説明

電気融着継手の接合用治具

【課題】構造が簡単で、かつ、施工現場において使い勝手に優れた、電気融着継手を用いて樹脂管を融着接合する際に用いられる接合用治具を提供する。
【解決手段】底板部2と、底板部に立設された側壁部と、を有する箱体1aを備え、側壁部は、一方の相対する側壁3a,3bと、他方の相対する側壁4a,4bと、で構成され、一方の相対する側壁の高さが、他方の相対する側壁の高さより低く形成されており、一方の相対する側壁の一方の側壁の上部には、一方の樹脂管の略半円部分を収納して載置する第1載置部5aが形成され、他方の側壁の上部には、他方の樹脂管を収納して載置する第2載置部5bが形成され、第1載置部に載置された一方の樹脂管の残りの略半円部分を収納する凹部21が形成されている第1仕切板20と、第2載置部に載置された他方の樹脂管の残りの略半円部分を収納する凹部31が形成されている第2仕切板30と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン管等の樹脂管を接合する際に使用される電気融着継手の接合用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気融着継手を用いて樹脂管を接合する際は、樹脂管の外径より僅かに大きな内径を有し、かつ、所定の長さの貫通孔を有する電気融着継手が採用される。そして、電気融着継手の貫通孔の一方側から一方の樹脂管が挿入されると共に、他方側から他方の樹脂管が挿入される。次いで、電気融着継手内に埋設されているコイルに通電されて電気融着継手が発熱され、この発熱により電気融着継手と両方の樹脂管とがそれぞれ融着される。これにより両樹脂管は電気融着継手を介して接合される。
【0003】
また、地中に敷設される樹脂管を電気融着継手を介して接合する際、その接合施工は、地中に掘削された地面より低い場所、すなわち、地下水等の水分が多い溝内で行われる。このため、樹脂管と電気融着継手との間に地下水等の水分が浸入し易く、水分が樹脂管と電気融着継手との間に浸入すると所定の融着強度が得られなくなるという不都合が発生してしまう。このような不都合を回避するために、電気融着継手部分を水密的に覆うことのできる電気融着継手の接合用治具が提案されている(特許文献1参照)。この接合用治具は、電気融着継手の設けられている箇所を筒体で覆うとともに、その筒体の両側の箇所で樹脂管に水密的にそれぞれ保持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−217885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電気融着継手の接合用治具は、電気融着継手を覆う筒体がその筒体の軸心方向で分割されるヒンジ機構を含んで構成されているため、水密性を保つために高度の製造技術を必要としていた。また、施工現場においては、接合用治具の両側が樹脂管に水密的に保持されるように慎重に施工する必要があった。このため、構造が簡単で、かつ、施工現場において簡単に使用できる電気融着継手の接合用治具が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で容易に製造でき、かつ、施工現場において使い勝手に優れた電気融着継手の接合用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の電気融着継手の接合用治具は、電気融着継手に設けられている貫通孔の一方側から一方の樹脂管の端部を挿入すると共に、前記貫通孔の他方側から他方の樹脂管の端部を挿入して融着させる際に用いられる電気融着継手の接合用治具であって、底板部と、該底板部に立設された側壁部と、を有する箱体を備え、前記側壁部は、前記樹脂管が配されたときの該樹脂管の軸線方向と直交する方向に設けられた一方の相対する側壁と、前記樹脂管の軸線方向に沿う方向に設けられた他方の相対する側壁と、で構成され、前記一方の相対する側壁の高さが、前記他方の相対する側壁の高さより低く形成されており、前記一方の相対する側壁の一方の側壁の上部には、前記一方の樹脂管の略半円部分を収納して載置する第1載置部が形成され、前記一方の相対する側壁の他方の側壁の上部には、前記他方の樹脂管の略半円部分を収納して載置する第2載置部が形成され、前記第1載置部が形成されている前記一方の側壁の上方に着脱自在に設けられるとともに、前記第1載置部に載置された前記一方の樹脂管の残りの略半円部分を収納する凹部が形成されている第1仕切板と、前記第2載置部が形成されている前記他方の側壁の上方に着脱自在に設けられるとともに、前記第2載置部に載置された前記他方の樹脂管の残りの略半円部分を収納する凹部が形成されている第2仕切板と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の電気融着継手の接合用治具は、前記第1載置部に前記一方の樹脂管が載置されていないときに、前記第1載置部が形成されている前記一方の側壁の上方に着脱自在に設けられ、または、前記第2載置部に前記他方の樹脂管が載置されていないときに、前記第2載置部が形成されている前記他方の側壁の上方に着脱自在に設けられ、前記第1載置部又は前記第2載置部を閉止する凸部が形成された第3仕切板を備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の電気融着継手の接合用治具は、前記箱体に、取っ手が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の電気融着継手の接合用治具は、前記箱体が、前記樹脂管の軸線方向に沿う方向にスライド可能に分割されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気融着継手の接合用治具は、内部が水密性に優れている箱体からなるため、その箱体外に地下水や泥水等の水分が存在していても、その箱体内に配置される樹脂管と電気融着継手との間に水分が浸入するおそれがなく、所定の融着強度を得ることができる。また、上記構成からなる電気融着継手の接合用治具は、構造が簡単な箱体からなるため、安価に製造することができるとともに、取り扱いが容易で施工現場において使い勝手に優れたものとすることができる。
また、本発明に係る電気融着継手の接合用治具は、第1載置部又は第2載置部を閉止する凸部を有する第3仕切板を用いると、箱体内の水密性をより高めることができる。
さらに、本発明に係る電気融着継手の接合用治具は、取っ手を備えることにより、箱体の持ち運びを容易にすることができる。
そして、本発明に係る電気融着継手の接合用治具は、箱体が前記樹脂管の軸線方向に沿う方向にスライド可能に分割されていることにより、樹脂管や電気融着継手の軸方向の長さに影響されることがないため、施工現場においてさらに使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は箱体の平面図、(b)はその正面図、(c)はその右側面図、(d)は第1仕切板の正面図、(e)は第2仕切板の正面図、(f)は第3仕切板の正面図である。
【図2】地中に敷設される樹脂管を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電気融着継手の接合用治具を用いた施工例を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電気融着継手の接合用治具を用いた施工例を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電気融着継手の接合用治具を用いた施工例を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る電気融着継手の接合用治具を用いた施工例を示す斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る電気融着継手の接合用治具を用いた樹脂管接合の施工例を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る電気融着継手の接合用治具を用いた施工例を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る電気融着継手の接合用治具を用いた施工例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る電気融着継手の接合用治具の一実施形態について図面を用いて説明する。図1に示すように、この電気融着継手の接合用治具10(図3参照)は、箱体1a、第1仕切板20、第2仕切板30及び第3仕切板40から構成されている。
【0014】
箱体1aは、図1(a)〜(c)に示されるように、有底で、かつ、上面が開口し、一方の相対する側壁4a,4bの高さが、他方の相対する側壁3a,3bの高さより低く形成されており、外形形状は略直方体に形成されている。すなわち、この箱体1aは、耐水性を有する材質、例えば金属製又は合成樹脂製からなり、その容積は、後述する接合される樹脂管の一部及び電気融着継手を十分に収容できる大きさに形成されている。
【0015】
箱体1aは長方形状の底板(底板部)2を有していて、その底板2の一対の長辺側には、相対する一対の側壁3a,3bが立設されているとともに、その底板2の一対の短辺側には、相対する一対の側壁4a,4bが立設されている。短辺側に設けられる側壁4a,4bの高さは、長辺側に設けられる側壁3a,3bの高さより低く形成されている。図示の例では、短辺側に設けられる側壁4a,4bの高さは、長辺側に設けられる側壁3a,3bの高さの約半分に形成されている。
【0016】
側壁4aの上辺中央部、すなわち、低く形成された相対する側壁の一方の側壁4aの上辺中央部には、接合される一方の樹脂管P1(図5参照)の下方の略半分(半円部分)を収納して載置する凹状の第1載置部5aが形成されている。また、側壁4bの上辺中央部、すなわち、低く形成された相対する側壁の他方の側壁4bの上辺中央部には、接合される他方の樹脂管P2(図5参照)の下方の略半分(半円部分)を収納して載置する凹状の第2載置部5bが形成されている。これら第1載置部5a及び第2載置部5bの形状は、載置される樹脂管径を考慮して決められ、第1載置部5a及び第2載置部5bに載置された樹脂管との間に隙間が生じないように、つまり、第1載置部5a及び第2載置部5bから箱体1a内に水が入り込まないように水密性を保持できるように配慮されている。
【0017】
側壁3aの上辺中央部には取っ手6aが設けられているとともに、側壁3bの上辺中央部には取っ手6bが設けられている。すなわち、これら取っ手6a,6bは、高さの高い方の側壁3a,3bの上辺中央部にそれぞれ設けられていて、作業員が箱体1aを持ち運びし易いように工夫されている。
【0018】
図1(d)に示すように、第1仕切板20は、箱体1aとは別に用意され、高さの低い方の側壁4aの上方で、箱体1aに設けられているレール状の案内部材7に案内されて上下方向に移動自在に設けられている。この第1仕切板20は、高さの低い方の側壁4aが高さの高い方の側壁3aと同じ高さになるまでその低い方の側壁4aを補完するように形成されている。そして、この第1仕切板20の下辺中央部には凹部21が形成されている。すなわち、この凹部21は、第1仕切板20が側壁4aの上方に配されたときに、その側壁4aに形成されている第1載置部5aと対向する位置に形成され、第1載置部5aと凹部21とで樹脂管P1の周面全体を覆うことができるように構成されている。この第1仕切板20においても、箱体1aに装着されたときに隙間から水が箱内に浸入しないように水密性を保持できるように配慮されている。また、この第1仕切板20の上辺中央部には、取っ手22が設けられていて、第1仕切板20の箱体1aに対する着脱が容易にできるように構成されている。
【0019】
図1(e)に示すように、第2仕切板30は、上記第1仕切板20と同様に箱体1aとは別に用意され、高さの低い方の側壁4bの上方で、箱体1aに設けられているレール状の案内部材7に案内されて上下方向に移動自在に設けられている。この第2仕切板30は、高さの低い方の側壁4bが高さの高い方の側壁3bと同じ高さになるまでその低い方の側壁4bを補完するように形成されている。そして、この第2仕切板30の下辺中央部には凹部31が形成されている。すなわち、この凹部31は、第2仕切板30が側壁4bの上方に配されたときに、その側壁4bに形成されている第2載置部5bと対向する位置に形成され、第2載置部5bと凹部31とで樹脂管の周面全体を覆うことができるように構成されている。この第2仕切板30においても、箱体1aに装着されたときに隙間から水が箱内に浸入しないように水密性を保持できるように配慮されている。また、この第2仕切板30の上辺中央部には、取っ手32が設けられていて、第2仕切板30の箱体1aに対する着脱が容易にできるように構成されている。
【0020】
図1(f)に示すように、第3仕切板40は、上記第1仕切板20及び第2仕切板30と同様に箱体1aとは別に用意され、第1仕切板20又は第2仕切板30に代えて箱体1に装着できるように構成されている。すなわち、この第3仕切板40は、側壁4a又は側壁4bの上方で、箱体1aに設けられている案内部材7に案内されて上下方向に移動自在に設けられている。この第3仕切板40は、高さの低い方の側壁4a又は側壁4bが高さの高い方の側壁側壁4a又は4bと同じ高さになるまでその低い方の側壁4a又は側壁4bを補完するように形成されている。そして、この第3仕切板40の下辺中央部には凸部41が形成されている。
【0021】
この第3仕切板40の凸部41は、第3仕切板40が側壁4a又は側壁4bの上方に配されたときに、その側壁4a又は側壁4bに形成されている第1載置部5a又は第2載置部5bと対向する位置に形成され、第1載置部5a又は第2載置部5bを閉止することができるように構成されている。つまり、この第3仕切板40においても、箱体1aに装着されたときに隙間から水が箱体1a内に浸入しないように水密性を保持できるように配慮されている。また、この第3仕切板40の上辺中央部には、取っ手42が設けられていて、第3仕切板40の箱体1aに対する着脱が容易にできるように構成されている。
【0022】
次に、図2〜図6を用いて、上記構成からなる電気融着継手の接合用治具を用いた樹脂管の電気融着の施工例について説明する。ここでは、地中に掘られた溝G内において、2本のポリエチレン管(PE管)からなる樹脂管P1,P2を電気融着継手Jを介して融着接合する例を示す。
【0023】
まず、溝G内の樹脂管P1,P2の接合箇所に箱体1aを用意する。そして、その箱体1aの一方の載置部に当たる第1載置部5aに、一方の樹脂管に当たる樹脂管P1の先端が箱体1aの長手方向の略中央に位置するように載置する(図3参照)。このとき、他方の載置部に当たる第2載置部5bは第3仕切板40で閉止されている。なお、先に第2載置部5bに樹脂管P2が載置されるときは、第1載置部5aを第3仕切板40で閉止する。
【0024】
第1載置部5aに、樹脂管P1が載置された後、第1載置部5aの上方に第1仕切板20を装着するとともに、樹脂管P1の先端に電気融着継手Jを挿入する(図4参照)。この電気融着継手Jは、樹脂管を融着接合する際に用いられる周知のもので、樹脂管の外形より僅かに大きな貫通孔を有し、内部にコイルを埋設して構成されている。
【0025】
樹脂管P1の先端に電気融着継手Jが挿入された後、第3仕切板40を箱体1aから外す。その後、第2載置部5bに、他方の樹脂管に当たる樹脂管P2を載置し(図5参照)、第2載置部5bの上方に第2仕切板30を装着する(図6参照)。
【0026】
上述のようにして箱体1a内に接合される2本の樹脂管P1,P2がセットされた後、樹脂管P1に挿入されていた電気融着継手Jを樹脂管P2方向に僅かに移動し、樹脂管P1,P2の接合箇所が電気融着継手Jに設けられている貫通孔の中心位置となるように調整する(図6の矢印参照)。
【0027】
樹脂管P1,P2の接合箇所が貫通孔の中心位置となるように調整した後、電気融着継手Jに設けられている端子を介してコイルに電流を印加する。これにより、電気融着継手Jを介して樹脂管P1及び樹脂管P2が融着される。融着終了後、第1仕切板20及び第2仕切板30を箱体1aから外し、次いで、箱体1aを樹脂管P1及び樹脂管P2から外すことで、樹脂管P1,P2の接合作業は終了となる。
【0028】
上記構成からなる電気融着継手の接合用治具10は、内部が水密性に優れている箱体1aを備えているため、その箱体1a外に地下水や泥水等の水分が存在していても、その箱体1a内に配置される樹脂管P1,P2と電気融着継手Jとの間に水分が浸入するおそれがなく、所定の融着強度を得ることができる。また、上記構成からなる電気融着継手の接合用治具10は、構造が簡単な箱体1aで構成されるため、安価に製造することができるとともに、取り扱いが容易で施工現場において使い勝手に優れたものとすることができる。
【0029】
図7〜図9は、本発明に係る電気融着継手の接合用治具の他の実施形態を示している。この実施形態に係る接合用治具11は、上記実施実施形態に係る箱体1aが一つの箱体からなるのに対して、箱体の長手方向の中央部で2分割された分割箱体1b1,1b2からなる箱体1bで構成されている。
【0030】
箱体1bを図7を用いて説明すると、この2分割された分割箱体1b1,1b2からなる箱体1bは、低く形成された相対する側壁4a,4b方向側(樹脂管P1,P2の軸線方向)に向けてスライドするように構成されている。すなわち、2分割された分割箱体1b1,1b2のうちの一方の分割箱体(図示の例では1b2)の一部が他方の分割箱体(図示の例では1b1)内に出入自在に構成されている。このため、分割箱体1b2の側壁3a2,3b2の内側には、分割箱体1b1の側壁3a1,3b1の内側に水密的に摺動する補助壁3a3,3b3が設けられているとともに、分割箱体1b2の底板2bは、分割箱体1b1の底板2a上に水密的に摺動するように構成されている。また、この2分割された分割箱体1b1,1b2にも、取っ手6a,6b,6c,6dがそれぞれ設けられていて、持ち運びし易いように工夫されている。
【0031】
次に、図7〜図9を用いて、上記構成からなる電気融着継手の接合用治具11を用いた樹脂管P1,P2の電気融着の施工例について説明する。ここで、分割箱体1b1の第1載置部5aに樹脂管P1がセットされるまでの工程は、上記実施形態の図2及び図3を用いた説明と同じであるため、分割箱体1b2の第2載置部5bに樹脂管P2がセットされるところから説明する。なお、この状態において、2分割された分割箱体1b1,1b2は、最も離れた状態に保たれている(図7及び図8参照。)。
【0032】
第1載置部5aに、樹脂管P1が載置された後、第1載置部5aの上方には、第1仕切板20が装着されるとともに、第2載置部5bに、樹脂管P2が載置された後、第2載置部5bの上方には、第2仕切板30が装着される(図7参照。第2仕切板30の装着については図8参照。)。この状態における箱体1b内の樹脂管P1,P2の間隔は、その間隔に電気融着継手Jが入ることができるように保たれている。
【0033】
上述のようにして箱体1b内に接合される2本の樹脂管P1,P2がセットされた後、一方の樹脂管(図示の例ではP1)に電気融着継手Jが挿入され、樹脂管P1の端部が電気融着継手Jに設けられている貫通孔の中心位置となるように調整される(図8参照)。次いで、分割箱体1b2が分割箱体1b1側にスライドされ、樹脂管P1,P2の接合箇所が貫通孔の中心位置となるように調整される(図9の矢印参照)。
【0034】
樹脂管P1,P2の接合箇所が貫通孔の中心位置となるように調整された後、電気融着継手Jに設けられている端子を介してコイルに電流が印加される。これにより、電気融着継手Jを介して樹脂管P1及び樹脂管P2が融着される。融着終了後、第1仕切板20及び第2仕切板30が箱体1bから外され、次いで、箱体1bが樹脂管P1及び樹脂管P2から外されて樹脂管P1,P2の接合作業は終了となる。
【0035】
上記構成からなる電気融着継手の接合用治具11においても、内部が水密性に優れている箱体1bからなるので、その箱体1b外に地下水や泥水等の水が存在していても、その箱体1b内に配置される樹脂管P1,P2と電気融着継手Jとの間に水分が浸入するおそれがなく、所定の融着強度を得ることができる。また、上記構成からなる電気融着継手の接合用治具においても、構造が簡単な箱体1bで構成されるため、安価に製造することができるとともに、2分割された分割箱体1b1,1b2の一方側を移動することができるため、樹脂管P1,P2や電気融着継手Jの軸方向の長さに影響されることがなく、施工現場においてさらに使い勝手に優れたものとすることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1a,1b…箱体 1b1,1b2…分割箱体 2…底板(底板部) 2a,2b…底板(底板部) 3a,3b…側壁(側壁部) 3a1,3b1、3a2,3b2…側壁(側壁部) 4a,4b…側壁(側壁部) 5a…第1載置部 5b…第2載置部 6a,6b…取っ手 6c,6d…取っ手 10,11…接合用治具 20…第1仕切板 30…第2仕切板 40…第3仕切板 J…電気融着継手 P1,P2…樹脂管



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気融着継手に設けられている貫通孔の一方側から一方の樹脂管の端部を挿入すると共に、前記貫通孔の他方側から他方の樹脂管の端部を挿入して融着させる際に用いられる電気融着継手の接合用治具であって、
底板部と、該底板部に立設された側壁部と、を有する箱体を備え、
前記側壁部は、前記樹脂管が配されたときの該樹脂管の軸線方向と直交する方向に設けられた一方の相対する側壁と、前記樹脂管の軸線方向に沿う方向に設けられた他方の相対する側壁と、で構成され、
前記一方の相対する側壁の高さが、前記他方の相対する側壁の高さより低く形成されており、
前記一方の相対する側壁の一方の側壁の上部には、前記一方の樹脂管の略半円部分を収納して載置する第1載置部が形成され、
前記一方の相対する側壁の他方の側壁の上部には、前記他方の樹脂管の略半円部分を収納して載置する第2載置部が形成され、
前記第1載置部が形成されている前記一方の側壁の上方に着脱自在に設けられるとともに、前記第1載置部に載置された前記一方の樹脂管の残りの略半円部分を収納する凹部が形成されている第1仕切板と、
前記第2載置部が形成されている前記他方の側壁の上方に着脱自在に設けられるとともに、前記第2載置部に載置された前記他方の樹脂管の残りの略半円部分を収納する凹部が形成されている第2仕切板と、を有することを特徴とする電気融着継手の接合用治具。
【請求項2】
前記第1載置部に前記一方の樹脂管が載置されていないときに、前記第1載置部が形成されている前記一方の側壁の上方に着脱自在に設けられ、または、前記第2載置部に前記他方の樹脂管が載置されていないときに、前記第2載置部が形成されている前記他方の側壁の上方に着脱自在に設けられ、前記第1載置部又は前記第2載置部を閉止する凸部が形成された第3仕切板を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気融着継手の接合用治具。
【請求項3】
前記箱体に、取っ手が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気融着継手の接合用治具。
【請求項4】
前記箱体が、前記樹脂管の軸線方向に沿う方向にスライド可能に分割されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気融着継手の接合用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−76426(P2013−76426A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215051(P2011−215051)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】