説明

電気自動車用充電装置の機能モジュール及び電気自動車用充電装置

【課題】機能の追加に必要な費用及び手間を軽減する。
【解決手段】本実施形態の機能モジュール(表示モジュール100)は、スタンド本体1が有する収納スペースに収納可能な筐体101を有し、電気自動車の充電に関わる種々の情報(例えば、瞬時電力や積算電力量、充電時間など)を表示するための表示手段(表示部111)が筐体101内に収納されて構成される。つまり、必要となる機能を実現するための手段(本実施形態では表示手段)が、コンセントモジュール10とともにスタンド本体1に収納可能な筐体101内に収納されているためにスタンド本体1の外に設置する必要が無い。その結果、機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に搭載された二次電池を充電するための電気自動車用充電装置に用いる機能モジュール及び当該電気自動車用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車(以下では、これら2種類の自動車を合わせて「電気自動車」と呼ぶ。)が普及しつつある。そして、これらの電気自動車の普及に合わせて、電気自動車に搭載されている二次電池を充電するための電気自動車用充電装置の提供も開始され始めている。例えば、一般家庭においては、車庫に駐車している電気自動車を充電ケーブルでコンセントに接続して充電することが想定されるので、住戸の外(屋外)にコンセントが設置される必要がある。ここで、屋外にコンセントを設置するものとして、下部が地中に埋設されたポール内にコンセントを配設し、住戸内(屋内)の住宅用分電盤から分岐された給電線を前記コンセントに接続してなるコンセント装置(電源ポールとも呼ばれる。)が従来より提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている電源ポールは、円筒状のポールの上部に扉付きのケーシングが取り付けられ、ケーシング内にコンセントが収納されて構成されており、ケーシングの扉を開いた状態でケーシング内のコンセントに充電ケーブルのプラグが差込接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−223339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気自動車が電力のみで走行できる距離は、現状、ガソリンを燃料とする通常の自動車に比べて遙かに短い。したがって、電気自動車が本格的に普及するためには、自動車専用道路のサービスエリアや商業施設の駐車場、あるいは集合住宅の駐車場などの公共の場に不特定多数の人が利用可能な充電装置(コンセント)が多数設置される必要がある。
【0005】
ここで、電気自動車用充電装置が公共の場に設置される場合、利用者から電気料金を徴収する機能が必要となる。さらに、電気自動車用充電装置が集合住宅の駐車場に設置される場合、当該集合住宅の住人のみが使用できるように利用者(あるいは車両)を認証する機能が必要となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている電源ポールを電気自動車用充電装置に転用した場合、上述した設置場所や利用形態などに応じた機能の追加が容易では無い。つまり、必要となる機能を実現するための手段(様々な機構や電子回路など)が既存のケーシング内に収まらなければ、ケーシングの外に別途設置しなければならない。その結果、機能の追加に多大な費用と手間がかかるといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気自動車用充電装置の機能モジュールは、充電装置本体内にコンセントを収納してなる電気自動車用充電装置に用いられ、所望の機能を実現するための手段が箱形の筐体内に収納されてなり、前記充電装置本体が有する収納スペースに収納されることを特徴とする。
【0009】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、予め登録されている特定の利用者又は電気自動車を認証するための認証手段であることが好ましい。
【0010】
この機能モジュールにおいて、前記コンセントが収納される空間の開口を開閉自在に塞ぐ扉と、当該扉を施錠するための電気錠とが前記電気自動車用充電装置に設けられており、前記手段は、当該電気錠を制御して施錠及び解錠するための電気錠制御手段であることが好ましい。
【0011】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、前記コンセントから給電される電力で電気自動車を充電する利用者から当該充電に要した電力の料金を徴収するための電力料金徴収手段であることが好ましい。
【0012】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、電気自動車に搭載されている電子制御ユニットとの間でデータ通信を行うための通信手段であることが好ましい。
【0013】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、電気自動車に搭載されている自動料金収受システム用の車載器との間でデータ通信を行うための通信手段であることが好ましい。
【0014】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、ナンバープレートに表示されている自動車登録番号を認識するための認識手段であることが好ましい。
【0015】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、前記コンセントから電気自動車への給電の入切を制御するための制御手段であることが好ましい。
【0016】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、電気自動車の充電に関わる種々の情報を表示するための表示手段であることが好ましい。
【0017】
この機能モジュールにおいて、前記表示手段は、前記コンセントから給電されて充電している電気自動車の充電が完了する時刻を表示することが好ましい。
【0018】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、前記コンセントから電気自動車に給電される電流又は電力又は時間の少なくとも何れか1つを計測するための計測手段であるが好ましい。
【0019】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、任意の通信端末との間で無線通信を行うための無線通信手段であることが好ましい。
【0020】
この機能モジュールにおいて、前記手段は、前記コンセントに対して充電ケーブルのプラグが挿抜された回数を計数し、且つ当該回数が所定の上限値を超えたらメンテナンスが必要であることを報知するための報知手段であることが好ましい。
【0021】
この機能モジュールにおいて、前記コンセントが箱形の筐体内に収納されてなるコンセントモジュールが収納される前記充電装置本体の収納スペースに収納されることが好ましい。
【0022】
本発明の電気自動車用充電装置は、請求項1〜14の少なくとも何れか1つの機能モジュールと、コンセントと、当該コンセントを収納する充電装置本体とを備え、当該充電装置本体が有する収納スペースに前記機能モジュールが収納されてなることを特徴とする。
【0023】
この電気自動車用充電装置において、前記コンセントが箱形の筐体内に収納されてなるコンセントモジュールを有し、当該コンセントモジュールが前記機能モジュールとともに前記充電装置本体の収納スペースに収納されてなることが好ましい。
【0024】
この電気自動車用充電装置において、前記コンセントが箱形の筐体内に収納されてなるコンセントモジュールを有し、前記機能モジュールが、前記充電装置本体の前記コンセントモジュールが収納される収納スペースに収納されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の電気自動車用充電装置の機能モジュール及び電気自動車用充電装置は、機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るコンセントモジュール、機能モジュール、電気自動車用充電装置(充電スタンド)の実施形態1を示す外観斜視図である。
【図2】同上のコンセントモジュールを示し、扉を開けた状態の正面図である。
【図3】同上のコンセントモジュールを示し、扉を開けた状態の斜視図である。
【図4】同上の充電スタンドを示し、一部省略した分解斜視図である。
【図5】同上のコンセントモジュールのブロック図である。
【図6】同上の表示モジュールの外観斜視図である。
【図7】同上の表示モジュールのブロック図である。
【図8】実施形態2の機能モジュール(認証/電気錠制御モジュール)のブロック図である。
【図9】同上の認証/電気錠制御モジュールの外観斜視図である。
【図10】同上のコンセントモジュールを示す平面断面図である。
【図11】(a)は同上の認証/電気錠制御モジュールの別のブロック図、(b)はコンセントモジュール、認証/電気錠制御モジュール、管理センタを含むシステム構成図である。
【図12】実施形態3の機能モジュール(認証/電気錠制御モジュール)のブロック図である。
【図13】同上の認証/電気錠制御モジュールの外観斜視図である。
【図14】実施形態4の機能モジュール(認証/電気錠制御モジュール)のブロック図である。
【図15】同上の認証/電気錠制御モジュールの外観斜視図である。
【図16】実施形態5の機能モジュール(料金徴収モジュール)のブロック図である。
【図17】同上の料金徴収モジュールの外観斜視図である。
【図18】同上の料金徴収モジュールの別のブロック図である。
【図19】同上の別のコンセントモジュールを示し、(a)はコイン式の錠ユニットの正面図、(b)は平面断面図である。
【図20】実施形態6の機能モジュール(メンテナンス報知モジュール)のブロック図である。
【図21】同上のメンテナンス報知モジュールの外観斜視図である。
【図22】同上のコンセントモジュールの平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、充電装置本体に相当するスタンド本体が地面に立設されてなる充電スタンドに本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。但し、本発明の技術思想は充電スタンド以外の電気自動車用充電装置にも適用可能であることは言うまでもない。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態の電気自動車用充電装置(充電スタンド)は、図1に示すように電気自動車を駐車する地面に立設される充電装置本体(スタンド本体)1を備え、スタンド本体1の中にコンセントモジュール10と種々の機能モジュールが収納されてなる。
【0029】
スタンド本体1は、長尺の矩形板状に形成された3枚の金属板(左側板2,右側板3,背板4)を組み立てることで前面並びに天面、底面がそれぞれ開口した角筒状に形成され、扁平な箱形のカバー5によって天面の開口が閉塞されている。左側板2並びに右側板3の内側面には背板4と並行するようにして取付板6(図4参照)が取着されている。すなわち、スタンド本体1の内部が取付板6によって前後に区分けされており、コンセントモジュール10が取付板6の前方の空間に収納され、漏電遮断器や給電用の電源ケーブル(図示せず)が取付板6の後方の空間に収納(配線)される。なお、コンセントモジュール10及び漏電遮断器は取付板6にねじ止めによって取り付けられる。
【0030】
また、スタンド本体1前面における最上部及び最下部には矩形板状の上パネル7A及び下パネル7Bが取り付けられている。そして、スタンド本体1内において上パネル7Aの下端から下パネル7Bの上端までの前方空間に、コンセントモジュール10並びに機能モジュールを上下方向に並べて収納するための収納スペースが設けられている。なお、図示例では、収納スペースはコンセントモジュール10又はコンセントモジュール10と機能モジュールを最大4つまで収納可能な寸法に形成されている。
【0031】
コンセントモジュール10は、図2及び図3に示すように筐体11、コンセントブロック12、扉13、天井カバー14などを具備している。筐体11は、金属板により前面に開口窓11Aを有する箱形に形成されている。天井カバー14は下面が開口する箱形に形成され、筐体11の天面(上面)を覆うように筐体11に取り付けられる。扉13は扁平な矩形箱状に形成されており、開口窓11Aを塞ぐ閉位置と開口窓11Aを開放する開位置との間で水平方向(前後方向)に回動自在となるように、ヒンジ部13Aによって左側端部が筐体11の前面側左端部に軸支されている。また、扉13にはロック装置15が取着されており、閉位置にあるときにロック装置15によって扉13がロックされる。なお、扉13の下端部における右端には、充電ケーブル90が引き出される切り欠き(引出口)13Bが形成されている。
【0032】
コンセントブロック12は、前面に差込口20Aが設けられたコンセント20と、コンセント20を保持し且つコンセント20の前面を覆うコンセントプレート12Aと、コンセントプレート12Aの中央に開口するプラグ挿入口12Bを開閉自在に塞ぐコンセントカバー12Cとを有する。コンセントプレート12Aは、プラグ挿入口12Bが開口する中央部分が前方へ突出し、当該中央部の左右両端部にそれぞれねじ挿通孔12Dが形成されている。コンセントカバー12Cは略半円板状に形成され、直線部分においてコンセントプレート12Aの中央部分に回動自在に軸支される。つまり、コンセントカバー12Cは、コンセントプレート12Aのプラグ挿入口12Bを覆う閉位置と、プラグ挿入口12Bを開放する開位置との間で回動し、さらに図示しないねじりコイルばねのばね力によって開位置から閉位置に向かう向きに弾性付勢されている。なお、コンセントプレート12Aの内側面には、充電ケーブル90の先端に設けられているプラグ91の被係合部(図示しない)と係合する係合部12Eが設けられており、コンセント20の差込口20Aに差込接続されたプラグ91が、係合部12Eと被係合部との係合によって抜け止めされる。
【0033】
コンセントブロック12は、筐体11内部における上部後方に配設されている取付板11Bに対して、左右両端部のねじ挿通孔12Dに挿通されるねじによってねじ止めされる。ここで、取付板11Bは、後方に向かって徐々に下方へ下がるように傾いて配設されている。そのため、コンセント20の差込口20Aも水平面(前後左右を含む平面)に対して下向きに傾いて配置されている。
【0034】
また、コンセントモジュール10にはインターロック装置16が設けられている。インターロック装置16は、扉13が閉位置にあるときに扉13の後面から後方へ突出する駆動片13Cによってオンとされ、扉13が閉位置にないときはオフされ、オンされている間だけコンセント20への給電路を閉成するものである。
【0035】
さらに、コンセントモジュール10は、図5に示すようにコンセント20を通じて電気自動車に供給される電力(充電電力)を計測する電力計測部21と、マイクロコンピュータとその周辺回路(メモリやタイマなど)で構成される制御部22と、機能モジュールとの間でデータ伝送を行うためのデータ伝送部23とを備えている。
【0036】
電力計測部21は、コンセント20から電気自動車に供給される瞬時電力及び積算電力量を計測し、それぞれの計測値を制御部22に出力する。また、データ伝送部23は、RS-485などの周知のデータ伝送規格に準拠してデータ伝送を行うものであって、通信ケーブル(図示せず)からなるデータ伝送路を介して、後述する機能モジュールのデータ伝送部との間でデータ伝送を行う。
【0037】
制御部22は、電力計測部21で計測される瞬時電力や積算電力量の計測値をメモリに記憶するとともに、メモリに記憶された計測値を読み出してデータ伝送部23から機能モジュールへ伝送(送信)させる。ここで、制御部22から伝送される情報は瞬時電力や積算電力量だけではなく、例えば、電気自動車の充電容量が既知であれば、当該充電容量と積算電力量の計測値とから算出される充電時間(満充電になって充電が完了するまでに要する時間)や、電気自動車の充電が完了する時刻であっても構わない。
【0038】
上述のように構成されるコンセントモジュール10は、前面側からスタンド本体1内の収納スペース内に収納され、取付板6に対して筐体11がねじ止めされることでスタンド本体1に固定される。なお、コンセントモジュール10の筐体11の背面には、電源ケーブル用の端子台(図示せず)とデータ伝送路(通信ケーブル)用の端子台(図示せず)が設けられており、取付板6に開口された窓孔6A(図4参照)を通して取付板6の後方の空間(以下、配線スペースと呼ぶ。)に2つの端子台が配置される。上述したようにスタンド本体1内には同一寸法の4つの収納スペースが上下方向に並設されており、これら4つの収納スペースの何れにもコンセントモジュール10又は機能モジュールを収納することができる。但し、コンセントモジュール10及び機能モジュールが収納されない収納スペースの前面は平板状のカバー7Cで閉塞される。
【0039】
本実施形態の機能モジュールは、電気自動車の充電に関わる種々の情報(例えば、瞬時電力や積算電力量、充電時間など)を表示する手段を備えた表示モジュール100である。この表示モジュール100は、図6に示すようにコンセントモジュール10の筐体11とほぼ共通の外形及び寸法を有した箱形の筐体101内に、制御部110、表示部111、操作入力受付部112、データ伝送部113などが収納されて構成される(図7参照)。
【0040】
表示部111は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイス111Aと、表示デバイス111Aを駆動して文字や記号や画像などを表示させるドライバ回路(図示せず)とを有する。操作入力受付部112は、表示デバイス111Aの画面上に配置される透明なタッチパネルと、タッチパネルを駆動し且つ操作位置を検出するドライバ回路(図示せず)とを有する。
【0041】
制御部110は、マイクロコンピュータとその周辺回路(メモリやタイマなど)で構成される。またデータ伝送部113は、コンセントモジュール10のデータ伝送部23と同一のデータ伝送規格に準拠してデータ伝送を行う。
【0042】
一方、表示モジュール100の筐体101は、その前面中央に表示デバイス111Aの画面とタッチパネルの操作面とが露出している。また、筐体101の背面には電源ケーブル用の端子台(図示せず)とデータ伝送路(通信ケーブル)用の端子台(図示せず)が設けられている。
【0043】
上述のように構成される表示モジュール100は、コンセントモジュール10と同様に前面側からスタンド本体1内の収納スペース内に収納され、取付板6に対して筐体101がねじ止めされることでスタンド本体1に固定される。そして、取付板6に開口された窓孔6Aを通して筐体101背面の2つの端子台が配線スペースに配置され、これら2つの端子台に各々電源ケーブル及び通信ケーブルが接続される。
【0044】
次に、表示モジュール100の動作(機能)を詳しく説明する。表示デバイス111Aの画面(タッチパネルの操作面)に人の指が触れると、制御部110が表示部111を起動して表示デバイス111Aにメニュー画面を表示させる。このメニュー画面では、電気自動車の充電に関わる種々の情報(例えば、瞬時電力や積算電力量、充電時間など)を選択するための釦(選択釦)が表示される。そして、いずれかの選択釦、例えば、積算電力量を選択するための選択釦がタッチ操作されると、操作入力受付部112で当該選択釦の操作入力が受け付けられて制御部110に操作入力信号が出力される。操作入力信号を受け取った制御部110は、選択された情報(積算電力量)を要求するコマンドをデータ伝送部113よりコンセントモジュール10のデータ伝送部23へ伝送させる。
【0045】
コンセントモジュール10では、データ伝送部23で前記コマンドが受信されると、当該コマンドに従って、制御部22がメモリに記憶されている最新の積算電力量の計測値をデータ伝送部23から表示モジュール100のデータ伝送部113へ伝送させる。
【0046】
表示モジュール100では、データ伝送部23で受信される積算電力量の計測値を制御部110に渡し、制御部110が表示部111を制御して当該積算電力量の計測値を表示デバイス111Aの画面に表示させる。
【0047】
上述のように本実施形態の機能モジュール(表示モジュール100)は、スタンド本体1が有する収納スペースに収納可能な筐体101を有し、電気自動車の充電に関わる種々の情報(例えば、瞬時電力や積算電力量、充電時間など)を表示するための表示手段(表示部111)が筐体101内に収納されて構成される。つまり、必要となる機能を実現するための手段(本実施形態では表示手段)が、コンセントモジュール10とともにスタンド本体1に収納可能な筐体101内に収納されているためにスタンド本体1の外に設置する必要が無く、その結果、機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することができる。
【0048】
ここで、表示モジュール100で表示可能な情報は、上述した瞬時電力や積算電力量、充電時間などのコンセントモジュール10で計測される情報に限定されるものではない。例えば、充電スタンドの利用時間(電気自動車の充電に利用される時間)が予約可能な場合、予約された利用時間(予約時間)や予約した人(利用者)の識別情報(予め予約サービスに登録した利用者に割り当てられるID情報)などを表示モジュール100で表示することも可能である。あるいは、電気自動車に搭載されている電子制御ユニット(ECU)との間でデータ通信を行うための通信手段を表示モジュール100に備え、通信手段を利用して電気自動車の電子制御ユニットから取得する情報、例えば、走行距離数や燃費などの情報を表示することも可能である。この場合、前記通信手段を有する機能モジュール(通信モジュール)が表示モジュール100とは別に構成されても構わない。
【0049】
また、任意の通信端末(例えば、携帯電話機)との間で無線通信を行うための無線通信手段を有する機能モジュール(無線通信モジュール)を表示モジュール100と連携させてもよい。すなわち、表示モジュール100で表示される情報が無線通信モジュールから携帯電話機などの通信端末に送信され、携帯電話機の液晶画面に当該情報が表示されれば、充電スタンドから離れた場所で情報を見ることができて利便性が向上する。
【0050】
(実施形態2)
実施形態1におけるコンセントモジュール10の扉13にはロック装置15が設けられているが、このロック装置15は一般的な鍵を用いて施解錠されるものである。しかしながら、このような鍵は容易に合鍵を作成することができるため、不正に作成された合鍵でロック装置15が解錠され、無断で電気自動車が充電(盗電)される虞がある。
【0051】
そこで、本実施形態ではコンセントモジュール10のロック装置15が電気錠30に置き換えられ、この電気錠30を施錠及び解錠するための電気錠制御手段を有する機能モジュールがコンセントモジュール10とともにスタンド本体1に収納されている。
【0052】
電気錠30は、図10に示すように扁平な箱形に形成されたケース31と、ケース31の背面より引き出された信号線32と、ケース31の上面より可動鉄心を進退自在に突出させる電磁ソレノイド(図示せず)とを有し、コンセントモジュール10の筐体11内に設置される。信号線32は、筐体11の背面に設けられている信号用の端子台40に接続されている。
【0053】
一方、扉13には、ケース31から進出する電磁ソレノイドの可動鉄心と嵌合する嵌合孔13Dが設けられており、この嵌合孔13Dに可動鉄心が嵌合することで電気錠30が施錠され、電磁ソレノイドの可動鉄心がケース31内に退避して嵌合孔13Dと嵌合しないことで電気錠30が解錠される。なお、電磁ソレノイドは信号線32を介して入力される制御信号(後述する)に応じて駆動(励磁)される。
【0054】
一方、本実施形態の機能モジュールは、予め登録されている特定の利用者を認証する認証手段と、認証手段の認証結果に応じて電気錠30を制御(施解錠)するための電気錠制御手段とを備えた認証/電気錠制御モジュール200である。この認証/電気錠制御モジュール(以下、「認証制御モジュール」と略す。)200は、図9に示すようにコンセントモジュール10の筐体11とほぼ共通の外形及び寸法を有した箱形の筐体201内に、制御部210、ID情報取得部211、ID照合部212、データ伝送部213などが収納されて構成される(図8参照)。
【0055】
ID情報取得部211は、例えば、ICカードに記録されているID情報を読み取る非接触型のICカードリーダからなり、筐体201前面の中央部に設けられているアンテナ211AにICカード(カードキー)が近付けられると、当該カードキーからID情報を読み取る。ここで、カードキーに記録されているID情報は、例えば、利用者に割り当てられた識別符号(英文字と数字の組み合わせなど)である。
【0056】
ID照合部212は、利用者に正規に割り当てられた1乃至複数の識別符号をメモリに記憶しており、ID情報取得部211で取得されたID情報(識別符号)をメモリに記憶している正規の識別符号と照合し、その照合結果を制御部210に出力する。
【0057】
制御部210は、マイクロコンピュータとその周辺回路(メモリやタイマなど)で構成され、ID照合部212から受け取る照合結果に応じて電気錠30を制御するためのコマンドを作成し、作成したコマンドをデータ伝送部213から伝送(送信)させる。データ伝送部213は、電気錠30が準拠しているデータ伝送規格(例えば、RS-485など)に準拠してデータ伝送を行う。
【0058】
一方、認証制御モジュール200の筐体201は、その背面に電源ケーブル用の端子台(図示せず)とデータ伝送路(通信ケーブル)用の端子台(図示せず)が設けられている。
【0059】
上述のように構成される認証制御モジュール200は、コンセントモジュール10や表示モジュール100と同様に前面側からスタンド本体1内の収納スペース内に収納され、取付板6に対して筐体201がねじ止めされることでスタンド本体1に固定される。そして、取付板6に開口された窓孔6Aを通して筐体201背面の2つの端子台が配線スペースに配置され、これら2つの端子台に各々電源ケーブル及び通信ケーブルが接続される。
【0060】
次に、認証制御モジュール200の動作(機能)を詳しく説明する。コンセントモジュール10においては、原則として扉13が閉位置にあるときは電気錠30が施錠されている。したがって、電気自動車を充電しようとする利用者は、初めにカードキーを用いてコンセントモジュール10の電気錠30を解錠しなければならない。そこで、利用者が認証制御モジュール200の筐体201前面に設けられているアンテナ211Aにカードキーを近付けると、ID情報取得部211がカードキーから当該利用者のID情報(識別符号)を読み取ってID照合部212に渡す。ID照合部212がID情報取得部211で取得した識別符号と正規の識別符号を照合し、正規の識別符号に一致すれば、認証可の照合結果を制御部210に出力するが、正規の識別符号に一致しなければ、認証不可の照合結果を制御部210に出力する。制御部210は、ID照合部212から受け取る照合結果が「認証可」であれば、電気錠30を解錠するためのコマンドを作成してデータ伝送部213から伝送させ、照合結果が「認証不可」であれば解錠のコマンドを作成しない。
【0061】
コンセントモジュール10では、前記コマンドを受け取った電気錠30が電磁ソレノイドを駆動して可動鉄心をケース31内に退避させることで解錠する。故に、利用者は扉13を開けて充電ケーブル90のプラグ91をコンセント20の差込口20Aに差込接続し、電気自動車を充電することができる。なお、利用者がプラグ91をコンセント20に接続して扉13を閉じた後、カードキーをアンテナ211Aにカードキーを近付ければ、上述した手順で識別符号が認証されて電気錠30が施錠される。
【0062】
上述のように本実施形態の機能モジュール(認証制御モジュール200)では、正規の利用者を認証するとともに認証可である場合にコンセントモジュール10の電気錠30を制御して解錠させることができ、認証機能と電気錠30の制御機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することができる。なお、利用者の個人認証は上述したICカード(カードキー)による認証に限らず、例えば、利用者の生体情報(指紋や声紋など)を利用した生体認証を用いることも可能である。また、本実施形態では認証機能と電気錠制御機能を併せ持った機能モジュールを例示したが、各機能を単独で持つ機能モジュール(認証モジュールと電気錠制御モジュール)としても構わない。
【0063】
ここで、多数の充電スタンドの利用状況や利用予約、利用者のID情報などを管理センタSで一元的に管理するシステムが構築されていると仮定する(図11(b)参照)。このとき、認証制御モジュール200には、図11(a)に示すようにネットワーク(インターネット)NWを通じて管理センタSとの間で通信を行うネットワーク通信部214が設けられる。そして、このネットワーク通信部214が管理センタSとネットワーク通信することにより、管理センタSで管理されている正規のID情報を認証制御モジュール200の制御部210で取得し、制御部210が取得する正規のID情報を用いてID照合部212で照合することができる。
【0064】
なお、認証制御モジュール200において、電気錠30の制御とともに、あるいは電気錠30の制御に代えて、コンセントモジュール10のコンセント20から電気自動車への給電の入切を制御するようにしてもよい。例えば、図11(b)に示すように電源ケーブルからコンセント20への給電路を開閉する電磁リレー24がコンセントモジュール10に設けられているとする。認証制御モジュール200の制御部210は、管理センタSとのネットワーク通信で取得した正規のID情報により認証可となった場合、データ伝送部213から給電開始の制御コマンドを伝送させる。コンセントモジュール10では、データ伝送部23で前記制御コマンドが受信されると、当該制御コマンドに従って制御部22が電磁リレー24を制御して給電路を閉成することでコンセント20から電気自動車への給電を入切することができる。
【0065】
(実施形態3)
本実施形態の機能モジュールは、予め登録されている特定の電気自動車を認証する認証手段と、認証手段の認証結果に応じて電気錠30を制御(施解錠)するための電気錠制御手段とを備えた認証/電気錠制御モジュール300である。但し、スタンド本体1やコンセントモジュール10の構成は実施形態2と共通であるから、図示並びに説明は省略する。
【0066】
本実施形態の認証/電気錠制御モジュール(以下、認証制御モジュールと略す。)300は、図13に示すようにコンセントモジュール10の筐体11とほぼ共通の外形及び寸法を有した箱形の筐体301内に、制御部310、撮像部311、画像処理部312、データ伝送部313などが収納されて構成される(図12参照)。
【0067】
撮像部311は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子、レンズ311A、映像処理回路などで構成される。画像処理部312は、撮像部311で撮像される画像に対して、テンプレートマッチングなどの従来周知の画像処理を行うことで電気自動車のナンバープレートに記されている自動車登録番号を認識し、その認識結果(自動車登録番号)を制御部310に出力する。
【0068】
制御部310は、マイクロコンピュータとその周辺回路(メモリやタイマなど)で構成され、画像処理部312から受け取る自動車登録番号と、メモリに記憶されている正規の自動車登録番号とを照合する。なお、正規の自動車登録番号とは、事前に登録手続がされている自動車登録番号である。また、データ伝送部313は、電気錠30が準拠しているデータ伝送規格(例えば、RS-485など)に準拠してデータ伝送を行う。
【0069】
一方、認証制御モジュール300の筐体301は、その背面に電源ケーブル用の端子台(図示せず)とデータ伝送路(通信ケーブル)用の端子台(図示せず)が設けられ、前面には撮像部311のレンズ311Aを前方へ臨ませるための窓孔302が開口している。
【0070】
次に、認証制御モジュール300の動作(機能)を詳しく説明する。電気自動車が駐車スペースに駐車されると、当該電気自動車のナンバープレートが撮像部311で撮像され、撮像されたナンバープレートの画像が画像処理部312に渡される。画像処理部312ではナンバープレートの画像から自動車登録番号を認識し、認識した当該自動車登録番号を制御部310に渡す。制御部310は、画像処理部312で認識された自動車登録番号とメモリに記憶している正規の自動車登録番号を照合し、正規の自動車登録番号に一致すれば、認証可と判断して電気錠30を解錠するためのコマンドを作成してデータ伝送部213から伝送させる。一方、画像処理部312で認識された自動車登録番号が正規の自動車登録番号に一致しなければ、認証不可と判断して電気錠30を解錠するためのコマンドを作成しない。
【0071】
コンセントモジュール10では、前記コマンドを受け取った電気錠30が電磁ソレノイドを駆動して可動鉄心をケース31内に退避させることで解錠する。故に、利用者は扉13を開けて充電ケーブル90のプラグ91をコンセント20の差込口20Aに差込接続し、電気自動車を充電することができる。
【0072】
上述のように本実施形態の機能モジュール(認証制御モジュール300)では、正規の自動車登録番号を認証するとともに認証可である場合にコンセントモジュール10の電気錠30を制御して解錠させることができ、認証機能と電気錠30の制御機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することができる。しかも、実施形態2ではICカード(カードキー)を忘れたり、紛失することによって電気錠30が解錠できなくなる虞があるが、本実施形態では利用者がICカードなどの鍵の代わりとなるものを持つ必要がないので、電気錠30が解錠できなくなる虞はほとんどない。
【0073】
なお、本実施形態の認証制御モジュール300においても、実施形態2と同様にネットワーク通信部が設けられ、ネットワーク通信部が管理センタとネットワーク通信することにより、管理センタで管理されている正規の自動車登録番号を認証制御モジュール300の制御部310で取得することも可能である。
【0074】
(実施形態4)
実施形態3の認証制御モジュール300では、ナンバープレートの撮像画像から画像処理によって自動車登録番号を認識しているが、この場合、夜間やナンバープレートが汚れているときなどに認識精度が低下する虞がある。一方、最近は自動料金収受(ETC)システム用の車載器(以下、ETC車載器と呼ぶ。)の搭載率が増加しているが、このETC車載器には、搭載される自動車の自動車登録番号を含む車両情報が内蔵のメモリにセットアップ(記憶)されている。したがって、ETC車載器との間で無線通信を行って自動車登録番号を取得すれば、画像処理によって自動車登録番号を認識する方法に比べて、簡単且つ正確に自動車登録番号を取得することができる。
【0075】
そこで、本実施形態の機能モジュール(認証/電気錠制御モジュール400)では、電気自動車に搭載されているETC車載器との間でデータ通信を行うための通信手段と、予め登録されている特定の電気自動車を認証する認証手段と、認証手段の認証結果に応じて電気錠30を制御(施解錠)するための電気錠制御手段とを備えている。但し、スタンド本体1やコンセントモジュール10の構成は実施形態2と共通であるから、図示並びに説明は省略する。
【0076】
本実施形態の認証/電気錠制御モジュール(以下、認証制御モジュールと略す。)400は、図15に示すようにコンセントモジュール10の筐体11とほぼ共通の外形及び寸法を有した箱形の筐体401内に、制御部410、無線通信部411、データ伝送部412などが収納されて構成される(図14参照)。
【0077】
無線通信部411は、ETC車載器の無線通信方式(振幅シフトキーイングを使ったDSRC<Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信>方式)によって無線通信を行い、ETC車載器から電気自動車のID情報(自動車登録番号)を取得して制御部410に出力する。
【0078】
制御部410は、マイクロコンピュータとその周辺回路(メモリやタイマなど)で構成され、無線通信部411から受け取る自動車登録番号と、メモリに記憶されている正規の自動車登録番号とを照合する。また、データ伝送部412は、電気錠30が準拠しているデータ伝送規格(例えば、RS-485など)に準拠してデータ伝送を行う。
【0079】
一方、認証制御モジュール400の筐体401は、その背面に電源ケーブル用の端子台(図示せず)とデータ伝送路(通信ケーブル)用の端子台(図示せず)が設けられ、前面には無線通信部411のアンテナ411Aが設けられている。
【0080】
次に、認証制御モジュール400の動作(機能)を詳しく説明する。電気自動車が駐車スペースに駐車されると、無線通信部411が当該電気自動車に搭載されているETC車載器から無線通信によって自動車登録番号を取得し、取得した当該自動車登録番号を制御部410に渡す。制御部410は、無線通信部411で取得された自動車登録番号とメモリに記憶している正規の自動車登録番号を照合し、正規の自動車登録番号に一致すれば、認証可と判断して電気錠30を解錠するためのコマンドを作成してデータ伝送部213から伝送させる。一方、無線通信部411で取得された自動車登録番号が正規の自動車登録番号に一致しなければ、認証不可と判断して電気錠30を解錠するためのコマンドを作成しない。
【0081】
コンセントモジュール10では、前記コマンドを受け取った電気錠30が電磁ソレノイドを駆動して可動鉄心をケース31内に退避させることで解錠する。故に、利用者は扉13を開けて充電ケーブル90のプラグ91をコンセント20の差込口20Aに差込接続し、電気自動車を充電することができる。
【0082】
上述のように本実施形態の機能モジュール(認証制御モジュール400)では、正規の自動車登録番号を認証するとともに認証可である場合にコンセントモジュール10の電気錠30を制御して解錠させることができ、認証機能と電気錠30の制御機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することができる。しかも、実施形態2ではICカード(カードキー)を忘れたり、紛失することによって電気錠30が解錠できなくなる虞があるが、本実施形態では利用者がICカードなどの鍵の代わりとなるものを持つ必要がないので、電気錠30が解錠できなくなる虞はほとんどない。さらに、ナンバープレートの撮像画像から画像処理によって自動車登録番号を認識する場合と比較して、簡単且つ正確に自動車登録番号を取得することができる。
【0083】
なお、本実施形態の認証制御モジュール400においても、実施形態2,3と同様にネットワーク通信部が設けられ、ネットワーク通信部が管理センタとネットワーク通信することにより、管理センタで管理されている正規の自動車登録番号を認証制御モジュール400の制御部410で取得することも可能である。
【0084】
(実施形態5)
本実施形態の機能モジュールは、コンセントモジュール10のコンセント20から給電される電力で電気自動車を充電する利用者から当該充電に要した電力の料金を徴収するための電力料金徴収手段を有した料金徴収(料金決済)モジュール500である。但し、スタンド本体1やコンセントモジュール10の構成は実施形態2と共通であるから、図示並びに説明は省略する。
【0085】
この料金徴収モジュール500は、図17に示すようにコンセントモジュール10の筐体11とほぼ共通の外形及び寸法を有した箱形の筐体501内に、制御部510、カード情報取得部511、ネットワーク通信部512、データ伝送部513などが収納されて構成される(図16参照)。
【0086】
カード情報取得部511は、クレジットカードからカード番号やカード契約者などのカード情報を読み取るとともに、読み取ったカード情報を制御部510に出力する。但し、カード情報取得部511は、クレジットカードの磁気記録部(磁気ストライプ)からカード情報を読み取る読取装置と、クレジットカード(ICカード)のICチップからカード情報を読み取る読取装置とを双方とも具備することが望ましい。
【0087】
ネットワーク通信部512は、インターネットや公衆電話回線網などのネットワークを介してデータ通信を行うためのモデムである。制御部510は、マイクロコンピュータとその周辺回路(メモリやタイマなど)で構成され、カード情報取得部511から受け取るカード情報を用いて電気料金の徴収(決済)を行う。また、データ伝送部513は、電気錠30が準拠しているデータ伝送規格(例えば、RS-485など)に準拠してデータ伝送を行う。
【0088】
一方、料金徴収モジュール500の筐体501は、その背面に電源ケーブル用の端子台(図示せず)とデータ伝送路(通信ケーブル)用の端子台(図示せず)とネットワーク通信用の端子台(図示せず)が設けられ、前面にはカード情報取得部511のカード挿入口511Aが設けられている。
【0089】
次に、料金徴収モジュール500の動作(機能)を詳しく説明する。電気自動車の充電が終了した後、利用者が自己のクレジットカードをカード挿入口511Aに挿入すると、カード情報取得部511が当該クレジットカードからカード情報を取得して制御部510に出力する。一方、制御部510は、データ伝送部513からコマンドを送信してコンセントモジュール10から充電に使用された電力量(積算電力量)の計測値を取得するとともに、取得した電力量に対応する電気料金を算出する。さらに制御部510は、算出した電気料金の値と、カード情報取得部511から受け取ったカード情報とを暗号化した上でネットワーク通信部512から当該クレジットカードの発行元(クレジットカード会社)のサーバに送信させる。
【0090】
クレジットカード会社のサーバでは、料金徴収モジュール500から受け取ったカード情報を、データベースに登録されているカード契約者のカード情報と照合し、カード契約者のカード情報に一致すれば、料金徴収モジュール500から受け取った電気料金を当該カード情報が一致した(認証された)クレジットカードで決済する。一方、カード契約者のカード情報に一致しなければ、サーバはクレジットカードでの決済を行わない。そして、クレジットカード会社のサーバは、クレジットカードによる決済(料金徴収)の結果(既済又は未済)をネットワーク経由で料金徴収モジュール500に返信する。サーバから返信された決済(料金徴収)の結果は、ネットワーク通信部512で受信されて制御部510に渡される。
【0091】
制御部510は、ネットワーク通信部512を通じてクレジットカード会社のサーバから受け取った決済の結果が既済であれば、電気錠30を解錠するためのコマンドを作成してデータ伝送部213から伝送させる。一方、決済の結果が未済であれば、制御部510は電気錠30を解錠するためのコマンドを作成しない。
【0092】
コンセントモジュール10では、前記コマンドを受け取った電気錠30が電磁ソレノイドを駆動して可動鉄心をケース31内に退避させることで解錠する。故に、利用者は扉13を開けて充電ケーブル90のプラグ91をコンセント20の差込口20Aから引き抜くことができる。
【0093】
上述のように本実施形態の機能モジュール(料金徴収モジュール500)では、コンセントモジュール10のコンセント20から給電される電力で電気自動車を充電した利用者から当該充電に要した電気料金を徴収することができ、電気料金の徴収機能の追加に必要な費用及び手間を軽減することができる。
【0094】
なお、電気料金の徴収は必ずしもクレジットカード決済で行われる必要は無く、現金(硬貨及び紙幣)で決済されても構わない。例えば、図18に示すようにカード情報取得部511に代えて現金計数部514を料金徴収モジュール500に備え、筐体501前面に設けられる現金投入口に投入される紙幣(又は紙幣と硬貨)を現金計数部514で計数し、制御部510にて決済するようにしても構わない。
【0095】
あるいは、コンセントモジュール10に電気料金徴収手段を設けてもよい。例えば、図19に示すように、コインロッカーに用いられるコイン式の錠ユニット40が筐体11に設置され、錠ユニット40の硬貨投入口41から電気料金分の硬貨が投入されたときに錠ユニット40が解錠するようにすればよい。但し、このようなコイン式の錠ユニット40では定額の料金しか徴収できないので、1回の充電における電気料金が定額に設定されることが必要である。
【0096】
(実施形態6)
ところで、コンセントモジュール10のコンセント20へのプラグ91の抜き差しが繰り返されるうちに、コンセント20の刃受が劣化してプラグ91の保持力が低下する虞がある。また、コンセントカバー12Cの開閉が繰り返されるうちに、コンセントカバー12Cを弾性付勢しているねじりコイルばねが劣化してコンセントカバー12Cが閉位置に復帰しなくなる虞がある。したがって、コンセントモジュール10のコンセント20やコンセントカバー12Cなどは、例えば、使用回数(挿抜回数や開閉回数)が規定値に達したら補修(メンテナンス)作業が必要である。
【0097】
そこで本実施形態では、コンセントモジュール10のコンセント20に対して充電ケーブル90のプラグ91が挿抜された回数を計数し、且つ挿抜回数が所定の上限値を超えたらメンテナンスが必要であることを報知するための報知手段を有する機能モジュール(メンテナンス報知モジュール)600をスタンド本体1の収納スペースに収納している。
【0098】
メンテナンス報知モジュール600は、図21に示すようにコンセントモジュール10の筐体11とほぼ共通の外形及び寸法を有した箱形の筐体601内に、制御部610、報知部611、データ伝送部612などが収納されて構成される(図20参照)。報知部611は、発光素子(発光ダイオード)と、発光素子を発光させる発光回路とを有し、筐体601前面に設けられた窓孔602を通して発光素子の発する光が筐体601の前方に照射される。
【0099】
制御部610は、マイクロコンピュータとその周辺回路(メモリやタイマなど)で構成され、コンセント20に対するプラグ91の挿抜回数を計数し、且つ挿抜回数が上限値に達したら報知部611を制御して発光素子を発光させることでメンテナンス作業が必要であることを報知する。またデータ伝送部612は、後述するコンセントモジュール10の出力回路51から出力される伝送信号を受信する。
【0100】
ところで、メンテナンス報知モジュール600の制御部610がプラグ91の挿抜回数を計数するために、市販のリミットスイッチ50とリミットスイッチ50のオン・オフ状態をデータ伝送部612に出力(送信)する出力回路51とがコンセントモジュール10のコンセントブロック12に設けられている(図22参照)。つまり、コンセント20にプラグ91が接続されるとリミットスイッチ50がオンとなり、コンセント20からプラグ91が抜かれるとリミットスイッチ50がオフとなるので、出力回路51から出力されるオン・オフの状態に基づいて制御部610で挿抜回数を計数できる。
【0101】
而して、コンセントモジュール10のコンセント20に対するプラグ91の挿抜回数が上限値を超えると、メンテナンス報知モジュール600の制御部610が報知部611の発光素子を発光させてメンテナンス作業が必要であることを報知する。つまり、本実施形態のメンテナンス報知モジュール600によれば、充電スタンドを管理する管理者に対してコンセントモジュール10のメンテナンス作業が必要になったことを自動的に報知できる。その結果、メンテナンス作業がされないままでコンセントモジュール10が使用され続けることを防ぐことができる。
【0102】
なお、これまで説明した実施形態1〜6では、箱形の筐体11内にコンセント20を収納したコンセントモジュール10をスタンド本体1内に収納する構成を例示したが、コンセントをスタンド本体1と一体に構成し、機能モジュールのみを収納スペースに収納する構成としても構わない。さらに、本実施形態ではコンセントモジュール10がスタンド本体1の収納スペースにおける最上段の位置に収納され、機能モジュールが収納スペースの上から2段目以下の位置に収納される場合を例示したが、機能モジュールが収納スペースの最上段の位置に収納されても構わない。
【符号の説明】
【0103】
1 スタンド本体(充電装置本体)
10 コンセントモジュール
11 筐体
100 表示モジュール(機能モジュール)
101 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置本体内にコンセントを収納してなる電気自動車用充電装置に用いられ、所望の機能を実現するための手段が箱形の筐体内に収納されてなり、前記充電装置本体が有する収納スペースに収納されることを特徴とする電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項2】
前記手段は、予め登録されている特定の利用者又は電気自動車を認証するための認証手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項3】
前記コンセントが収納される空間の開口を開閉自在に塞ぐ扉と、当該扉を施錠するための電気錠とが前記電気自動車用充電装置に設けられており、前記手段は、当該電気錠を制御して施錠及び解錠するための電気錠制御手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項4】
前記手段は、前記コンセントから給電される電力で電気自動車を充電する利用者から当該充電に要した電力の料金を徴収するための電力料金徴収手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項5】
前記手段は、電気自動車に搭載されている電子制御ユニットとの間でデータ通信を行うための通信手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項6】
前記手段は、電気自動車に搭載されている自動料金収受システム用の車載器との間でデータ通信を行うための通信手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項7】
前記手段は、ナンバープレートに表示されている自動車登録番号を認識するための認識手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項8】
前記手段は、前記コンセントから電気自動車への給電の入切を制御するための制御手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項9】
前記手段は、電気自動車の充電に関わる種々の情報を表示するための表示手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項10】
前記表示手段は、前記コンセントから給電されて充電している電気自動車の充電が完了する時刻を表示することを特徴とする請求項9記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項11】
前記手段は、前記コンセントから電気自動車に給電される電流又は電力又は時間の少なくとも何れか1つを計測するための計測手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項12】
前記手段は、任意の通信端末との間で無線通信を行うための無線通信手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項13】
前記手段は、前記コンセントに対して充電ケーブルのプラグが挿抜された回数を計数し、且つ当該回数が所定の上限値を超えたらメンテナンスが必要であることを報知するための報知手段であることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項14】
前記コンセントが箱形の筐体内に収納されてなるコンセントモジュールが収納される前記充電装置本体の収納スペースに収納されることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の電気自動車用充電装置の機能モジュール。
【請求項15】
請求項1〜14の少なくとも何れか1つの機能モジュールと、コンセントと、当該コンセントを収納する充電装置本体とを備え、当該充電装置本体が有する収納スペースに前記機能モジュールが収納されてなることを特徴とする電気自動車用充電装置。
【請求項16】
前記コンセントが箱形の筐体内に収納されてなるコンセントモジュールを有し、当該コンセントモジュールが前記機能モジュールとともに前記充電装置本体の収納スペースに収納されてなることを特徴とする請求項14記載の電気自動車用充電装置。
【請求項17】
前記コンセントが箱形の筐体内に収納されてなるコンセントモジュールを有し、前記機能モジュールが、前記充電装置本体の前記コンセントモジュールが収納される収納スペースに収納されてなることを特徴とする請求項14記載の電気自動車用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−105374(P2012−105374A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248958(P2010−248958)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】