力制御ユニットは、上下方向から見て四角形状に構成されるとともに、上下方向から見た四辺のうち、第1辺(例えば、実施形態における側壁部55a)において、前記上側ケースが前記サブフレームに取り付けられ、前記第1辺に対向する第2辺(例えば、実施形態における前壁部64a)において、前記下側ケースが前記サブフレームに取り付けられ、前記第1辺及び前記第2辺と異なる第3辺において、前記ヒートシンク筐体が前記サブフレームに取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、万が一、衝突時において車体に衝撃荷重が入力された場合に、電力制御ユニットの周辺部材が電力制御ユニットに向けて押し込まれたとしても、電力制御ユニットに向けた周辺部材の移動をサブフレームにより規制できる。すなわち、サブレームにより電力制御ユニットを保護できるので、周辺部材が電力制御ユニットに接触するのを抑制し、電力制御ユニットの損傷を抑制できる。
また、電力制御ユニットを支持するサブフレーム自体が、電力制御ユニットを保護する役割を備えているため、例えば別体の保護部材を取り付ける場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。
さらに、電力制御ユニットと上下方向で重なる位置に、サブフレームを配置することで、電力制御ユニットを下部のみで支持する場合に比べて、電力制御ユニットとサブフレームとの固定点と、電力制御ユニットの重心と、を近づけることができる。これにより、電力制御ユニットを安定して支持できるとともに、車両の挙動に起因してサブフレームから固定点に作用する応力を低減できる。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、電力制御ユニットの三辺が、それぞれ異なるケースまたはヒートシンク筐体によってサブフレームに取り付けられることになる。そのため、各取付部分を介してサブフレームから電力制御ユニットに作用する応力を、各ケースまたはヒートシンク筐体に効率的に分散できる。これにより、電力制御ユニットをより安定して支持できる。
また、ヒートシンク筐体の剛性が、車体及びサブフレームよりも高くなっているため、衝撃荷重が仮にヒートシンク筐体に伝達されたとしても、電力制御ユニットが破損するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態における電気自動車の前部側面を示す概略構成図である。
【図2】PCU及びユニット支持フレームの斜視図である。
【図3】図2のC1矢視図である。
【図4】図2のC2矢視図である。
【図5】図2のC3矢視図である。
【図6】ロアケースを上方から見た斜視図である。
【図7】ヒートシンク筐体を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(電気自動車)
図1は本実施形態における電気自動車の前部を側方から見た概略構成図である。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。
図1に示すように、本実施形態の電気自動車1において、車体2の前部にはモータルーム3が画成されている。モータルーム3内には、駆動源としてのモータ4と、モータ4の上方に配置されてモータ4の駆動を制御する電力制御ユニット5(以下、PCU(Power Control Unit)5という)と、が主に収納されている。
【0013】
なお、モータルーム3の後部には、図示しない車室内とモータルーム3内とを前後方向で区画するダッシュボード8が設けられている。このダッシュボード8は、PCU5の後方において上下方向に沿って延在するダッシュボードロア9と、ダッシュボードロア9の上端部から前方に向かって連設されたダッシュボードアッパ10と、を備えている。
【0014】
モータ4は、円筒状に形成され、その回転軸を左右方向に向けた状態で、図示しない防振部材を介して車体2に弾性支持されている。
【0015】
図2は、PCU及びユニット支持フレームを左前方から見た斜視図である。また図3は図2のC1矢視図、図4は図2のC2矢視図、図5は図2のC3矢視図である。
図2〜5に示すように、PCU5は、例えば車室内の下方に配設された図示しない高電圧バッテリ(バッテリ)から供給される直流電力を三相(U相、V相、W相)の交流電力に変換し、変換した交流電力をモータ4に供給することでモータ4を駆動制御している。具体的に、PCU5は、上方から見て四角形状に形成された箱型の筐体25を備え、この筐体25内に各種制御デバイス(不図示)が収納されている。また、PCU5は、モータルーム3内におけるモータ4の上方にユニット支持フレーム(サブフレーム)31を介して車体2に支持されている。
【0016】
(ユニット支持フレーム)
ユニット支持フレーム31は、車体2の図示しないフレーム部材に着脱可能に構成されたパイプ状の部材である。ユニット支持フレーム31は、上下方向から見てモータルーム3内の左右方向中央部において、PCU5と上下方向に重なる位置で、PCU5の全周を取り囲むように配設されている。具体的に、ユニット支持フレーム31は、PCU5に対して右側に配設された右サイド支持フレーム32と、左側に配設された左サイド支持フレーム33と、各サイド支持フレーム32,33の前端部同士を接合するフロント支持フレーム34と、各サイド支持フレーム32,33の後端部同士を接合するリア支持フレーム35(図2参照)と、を有している。
【0017】
まず、フロント支持フレーム34は、筐体25の前方において、筐体25の下部を左右方向に沿って延在しているとともに、その延在方向に沿う両端部は後方に向けて屈曲されている。
図2,5に示すように、リア支持フレーム35は、PCU5における筐体25の後方において、筐体25の上部を左右方向に沿って延在しているとともに、その延在方向に沿う両端部が下方に向けて屈曲されている。リア支持フレーム35は、左右方向に沿う複数箇所において、上述したダッシュボード8に締結されている。また、リア支持フレーム35の延在方向に沿う両端部は、ユニット支持フレーム31を車体2のフレーム部材に固定するための脚部37を構成している。なお、図中では脚部37のうち、リア支持フレーム35の左側の脚部37のみ示している。
【0018】
図2〜4に示すように、右サイド支持フレーム32は、筐体25の右側において、筐体25の上下方向中間部分を前後方向に沿って延在している。また、右サイド支持フレーム32のうち、前端部はフロント支持フレーム34の右端部に接合される一方、後端部はリア支持フレーム35の右端部に接合されている。
右サイド支持フレーム32とフロント支持フレーム34との接合部分からは、下方に向けて脚部38が延在している。脚部38は上端部から上端部に向かうに従い漸次PCU5に対して外側(右側)に向けて延在し、脚部38を介してユニット支持フレーム31が車体2のフレーム部材に固定されている。
【0019】
左サイド支持フレーム33は、PCU5の左側において、前後方向に沿って延在する前後フレーム39と、前後フレーム39の前端部から下方に向けて連設された上下フレーム40と、を備えている。
【0020】
図5に示すように、前後フレーム39は、筐体25の左側において、筐体25の上部を前後方向に沿って延在している。前後フレーム39の後端部は、上述したリア支持フレーム35の左端部のうち、上下方向に沿う中間部に接合されている。一方、前後フレーム39の前端部は、前後方向において、PCU5の後述するPCU側端子ボックス56よりも前方に位置している。
【0021】
上下フレーム40は、前後フレーム39の前端部から下方に向けて屈曲形成されて構成されている。また、上下フレーム40の下部には、フロント支持フレーム34の左端部が接合されている。また、上下フレーム40の下端部は、PCU5に対して左右方向の外側(左側)に向けて屈曲された脚部41を構成し、この脚部41を介してユニット支持フレーム31が車体2のフレーム部材に固定されている。
【0022】
(PCU)
ここで、図2〜5に示すように、上述したPCU5の筐体25は、アッパケース(上側ケース)51と、アッパケース51の下方に配置されたロアケース(下側ケース)52と、アッパケース51及びロアケース52の間を仕切るヒートシンク筐体53と、を備え、上下方向に沿って三段に分割構成されている。
アッパケース51は、アルミ材料等からなり、上下方向に沿って開口する矩形枠型のものであり、その上方開口部がアッパカバー54により覆われている。アッパケース51内には、制御デバイスが収納されている。
【0023】
また、アッパケース51の周壁部55のうち、左右方向の一方側(左側)に位置する側壁部(第1辺)55aには、左右方向の外側(左側)に向けてPCU側端子ボックス56が形成されている。このPCU側端子ボックス56には、モータ4とPCU5とを各相ごとに接続する複数のモータハーネス57(図4,5参照)が装着されている。
【0024】
各モータハーネス57は、側壁部55aに沿って前後方向に並んで配列されている。モータハーネス57は、一端側がPCU側端子ボックス56内に下方から装着され、PCU側端子ボックス56内において、図示しない複数のバスバーを介してPCU5内の制御デバイスに電気的に接続されている。一方、各モータハーネス57の他端側は、モータ4(図1参照)における図示しないモータ側端子ボックスに装着され、モータ側端子ボックス内において図示しない複数のバスバーを介してモータ4に電気的に接続されている。
【0025】
また、図5に示すように、各モータハーネス57の延在方向に沿う中間部分は、ブラケット61を介して左サイド支持フレーム33に保持されている。このブラケット61は、前後フレーム39の下方、かつ上下フレーム40の後方に位置する部分において、モータハーネス57の配列方向、すなわち前後方向に沿って延在する板状に形成され、モータハーネス57をそれぞれ保持している。また、ブラケット61は、一端側が上下フレーム40に固定される一方、他端側が前後フレーム39に固定されている。
【0026】
また、PCU側端子ボックス56の上端部には、左側に向けて複数の取付片62が突出している。これら取付片62は、PCU側端子ボックス56における前後方向に沿って2箇所形成されており、これら取付片62が前後フレーム39に上方から固定されている。
【0027】
図6は、ロアケースを上方から見た斜視図である。
図2,6に示すように、ロアケース52は、下方に向けて開放された有頂筒状とされ、アッパケース51と同様の材料により、平面視外形がアッパケース51と同等に形成されている。ロアケース52の天壁部63下面側には、制御デバイスが固定されている。なお、ロアケース52の下端開口部は、ロアカバー66により覆われている。
また、ロアケース52の周壁部64のうち、前壁部(第2辺)64aには、複数の取付片65が前方に向けて突出している。これら取付片65は、左右方向に沿って2箇所形成されており、これら取付片65がフロント支持フレーム34に上方から固定されている。
【0028】
図7は、ヒートシンク筐体を下方から見た斜視図である。
図2,7に示すように、ヒートシンク筐体53は、アルミ材料からなり、車体2の上述したフレーム部材や、ユニット支持フレーム31よりも剛性が高くなっている。また、ヒートシンク筐体53は、アッパケース51及びロアケース52よりも比重(ヒートシンク筐体53や各ケース51,52の重量をその外郭形状で画される体積と同じ容積の水の重量で除した見かけ比重)が高くなっている。ヒートシンク筐体53は、平面視外形がアッパケース51と同等の形状をなす矩形板状の仕切部71(図7参照)を備え、アッパケース51の下端開口部を閉塞するように設けられている。そして、仕切部71の上面には、制御デバイスが固定されている。
【0029】
また、仕切部71の外周縁には、仕切部71の全周を取り囲む周壁部72が下方に向けて延設されている。周壁部72は、その下端縁が上述したロアケース52の天壁部63(図6参照)に突き合わされた状態で固定されている。そして、ロアケース52の天壁部63と、ヒートシンク筐体53の仕切部71及び周壁部72と、で囲まれた空間は、冷媒が流通するウォータジャケット47を構成している。すなわち、本実施形態では、各ケース51,52間にウォータジャケット47が配置されており、アッパケース51やロアケース52内に収納される制御デバイスで発生した熱は、ウォータジャケット47に放熱されることで冷却される。
【0030】
周壁部72の前縁部には、ウォータジャケット47の内外を連通させる冷媒入口ポート73、及び冷媒出口ポート74が左右方向に間隔をあけて設けられている。なお、冷媒入口ポート73は、周壁部72の前縁部のうち左側に設けられ、冷媒出口ポート74は右側に設けられている。各ポート73,74の先端側には、図示しない冷媒配管が接続され、冷媒配管を介してウォータジャケット47内に冷媒が流通する。
【0031】
周壁部72における右側縁部(第3辺)には、左右方向外側(右側)に向けて複数の取付片76が突出している。これら取付片76は、前後方向に沿って2箇所形成されており、これら取付片76が右サイド支持フレーム32に上方から固定されている。
【0032】
ロアケース52の前壁部64aのうち左側には、ロアケース52を前方から覆うガードブラケット77が設けられている。このガードブラケット77は、例えば鉄等からなる板材であり、下端部から上端部に向かうに従い後方に向けて傾斜し、その上端部がPCU5ヒートシンク筐体53の前縁部に締結され、下端部がフロント支持フレーム34に締結されている。また、ガードブラケット77のうち、上述した冷媒入口ポート73と重なる位置には、前後方向から見て各冷媒入口ポート73を露出させる切欠き部78が形成されている。
さらに、左右方向において、ガードブラケット77の下端部とフロント支持フレーム34との各取付箇所79の間には、上述したPCU5の取付片65のうち、左側の取付片65が配置されている。具体的に、取付片65は、ガードブラケット77のうち、左側の後方に配置されており、ガードブラケット77が取付片65を前方から覆うように配置されている。
【0033】
このように、本実施形態では、ユニット支持フレーム31を、PCU5の筐体25と上下方向で重なる位置に配置するとともに、筐体25を取り囲むように配置する構成とした。
この構成によれば、ユニット支持フレーム31によりPCU5を保護できる。すなわち、万が一、衝突時において車体に衝撃荷重が入力された場合に、PCU5の周辺部材(例えば、低電圧バッテリやエアコンプレッサ等)がPCU5に向けて押し込まれたとしても、PCU5に向けた周辺部材の移動をユニット支持フレーム31により規制できる。これにより、周辺部材がPCU5に接触するのを抑制し、PCU5の損傷を抑制できる。
また、PCU5を支持するユニット支持フレーム31自体が、PCU5を保護する役割を備えているため、例えば別体の保護部材を取り付ける場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態では、PCU5の筐体25と上下方向で重なる位置に、ユニット支持フレーム31を配置することで、PCU5を下部のみで支持する場合に比べて、PCU5とユニット支持フレーム31との固定点と、PCU5の重心と、を近づけることができる。これにより、PCU5を安定して支持できるとともに、電気自動車1の挙動に起因してユニット支持フレーム31から固定点(各取付片62,65,76)に作用する応力を低減できる。
【0035】
しかも、本実施形態では、アッパケース51及びロアケース52の間に、これら各ケース51,52よりも比重の高いヒートシンク筐体53を配置することで、ヒートシンク筐体53を下部に配置する場合に比べて、筐体25の重心を上方に設定できる。これにより、PCU5とユニット支持フレーム31との固定点と、PCU5の重心と、をより近づけることができる。
また、ヒートシンク筐体53の剛性が、車体2のサイドフレーム及びユニット支持フレーム31よりも高くなっているため、衝撃荷重が仮にヒートシンク筐体53に伝達されたとしても、PCU5が破損するのを抑制できる。
【0036】
さらに、アッパケース51の取付片62を左サイド支持フレーム33に、ヒートシンク筐体53の取付片76を右サイド支持フレーム32に、ロアケース52の取付片65をフロント支持フレーム34に取り付けることで、ユニット支持フレーム31の三辺が筐体25のうちそれぞれ異なるケース51,52及び筐体53に取り付けられることになる。これにより、各取付片62,65,76を介してユニット支持フレーム31からPCU5に作用する応力を、各ケース51〜53に効率的に分散できる。これにより、PCU5をより安定して支持できる。
【0037】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、モータルーム3内でのレイアウトや、PCU5の構成、PCU5内に収納する制御デバイス等については適宜変更可能である。
また、ユニット支持フレーム31は、上下方向で重なる位置でPCU5を囲むように配置されていれば、ユニット支持フレーム31の形状は適宜設計変更が可能である。すなわち、ユニット支持フレーム31の上下方向に沿う位置は、PCU5の上下方向の高さ範囲内で適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、モータ4の上方にPCU5を配設する構成について説明したが、これらの位置関係は適宜変更可能である。
さらに、上述した実施形態では、筐体25の前側、及び両側面とユニット支持フレーム31とを固定する場合について説明したが、これに限らず、異なる3辺で固定されていれば構わない。また、筐体25の4辺でユニット支持フレーム31を固定しても構わない。
【0038】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…電気自動車 2…車体 4…モータ 5…PCU(電力制御ユニット) 31…ユニット支持フレーム(サブフレーム) 51…アッパケース(上側ケース) 52…ロアケース(下側ケース) 53…ヒートシンク筐体 55a…側壁部(第1辺) 64a…前壁部(第2辺)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから供給される電力を制御してモータに供給する電力制御ユニットを車体に支持する電気自動車の電力制御ユニット支持構造において、
前記電力制御ユニットは、前記車体とは別体で前記車体に着脱可能に設けられたサブフレームを介して前記車体に支持され、
前記サブフレームは、前記電力制御ユニットに上下方向で重なる位置に配置されるとともに、上下方向から見て前記電力制御ユニットを取り囲むように配置されていることを特徴とする電気自動車の電力制御ユニット支持構造。
【請求項2】
前記電力制御ユニットは、制御デバイスが収納された上側ケース及び下側ケースと、
これら前記上側ケース及び前記下側ケースの間に配置されるとともに、その上下両面側に前記制御デバイスが配設され、前記上側ケース及び前記下側ケースとの間で熱交換を行う金属製のヒートシンク筐体と、を備え、
前記ヒートシンク筐体は、前記車体及び前記サブフレームよりも剛性が高く構成され、
前記電力制御ユニットは、上下方向から見て四角形状に構成されるとともに、上下方向から見た四辺のうち、第1辺において、前記上側ケースが前記サブフレームに取り付けられ、
前記第1辺に対向する第2辺において、前記下側ケースが前記サブフレームに取り付けられ、
前記第1辺及び前記第2辺と異なる第3辺において、前記ヒートシンク筐体が前記サブフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の電気自動車の電力制御ユニット支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−103586(P2013−103586A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248167(P2011−248167)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】