電気自動車充電用コネクタ装置
【課題】 コネクタ全体を小さくすることができ、しかも、ロック解除の操作性に優れた電気自動車充電用コネクタ装置を提供する。
【解決手段】 両コネクタ13,14の凹凸嵌合部70を嵌合すると、その周りに設けた3つのロック部71が弾性変形しかつ完全嵌合されたとこで復元してロック状態となる。ここで、ロック部71は、凹凸嵌合部70の周りに部分的に設けてあるから、従来の凹凸嵌合部の全周を取り囲むスリーブを設けたものよりもコネクタを小型にできる。しかも、ロック部71は、凹凸嵌合部70の周りを3等配するように配置されているから、嵌合時にロック部71の弾性反力によって凹凸嵌合部70の芯合わせを行える。その上、頂上ロック部71Aは、凹凸嵌合部70の真上となる位置に配置して設けられているから、コネクタの自重によってかかるモーメント力に抗することができる。
【解決手段】 両コネクタ13,14の凹凸嵌合部70を嵌合すると、その周りに設けた3つのロック部71が弾性変形しかつ完全嵌合されたとこで復元してロック状態となる。ここで、ロック部71は、凹凸嵌合部70の周りに部分的に設けてあるから、従来の凹凸嵌合部の全周を取り囲むスリーブを設けたものよりもコネクタを小型にできる。しかも、ロック部71は、凹凸嵌合部70の周りを3等配するように配置されているから、嵌合時にロック部71の弾性反力によって凹凸嵌合部70の芯合わせを行える。その上、頂上ロック部71Aは、凹凸嵌合部70の真上となる位置に配置して設けられているから、コネクタの自重によってかかるモーメント力に抗することができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車充電用コネクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のコネクタ装置の一例として、実開平6−44301号公報に記載されたものが知られている。このコネクタ装置は、図13に示すように、給電側コネクタ1と受電側コネクタ2とからなり、給電側コネクタ1に備えた円柱部4を受電側コネクタ2に備えた円形凹部3に差し込むことによって両コネクタ1,2が結合状態となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したコネクタ措置には、結合状態に保持するためにいわゆるJスロット機構が備えられている。即ち、給電側コネクタ1の外周面にはJスロット6が形成されており、給電側コネクタ1を受電側コネクタ2に押し付けて、例えば時計回りに回転させると、受電側コネクタ2の円形凹所3の開口に形成したカム突起5がJスロット6の奥側に入り込んで両コネクタ1,2が抜け止めされる。しかし、上記したJスロット機構では、コネクタを回転させるという困難な作業を要するため、作業性の改善が求められていた。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、両コネクタを容易にロック及びロック解除操作することが可能な電気自動車充電用コネクタ装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、充電用電源装置によって電気自動車を充電するための車両側コネクタ及び電源側コネクタに、ほぼ水平方向で相互に嵌合される断面円形の凹凸嵌合部を備えてなる電気自動車充電用コネクタ装置において、凹凸嵌合部を嵌合状態に保持するための3つのロック部を、凹凸嵌合部の周りを概ね3等配しかつそのうちの一つが凹凸嵌合部の真上となる位置に配置して設けると共に、ロック部は、凹凸嵌合部の径方向に弾性的に変位することによって相手側に係合及び係合解除可能なロックアームを備えているところに特徴を有する。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の電気自動車充電用コネクタ装置において、3つのロック部のうち凹凸嵌合部の真上に配された頂上ロック部のロックアームと相手側との係合面は、両コネクタの嵌合方向に垂直または嵌合を深める側に傾斜し、かつ、頂上ロック部には、ロックアームを係合解除方向に変位させるための解除操作部が備えられ、他の2つのロック部のロックアームと相手側との係合面は、ロックアームを係合解除方向に案合するように傾斜しているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】<請求項1の発明>両コネクタを水平方向で対向させて押し付けると、凹凸嵌合部の周りに設けた3つのロック部のロックアームが弾性的に変位しかつ両コネクタが完全嵌合されたところで復元して相手側に係合する。このように、両コネクタを押し付けるだけで結合状態にロックできるから、従来のコネクタを回転させてロックするものより作業性に優れる。しかも、ロック部は、凹凸嵌合部の周りに3等配されているから、嵌合時にロック部の弾発力によって凹凸嵌合部の芯合わせを行える。その上、一つのロック部は、凹凸嵌合部の真上に配置せれているから、コネクタの自重によるモーメント力に対抗することができる。
【0008】<請求項2の発明>頂上ロック部のロックアームと相手側との係合面は、両コネクタの嵌合方向に垂直または嵌合を深める側に傾斜しているから、コネクタの自重よるモーメントによって頂上ロック部に強い引っ張り力がかかっても係合が解除されることはない。しかも、他の2つのロック部はセミロック構造をなして強く引っ張れば係合が解除されるから、頂上ロック部にだけをロック解除操作するだけでよく、ロック解除の操作性に優れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図1〜図12を参照して説明する。図1に示すように、電気自動車EVの車体外側部に例えば蓋11にて開閉可能な受容部12が形成され、その内部には車両側コネクタ13が配されている。また、電源装置60から延びた充電ケーブル15の先端には、電源側コネクタ14が備えられており、これら両コネクタ13,14によって、本実施形態の電気自動車充電用コネクタ装置が構成されている。
【0010】電源側コネクタ14は、図2に全体が示されており、アルミニウム合金製の一次ケース16の前面に一次コイルユニット17を保持して備えると共に、その一次ケース16の背面に樹脂カバー18及び樹脂ケース19をネジ止めして備え、前記樹脂ケース19の後端から前記一次ケース16の上面に亘ってハンドル部20を湾曲して差し渡した構造となっている。
【0011】一次コイルユニット17は、一次コア21及び一次コイル22からなる。一次コア21はフェライト製であって、図3に示すように円板部21Aの中心から円柱部21Bを突出させた形状をなしている。
【0012】一次コイル22は、予め一次ボビン23に巻回されると共に外面をコイルカバー24によって覆われており、その一次ボビン23が前記円柱部21Bに嵌着されている。また、一次コイル22から延びた図示しないリード線は、コア21の円板部21A及び一次ケース16の奥面に形成した貫通孔25A,25Bを介して一次ケース16の背面側に延び、充電用電源装置60から延びた充電ケーブル15(図5参照)に接続されている。これにより、充電用電源装置60から一次コイル22に高周波電流を流して励磁することができる。
【0013】一次ケース16は、両コネクタ13,14の結合方向に偏平状となったアルミブロックA1の前面にアルミ板A2を重ね合わせ、それらの上面の両角部を面取りした構造となっている。一次ケース16のうち車両側コネクタ13との接合面26には、円形凹部27が陥没形成されている。そして、円形凹部27の奥側に前記コア21の円板部21Aが嵌合されて、円柱部21Bが接合面26から前方に突出されている。円板部21Aは、円形凹部27の奥側半分に収容されるようになっており、円形凹部27のうち開放側の半分には、車両側コネクタ13の前面に突出した円筒壁42が嵌入される。
【0014】一方、車両側コネクタ13は、全体が図2に示されており、アルミニウム合金製の二次ケース30に二次コイルユニット31を保持して備えている。二次コイルユニット31は、図4に示すように、二次コア32及び二次コイル33からなり、その二次コア32はやはりフェライト製であって、円筒体32Aの一端を奥壁32Bによって閉塞した形状をなしている。二次コイル33は二次ボビン34に巻回されて、前記二次コア32の円筒体32Aの内周面に嵌着されており、この二次ボビン34の空芯部分に前記一次コイル22が嵌入される。また、二次コイル33の図示しないリード線は、二次コア32の奥壁32B及び二次ケース30の奥壁に形成した貫通孔35A,35Bを介して二次ケース30の背面に設けた電線収容部36に延ばされ、そこで電気自動車EVの動力バッテリ(図示せず)を充電するための充電回路から延びた電線に接続されている。そして、二次コイル33に誘導される高周波起電力を整流してその動力バッテリが充電される。
【0015】二次ケース30は、前記一次ケース16と同じ断面形状をなす主体部37の後方に前記電線収容部36を備えてなり、受容部12の奥面を構成するパネル38(図5参照)にネジ止めされている。主体部37のうち前記一次ケース16との接合面40には、図4に示すように、凹部41が陥没形成されて、その開口縁から前方に向けて円筒壁42が突設されている。そして、図2R>2に示すように、凹部41に前記二次コイルユニット31が嵌合されて、その先端面と円筒壁42の先端面とが面一状態に組み付けられている。
【0016】さて、電源側コネクタ14の円形凹部27と車両側コネクタ13の円筒壁42とからなる凹凸嵌合部70には、図2に示すように、3つのロック部71が周方向を3等配するように設けられ、そのうちの1つは、凹凸嵌合部70の真上となる位置に配置されている(以下、このロック部を「頂上ロック部71A」という)。この頂上ロック部71Aに関しては、その詳細構造が図7〜図9に示されており、その他のロック部71(以下、これらを「下側ロック部71B」という)に関しては、その詳細構造が図10〜図12に示されている。以下、頂上ロック部71Aと下側ロック部71Bとに共通した構造を説明しつつ、異なる構造に関しては特記して述べる。なお、共通した構造について先に、各図に同符号を付してある。
【0017】ロック部71は、図7〜図12に示すように、電源側コネクタ14に配置したロックアーム72を、車両側コネクタ13に配置したロック爪73に係合させる構造となっている。電源側コネクタ14には、一次ケース16のうち前記円形凹部27の内周面に陥没しかつ円形凹部27の奥側に連通するロック収容室74が設けられている。ロックアーム72は、コネクタ13,14の嵌合方向に延びた長板状をなし、前記ロック収容室74に収容されて先端部分が前記円形凹部27の内周面に配置され(図3参照)、長手方向の中間分部をピン75(図7〜図12参照)によって回動可能に支持されている。そして、前記ロック収容室74の奥部には、ロックアーム72の後端部を図7〜図12の上方に押し上げるように圧縮コイルバネ76が設けられている。これにより、ロックアーム72は、その中間部分がロック収容室74の内壁に突き当たって水平姿勢に保持され、先端部分が同図の上方に押し上げられたときに圧縮コイルバネ76が圧縮変形される。
【0018】ロックアーム72のうち先端部分には、係合突部77が前記円形凹部27に内方に向けて突設されている。係合突部77を嵌合方向の正面から見ると(図示せず)、係合突部77の先端の稜線が円形凹部27の内周面に対応した弧状をなすと共に、この稜線が円形凹部27の内周面より内側に若干突出している。係合突部77の前側は、円形凹部27の奥側に向かうに連れて円形凹部27の内側にせり出したテーパ面78をなしている。係合突部77の後側は、ロック爪73に係合される係合面79をなし、その係合面79は頂上ロック部71Aと下側ロック部71Bとで異なった構造となっている。即ち、頂上ロック部71Aの係合面79Aは、図7に示すように、嵌合方向に垂直になっており、下側ロック部71Bの係合面79Bは、図10に示すように、嵌合方向の奥側に向かうに連れて円形凹部27の外側に引っ込んだテーパ状となっている。
【0019】一方、ロック爪73は、平板状の主体部81の後端に直立片82を備えて全体としてL字型をなし、その主体部81を車両側コネクタ13の円筒壁42に形成した切り欠き部80(図4参照)内に収容した状態で、直立片82が車両側コネクタ13に固定されている。主体部81の先端には、円筒壁42の外側に向けて係合突部83が形成されている。係合突部83を嵌合方向の正面から見ると(図示せず)、やはり係合突部83の先端の稜線が円筒壁42の外周面に対応した弧状をなすと共に、この稜線が円筒壁42の外周面より外側に若干突出している。また、係合突部83の前側は、曲面84をなし、係合突部83の後側は、ロックアーム72に係合される係合面85をなしている。そして、係合面85はやはり頂上ロック部71Aと下側ロック部71Bとで異なった構造となっている。即ち、頂上ロック部71Aの係合面85Aは、図7に示すように、嵌合方向に垂直になっており、下側ロック部71Bの係合面85Bは、図10に示すように、嵌合方向の奥側に向かうに連れて円形凹部27の外側に引っ込んだテーパ状となっている。
【0020】電源側コネクタ14のハンドル部20には、図7に示すように、頂上ロック部71Aのロックを解除するためのレバー86が備えられている。ハンドル部20の前方部は、図7に示すように、概ね90度に屈曲しており、その屈曲部分の内側に開放されたスリット87内に、前記レバー86が収容されている。レバー86は、前記屈曲部分に沿ったL字型をなし、その角部に貫通したピン87Aを中心に傾動可能となっている。また、レバー86のうちピン87Aから図7における左斜め下側に延びた作用片90が、ロックアームの後端に当接し、ピンから同図における右側に延びた操作片89がハンドル部20の水平部分より下方に突出した姿勢となるように図示しないバネによって付勢されている。そして、操作片89を引き上げると(図10参照)、作用片90が下方側に回動してロックアーム72の後端部が押し下げられ、もって、ロックアーム72の先端の係合突部77とロック爪73との係合が解除される。
【0021】両コネクタ13,14の前面のうち凹凸嵌合部70の真下には、図2に示すように、凹凸嵌合部70の位相合わせのための案内片43と案内凹所44とが設けられている。この案内凹所44の開口側には、テーパ面44Aが形成されており、多少ずれた状態で両コネクタ13,14が結合された場合に、前記テーパ面44Aに案内片43を摺接させて誘い込み、もって両コネクタ13,14が正規位相に是正される。
【0022】本実施形態の構成は以上の通りであり、次にその作用を説明する。電気自動車EVの充電を行う場合には、受容部12の蓋11を開放して、ここに収容された車両側コネクタ13と電源装置60に備えた電源側コネクタ14とを結合する。両コネクタ13,14を結合させるには、電源側コネクタ14を水平方向に移動して、一次コイル22を巻装した一次コア21の円柱部21Bを、車両側コネクタ13に備えた二次コイル33の空芯部分に進入させていく。そして、円柱部21Bの進入が深まったところで、車両側コネクタ13の前面から突出した円筒壁42が、電源側コネクタ14の前面に陥没した円形凹部27内に入り込む。ことのき、例えば、頂上ロック部71Aのロック爪73を目印として、その同軸線上に電源側コネクタ14のハンドル部20を配置し、電源側コネクタ14を押し込むと、両コネクタ13,14の位相を合わせ易い。すると、各ロック部71に設けたロックアーム72とロック爪73の両係合突部77,83同士が突き合わされる。このとき、両コネクタ13,14が多少ずれた状態で押しつけられても、凹凸嵌合部70の下側に設けた案内凹所44のテーパ面44Aに案内片43が摺接して、両コネクタ13,14が正規位相に是正される。
【0023】さらに電源側コネクタ14を押し込んでいくと、ロックアーム72の係合突部77の前面に備えたテーパ面78とロック爪73の係合突部83の前面に備えた曲面84とが摺接して、ロックアーム72の先端が持ち上げられ、圧縮コイルバネ76が弾性変形される。ここで、3つのロック部71は、凹凸嵌合部70の周方向に等配されているから、ロックアーム72を介した圧縮コイルバネ76の弾性反力によって、円形凹部27と円筒壁42とが芯合わせされる。そして、円筒壁42が円形凹部27の奥まで嵌合されたところで、ロックアーム72の係合突部77がロック爪73の係合突部83を乗り越えて、両係合突部77,83の後側に備えた係合面79,85同士が係合し合う(図8及び図11参照)。このとき、一次コア21の円柱部21Bの先端が二次コア32の奥壁32Bに突き合わせされ、かつ、二次コア32の先端が一次コア21の円板部21Aに突き合わせれる(図6参照)。これにより、両コア21,31によって一次コイル22及び二次コイル33を貫通する閉ループ状の磁気回路が構成された状態で、両コネクタ13,14がロックされる。
【0024】この状態で、充電用電源装置60の充電開始スイッチをオン操作すると、一次コイル22によって励起された高周波磁束が、二次コイル33に鎖交して起電力を発生し、これにて電気自動車EVの蓄電装置を充電することができる。
【0025】ところで、電気自動車の充電は、ガソリン車の給油よりも長い時間がかかるから、電源側コネクタ14及充電ケーブル15の自重のよって電源側コネクタ14がモーメント力を長時間に受けることとなる。ところが、凹凸嵌合部70の真上に配置された頂上ロック部71Aは、嵌合方向に垂直となった係合面79A,85A同士を係合させる構造になっているから、前記モーメント力によって引っ張られても、係合が解除されることはない。
【0026】さて、充電が完了して、電源側コネクタ14を車両側コネクタ13から離脱させるときには、図9に示すように、ハンドル部20の水平分部を把持してレバー86の操作片89を持ち上げればよい。すると、レバー86の作用片90が下方に回動して、ロックアーム72の後端部が押し下げられ、ロックアーム72の先端部が係合解除方向に傾動して、頂上ロック部71Aの係合が解除される。そして、電源側コネクタ14を水平方向に強く引っ張る。ここで、下側ロック部71Bに備えた両係合突部77,83同士の係合面79B,85Bは、テーパ状をなしているから、強く引っ張ったときには、図12に示すように両係合面79B,85Bが摺接してロックアーム72の先端が持ち上げられ、係合が解除される。これにより、全ロック部71の係合が解除されて、両コネクタ13,14が離脱される。
【0027】このように、本実施形態の電気自動車充電用コネクタ装置によれば、両コネクタ13,14を押し付けるだけで結合状態にロックできるから、従来のコネクタを回転させてロックするものより作業性に優れる。しかも、ロック部71は、凹凸嵌合部70の周りを3等配するように配置されているから、嵌合時にロック部71の弾発力によって凹凸嵌合部70の芯合わせを行える。また、頂上ロック部71Aは、凹凸嵌合部70の真上に配置され、さらに、その係合面79A,85Aは、コネクタの嵌合方向に垂直になっているから、コネクタの自重よるモーメント力によって頂上ロック部71Aが強く引っ張られても係合が解除されることはない。その上、他の2つの下側ロック部71Bはセミロック構造をなして強く引っ張れば係合が解除されるから、頂上ロック部71Aにだけをロック解除操作すればよく、ロック解除の操作性に優れる、かつ、コネクタのロック解除構造の簡素化も図られる。
【0028】<第2実施形態>本実施形態の電気自動車充電用コネクタ装置は、前記第1実施形態の車両側コネクタ13及び電源側コネクタ14と基本構造が同一であり(図2参照)、以下の点のみが異なる構造となっている。即ち、本実施形態の電源側コネクタはロボットに保持されると共に、ロボットに対して僅な範囲で自由に変位可能になっている。また、両コネクタのうち凹凸嵌合部の周囲に3等配した各ロック部はいずれも前記第1実施形態の下側ロック部71Bと同じセミロック構造をなしている。さらに、両コネクタには、データを授受するための光通信素子が互いの接合面に埋め込まれている。
【0029】電気自動車を充電するには、その電気自動車をロボットの近傍に駐車し、所定の起動スイッチをオン操作する。すると、光電センサによって車両側コネクタの位置が検出され、そこにロボットが電源側コネクタを押し付ける。このとき、両コネクタの嵌合過程でロックアームが弾性的に変位し、その弾性反力によって電源側コネクタがロボットに対して僅かに変位して両コネクタが芯合わせされ、最後まで押し込まれて完全結合される。そして、光通信素子によって充電情報を授受しつつ充電が行われる。充電中は、ロボットの駆動モータが機械的にロックされ、これに加えて両コネクタのロック部も係合状態となっているから、電源側コネクタのケーブルが引っ張られても、両コネクタが離脱してしまうことはない。
【0030】<他の実施形態>本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、頂上ロック部71Aの係合面79A,85Aは、嵌合方向に垂直になっていたが、例えば、係合突部の係合面が、相手側との係合を深めるように傾斜したものであってもよい。
(2)前記ロックアーム72は、圧縮コイルバネ76によって弾性的に変位する構成になっていたが、ロックアーム自体が可撓性を備えて弾性変形する構成としてもよい。
(3)前記実施形態では、電磁誘導を利用したコネクタ装置に本発明を適用してものを例示したが、両コネクタに収容した端子金具同士を導通接続させるいわゆるコンダクティブタイプのコネクタ装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る充電システムを示す概略的な斜視図
【図2】車両側コネクタと電源側コネクタの斜視図
【図3】電源側コネクタの分解斜視図
【図4】車両側コネクタの分解斜視図
【図5】両コネクタの離脱状態を示す側断面図
【図6】両コネクタの結合状態を示す側断面図
【図7】頂上ロック部の離脱状態を示す側断面図
【図8】頂上ロック部の係合状態を示す側断面図
【図9】頂上ロック部の係合解除過程を示す側断面図
【図10】下側ロック部の離脱状態を示す側断面図
【図11】下側ロック部の係合状態を示す側断面図
【図12】下側ロック部の係合解除過程を示す側断面図
【図13】従来のコネクタ装置を示す斜視図
【符号の説明】
13…車両側コネクタ
14…電源側コネクタ
60…充電用電源装置
70…凹凸嵌合部
71…ロック部
71A…頂上ロック部
71B…下側ロック部
72…ロックアーム
73…ロック爪
78…テーパ面
79,85…係合面
EV…電気自動車
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車充電用コネクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のコネクタ装置の一例として、実開平6−44301号公報に記載されたものが知られている。このコネクタ装置は、図13に示すように、給電側コネクタ1と受電側コネクタ2とからなり、給電側コネクタ1に備えた円柱部4を受電側コネクタ2に備えた円形凹部3に差し込むことによって両コネクタ1,2が結合状態となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したコネクタ措置には、結合状態に保持するためにいわゆるJスロット機構が備えられている。即ち、給電側コネクタ1の外周面にはJスロット6が形成されており、給電側コネクタ1を受電側コネクタ2に押し付けて、例えば時計回りに回転させると、受電側コネクタ2の円形凹所3の開口に形成したカム突起5がJスロット6の奥側に入り込んで両コネクタ1,2が抜け止めされる。しかし、上記したJスロット機構では、コネクタを回転させるという困難な作業を要するため、作業性の改善が求められていた。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、両コネクタを容易にロック及びロック解除操作することが可能な電気自動車充電用コネクタ装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、充電用電源装置によって電気自動車を充電するための車両側コネクタ及び電源側コネクタに、ほぼ水平方向で相互に嵌合される断面円形の凹凸嵌合部を備えてなる電気自動車充電用コネクタ装置において、凹凸嵌合部を嵌合状態に保持するための3つのロック部を、凹凸嵌合部の周りを概ね3等配しかつそのうちの一つが凹凸嵌合部の真上となる位置に配置して設けると共に、ロック部は、凹凸嵌合部の径方向に弾性的に変位することによって相手側に係合及び係合解除可能なロックアームを備えているところに特徴を有する。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の電気自動車充電用コネクタ装置において、3つのロック部のうち凹凸嵌合部の真上に配された頂上ロック部のロックアームと相手側との係合面は、両コネクタの嵌合方向に垂直または嵌合を深める側に傾斜し、かつ、頂上ロック部には、ロックアームを係合解除方向に変位させるための解除操作部が備えられ、他の2つのロック部のロックアームと相手側との係合面は、ロックアームを係合解除方向に案合するように傾斜しているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】<請求項1の発明>両コネクタを水平方向で対向させて押し付けると、凹凸嵌合部の周りに設けた3つのロック部のロックアームが弾性的に変位しかつ両コネクタが完全嵌合されたところで復元して相手側に係合する。このように、両コネクタを押し付けるだけで結合状態にロックできるから、従来のコネクタを回転させてロックするものより作業性に優れる。しかも、ロック部は、凹凸嵌合部の周りに3等配されているから、嵌合時にロック部の弾発力によって凹凸嵌合部の芯合わせを行える。その上、一つのロック部は、凹凸嵌合部の真上に配置せれているから、コネクタの自重によるモーメント力に対抗することができる。
【0008】<請求項2の発明>頂上ロック部のロックアームと相手側との係合面は、両コネクタの嵌合方向に垂直または嵌合を深める側に傾斜しているから、コネクタの自重よるモーメントによって頂上ロック部に強い引っ張り力がかかっても係合が解除されることはない。しかも、他の2つのロック部はセミロック構造をなして強く引っ張れば係合が解除されるから、頂上ロック部にだけをロック解除操作するだけでよく、ロック解除の操作性に優れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図1〜図12を参照して説明する。図1に示すように、電気自動車EVの車体外側部に例えば蓋11にて開閉可能な受容部12が形成され、その内部には車両側コネクタ13が配されている。また、電源装置60から延びた充電ケーブル15の先端には、電源側コネクタ14が備えられており、これら両コネクタ13,14によって、本実施形態の電気自動車充電用コネクタ装置が構成されている。
【0010】電源側コネクタ14は、図2に全体が示されており、アルミニウム合金製の一次ケース16の前面に一次コイルユニット17を保持して備えると共に、その一次ケース16の背面に樹脂カバー18及び樹脂ケース19をネジ止めして備え、前記樹脂ケース19の後端から前記一次ケース16の上面に亘ってハンドル部20を湾曲して差し渡した構造となっている。
【0011】一次コイルユニット17は、一次コア21及び一次コイル22からなる。一次コア21はフェライト製であって、図3に示すように円板部21Aの中心から円柱部21Bを突出させた形状をなしている。
【0012】一次コイル22は、予め一次ボビン23に巻回されると共に外面をコイルカバー24によって覆われており、その一次ボビン23が前記円柱部21Bに嵌着されている。また、一次コイル22から延びた図示しないリード線は、コア21の円板部21A及び一次ケース16の奥面に形成した貫通孔25A,25Bを介して一次ケース16の背面側に延び、充電用電源装置60から延びた充電ケーブル15(図5参照)に接続されている。これにより、充電用電源装置60から一次コイル22に高周波電流を流して励磁することができる。
【0013】一次ケース16は、両コネクタ13,14の結合方向に偏平状となったアルミブロックA1の前面にアルミ板A2を重ね合わせ、それらの上面の両角部を面取りした構造となっている。一次ケース16のうち車両側コネクタ13との接合面26には、円形凹部27が陥没形成されている。そして、円形凹部27の奥側に前記コア21の円板部21Aが嵌合されて、円柱部21Bが接合面26から前方に突出されている。円板部21Aは、円形凹部27の奥側半分に収容されるようになっており、円形凹部27のうち開放側の半分には、車両側コネクタ13の前面に突出した円筒壁42が嵌入される。
【0014】一方、車両側コネクタ13は、全体が図2に示されており、アルミニウム合金製の二次ケース30に二次コイルユニット31を保持して備えている。二次コイルユニット31は、図4に示すように、二次コア32及び二次コイル33からなり、その二次コア32はやはりフェライト製であって、円筒体32Aの一端を奥壁32Bによって閉塞した形状をなしている。二次コイル33は二次ボビン34に巻回されて、前記二次コア32の円筒体32Aの内周面に嵌着されており、この二次ボビン34の空芯部分に前記一次コイル22が嵌入される。また、二次コイル33の図示しないリード線は、二次コア32の奥壁32B及び二次ケース30の奥壁に形成した貫通孔35A,35Bを介して二次ケース30の背面に設けた電線収容部36に延ばされ、そこで電気自動車EVの動力バッテリ(図示せず)を充電するための充電回路から延びた電線に接続されている。そして、二次コイル33に誘導される高周波起電力を整流してその動力バッテリが充電される。
【0015】二次ケース30は、前記一次ケース16と同じ断面形状をなす主体部37の後方に前記電線収容部36を備えてなり、受容部12の奥面を構成するパネル38(図5参照)にネジ止めされている。主体部37のうち前記一次ケース16との接合面40には、図4に示すように、凹部41が陥没形成されて、その開口縁から前方に向けて円筒壁42が突設されている。そして、図2R>2に示すように、凹部41に前記二次コイルユニット31が嵌合されて、その先端面と円筒壁42の先端面とが面一状態に組み付けられている。
【0016】さて、電源側コネクタ14の円形凹部27と車両側コネクタ13の円筒壁42とからなる凹凸嵌合部70には、図2に示すように、3つのロック部71が周方向を3等配するように設けられ、そのうちの1つは、凹凸嵌合部70の真上となる位置に配置されている(以下、このロック部を「頂上ロック部71A」という)。この頂上ロック部71Aに関しては、その詳細構造が図7〜図9に示されており、その他のロック部71(以下、これらを「下側ロック部71B」という)に関しては、その詳細構造が図10〜図12に示されている。以下、頂上ロック部71Aと下側ロック部71Bとに共通した構造を説明しつつ、異なる構造に関しては特記して述べる。なお、共通した構造について先に、各図に同符号を付してある。
【0017】ロック部71は、図7〜図12に示すように、電源側コネクタ14に配置したロックアーム72を、車両側コネクタ13に配置したロック爪73に係合させる構造となっている。電源側コネクタ14には、一次ケース16のうち前記円形凹部27の内周面に陥没しかつ円形凹部27の奥側に連通するロック収容室74が設けられている。ロックアーム72は、コネクタ13,14の嵌合方向に延びた長板状をなし、前記ロック収容室74に収容されて先端部分が前記円形凹部27の内周面に配置され(図3参照)、長手方向の中間分部をピン75(図7〜図12参照)によって回動可能に支持されている。そして、前記ロック収容室74の奥部には、ロックアーム72の後端部を図7〜図12の上方に押し上げるように圧縮コイルバネ76が設けられている。これにより、ロックアーム72は、その中間部分がロック収容室74の内壁に突き当たって水平姿勢に保持され、先端部分が同図の上方に押し上げられたときに圧縮コイルバネ76が圧縮変形される。
【0018】ロックアーム72のうち先端部分には、係合突部77が前記円形凹部27に内方に向けて突設されている。係合突部77を嵌合方向の正面から見ると(図示せず)、係合突部77の先端の稜線が円形凹部27の内周面に対応した弧状をなすと共に、この稜線が円形凹部27の内周面より内側に若干突出している。係合突部77の前側は、円形凹部27の奥側に向かうに連れて円形凹部27の内側にせり出したテーパ面78をなしている。係合突部77の後側は、ロック爪73に係合される係合面79をなし、その係合面79は頂上ロック部71Aと下側ロック部71Bとで異なった構造となっている。即ち、頂上ロック部71Aの係合面79Aは、図7に示すように、嵌合方向に垂直になっており、下側ロック部71Bの係合面79Bは、図10に示すように、嵌合方向の奥側に向かうに連れて円形凹部27の外側に引っ込んだテーパ状となっている。
【0019】一方、ロック爪73は、平板状の主体部81の後端に直立片82を備えて全体としてL字型をなし、その主体部81を車両側コネクタ13の円筒壁42に形成した切り欠き部80(図4参照)内に収容した状態で、直立片82が車両側コネクタ13に固定されている。主体部81の先端には、円筒壁42の外側に向けて係合突部83が形成されている。係合突部83を嵌合方向の正面から見ると(図示せず)、やはり係合突部83の先端の稜線が円筒壁42の外周面に対応した弧状をなすと共に、この稜線が円筒壁42の外周面より外側に若干突出している。また、係合突部83の前側は、曲面84をなし、係合突部83の後側は、ロックアーム72に係合される係合面85をなしている。そして、係合面85はやはり頂上ロック部71Aと下側ロック部71Bとで異なった構造となっている。即ち、頂上ロック部71Aの係合面85Aは、図7に示すように、嵌合方向に垂直になっており、下側ロック部71Bの係合面85Bは、図10に示すように、嵌合方向の奥側に向かうに連れて円形凹部27の外側に引っ込んだテーパ状となっている。
【0020】電源側コネクタ14のハンドル部20には、図7に示すように、頂上ロック部71Aのロックを解除するためのレバー86が備えられている。ハンドル部20の前方部は、図7に示すように、概ね90度に屈曲しており、その屈曲部分の内側に開放されたスリット87内に、前記レバー86が収容されている。レバー86は、前記屈曲部分に沿ったL字型をなし、その角部に貫通したピン87Aを中心に傾動可能となっている。また、レバー86のうちピン87Aから図7における左斜め下側に延びた作用片90が、ロックアームの後端に当接し、ピンから同図における右側に延びた操作片89がハンドル部20の水平部分より下方に突出した姿勢となるように図示しないバネによって付勢されている。そして、操作片89を引き上げると(図10参照)、作用片90が下方側に回動してロックアーム72の後端部が押し下げられ、もって、ロックアーム72の先端の係合突部77とロック爪73との係合が解除される。
【0021】両コネクタ13,14の前面のうち凹凸嵌合部70の真下には、図2に示すように、凹凸嵌合部70の位相合わせのための案内片43と案内凹所44とが設けられている。この案内凹所44の開口側には、テーパ面44Aが形成されており、多少ずれた状態で両コネクタ13,14が結合された場合に、前記テーパ面44Aに案内片43を摺接させて誘い込み、もって両コネクタ13,14が正規位相に是正される。
【0022】本実施形態の構成は以上の通りであり、次にその作用を説明する。電気自動車EVの充電を行う場合には、受容部12の蓋11を開放して、ここに収容された車両側コネクタ13と電源装置60に備えた電源側コネクタ14とを結合する。両コネクタ13,14を結合させるには、電源側コネクタ14を水平方向に移動して、一次コイル22を巻装した一次コア21の円柱部21Bを、車両側コネクタ13に備えた二次コイル33の空芯部分に進入させていく。そして、円柱部21Bの進入が深まったところで、車両側コネクタ13の前面から突出した円筒壁42が、電源側コネクタ14の前面に陥没した円形凹部27内に入り込む。ことのき、例えば、頂上ロック部71Aのロック爪73を目印として、その同軸線上に電源側コネクタ14のハンドル部20を配置し、電源側コネクタ14を押し込むと、両コネクタ13,14の位相を合わせ易い。すると、各ロック部71に設けたロックアーム72とロック爪73の両係合突部77,83同士が突き合わされる。このとき、両コネクタ13,14が多少ずれた状態で押しつけられても、凹凸嵌合部70の下側に設けた案内凹所44のテーパ面44Aに案内片43が摺接して、両コネクタ13,14が正規位相に是正される。
【0023】さらに電源側コネクタ14を押し込んでいくと、ロックアーム72の係合突部77の前面に備えたテーパ面78とロック爪73の係合突部83の前面に備えた曲面84とが摺接して、ロックアーム72の先端が持ち上げられ、圧縮コイルバネ76が弾性変形される。ここで、3つのロック部71は、凹凸嵌合部70の周方向に等配されているから、ロックアーム72を介した圧縮コイルバネ76の弾性反力によって、円形凹部27と円筒壁42とが芯合わせされる。そして、円筒壁42が円形凹部27の奥まで嵌合されたところで、ロックアーム72の係合突部77がロック爪73の係合突部83を乗り越えて、両係合突部77,83の後側に備えた係合面79,85同士が係合し合う(図8及び図11参照)。このとき、一次コア21の円柱部21Bの先端が二次コア32の奥壁32Bに突き合わせされ、かつ、二次コア32の先端が一次コア21の円板部21Aに突き合わせれる(図6参照)。これにより、両コア21,31によって一次コイル22及び二次コイル33を貫通する閉ループ状の磁気回路が構成された状態で、両コネクタ13,14がロックされる。
【0024】この状態で、充電用電源装置60の充電開始スイッチをオン操作すると、一次コイル22によって励起された高周波磁束が、二次コイル33に鎖交して起電力を発生し、これにて電気自動車EVの蓄電装置を充電することができる。
【0025】ところで、電気自動車の充電は、ガソリン車の給油よりも長い時間がかかるから、電源側コネクタ14及充電ケーブル15の自重のよって電源側コネクタ14がモーメント力を長時間に受けることとなる。ところが、凹凸嵌合部70の真上に配置された頂上ロック部71Aは、嵌合方向に垂直となった係合面79A,85A同士を係合させる構造になっているから、前記モーメント力によって引っ張られても、係合が解除されることはない。
【0026】さて、充電が完了して、電源側コネクタ14を車両側コネクタ13から離脱させるときには、図9に示すように、ハンドル部20の水平分部を把持してレバー86の操作片89を持ち上げればよい。すると、レバー86の作用片90が下方に回動して、ロックアーム72の後端部が押し下げられ、ロックアーム72の先端部が係合解除方向に傾動して、頂上ロック部71Aの係合が解除される。そして、電源側コネクタ14を水平方向に強く引っ張る。ここで、下側ロック部71Bに備えた両係合突部77,83同士の係合面79B,85Bは、テーパ状をなしているから、強く引っ張ったときには、図12に示すように両係合面79B,85Bが摺接してロックアーム72の先端が持ち上げられ、係合が解除される。これにより、全ロック部71の係合が解除されて、両コネクタ13,14が離脱される。
【0027】このように、本実施形態の電気自動車充電用コネクタ装置によれば、両コネクタ13,14を押し付けるだけで結合状態にロックできるから、従来のコネクタを回転させてロックするものより作業性に優れる。しかも、ロック部71は、凹凸嵌合部70の周りを3等配するように配置されているから、嵌合時にロック部71の弾発力によって凹凸嵌合部70の芯合わせを行える。また、頂上ロック部71Aは、凹凸嵌合部70の真上に配置され、さらに、その係合面79A,85Aは、コネクタの嵌合方向に垂直になっているから、コネクタの自重よるモーメント力によって頂上ロック部71Aが強く引っ張られても係合が解除されることはない。その上、他の2つの下側ロック部71Bはセミロック構造をなして強く引っ張れば係合が解除されるから、頂上ロック部71Aにだけをロック解除操作すればよく、ロック解除の操作性に優れる、かつ、コネクタのロック解除構造の簡素化も図られる。
【0028】<第2実施形態>本実施形態の電気自動車充電用コネクタ装置は、前記第1実施形態の車両側コネクタ13及び電源側コネクタ14と基本構造が同一であり(図2参照)、以下の点のみが異なる構造となっている。即ち、本実施形態の電源側コネクタはロボットに保持されると共に、ロボットに対して僅な範囲で自由に変位可能になっている。また、両コネクタのうち凹凸嵌合部の周囲に3等配した各ロック部はいずれも前記第1実施形態の下側ロック部71Bと同じセミロック構造をなしている。さらに、両コネクタには、データを授受するための光通信素子が互いの接合面に埋め込まれている。
【0029】電気自動車を充電するには、その電気自動車をロボットの近傍に駐車し、所定の起動スイッチをオン操作する。すると、光電センサによって車両側コネクタの位置が検出され、そこにロボットが電源側コネクタを押し付ける。このとき、両コネクタの嵌合過程でロックアームが弾性的に変位し、その弾性反力によって電源側コネクタがロボットに対して僅かに変位して両コネクタが芯合わせされ、最後まで押し込まれて完全結合される。そして、光通信素子によって充電情報を授受しつつ充電が行われる。充電中は、ロボットの駆動モータが機械的にロックされ、これに加えて両コネクタのロック部も係合状態となっているから、電源側コネクタのケーブルが引っ張られても、両コネクタが離脱してしまうことはない。
【0030】<他の実施形態>本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、頂上ロック部71Aの係合面79A,85Aは、嵌合方向に垂直になっていたが、例えば、係合突部の係合面が、相手側との係合を深めるように傾斜したものであってもよい。
(2)前記ロックアーム72は、圧縮コイルバネ76によって弾性的に変位する構成になっていたが、ロックアーム自体が可撓性を備えて弾性変形する構成としてもよい。
(3)前記実施形態では、電磁誘導を利用したコネクタ装置に本発明を適用してものを例示したが、両コネクタに収容した端子金具同士を導通接続させるいわゆるコンダクティブタイプのコネクタ装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る充電システムを示す概略的な斜視図
【図2】車両側コネクタと電源側コネクタの斜視図
【図3】電源側コネクタの分解斜視図
【図4】車両側コネクタの分解斜視図
【図5】両コネクタの離脱状態を示す側断面図
【図6】両コネクタの結合状態を示す側断面図
【図7】頂上ロック部の離脱状態を示す側断面図
【図8】頂上ロック部の係合状態を示す側断面図
【図9】頂上ロック部の係合解除過程を示す側断面図
【図10】下側ロック部の離脱状態を示す側断面図
【図11】下側ロック部の係合状態を示す側断面図
【図12】下側ロック部の係合解除過程を示す側断面図
【図13】従来のコネクタ装置を示す斜視図
【符号の説明】
13…車両側コネクタ
14…電源側コネクタ
60…充電用電源装置
70…凹凸嵌合部
71…ロック部
71A…頂上ロック部
71B…下側ロック部
72…ロックアーム
73…ロック爪
78…テーパ面
79,85…係合面
EV…電気自動車
【特許請求の範囲】
【請求項1】 充電用電源装置によって電気自動車を充電するための車両側コネクタ及び電源側コネクタに、ほぼ水平方向で相互に嵌合される断面円形の凹凸嵌合部を備えてなる電気自動車充電用コネクタ装置において、前記凹凸嵌合部を嵌合状態に保持するための3つのロック部を、前記凹凸嵌合部の周りを概ね3等配しかつそのうちの一つが前記凹凸嵌合部の真上となる位置に配置して設けると共に、前記ロック部は、前記凹凸嵌合部の径方向に弾性的に変位することによって相手側に係合及び係合解除可能なロックアームを備えていることを特徴とする電気自動車充電用コネクタ装置。
【請求項2】 前記3つのロック部のうち前記凹凸嵌合部の真上に配された頂上ロック部の前記ロックアームと相手側との係合面は、前記両コネクタの嵌合方向に垂直または嵌合を深める側に傾斜し、かつ、前記頂上ロック部には、前記ロックアームを係合解除方向に変位させるための解除操作部が備えられ、他の2つのロック部の前記ロックアームと相手側との係合面は、前記ロックアームを係合解除方向に案合するように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の電気自動車充電用コネクタ装置。
【請求項1】 充電用電源装置によって電気自動車を充電するための車両側コネクタ及び電源側コネクタに、ほぼ水平方向で相互に嵌合される断面円形の凹凸嵌合部を備えてなる電気自動車充電用コネクタ装置において、前記凹凸嵌合部を嵌合状態に保持するための3つのロック部を、前記凹凸嵌合部の周りを概ね3等配しかつそのうちの一つが前記凹凸嵌合部の真上となる位置に配置して設けると共に、前記ロック部は、前記凹凸嵌合部の径方向に弾性的に変位することによって相手側に係合及び係合解除可能なロックアームを備えていることを特徴とする電気自動車充電用コネクタ装置。
【請求項2】 前記3つのロック部のうち前記凹凸嵌合部の真上に配された頂上ロック部の前記ロックアームと相手側との係合面は、前記両コネクタの嵌合方向に垂直または嵌合を深める側に傾斜し、かつ、前記頂上ロック部には、前記ロックアームを係合解除方向に変位させるための解除操作部が備えられ、他の2つのロック部の前記ロックアームと相手側との係合面は、前記ロックアームを係合解除方向に案合するように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の電気自動車充電用コネクタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【公開番号】特開2000−113934(P2000−113934A)
【公開日】平成12年4月21日(2000.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−280108
【出願日】平成10年10月1日(1998.10.1)
【出願人】(395011665)株式会社ハーネス総合技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年4月21日(2000.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年10月1日(1998.10.1)
【出願人】(395011665)株式会社ハーネス総合技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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