説明

電気表示装置

【課題】小型化が可能で、かつ、光源の耐湿性を向上させたフロントライトユニットを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電気的な書き込みが可能な表示素子と、表示素子の視認側の面を覆う上面保護フィルム15と、表示素子の背後側の面を覆う下面保護フィルム9とを有し、上面保護フィルム15と下面保護フィルム9との端部を圧着することによって表示素子を内包した電気表示装置1において、上面保護フィルム15と表示素子との間に、導光シート13とLED素子14とが配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を備えた電気的な書き込みが可能な電気表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的な書き込みが可能な表示装置としては、種々なものが知られているが、ひとつの例として、フレキシブルな基板を用いた表示装置について説明する。近年、電気泳動粒子を用いたフレキシブルな電気泳動型の表示装置が知られている。電気泳動型の表示技術において、液相分散媒と電気泳動粒子とを含む電気泳動分散液をマイクロカプセルに封入し、多数のマイクロカプセルを、電極を有する2枚の樹脂フィルムに狭着したものが開発されている。電気泳動分散液をマイクロカプセルに封入することにより、表示装置の製造工程において分散液の流出を防止することが出来るとともに、電気泳動粒子の沈降や凝集を減少されることが出来るという利点がある。また、この電気泳動型表示装置は、反射型表示であるので、光源を備えなくとも、外光で認識できることから、低コスト化や薄型化が可能となり、さらに、視野が広くコントラストが高いことに加え、表示がメモリ性を有するために、次世代の表示デバイスとして注目を集めている。
【0003】
しかしながら、反射型の表示装置であるために、太陽光や蛍光灯などの外部からの光が照射されない夜間や暗闇などの暗所では、表示内容を視認することができない不都合がある。夜間や暗闇などの暗所で表示内容を視認するために、特許文献1にはフロントライトユニットを備えた電気泳動表示装置が提案されている。フロントライトユニットは導光シートと光源から成る。電気泳動表示装置の前面に導光シートが配されており、光源が導光シートの端部に配置されている。導光シートは入射された光が透過可能であると共に端部から入射された光を導光し散乱させて少なくとも電気泳動表示装置本体側に出射させることが出来る。そのため光源からの光を導光しつつ散乱させて電気泳動表示装置を前面側から照明し、その反射光を導光シートの裏面から表面に透過させることで、夜間や暗闇などの暗所であっても表示内容を視認することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−224900号公報(図1、3−4頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたフロントライトユニットを備えた表示装置では、フロントライトユニットが電気泳動表示装置の外部に設けられているために表示装置全体の外形が大きくなってしまう。更に光源が表示装置の外部に設けられているので、耐湿性に問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の技術の有する問題に鑑みてなされたものであり、小型化を図ることが可能で、かつ、光源の耐湿性を向上させたフロントライトユニットを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気的な書き込みが可能な表示素子と、表示素子の視認側の面を覆う上面保護フィルムと、表示素子の背後側の面を覆う下面保護フィルムとを有し、上面保護フィルムと下面保護フィルムとの端部を圧着することによって表示素子を内包した電気表示装置において、前記上面保護フィルムと前記表示素子との間に、フロントライトユニットが配
置されていることを特徴とする。また、フロントライトユニットは、導光シートと光源を備えることを特徴とする。また、表示素子を構成する一対の基板のうち、一方の基板は、透明基板であり、この透明基板が導光シートを兼ねていることを特徴とする。
【0008】
また、表示素子を構成する一対の基板のうち、一方の基板は、回路基板であり、表示素子へ電圧を印加するための配線が回路基板に形成されており、かつ、フロントライトユニットへの電圧を印加するための配線も形成されていることを特徴とする。また、表示素子は、電気泳動表示素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フロントライトユニットを備えた電気表示装置において、光源と導光シートと表示素子を内包することが出来るので、外形を小さくし、厚みを薄くすることが出来るので、小型化を図ることが可能である。更に、光源を電気表示装置内に設置されているため、光源の耐湿性が向上し、光源の配線部の腐食等が発生し難くなり、信頼性が向上した電気表示装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の電極と配線を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
〔実施例1〕図1は、電気表示装置として電気泳動表示素子を用いた場合の模式断面図であり、図2は正面図である。図1は図2のA−A´断面図である。図1において、電気表示装置1は、一対の基板の電極間に印加される電圧の極性に応じて帯電粒子が電気泳動により移動する電気泳動型表示素子を用いている。ここで、一対の基板の一方は、透明な樹脂基板2であり、裏面全体にはITO(酸化インジューム錫)膜による透明な共通電極3が形成されている。他方の基板である回路基板は、フレキシブルプリント基板(以下FPCと略す)4であり、共通電極3に対向する面に画素毎のセグメント電極5が形成される。
【0013】
一対の基板間には、電子インクとも称されるマイクロカプセル表示層6があり、共通電極3とセグメント電極5の間に形成される。このマイクロカプセル表示層6は、バインダや界面活性剤、増粘剤、純水等の混合体中に直径が数十μm程度の微小なマイクロカプセル7が多数分散している。すなわち、表示素子は、透明な樹脂基板2とFPC4が一対の基板として配設され、その対向面の一方に共通電極3が形成され、他方の面にセグメント電極5が形成され、その間にマイクロカプセル7が封入された構造である。
【0014】
また、表示素子の上側には、透明基材の表面にフッ素系物質や酸化物をコートしたフィルム、あるいは、透明基材の間にフッ素系物質や酸化物を挟んだフィルムよりなる透明な上面保護フィルム15を配置する。この上面保護フィルム15と、アルミ箔を樹脂等に接着した下面保護フィルム9とを接着剤等で、それぞれ樹脂基板2とFPC4に貼り付け、表示素子として一体化している。また、FPC4は、下面保護フィルム9から外側に延出した接続部4aを有しており、この接続部4aには、表示素子を駆動する駆動手段としての駆動IC11が実装され、また、接続部4aの表示面側には、光源としてLED素子1
4が実装されている。このLED素子14の発光側で、かつ樹脂基板2の上には、透明な導光シート13が備えられている。このLED素子14と導光シート13がフロントライトユニットである。
【0015】
また、図2に図示するように、表示素子の透明基板2の一部は凹状にカットされている凹部25を2箇所に設け、それぞれの凹部25に、合計2個のLED素子14を配置している。凹部25に光源を設置することで、表示素子全体に光を導光することが出来る。
【0016】
また、接続部4aの先端には、外部から電源や表示情報、及びLED素子への印加電圧を入力する接続端子12が形成される。これにより、電気表示装置1は外部から電源と表示情報を入力し、表示素子に様々の情報の表示と、光源であるLED素子14の発光制御を行うことが出来る。また、駆動IC11がFPC4に実装され一体化しているので、小型で取り扱いが容易な表示装置を提供することが出来る。
【0017】
また、光源(LED素子14)と表示素子、及び導光シート13とを挟み込むように上面保護フィルム15と下面保護フィルム9でラミネートして、各々のフィルム端部の周囲を圧着して接着させる。このようにすることで光源(LED素子14)と導光シート13とを内包した電気表示装置1が作製される。このとき、図1では、便宜上、光源(LED素子14)の厚みが表示素子と導光シート13との厚みより大きく図示されているが、実際には、表示素子と導光シート13との厚みと同じか、それよりも薄いものを使用するのが好ましい。これは、上面保護フィルム15と下面保護フィルム9でラミネートする際に光源(LED素子14)に過剰な圧力がかかり、光源が破損する恐れがあるためである。
【0018】
光源(LED素子14)が導光シート13に向かって発光すると、光は導光シート内を導光しつつ散乱させて表示素子を前面側から照明し、そして表示素子で反射した反射光が再度導光シート13の裏面から入射して前面側へ透過して、電気表示装置の夜間や暗闇などの暗所での視認を可能とする。
【0019】
また、図2に示すように表示素子は表示エリア23を有し、表示エリア23内には、前述したセグメント電極5によって形成される画素24が配設されている。この画素24は、図示するような数字や任意のマークの他、ドットマトリクス状のパターンであっても良い。表示エリア23の画素24は、上面保護フィルム15と導光シート13を通して見ることが出来る。
【0020】
〔実施例2〕
図3は、別な実施例を示す断面図である。図3も図1と同様に、電気表示装置として電気泳動表示素子を用いた場合の模式断面図であり、正面図は図2に対応する。先の実施例と同じ構成物には同じ符号を付与している。本実施例と先の実施例との相違は、上面保護フィルム15と表示素子の透明な樹脂基板2との間に導光シートを設けず、表示素子の透明な樹脂基板2そのものが、導光シートの代わりとなり、光源からの光を導光している点である。このように樹脂基板2が透明で、かつ導光シートと同じ機能を有する場合には、導光シートを省くことができるので、電気表示装置全体を薄くすることが可能である。
【0021】
〔配線の構成〕
次に、表示素子へ電圧を印加するための配線とフロントライトユニットへの電圧を印加するための配線とについて、図4を用いて説明する。図4(a)は、FPC4と、FPC4上に配置した画素24のセグメント電極5とを模式的に示した平面図である。セグメント電極5は、図2に図示した画素24と同じ形状を有しているが、図4では、簡略化して正方形形状とし、数も少なく配置している。また、LED素子14と導通するためのLED用端子112が、LED素子14が実装される位置に形成されている。図2では、LE
D素子14を2つ実装した図を示したが、ここでは簡略して、1つのLED素子14と接続する図を示している。
【0022】
図4(b)に示すように、FPC4の裏面には、出力電極118とセグメント電極5とを接続する配線電極113、並びに、出力電極118と対向して配設された入力電極117と、入力電極117と接続するコネクタ電極116とが形成されている。以上の各電極には、それぞれ厚さ3μmのニッケルメッキと厚さ0.05μmの金メッキが施されている。配線電極113は、FPC4の開口部111を埋めるように配置され、セグメント電極5およびLED用端子112と各々導通している。また、FPC4の背面には、コネクタ電極116、入力電極117及び出力電極118を除いて配線電極113を保護するための厚さ25μmの感光性のアクリル系樹脂から成る保護層115が被覆されている。
【0023】
また、駆動IC11が、その突起電極と介して入力電極117と出力電極118とに接続されている。駆動IC11は、配線電極113を通して、表示素子のセグメント電極5に電圧を印加する。また、同様に駆動IC11は、配線電極113を通して、LED素子14に電圧を印加する。ここで、電圧印加を行う回路として、駆動IC11を例に示したが、外部回路と接続するフレキシブル回路基板を出力電極118と接続しても構わない。また、この配線の構成は、何れの実施例でも用いることが出来る。
【0024】
また、本実施の形態では、表示素子として電気泳動表示素子を用いた場合を説明したが、透明基板を有する表示素子ならば、いかなる表示素子であっても、同様な構成とすることができる。特に、表示素子を構成する基板が可撓性基板である場合には、特に効果が得られ、プラスチック基板を用いた液晶表示素子などには好適である。
【符号の説明】
【0025】
1 表示装置
2 樹脂基板
3 共通電極
4 FPC
5 セグメント電極
6 マイクロカプセル表示層
7 マイクロカプセル
9 下面保護フィルム
11 駆動IC
13 導光シート
14 LED素子
15 上面保護フィルム
23 表示エリア
24 画素
25 凹部
113 配線電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な書き込みが可能な表示素子と、前記表示素子の視認側の面を覆う上面保護フィルムと、前記表示素子の背後側の面を覆う下面保護フィルムとを有し、前記上面保護フィルムと前記下面保護フィルムとの端部を圧着することによって前記表示素子を内包した電気表示装置において、
前記上面保護フィルムと前記表示素子との間に、フロントライトユニットが配置されていることを特徴とする電気表示装置。
【請求項2】
前記フロントライトユニットは、導光シートと光源を備えることを特徴とする請求項1記載の電気表示装置。
【請求項3】
前記表示素子を構成する一対の基板のうち、一方の基板は、透明基板であり、該透明基板が前記導光シートを兼ねていることを特徴とする請求項2記載の電気表示装置。
【請求項4】
前記表示素子を構成する一対の基板のうち、一方の基板は、回路基板であり、前記表示素子へ電圧を印加するための配線が前記回路基板に形成されており、かつ、前記フロントライトユニットへの電圧を印加するための配線も形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電気表示装置。
【請求項5】
前記表示素子は、電気泳動表示素子であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電気表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−185350(P2012−185350A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48729(P2011−48729)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】