説明

電気部品収納ボックス

【課題】複数の電気ボックスを容易に重ね合せるための構成を、より低コストで実現できるようにすることを目的とする。
【解決手段】電気部品収納ボックス20は、内部に電気部品10が搭載された2つの電気部品ボックス部30、40を備える。電気部品収納ボックス20には、2つの電気部品ボックス部30、40を重ね合せた状態で、その重ね合せ部分の一側部で2つの電気部品ボックス部30、40同士を連結するヒンジ部50と、2つの電気部品ボックス部30、40を重ね合せた状態で、その重ね合せ部分の他側部で2つの電気部品ボックス部30、40同士を着脱可能に連結するロック構造部60とがさらに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒューズ或はリレー等の電気部品が搭載された状態で、車両等に組込まれる電気部品収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等では、リレー或はヒューズ等の電気部品は、電気部品ボックスに搭載された状態で、車両のエンジンルーム等に組込まれることがある。また、電気部品が多数ある場合、これらの電気部品を複数の電気部品ボックスに分けて搭載する場合がある。複数の電気部品ボックスが存在する場合、それらを平面視において並べて設置すると、平面における設置面積が大きくなってしまい、レイアウト上の問題が生じ得る。
【0003】
ここで、特許文献1は、防水ボックス内に、2個のリレーブロック体を分割して上下に配置する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−23813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、2個のリレーブロック体を分割して上下に配置して支持するため、大型な専用部品である防水ボックスが必要となる。このため、製造コストが大となってしまう。また、2個のリレーブロック体を防水ボックスに組込む作業も面倒である。
【0006】
そこで、本発明は、複数の電気ボックスを容易に重ね合せるための構成を、より低コストで実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る電気部品収納ボックスは、内部に電気部品が搭載された2つの電気部品ボックス部と、前記2つの電気部品ボックス部を重ね合せた状態で、その重ね合せ部分の一側部で前記2つの電気部品ボックス部同士を連結するヒンジ部と、前記2つの電気部品ボックス部を重ね合せた状態で、その重ね合せ部分の他側部で前記2つの電気部品ボックス部同士を着脱可能に連結するロック構造部と備える。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る電気部品収納ボックスであって、前記2つの電気部品ボックス部は、それぞれ開口を有するボックス本体部と、前記開口を閉塞する蓋部とを有し、前記ヒンジ部は、前記2つの電気部品ボックス部の蓋部間に設けられ、前記ロック構造部は、前記2つの電気部品ボックス部の前記蓋部の一方に設けられたロック部と、他方に設けられて前記ロック部が着脱可能に連結される被ロック部とを有し、前記2つの電気部品ボックス部の蓋部同士が対向して重ね合された状態で、前記2つの電気部品ボックス部が重ね合されるものである。
【0009】
第2の態様によると、蓋部にヒンジ部及びロック構造部が設けられているため、ボックス本体部として汎用的な構成のものを用いることができる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様に係る電気部品収納ボックスであって、前記2つの電気部品ボックス部のボックス本体部が同じ大きさ及び形状に形成されている。
【0011】
第4の態様は、第1の態様に係る電気部品収納ボックスであって、前記2つの電気部品ボックス部のうちの1つは開口を有するボックス本体部と、前記開口を閉塞する蓋部とを有し、前記2つの電気部品ボックス部のうちの他の1つは開口を有するボックス本体部を有し、前記ヒンジ部は、前記蓋部と前記他の1つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部との間に設けられ、前記ロック構造部は、前記蓋部と前記他の1つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部一方に設けられたロック部と、他方に設けられて前記ロック部が着脱可能に連結される被ロック部とを有し、前記蓋部が、前記他の1つの電気部品ボックス部の前記ボックス本体部の開口を閉塞した状態で、前記2つの電気部品ボックス部同士が重ね合されるものである。
【0012】
第5の態様は、第1の態様に係る電気部品収納ボックスであって、前記2つの電気部品ボックス部は、それぞれ開口を有するボックス本体部を有し、前記ヒンジ部は、前記2つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部の間に設けられ、前記ロック構造部は、前記2つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部の一方に設けられたロック部と、他方に設けられて前記ロック部が着脱可能に連結される被ロック部とを有し、前記2つの電気部品ボックス部の前記ボックス本体部の開口同士が対向配置されて相互に開口を閉塞した状態で、前記2つの電気部品ボックス部同士が重ね合されるものである。
【0013】
第6の態様は、第2〜第5のいずれか一つの態様に係る電気部品収納ボックスであって、前記ボックス本体部は、前記開口の反対側に電線が引出される電線引出開口を有し、前記電線引出開口に、前記電線を側方に延出させるように案内する電線案内口を有し、前記電線引出開口を閉塞する電線引出カバーが取付けられるものである。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様によると、2つの電気部品ボックス部同士がヒンジ部を介して連結されているため、このヒンジ部で曲げるようにして2つの電気部品ボックス部同士を重ね合せて、ロック構造部を連結状態にすることで、2つの電気部品ボックス部を容易に重ね合せることができる。また、この重ね合せ状態を、上記ヒンジ部及びロック構造部によってより低コストで実現できる。
【0015】
第3の態様によると、蓋部にヒンジ部及びロック構造部が設けられているため、各ボックス本体部として同じ大きさ及び形状のものを用いることができる。
【0016】
第4の態様によると、蓋部は、2つのボックス本体部の開口を閉塞できるため、蓋部の数を少なくできる。
【0017】
第5の態様によると、開口を閉塞するための蓋部を設けなくてもよいため、部品点数を削減できる。
【0018】
第6の態様によると、ボックス本体部のうち開口とは反対側から出る電線を側方に向けて案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る電気部品収納ボックスを示す斜視図である。
【図2】同上の電気部品収納ボックスを重ね合せる作業途中を示す説明図である。
【図3】同上の電気部品収納ボックスを重ね合せた状態を示す斜視図である。
【図4】電線引出カバーを追加した電気部品収納ボックスを示す斜視図である。
【図5】電気部品ボックス部の使用例を示す斜視図である。
【図6】電気部品ボックス部の他の使用例を示す斜視図である。
【図7】変形例に係る電気部品収納ボックスを示す説明図である。
【図8】他の変形例に係る電気部品収納ボックスを示す説明図である。
【図9】さらに他の変形例に係る電気部品収納ボックスを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係る電気部品収納ボックス20について説明する。図1は電気部品収納ボックス20を示す斜視図であり、図2は電気部品収納ボックス20を重ね合せる作業途中を示す説明図であり、図3は同電気部品収納ボックス20を重ね合せた状態を示す斜視図である。
【0021】
この電気部品収納ボックス20は、ヒューズ或はリレー等の電気部品10が搭載されるボックスであり、車両、特に、エンジンルームに組込まれる。
【0022】
この電気部品収納ボックス20は、2つの電気部品ボックス部30、40を備えている。2つの電気部品ボックス部30、40は、それぞれ内部に電気部品10(図1参照)が搭載された構成とされている。
【0023】
より具体的には、電気部品ボックス部30は、ボックス本体部32と蓋部36とを備えている。
【0024】
ボックス本体部32は、樹脂等で形成されたボックス状の部材であり、上方に開口32h1が形成され、下方に電線引出用開口32h2が形成されている。ボックス本体部32内には、金属板を適宜打抜きプレス加工すること等で形成された配線材及び配線材相互間を絶縁する絶縁板、ヒューズ或はリレー等の電気部品10を着脱可能な電気部品装着部等を有する配線構造体34が組込まれている。
【0025】
電気部品装着部は、通常、ボックス本体部32の上方に向くように設けられており、電気部品10は上方の開口32h1を通じて電気部品装着部に装着され、或は、取外される。また、電気部品10が上記電気部品装着部に装着されることで、電気部品10の端子が前記配線材に電気的に接続される。
【0026】
また、複数の電線が結束されたワイヤーハーネスWHの端部が、直接或はコネクタ接続等を介して配線材に接続されている。このワイヤーハーネスWHは、下方の電線引出用開口32h2を通じて外部に引出されている。
【0027】
なお、ボックス本体部32の上方の開口32h1より下方(ここでは若干下方)の外周囲には、鍔部32aが形成され、この鍔部32aより上方に蓋部36が被せられる。また、ボックス本体部32の一側面に一対の突起部33が形成され、一対の突起部33の内面に、対向する一対の凹溝33gが形成されている。そして、車両側に立設された板状のブラケット等が一対の凹溝33gに嵌め込まれることで、電気部品ボックス部30が車両に取付固定されるようになっている。
【0028】
蓋部36は、上記上方の開口32h1(つまり、電気部品10を着脱するための開口)を閉塞可能に構成されている。ここでは、蓋部36は、下方が開口する筺状に形成されており、ボックス本体部32の上部に、外側から被さるように装着されることで、前記開口32h1を閉塞するようになっている。
【0029】
また、上記蓋部36にはロック部37が設けられ、ボックス本体部32には当該ロック部37が係止可能な被ロック部35が設けられている。ここでは、上記ロック部37及び被ロック部35は、電気部品ボックス部30に対して一対設けられている。
【0030】
ロック部37は、蓋部36の外側面から下方に延出するように設けられ、その先端部に突起部37aが形成されている。なお、このロック部37は、その両側方から間隔をあけて保護片38によって挟まれている。また、被ロック部35は、ボックス本体部32の外側面であって上記ロック部37に対応する位置に形成されており、上記ロック部37を挿入可能な孔部35hが形成されている。そして、蓋部36を閉じた状態で、ロック部37が孔部35hに挿入され、この挿入状態で突起部37aが孔部35hの周縁部で被ロック部35に係止する。この係止構造により、蓋部36が閉じた状態に維持される。また、この状態で、ロック部37の先端部を押下げて、突起部37aと孔部35hの周縁部との係止状態を解除すると、ロック部37を孔部35hから抜けるようになる。これにより、蓋部36をボックス本体部42から取外すことができるようになる。
【0031】
なお、ロック部37がボックス本体部32に設けられ、被ロック部35が蓋部36に設けられていてもよい。
【0032】
もう一つの電気部品ボックス部40は、ボックス本体部42と、蓋部46とを備えている。ボックス本体部42は、上記電気部品ボックス部30のボックス本体部32と同じ大きさ及び形状に形成されている。蓋部46は、後述するロック構造部60を除いて、蓋部36と同じ大きさ及び形状に形成されている。電気部品ボックス部40の構成要素のうち上記電気部品ボックス部30の構成要素と同じものについては同一符合を付してその説明を省略する。
【0033】
また、上記2つの電気部品ボックス部30、40は、ヒンジ部50によって連結されている。このヒンジ部50は、2つの電気部品ボックス部30、40を重ね合せた状態で、その重ね合せ部分の一側部で2つの電気部品ボックス部30同士を連結している。ここでは、ヒンジ部50は、2つの電気部品ボックス部30の蓋部36、46間に設けられている。
【0034】
より具体的には、蓋部36、46の天井部分と一側面部分との間の辺部分同士を連結するようにして、ヒンジ部50が設けられている。ヒンジ部50は、弾性変形容易な薄板状に形成されている。ここでは、ヒンジ部50は、蓋部36、46の天井部分と一側面部分との間の辺の方向に沿って延在しており、間に、スリットSが形成されているが、このスリットSは省略されてもよい。ヒンジ部50は、上記薄板状である必要はなく、細長線状であってもよい。もっとも、ヒンジ部50を上記のように薄板状に形成すると、ヒンジ部50で曲げた際に、蓋部36、46間の相対的な姿勢が一定に保たれるため、蓋部36、46同士を重ね合せやすいという利点がある。
【0035】
ヒンジ部50は、ゴム等のエラストマー、PVC(polyvinyl chloride)等の柔軟性の高い材料によって形成されていることが好ましい。これにより、電気部品10の交換等の際に、電気部品ボックス部30、40を取外す際に、ヒンジ部50の切れを抑制できる。蓋部36、46の材料とヒンジ部50を形成する材料とが異なる場合、例えば、上記柔軟性の高い材料で形成されたヒンジ部50の部分を、インサート物としてインサート成形したり、ヒンジ部50を成形するためのエラストマーと蓋部36、46を形成するための樹脂部分とを2色成形したりするとよい。或は、別途製造されたヒンジ部50の部品を、蓋部36、46に接着或はねじ止等するようにしてもよい。
【0036】
また、上記2つの電気部品ボックス部30、40を重ね合せた状態で、当該重ね合せ部分において上記ヒンジ部50の反対側で、2つの電気部品ボックス部30同士がロック構造部60によって着脱可能に連結される。
【0037】
ここでは、ロック構造部60は、蓋部36、46に設けられている。より具体的には、一方の蓋部46にロック部62が設けられ、他方の蓋部36に被ロック部64が設けられている。
【0038】
ロック部62は、蓋部46の各側面のうち上記ヒンジ部50の反対側の側面に設けられている。ロック部62は、当該側面から蓋部46の天井部分を越えるように突出する側面視L字状の板片に形成されており、その先端部の突起部62aが形成されている。なお、このロック部62は、その両側方から間隔をあけて保護片63によって挟まれている。
【0039】
また、被ロック部64は、蓋部36の各側面のうち上記ヒンジ部50の反対側の側面に設けられている。被ロック部64は、当該側面から突出する突起形状に形成されており、上記ロック部62を挿入可能な細長い孔部64hを有している。
【0040】
そして、上記ヒンジ部50を曲げるようにして、蓋部36、46の天井部の外面同士を対向させるようにして、蓋部36、46を重ね合せた状態で、ロック部62が被ロック部64の孔部64hに挿入され、突起部62aが孔部64hの周縁部に抜止め状に係止される。これにより、蓋部36、46同士が対向して重ね合された状態で、2つの電気部品ボックス部30同士が重ね合される。また、この状態で、ロック部62の先端部を押下げて、突起部62aと孔部64hの周縁部との係止状態を解除すると、ロック部62を孔部64hから抜けるようになる。これにより、2つの電気部品ボックス部30同士の重ね合せ状態を解除できる。
【0041】
また、電気部品ボックス部40の下方の電線引出用開口32h2には、電線引出カバー70が取付けられている。この電線引出カバー70は、電線の一種であるワイヤーハーネスWHを側方に延出させるように案内する電線案内口72を有している。より具体的には、電線引出カバー70は、樹脂等で形成された部材であり、上方に開口する筺状に形成されている。また、電線引出カバー70の一側部に、ワイヤーハーネスWHを引出可能な電線案内口72が形成されている。ここでは、電線案内口72の外方に延出するようにして、半円筒状の電線ガイド73が形成されている。電線案内口72から引出されたワイヤーハーネスWHは、当該電線ガイド73に対して粘着テープ等によって巻回固定される。
【0042】
そして、電線引出カバー70がボックス本体部42の下部に、外側から被さるように装着されることで、前記電線引出用開口32h2を閉塞するようになっている。この際、ボックス本体部42の下方に引出されるワイヤーハーネスWHは、ボックス本体部42の下部で電線案内口72に向けて側方に曲げられて、当該電線案内口72から外方に引出されている。
【0043】
なお、電線引出カバー70の装着状態は、ボックス本体部42の外側面に形成された突起部31aを、電線引出カバー70の各側面から上方に延出されたU字状の係止片74の内周縁部に係止させることによって、維持される。この電線引出カバー70とボックス本体部42との取付状態を維持するロック機構は、解除できなくてもよいが、ワンタッチで簡易にロックできる構造であることが好ましい。
【0044】
そして、2つの電気部品ボックス部30、40の重ね合せ状態において、上方に倒立状態で配置される電気部品ボックス部40の下方の電線引出用開口32h2が上記電線引出カバー70によって閉塞されることとなる。
【0045】
以上のように構成された電気部品収納ボックス20によると、1つの電気部品ボックス部30を車両に固定し、もう一つの電気部品ボックス部40を、前記電気部品ボックス部30上に重ね合せて配設することができる。このため、車両における平面上での設置面積を小さくすることができる。具体的には、電気部品ボックス部30、40の1個分の面積で、2つ分の電気部品10を搭載することが可能となる。これにより、電気部品収納ボックス20のレイアウト自由度に優れる。
【0046】
特に、エンジンルームでは、バッテリ、スターターマグネチックスイッチ、ブレーキ用油圧ポンプ、オイル用配管等の部品との兼合いで、電気部品収納ボックス20の設置スペースが制約される。そこで、上記のように、2つの電気部品ボックス部30、40を重ね合せることで、その設置面積を小さくすることは有効である。
【0047】
また、2つの電気部品ボックス部30、40同士がヒンジ部50を介して連結されているため、このヒンジ部50で曲げるようにして、電気部品ボックス部40を倒立させるように回転させて、2つの電気部品ボックス部30、40同士を重ね合せることで、ロック部62を被ロック部64近くに容易に配設して、それらを容易に連結することができる。これにより、2つの電気部品ボックス部30、40を容易に重ね合せ状態に維持することができる。
【0048】
また、この重ね合せ状態を、ヒンジ部50及びロック構造部60によって、コンパクトかつ少ない部品点数によって、低コストで実現できる。
【0049】
また、電線引出用開口32h2に電線引出カバー70を取付けているため、当該電線引出用開口32h2を覆いつつワイヤーハーネスWHを側方に引出すことができる。
【0050】
特に、重ね合せ状態において、倒立状態で上方に配設される電気部品ボックス部40の電線引出用開口32h2に電線引出カバー70を取付けているため、ワイヤーハーネスWHを保護でき、かつ、上方からの被水等による水の進入を有効に抑制できる。
【0051】
なお、図4に示すように、重ね合せ状態において下方に配設される電気部品ボックス部30の電線引出用開口32h2を閉塞するように、電線引出カバー70が取付けられていてもよい。これにより、上記上方の電線引出用開口32h2を覆うのと同じ電線引出カバー70によって、下方の電線引出用開口32h2を覆ってワイヤーハーネスWHを保護することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、蓋部36、46に、ヒンジ部50及びロック構造部60が設けられているため、ボックス本体部32、42として、重ね合せ維持用の構成を持たない汎用的な構成のものを用いることができるというメリットがある。
【0053】
このため、例えば、図5に示すように、ボックス本体部32を重ね合せないで単独で用いてもよい。この場合、蓋部146としては、上記蓋部36、46において、ヒンジ部50及びロック構造部60が省略された構成のものを用いることができる。
【0054】
また、この場合に、図6に示すように、下方の電線引出用開口32h2を、上記電線引出カバー70によって覆うようにしてもよい。
【0055】
また、蓋部36、46に、ヒンジ部50及びロック構造部60を設ければ、上記したように、各ボックス本体部32、42として同じ大きさ及び形状のものを用いることができ、この点からしても部品の共通化が可能となる。
【0056】
もっとも、ボックス本体部32、42において、大きさ、形状の少なくとも一方が異なっていてもよい。この場合でも、大きい方の面積分の設置面積があれば、本電気部品収納ボックス20を車両に搭載することが可能となる。
【0057】
{変形例}
なお、上記実施形態では、蓋部36、46にヒンジ部50及びロック構造部60が設けられた例で説明したが、必ずしもその必要はない。
【0058】
図7に示す変形例に係る電気部品収納ボックス220のように、2つの電気部品ボックス部230、240が、上記ボックス本体部32、42に対応するボックス本体部232、242を有し、蓋部36、46が省略されてもよい。
【0059】
この場合、ヒンジ部50に対応するヒンジ部250は、2つのボックス本体部232、242の開口232h1の周縁部の間に設けられるとよい。ヒンジ部250は、2つのボックス本体部232、242と共に樹脂にて金型一体形成することが好ましい。
【0060】
また、ロック構造部60に対応するロック構造部260は、上記ロック部62に対応するロック部262と、被ロック部64に対応する被ロック部264とを有し、ロック部262が一方のボックス本体部242の開口232h1周縁部に設けられ、被ロック部264が他方のボックス本体部232の開口232h1の周縁部に設けられた構成とするとよい。
【0061】
また、例えば、一方のボックス本体部242の開口232h1の周縁部を、他方のボックス本体部232の開口232h1の周縁部に外嵌めできるようにする等して、これらが相互に嵌まり合う構成とすることが好ましい。
【0062】
そして、上記ヒンジ部250で曲げつつ、ボックス本体部232、242の開口232h1同士を対向配置させて相互に開口232h1を閉塞した状態で(図7の2点鎖線参照)、2つの電気部品ボックス部230、240同士が重ね合される。この重ね合せ状態が、上記ロック構造部260によって維持される。
【0063】
この変形例によっても、蓋部36、46にヒンジ部50及びロック構造部60を設けることによる作用効果を除いて、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
加えて、蓋部36、46を設けなくてもよいため、部品点数を削減できるという利点がある。
【0065】
また、図8に示す変形例に係る電気部品収納ボックス320のように、2つの電気部品ボックス部330、340が、上記ボックス本体部32、42に対応するボックス本体部332、342を有し、一方のボックス本体部332が蓋部36に対応する蓋部336を有し、他方のボックス本体部342の蓋部46が省略されてもよい。
【0066】
この場合、ヒンジ部50に対応するヒンジ部350は、蓋部336とボックス本体部342の開口332h1の周縁部の間に設けられるとよい。ヒンジ部350は、蓋部336とボックス本体部342と共に樹脂にて金型一体形成することが好ましい。
【0067】
また、ロック構造部60に対応するロック構造部360は、上記ロック部62に対応するロック部362と、被ロック部64に対応する被ロック部364とを有し、ロック部362が蓋部336に設けられ、被ロック部364が他方のボックス本体部332の開口332h1の周縁部に設けられた構成とするとよい。なお、ロック部362及び被ロック部364は、上記とは逆の位置関係で設けられていてもよい。
【0068】
また、例えば、蓋部336は、両方のボックス本体部332、342の開口332h1の周縁部に外嵌めできるようにする等して、両方のボックス本体部332、342の開口332h1を閉塞できるようになっている。
【0069】
そして、上記ヒンジ部350で曲げつつ、ボックス本体部332、342の開口332h1の周縁部を蓋部336に内嵌めする等して対向配置させて、蓋部336によって開口332h1を閉塞した状態とすると(図8の2点鎖線参照)、2つの電気部品ボックス部330、340同士が重ね合される。この重ね合せ状態が、上記ロック構造部360によって維持される。
【0070】
この変形例によっても、蓋部36、46にヒンジ部50及びロック構造部60を設けることによる作用効果を除いて、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0071】
加えて、蓋部を1つ省略できるため、部品点数を削減できるという利点がある。また、一方の電気部品ボックス部330には、ヒンジ部350、ロック構造部360等を設けなくてもよいため、汎用的な構成のものを用いることができるという利点がある。
【0072】
また、上記実施形態等では、上側の電気部品収納ボックス部を倒立させていたが、必ずしもその必要はない。
【0073】
例えば、図9に示す変形例に係る電気部品収納ボックス420のように、下側の電気部品ボックス部430上に、上側の電気部品ボックス部440が倒立されないで重ね合されていてもよい。
【0074】
この場合、例えば、蓋部36、46に対応する蓋部436、446同士をヒンジ部450で連結するとよい。また、ボックス本体部32、42に対応するボックス本体部432、442のうちの一方であるボックス本体部442と蓋部436とに、上記ロック構造部60に対応するロック構造部460を設けるとよい。
【0075】
この変形例の場合、上側の電気部品ボックス部440の側方からワイヤーハーネスWHを引出すとよい(図9の2点鎖線参照)。
【0076】
なお、上記実施形態及び各変形例において、2つの電気部品ボックス部とは別の電気部品ボックス部があってもよい。この場合、別の電気部品ボックス部は、2つの電気部品ボックス部に対して重ね合されていてもよいし、或は、側方に配設されていてもよい。
【0077】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0078】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0079】
10 電気部品
20、220、320、420 電気部品収納ボックス
30、40、230、240、330、340、430、440 電気部品ボックス部
32、42、232、242、332、342、432、442 ボックス本体部
32h1、232h1、332h1 開口
32h2 電線引出用開口
36、46、336、436、446 蓋部
50、250、350、450 ヒンジ部
60、260、360、460 ロック構造部
62、262、362 ロック部
62a 突起部
64、264、364 被ロック部
64h 孔部
70 電線引出カバー
72 電線案内口
WH ワイヤーハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電気部品が搭載された2つの電気部品ボックス部と、
前記2つの電気部品ボックス部を重ね合せた状態で、その重ね合せ部分の一側部で前記2つの電気部品ボックス部同士を連結するヒンジ部と、
前記2つの電気部品ボックス部を重ね合せた状態で、その重ね合せ部分の他側部で前記2つの電気部品ボックス部同士を着脱可能に連結するロック構造部と、
を備える電気部品収納ボックス。
【請求項2】
請求項1記載の電気部品収納ボックスであって、
前記2つの電気部品ボックス部は、それぞれ開口を有するボックス本体部と、前記開口を閉塞する蓋部とを有し、
前記ヒンジ部は、前記2つの電気部品ボックス部の蓋部間に設けられ、
前記ロック構造部は、前記2つの電気部品ボックス部の前記蓋部の一方に設けられたロック部と、他方に設けられて前記ロック部が着脱可能に連結される被ロック部とを有し、
前記2つの電気部品ボックス部の蓋部同士が対向して重ね合された状態で、前記2つの電気部品ボックス部が重ね合される、電気部品収納ボックス。
【請求項3】
請求項2記載の電気部品収納ボックスであって、
前記2つの電気部品ボックス部のボックス本体部が同じ大きさ及び形状に形成されている、電気部品収納ボックス。
【請求項4】
請求項1記載の電気部品収納ボックスであって、
前記2つの電気部品ボックス部のうちの1つは開口を有するボックス本体部と、前記開口を閉塞する蓋部とを有し、
前記2つの電気部品ボックス部のうちの他の1つは開口を有するボックス本体部を有し、
前記ヒンジ部は、前記蓋部と前記他の1つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部との間に設けられ、
前記ロック構造部は、前記蓋部と前記他の1つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部一方に設けられたロック部と、他方に設けられて前記ロック部が着脱可能に連結される被ロック部とを有し、
前記蓋部が、前記他の1つの電気部品ボックス部の前記ボックス本体部の開口を閉塞した状態で、前記2つの電気部品ボックス部同士が重ね合される、電気部品収納ボックス。
【請求項5】
請求項1記載の電気部品収納ボックスであって、
前記2つの電気部品ボックス部は、それぞれ開口を有するボックス本体部を有し、
前記ヒンジ部は、前記2つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部の間に設けられ、
前記ロック構造部は、前記2つの電気部品ボックス部のボックス本体部の開口周縁部の一方に設けられたロック部と、他方に設けられて前記ロック部が着脱可能に連結される被ロック部とを有し、
前記2つの電気部品ボックス部の前記ボックス本体部の開口同士が対向配置されて相互に開口を閉塞した状態で、前記2つの電気部品ボックス部同士が重ね合される、電気部品収納ボックス。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の電気部品収納ボックスであって、
前記ボックス本体部は、前記開口の反対側に電線が引出される電線引出開口を有し、
前記電線引出開口に、前記電線を側方に延出させるように案内する電線案内口を有し、前記電線引出開口を閉塞する電線引出カバーが取付けられる、電気部品収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−99010(P2013−99010A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236763(P2011−236763)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】