電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法
【解決手段】 水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン、ブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、レベラーが下記式(1)で示される4級化物又は下記式(2)で示される4級化物との共重合体
の一方又は両方である電気銅めっき浴並びにこれを用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきする電気銅めっき方法。
【効果】 小径かつ高アスペクト比を有するビアホールを、ボイドを発生させることなく穴埋めすることができ、ビアホール、スルホール混在基板のめっきにも好適である。
の一方又は両方である電気銅めっき浴並びにこれを用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきする電気銅めっき方法。
【効果】 小径かつ高アスペクト比を有するビアホールを、ボイドを発生させることなく穴埋めすることができ、ビアホール、スルホール混在基板のめっきにも好適である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小径かつ高アスペクト比を有するビアホール基板において優れた穴埋め性を有し、また、ビアホール、スルホール混在基板におけるビアフィリングとスルホールとの同時めっきにも好適である電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の小型化が進み、集積度を高くする要求に伴って、パッケージも周辺端子実装、エリア端子実装から三次元実装へと移行している。このため、半導体チップやインターポーザーも貫通電極による導通や接合が実用化に向けて研究されている。貫通電極は銅ダマシンやプリント配線板のビアフィリングと同様に電気銅めっきによりビアホールを銅めっき皮膜で充填することが求められている。また、プリント配線板においても、ビアフィリングとスルホールめっきを同時に実施することが必要となってきた。
【0003】
ビアフィルめっき工法において用いられる硫酸銅めっき浴には、添加剤として硫黄含有有機物であるブライトナーと呼ばれるめっき促進剤と、ポリエーテル化合物であるキャリアー、窒素含有化合物であるレベラーと呼ばれるめっき抑制剤とが用いられている。通常、ブライトナーは拡散速度が速く、それに比べてキャリアー、レベラーは拡散速度が遅い。従来、ビアフィル用の硫酸銅めっき浴には、レベラーの中でも特に拡散速度の遅いものを用いることで、ビアホール基板表面側(ビアホール側面上端部)へのめっきの析出を抑制し、これによりビアホール内部をめっきで穴埋めする手法が採られてきた。
【0004】
このような基板のビアフィルめっきにおいて、従来、対象としていたビアホールの径は一般的には50μm以上と大径で、アスペクト比も1以下と小さいもので、比較的扁平な形状のものであったが、集積化が進むにつれ、径が小さく、アスペクト比が高くなってきた。特に貫通電極を目的としたビアホールは、径が数〜数十μmの小径であって、深さが100μm程度のアスペクト比が高いビアホールの穴埋めを、ビアフィルめっき工法にて実施することも求められている。また、銅ダマシンはアスペクト比が高いものの、深さの絶対値は1μm程度であった。
【0005】
ビアホールの開口径が小さい場合や深い場合、ビアホールの基板表面側と底部では電位の差が大きくなるため、ビアホール内部の電流分布が悪くなる、このため、添加剤の効果が無い場合には表面付近の析出が底部の析出より多いためボイドが発生し、銅めっき皮膜で充填することはできない。まためっき液の拡散により生じる濃度勾配の差、即ち拡散層の厚さにおいては開口径が小さい場合や深い場合、ビアホール表面付近と底部ではその差は大きくなり、ビア底が厚くなる。図1にビアフィリングにおける電位及び拡散層の状態を説明するための模式図を示す。
【0006】
ビアフィルめっきは、レベラー及びブライトナーの拡散速度の違いを利用して穴埋めっきを行っている。レベラーの拡散速度は、ブライトナーの拡散速度に比べて遅く、それにより拡散層の薄い表面やビアホール表面側にはレベラーが供給されて抑制作用が働くが、一方、拡散層の厚いビアホール底面側ではレベラーがブライトナー供給に追いつかず、促進効果が支配的となり、ビアホール底面側からの皮膜が優位に成長し、ビアホールが穴埋めされる。
【0007】
しかし、高アスペクト比のビアホールを穴埋めしようとする場合、従来の低アスペクト比のビアホールのビアフィルめっきに効果的であったレベラー(例えばヤヌスグリーンなど)を用いても、レベラーの拡散速度が遅すぎるので、ビアホール基板表面側であっても少しでも(ビア底面側に近づき)拡散層が厚くなるだけでレベラーの供給が不足し、十分なめっき抑制作用が得られない、したがってビアホール底面側より電位が高く、銅イオンの供給も多いビアホール基板表面側では、ビアホール底部よりめっき皮膜が成長し、ビアホール底部付近にボイドが発生してしまう。
【0008】
また、拡散速度の遅いレベラーを用いためっき液でビアホールとスルホールの同時めっきを行うと、ビアホールを埋めることはできるが、スルホールにあっては拡散層が最も薄くなるスルホールコーナー部にレベラーのめっき抑制作用が集中し、この部分での膜厚が薄くなり、そのままでは導通に対する信頼性が著しく悪くなるため、めっき処理に時間がかかる、基板を導電化処理するなど、更に時間や工程が必要になる。
【0009】
なお、この発明に関する先行技術文献情報としては以下のものがある。
【0010】
【特許文献1】特開2003−253490号公報
【特許文献2】特開2004−43957号公報
【特許文献3】米国特許第6024857号明細書
【非特許文献1】萩原秀樹、他2名,「ビルドアップ基板用硫酸銅ビアフィリングめっき液の実用化」,表面技術協会 第101回講演大会要旨集,21D−5,p.232−233
【非特許文献2】松浪卓史、他3名,「ビアフィリング対応の硫酸銅めっき添加剤」,MES2000(第10回マイクロエレクトロニクスシンポジウム),2000年11月,p.39−42
【非特許文献3】山川統広、他3名,「ビア導通めっきの形状制御」,MES1999(第9回マイクロエレクトロニクスシンポジウム),1999年10月,p.209−212
【非特許文献4】小林健、他4名,「電気銅めっきによるビアフィリング性に及ぼす浴組成の検討」,エレクトロニクス実装学会誌,2000年,第3巻,第4号,p324−329
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、小径かつ高アスペクト比を有するビアホール基板において優れた穴埋め性を有し、また、ビアホール、スルホール混在基板におけるビアフィリングとスルホールの同時めっきにも好適な電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化1】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方である電気銅めっき浴、好ましくはブライトナーが下記式(3)乃至(6)で示されるイオウ系添加物
【化2】
(式中、R3,R4及びR5は各々炭素数1〜5のアルキル基、Mは水素原子又はアルカリ金属、aは1〜8の整数、b,c及びdは各々0又は1を示す)
から選ばれる1種又は2種以上であり、
キャリアーが下記式(7)で示されるポリアルキレングリコール
HO−(R6−O)e−H (7)
(式中、R6は炭素数2又は3のアルキレン基、eは4以上の整数を示す)
である電気銅めっき浴を用いて、基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきすれば、小径かつ高アスペクト比、特に、径が1μm以上であり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上のビアホールのみを有する基板のビアホールを良好に穴埋めできること、また、上記電気銅めっき浴によりビアホール、スルホール混在基板のビアフィリングとスルホールめっきとを同時に行うと、通常のめっき工程でめっきしてもビアホールが良好に穴埋めされると共に、スルホール肩部の膜厚が薄くならず、つきまわりにも優れた皮膜が比較的短時間で形成できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0013】
即ち、本発明は、基板上に形成されたビアホールのビアフィルめっきに用いる電気銅めっき浴であって、
水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化3】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方であることを特徴とする電気銅めっき浴を提供する。
【0014】
また、本発明は、水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてキャリアー、レベラー及びブライトナーを含有し、上記レベラーが上記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は上記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体の一方又は両方である電気銅めっき浴を用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきすることを特徴とする電気銅めっき方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、小径かつ高アスペクト比を有するビアホールの穴埋め性に優れており、ボイドを発生させることなく穴埋めすることができる。また、ビアホール、スルホール混在基板におけるビアフィリングとスルホールとの同時めっきにも好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明の電気銅めっき浴は、水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、レベラーとして、下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化4】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基であり、R1及びR2の各々は同一であっても異なっていてもよく、また、mは2以上の整数、好ましくは10〜1000の整数、p,qは各々1以上の整数、好ましくは10〜1000の整数を示す)
の一方又は両方を含有する。
【0017】
レベラーと呼ばれる含窒素化合物は、酸性浴中でカチオンとして働き、電荷の高い部分に電気的に集中してめっき皮膜の析出を抑える。この含窒素化合物は3級であっても4級であってもその効果は望めるが、正の電荷を帯びている4級化物の方がより強いめっき抑制作用があると考えられている。
【0018】
本発明の電気銅めっき浴に含まれるポリビニルイミダゾリウム4級化物は、主鎖がビニル基由来のポリマーであることから、モノマーとは異なり、フレキシブルな直鎖が立体障害の影響を緩和して、スムーズにビアホール側面に到達し、リジッドな側鎖のイミダゾールの4級化物(カチオン)が電荷の高い部分に集中して、レベラーとして強いめっき抑制作用を与えることができる。また、ビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体も、同様に作用する。
【0019】
従って、上記ポリビニルイミダゾリウム4級化物又は上記ビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体の一方又は両方をレベラーとして含有する電気銅めっき浴を用いた本発明においては、レベラーの拡散速度が従来のレベラーよりも速く、従来対象としていた大径かつ低アスペクト比のビアホールのみならず、小径かつ高アスペクト比、特に、径が1μm以上、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは5〜50μmであり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上、好ましくは2〜10であるビアホールの穴埋めに適切な拡散速度となり、レベラーがビアホール基板表面側(ビアホール側面上端部)のみならずビアホール側面上下方向中央部にも有効に供給されるのでビアホール中央部の膜厚成長が抑えられ、ビアホール底部から皮膜が優位に成長し、ボイドを発生させることなく穴埋めすることができる。
【0020】
また、ビアホールとスルホールの両方を有する基板に、本発明のめっき浴を用いてビアの穴埋めとスルホールめっきを同時に行うことは大変有効である。この基板(ビアホール、スルホール混在基板)におけるビアホールの穴径及びアスペクト比は、通常、上述のビアホールのみの基板に比べ穴径も大きく(50μm以上)でアスペクト比も1以下と小さく、比較的扁平な形状である。アスペクト比が高くなるほどビアの穴埋めは困難になるが、本発明のめっき液は高アスペクト比のビアホールの穴埋めに有効であるため、当然、このビアホールへの穴埋めにも効果的である。更に、ビアホールより拡散層の厚みが一定であるスルホールにおいてもホール内部全体にレベラーが供給され、通常のめっき工程でビアの穴埋めと同時にスルホールめっきを行ってもスルホール肩部の膜厚が薄くならず、膜厚が均一で優れた皮膜が比較的短時間で形成できる。この場合も、対象とするビアホールの径及びアスペクト比は特に限定されないが、径が1μm以上、好ましくは10〜200μm、更に好ましくは20〜100μmであり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が0.3以上、好ましくは0.5〜1であるビアホール、スルホール混在基板のめっきに好適である。
【0021】
なお、本発明において対象とするビアホールの形状は特に限定されず、開口が円形状、楕円形状、四角形等の多角形状のものを対象とし得るが、アスペクト比を規定する場合の径は、開口面の重心を通り、開口の外周上の任意の2点を結ぶ直線のうち最短のものの長さを対象とする。
【0022】
また、本発明は、例えば、図2に示されるようなシリコン等からなるインターポーザー1上にチップ2が積層された三次元実装パッケージにおいて形成される貫通電極3,4へのめっきによる穴埋めに好適である。なお、図2において、5は半田ボールである。
【0023】
本発明の電気銅めっき浴中の上記レベラーの濃度は0.01〜1000mg/L、特に0.1〜100mg/L、とりわけ0.1〜50mg/Lであることが好ましい。
【0024】
一方、本発明において、電気銅めっき浴中には、銅ソースとして硫酸銅等の水溶性銅塩が含まれ、その濃度は、例えば、硫酸銅の場合、硫酸銅5水塩として30〜300g/Lに相当する濃度である。また、本発明の電気銅めっき浴には、硫酸及び塩素イオンが含まれ、硫酸濃度は30〜300g/L、塩素イオン濃度は5〜150mg/L、特に20〜100mg/Lであることが好ましい。塩素イオン濃度が150mg/Lを超えると、アノード表面に塩化銅が生成してアノードの不動態化が起こるおそれがあり、5mg/L未満であると、抑制作用が部分的に働くようになって段地めっきになるおそれがある。
【0025】
更に、本発明の電気銅めっき浴においては、ビア底からの析出を効率よく行うため、核発生の促進剤であるブライトナー及び核成長の抑制剤であるキャリアーを添加する。ブライトナーは下記式(3)乃至(6)で示されるイオウ系添加物から選ばれる1種又は2種以上を含有していることが好ましい。
【0026】
【化5】
(式中、R3,R4及びR5は各々炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基であり、R3,R4及びR5の各々は同一であっても異なっていてもよく、また、Mは水素原子又はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、aは1〜8の整数、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは3であり、b,c及びdは各々0又は1を示す)
【0027】
このブライトナーとして具体的には、下記式(8)〜(11)で示されるものが挙げられる。
【化6】
【0028】
また、キャリアーは、下記式(7)で示されるポリアルキレングリコールを含有していることが好ましい。
HO−(R6−O)e−H (7)
(式中、R6は炭素数2又は3のアルキレン基(エチレン基又はプロピレン基)であり、R6は同一であっても異なっていてもよく、また、eは4以上、好ましくは10〜250の整数を示す)
【0029】
なお、上記アルキレングリコールとしては、平均分子量(重量平均分子量)が200以上、特に500〜15000のものが好ましい。
【0030】
ブライトナーであるイオウ系化合物には、ビアホール内部に蓄積し、ビアホール底面からめっき析出を促進させる作用がある。キャリアーには1価の銅イオンと錯体を形成し、カソード銅表面に吸着することにより分極を増大させる作用があり、これにより均一電着性が向上する。また、塩素イオンの存在下では、この錯体と塩素イオンが相互作用することにより、更に均一電着性が向上する。キャリアーが銅と錯体を形成するためにはある程度の大きさ(分子量)が必要であり、アルキレン基を4個以上含むポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールのコポリマーが好ましい。ブライトナーとキャリアーを併用することで、めっき皮膜が均一膜厚で形成できると共に、めっき皮膜を構成する銅の結晶が微細化されてめっき外観が安定化するという効果がある。
【0031】
また、上記ポリアルキレングリコールとしては、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体(コポリマー)が特に好適である。ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールは、長期使用すると、副反応生成物により硫酸銅等の水溶性銅塩を含むめっき浴用添加剤の一般的な分析管理装置であるCVSでの濃度管理が困難になる場合があるが、エチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体は、長期使用後も副反応生成物によるCVSへの影響が少ないため、濃度管理がしやすく長期使用に適していることから好適である。
【0032】
上記レベラーと、上記ブライトナー及びキャリアーとを併用すると、レベラーによるビアホール基板表面側(ビアホール側面上端部)からビアホール側面上下方向中央部のめっき抑制作用との相乗作用により、ビアホール底面側からのめっき成長が優先的に進行し、これにより比較的短時間でボイドを発生させることなく確実にビアホールを穴埋めすることができる。更に、ビアホールを充填しためっき上方に形成される窪み量を少なくできることから、基板表面(被めっき面)の膜厚を薄くすることができる。また。高電流密度でのめっきが可能となり、作業時間の短縮も期待できる。
【0033】
なお、本発明の電気銅めっき浴中の上記ブライトナーの濃度は0.1〜100mg/L、特に0.1〜30mg/Lであることが好ましい。
【0034】
また、本発明の電気銅めっき浴中の上記キャリアーの濃度は0.05〜2g/Lであることが望ましい。
【0035】
本発明においては、上述したような電気銅めっき浴を用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきする。電気めっき条件としては、従来公知の条件が適用し得るが、陰極電流密度は0.05〜5A/dm2、特に0.5〜3A/dm2とすることが好ましい。また、撹拌は、一般的に用いられている手法、例えば、エアーレーション、噴流、スキージ等を用いることが可能である。
【0036】
陽極は公知のものでよく、銅板等の可溶性アノードも不溶性アノードも用いることができ、また、めっき温度は15〜35℃、特に22〜28℃とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0038】
[比較例1]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]200mg/L、レベラーとしてJG.B[ヤヌスグリーンブラック]5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0039】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を評価するため、ビアホール開口を切出し、この断面を鏡面研磨して、ボイドの有無を観察した。ボイドが発生していたものについては、その断面形状を図3(a)〜(c)に示される3種の形状に分類した。なお、表1中、ボイド1は図3(a)に示される形状に分類されたもの、ボイド2は図3(b)に示される形状に分類されたもの、ボイド3は図3(c)に示される形状に分類されたものを示す。また、図3中、11はシリコンウエハー、12はビアホール、13は銅(めっき皮膜)、14はボイドである。
【0040】
一方、ボイドが発生していなかったものについては、ビアホールを充填しためっき上方の窪み量を測定した。なお、窪み量は、図4に示す量であり、図4中、11はシリコンウエハー、12はビアホール、13は銅(めっき皮膜)、15は窪みである。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例2]
レベラーを1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリンクロライドとした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
[比較例3]
レベラーをPVP[ポリビニルピロリドン(平均分子量40000 VP(ビニルピロリドン):VI(ビニルイミダゾール)=100:0]とした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例4]
レベラーをPVI[ポリビニルイミダゾール(平均分子量 約60000 VP(ビニルピロリドン):VI(ビニルイミダゾール)=0:100]とした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
[比較例5]
レベラーをベンジルクロライドとポリエチレンイミンの反応生成物とした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
[実施例1]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPEG[ポリエチレングリコール(平均分子量7500)]500mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約60000(上記式(2)中のp=20,q=400に相当) VP:VICl=5:95(mol比))5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0046】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0047】
[実施例2]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩50g/L、硫酸100g/L、塩素イオン70mg/L、ブライトナーとしてDDPS[N,N−ジメチル−ジチオカルバミルプロピルスルホン酸ナトリウム]15mg/L、キャリアーとしてPEG[ポリエチレングリコール(平均分子量7500)]50mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約60000(上記式(2)中のp=20,q=400に相当) VP:VICl=5:95(mol比))5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0048】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例3]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩250g/L、硫酸40g/L、塩素イオン150mg/L、ブライトナーとしてOES[O−エチル−S−(3−プロピルスルホン酸−1)ジチオカルボナートカリウム塩]0.1mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]200mg/L、レベラーとしてPVICl[ポリビニルイミダゾリウムクロライド(平均分子量 約60000(上記式(1)中のm=400に相当))]5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0050】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0051】
[実施例4]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩100g/L、硫酸250g/L、塩素イオン20mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]2000mg/L、レベラーとしてPVICl[ポリビニルイミダゾリウムクロライド(平均分子量 約60000(上記式(1)中のm=400に相当))]1mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=1A/dm2、めっき時間90分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0052】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]50mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約100000(上記式(2)中のp=400,q=400に相当) VP:VICl=50:50(mol比))100mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0053】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてDDPS[N,N−ジメチル−ジチオカルバミルプロピルスルホン酸ナトリウム]5mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]1000mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約60000(上記式(2)中のp=20,q=400に相当) VP:VICl=5:95(mol比))0.01mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=2A/dm2、めっき時間45分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0054】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
回転電極を用いたカソード分極測定による電気めっき特性の評価
更に比較例1、比較例4、比較例3、実施例1、実施例3及び実施例5のめっき液について、回転電極を用いてカソード分極測定を行い、電気化学特性を評価した。これは、電極を一定の速さで回転させることにより発生する液流により、電極表面において回転の速さに対応する物質移動を起こさせ、これによりビアホール内外での物質移動速度を擬似的に測定することができるものである。
【0057】
まず、図5に示されるような回転電極(白金22部分の径0.5mmφ)を用い、各めっき浴中で回転数0、25、50、500及び1000rpmでの電流−電位曲線(分極曲線)を測定した。回転数を変化させることで回転電極表面の拡散層の厚みが変化する。そのときの分極曲線を測定することで、ビアホール底部→ビア壁面→ビア上部及びビアホール外の相対的な評価が可能である。なお、図5中、21は芯軸、23は絶縁樹脂である。
【0058】
回転数1000rpmにおける分極曲線から、電流密度が0.5A/dm2になる電位をグラフから読み取り、その電位での回転数0、25、50及び500rpmの各々における電流密度を分極曲線より読み取った。その結果を表2に、また、分極曲線及び分極曲線から読み取った電流密度が0.5A/dm2になる電位(表2に併記する)における電流密度を回転数に対してプロットしたグラフを各々の例について、図6,7(比較例1)、図8,9(比較例4)、図10,11(比較例3)、図12,13(実施例1)、図14,15(実施例3)、及び図16,17(実施例5)に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
比較例1の場合、各回転数における電流密度は50rpm≧500rpm>1000rpmとなり、高回転領域は電流密度の差が大きく、中・低回転領域は電流密度の差が小さい。これはレベラーの拡散速度が遅すぎるため、高回転領域(拡散層薄)では抑制作用が働くが、中・低回転領域(拡散層中→厚)では抑制作用があまり働かないことを意味する。拡散速度が遅すぎると、拡散層のあまり厚くないビアホール壁面上部から中部にもレベラーの供給が十分でなく、ビアホール壁面上部から中部の析出が抑制できない。また、ビアホール底部はレベラーの供給は少ないが、電位的にビアホール壁面上部から中部より低いのでボトムアップされることは無く、図3(a)[ボイド1]に示されるような大きなボイドが発生する。
【0061】
比較例4の場合、各回転数における電流密度は50rpm>500rpm>1000rpmとなり、高回転領域になるにつれて電流密度が直線的に減少する。比較例1よりもレベラーの拡散速度が少し速くなり、中回転領域(拡散層中)でも抑制作用が働いている。しかし、高回転領域と中回転領域との電流密度の差が大きいことから、このレベラーは高アスペクト比のビア(拡散層の厚さの差が大きい)をボイドやシームなく穴埋めするにはまだ拡散が遅い。即ち、比較例1,2より拡散速度が速いこのレベラーを用いると、ビアホール壁面上部へのレベラー供給があるので上部の析出はある程度抑制されるが、ビアホール壁面中部へのレベラー供給が少ないため中部の析出を抑制できない。ビアホール底部は電位的に中部より低いのでボトムアップされることは無く、図3(b)[ボイド2]に示されるようなボイドが発生する。
【0062】
比較例3の場合、各回転数における電流密度は50rpm≒500rpm≒1000rpmとなり、高回転数領域と低回転数領域の電流密度の差がほとんど無い。即ち、拡散速度が非常に速いので、拡散層の厚さの影響を受けにくく、抑制作用の差がほとんど無い。したがってビアホール壁面や底部の抑制作用が均一に働き、ビアホールの形状に沿ってめっき皮膜が析出するため、アスペクト比の高いビアホールでは、図3(c)[ボイド3]に示されるようにビア中央部にボイド(シーム)が発生する。
【0063】
これら比較例に対して、実施例1,3及び5の場合、各回転数における電流密度はいずれも50rpm>500rpm≒1000rpmとなり、500〜1000rpm間の電流密度の差が、比較例1や比較例4と比べ小さく、かつ50rpmでの電流密度においては、比較例3とは異なり、500rpm及び1000rpmと比べ、ある程度高くなっている。即ち、拡散速度が比較例1や比較例4より速く、比較例3より遅い。このような拡散速度のレベラーは、拡散層がある程度厚いビアホール壁面上部から中部にかけても拡散速度がある程度速いので、レベラーを供給することができ、析出を抑制することができる。また、ビアホール壁面上部から中部より拡散層の厚いビアホール底部はレベラーの供給が不足し、抑制作用が小さく、十分な速度でめっき皮膜が成長することから、ボイドが発生することなくビアホールが穴埋めされる。このような拡散速度を有するレベラーが、高アスペクト比のビアホールの穴埋めに適したレベラーである。
【0064】
[比較例6]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例1記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行った。
【0065】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を評価するため、断面を切出し、この断面を鏡面研磨して、ビアホールを充填しためっき上方の窪み量を測定した。なお、窪み量は、図18に示す量であり、図18中、101は樹脂層、102はビアホール、103は銅層、104は銅(めっき皮膜)、105は窪みである。結果を表3に示す。
【0066】
また、スルホールへのめっき状態を評価するため、スルホールの開口の中心を通る縦断面を切出し、この縦断面を鏡面研磨して、図19に示される基板表面上に形成されためっき皮膜の厚さxと、スルホール側面上端(縦断面における基板コーナー)に形成されためっき皮膜の厚さ(スルホール側面に対して135°の位置における厚さ)yとを測定しそれらの比(y/x)を算出した。結果を表3に併記する。なお、図19中、111は樹脂層、112は銅層、113は銅(めっき皮膜)、116はスルホールである。
【0067】
[比較例7]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例2記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0068】
[比較例8]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例3記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0069】
[比較例9]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例4記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0070】
[比較例10]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例5記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0071】
[実施例7]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例1記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0072】
[実施例8]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例2記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0073】
[実施例9]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例3記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0074】
[実施例10]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例4記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=2A/dm2、めっき時間45分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0075】
[実施例11]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例5記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=3A/dm2、めっき時間30分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0076】
[実施例12]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例6記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=5A/dm2、めっき時間18分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
この場合、全ての比較例及び実施例においてビアホールのめっきはボイドの発生無く可能であったが、比較例8は、窪み量が大きくなり、穴埋めされること無くビアホールの形状どおりのめっき析出であった。スルホール側面上端(図19に示される縦断面における基板コーナー部)のめっき皮膜は、比較例6,7,9及び10においては膜厚が薄く、基板表面の膜厚に対して最大のものでも50%以下の不十分なものであった。これに対して実施例の場合、ビアホールは窪み量が十分少ない状態で穴埋めされると共に、スルホール側面上端(図19に示される縦断面における基板コーナー部)のめっき皮膜はいずれも基板表面の膜厚に対して少なくとも68%あり、ほぼ基板形状どおりにめっき皮膜が形成されていた。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】ビアフィリングにおける電位及び拡散層の状態を説明するための模式図である。
【図2】三次元実装パッケージの一例を示す断面図である。
【図3】比較例1〜5において、ボイドが発生したビアホールの形状を分類するためのビアホールの概念縦断面図であり、(a)〜(c)は各々ボイド1〜3に分類される形状を示す図である。
【図4】実施例1〜6において測定したビアホールを充填しためっき上方の窪み量の説明図である。
【図5】分極測定において用いた回転電極とその動作の説明図であり、(a)は縦断面図、(b)は下面図である。
【図6】比較例1の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図7】図6の各回転数の分極曲線において、電位−0.050Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図8】比較例4の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図9】図8の各回転数の分極曲線において、電位−0.028Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図10】比較例3の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図11】図10の各回転数の分極曲線において、電位−0.080Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図12】実施例1の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図13】図12の各回転数の分極曲線において、電位−0.080Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図14】実施例3の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図15】図14の各回転数の分極曲線において、電位−0.035Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図16】実施例5の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図17】図16の各回転数の分極曲線において、電位−0.035Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図18】比較例6〜10及び実施例7〜12において測定したビアホールを充填しためっき上方の窪み量の説明図である。
【図19】比較例6〜10及び実施例7〜12において測定した基板表面上に形成されためっき皮膜の厚さxと、スルホール側面上端に形成されためっき皮膜の厚さyの説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 インターポーザー
2 チップ
3,4 貫通電極
5 半田ボール
11 シリコンウエハー
12,102 ビアホール
13,104,113 銅(めっき皮膜)
14 ボイド
15,105 窪み
21 芯軸
22 白金
23 絶縁樹脂
101,111 樹脂層
103,112 銅層
116 スルホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、小径かつ高アスペクト比を有するビアホール基板において優れた穴埋め性を有し、また、ビアホール、スルホール混在基板におけるビアフィリングとスルホールとの同時めっきにも好適である電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の小型化が進み、集積度を高くする要求に伴って、パッケージも周辺端子実装、エリア端子実装から三次元実装へと移行している。このため、半導体チップやインターポーザーも貫通電極による導通や接合が実用化に向けて研究されている。貫通電極は銅ダマシンやプリント配線板のビアフィリングと同様に電気銅めっきによりビアホールを銅めっき皮膜で充填することが求められている。また、プリント配線板においても、ビアフィリングとスルホールめっきを同時に実施することが必要となってきた。
【0003】
ビアフィルめっき工法において用いられる硫酸銅めっき浴には、添加剤として硫黄含有有機物であるブライトナーと呼ばれるめっき促進剤と、ポリエーテル化合物であるキャリアー、窒素含有化合物であるレベラーと呼ばれるめっき抑制剤とが用いられている。通常、ブライトナーは拡散速度が速く、それに比べてキャリアー、レベラーは拡散速度が遅い。従来、ビアフィル用の硫酸銅めっき浴には、レベラーの中でも特に拡散速度の遅いものを用いることで、ビアホール基板表面側(ビアホール側面上端部)へのめっきの析出を抑制し、これによりビアホール内部をめっきで穴埋めする手法が採られてきた。
【0004】
このような基板のビアフィルめっきにおいて、従来、対象としていたビアホールの径は一般的には50μm以上と大径で、アスペクト比も1以下と小さいもので、比較的扁平な形状のものであったが、集積化が進むにつれ、径が小さく、アスペクト比が高くなってきた。特に貫通電極を目的としたビアホールは、径が数〜数十μmの小径であって、深さが100μm程度のアスペクト比が高いビアホールの穴埋めを、ビアフィルめっき工法にて実施することも求められている。また、銅ダマシンはアスペクト比が高いものの、深さの絶対値は1μm程度であった。
【0005】
ビアホールの開口径が小さい場合や深い場合、ビアホールの基板表面側と底部では電位の差が大きくなるため、ビアホール内部の電流分布が悪くなる、このため、添加剤の効果が無い場合には表面付近の析出が底部の析出より多いためボイドが発生し、銅めっき皮膜で充填することはできない。まためっき液の拡散により生じる濃度勾配の差、即ち拡散層の厚さにおいては開口径が小さい場合や深い場合、ビアホール表面付近と底部ではその差は大きくなり、ビア底が厚くなる。図1にビアフィリングにおける電位及び拡散層の状態を説明するための模式図を示す。
【0006】
ビアフィルめっきは、レベラー及びブライトナーの拡散速度の違いを利用して穴埋めっきを行っている。レベラーの拡散速度は、ブライトナーの拡散速度に比べて遅く、それにより拡散層の薄い表面やビアホール表面側にはレベラーが供給されて抑制作用が働くが、一方、拡散層の厚いビアホール底面側ではレベラーがブライトナー供給に追いつかず、促進効果が支配的となり、ビアホール底面側からの皮膜が優位に成長し、ビアホールが穴埋めされる。
【0007】
しかし、高アスペクト比のビアホールを穴埋めしようとする場合、従来の低アスペクト比のビアホールのビアフィルめっきに効果的であったレベラー(例えばヤヌスグリーンなど)を用いても、レベラーの拡散速度が遅すぎるので、ビアホール基板表面側であっても少しでも(ビア底面側に近づき)拡散層が厚くなるだけでレベラーの供給が不足し、十分なめっき抑制作用が得られない、したがってビアホール底面側より電位が高く、銅イオンの供給も多いビアホール基板表面側では、ビアホール底部よりめっき皮膜が成長し、ビアホール底部付近にボイドが発生してしまう。
【0008】
また、拡散速度の遅いレベラーを用いためっき液でビアホールとスルホールの同時めっきを行うと、ビアホールを埋めることはできるが、スルホールにあっては拡散層が最も薄くなるスルホールコーナー部にレベラーのめっき抑制作用が集中し、この部分での膜厚が薄くなり、そのままでは導通に対する信頼性が著しく悪くなるため、めっき処理に時間がかかる、基板を導電化処理するなど、更に時間や工程が必要になる。
【0009】
なお、この発明に関する先行技術文献情報としては以下のものがある。
【0010】
【特許文献1】特開2003−253490号公報
【特許文献2】特開2004−43957号公報
【特許文献3】米国特許第6024857号明細書
【非特許文献1】萩原秀樹、他2名,「ビルドアップ基板用硫酸銅ビアフィリングめっき液の実用化」,表面技術協会 第101回講演大会要旨集,21D−5,p.232−233
【非特許文献2】松浪卓史、他3名,「ビアフィリング対応の硫酸銅めっき添加剤」,MES2000(第10回マイクロエレクトロニクスシンポジウム),2000年11月,p.39−42
【非特許文献3】山川統広、他3名,「ビア導通めっきの形状制御」,MES1999(第9回マイクロエレクトロニクスシンポジウム),1999年10月,p.209−212
【非特許文献4】小林健、他4名,「電気銅めっきによるビアフィリング性に及ぼす浴組成の検討」,エレクトロニクス実装学会誌,2000年,第3巻,第4号,p324−329
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、小径かつ高アスペクト比を有するビアホール基板において優れた穴埋め性を有し、また、ビアホール、スルホール混在基板におけるビアフィリングとスルホールの同時めっきにも好適な電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化1】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方である電気銅めっき浴、好ましくはブライトナーが下記式(3)乃至(6)で示されるイオウ系添加物
【化2】
(式中、R3,R4及びR5は各々炭素数1〜5のアルキル基、Mは水素原子又はアルカリ金属、aは1〜8の整数、b,c及びdは各々0又は1を示す)
から選ばれる1種又は2種以上であり、
キャリアーが下記式(7)で示されるポリアルキレングリコール
HO−(R6−O)e−H (7)
(式中、R6は炭素数2又は3のアルキレン基、eは4以上の整数を示す)
である電気銅めっき浴を用いて、基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきすれば、小径かつ高アスペクト比、特に、径が1μm以上であり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上のビアホールのみを有する基板のビアホールを良好に穴埋めできること、また、上記電気銅めっき浴によりビアホール、スルホール混在基板のビアフィリングとスルホールめっきとを同時に行うと、通常のめっき工程でめっきしてもビアホールが良好に穴埋めされると共に、スルホール肩部の膜厚が薄くならず、つきまわりにも優れた皮膜が比較的短時間で形成できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0013】
即ち、本発明は、基板上に形成されたビアホールのビアフィルめっきに用いる電気銅めっき浴であって、
水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化3】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方であることを特徴とする電気銅めっき浴を提供する。
【0014】
また、本発明は、水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてキャリアー、レベラー及びブライトナーを含有し、上記レベラーが上記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は上記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体の一方又は両方である電気銅めっき浴を用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきすることを特徴とする電気銅めっき方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、小径かつ高アスペクト比を有するビアホールの穴埋め性に優れており、ボイドを発生させることなく穴埋めすることができる。また、ビアホール、スルホール混在基板におけるビアフィリングとスルホールとの同時めっきにも好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明の電気銅めっき浴は、水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、レベラーとして、下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化4】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基であり、R1及びR2の各々は同一であっても異なっていてもよく、また、mは2以上の整数、好ましくは10〜1000の整数、p,qは各々1以上の整数、好ましくは10〜1000の整数を示す)
の一方又は両方を含有する。
【0017】
レベラーと呼ばれる含窒素化合物は、酸性浴中でカチオンとして働き、電荷の高い部分に電気的に集中してめっき皮膜の析出を抑える。この含窒素化合物は3級であっても4級であってもその効果は望めるが、正の電荷を帯びている4級化物の方がより強いめっき抑制作用があると考えられている。
【0018】
本発明の電気銅めっき浴に含まれるポリビニルイミダゾリウム4級化物は、主鎖がビニル基由来のポリマーであることから、モノマーとは異なり、フレキシブルな直鎖が立体障害の影響を緩和して、スムーズにビアホール側面に到達し、リジッドな側鎖のイミダゾールの4級化物(カチオン)が電荷の高い部分に集中して、レベラーとして強いめっき抑制作用を与えることができる。また、ビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体も、同様に作用する。
【0019】
従って、上記ポリビニルイミダゾリウム4級化物又は上記ビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体の一方又は両方をレベラーとして含有する電気銅めっき浴を用いた本発明においては、レベラーの拡散速度が従来のレベラーよりも速く、従来対象としていた大径かつ低アスペクト比のビアホールのみならず、小径かつ高アスペクト比、特に、径が1μm以上、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは5〜50μmであり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上、好ましくは2〜10であるビアホールの穴埋めに適切な拡散速度となり、レベラーがビアホール基板表面側(ビアホール側面上端部)のみならずビアホール側面上下方向中央部にも有効に供給されるのでビアホール中央部の膜厚成長が抑えられ、ビアホール底部から皮膜が優位に成長し、ボイドを発生させることなく穴埋めすることができる。
【0020】
また、ビアホールとスルホールの両方を有する基板に、本発明のめっき浴を用いてビアの穴埋めとスルホールめっきを同時に行うことは大変有効である。この基板(ビアホール、スルホール混在基板)におけるビアホールの穴径及びアスペクト比は、通常、上述のビアホールのみの基板に比べ穴径も大きく(50μm以上)でアスペクト比も1以下と小さく、比較的扁平な形状である。アスペクト比が高くなるほどビアの穴埋めは困難になるが、本発明のめっき液は高アスペクト比のビアホールの穴埋めに有効であるため、当然、このビアホールへの穴埋めにも効果的である。更に、ビアホールより拡散層の厚みが一定であるスルホールにおいてもホール内部全体にレベラーが供給され、通常のめっき工程でビアの穴埋めと同時にスルホールめっきを行ってもスルホール肩部の膜厚が薄くならず、膜厚が均一で優れた皮膜が比較的短時間で形成できる。この場合も、対象とするビアホールの径及びアスペクト比は特に限定されないが、径が1μm以上、好ましくは10〜200μm、更に好ましくは20〜100μmであり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が0.3以上、好ましくは0.5〜1であるビアホール、スルホール混在基板のめっきに好適である。
【0021】
なお、本発明において対象とするビアホールの形状は特に限定されず、開口が円形状、楕円形状、四角形等の多角形状のものを対象とし得るが、アスペクト比を規定する場合の径は、開口面の重心を通り、開口の外周上の任意の2点を結ぶ直線のうち最短のものの長さを対象とする。
【0022】
また、本発明は、例えば、図2に示されるようなシリコン等からなるインターポーザー1上にチップ2が積層された三次元実装パッケージにおいて形成される貫通電極3,4へのめっきによる穴埋めに好適である。なお、図2において、5は半田ボールである。
【0023】
本発明の電気銅めっき浴中の上記レベラーの濃度は0.01〜1000mg/L、特に0.1〜100mg/L、とりわけ0.1〜50mg/Lであることが好ましい。
【0024】
一方、本発明において、電気銅めっき浴中には、銅ソースとして硫酸銅等の水溶性銅塩が含まれ、その濃度は、例えば、硫酸銅の場合、硫酸銅5水塩として30〜300g/Lに相当する濃度である。また、本発明の電気銅めっき浴には、硫酸及び塩素イオンが含まれ、硫酸濃度は30〜300g/L、塩素イオン濃度は5〜150mg/L、特に20〜100mg/Lであることが好ましい。塩素イオン濃度が150mg/Lを超えると、アノード表面に塩化銅が生成してアノードの不動態化が起こるおそれがあり、5mg/L未満であると、抑制作用が部分的に働くようになって段地めっきになるおそれがある。
【0025】
更に、本発明の電気銅めっき浴においては、ビア底からの析出を効率よく行うため、核発生の促進剤であるブライトナー及び核成長の抑制剤であるキャリアーを添加する。ブライトナーは下記式(3)乃至(6)で示されるイオウ系添加物から選ばれる1種又は2種以上を含有していることが好ましい。
【0026】
【化5】
(式中、R3,R4及びR5は各々炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基であり、R3,R4及びR5の各々は同一であっても異なっていてもよく、また、Mは水素原子又はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、aは1〜8の整数、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは3であり、b,c及びdは各々0又は1を示す)
【0027】
このブライトナーとして具体的には、下記式(8)〜(11)で示されるものが挙げられる。
【化6】
【0028】
また、キャリアーは、下記式(7)で示されるポリアルキレングリコールを含有していることが好ましい。
HO−(R6−O)e−H (7)
(式中、R6は炭素数2又は3のアルキレン基(エチレン基又はプロピレン基)であり、R6は同一であっても異なっていてもよく、また、eは4以上、好ましくは10〜250の整数を示す)
【0029】
なお、上記アルキレングリコールとしては、平均分子量(重量平均分子量)が200以上、特に500〜15000のものが好ましい。
【0030】
ブライトナーであるイオウ系化合物には、ビアホール内部に蓄積し、ビアホール底面からめっき析出を促進させる作用がある。キャリアーには1価の銅イオンと錯体を形成し、カソード銅表面に吸着することにより分極を増大させる作用があり、これにより均一電着性が向上する。また、塩素イオンの存在下では、この錯体と塩素イオンが相互作用することにより、更に均一電着性が向上する。キャリアーが銅と錯体を形成するためにはある程度の大きさ(分子量)が必要であり、アルキレン基を4個以上含むポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールのコポリマーが好ましい。ブライトナーとキャリアーを併用することで、めっき皮膜が均一膜厚で形成できると共に、めっき皮膜を構成する銅の結晶が微細化されてめっき外観が安定化するという効果がある。
【0031】
また、上記ポリアルキレングリコールとしては、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体(コポリマー)が特に好適である。ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールは、長期使用すると、副反応生成物により硫酸銅等の水溶性銅塩を含むめっき浴用添加剤の一般的な分析管理装置であるCVSでの濃度管理が困難になる場合があるが、エチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体は、長期使用後も副反応生成物によるCVSへの影響が少ないため、濃度管理がしやすく長期使用に適していることから好適である。
【0032】
上記レベラーと、上記ブライトナー及びキャリアーとを併用すると、レベラーによるビアホール基板表面側(ビアホール側面上端部)からビアホール側面上下方向中央部のめっき抑制作用との相乗作用により、ビアホール底面側からのめっき成長が優先的に進行し、これにより比較的短時間でボイドを発生させることなく確実にビアホールを穴埋めすることができる。更に、ビアホールを充填しためっき上方に形成される窪み量を少なくできることから、基板表面(被めっき面)の膜厚を薄くすることができる。また。高電流密度でのめっきが可能となり、作業時間の短縮も期待できる。
【0033】
なお、本発明の電気銅めっき浴中の上記ブライトナーの濃度は0.1〜100mg/L、特に0.1〜30mg/Lであることが好ましい。
【0034】
また、本発明の電気銅めっき浴中の上記キャリアーの濃度は0.05〜2g/Lであることが望ましい。
【0035】
本発明においては、上述したような電気銅めっき浴を用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきする。電気めっき条件としては、従来公知の条件が適用し得るが、陰極電流密度は0.05〜5A/dm2、特に0.5〜3A/dm2とすることが好ましい。また、撹拌は、一般的に用いられている手法、例えば、エアーレーション、噴流、スキージ等を用いることが可能である。
【0036】
陽極は公知のものでよく、銅板等の可溶性アノードも不溶性アノードも用いることができ、また、めっき温度は15〜35℃、特に22〜28℃とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0038】
[比較例1]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]200mg/L、レベラーとしてJG.B[ヤヌスグリーンブラック]5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0039】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を評価するため、ビアホール開口を切出し、この断面を鏡面研磨して、ボイドの有無を観察した。ボイドが発生していたものについては、その断面形状を図3(a)〜(c)に示される3種の形状に分類した。なお、表1中、ボイド1は図3(a)に示される形状に分類されたもの、ボイド2は図3(b)に示される形状に分類されたもの、ボイド3は図3(c)に示される形状に分類されたものを示す。また、図3中、11はシリコンウエハー、12はビアホール、13は銅(めっき皮膜)、14はボイドである。
【0040】
一方、ボイドが発生していなかったものについては、ビアホールを充填しためっき上方の窪み量を測定した。なお、窪み量は、図4に示す量であり、図4中、11はシリコンウエハー、12はビアホール、13は銅(めっき皮膜)、15は窪みである。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例2]
レベラーを1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリンクロライドとした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
[比較例3]
レベラーをPVP[ポリビニルピロリドン(平均分子量40000 VP(ビニルピロリドン):VI(ビニルイミダゾール)=100:0]とした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例4]
レベラーをPVI[ポリビニルイミダゾール(平均分子量 約60000 VP(ビニルピロリドン):VI(ビニルイミダゾール)=0:100]とした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
[比較例5]
レベラーをベンジルクロライドとポリエチレンイミンの反応生成物とした以外は比較例1と同様にしてビアフィルめっきを行い、ビアホールへのめっき充填状態を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
[実施例1]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPEG[ポリエチレングリコール(平均分子量7500)]500mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約60000(上記式(2)中のp=20,q=400に相当) VP:VICl=5:95(mol比))5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0046】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0047】
[実施例2]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩50g/L、硫酸100g/L、塩素イオン70mg/L、ブライトナーとしてDDPS[N,N−ジメチル−ジチオカルバミルプロピルスルホン酸ナトリウム]15mg/L、キャリアーとしてPEG[ポリエチレングリコール(平均分子量7500)]50mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約60000(上記式(2)中のp=20,q=400に相当) VP:VICl=5:95(mol比))5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0048】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例3]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩250g/L、硫酸40g/L、塩素イオン150mg/L、ブライトナーとしてOES[O−エチル−S−(3−プロピルスルホン酸−1)ジチオカルボナートカリウム塩]0.1mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]200mg/L、レベラーとしてPVICl[ポリビニルイミダゾリウムクロライド(平均分子量 約60000(上記式(1)中のm=400に相当))]5mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=0.5A/dm2、めっき時間180分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0050】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0051】
[実施例4]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩100g/L、硫酸250g/L、塩素イオン20mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]2000mg/L、レベラーとしてPVICl[ポリビニルイミダゾリウムクロライド(平均分子量 約60000(上記式(1)中のm=400に相当))]1mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=1A/dm2、めっき時間90分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0052】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてSPS[ビス−(3−ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド]2mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]50mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約100000(上記式(2)中のp=400,q=400に相当) VP:VICl=50:50(mol比))100mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0053】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
シリコンウエハーにエッチングで、開口部を50μm角、深さ150μm、アスペクト比3.0のビアホールを形成し、そのビア内壁に絶縁層を形成後、めっき下地層としてCuの拡散バリア層(TiN)、及びめっき開始のシード層(Cu)を成膜したものに、硫酸銅5水塩200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/L、ブライトナーとしてDDPS[N,N−ジメチル−ジチオカルバミルプロピルスルホン酸ナトリウム]5mg/L、キャリアーとしてPO−EO[エチレングリコール−プロピレングリコール共重合物(平均分子量1500)]1000mg/L、レベラーとしてビニルピロリドン(VP)とビニルイミダゾリウムクロライド(VICl)との共重合物(平均分子量 約60000(上記式(2)中のp=20,q=400に相当) VP:VICl=5:95(mol比))0.01mg/Lを含有する電気銅めっき浴を用い、Dk=2A/dm2、めっき時間45分の条件でビアフィルめっきを行った。
【0054】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を比較例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
回転電極を用いたカソード分極測定による電気めっき特性の評価
更に比較例1、比較例4、比較例3、実施例1、実施例3及び実施例5のめっき液について、回転電極を用いてカソード分極測定を行い、電気化学特性を評価した。これは、電極を一定の速さで回転させることにより発生する液流により、電極表面において回転の速さに対応する物質移動を起こさせ、これによりビアホール内外での物質移動速度を擬似的に測定することができるものである。
【0057】
まず、図5に示されるような回転電極(白金22部分の径0.5mmφ)を用い、各めっき浴中で回転数0、25、50、500及び1000rpmでの電流−電位曲線(分極曲線)を測定した。回転数を変化させることで回転電極表面の拡散層の厚みが変化する。そのときの分極曲線を測定することで、ビアホール底部→ビア壁面→ビア上部及びビアホール外の相対的な評価が可能である。なお、図5中、21は芯軸、23は絶縁樹脂である。
【0058】
回転数1000rpmにおける分極曲線から、電流密度が0.5A/dm2になる電位をグラフから読み取り、その電位での回転数0、25、50及び500rpmの各々における電流密度を分極曲線より読み取った。その結果を表2に、また、分極曲線及び分極曲線から読み取った電流密度が0.5A/dm2になる電位(表2に併記する)における電流密度を回転数に対してプロットしたグラフを各々の例について、図6,7(比較例1)、図8,9(比較例4)、図10,11(比較例3)、図12,13(実施例1)、図14,15(実施例3)、及び図16,17(実施例5)に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
比較例1の場合、各回転数における電流密度は50rpm≧500rpm>1000rpmとなり、高回転領域は電流密度の差が大きく、中・低回転領域は電流密度の差が小さい。これはレベラーの拡散速度が遅すぎるため、高回転領域(拡散層薄)では抑制作用が働くが、中・低回転領域(拡散層中→厚)では抑制作用があまり働かないことを意味する。拡散速度が遅すぎると、拡散層のあまり厚くないビアホール壁面上部から中部にもレベラーの供給が十分でなく、ビアホール壁面上部から中部の析出が抑制できない。また、ビアホール底部はレベラーの供給は少ないが、電位的にビアホール壁面上部から中部より低いのでボトムアップされることは無く、図3(a)[ボイド1]に示されるような大きなボイドが発生する。
【0061】
比較例4の場合、各回転数における電流密度は50rpm>500rpm>1000rpmとなり、高回転領域になるにつれて電流密度が直線的に減少する。比較例1よりもレベラーの拡散速度が少し速くなり、中回転領域(拡散層中)でも抑制作用が働いている。しかし、高回転領域と中回転領域との電流密度の差が大きいことから、このレベラーは高アスペクト比のビア(拡散層の厚さの差が大きい)をボイドやシームなく穴埋めするにはまだ拡散が遅い。即ち、比較例1,2より拡散速度が速いこのレベラーを用いると、ビアホール壁面上部へのレベラー供給があるので上部の析出はある程度抑制されるが、ビアホール壁面中部へのレベラー供給が少ないため中部の析出を抑制できない。ビアホール底部は電位的に中部より低いのでボトムアップされることは無く、図3(b)[ボイド2]に示されるようなボイドが発生する。
【0062】
比較例3の場合、各回転数における電流密度は50rpm≒500rpm≒1000rpmとなり、高回転数領域と低回転数領域の電流密度の差がほとんど無い。即ち、拡散速度が非常に速いので、拡散層の厚さの影響を受けにくく、抑制作用の差がほとんど無い。したがってビアホール壁面や底部の抑制作用が均一に働き、ビアホールの形状に沿ってめっき皮膜が析出するため、アスペクト比の高いビアホールでは、図3(c)[ボイド3]に示されるようにビア中央部にボイド(シーム)が発生する。
【0063】
これら比較例に対して、実施例1,3及び5の場合、各回転数における電流密度はいずれも50rpm>500rpm≒1000rpmとなり、500〜1000rpm間の電流密度の差が、比較例1や比較例4と比べ小さく、かつ50rpmでの電流密度においては、比較例3とは異なり、500rpm及び1000rpmと比べ、ある程度高くなっている。即ち、拡散速度が比較例1や比較例4より速く、比較例3より遅い。このような拡散速度のレベラーは、拡散層がある程度厚いビアホール壁面上部から中部にかけても拡散速度がある程度速いので、レベラーを供給することができ、析出を抑制することができる。また、ビアホール壁面上部から中部より拡散層の厚いビアホール底部はレベラーの供給が不足し、抑制作用が小さく、十分な速度でめっき皮膜が成長することから、ボイドが発生することなくビアホールが穴埋めされる。このような拡散速度を有するレベラーが、高アスペクト比のビアホールの穴埋めに適したレベラーである。
【0064】
[比較例6]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例1記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行った。
【0065】
次に、ビアホールへのめっき充填状態を評価するため、断面を切出し、この断面を鏡面研磨して、ビアホールを充填しためっき上方の窪み量を測定した。なお、窪み量は、図18に示す量であり、図18中、101は樹脂層、102はビアホール、103は銅層、104は銅(めっき皮膜)、105は窪みである。結果を表3に示す。
【0066】
また、スルホールへのめっき状態を評価するため、スルホールの開口の中心を通る縦断面を切出し、この縦断面を鏡面研磨して、図19に示される基板表面上に形成されためっき皮膜の厚さxと、スルホール側面上端(縦断面における基板コーナー)に形成されためっき皮膜の厚さ(スルホール側面に対して135°の位置における厚さ)yとを測定しそれらの比(y/x)を算出した。結果を表3に併記する。なお、図19中、111は樹脂層、112は銅層、113は銅(めっき皮膜)、116はスルホールである。
【0067】
[比較例7]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例2記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0068】
[比較例8]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例3記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0069】
[比較例9]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例4記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0070】
[比較例10]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、比較例5記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0071】
[実施例7]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例1記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0072】
[実施例8]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例2記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0073】
[実施例9]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例3記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=1.5A/dm2、めっき時間60分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0074】
[実施例10]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例4記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=2A/dm2、めっき時間45分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0075】
[実施例11]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例5記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=3A/dm2、めっき時間30分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0076】
[実施例12]
開口70μmφ、深さ45μm(銅層部分10μm+樹脂層部分35μm)、アスペクト比0.64のビアホールと、基板の厚さ方向に貫通する開口0.3mmφ、長さ0.6mmのスルホールとが混在する基板(RCC基板)に、公知の方法により、デスミア処理、触媒付与、化学銅めっき(膜厚約0.5μm)処理した基板に、実施例6記載の電気銅めっき浴を用い、Dk=5A/dm2、めっき時間18分の条件で電気銅めっき処理を行い、比較例6と同様の方法でビアホールへのめっき充填状態及びスルホールへのめっき状態を評価した。結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
この場合、全ての比較例及び実施例においてビアホールのめっきはボイドの発生無く可能であったが、比較例8は、窪み量が大きくなり、穴埋めされること無くビアホールの形状どおりのめっき析出であった。スルホール側面上端(図19に示される縦断面における基板コーナー部)のめっき皮膜は、比較例6,7,9及び10においては膜厚が薄く、基板表面の膜厚に対して最大のものでも50%以下の不十分なものであった。これに対して実施例の場合、ビアホールは窪み量が十分少ない状態で穴埋めされると共に、スルホール側面上端(図19に示される縦断面における基板コーナー部)のめっき皮膜はいずれも基板表面の膜厚に対して少なくとも68%あり、ほぼ基板形状どおりにめっき皮膜が形成されていた。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】ビアフィリングにおける電位及び拡散層の状態を説明するための模式図である。
【図2】三次元実装パッケージの一例を示す断面図である。
【図3】比較例1〜5において、ボイドが発生したビアホールの形状を分類するためのビアホールの概念縦断面図であり、(a)〜(c)は各々ボイド1〜3に分類される形状を示す図である。
【図4】実施例1〜6において測定したビアホールを充填しためっき上方の窪み量の説明図である。
【図5】分極測定において用いた回転電極とその動作の説明図であり、(a)は縦断面図、(b)は下面図である。
【図6】比較例1の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図7】図6の各回転数の分極曲線において、電位−0.050Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図8】比較例4の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図9】図8の各回転数の分極曲線において、電位−0.028Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図10】比較例3の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図11】図10の各回転数の分極曲線において、電位−0.080Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図12】実施例1の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図13】図12の各回転数の分極曲線において、電位−0.080Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図14】実施例3の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図15】図14の各回転数の分極曲線において、電位−0.035Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図16】実施例5の電気めっき浴についての分極測定により得られた分極曲線である。
【図17】図16の各回転数の分極曲線において、電位−0.035Vにおける電流密度を各回転数に対してプロットしたグラフである。
【図18】比較例6〜10及び実施例7〜12において測定したビアホールを充填しためっき上方の窪み量の説明図である。
【図19】比較例6〜10及び実施例7〜12において測定した基板表面上に形成されためっき皮膜の厚さxと、スルホール側面上端に形成されためっき皮膜の厚さyの説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 インターポーザー
2 チップ
3,4 貫通電極
5 半田ボール
11 シリコンウエハー
12,102 ビアホール
13,104,113 銅(めっき皮膜)
14 ボイド
15,105 窪み
21 芯軸
22 白金
23 絶縁樹脂
101,111 樹脂層
103,112 銅層
116 スルホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたビアホールのビアフィルめっきに用いる電気銅めっき浴であって、
水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化1】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方であることを特徴とする電気銅めっき浴。
【請求項2】
上記ブライトナーが下記式(3)乃至(6)で示されるイオウ系添加物
【化2】
(式中、R3,R4及びR5は各々炭素数1〜5のアルキル基、Mは水素原子又はアルカリ金属、aは1〜8の整数、b,c及びdは各々0又は1を示す)
から選ばれる1種又は2種以上であり、
上記キャリアーが下記式(7)で示されるポリアルキレングリコール
HO−(R6−O)e−H (7)
(式中、R6は炭素数2又は3のアルキレン基、eは4以上の整数を示す)
であることを特徴とする請求項1記載の電気銅めっき浴。
【請求項3】
上記キャリアーがエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気銅めっき浴。
【請求項4】
ビアホールを有する基板ビアの穴径が1μm以上であり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上であることを特徴とする請求項1記載の電気銅めっき浴。
【請求項5】
ビアホールを有する基板が更にスルホールを有することを特徴とする請求項1記載の電気銅めっき浴。
【請求項6】
水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてキャリアー、レベラー及びブライトナーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化3】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方である電気銅めっき浴を用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきすることを特徴とする電気銅めっき方法。
【請求項7】
ビアホールの径が1μm以上であり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上であることを特徴とする請求項6記載の電気銅めっき方法。
【請求項8】
基板が更にスルホールを有することを特徴とする請求項6記載の電気銅めっき方法。
【請求項1】
基板上に形成されたビアホールのビアフィルめっきに用いる電気銅めっき浴であって、
水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてブライトナー、キャリアー及びレベラーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化1】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方であることを特徴とする電気銅めっき浴。
【請求項2】
上記ブライトナーが下記式(3)乃至(6)で示されるイオウ系添加物
【化2】
(式中、R3,R4及びR5は各々炭素数1〜5のアルキル基、Mは水素原子又はアルカリ金属、aは1〜8の整数、b,c及びdは各々0又は1を示す)
から選ばれる1種又は2種以上であり、
上記キャリアーが下記式(7)で示されるポリアルキレングリコール
HO−(R6−O)e−H (7)
(式中、R6は炭素数2又は3のアルキレン基、eは4以上の整数を示す)
であることを特徴とする請求項1記載の電気銅めっき浴。
【請求項3】
上記キャリアーがエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気銅めっき浴。
【請求項4】
ビアホールを有する基板ビアの穴径が1μm以上であり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上であることを特徴とする請求項1記載の電気銅めっき浴。
【請求項5】
ビアホールを有する基板が更にスルホールを有することを特徴とする請求項1記載の電気銅めっき浴。
【請求項6】
水溶性銅塩、硫酸、塩素イオン並びに添加剤としてキャリアー、レベラー及びブライトナーを含有し、上記レベラーが下記式(1)で示されるポリビニルイミダゾリウム4級化物又は下記式(2)で示されるビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体
【化3】
(式中、R1及びR2は各々アルキル基、mは2以上の整数、p,qは各々1以上の整数を示す)
の一方又は両方である電気銅めっき浴を用いて基板上に形成されたビアホールをビアフィルめっきすることを特徴とする電気銅めっき方法。
【請求項7】
ビアホールの径が1μm以上であり、かつアスペクト比[ホール深さ/ホール径]が2以上であることを特徴とする請求項6記載の電気銅めっき方法。
【請求項8】
基板が更にスルホールを有することを特徴とする請求項6記載の電気銅めっき方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【公開番号】特開2006−57177(P2006−57177A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201080(P2005−201080)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000189327)上村工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000189327)上村工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】
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