説明

電気設備等における電気的障害を緩和又は消去する装置又は方法

【課題】あらゆる電気設備等の回線や回路における電気的障害を緩和又は消去するため共振特性を抑制する装置又は方法を提供する。
【解決手段】四角い抵抗付ループのロの字型SRG1にはループの1か所に抵抗器2が接続されている。その接続点を一方がAで、もう一方をA’とする。このループ上の1点から延長線3を延ばし接地極4へ繋げるものとする。前記抵抗器2を挿入することで、可能な限りQ値を下げ、反射波の反射電力を出来る限り小さくする。また、このループから接地を得た機器5で地絡事故発生しても、機器5の地絡電流は先の抵抗器2を経由せずにこの接地ループから接地極4へ流れる。したがって、この抵抗器2は地絡電流を阻害することはなく、機器5に触れている人身等の安全を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気設備等の電気回線において生じるノイズ等の電気的障害を緩和又は消去する装置又は方法に関するものである。さらに詳しく述べると、この発明はサーバ室やプラント制御室の接地として用いるSRG(signal reference grid)などの高周波領域のインピーダンス特性において分布定数などに起因する共振特性を抑制する方法や高層ビル屋内などの配電線や接地線の高周波領域のコモンモードに対するインピーダンスに分布定数などに起因する共振特性を抑制する手法を含むものである。
【背景技術】
【0002】
サーバ室やプラント制御室などにはSRG(signal reference grid)と呼ばれるメッシュ状接地線を布設し各機器の接地をそのメッシュ状接地線から得て各機器の安定な動作と室内にある機器同士の連携・連動性を確保するよう努めてきた。ところがこのSRGとシグナル線との高周波領域でのインピーダンス特性を求めてみると分布定数系などに起因する共振や反共振特性を持つことが明らかになってきた。これは例えば、非特許文献1が挙げられる。
【0003】
【非特許文献1】第26回電気設備学会全国大会講演論文集A-14、pp31-32「SRGの高周波特性の基礎検討」発表者、土田、恒岡、大川、日向野、関、2008年8月1日社団法人電気設備学会発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、高周波領域では理想の接地状態に置かれていないことも分かってきた。また、建屋内の配電線と上記SRG以外の接地線においても同様に両者のインピーダンスは低周波領域では共振特性を持たない特性であるが、高周波領域では分布定数系などに起因する共振や反共振特性があり、雷インパルスなどの誘導やインバータ動作による高周波の誘導を受けると誤動作や機器の損傷を招くことも予想されるようになってきた。この様な高周波領域に対する対策として、抵抗手段を挿入することにより、高周波領域における共振を低下させることが試みられたが、高周波領域では共振は低下するが、低周波領域ではインピーダンスが上昇してしまい、安全に事故電流が流せないことにより電気機器にノイズが発生する等の障害が発生して、課題を解決することができなかった。
【0005】
そこで、この発明では、あらゆる電気設備等の回線や回路における電気的障害を緩和又は消去するため共振特性を抑制する装置又は抑制方法を提供することを目的としたものである。これは、上記電気設備だけでなく、例えば、鉄筋など構造物への電磁誘導の影響の対策としても有効である。
【0006】
具体的にはこの発明は前記のようなループの接地線であるSRGと信号線間の高周波領域のインピーダンス特性に共振特性が存在する場合、この接地のループ線内に抵抗手段を挿入することで、可能な限り共振のQ値を下げ、反射波の反射電力を出来る限り小さくするものである。しかも、単に抵抗手段を設けるというだけでなく、ループ線内に抵抗手段を挿入することにより電気機器への損傷が回避される。この際、従来のように抵抗手段を挿入することによる低周波領域でのインピーダンスの上昇を招くことはない。さらに、商用周波や直流電源の短絡・地絡などの事故時にはSRGに事故電流が流れるが、低周波領域では事故電流を低インピーダンスで流し得る抵抗付ループ線の発明に関する。
【0007】
さらに、配電線は往路の配線には機器等の容量に応じた太さの電線を用い、商用周波数の電力の送電を行い、復路では高周波領域のノイズなどの電力通電に有効な容量のケーブルサイズの折り返し線をZCTや漏電遮断器まで引き戻し、抵抗手段を介して先の往路用電線へ接続する。すなわち、抵抗付ループ線を形成させることにより、屋内配電線などに誘導された高周波のコモンモードノイズを吸収しうる配電線を実現するものである。なお、この抵抗手段は同ループの特性インピーダンスに等しい値の抵抗値であれば、より反射波を減衰できる。
【0008】
また、SRG以外の機器の外箱用の接地に用いる接地線(A種接地工事、C種接地工事及びD種接地工事)においても、接地極から機器までの往路の接地線は事故電流を想定した容量の接地線を用い、折り返し線を用いて接地極まで配線し、先の往路用電線へ抵抗手段を介して接続する。この抵抗手段は特性インピーダンスに等しい値の抵抗値であれば、より反射波を減衰できる。
【0009】
さらに、電力搬送線に沿わせたノイズ打ち消し線と接地線に沿わせたノイズ打ち消し線の両端を互いにループ状にして接続し、これらノイズ打ち消し線間に抵抗手段を挿入してループを形成させ、コモンモードのノイズを抑制するループ線を形成させる。なお、この抵抗手段は特性インピーダンスに等しい値の抵抗値であればより反射波を減衰できる。すなわち、上記のような抵抗付ループ線により、接地線に誘導された高周波のコモンモードノイズ等を吸収しうる発明である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、電気設備等の電気回線又は回路において、新規に形成した又は既に形成されたループ回線に抵抗手段を設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0011】
請求項2の発明は、電気設備等の電気回線又は回路において、新規に形成した又は既に形成されたループ回線に抵抗手段を設ける、電気的障害緩和又は消去方法とした。
【0012】
また、請求項3の発明は、複数の機器と接続したSRG接地線から成る接地回路において、共振Q値を下げる抵抗手段を設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0013】
また、請求項4の発明は、複数の機器と接続した、日の字型のSRG接地線から成る接地回路において、共通線以外の細線部分と、共通線以外の太線とに分け、太線の周長と細線の周長とを1対2とし、太線及び細線に共振Q値を下げる抵抗手段を夫々設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0014】
請求項5の発明は、前記抵抗手段は、SRG接地線の特性インピーダンスにほぼ等しい抵抗値である、請求項3又は4のいずれかに記載の電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0015】
請求項6の発明は、前記接地回路における定在波の腹部に相応する位置にフェライトコアは又はローパスフィルタを設けた、請求項3、4又は5のいずれかに記載の電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0016】
また、請求項7の発明は、遮断機及び漏電監視用ZCTの出口から配電線が導出した配電線路において、当該配電線の終端から、高周波領域のノイズの電力通電が可能な引き戻し線を接続して、当該ケーブルを前記ZCTの出口まで引き戻し、前記ZCTの出口付近の当該引き戻し線に抵抗手段を設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0017】
また、請求項8の発明は、複数の機器に接続した共通接地線を接地極に接続した機器接地線において、接地極から一番遠い共通接地線の端部で折り返し、ここから折り返し線を設けてその他端を接地極近くで共通接地線に接続し、当該接続箇所の折り返し線に抵抗手段を設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0018】
また、請求項9の発明は、複数の機器に接続した共通接地線を第1の接地極に接続した機器接地線において、前記第1の接地極から一番遠い共通接地線の端部で折り返し、ここから折り返し線を設けてその他端を第2の接地極に接続した、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0019】
また、請求項10の発明は、コンセントから樹脂に被覆されたコードを用いて電気機器の回路に接続された回線において、前記電気機器の回路の手前のコードを折り返して、折り返し線を設け、当該折り返し線の先端を、前記コンセントの手前のコードに接続し、この折り返し線に抵抗手段を設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0020】
また、請求項11の発明は、接地付きコンセントから樹脂に被覆されたコードを用いて電気機器の回路に接続され、当該電気機器の回路を覆う外箱がC種又はD種の接地が施され、当該外箱から接地線を前記コンセントまで伸ばして接続した回線において、前記コード及び接地線に沿って、又はコード及び接地線に巻き付けたループ回線を設け、当該ループ線に抵抗手段を設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0021】
また、請求項12の発明は、二次側をB種接地した変圧器の二次側から、他の種類の接地系の電気機器間のケーブル回線において、前記変圧器の二次側から、前記ケーブルに沿って、前記電気機器の接地箇所まで延設し、当該個所から大地に沿って前記変圧器の接地箇所まで延設したループ回線を設け、当該ループ回線に抵抗手段を設けた、電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0022】
また、請求項13の発明は、前記抵抗手段が、抵抗器、フェライトコア又は位相調整器のいずれか又はこれらの組み合わせである、請求項1、3〜12のいずれかに記載の電気的障害緩和又は消去装置とした。
【0023】
また、請求項14の発明は、前記抵抗手段が、抵抗器、フェライトコア又は位相調整器のいずれか又はこれらの組み合わせである、請求項2に記載の電気的障害緩和又は消去方法とした。
【発明の効果】
【0024】
請求項1及び2の発明によれば、電気設備等の電気回線又は回路に設けられたループ回線又は当該ループ回線がない場合は、新たにループ回線を設け、このループ回線に抵抗手段を設けるだけで、低周波領域におけるインピーダンスを上昇させることなく、高周波領域における前記電気設備等の電気的障害を緩和又は消去することができる。
【0025】
また、請求項3及び4の発明によれば、ループの接地線であるSRGと信号線間の高周波領域のインピーダンス特性に共振特性が存在するが、この接地のループ線内に抵抗手段を挿入することで、可能な限り共振のQ値を下げ、反射波の反射電力を出来る限り小さくすることができる。また、商用周波や直流電源の短絡・地絡などの事故時にはSRGに事故電流が流れるが、低周波領域では事故電流を低インピーダンスで流すことができ、機器に接触した人の感電を防止することができる。
【0026】
また、請求項7の発明によれば、配電線に抵抗付ループ線を形成させることにより、屋内配電線などに誘導された高周波のコモンモードノイズを吸収しうる配電線を実現するものである。なお、この抵抗手段は同ループの特性インピーダンスに等しい値の抵抗値であれば、より反射波を減衰できる。
【0027】
また、請求項8及び9の発明によれば、SRG以外の機器の共通接地線においても、ノイズを吸収する等、電気的障害を緩和出来る。さらに請求項8の発明では抵抗手段の抵抗値が、又請求項9の発明では第1の接地極及び第2の接地極との間の抵抗値が、当該回路の特性インピーダンスに等しい値の抵抗値であれば、より反射波を減衰出来る。
【0028】
また、請求項10の発明によれば、コンセントから電気機器までの樹脂被覆コードにおける、高周波のコモンモードノイズを減衰することができる。また、請求項11の発明では、接地付きコンセントと接地線を用いて接続されている樹脂被覆コードにおいても、当該電気機器の置かれている部屋等での電磁放射ノイズを発生する他の機器がある場合に、その誘導を防止する等、高周波のコモンモードノイズを減衰することができる。
【0029】
また、請求項12の発明では、B種接地と他の種類の接地系の機器間でのケーブルにおいて、高周波のコモンモードノイズを減衰することができる。また、これら請求項10〜12の抵抗手段が特性インピーダンスに等しい値の抵抗値であれば、より反射波を減衰できる。すなわち、上記のような抵抗付ループ線により、各回線に誘導された高周波のコモンモードノイズ等を吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
この発明は、接地線であるSRGと信号線間の高周波領域のインピーダンス特性に共振特性が存在し、この接地のループ線内に抵抗手段を挿入することで、可能な限り共振のQ値を下げ、反射波の反射電力を出来る限り小さくし、さらに、商用周波や直流電源の短絡・地絡などの事故時にはSRGに事故電流が流れるが、低周波領域では事故電流を低インピーダンスで流し得る、共振特性の抑制回路である。
【0031】
これにより、主に高周波領域での電気的障害を緩和又は消去できる。
【0032】
ここでこの発明の原理について述べる。図1(a)はロの字型のSRGに抵抗器を設けた概略構成図、図1(b)は日の字型のSRGに抵抗器を設けた概略構成図、図2はループ線における電磁波の電位差の関係を示す原理図である。
【0033】
図1(a)に最も単純な例として四角い抵抗付ループのSRG(ロの字型SRG)1を考える。このロの字型SRG1にはループの1か所に抵抗器2が接続されている。その接続点を一方がAで、もう一方をA’とする。このループ上の1点から延長線3を延ばし接地極4へ繋げるものとする。すなわち、このループから接地を得た機器5で地絡事故発生しても、機器5の地絡電流は先の抵抗器2を経由せずにこの接地ループから接地極4へ流れる。したがって、この抵抗器2は地絡電流を阻害することはなく、機器5に触れている人身等の安全を確保できる。
【0034】
今、このループが高周波の誘導を受けた場合を考える。説明のため、このSRGの線路を図2に示すように1本の線路上に展開したとして考える。そして、このループに(λ/4)×(2n+1)の波長の電磁波が電磁誘導されたとする。今、図2(a)では簡単のためλ/4で説明する。ループ上の端部AA’間に抵抗器2を挿入すると電磁波はλ/4の波長であるので、共振となりAA’点間で電位差が生じ抵抗器2で入射波が減衰される。この抵抗器2の抵抗がSRGの特性インピーダンスに等しいマッチング抵抗であれば反射波がよく減衰され、この波長の電磁波の定在波の形成を抑制することができるので理想的である。しかし、そうでない場合、すなわち、抵抗器2の抵抗がSRGの特性インピーダンスに等しいマッチング抵抗でない場合でも抑制効果はある。
【0035】
ただし、図2(b)に示すように(λ/2)×2nの波長の電磁波が入射された場合には反共振となり、端部AA’間に電位差が生じないので端部での反射波は抑制されない。この場合は定在波の腹部の位置にフェライトコアやローパスフィルタを設け、その波長の電磁波を抑制する。
【0036】
この原理をさらに発展させたのが図1(b)に示す日の字型の抵抗付ループ線をSRG6に用いた場合の原理図である。図中の共通線6a以外の細線部分6bの1か所に抵抗器7を挿入し、共通線6a以外の太線6c又は共通線6a内にも抵抗器8を挿入している。これらの抵抗器7及び8はSRG線の特性インピーダンスに等しい値の抵抗であれば理想的であるが、そうでない場合でも抑制効果がある。そして、高周波の位相速度が等しければ共通線6aを含む太線6cの周長を1とし、共通線6aを含み細線6bの周長を2とすれば、片方の周長のループで反共振をするとき、他方の周長のループで共振が生じるので、2つの抵抗器7又は8のいずれかで減衰効果が得られ、先の図2(b)で示したフェライトの対策が不要になる。
【0037】
図1(a)や図1(b)の原理をさらに複雑なSRGへ発展させた田の字型などの複雑なSRGへ発展させる場合も考えられ、これらの場合もこの発明に含まれる。さらに、ループに付いた抵抗器から延長線を出し、波の位相を調節する配線などを取り付けることもこの発明に含まれる。
【実施例1】
【0038】
(A)ロ型SRGの実施例
図3及び図4に本実験の回路図を示す。建屋のデッキプレートを想定したアルミ板を敷き、その上に厚さ30mmのベニア板上に7.2m×3.6mのロ型SRGを断面積14mm2の裸銅線を用いて施設した。さらに、このSRGから高さ0.6mの位置に断面積2mm2の信号線を図のように配した。信号線は受信側開放のみのケースを想定して実験を行うこととした。
図3(a)、図4(e)のロ型SRGは抵抗器もフェライトコアも入れない従来のSRGの場合である。図3(b)、図4(f)は一部にスリットを設け、特性インピーダンスにほぼ等しい抵抗である390Ωの抵抗器を挿入した場合である。図3(c)、図4(g)は抵抗器を挿入した上にさらに電流定在波の腹の位置にフェライトコアを挿入した場合である。そして、図3(d)、図4(h)は抵抗器を挿入しないで電流定在波の腹の位置にフェライトコアを挿入した場合の4種の総計8種を測定した。
【0039】
(A)−1 インピーダンスアナライザによる周波数特性結果
IA-8図、IA-9図にロ型SRGのアルミ板への接地あり、なしの状態におけるインピーダンスアナライザによる周波数特性結果を示す。なお、以下のIA-1図〜IA-17図において、実線は位相角の周波数特性を点線はインピーダンスの周波数特性を夫々示す。
接地ありでは8.16MHz、24.9MHzに共振を持ち、17.6MHz、34.4MHzに反共振特性を持つことが分かった。接地なしでは7.8MHz、11.9MHz、25.8MHzに共振を持ち、11.0MHz、17.06MHzに反共振特性を持つことが分かった。
【0040】
ロ型SRGの接地なしで390Ωの抵抗器を挿入した場合の結果をIA-4図、IA-5図に示す。IA-9図の結果に比べ位相角θの変化が緩やかになり、Q値が低くなっていることが分かる。さらにロ型SRGの接地なしで390Ωの抵抗器を挿入した上で、フェライトコアを挿入した場合の結果を取得した。ロ型SRG上の0mの位置に挿入した場合の結果をIA-1図に、SRG上の0mおよび−6.3mの2箇所に挿入した場合の結果をIA-2図に、ロ型SRG上の0mおよび−7.2mの位置の2箇所に挿入した場合の結果をIA-3図に示す。いずれも位相角θの変化が抵抗器のみの挿入の場合と比べてさらに緩やかになり、Q値が小さくなっていることが分かった。特にIA-2図、IA-3図では11MHz付近の共振が良く抑制されているのが分かった。
【0041】
(A)−2 ロ型SRG上の電流計測によって電流定在波の確認実験の結果
米国ピアソン社のCTモデル4100(変流器)を用いてロ型SRG上の位置を変えて電流計測し、ロ型SRG上の電流定在波を計測した。また、電流定在波比(CSWR)は入射波電力に対し、反射波の電力が80%以下になる指標であるCSWR≦10を目指す。この電流定在波比の値ができるだけ「1」に近い方が良いといえる。
【0042】
ロ型SRGの信号線との接続位置にて接地を取り付けた場合の計測結果を表1に示す。IA-8図に示したように、8.16MHz、24.9MHzに共振を持ち、17.6MHzに反共振特性を持っているのでこの周波数での計測を中心に計測した。
【0043】
【表1】

【0044】
[接地ありのケース]
ロ型SRGとシグナル線との接続位置にてアルミ板との接続、すなわち接地を取り付けた場合の計測結果を表1の「対策なし」の欄に示す。CSWRは22〜∞と反射電力が大きく定在波が発生しやすい系となっている。これに対し、ロ型SRCに390Ωの抵抗器を取付た場合の結果を表1の「対策(1)抵抗」の欄に示す。いずれもロ型SRG上で低い電流となり、特に2倍波の17.06MHzでは電流の計測限界であった。この周波数を除けばCSWRが2.63〜11.36と比較的良好な値となった。さらに、ロ型SRGに抵抗器を取り付けた状態でその上にフェライトコアを取り付けた場合の結果を表1の「対策(2)抵抗+フェライトコア」の欄に示す。2倍波の17.06MHz以外は3.2〜8.7と良好な値となった。また、先の抵抗器を外し、フェライトコアのみを取り付けた場合は、表1の「対策(3)フェライトコア」の欄に示すように、CSWRが8.6〜22と抵抗を取り付けた場合に比べ劣る結果となった。
【0045】
[接地なしのケース]
ロ型SRGとシグナル線との接続位置にてアルミ板との接続、すなわち接地を取り付けない場合の計測結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
接地なし、抵抗器なし、フェライトなしの条件の結果を表2の「対策なし」の欄に示す。IA-9図に示したように、7.8MHz、11.9MHz、25.8MHzに共振を持ち17.06MHzに反共振特性を持っているのでこの周波数での計測を中心に計測した。CSWRは34.74〜∞と高い電流定在波比となっていることが分かった。これに対し390Ωの抵抗器をロ型SRG内に挿入した結果を表2の「対策(1)抵抗」の欄に示す。CSWRは2.17〜16.12(11.9MHz時)とほぼ良好な結果となった。
【0048】
抵抗器をつけた上にさらにフェライトコアをロ型SRG上に取り付けた結果を表2の「対策(2)抵抗+フェライトコア」の欄に示す。CSWRは3.93〜22(11.9MHz時)と、抵抗器のみを取り付けた場合に比べ、劣るがほぼ良好であった。最後にこの状態から抵抗器を外した結果を表2の「対策(3)フェライトコア」の欄に示す。CSWRは9.41〜∞と、抵抗器だけを挿入した表2の「対策(1)抵抗」の欄の結果に比べて劣ることが分かった。
【0049】
(A)−3 ロ型SRGとアルミ板間のインピーダンスアナライザ結果
さらにロ型SRGのインピーダンス特性の安定性を確認するため、インピーダンスアナライザでアルミ板との間の周波数特性を求めた。IA-11図〜IA-15図にその結果を示す。ここでは接地すなわちロ型SRGとアルミ板との接続はしていない。
【0050】
抵抗器なしでフェライトコアも取り付けていない場合をIA-11図に示す。5.4MHz、16.3MHz、27MHzに共振、11.14MHz、27MHz、38.2MHzに反共振特性を示した。そこで、390Ωの抵抗器を挿入した結果をIA-12図に示す。位相角が零クロスした点を共振と考えれば4MHz付近に幅の広い共振、すなわちQ値の低い共振と14MHz,26MHz,37MHzに共振、11.14MHz,16.9MHz,23MHzに反共振特性がある。390Ωの抵抗器の効果が得られ、Q値の改善が認められる。
【0051】
そこで390Ωの抵抗器を挿入しかつフェライトコアを0m、4m、6m、10.8m、−0.9m、−2.7m、−4.5m、−8.1mに挿入した場合の結果をIA-13図に示す。ここでも、4MHzに幅の広い共振、すなわちQの低い共振と14MHzに共振、10MHzに反共振特性がある。他にも位相角の変動は伴うが、零クロスにいたっていないので、あえてここでは記載しない。いずれにしろQ値の改善が大いに認められる。
【0052】
390Ωの抵抗器を外し、フェライトコアを±0m、±2.7m、±3.6m、±5.4m、±9.0mの10箇所に接続した場合の結果をIA-15図に示す。3.95MHz、14.5MHzに共振、8.85MHzに反共振特性を示し、これもQ値の改善は認められるものの、先の390Ωの抵抗器とフェライトコアを挿入した場合の結果には及ばない。参考までに、抵抗器を挿入せず端部を開放した状態で、フェライトコアも取り付けなかった場合の結果をIA-14図に示す。高いQ値の共振、反共振の特性が数多くあるのが分かる。
【0053】
以上の実験をまとめると
本例ではもっとも単純な構成のSRGであるロ型のSRGを用いて減衰特性を得るための実験を行い、かつインピーダンスアナライザに加え、SRG上の電流計測を行うことで定在波抑制の確認を行った。デッキプレートを想定したアルミ板を敷きその上に厚さ30mmのベニア板上に7.2m×3.6mのロ型SRGを施設した。通常のロ型のSRGに、特性インピーダンスにほぼ等しい抵抗である390Ωの抵抗器を挿入した場合、その抵抗器を挿入した上にさらに電流定在波の腹の位置にフェライトコアを挿入した場合の2種の方式の提案を行った。さらに、従来の対策なしのロ型のSRGの場合及び抵抗器を挿入しないで電流定在波の腹の位置にフェライトコアを挿入した場合の4種で接地のあるなしの総計8種の測定を行った。
【0054】
これらの実験結果では390Ωの抵抗器を挿入した場合、それとその抵抗器を挿入した上にさらに電流定在波の腹の位置にフェライトコアを挿入した場合の2種の場合はその効果が認められQ値が大幅に改善され、電流定在波の測定結果でもCSWRが10代以下の良い結果がえられた。ただし、抵抗器のみを挿入した場合の方が抵抗器とフェライトコアの両方を挿入した場合に比べ基本波のCSWRが低い結果となった。これは多数のフェライトコアをSRGに挿入することによって反射点が増え抵抗器に到達する電力が減衰させられ、SRG上に電力が残留したためではないかと考える。この点が問題となるようであればフェライトコアの挿入位置の選別、フェライトコアの種類、大小などについて吟味すればよい。
【0055】
(B)日の字型の抵抗付ループ線をSRG用に用いた場合の実施例
図5(a)、(b)に日の字型の抵抗付ループ線をSRG用に用いた場合の実施例を示す。これらの回路にノイズ源として10.42MHz、20.83MHz、31.25MHzの信号を加えた時の電流を、計測位置を変えて電流を求めその結果からCSWRを求めた。表3に接地なしの場合を、表4に接地ありの場合の結果を示す。
【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
従来の場合のCSWRは3ケタ以上となることは前記(A)の結果より分かる。しかし、2つの抵抗の効果により、接地なしでCSWRが2.9〜13.6、接地ありの場合でCSWRが2.7〜18.9となった。
【実施例2】
【0059】
(C)配電線に関する実施例
図6(a),(b)に配電線に利用した場合の例を示す。(a)図は配電ラインの遮断器11ならびに漏電監視用ZCT12の出口から配電線13により配電する。配電は高圧、低圧の場合があるが、この発明では両方に応用できる。ここでは3相の場合の例を示す。配電線13は3本の電線やケーブルを用いて負荷まで配電する。ケーブルの最終点まで行き着いたところで、配電線13より低い容量などのケーブルを用いて先のZCT12の手前まで引き戻す。そこで配電線13と引き戻し線14との間の特性インピーダンスに等しい値の抵抗器15を挿入してZCT12の出口の同じ相に引き戻す。当然(b)図に示すように最終点にフェライトコアやローパスフィルタ16などを挿入して(λ/2)×2nの波長の電磁波が入射された場合に備える方法も有効である。
【実施例3】
【0060】
(D)機器接地線に関する実施例
図7に機器用接地線に利用した場合の例を示す。(a)図において、機器A,B,Cは接地極21から共通接地線22により接地を得ている。当該共通接地線22にはどの機器が事故を生じても安全な容量の太さの接地線を用いる。また、当該共通接地線22の端部で折り返しここから高周波の誘導電流を流すだけの容量の線の太さの折り返し線23で接地極21まで引き戻し、マッチング抵抗器24を挿入して共通接地線22と接続する。この抵抗器24は接地極21付近で共通接地線22と折り返し線23との特性インピーダンスに等しい抵抗であればより効果的である。(b)図において、機器A,B,Cは接地極Aから共通接地線22により接地を得ている。当該共通接地線22には、どの機器が事故を生じても安全な容量の太さの接地線を用いる。また、当該共通接地線22の端部で折り返しここから高周波の誘導電流を流すだけの容量の線の太さで接地極まで折り返し線23で引き戻し、接地極Bで接地する。接地極AとBとの間の接地抵抗は共通接地線22と折り返し線23との特性インピーダンスに等しい抵抗値になるように各接地極の抵抗を調整する。また、この例では折り返し点にフェライトコア25を挿入する例を示した。
【実施例4】
【0061】
(E)コンセントから機器までのビニールコードに関する実施例
図8にコンセントより電力を得る機器において機器や配電系から侵入するノイズ対策の例を示す。(b)図に示すように、コンセント31より機器32へ必要電力を得るために相応しい容量を確保したコード33を利用して機器32内の回路32aまで配電する。そこで高周波の誘導電流を流すだけの容量の線の太さのコードにより折り返し線34を用いてコンセント31まで引きもどす。この折り返し線34のいずれかの所に抵抗器35を挿入する。この抵抗器35は電力線(コード33)と折り返し線34との特性インピーダンスに等しい抵抗を用いることが理想であるが、そうでなくともノイズの減衰効果を期待できる。ここでは、機器32側あるいはコンセント31側に抵抗器35を挿入した場合の例を示す。また、(a)図に示すように、抵抗器35を挿入した位置と反対側の折り返し線34にフェライトコア36を入れることも考えられる。
【実施例5】
【0062】
(F)コンセントから機器までのビニールコードに関する他の実施例
図9にコンセントから機器までのビニールコードにおいて、室内で発生した電磁ノイズの誘導防止策の他の例を示す。AC100Vの接地付コンセント41でAC100Vラインからビニールコード42の2線で電気機器43内の回路43aに配電している。電気機器43の外箱43bはC種またはD種用の接地線44を用いてコンセント41の接地用接触端子に接続している。この電気機器43の置かれている部屋では電磁放射ノイズを発生する他の機器があり、その誘導を防止するため、先のAC100Vラインと並行またはツイストしてコンセント41から電気機器43までをノイズ打ち消し線45aを配線し、復路は先の接地線44と並行またはツイストしてノイズ打ち消し線45bをコンセント41へ戻し、抵抗器46を介して先の打ち消し線45a,45b同士を接続して抵抗付ループ線を形成させる。これによりAC100Vラインと接地線間へ誘導する高周波のコモンモードノイズを減衰させる効果を得られる。また、ここで先の抵抗器46はノイズ打ち消し線45の特性インピーダンスに等しい抵抗であれば理想的である。しかし、そうでなくとも減衰の効果は得られる。
【実施例6】
【0063】
(G)B種接地と他の接地系の機器間のケーブルに関する実施例
図10に示すように、B種接地と他の種類の接地系の機器間のケーブルに関する例を示す。変圧器51は二次側が3相低圧電路の場合で示す。変圧器二次側の電路は混触による電位上昇を防止するためB種接地を施している。変圧器51の二次側からケーブル52で電気機器53までを配電している。電気機器53内の回路53aは大地に対し絶縁している。電気機器53の外箱53bはC,D種接地を行っている。そこで高周波のコモンモードノイズを防止するため、変圧器51の二次側の電路(ケーブル52)から電気機器53まで通し、C,D種接地の接地極付近から地表を通してB種接地付近までをノイズ打ち消し線54を並行して這わせ抵抗器55を接続してループを作る。この抵抗器55はノイズ打ち消し線54の特性インピーダンスに等しい抵抗であれば理想的であるが、そうでなくともコモンモードノイズを減衰させる効果を持っている。
【0064】
なお、上記抵抗器は定在波が発生する高周波領域のみ抵抗としてみなせる抵抗手段であればよく、たとえば抵抗手段を位相調整器、ローパスフィルタ、フェライトコアなどに置き換えただけでもその効果が得られる。このことによって上記発明の範囲を逸脱するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の原理を示す概略構成図であり、(a)図はロの字型のSGRに抵抗器を設けた概略構成図、(b)図は日の字型のSGRに抵抗器を設けた概略構成図である。
【図2】この発明の原理の説明のための、ループ線における電磁波の電位差の関係を示す原理図であり、(a)図はλ/4の場合、(b)図はλ/2の場合を示す。
【図3】この発明の実施例1の実験に用いたロの字型のSGRの回路図であり、(a)図は接地あり、抵抗器なし、フェライトコアなしの場合、(b)図は接地あり、390Ωの抵抗器あり、フェライトコアなしの場合、(c)図は接地あり、390Ωの抵抗器あり、フェライトコアありの場合、(d)図は接地あり、抵抗器なし、フェライトコアありの場合である。
【図4】この発明の実施例1の実験に用いた回路図であり、(e)図は接地なし、抵抗器なし、フェライトコアなしの場合、(f)図は接地なし、390Ωの抵抗器あり、フェライトコアなしの場合、(g)図は接地なし、390Ωの抵抗器あり、フェライトコアありの場合、(h)図は接地なし、抵抗器なし、フェライトコアありの場合である。
【図5】この発明の実施例1の実験に用いた、日の字型のSGRの回路図であり、図5(a)は接地なし、図5(b)は接地ありの場合である。
【図6】この発明の実施例2の配電線ラインに利用した場合の概略構成図であり、図6(a)は抵抗器のみを挿入した場合、図6(b)図は抵抗器とフェライトコアを挿入した場合である。
【図7】この発明の実施例3の機器接地線に利用した場合の概略構成図であり、(a)図は抵抗器を挿入した場合、(b)図は接地極間の抵抗とフェライトを用いた場合である。
【図8】この発明の実施例4のコンセントから機器までのビニールコードに利用した場合の概略構成図であり、(a)図は抵抗器とフェライトコアによる場合、(b)図は抵抗器のみの場合である。
【図9】この発明の実施例5のコンセントから機器までのビニールコードに利用した他の例の概略構成図である。
【図10】この発明の実施例5のB種接地と他の接地系の機器間のケーブルに利用した場合の概略構成図である。
【図11】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−1図)である。
【図12】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−2図)である。
【図13】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−3図)である。
【図14】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−4図)である。
【図15】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−5図)である。
【図16】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−6図)である。
【図17】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−7図)である。
【図18】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−8図)である。
【図19】この発明の実施例1の実験におけるロの字型SRG−シグナル(信号線)間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−9図)である。
【図20】この発明の実施例1の実験における9分割メッシュ−アルミ板間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(IA−10図)である。
【図21】この発明の実施例1の実験におけるロの字型メッシュ−アルミ板間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(図IA−11図)である。
【図22】この発明の実施例1の実験におけるロの字型メッシュ−アルミ板間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(図IA−12図)である。
【図23】この発明の実施例1の実験におけるロの字型メッシュ−アルミ板間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(図IA−13図)である。
【図24】この発明の実施例1の実験におけるロの字型メッシュ−アルミ板間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(図IA−14図)である。
【図25】この発明の実施例1の実験におけるロの字型メッシュ−アルミ板間のインピーダンスアナライザ計測による周波数特性グラフ図(図IA−15図)である。
【図26】この発明の実施例1の実験におけるピアソンCT4100を用いた、一次側からみたインピーダンス周波数特性グラフ図(図IA−16図)である。
【図27】この発明の実施例1の実験におけるピアソンCT4100を用いた、一次側からみたインピーダンス周波数特性グラフ図(図IA−17図)である
【符号の説明】
【0066】
1 ロ型SRG 2 抵抗器
3 延長線 4 接地極
5 機器 6 日型SRG
6a 共通線 6b 細線
6c 太線 7 抵抗器
8 抵抗器
11 遮断機 12 漏電監視用ZCT
13 配電線 14 引き戻し線
15 抵抗器 16 フェライトコア
21 接地極 22 共通接地線
23 折り返し線 24 抵抗器
25 フェライトコア
31 コンセント 32 電気機器
33 コード 34 折り返し線
35 抵抗器 36 フェライトコア
41 接地付きコンセント 42 ビニールコード
43 電気機器 43a 回路
43b 外箱 44 接地線
45 打ち消し線 46 抵抗器
51 変圧器 52 ケーブル
53 電気機器 53a 回路
53b 外箱 54 ノイズ打ち消し線
55 抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備等の電気回線又は回路において、新規に形成した又は既に形成されたループ回線に抵抗手段を設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項2】
電気設備等の電気回線又は回路において、新規に形成した又は既に形成されたループ回線に抵抗手段を設けることを特徴とする、電気的障害緩和又は消去方法。
【請求項3】
複数の機器と接続したSRG接地線から成る接地回路において、共振Q値を下げる抵抗手段を設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項4】
複数の機器と接続した、日の字型のSRG接地線から成る接地回路において、共通線以外の細線部分と、共通線以外の太線とに分け、太線の周長と細線の周長とを1対2とし、太線及び細線に共振Q値を下げる抵抗手段を夫々設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項5】
前記抵抗手段は、SGR接地線の特性インピーダンスにほぼ等しい抵抗値であることを特徴とする、請求項3又は4のいずれかに記載の共振特性の抑制回路。
【請求項6】
前記接地回路における定在波の腹部に相応する位置にフェライトコアは又はローパスフィルタを設けたことを特徴とする、請求項3、4又は5のいずれかに記載の電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項7】
遮断機及び漏電監視用ZCTの出口から配電線が導出した配電線路において、当該配電線の終端から、高周波領域のノイズの電力通電が可能な引き戻し線を接続して、当該ケーブルを前記ZCTの出口まで引き戻し、前記ZCTの出口付近の当該引き戻し線に抵抗手段を設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項8】
複数の機器に接続した共通接地線を接地極に接続した機器接地線において、接地極から一番遠い共通接地線の端部で折り返し、ここから折り返し線を設けてその他端を接地極近くで共通接地線に接続し、当該接続箇所の折り返し線に抵抗器を設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項9】
複数の機器に接続した共通接地線を第1の接地極に接続した機器接地線において、前記第1の接地極から一番遠い共通接地線の端部で折り返し、ここから折り返し線を設けてその他端を第2の接地極に接続したことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項10】
コンセントから樹脂に被覆されたコードを用いて電気機器の回路に接続された回線において、前記電気機器の回路の手前のコードを折り返して、折り返し線を設け、当該折り返し線の先端を、前記コンセントの手前のコードに接続し、この折り返し線に抵抗手段を設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項11】
接地付きコンセントから樹脂に被覆されたコードを用いて電気機器の回路に接続され、当該電気機器の回路を覆う外箱がC種又はD種の接地が施され、当該外箱から接地線を前記コンセントまで伸ばして接続した回線において、前記コード及び接地線に沿って、又はコード及び接地線に巻き付けたループ回線を設け、当該ループ線に抵抗手段を設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項12】
二次側をB種接地した変圧器の二次側から、他の種類の接地系の電気機器間のケーブル回線において、前記変圧器の二次側から、前記ケーブルに沿って、前記電気機器の接地箇所まで延設し、当該個所から大地に沿って前記変圧器の接地箇所まで延設したループ回線を設け、当該ループ回線に抵抗手段を設けたことを特徴とする、電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項13】
前記抵抗手段が、抵抗器、フェライトコア又は位相調整器のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1、3〜12のいずれかに記載の電気的障害緩和又は消去装置。
【請求項14】
前記抵抗手段が、抵抗器、フェライトコア又は位相調整器のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項2に記載の電気的障害緩和又は消去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−221790(P2012−221790A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87306(P2011−87306)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名:「平成23年度電気学会全国大会講演論文集」 発行日: 平成23年3月5日 発行所: 社団法人電気学会
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】