説明

電気自動車の電池残量警報装置

【課題】利用者が電気自動車から離れていても、電池の電気残量が所定電気量まで低下したことを確実に知ることができる「電気自動車の電池残量警報装置」を提供することである。
【解決手段】電気自動車の駐車位置を取得する車両位置取得手段(S11)と、電池を充電するための特定充電施設の位置を取得する特定充電施設取得手段(S12)と、電気自動車の駐車位置から特定充電施設までの走行に利用すべき所定電気量を算出する電気量算出手段(S13)と、電気自動車が起動していないと起動判定手段(S15)が判定し、かつ、残量取得手段(S16)により取得される電池の電気残量が所定電気量まで低下したと電池残量判定手段(S17)が判定したときに、警報信号を所定の通信端末に送信する警報送信手段(S18)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の電池の電気残量が少なくなったときに警報を発する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池からの電力が電源回路により搭載機器に供給され、メインキースイッチが電源回路をオンオフ動作させ、蓄電池の残存容量を計測する残存容量計が蓄電池の容量不足の場合に警告信号を発し、警告手段が容量不足を警告するように構成された電気自動車の蓄電池容量不足警告装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記キースイッチによるオフ操作に基づいてタイマー手段が予め定められた期間の計時を開始するとともに動作信号を出力し、この動作信号に基づいて抑制手段が少なくとも残存容量計及び警告手段への電源回路の停止動作を抑制し、容量が不足した場合に、スイッチによる停止操作後の所定時間は警告動作と容量表示とを行うように構成される。
【0003】
上記電気自動車の蓄電池容量不足警告装置によれば、残存容量計が計測した蓄電池の容量が不足した場合に、停止操作後の所定の期間中に、残存容量計及び警告装置の動作を継続できるようにするとともに、警告装置により容量不足を警告できるので、蓄電池を充電し忘れることを防止できる。この結果、電気自動車が充電不足のために走行不能に陥ることを未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−7954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電気自動車の蓄電池容量不足警告装置では、この電気自動車の利用者が電気自動車のキースイッチをオフして停止操作した後、未だ電気自動車に乗っている場合または電気自動車の近くにいる場合には、利用者は警告装置の発する警告により、蓄電池の容量不足であることを知ることができるけれども、電気自動車の利用者が電気自動車から遠く離れた場所にいる場合には、警告装置の発する警告が聞こえない場合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、利用者が電気自動車から離れた場所にいても、電池の電気残量が所定電気量まで低下したことを確実に知ることができるようにした電気自動車の電池残量警報装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の電気自動車の電池残量警報装置は、走行用の電動モータの電源として充電可能な電池を備えた電気自動車の電池残量警報装置であって、前記電気自動車の駐車位置を取得する車両位置取得手段と、前記電池を充電するための特定充電施設の位置を取得する特定充電施設取得手段と、前記電気自動車の前記駐車位置から前記特定充電施設までの走行に利用すべき所定電気量を算出する電気量算出手段と、前記電気自動車が起動しているか否かを判定する起動判定手段と、前記電池の電気残量を取得する残量取得手段と、前記残量取得手段により取得される前記電池の電気残量が前記所定電気量まで低下したか否かを判定する電池残量判定手段と、前記電気自動車が起動しておらずかつ前記電池の電気残量が前記所定電気量まで低下したときに警報信号を所定の通信端末に送信する警報送信手段とを備えた構成となる。
【0008】
このような構成により、電気自動車が起動しておらずかつ電池の電気残量が所定電気量まで低下したときに、警報信号が所定の通信端末に送信されるので、電気自動車の利用者はその電池の電気残量が少なくなったことに気付き、電気自動車を特定充電施設まで運転する。このとき電池の電気残量は駐車位置から特定充電施設まで走行するのに必要な電気量を下回る前であるため、電気自動車は特定充電施設まで走行できる。
【0009】
本発明に係る第2の電気自動車の電池残量警報装置は、走行用の電動モータの電源としての充電可能な電池を備えた電気自動車の電池残量警報装置であって、前記電気自動車の駐車位置を取得する車両位置取得手段と、前記電池を充電するための特定充電施設の位置を取得する特定充電施設取得手段と、前記電気自動車の前記駐車位置から前記特定充電施設までの走行に利用すべき所定電気量を算出する電気量算出手段と、前記電池の電気残量を取得する残量取得手段と、前記残量取得手段にて取得された前記電池の電気残量が前記所定電気量に達するまでの予測時間を算出する予測時間算出手段と、前記電気自動車が起動しているか否かを判定する起動判定手段と、所定タイミングから前記予測時間が経過したか否かを判定する予測時間経過判定手段と、前記電気自動車が起動しておらずかつ前記予測時間が経過したときに警報信号を所定の通信端末に送信する警報送信手段とを備えた構成となる。
【0010】
このような構成により、電気自動車が起動しておらずかつ所定タイミングからの予測時間が経過したときに、警報信号が所定の通信端末に送信されるので、電気自動車の利用者はその電池の電気残量が少なくなったことに気付き、電気自動車を特定充電施設まで運転する。このとき電池の電気残量は駐車位置から特定充電施設まで走行するのに必要な電気量を下回る前であるため、電気自動車は特定充電施設まで走行できる。
【0011】
本発明に係る第1または第2の電気自動車の電池残量警報装置において、前記特定充電施設取得手段は、前記車両位置取得手段にて取得された駐車位置の所定近傍範囲にある充電施設を検索する充電施設検索手段を有し、該充電施設検索手段にて得られた充電施設から前記特定充電施設としての充電施設を取得するように構成することができる。
【0012】
このような構成により、自然放電する電池の電気残量が、駐車位置の近傍の充電施設の走行に利用すべき所定電気量まで低下したときに、また、所定タイミングから、自然放電する電池の電気残量が、駐車位置近傍の充電施設の走行に利用すべき所定電気量に低下するまでの予測時間が経過したときに、警報信号が通信端末に送信されるようになる。
【0013】
本発明に係る第1または第2の電気自動車の電池残量警報装置において、前記特定充電施設が、前記利用者の自宅のコンセント或いは最寄りまたは行きつけの充電スタンドであることができる。
【0014】
このような構成により、電気自動車が自宅或いは最寄りまたは行きつけの充電スタンドに到着したら、利用者はその自宅のコンセント或いは最寄りまたは行きつけの充電スタンドで電気自動車の電池を充電する。
【0015】
本発明に係る第1または第2の電気自動車の電池残量警報装置において、前記通信端末は、当該電気自動車の利用者のパーソナルコンピュータまたは携帯電話機であるように構成してもよい。
【0016】
このような構成により、警報信号が利用者のパーソナルコンピュータまたは携帯電話機に送信されるので、電気自動車の利用者はその電池の電気残量が少なくなったことを知る。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る第1の電気自動車の電池残量警報装置によれば、電気自動車が起動しておらずかつ電池の電気残量が所定電気量まで低下したときに、警報信号が所定の通信端末に送信されるので、電気自動車の利用者はその電池の電気残量が少なくなったことに気付き、電気自動車を特定充電施設まで運転する。このとき電池の電気残量は駐車位置から特定充電施設まで走行するのに必要な電気量を下回る前であるため、電気自動車は特定充電施設まで走行できる。この結果、利用者が電気自動車から離れた場所にいても、電池の電気残量が所定電気量まで低下したことを確実に知ることができる。
【0018】
本発明に係る第2の電気自動車の電池残量警報装置によれば、電気自動車が起動しておらずかつ所定タイミングからの予測時間が経過したときに、警報信号が所定の通信端末に送信されるので、電気自動車の利用者はその電池の電気残量が少なくなったことに気付き、電気自動車を特定充電施設まで運転する。このとき電池の電気残量は駐車位置から特定充電施設まで走行するのに必要な電気量を下回る前であるため、電気自動車は特定充電施設まで走行できる。この結果、利用者が電気自動車から離れた場所にいても、電池の電気残量が所定電気量まで低下したことを確実に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1または第2の実施の形態に係る電気自動車の電池残量警報装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した電気自動車の電池残量警報装置において実行される、電池の電気残量に基づく警報信号の発信処理を示すフローチャートである。
【図3】図1に示した電気自動車の電池残量警報装置において実行される、電池の電気残量が所定電気量に達するまでの予測時間に基づく警報信号の発信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
本発明第1の実施の形態に係る電気自動車(自車)の電池残量警報装置は、走行用の電動モータの電源としての充電可能な電池(蓄電池)と、現在位置から目的地までの経路を案内するナビゲーション装置とを備える。ナビゲーション装置は、図1に示すように、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット12を有している。処理ユニット12には、車両ナビゲーションに必要な位置情報を提供するためのGPSユニット17及びセンサ類18(車輪速センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ)、地図情報及び各種情報を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。また、処理ユニット12には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等の操作部11、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。更に、処理ユニット12には、情報センター、携帯電話基地局或いはプロバイダーなどに無線通信可能な通信ユニット19と、自車を制御するための車両制御用ECU20とが接続されている。
【0022】
ここで、上記センサ類18(車輪速センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ)により自律航法システムのユニットが構成される。この実施の形態では、処理ユニット12に自車の位置情報を提供するためにセンサ類18が主として用いられ、GPSユニット17が補助的に用いられる。なお、処理ユニット12に自車の位置情報を提供するためにGPSユニット17を主として用い、センサ類18を補助として用いてもよい。また、処理ユニット12に自車の位置情報を提供するためにGPSユニット17またはセンサ類18のいずれか一方を用いてもよい。
【0023】
通信ユニット19は所定の通信端末に送信するように構成される。具体的には、通信ユニット19は、情報センター、プロバイダー或いは携帯電話基地局などを介して、利用者のパーソナルコンピュータまたは携帯電話機にEメールを無線通信で送信可能に構成される。ここで記憶部14には、利用者のパーソナルコンピュータのEメールアドレスや、利用者の携帯電話機の電話番号またはEメールアドレスが記憶される。また車両制御用ECU20には、自車のエンジンを始動するためのキースイッチがオンしたか否かを検出するキースイッチセンサが接続されている。このキースイッチがオンすると自車が起動したと判定される。更に電池にはこの電池の電気残量を検出する電池残量センサが設けられ、この電池残量センサは処理ユニット12に接続されている。
【0024】
処理ユニット12は、GPSユニット17及びセンサ類18からの位置情報と、記憶部14から読み出した地図情報に基づいて車両ナビゲーションに係る処理を実行する。この車両ナビゲーションに係る処理では、例えば、GPSユニット17及びセンサ類18により得られる自車位置(車両位置)と目的地の位置とに基づいて自車位置から目的地までの経路(ルート)が検索及び設定され、表示部13にナビゲーションに係る地図とともに自車位置マーク及び設定経路を表示させて、自車の経路案内に係るガイダンスの出力(表示または音声出力)等がなされる。上記目的地には、電池を充電するための特定充電施設の位置が含まれる。特定充電施設としては、利用者の自宅のコンセント、最寄りの充電スタンド、または行きつけの充電スタンドが挙げられる。
【0025】
上記処理ユニット12は、図2に示す手順に従って電池残量警報処理を実行する。利用者は、自車(電気自動車)を駐車場に駐車してキースイッチをオフし、自車から離れて、例えば、他の交通機関を利用し、また、徒歩にて他の場所(例えば、自宅)に行く。処理ユニット12は、前記キースイッチのオフ操作を契機にして電気残量警報処理を開始し(START)、先ずGPSユニット17及びセンサ類18(車輪速センサ、ジャイロセンサ及び加速度センサ)が検出した自車位置を取得し(S11)、記憶部14に記憶された地図情報から特定充電施設の位置を取得する(S12)。例えば、予め記憶部14に記憶された様々な充電施設のなから自車位置の所定近傍範囲内に位置する充電施設を検索し、その検索により得られる充電施設から1つの充電施設、例えば、自車に最も近い充電施設の位置を特定充電施設の位置として取得することができる。また、予め登録された利用者の自宅の位置、自宅から最寄りの充電スタンドの位置、あるいは行きつけの充電施設の位置を特定充電施設の位置として取得することもできる。更に、特定充電施設の位置を前記検索によって取得するか、あるいは登録されたものから取得するかをユーザの操作によって決めることもできる。更にまた、特定充電施設の位置を外部サーバから通信手段を用いて取得することもできる。処理ユニット12は、自車の駐車位置から前記取得した特定充電施設の位置までの経路探索を行い、自車がその経路を現在位置から前記特定充電施設まで走行する際に必要な電気量を算出する(S13)。そして処理ユニット12は算出した電気量に基づいて、電気自動車の利用者に電池を充電するように警報を発するときの所定電気量(以下、警報電気量という)を設定する(S14)。この警報電気量は、自車の駐車位置から前記特定充電施設までの走行に利用されるべき電気量であって、その走行に必要な最小限の電気量に、ある程度の余裕を持たせた電気量であり、自車の駐車位置から目的地までの距離のみならず、その通る道路の勾配も考慮して設定される。
【0026】
以後、処理ユニット12は、自車が起動しているか否かを判定しつつ(S15)、電池残量センサの検出出力に基づいて電池の電気残量を取得し(S16)、その電気残量が前記警報電気量まで低下したか否かを判定する(S17)処理を繰り返し実行する。駐車時間(日数)が延びて、前記処理(S15、S16、S17)の過程で、自然放電する電池の電気残量(S16で取得)が前記警報電気量以下になると(S17でYES)、処理ユニット12は、通信ユニット19から情報センター、プロバイダー或いは携帯電話基地局などを介して利用者のパーソナルコンピュータまたは携帯端末に、電池の電気残量が所定電気量まで低下したことを表す警報情報を送信させる(S18)。この警報情報は、Eメールによって送信することもできる。
電池の自然放電による電気残量の低下に気がつかずに自車の駐車を続けている利用者は、自身のパーソナルコンピュータや携帯端末にて前記警報情報が受信されると、その警報情報によって自車の電池の電気残量が低下していることに気がつかされる。これにより、利用者は、適当なタイミングで駐車中の自車に戻ることができる。そして、その車両の電池には、特定充電施設(駐車場近隣の充電施設、自宅、自宅から最寄りの充電スタンド等)まで走行するための電気量が残っており、利用者は、電池が車両走行に利用できないほどに放電してしまう前に、前記特定充電施設にて当該車両の電池に充電することができる。
【0027】
なお、当該車両が起動しているか否かを判定しつつ(S15)、電池の電気残量が前記警報電気量まで低下したかを判定する処理(S16、S17)を繰り返し実行している処理ユニット12は、その処理の過程で、利用者が戻ってきて当該車両の起動操作(キースイッチのオン操作)がなされると(S15でYES)、電池残量警報処理を終了する(END)。
【0028】
次に本発明第2の実施の形態に係る電気自動車の電池残量警報装置を説明する。図1に示す処理ユニット12には時間を計測するタイマーが内蔵され、この処理ユニット12は、電池残量センサの検出出力に基づいて電池の単位時間当たりの放電量を算出し、自車の駐車位置から特定充電施設までの走行に利用すべき所定電気量(前記警報電気量に対応)を算出するように構成される。また処理ユニット12は、電池の電気残量が上記電気量に低下するまでの予測時間を算出し、自車の利用者に電池を充電するように警報を発する時期として上記予測時間を設定するように構成される。ここに記載しなかった構成は、第1の実施の形態に記載された構成とほぼ同一である。
【0029】
上記処理ユニット12は、図3に示す手順に従って電池残量警報処理を実行する。利用者は自車(電気自動車)を駐車場に駐車してキースイッチをオフし、自車から離れて、例えば、他の交通機関を利用し、また、徒歩にて他の場所(例えば、自宅)に行く。処理ユニット12は、前記キースイッチのオフ操作を契機にして電気残量警報処理を開始し(START)、先ずGPSユニット17及びセンサ類18(車輪速センサ、ジャイロセンサ及び加速度センサ)が検出した自車位置を取得し(S21)、記憶部14に記憶された地図情報から特定充電施設の位置を取得する(S22)。この場合も、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、例えば、予め記憶部14に記憶された様々な充電施設のなから自車位置の所定近傍範囲内に位置する充電施設を検索し、その検索により得られる充電施設から1つの充電施設、例えば、自車に最も近い充電施設の位置を特定充電施設の位置として取得することができ、予め登録された利用者の自宅の位置、自宅から最寄りの充電スタンドの位置、あるいは行きつけの充電施設の位置を特定充電施設の位置として取得することもできる。また、特定充電施設の位置を前記検索によって取得するか、あるいは登録されたものから取得するかをユーザの操作によって決めることもできる。更にまた、特定充電施設の位置を外部サーバから通信手段を用いて取得することもできる。処理ユニット12は、自車の駐車位置から前記取得した特定充電施設の位置までの経路探索を行い、自車がその経路を現在位置から前記特定充電施設まで走行する際に必要な電気量を算出し(S23)、その電気量に基づいて前述した警報電気量に相当する所定電気量を算出する(S24)。この所定電気量は、前述した警報電気量と同様に自車の駐車位置から特定充電施設まで走行するのに必要な最小限の電気量に、ある程度の余裕を持たせた電気量であり、自車の駐車位置から目的地までの距離のみならず、その通る道路の勾配も考慮して算出される。そして、処理ユニット12は、電池残量センサの検出出力に基づいて電池の電気残量を取得する(S25)。その後、処理ユニット12は、電池の放電特性に基づいてその電気残量が取得された現在の値から前記所定電気残量に低下するまでの予測時間(予測日数)を算出し(S26)、その予測時間を、利用者に電池を充電するように警報を発する時期を定める時間として設定する(S27)。
【0030】
次に処理ユニット12は、内蔵したタイマーを所定のタイミングで、即ち予測時間を設定したときにスタートさせる(S28)。以後、処理ユニット12は、自車が起動しているか否かを判定しつつ(S29)、前記予測時間が経過したか否か、具体的には、前記タイマーの計測時間が前記予測時間に達したか否かを判定する(S30)処理を繰り返し実行する。その過程で、前記予測時間が経過すると(S30でYES)、処理ユニット12は、通信ユニット19から情報センター、プロバイダー或いは携帯電話基地局などを介して利用者のパーソナルコンピュータまたは携帯端末に、駐車時間(駐車日数)が、前記予測時間に達してしまい、自然放電する電池の電気残量が前記所定電気量まで低下してしまったと見込まれることを報知する警報情報を出力させる(S31)。この警報情報は、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、Eメールによって送信することができる。
この場合も、電池の自然放電による電気残量の低下に気がつかずに自車の駐車を続けている利用者は、自身のパーソナルコンピュータや携帯端末にて前記警報情報が受信されると、その警報情報によって駐車時間が電池の電気残量が限界になるほど長すぎたことに気がつかされる。これにより、利用者は、適当なタイミングで駐車中の自車に戻ることができる。そして、その車両の電池には、特定充電施設(駐車場近隣の充電施設、自宅、自宅から最寄りの充電スタンド等)まで走行するための電気量が残っており、利用者は、電池が車両走行に利用できないほどに放電してしまう前に、前記特定充電施設にて当該車両の電池に充電することができる。
【0031】
なお、当該車両が起動しているか否かを判定しつつ(S29)、予測時間が経過したか否かを判定する処理(S30)を繰り返し実行している処理ユニット12は、その過程で、利用者が戻ってきて当該車両の起動操作(キースイッチのオン操作)がなされると(S29でYES)、電池残量警報処理を終了する(END)。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上、説明したように、本発明に係る電気自動車の電池残量警報装置は、利用者が電気自動車から離れた場所にいても、電池の電気残量が所定電気量まで低下したことを確実に知ることができ、電気自動車の電池の電気残量が少なくなったときに警報を発する装置として有用である。
【符号の説明】
【0033】
10 ナビゲーション装置
11 操作部
12 処理ユニット
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 GPSユニット
18 センサ類
19 通信ユニット
20 車両制御用ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の電動モータの電源としての充電可能な電池を備えた電気自動車の電池残量警報装置であって、
前記電気自動車の駐車位置を取得する車両位置取得手段と、
前記電池を充電するための特定充電施設の位置を取得する特定充電施設取得手段と、
前記電気自動車の前記駐車位置から前記特定充電施設までの走行に利用すべき所定電気量を算出する電気量算出手段と、
前記電気自動車が起動しているか否かを判定する起動判定手段と、
前記電池の電気残量を取得する残量取得手段と、
前記残量取得手段により取得される前記電池の電気残量が前記所定電気量まで低下したか否かを判定する電池残量判定手段と、
前記電気自動車が起動しておらずかつ前記電池の電気残量が前記所定電気量まで低下したときに警報信号を所定の通信端末に送信する警報送信手段と
を備えた電気自動車の電池残量警報装置。
【請求項2】
走行用の電動モータの電源としての充電可能な電池を備えた電気自動車の電池残量警報装置であって、
前記電気自動車の駐車位置を取得する車両位置取得手段と、
前記電池を充電するための特定充電施設の位置を取得する特定充電施設取得手段と、
前記電気自動車の前記駐車位置から前記特定充電施設までの走行に利用すべき所定電気量を算出する電気量算出手段と、
前記電池の電気残量を取得する残量取得手段と、
前記残量取得手段にて取得された前記電池の電気残量が前記所定電気量に達するまでの予測時間を算出する予測時間算出手段と、
前記電気自動車が起動しているか否かを判定する起動判定手段と、
所定タイミングから前記予測時間が経過したか否かを判定する予測時間経過判定手段と、
前記電気自動車が起動しておらずかつ前記予測時間が経過したときに警報信号を所定の通信端末に送信する警報送信手段と、
を備えた電気自動車の電池残量警報装置。
【請求項3】
前記特定充電施設取得手段は、前記車両位置取得手段にて取得された駐車位置の所定近傍範囲にある充電施設を検索する充電施設検索手段を有し、
該充電施設検索手段にて得られた充電施設から前記特定充電施設としての充電施設を取得する請求項2または3記載の電気自動車の電池残量警報装置。
【請求項4】
前記特定充電施設が、前記利用者の自宅のコンセント或いは最寄りまたは前記行きつけの充電スタンドである請求項1または2記載の電気自動車の電池残量警報装置。
【請求項5】
前記通信端末は、当該電気自動車の利用者のパーソナルコンピュータまたは携帯端末である請求項1乃至4のいずれかに記載の電気自動車の電池残量警報装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−169663(P2011−169663A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32027(P2010−32027)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】