電気部品構造
【課題】金属粉による端子間の短絡を防止して、絶縁能力を向上させることが出来る電気部品構造を提供する。
【解決手段】 モータ1に用いられる接続部16は、少なくとも2個以上の金属端子8,8と、金属端子8,8を保持する絶縁材料で構成される端子台7とを有して、主に構成されている。
この接続部16では、金属端子8,8間に、対向する金属端子8,8間に生じる電気力線11を妨げるように、磁束12を発生させる磁化された絶縁体13を有している。
この絶縁体13は、金属端子8,8の形状と略同様に、長方形形状を呈していて、長手方向寸法L2が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されて、金属端子8,8の間に平行となるように、埋設されている。
【解決手段】 モータ1に用いられる接続部16は、少なくとも2個以上の金属端子8,8と、金属端子8,8を保持する絶縁材料で構成される端子台7とを有して、主に構成されている。
この接続部16では、金属端子8,8間に、対向する金属端子8,8間に生じる電気力線11を妨げるように、磁束12を発生させる磁化された絶縁体13を有している。
この絶縁体13は、金属端子8,8の形状と略同様に、長方形形状を呈していて、長手方向寸法L2が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されて、金属端子8,8の間に平行となるように、埋設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性に優れた電気部品構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却・潤滑オイルに混入する金属粉の除去能力を向上させる構成として、オイルフィルタに磁石を追加することで、オイルフィルタを通過するオイルに含まれる金属粉の収集能力を向上させるものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−200988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の磁石による金属粉の収集構造では、磁石極の近傍を通過する金属粉のみが、収集されて、金属粉の大部分は、除去することが出来なかった。
【0005】
このため、露出した端子等の導電部位に、金属粉を含有するオイルが循環すると、金属粉が、導電部位間を短絡することで、絶縁性が低下してしまうといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、金属粉による端子間の短絡を防止して、絶縁能力を向上させることが出来る電気部品構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電気部品は、少なくとも2個以上の導電部と、前記導電部を保持する絶縁体とを有して、主に構成されている。
【0008】
この電気部品構造では、該対向する導電部間に生じる電気力線と異なる方向に、磁束を発生させる磁束発生手段が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記磁束発生手段が発生させた磁束のもたらす磁力によって、該対向する導電部間に生じている電気力線が打ち消されるため、前記導電部間の絶縁性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の電気部品構造で、全体の構成を説明するモータの回転軸と直交する方向に沿った断面図である。
【図2】実施の形態の電気部品構造で、端子が配設される部分の模式的な平面図である。
【図3】実施の形態の実施例1の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図4】実施の形態の実施例2の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図5】実施の形態の実施例3の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図6】実施の形態の実施例4の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図7】実施の形態の実施例5の電気部品構造で、具体的な構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図8】実施の形態の実施例5の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図9】実施の形態の実施例6の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図10】実施の形態の実施例7の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図11】実施の形態の実施例8の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の電気部品構造を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至図9は、この発明の実施の形態の電気部品構造を示すものである。
【0013】
まず、全体の構成から説明すると、この実施の形態の電気部品構造では、車両等に用いられる電気部品としてのモータ1が、図1に示すように、略円筒形状のモータケース2内に収納されたロータ部材3及びステータ部材4とを有して、主に構成されている。
【0014】
このうち、前記ステータ部材4に巻かれた3相の(U相、V相、W相)の各巻線5…は、延設されて、導電部としての金属端子8…に各々接続されている。
【0015】
また、前記モータケース2の凸部内側2aには、接続部6の絶縁体としての端子台7が設けられている。
【0016】
この端子台7には、図2に示すように、前記各金属端子8…が、長手方向が平行となるように、略均等間隔で配設されて、一対の締結部材10,10が、各々用いられることにより、締結固定されている。
【0017】
更に、前記モータ1のロータ部材3には、図1に示すように、径方向中央に回転軸部9が、設けられていて、前記モータケース2との間に介装された図示省略のベアリング部材によって、この回転軸部9が、回転可能に軸支されている。
【0018】
このベアリング部材は、少ない回転摩擦によって、前記ロータ部材3を前記回転軸部9と共に、円滑に回転させるように構成されているが、回転に伴い、金属摩耗が発生して、金属粉が生成されることが知られている。
【0019】
このような金属粉は、潤滑油と共に、若しくは単独で、前記端子台7の表面に付着して、前記金属端子8,8間に生じる電界のうち、前記金属端子8,8間との間を結ぶ電気力線11に沿って、平行となる直線状に整列してしまう。
【0020】
なお、図2中、括弧()で示す逆向きの矢印は、逆方向に電流が流れた場合に発生する電気力線11の方向を示している。
【0021】
そして、この実施の形態のモータ1には、前記金属端子8,8間に生じる電気力線11…と交差する方向の磁束12,12を、対向する前記金属端子8,8間に、図2中白抜き矢印で示す方向に沿って、生じさせて、この電気力線11を打ち消す磁束を、発生させる磁束発生手段が設けられている。
【0022】
このように構成された実施の形態のモータ1では、磁束発生手段が発生させた磁束12,12の有する磁力が、前記対向する各金属端子8,8間に生じる電気力線11…と、交差する異なる方向に生じるので、この対向する各金属端子8,8間に生じている電気力線11…が打ち消される。
【0023】
このため、前記各金属端子8,8間の金属粉には、前記電気力線11…に沿って、各金属端子8,8間を繋ぐような配列の発生が妨げられて、各金属端子8,8間が、短絡しにくい。
【0024】
しかも、前記金属端子8,8間の金属粉には、金属端子8,8間を繋ぐ配列とは、異なる方向である略直交方向に、前記磁束12,12の磁力が作用して、前記金属端子8,8間の電気力線11…による金属粉の配列が、妨げられる。
【0025】
このため、前記金属端子8,8間の短絡が防止されて、これらの金属端子8,8間の絶縁性を向上させることが出来る。
【0026】
更に、この実施の形態では、金属端子8,8間を繋ぐ配列とは、異なる方向である略直交方向に、前記磁束12,12の磁力を作用させているが、完全な直交に至らなくても、略直交或いは、所定の角度で交差する方向であれば、異なる方向の範囲に含まれ、充分な作用効果の磁力を、前記金属粉に与えることが出来る。
【実施例1】
【0027】
図3は、この発明の実施の形態の実施例1の電気部品構造を示すものである。
【0028】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0029】
まず、構成から説明すると、この実施例1のモータ1では、接続部16に設けられた前記絶縁体としての端子台7に、各金属端子8,8が、略平行に配設されている。
【0030】
この端子台7には、磁束発生手段として、磁化された絶縁体13が埋設されている。
【0031】
この実施例1の絶縁体13は、図3に示すように、平面視で、前記金属端子8,8の形状と略同様に、長方形形状を呈していて、長手方向寸法L2が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されると共に、金属端子8,8の間に平行となるように、埋設されている。
【0032】
また、この絶縁体13は、図3中白抜き矢印で示すように、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する方向の磁束12を、前記金属端子8,8間に生じさせるように、予め磁化されている。
【0033】
そして、この絶縁体13により、各金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する方向の磁束12が、前記金属端子8,8間に生じるように構成されている。
【0034】
次に、この実施例1の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0035】
一般に、導電性を有する強電部位である前記金属端子8,8間に、飛来したり、或いは、潤滑油と共に、若しくは単独で、付着した金属粉は、電気力線11への通電により発生する電界の静電気力によって、引き寄せられて移動し、この電気力線11に沿って配列される虞がある。
【0036】
このような電界の静電気力で、各金属端子8,8間を電気的導通が可能な程度まで、途切れなく前記金属粉が繋がって接続されたり、又は、金属端子8,8に繋がった金属粉間の距離が近接して、放電開始電圧を越える等によって、前記金属端子8,8間が短絡することが無いように、この電界によって、金属粉が配列することを妨げる必要がある。
【0037】
この実施例1の電気部品構造では、前記金属粉に対して、前記電気力線11と交差する略直交する方向に、外力を加えて、配列を阻止する為、前記磁化された絶縁体13によって、この電気力線11と交差する方向へ、図3中白抜き矢印に示すように、磁束12を発生させて、外力となる磁束12による磁力を与える。
【0038】
このため、端子台7の表面の前記金属端子8,8間に、飛来したり、或いは、潤滑油と共に、若しくは単独で、付着した金属粉は、電気力線11の方向だけでなく、この電気力線11と略直交する交差方向に対して、磁束12の磁力が作用する。
【0039】
従って、この実施例1のモータ1では前記金属端子8,8間との間を結ぶ電気力線11に沿って、平行な直線状に整列してしまうことが無く、前記金属端子8,8間に生じる電気力線11と、交差する方向に生じた磁束12とによって、前記金属端子8,8間の金属粉の配列が妨げられて、これらの金属端子8,8間の短絡が、防止される。
【0040】
よって、前記金属端子8,8間の絶縁性を向上させることが出来、モータ1の動作信頼性を高めることができる。
【0041】
しかも、この実施例1では、図3に示すように、絶縁体13の長手方向寸法L2が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されて、前記金属端子8,8の両端部よりも、この絶縁体13の両端部13a,13aが、長手方向にはみ出すように、金属端子8,8の間に、平行に埋設されている。
【0042】
このため、前記端子台7を主に構成する絶縁材の材質を変更することなく、確実に、この端子台7表面に付着する金属粉に、磁力を作用させる磁束12を発生させることができる。
【0043】
これにより、前記端子台7を構成する絶縁材の材質を全て変更するものに比して、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0044】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0045】
図4は、この発明の実施の形態の実施例2の電気部品構造を示すものである。
【0046】
なお、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0047】
まず、構成から説明すると、この実施例2のモータ1の接続部26では、絶縁材料により構成される端子台17に、各金属端子8,8が、各一対の締結部材10,10によって、締結固定されている。
【0048】
また、この実施例2の端子台17では、絶縁材料に、予め磁性体が混入されている。
【0049】
そして、この磁性体によって、発生する磁束方向が、図4中矢印で示す前記金属端子8,8の長手方向に沿った方向となるように構成されている。
【0050】
このため、この実施例2では、各金属端子8,8間に生じる電気力線11と、略直交して交差する方向の磁束12が、図4中白抜き矢印で示すように、前記金属端子8,8間に生じるように構成されている。
【0051】
次に、この実施例2の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0052】
この実施例2では、前記実施の形態及び実施例1の作用効果に加えて、更に、前記金属端子8,8間に残留する金属粉が、図4中矢印に示すような前記金属端子8,8間に生じた電気力線11による電界によって、引き寄せられることなく、略直交して交差する白抜き矢印で示すような方向の磁束12によって、分散されて、金属粉の配列が、妨げられる。
【0053】
このため、これらの金属端子8,8間の短絡が、防止されて、前記金属端子8,8間の絶縁性を向上させることが出来、モータ1の動作信頼性を高めることができる。
【0054】
しかも、この実施例2では、端子台17を構成する絶縁材料に、予め磁性体が混入されている。
【0055】
このため、磁性体によって、発生する磁束方向を、図4中矢印で示す前記金属端子8,8の長手方向に沿った方向となるように容易に構成出来る。
【0056】
従って、別途、磁性体等の別部品を不要として、部品増による製造コストの増大を抑制出来る。
【0057】
しかも、金属端子8,8間の離間距離が狭くても、発生する磁束方向を、図4中矢印で示す前記金属端子8,8の長手方向に沿った方向となるように容易に構成出来る。
【0058】
このため、端子台17全体の寸法が大きくなることを防止できる。
【0059】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0060】
図5は、この発明の実施の形態の実施例3の電気部品構造を示すものである。
【0061】
なお、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0062】
まず、構成から説明すると、この実施例3のモータ1の接続部36では、絶縁体としての端子台7は、主に絶縁材により構成されていて、この絶縁材中には、磁束発生手段としての磁石31が埋め込まれている。
【0063】
この磁石31は、図5に示すように、平面視で、前記金属端子8,8の形状と略同様に、長方形形状を呈していて、長手方向寸法L3が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されると共に、長手方向に磁化方向32を有して、金属端子8,8の間に平行となるように、埋設されている。
【0064】
この実施例3の磁石31は、図5中白抜き矢印で示すように、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する方向の磁束12を、前記金属端子8,8間に生じさせて、前記金属端子8,8間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることを妨げる磁力を与えるように構成されている。
【0065】
次に、この実施例3の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0066】
このように構成された実施例3の電気部品構造では、前記端子台7の絶縁材料中に埋設された磁石31によって、発生する磁束12が、図5中白抜き矢印で示すように、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する。
【0067】
このため、前記金属端子8,8間では、前記金属端子8,8間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることが無いように、この磁束12による磁力によって妨げられて、金属端子間8,8の短絡が防止される。
【0068】
しかも、この実施例3では、前記端子台7を主に構成する絶縁材の材質を変更することなく、磁石31を、金属端子8,8間に埋設するだけで、確実に、この端子台7表面に付着する金属粉に、磁束12を作用させることができる。
【0069】
このため、前記端子台7を構成する絶縁材の材質を変更するものに比して、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0070】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0071】
図6は、この発明の実施の形態の実施例4の電気部品構造を示すものである。
【0072】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0073】
まず、構成から説明すると、この実施例4のモータ1の接続部46では、絶縁部材で構成される端子台7に、導電部としての複数の金属端子48…が、長手方向が平行となるように、略均等間隔で配設されて、各々一対の締結部材10,10が、用いられることにより、締結固定されている。
【0074】
この金属端子48…は、隣接配置されることにより、相対峙する部位48a,48a又は、部位48b,48b等が、同一極(S極,S極又は、N極,N極)となるように磁化されている。
【0075】
このため、図6に示すように、磁力線が最も強くなる磁束42,42の密度が高い部分を、前記電気力線の密度が高い長手方向中央部分に、一致させて、交差させるように構成されている。
【0076】
次に、この実施例4の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0077】
このように構成された実施例4の電気部品構造では、前記金属端子48,48が、図6に示すように、相対峙する部位48a,48a又は、部位48b,48b等を、同一極(S極,S極又は、N極,N極)とするように磁化されている。
【0078】
このため、発生する磁束42,42が、最も電気力線11の密度が高く、金属粉に作用する静電気力が高い金属端子48,48間で、長手方向略中央で、これらの金属端子48,48間に生じる電気力線11と交差する。
【0079】
従って、前記金属端子8,8間の金属粉が、電気力線11によって、最も配列され易い箇所で、配列を阻害出来、効率良く、この接続部46の絶縁性能を向上させることができる。
【0080】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0081】
図7及び図8は、この発明の実施の形態の実施例5の電気部品構造を示すものである。
【0082】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至4と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0083】
まず、構成から説明すると、この実施例5のモータ1の接続部56では、絶縁部材で構成される端子台7に、長手方向が平行となるように、導電部としての複数の金属端子8…が、3相(U相、V相、W相)に対応して、略均等間隔で配設されている。
【0084】
これらの金属端子8…には、相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60が、取り付けられている。
【0085】
これらの永久磁石57〜60によって、前記金属端子8…が、図7中矢印で示す磁化方向61…に磁化される。なお、図7中括弧()で示す逆向きの矢印は、前記永久磁石57〜60の極性を逆方向に変えた場合に発生する磁力による磁化方向を示している。
【0086】
次に、この実施例5の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0087】
このように構成された実施例5の電気部品構造では、前記実施例4の電気部品構造の作用効果に加えて、更に、図8に示すように、前記金属端子8,8が、前記永久磁石57〜60によって、相対峙する側面8b,8c…を、同一極(S極,S極又は、N極,N極)とするように磁化される。
【0088】
このため、磁化方向61…によって、生じる各磁束52…は、最も電気力線11の密度が高く、金属粉に作用する静電気力が高い各金属端子8,8間の長手方向略中央で、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する。
【0089】
従って、前記金属端子8,8間の金属粉が、電気力線11によって、最も、短絡を起こし易い箇所で、配列を阻害出来る。
【0090】
しかも、前記金属端子8…相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60を、取り付けるだけで、確実に磁束52…を生じさせることができるので、簡便に構成出来、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0091】
更に、この実施例5では、図7に示すように、3相以上等、複数の金属端子8…が、略均等間隔で配設されている場合、相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60が、取り付けられることにより、例えば、金属端子8,8の間に位置する金属端子8の各両側面8b,8cで、磁化方向61,61を揃えることにより、永久磁石57〜60…の配列効率を良好なものとすることが出来る。
【0092】
従って、永久磁石57〜60の数量を増大させたり、或いは、磁界強度の設定を上昇させる必要が無く、所望の絶縁性能を得られるので、この点においても、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0093】
しかも、この実施例5では、図7に示すように、各永久磁石57〜60の長手方向寸法L4が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されて、前記端子台7の上で、前記金属端子8,8の両端部8a…よりも、この各永久磁石57〜60の両端部が、長手方向にはみ出すように、金属端子8,8の間に、平行に埋設されている。
【0094】
このため、確実に、この端子台7表面に付着する金属粉に、磁束12の磁力を作用させることができる。
【0095】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至4と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例6】
【0096】
図9は、この発明の実施の形態の実施例6の電気部品構造を示すものである。
【0097】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至5と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0098】
まず、構成から説明すると、この実施例6の電気部品構造では、接続部66を構成する導電部としての金属端子68,68の表面に、あらかじめ軟磁性メッキ69,69が、各々施されている。
【0099】
この軟磁性メッキ69,69が、略全面に施された金属端子68,68のうち、長手方向略中央上面部68d,68dの表面側には、磁化方向71,71を、図9中×印若しくは、丸印で示すように、端子台7の内,外方向に与える永久磁石70,70が、各々取り付けられている。
【0100】
次に、この実施例6の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0101】
このように構成された実施例6の電気部品構造では、前記実施例5の電気部品構造の作用効果に加えて、更に、前記各永久磁石70,70の磁化方向71,71が、取り付けられた前記金属端子68,68を上,下に貫くように構成されている。
【0102】
前記金属端子68,68は、表面にあらかじめ軟磁性メッキ69,69が、各々施されているので、容易に磁化されて、発生する各磁束62…は、最も電気力線11の密度が高く、金属粉に作用する静電気力が高い各金属端子68,68間の長手方向略中央で、これらの金属端子68,68間に生じる電気力線11と交差する方向となる。
【0103】
従って、前記金属端子68,68間の金属粉が、前記電気力線11によって、引き寄せられて、最も短絡を起こし易い箇所で、配列を阻害出来る。
【0104】
しかも、前記永久磁石70,70の取り付けられる位置によらず、前記金属端子68…の表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、相対峙する各側面68b,68c…が、同一極となるように確実に磁化されて、所望の位置に、磁束62…を発生させることができる。
【0105】
このため、図9に示すように、金属端子68,68の何れの箇所、例えば、この実施例6のように、長手方向略中央上面部68d,68dの表面側に、前記永久磁石70,70を取り付けるだけで、確実に、対向する部位である側面68b,68cから、配列を妨げる磁束62…を生じさせることができる。
【0106】
従って、前記金属端子68,68の両側面68b,68c間の距離を、拡大する必要が無く、簡便に、この実施例6の構成を電気部品構造に適用出来、小型化が可能となる。
【0107】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至5と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例7】
【0108】
図10は、この発明の実施の形態の実施例7の電気部品構造を示すものである。
【0109】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至6と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0110】
まず、構成から説明すると、この実施例7の電気部品構造では、実施例6に用いられた各永久磁石70,70に代えて、電磁石80,80が用いられて、あらかじめ軟磁性メッキ69,69が施された前記導電部としての金属端子68,68が、磁化されるものである。
【0111】
この実施例7の前記電磁石80,80は、前記各金属端子68,68の表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69の上から、長手方向略中央上面部68d,68dの位置で、外周面を覆うように巻付けられたコイル81,81を有して構成されている。
【0112】
このコイル81,81は、図10中矢印で示すように、通電により、前記各金属端子68,68の長手方向に沿わせて、同じ磁化方向82,82に発生させることができる。
【0113】
なお、図10中、括弧()で示す逆向きの矢印は、前記コイル81,81に、逆方向の電流が流れた場合に発生する磁化方向82,82を示している。
【0114】
また、この実施例7の各コイル81,81は、前記金属端子68,68に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給を、これらの金属端子68,68から、行うように構成されている。
【0115】
次に、この実施例7の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0116】
この実施例7では、前記実施の形態及び実施例1乃至6の作用効果に加えて、更に、モータ1の駆動電力が、前記接続部76の各金属端子68…に流れると、この各金属端子68…に電気的に接続されている前記電磁石80,80のコイル81,81に、通電が行われる。
【0117】
コイル81,81に通電が行われると、図10中矢印で示すように、磁力が、前記各金属端子68,68の長手方向に沿って、同方向に発生して、前記金属端子68,68の磁化方向82,82を一致させる。
【0118】
前記金属端子68,68は、表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、容易に磁化されて、これらの金属端子68,68間に生じる電気力線11を妨げる方向の磁束83…を、前記金属端子68,68間に生じさせる。
【0119】
このため、前記金属端子68,68間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることが無いように、妨げられて、磁力によって、短絡が防止されて、通電性を良好なものとすることが出来る。
【0120】
また、この実施例7では、前記電磁石80,80によって、前記金属端子68,68が磁化される。
【0121】
しかも、この電磁石80,80のコイル81,81は、各金属端子68,68に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給を、この金属端子68,68から行うように構成されている。
【0122】
このため、別途、コイル81,81に電力を供給する電源を必要としないと共に、金属端子68,68の表面側に巻付けたコイル81,81に、電気的接続のみを行えばよいので、簡便に構成出来、製造コストの上昇を抑制出来ると共に、スペース効率も良好で、接続部76の大きさを肥大化させることが無い。
【0123】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至6と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例8】
【0124】
図11は、この発明の実施の形態の実施例8の電気部品構造を示すものである。
【0125】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至7と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0126】
まず、構成から説明すると、この実施例8の電気部品構造では、前記実施例7の電磁石80,80のコイル81,81が、前記あらかじめ軟磁性メッキ69,69を、各々施している金属端子88,88に、巻付けられる位置が、変更されている構成を採用している。
【0127】
この実施例8の電気部品構造では、接続部86を構成する端子台7には、この端子台7の外寸法L5よりも、長い長手方向寸法L6を有する金属端子88,88が、一定間隔を置いて、平行となるように固着されている。
【0128】
そして、前記金属端子88,88のうち、前記端子台7から、突出した一端部88e,88e近傍に、各々前記電磁石80,80のコイル81,81が、巻付けられている。
【0129】
この実施例8の各コイル81,81は、実施例7と同様に、前記金属端子88,88に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給が、これらの金属端子88,88から、行われるように構成されている。
【0130】
そして、通電により、前記各金属端子88,88の長手方向に沿わせて、同じ磁化方向82,82に、磁力を発生させることができるように構成されている。
【0131】
なお、図11中、括弧()で示す逆向きの矢印は、前記コイル81,81に、逆方向の電流が流れた場合に発生する磁化方向82,82を示している。
【0132】
次に、この実施例8の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0133】
この実施例8の電気部品構造では、前記実施の形態及び実施例1乃至7記載の電気部品構造の作用効果に加えて、更に、前記端子台7から、突出した金属端子88,88の一端部88e,88e近傍に巻付けられている前記電磁石80,80の各コイル81,81が、通電により、図11中、磁化方向82,82の磁力を発生させる。
【0134】
前記金属端子88,88は、表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、容易に磁化されて、これらの金属端子68,68間に生じる電気力線11を妨げる方向の磁束84…を、前記金属端子88,88間に生じさせる。
【0135】
このため、前記金属端子88,88間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることが無いように、妨げられて、磁力によって、短絡が防止されて、通電性を良好なものとすることが出来る。
【0136】
この実施例8では、更に、前記電磁石80,80の各コイル81,81が、前記端子台7から、突出した金属端子88,88の一端部88e,88e近傍に巻付けられていても、
通電により、図11中、磁化方向82,82の磁力を発生させることが出来、容易に、前記金属端子88,88が磁化される。
【0137】
このように、前記金属端子88,88は、表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、前記電磁石80,80の各コイル81,81が、巻付けられる位置に関わらず、前記金属端子88,88間の長手方向略中央位置の最も、静電気力が高く、金属粉が、引きつけられて短絡しやすい部位に、略直交して交差する磁束84,84…を確実に、発生させることができる。
【0138】
従って、この接続部86の絶縁性能を良好なものとしつつ、前記端子台7の上には、電磁石80,80が存在せず、一端部88e,88e近傍にコイル81,81を各々巻付けることで、設置スペースも必要とせず、レイアウトの自由度を向上させることが出来る。
【0139】
以上、図面を用いて、本発明の実施の形態及び実施例1乃至8の電気部品構造を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0140】
即ち、前記実施の形態では、3つの金属端子8…と、これらの金属端子8…を保持する端子台7とで構成される接続部6を有するモータ1を例示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、磁束発生手段が、導電部間に生じる電気力線11と、交差又は直交する異なる方向の磁束を、この電気力線11を妨げるように、対向する前記導電部間に生じさせるものであれば、少なくとも2個以上の導電部と、この導電部を保持する絶縁体とを有して構成される電気部品の何れに適用されてもよい。
【0141】
また、磁束発生手段として、実施の形態の実施例1では、磁化された絶縁体13が埋設されているものを、実施例2では、端子台17を構成する絶縁材全体に、予め磁性体が混入されているものを、実施例3では、磁石31が埋設されているものを示し、また、実施例4では、金属端子48,48自体が、磁化されているものを、実施例5では、金属端子8…には、相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60が、取り付けられているものを、実施例6では、軟磁性メッキ69が、略全面に施された金属端子68の長手方向略中央上面部68dの表面側に永久磁石70が、取り付けられたものを、更に、実施例7,8では、この永久磁石70に代えて、電磁石80を、この金属端子68の各部に取り付けて構成されるもの等を示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、一つの金属端子8に、複数の永久磁石或いは、電磁石を組み合わせて装着したり、端子台7全体若しくは、一部に埋設される磁性体と、これらの一つ或いは、複数の永久磁石或いは、電磁石を組み合わせて用いても、金属端子8,8等の導電部間に、対向する導電部間に生じる電気力線11を妨げるように、磁束12等を発生させるものであれば、どのような磁束発生手段であってもよく、形状、数量、材質、及びそれらの組み合わせが、特に限定されるものではない。
【0142】
また、前記実施例6の永久磁石70及び、実施例7,8の電磁石80は、各金属端子68…の表面略全面に、あらかじめ施された軟磁性メッキ69の上から、取付けられているが、特にこれに限らず、金属端子68が磁化し易い材質であったり、或いは、前記軟磁性メッキ69若しくは、この軟磁性メッキ69に代わる表面処理を、金属端子68の一部若しくは、全面に設けても良く、また、この軟磁性メッキ69を含む表面処理を行わなくてもよい。
【0143】
更に、前記実施例7,8の電磁石80は、前記金属端子68…に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給が、これらの金属端子68…から行われるように構成されているが、特にこれに限らず、外部の電力供給手段から、磁束を発生させる電力を供給してもよいことは当然である。
【符号の説明】
【0144】
1 モータ(電気部品)
6,16,26,36,46,56,66,76,86
接続部(電気部品の一部)
7 端子台(絶縁体)
8,48,68,88
金属端子(導電部)
11 電気力線
12,42,52,62,83,84
磁束
13 磁化された絶縁体(磁束発生手段の一つ)
17 端子台(磁束発生手段の一つ)
31 磁石(磁束発生手段の一つ)
57〜60 永久磁石(磁束発生手段の一つ)
69 軟磁性メッキ
70 永久磁石(磁束発生手段の一つ)
80 電磁石 (磁束発生手段の一つ)
81 コイル (磁束発生手段の一部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性に優れた電気部品構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却・潤滑オイルに混入する金属粉の除去能力を向上させる構成として、オイルフィルタに磁石を追加することで、オイルフィルタを通過するオイルに含まれる金属粉の収集能力を向上させるものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−200988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の磁石による金属粉の収集構造では、磁石極の近傍を通過する金属粉のみが、収集されて、金属粉の大部分は、除去することが出来なかった。
【0005】
このため、露出した端子等の導電部位に、金属粉を含有するオイルが循環すると、金属粉が、導電部位間を短絡することで、絶縁性が低下してしまうといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、金属粉による端子間の短絡を防止して、絶縁能力を向上させることが出来る電気部品構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電気部品は、少なくとも2個以上の導電部と、前記導電部を保持する絶縁体とを有して、主に構成されている。
【0008】
この電気部品構造では、該対向する導電部間に生じる電気力線と異なる方向に、磁束を発生させる磁束発生手段が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記磁束発生手段が発生させた磁束のもたらす磁力によって、該対向する導電部間に生じている電気力線が打ち消されるため、前記導電部間の絶縁性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の電気部品構造で、全体の構成を説明するモータの回転軸と直交する方向に沿った断面図である。
【図2】実施の形態の電気部品構造で、端子が配設される部分の模式的な平面図である。
【図3】実施の形態の実施例1の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図4】実施の形態の実施例2の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図5】実施の形態の実施例3の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図6】実施の形態の実施例4の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図7】実施の形態の実施例5の電気部品構造で、具体的な構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図8】実施の形態の実施例5の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図9】実施の形態の実施例6の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図10】実施の形態の実施例7の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【図11】実施の形態の実施例8の電気部品構造で、要部の構成を説明する模式的な拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の電気部品構造を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至図9は、この発明の実施の形態の電気部品構造を示すものである。
【0013】
まず、全体の構成から説明すると、この実施の形態の電気部品構造では、車両等に用いられる電気部品としてのモータ1が、図1に示すように、略円筒形状のモータケース2内に収納されたロータ部材3及びステータ部材4とを有して、主に構成されている。
【0014】
このうち、前記ステータ部材4に巻かれた3相の(U相、V相、W相)の各巻線5…は、延設されて、導電部としての金属端子8…に各々接続されている。
【0015】
また、前記モータケース2の凸部内側2aには、接続部6の絶縁体としての端子台7が設けられている。
【0016】
この端子台7には、図2に示すように、前記各金属端子8…が、長手方向が平行となるように、略均等間隔で配設されて、一対の締結部材10,10が、各々用いられることにより、締結固定されている。
【0017】
更に、前記モータ1のロータ部材3には、図1に示すように、径方向中央に回転軸部9が、設けられていて、前記モータケース2との間に介装された図示省略のベアリング部材によって、この回転軸部9が、回転可能に軸支されている。
【0018】
このベアリング部材は、少ない回転摩擦によって、前記ロータ部材3を前記回転軸部9と共に、円滑に回転させるように構成されているが、回転に伴い、金属摩耗が発生して、金属粉が生成されることが知られている。
【0019】
このような金属粉は、潤滑油と共に、若しくは単独で、前記端子台7の表面に付着して、前記金属端子8,8間に生じる電界のうち、前記金属端子8,8間との間を結ぶ電気力線11に沿って、平行となる直線状に整列してしまう。
【0020】
なお、図2中、括弧()で示す逆向きの矢印は、逆方向に電流が流れた場合に発生する電気力線11の方向を示している。
【0021】
そして、この実施の形態のモータ1には、前記金属端子8,8間に生じる電気力線11…と交差する方向の磁束12,12を、対向する前記金属端子8,8間に、図2中白抜き矢印で示す方向に沿って、生じさせて、この電気力線11を打ち消す磁束を、発生させる磁束発生手段が設けられている。
【0022】
このように構成された実施の形態のモータ1では、磁束発生手段が発生させた磁束12,12の有する磁力が、前記対向する各金属端子8,8間に生じる電気力線11…と、交差する異なる方向に生じるので、この対向する各金属端子8,8間に生じている電気力線11…が打ち消される。
【0023】
このため、前記各金属端子8,8間の金属粉には、前記電気力線11…に沿って、各金属端子8,8間を繋ぐような配列の発生が妨げられて、各金属端子8,8間が、短絡しにくい。
【0024】
しかも、前記金属端子8,8間の金属粉には、金属端子8,8間を繋ぐ配列とは、異なる方向である略直交方向に、前記磁束12,12の磁力が作用して、前記金属端子8,8間の電気力線11…による金属粉の配列が、妨げられる。
【0025】
このため、前記金属端子8,8間の短絡が防止されて、これらの金属端子8,8間の絶縁性を向上させることが出来る。
【0026】
更に、この実施の形態では、金属端子8,8間を繋ぐ配列とは、異なる方向である略直交方向に、前記磁束12,12の磁力を作用させているが、完全な直交に至らなくても、略直交或いは、所定の角度で交差する方向であれば、異なる方向の範囲に含まれ、充分な作用効果の磁力を、前記金属粉に与えることが出来る。
【実施例1】
【0027】
図3は、この発明の実施の形態の実施例1の電気部品構造を示すものである。
【0028】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0029】
まず、構成から説明すると、この実施例1のモータ1では、接続部16に設けられた前記絶縁体としての端子台7に、各金属端子8,8が、略平行に配設されている。
【0030】
この端子台7には、磁束発生手段として、磁化された絶縁体13が埋設されている。
【0031】
この実施例1の絶縁体13は、図3に示すように、平面視で、前記金属端子8,8の形状と略同様に、長方形形状を呈していて、長手方向寸法L2が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されると共に、金属端子8,8の間に平行となるように、埋設されている。
【0032】
また、この絶縁体13は、図3中白抜き矢印で示すように、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する方向の磁束12を、前記金属端子8,8間に生じさせるように、予め磁化されている。
【0033】
そして、この絶縁体13により、各金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する方向の磁束12が、前記金属端子8,8間に生じるように構成されている。
【0034】
次に、この実施例1の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0035】
一般に、導電性を有する強電部位である前記金属端子8,8間に、飛来したり、或いは、潤滑油と共に、若しくは単独で、付着した金属粉は、電気力線11への通電により発生する電界の静電気力によって、引き寄せられて移動し、この電気力線11に沿って配列される虞がある。
【0036】
このような電界の静電気力で、各金属端子8,8間を電気的導通が可能な程度まで、途切れなく前記金属粉が繋がって接続されたり、又は、金属端子8,8に繋がった金属粉間の距離が近接して、放電開始電圧を越える等によって、前記金属端子8,8間が短絡することが無いように、この電界によって、金属粉が配列することを妨げる必要がある。
【0037】
この実施例1の電気部品構造では、前記金属粉に対して、前記電気力線11と交差する略直交する方向に、外力を加えて、配列を阻止する為、前記磁化された絶縁体13によって、この電気力線11と交差する方向へ、図3中白抜き矢印に示すように、磁束12を発生させて、外力となる磁束12による磁力を与える。
【0038】
このため、端子台7の表面の前記金属端子8,8間に、飛来したり、或いは、潤滑油と共に、若しくは単独で、付着した金属粉は、電気力線11の方向だけでなく、この電気力線11と略直交する交差方向に対して、磁束12の磁力が作用する。
【0039】
従って、この実施例1のモータ1では前記金属端子8,8間との間を結ぶ電気力線11に沿って、平行な直線状に整列してしまうことが無く、前記金属端子8,8間に生じる電気力線11と、交差する方向に生じた磁束12とによって、前記金属端子8,8間の金属粉の配列が妨げられて、これらの金属端子8,8間の短絡が、防止される。
【0040】
よって、前記金属端子8,8間の絶縁性を向上させることが出来、モータ1の動作信頼性を高めることができる。
【0041】
しかも、この実施例1では、図3に示すように、絶縁体13の長手方向寸法L2が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されて、前記金属端子8,8の両端部よりも、この絶縁体13の両端部13a,13aが、長手方向にはみ出すように、金属端子8,8の間に、平行に埋設されている。
【0042】
このため、前記端子台7を主に構成する絶縁材の材質を変更することなく、確実に、この端子台7表面に付着する金属粉に、磁力を作用させる磁束12を発生させることができる。
【0043】
これにより、前記端子台7を構成する絶縁材の材質を全て変更するものに比して、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0044】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0045】
図4は、この発明の実施の形態の実施例2の電気部品構造を示すものである。
【0046】
なお、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0047】
まず、構成から説明すると、この実施例2のモータ1の接続部26では、絶縁材料により構成される端子台17に、各金属端子8,8が、各一対の締結部材10,10によって、締結固定されている。
【0048】
また、この実施例2の端子台17では、絶縁材料に、予め磁性体が混入されている。
【0049】
そして、この磁性体によって、発生する磁束方向が、図4中矢印で示す前記金属端子8,8の長手方向に沿った方向となるように構成されている。
【0050】
このため、この実施例2では、各金属端子8,8間に生じる電気力線11と、略直交して交差する方向の磁束12が、図4中白抜き矢印で示すように、前記金属端子8,8間に生じるように構成されている。
【0051】
次に、この実施例2の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0052】
この実施例2では、前記実施の形態及び実施例1の作用効果に加えて、更に、前記金属端子8,8間に残留する金属粉が、図4中矢印に示すような前記金属端子8,8間に生じた電気力線11による電界によって、引き寄せられることなく、略直交して交差する白抜き矢印で示すような方向の磁束12によって、分散されて、金属粉の配列が、妨げられる。
【0053】
このため、これらの金属端子8,8間の短絡が、防止されて、前記金属端子8,8間の絶縁性を向上させることが出来、モータ1の動作信頼性を高めることができる。
【0054】
しかも、この実施例2では、端子台17を構成する絶縁材料に、予め磁性体が混入されている。
【0055】
このため、磁性体によって、発生する磁束方向を、図4中矢印で示す前記金属端子8,8の長手方向に沿った方向となるように容易に構成出来る。
【0056】
従って、別途、磁性体等の別部品を不要として、部品増による製造コストの増大を抑制出来る。
【0057】
しかも、金属端子8,8間の離間距離が狭くても、発生する磁束方向を、図4中矢印で示す前記金属端子8,8の長手方向に沿った方向となるように容易に構成出来る。
【0058】
このため、端子台17全体の寸法が大きくなることを防止できる。
【0059】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0060】
図5は、この発明の実施の形態の実施例3の電気部品構造を示すものである。
【0061】
なお、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0062】
まず、構成から説明すると、この実施例3のモータ1の接続部36では、絶縁体としての端子台7は、主に絶縁材により構成されていて、この絶縁材中には、磁束発生手段としての磁石31が埋め込まれている。
【0063】
この磁石31は、図5に示すように、平面視で、前記金属端子8,8の形状と略同様に、長方形形状を呈していて、長手方向寸法L3が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されると共に、長手方向に磁化方向32を有して、金属端子8,8の間に平行となるように、埋設されている。
【0064】
この実施例3の磁石31は、図5中白抜き矢印で示すように、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する方向の磁束12を、前記金属端子8,8間に生じさせて、前記金属端子8,8間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることを妨げる磁力を与えるように構成されている。
【0065】
次に、この実施例3の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0066】
このように構成された実施例3の電気部品構造では、前記端子台7の絶縁材料中に埋設された磁石31によって、発生する磁束12が、図5中白抜き矢印で示すように、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する。
【0067】
このため、前記金属端子8,8間では、前記金属端子8,8間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることが無いように、この磁束12による磁力によって妨げられて、金属端子間8,8の短絡が防止される。
【0068】
しかも、この実施例3では、前記端子台7を主に構成する絶縁材の材質を変更することなく、磁石31を、金属端子8,8間に埋設するだけで、確実に、この端子台7表面に付着する金属粉に、磁束12を作用させることができる。
【0069】
このため、前記端子台7を構成する絶縁材の材質を変更するものに比して、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0070】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0071】
図6は、この発明の実施の形態の実施例4の電気部品構造を示すものである。
【0072】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0073】
まず、構成から説明すると、この実施例4のモータ1の接続部46では、絶縁部材で構成される端子台7に、導電部としての複数の金属端子48…が、長手方向が平行となるように、略均等間隔で配設されて、各々一対の締結部材10,10が、用いられることにより、締結固定されている。
【0074】
この金属端子48…は、隣接配置されることにより、相対峙する部位48a,48a又は、部位48b,48b等が、同一極(S極,S極又は、N極,N極)となるように磁化されている。
【0075】
このため、図6に示すように、磁力線が最も強くなる磁束42,42の密度が高い部分を、前記電気力線の密度が高い長手方向中央部分に、一致させて、交差させるように構成されている。
【0076】
次に、この実施例4の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0077】
このように構成された実施例4の電気部品構造では、前記金属端子48,48が、図6に示すように、相対峙する部位48a,48a又は、部位48b,48b等を、同一極(S極,S極又は、N極,N極)とするように磁化されている。
【0078】
このため、発生する磁束42,42が、最も電気力線11の密度が高く、金属粉に作用する静電気力が高い金属端子48,48間で、長手方向略中央で、これらの金属端子48,48間に生じる電気力線11と交差する。
【0079】
従って、前記金属端子8,8間の金属粉が、電気力線11によって、最も配列され易い箇所で、配列を阻害出来、効率良く、この接続部46の絶縁性能を向上させることができる。
【0080】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0081】
図7及び図8は、この発明の実施の形態の実施例5の電気部品構造を示すものである。
【0082】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至4と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0083】
まず、構成から説明すると、この実施例5のモータ1の接続部56では、絶縁部材で構成される端子台7に、長手方向が平行となるように、導電部としての複数の金属端子8…が、3相(U相、V相、W相)に対応して、略均等間隔で配設されている。
【0084】
これらの金属端子8…には、相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60が、取り付けられている。
【0085】
これらの永久磁石57〜60によって、前記金属端子8…が、図7中矢印で示す磁化方向61…に磁化される。なお、図7中括弧()で示す逆向きの矢印は、前記永久磁石57〜60の極性を逆方向に変えた場合に発生する磁力による磁化方向を示している。
【0086】
次に、この実施例5の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0087】
このように構成された実施例5の電気部品構造では、前記実施例4の電気部品構造の作用効果に加えて、更に、図8に示すように、前記金属端子8,8が、前記永久磁石57〜60によって、相対峙する側面8b,8c…を、同一極(S極,S極又は、N極,N極)とするように磁化される。
【0088】
このため、磁化方向61…によって、生じる各磁束52…は、最も電気力線11の密度が高く、金属粉に作用する静電気力が高い各金属端子8,8間の長手方向略中央で、これらの金属端子8,8間に生じる電気力線11と交差する。
【0089】
従って、前記金属端子8,8間の金属粉が、電気力線11によって、最も、短絡を起こし易い箇所で、配列を阻害出来る。
【0090】
しかも、前記金属端子8…相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60を、取り付けるだけで、確実に磁束52…を生じさせることができるので、簡便に構成出来、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0091】
更に、この実施例5では、図7に示すように、3相以上等、複数の金属端子8…が、略均等間隔で配設されている場合、相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60が、取り付けられることにより、例えば、金属端子8,8の間に位置する金属端子8の各両側面8b,8cで、磁化方向61,61を揃えることにより、永久磁石57〜60…の配列効率を良好なものとすることが出来る。
【0092】
従って、永久磁石57〜60の数量を増大させたり、或いは、磁界強度の設定を上昇させる必要が無く、所望の絶縁性能を得られるので、この点においても、製造コストの上昇を抑制出来る。
【0093】
しかも、この実施例5では、図7に示すように、各永久磁石57〜60の長手方向寸法L4が、前記金属端子8,8の長手方向寸法L1よりも長く設定されて、前記端子台7の上で、前記金属端子8,8の両端部8a…よりも、この各永久磁石57〜60の両端部が、長手方向にはみ出すように、金属端子8,8の間に、平行に埋設されている。
【0094】
このため、確実に、この端子台7表面に付着する金属粉に、磁束12の磁力を作用させることができる。
【0095】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至4と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例6】
【0096】
図9は、この発明の実施の形態の実施例6の電気部品構造を示すものである。
【0097】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至5と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0098】
まず、構成から説明すると、この実施例6の電気部品構造では、接続部66を構成する導電部としての金属端子68,68の表面に、あらかじめ軟磁性メッキ69,69が、各々施されている。
【0099】
この軟磁性メッキ69,69が、略全面に施された金属端子68,68のうち、長手方向略中央上面部68d,68dの表面側には、磁化方向71,71を、図9中×印若しくは、丸印で示すように、端子台7の内,外方向に与える永久磁石70,70が、各々取り付けられている。
【0100】
次に、この実施例6の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0101】
このように構成された実施例6の電気部品構造では、前記実施例5の電気部品構造の作用効果に加えて、更に、前記各永久磁石70,70の磁化方向71,71が、取り付けられた前記金属端子68,68を上,下に貫くように構成されている。
【0102】
前記金属端子68,68は、表面にあらかじめ軟磁性メッキ69,69が、各々施されているので、容易に磁化されて、発生する各磁束62…は、最も電気力線11の密度が高く、金属粉に作用する静電気力が高い各金属端子68,68間の長手方向略中央で、これらの金属端子68,68間に生じる電気力線11と交差する方向となる。
【0103】
従って、前記金属端子68,68間の金属粉が、前記電気力線11によって、引き寄せられて、最も短絡を起こし易い箇所で、配列を阻害出来る。
【0104】
しかも、前記永久磁石70,70の取り付けられる位置によらず、前記金属端子68…の表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、相対峙する各側面68b,68c…が、同一極となるように確実に磁化されて、所望の位置に、磁束62…を発生させることができる。
【0105】
このため、図9に示すように、金属端子68,68の何れの箇所、例えば、この実施例6のように、長手方向略中央上面部68d,68dの表面側に、前記永久磁石70,70を取り付けるだけで、確実に、対向する部位である側面68b,68cから、配列を妨げる磁束62…を生じさせることができる。
【0106】
従って、前記金属端子68,68の両側面68b,68c間の距離を、拡大する必要が無く、簡便に、この実施例6の構成を電気部品構造に適用出来、小型化が可能となる。
【0107】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至5と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例7】
【0108】
図10は、この発明の実施の形態の実施例7の電気部品構造を示すものである。
【0109】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至6と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0110】
まず、構成から説明すると、この実施例7の電気部品構造では、実施例6に用いられた各永久磁石70,70に代えて、電磁石80,80が用いられて、あらかじめ軟磁性メッキ69,69が施された前記導電部としての金属端子68,68が、磁化されるものである。
【0111】
この実施例7の前記電磁石80,80は、前記各金属端子68,68の表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69の上から、長手方向略中央上面部68d,68dの位置で、外周面を覆うように巻付けられたコイル81,81を有して構成されている。
【0112】
このコイル81,81は、図10中矢印で示すように、通電により、前記各金属端子68,68の長手方向に沿わせて、同じ磁化方向82,82に発生させることができる。
【0113】
なお、図10中、括弧()で示す逆向きの矢印は、前記コイル81,81に、逆方向の電流が流れた場合に発生する磁化方向82,82を示している。
【0114】
また、この実施例7の各コイル81,81は、前記金属端子68,68に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給を、これらの金属端子68,68から、行うように構成されている。
【0115】
次に、この実施例7の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0116】
この実施例7では、前記実施の形態及び実施例1乃至6の作用効果に加えて、更に、モータ1の駆動電力が、前記接続部76の各金属端子68…に流れると、この各金属端子68…に電気的に接続されている前記電磁石80,80のコイル81,81に、通電が行われる。
【0117】
コイル81,81に通電が行われると、図10中矢印で示すように、磁力が、前記各金属端子68,68の長手方向に沿って、同方向に発生して、前記金属端子68,68の磁化方向82,82を一致させる。
【0118】
前記金属端子68,68は、表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、容易に磁化されて、これらの金属端子68,68間に生じる電気力線11を妨げる方向の磁束83…を、前記金属端子68,68間に生じさせる。
【0119】
このため、前記金属端子68,68間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることが無いように、妨げられて、磁力によって、短絡が防止されて、通電性を良好なものとすることが出来る。
【0120】
また、この実施例7では、前記電磁石80,80によって、前記金属端子68,68が磁化される。
【0121】
しかも、この電磁石80,80のコイル81,81は、各金属端子68,68に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給を、この金属端子68,68から行うように構成されている。
【0122】
このため、別途、コイル81,81に電力を供給する電源を必要としないと共に、金属端子68,68の表面側に巻付けたコイル81,81に、電気的接続のみを行えばよいので、簡便に構成出来、製造コストの上昇を抑制出来ると共に、スペース効率も良好で、接続部76の大きさを肥大化させることが無い。
【0123】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至6と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例8】
【0124】
図11は、この発明の実施の形態の実施例8の電気部品構造を示すものである。
【0125】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至7と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0126】
まず、構成から説明すると、この実施例8の電気部品構造では、前記実施例7の電磁石80,80のコイル81,81が、前記あらかじめ軟磁性メッキ69,69を、各々施している金属端子88,88に、巻付けられる位置が、変更されている構成を採用している。
【0127】
この実施例8の電気部品構造では、接続部86を構成する端子台7には、この端子台7の外寸法L5よりも、長い長手方向寸法L6を有する金属端子88,88が、一定間隔を置いて、平行となるように固着されている。
【0128】
そして、前記金属端子88,88のうち、前記端子台7から、突出した一端部88e,88e近傍に、各々前記電磁石80,80のコイル81,81が、巻付けられている。
【0129】
この実施例8の各コイル81,81は、実施例7と同様に、前記金属端子88,88に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給が、これらの金属端子88,88から、行われるように構成されている。
【0130】
そして、通電により、前記各金属端子88,88の長手方向に沿わせて、同じ磁化方向82,82に、磁力を発生させることができるように構成されている。
【0131】
なお、図11中、括弧()で示す逆向きの矢印は、前記コイル81,81に、逆方向の電流が流れた場合に発生する磁化方向82,82を示している。
【0132】
次に、この実施例8の電気部品構造の作用効果について説明する。
【0133】
この実施例8の電気部品構造では、前記実施の形態及び実施例1乃至7記載の電気部品構造の作用効果に加えて、更に、前記端子台7から、突出した金属端子88,88の一端部88e,88e近傍に巻付けられている前記電磁石80,80の各コイル81,81が、通電により、図11中、磁化方向82,82の磁力を発生させる。
【0134】
前記金属端子88,88は、表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、容易に磁化されて、これらの金属端子68,68間に生じる電気力線11を妨げる方向の磁束84…を、前記金属端子88,88間に生じさせる。
【0135】
このため、前記金属端子88,88間に残留する金属粉が、この電気力線11によって、配列されることが無いように、妨げられて、磁力によって、短絡が防止されて、通電性を良好なものとすることが出来る。
【0136】
この実施例8では、更に、前記電磁石80,80の各コイル81,81が、前記端子台7から、突出した金属端子88,88の一端部88e,88e近傍に巻付けられていても、
通電により、図11中、磁化方向82,82の磁力を発生させることが出来、容易に、前記金属端子88,88が磁化される。
【0137】
このように、前記金属端子88,88は、表面側略全面に施された前記軟磁性メッキ69,69によって、前記電磁石80,80の各コイル81,81が、巻付けられる位置に関わらず、前記金属端子88,88間の長手方向略中央位置の最も、静電気力が高く、金属粉が、引きつけられて短絡しやすい部位に、略直交して交差する磁束84,84…を確実に、発生させることができる。
【0138】
従って、この接続部86の絶縁性能を良好なものとしつつ、前記端子台7の上には、電磁石80,80が存在せず、一端部88e,88e近傍にコイル81,81を各々巻付けることで、設置スペースも必要とせず、レイアウトの自由度を向上させることが出来る。
【0139】
以上、図面を用いて、本発明の実施の形態及び実施例1乃至8の電気部品構造を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0140】
即ち、前記実施の形態では、3つの金属端子8…と、これらの金属端子8…を保持する端子台7とで構成される接続部6を有するモータ1を例示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、磁束発生手段が、導電部間に生じる電気力線11と、交差又は直交する異なる方向の磁束を、この電気力線11を妨げるように、対向する前記導電部間に生じさせるものであれば、少なくとも2個以上の導電部と、この導電部を保持する絶縁体とを有して構成される電気部品の何れに適用されてもよい。
【0141】
また、磁束発生手段として、実施の形態の実施例1では、磁化された絶縁体13が埋設されているものを、実施例2では、端子台17を構成する絶縁材全体に、予め磁性体が混入されているものを、実施例3では、磁石31が埋設されているものを示し、また、実施例4では、金属端子48,48自体が、磁化されているものを、実施例5では、金属端子8…には、相対峙する各側面8b,8c…に、同一極となるように磁化を行う長尺板状の永久磁石57〜60が、取り付けられているものを、実施例6では、軟磁性メッキ69が、略全面に施された金属端子68の長手方向略中央上面部68dの表面側に永久磁石70が、取り付けられたものを、更に、実施例7,8では、この永久磁石70に代えて、電磁石80を、この金属端子68の各部に取り付けて構成されるもの等を示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、一つの金属端子8に、複数の永久磁石或いは、電磁石を組み合わせて装着したり、端子台7全体若しくは、一部に埋設される磁性体と、これらの一つ或いは、複数の永久磁石或いは、電磁石を組み合わせて用いても、金属端子8,8等の導電部間に、対向する導電部間に生じる電気力線11を妨げるように、磁束12等を発生させるものであれば、どのような磁束発生手段であってもよく、形状、数量、材質、及びそれらの組み合わせが、特に限定されるものではない。
【0142】
また、前記実施例6の永久磁石70及び、実施例7,8の電磁石80は、各金属端子68…の表面略全面に、あらかじめ施された軟磁性メッキ69の上から、取付けられているが、特にこれに限らず、金属端子68が磁化し易い材質であったり、或いは、前記軟磁性メッキ69若しくは、この軟磁性メッキ69に代わる表面処理を、金属端子68の一部若しくは、全面に設けても良く、また、この軟磁性メッキ69を含む表面処理を行わなくてもよい。
【0143】
更に、前記実施例7,8の電磁石80は、前記金属端子68…に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給が、これらの金属端子68…から行われるように構成されているが、特にこれに限らず、外部の電力供給手段から、磁束を発生させる電力を供給してもよいことは当然である。
【符号の説明】
【0144】
1 モータ(電気部品)
6,16,26,36,46,56,66,76,86
接続部(電気部品の一部)
7 端子台(絶縁体)
8,48,68,88
金属端子(導電部)
11 電気力線
12,42,52,62,83,84
磁束
13 磁化された絶縁体(磁束発生手段の一つ)
17 端子台(磁束発生手段の一つ)
31 磁石(磁束発生手段の一つ)
57〜60 永久磁石(磁束発生手段の一つ)
69 軟磁性メッキ
70 永久磁石(磁束発生手段の一つ)
80 電磁石 (磁束発生手段の一つ)
81 コイル (磁束発生手段の一部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個以上の導電部と、該導電部を保持する絶縁体とを有して構成される電気部品構造において、
該対向する導電部間に生じる電気力線と異なる方向に、磁束を発生させる磁束発生手段が設けられていることを特徴とする電気部品構造。
【請求項2】
前記磁束発生手段が、前記導電部間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気部品構造。
【請求項3】
前記電気力線と異なる方向とは、該電気力線と、交差若しくは、直交する方向であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気部品構造。
【請求項4】
前記磁束発生手段は、磁化された絶縁体により、磁束を生じさせるものであることを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の電気部品構造。
【請求項5】
前記磁束発生手段は、予め磁性体が混入された絶縁材料で、構成してなることを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の電気部品構造。
【請求項6】
前記絶縁体は、絶縁材中に磁石を埋め込むことにより構成されることを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の電気部品構造。
【請求項7】
前記導電部は、相対峙する部位が、同一極となるように磁化されていることを特徴とする請求項1記載の電気部品構造。
【請求項8】
前記導電部は、永久磁石を用いて磁化されることを特徴とする請求項7記載の電気部品構造。
【請求項9】
前記永久磁石は、導電部の相対峙する部位に取付けられることを特徴とする請求項8記載の電気部品構造。
【請求項10】
前記永久磁石は、あらかじめ軟磁性メッキを施した前記導電部表面に取付けられることを特徴とする請求項8又は9記載の電気部品構造。
【請求項11】
前記導電部は、電磁石を用いて磁化されることを特徴とする請求項7記載の電気部品構造。
【請求項12】
前記電磁石は、あらかじめ軟磁性メッキを施した前記導電部に、コイルを巻きつけて構成されることを特徴とする請求項11記載の電気部品構造。
【請求項13】
前記電磁石は、前記導電部に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給を、該導電部から行うように構成されていることを特徴とする請求項11又は12記載の電気部品構造。
【請求項1】
少なくとも2個以上の導電部と、該導電部を保持する絶縁体とを有して構成される電気部品構造において、
該対向する導電部間に生じる電気力線と異なる方向に、磁束を発生させる磁束発生手段が設けられていることを特徴とする電気部品構造。
【請求項2】
前記磁束発生手段が、前記導電部間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気部品構造。
【請求項3】
前記電気力線と異なる方向とは、該電気力線と、交差若しくは、直交する方向であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気部品構造。
【請求項4】
前記磁束発生手段は、磁化された絶縁体により、磁束を生じさせるものであることを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の電気部品構造。
【請求項5】
前記磁束発生手段は、予め磁性体が混入された絶縁材料で、構成してなることを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の電気部品構造。
【請求項6】
前記絶縁体は、絶縁材中に磁石を埋め込むことにより構成されることを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の電気部品構造。
【請求項7】
前記導電部は、相対峙する部位が、同一極となるように磁化されていることを特徴とする請求項1記載の電気部品構造。
【請求項8】
前記導電部は、永久磁石を用いて磁化されることを特徴とする請求項7記載の電気部品構造。
【請求項9】
前記永久磁石は、導電部の相対峙する部位に取付けられることを特徴とする請求項8記載の電気部品構造。
【請求項10】
前記永久磁石は、あらかじめ軟磁性メッキを施した前記導電部表面に取付けられることを特徴とする請求項8又は9記載の電気部品構造。
【請求項11】
前記導電部は、電磁石を用いて磁化されることを特徴とする請求項7記載の電気部品構造。
【請求項12】
前記電磁石は、あらかじめ軟磁性メッキを施した前記導電部に、コイルを巻きつけて構成されることを特徴とする請求項11記載の電気部品構造。
【請求項13】
前記電磁石は、前記導電部に電気的に接続されていて、磁力を発生させる際の電力の供給を、該導電部から行うように構成されていることを特徴とする請求項11又は12記載の電気部品構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−15488(P2011−15488A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155427(P2009−155427)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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