説明

電気自動車充電器併設ガソリンスタンド用POSシステム

【課題】ガソリンスタンドにおいて電気自動車用充電器を容易に併設・拡張可能する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも一以上の計量機と充電器を併設する販売所において給油情報又は充電情報に応じて計量機と充電器を制御する管理システムであって、任意の計量機の給油情報及び任意の充電器の充電情報が指定できる外設機と、上記充電器と通信可能に接続され、上記充電器の制御インターフェースとなる変換装置と、上記外設機と、上記計量機及び上記変換装置との間のデータ送受信を統括的に管理するPOS端末と、を備える。上記外設機から上記充電情報を受信した際、上記POS端末は、上記変換装置に対する上記充電情報の送信を上記計量機に対する上記給油情報の送信として管理し、さらに上記変換装置が上記充電器で行われた充電結果を給油結果に変換して上記POS端末に送信することで上記POS端末において全ての情報を同種の情報として管理可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一スタンド内に併設される電気自動車用充電器の各種管理、決済機能を実現するガソリンスタンド用POSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンスタンドでは通常ガソリン、軽油、灯油等の給油設備や、給油設備と連動するPOSシステムが設置されている。このPOSシステムは、一般的に、給油許可、および給油量の入力等の計量機制御、現金やクレジットカードによる決済手段、その他在庫管理等の機能を有している。
【0003】
図5において、従来の給油所の給油設備の例を示す。管理システム1’は、POS端末、外設機3台、及び計量機10台で構成されている。上記POS端末と外設機は、イーサネット(登録商標)によるLAN(TCP/IPプロトコル)で接続され、POS端末と計量機は、SS-LAN(RS485プロトコル)で接続されている。管理システム1’では、POS端末が外設機と計量機の間の処理を一括して制御・管理し、外設機で入力した給油情報を計量機に伝達したりなどして、ガソリン等の販売情報をその発生時点で収集・管理している。
【0004】
ところで、今般、電気自動車の普及に伴い、既存のガソリンスタンドにおいて、電気自動車の充電が行えるような設備が求められている。電気自動車用に専用の充電器を設置する場合には、新たに充電設備専用のPOSシステムを増設する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、電気自動車用充電器がガソリンスタンドの一部のスペースに併設される場合、同一スタンド内に、ガソリンスタンド用のPOSシステムと、電気自動車用充電器専用のPOSシステムが必要となり、運用面、導入コスト面で非効率であった。
【0006】
上述の課題に鑑み、本発明は、給油所の給油設備に、容易に充電設備を増設可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、少なくとも一以上の計量機と充電器を併設する販売所において給油情報又は充電情報に応じて計量機と充電器を制御する管理システムであって、任意の計量機の給油情報及び任意の充電器の充電情報が指定できる外設機と、上記充電器と通信可能に接続され、上記充電器の制御インターフェースとなる変換装置と、上記外設機と、上記計量機及び上記変換装置との間のデータ送受信を統括的に管理するPOS端末と、を備え、上記外設機から上記充電情報を受信した際、上記POS端末は、上記変換装置に対する上記充電情報の送信を上記計量機に対する上記給油情報の送信として管理し、さらに上記変換装置が上記充電器で行われた充電結果を給油結果に変換して上記POS端末に送信することで上記POS端末において全ての情報を同種の情報として管理可能なことを特徴とする管理システムに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ガソリンスタンドにおいて電気自動車用充電器を容易に併設可能である。
【0009】
また、ガソリンスタンド用POSシステムで、電気自動車用充電器の各種管理、決済機能を実現し、運用面、導入コスト面で効率的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例による管理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例による計量機の設定画面を示す図である。
【図3】本発明の実施例による計量機の他の設定画面を示す図である。
【図4】本発明の実施例による補給処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】従来の管理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例の構成について図面を参照しつつ詳細に説明する。但し、以下に説明する実施例によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
【0012】
図1は、本発明の実施例による管理システム1の構成を示す。図1を参照すると、本実施例の管理システム1は、POS端末10、外設機20−1〜20−3、計量機30−1〜30−9、変換装置40、充電器50を備える。本実施例による管理システム1は、図5で示した管理システム1’の計量機30−10に替えて、変換装置40を接続し、その先に充電器50を接続している点において従来例と異なる。
【0013】
本実施例の管理システム1は、販売情報などの経営管理活動に必要な各種情報をその発生時点で収集し、それぞれの目的に応じて有効利用できるような情報に処理、加工して、必要なところへオンライン伝送・伝達できる機能を有する。
【0014】
次に、本実施例の管理システム1を構成する各構成要素について詳細に説明する。
【0015】
POS端末10は、外設機20からの給油に関する情報を計量機30に送信し、計量機30からの給油完了後の給油データ(給油結果)に基づいて精算を行う。また、外設機20からの充電に関する情報を変換装置40に送信し、充電器50から変換装置40を介して送信される充電データ(充電結果)に基づいて精算を行う。
【0016】
外設機20は、設定画面を有し、設定画面の操作によりどの計量機を使用するか指定するとともに、油種(ガソリン(レギュラー、ハイオク)、軽油、灯油等)や給油形態(満タン、定額給油、定量給油)、充電形態(満充電、定額充電、定時間充電)を指定する。
【0017】
計量機30は、外設機20からPOS端末10を介して送信された給油に関する情報を受信して、この情報に基づいて自動車などに給油を行い、給油が完了すると給油完了後の給油データをPOS端末10に通知する。
【0018】
変換装置40は、充電器50のインターフェースを備えている。より詳細には、変換装置40は、SS-LAN(RS485プロトコル)の通信データをイーサネットによるLAN(TCP/IPプロトコル)の通信データに変換し、外設機20からPOS端末10を介して送信された充電に関する情報を充電器50に送信する。ここで、POS端末30と変換装置40は、SS-LAN(RS485プロトコル)で接続され、変換装置40と充電器50はSS-LAN(RS485プロトコル)とは異なるイーサネットによるLAN(TCP/IPプロトコル)で接続されている。また、充電器50からの充電データ(充電結果)を給油データ(給油結果)に変換し、POS端末10に送信する。
【0019】
充電器50は、変換装置40から受信した充電に関する情報に応じて自動車などの充電を行い、充電が完了すると充電完了後の充電データを変換装置40を介してPOS端末10に通知する。
【0020】
以下、本実施例の通信システム1における充電器50を用いて自動車などに充電を行う際の動作について記述する。
【0021】
図2は、本実施例の外設機20−1から20−3の内のいずれかで、計量機30−1から30−9の内のいずれかもしくは充電器50を選択する際の設定画面を示す。以下では、本実施例の外設機20の設定画面における充電器50を選択するための数字「10」が選択される場合について説明する。
【0022】
図3は、本実施例の外設機20−1から20−3の内のいずれかで、充電器50の充電形態を指定する設定画面である。充電形態は、「満充電」、「定額充電」、「定時間充電」のいずれかを選択することで指定できる。「定額充電」を指定する場合は、充電したい分の金額を入力し、「定時間充電」を指定する場合は、充電したい分の時間を入力することとなる。給油の場合は、油種の指定が必要であるが、充電の場合は不要である。充電器50を指定するための数字「10」が選択されると、油種は従来のいずれかの油種(例えば、ガソリン(レギュラー)が指定されたものとみなされる。そして、外設機20の設定画面で充電形態が指定されると、この充電に関する情報は、POS端末10に送信される。
【0023】
POS端末10は、外設機20からの充電に関する情報を従来の給油に関する情報として受信する。具体的には、「満充電」は「満タン」として、「定額充電」は「定額給油」として、「定時間充電」は「定量給油」として、油種は従来のいずれかの油種(例えば、「10」が選択された場合、外設機20からはガソリン(レギュラー)が指定されたものとしてデータが送信される)が指定されたものとして受信する。つまり、変換装置40に対する充電に関する情報を計量機30に対する給油に関する情報であるとして受信する。これにより、POS端末10は、管理システム1内で送受信される情報を給油に関する情報(計量機30に通知する給油に関する情報と同種の情報)として統括的に管理することができる。
【0024】
POS端末10は、計量機30(POS端末10では、変換装置40が計量機30として認識されている)に対して、給油に関する情報(実際は、充電に関する情報である)を送信する。外設機20の設定画面において「定額充電」が指定されている場合は、指定されたとみなされた油種(ここでは、ガソリン(レギュラー))の単価と指定された金額から、油量を算出した後、算出した油量を含む給油に関する情報(実際は、充電に関する情報である)を送信する。
【0025】
変換装置40(計量機30に相当)は、SS-LAN(RS485プロトコル)の通信データをイーサネットによるLAN(TCP/IPプロトコル)の通信データに変換するとともに、充電器50に対して充電に関する情報を送信する。また、外設機20の設定画面において「定額充電」が指定されていた場合は、上記算出された油量と、指定されたとみなされた油種(ここでは、ガソリン(レギュラー))の単価から金額を算出し、これを充電量の単価で除して、充電量に変換して送信する。
【0026】
充電器50は、送信された充電に関する情報に基づく充電を行い、充電が完了すると、充電完了を変換装置40に通知する。「定額充電」の場合は、充電完了のみを通知するが、「満充電」と「定時間充電」の場合は、充電完了とともに充電量についても変換装置40に通知する。
【0027】
続いて、変換装置40は、イーサネットによるLAN(TCP/IPプロトコル)の通信データをSS-LAN(RS485プロトコル)の通信データに変換するとともに、充電結果を給油結果に変換して、POS端末10に送信する。「満充電」と「定時間充電」の場合は、充電量を単価あたり充電量で除して金額を算出し、これを指定されたとみなされた油種(ここでは、ガソリン(レギュラー))の単価で除して、給油量を算出し、「給油完了」とともに給油量として通知する。
【0028】
POS端末10では、給油結果を受けて精算を行う。「定額充電」の場合は、金額を算出する必要はないが、「満充電」と「定時間充電」の場合は、受信した給油量と指定されたとみなされた油種(ここでは、ガソリン(レギュラー))の単価から金額を算出した後、精算を行う。
【0029】
また、POS端末10では、精算時、その明細を表示部に表示する際、「10」で指定した計量機30(実際は変換装置40)を指定した給油(実際は充電)の場合は、「満タン」は「満充電」に、「定額給油」は「定額充電」に、「定量給油」は「定時間充電」に変換して、また、給油量は、充電量に変換して表示し、精算後、レシートを発行する場合は、同様にして明細を印字する。なお、給油量から充電量への変換は、前述の変換装置40での充電量から給油量への変換の計算の逆の計算を行って充電量を算出して行う。従来のPOS端末の動作と異なる点は、上記の点のみであって、その他の動作は、計量機30が「10」の端末として接続されていた時と同じである。
【0030】
図4は、本発明の実施例による管理システム1の給油処理又は充電処理を説明するためのフローチャートである。図4において、給油・充電を行う際に、まず外設機20−1〜20−3にて、現金やクレジットカード等による決済手段を指定する(A1)。次に、給油または充電の指定を行うと(A2)、イーサネットによるLAN(TCP/IPプロトコル)を介してPOS端末10へ給油情報及び充電情報が送信される。給油指定された場合、POS端末10からSS-LAN(RS485プロトコル)を介して計量機30へ給油情報を送信し(A3)、計量機30での給油が行われる(A5)。充電指定された場合、POS端末10からSS-LAN(RS485プロトコル)を介して変換装置40に充電情報が送信され(A4)、続いて、変換装置40は、充電制御インターフェース機能で、イーサネットによるLAN(TCP/IPプロトコル)を介して充電器50への充電情報を送信する(A6)。そして、充電器50により蓄電池に充電が行われる(A7)。
【0031】
なお、上記実施例では、一台の変換装置40と一台の充電器50を追加した例を示したが、変換装置40と充電器50のセットを複数台追加するようにしてもよい。また、複数台の充電器50に対応可能な一台の変換装置40と、複数台の充電器50を追加するようにしてもよい。また、外設機20や計量機30の数も上記例に限定されるものではない。
【0032】
また、変換装置40と充電器50の接続は、イーサネットによるLAN(TCP/IPプロトコル)ではなく、SS-LAN(RS485プロトコル)を除く他のプロトコルであってもよい。
【0033】
上記実施例によれば、従来の給油設備のハードウェア・ソフトウェアに対して、少ない変更を行うだけで、容易に充電設備40を追加することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1 管理システム
10 POS端末
20−1〜20−3 外設機
30−1〜30−9 計量機
40 変換装置
50 充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一以上の計量機と充電器を併設する販売所において給油情報又は充電情報に応じて計量機と充電器を制御する管理システムであって、
任意の計量機の給油情報及び任意の充電器の充電情報が指定できる外設機と、
前記充電器と通信可能に接続され、前記充電器の制御インターフェースとなる変換装置と、
前記外設機と、前記計量機及び前記変換装置との間のデータ送受信を統括的に管理するPOS端末と、を備え、
前記外設機から前記充電情報を受信した際、前記POS端末は、前記変換装置に対する前記充電情報の送信を前記計量機に対する前記給油情報の送信として管理し、さらに前記変換装置が前記充電器で行われた充電結果を給油結果に変換して前記POS端末に送信することで前記POS端末において全ての情報を同種の情報として管理可能なことを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記POS端末は、前記変換装置から受信した前記給油結果を前記充電結果に変換して表示することを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記POS端末と前記変換装置は第1の通信プロトコルで接続され、前記変換装置と前記充電器は前記第1の通信プロトコルとは異なる第2の通信プロトコルで接続され、さらに前記変換装置は、第1の通信プロトコルの通信データと第2の通信プロトコルの通信データを相互に変換することを特徴とする請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記給油情報は、油種と、満タン、定額給油、定量給油のいずれかの情報を含む給油内容を有し、前記充電情報は、満充電、定額充電、定時間充電のいずれかの情報含む充電内容を有し、
前記POS端末が、充電を終了した前記充電器からの充電結果が前記変換装置を介して変換された給油結果を受信し、この給油結果に基づき売上金額を算出し、精算を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−221343(P2012−221343A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88069(P2011−88069)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】