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電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法
説明

電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法

【解決手段】硫酸銅、硫酸及び塩化物イオンを含み、更に、有機添加剤として、硫黄含有有機化合物及び窒素含有有機化合物を含む電気銅めっき浴であって、上記窒素含有有機化合物として、モルホリン1モルに対し、エピクロロヒドリン2モルを酸性水溶液中で反応させて反応生成物を得、更に、該反応生成物に、上記モルホリン1モルに対して1〜2モルのイミダゾールを反応させる2段階反応により得た高分子化合物を含む電気銅めっき浴。
【効果】本発明の電気銅めっき浴は、有機添加剤として用いたレベラーとしての高分子化合物が、めっき温度を高温化しても変質せず、また、高温条件下でも、めっき浴に含まれる有機添加剤による促進剤効果と抑制剤効果のバランスを良好に保つことができることから、スルーホール及びビアホールのスローイングパワー、並びにめっき皮膜の物性を、めっき温度を高温化しても維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルーホール、ビアホール、ポストなどを有する被めっき物を高速にめっきすることができる電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の積層銅箔等の平坦面への電気銅めっきでは、めっき浴温度、陰極電流密度を上げた高速めっきが可能であった(特許文献1:特許第3756852号公報)。一方、スルーホール(TH)やビアホール(via)を有する基板への電気銅めっきでは、スローイングパワー(TP:均一電着性)と、めっき物性(例えば、外観、抗張力、伸び率など)とが求められるため、めっきの高速化は容易ではない。
【0003】
アスペクト比(AR)の小さいスルーホールやビアホールを有する基板に対しては、めっきの攪拌を強くし、めっき温度を上げて高速めっきすることは可能である。しかしながら、アスペクト比が大きくなると、スローイングパワーが悪化する、皮膜物性が悪くなるなどの問題があり、攪拌を強くし、めっき温度を上げて高速めっきを実施できる基板に制約がある。
【0004】
また、従来の電気銅めっき浴では、低温(30℃未満)であれば、攪拌を強くすることで、陰極電流密度が5A/dm2未満であれば、スローイングパワーやめっき皮膜の物性を許容範囲内に確保してめっきすることが可能であった。しかしながら、更に高速化する(5A/dm2以上の陰極電流密度を適用する)ためには、攪拌を強くすることにも限界があるため、めっき浴温度を高くする必要があるが、高温化すると、スルーホールやビアホールのめっきに際して用いられる従来の有機添加剤では、添加剤としての効果が失われるという問題があった。
【0005】
また、レジスト等で形成された凹陥部にめっきするポストめっきの場合も、ビアホールと同様に、レジスト高さが低く個々の開口部が大きい(即ち、アスペクト比が小さい)ものでは、従来の電気銅めっき浴でも、攪拌を強くして、ある程度対応できる。しかしながら、アスペクト比が大きくなると、攪拌だけでは限界があり、攪拌を強くして高温化してめっきを高速化しても、めっき析出形状が平坦にできないという問題がある。そのため、アスペクト比の大きいポスト(バンプ)に対するめっきを高速化して行う場合も、めっき温度を高温化する必要がある。このように、スルーホールやビアホールへのめっき、及びポスト(バンプ)へのめっきのいずれの場合においても、高温化に適した添加剤が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3756852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、スルーホール、ビアホール、ポストなどが形成された基板に対して、従来と同様のスローイングパワーを維持し、かつ従来と遜色のないめっき皮膜物性を確保して高速にめっきすることができる電気銅めっき浴、特に、高速めっきに対応するために高温にした場合であっても有効に作用する有機添加剤を含む電気銅めっき浴、及びこれを用いた電気銅めっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
高速めっきの利点は、まず、めっき時間を短縮し、単位時間当たりの生産量を増やすことが可能なことである(タクト時間を短くできれば生産量が増える。)。また、めっき設備を省スペース化でき、生産量が同じでも、めっき装置のサイズを小さくできる(ライン数、めっき装置数が減らせる)ことである。例えば、陰極電流密度を倍増させることができれば、ライン長さ、めっき槽数、めっき浴量及びめっき時間のいずれかをほぼ半減することができることになる。めっきの高速化は、めっきのコストダウンの観点から、重要である
【0009】
本発明者は、まず、従来、ビアホール等に対する高速めっきができなかった理由(高速めっきであるが故の問題点)について、以下のように考えた。
(1)スルーホールやビアホールのスローイングパワーが悪化して要求を満たせない。ポスト形状が悪くなり要求を満たせない。
(2)皮膜物性が悪化する。特に、光沢が得られない。
(3)可溶性アノードの場合、アノードが不導体化する(25℃で電流密度を高くすると、アノード近傍の銅濃度が高くなり、アノードに硫酸銅5水塩の結晶が付着して不導体化しやすい。)。
(4)高温で使用できる有機添加剤、特にレベラーがない。
【0010】
一方、めっき温度を高くすると、硫酸銅5水塩の溶解度が高くなって結晶化しにくく、不導体化しにくいという利点がある。
【0011】
そこで、高速めっき用の電気銅めっき浴のレベラーとして使用可能な化合物として、
(i)攪拌を強くし、かつめっき温度を高温化してもレベラーとして効果を維持できるもの、即ち、スルーホールやビアホールのスローイングパワーがよく、物性のよいめっき皮膜が形成できるもの、また、平坦なポスト(バンプ)めっきが可能であるもの
を有効な添加剤として検討を進めた。
【0012】
また、めっき温度を上げたとき、有機添加剤の促進剤及び抑制剤の一方の効果が過剰となると、めっき皮膜の物性悪化、スローイングパワーの低下が起こってしまうため、
(ii)めっき浴の温度を上げても、めっき浴に含まれる有機添加剤による促進剤効果と抑制剤効果のバランスをとることができるもの
を有効な添加剤として検討を進めた。
【0013】
そして、本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、スルーホール、ビアホール、ポスト等のめっきに用いる、硫酸銅、硫酸、及び塩化物イオンを含み、更に、有機添加剤として、硫黄含有有機化合物及び窒素含有有機化合物を含む電気銅めっき浴の窒素含有有機化合物として、モルホリン1モルに対し、エピクロロヒドリン2モルを酸性水溶液中で反応させて反応生成物を得、更に、該反応生成物に、上記モルホリン1モルに対して1〜2モルのイミダゾールを反応させる2段階反応により得た高分子化合物を用いれば、この高分子化合物が、特に、35℃以上の高温の電気めっきにおいて、レベラーとして有効に機能し、スルーホール、ビアホール、ポストなどが形成された基板に対して、従来と同様のスローイングパワーを維持し、かつ従来と遜色のないめっき皮膜物性を確保して高速に電気銅めっきすることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0014】
従って、本発明は、下記の電気銅めっき浴及び電気銅めっき方法を提供する。
[1] 硫酸銅:硫酸銅5水塩として50〜250g/L、
硫酸:20〜200g/L、及び
塩化物イオン:20〜150mg/L
を含み、更に、有機添加剤として、硫黄含有有機化合物及び窒素含有有機化合物を含む電気銅めっき浴であって、
上記窒素含有有機化合物として、モルホリン1モルに対し、エピクロロヒドリン2モルを酸性水溶液中で反応させて反応生成物を得、更に、該反応生成物に、上記モルホリン1モルに対して1〜2モルのイミダゾールを反応させる2段階反応により得た高分子化合物
を含むことを特徴とする電気銅めっき浴。
[2] 上記高分子化合物を1〜1000mg/L含むことを特徴とする[1]記載の電気銅めっき浴。
[3] [1]又は[2]記載の電気銅めっき浴を用い、30〜50℃の温度でめっきすることを特徴とする電気銅めっき方法。
[4] 基板上に形成されたスルーホール、ビアホール又はポストをめっきすることを特徴とする[3]記載の電気銅めっき方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電気銅めっき浴は、有機添加剤として用いたレベラーとしての高分子化合物が、めっき温度を高温化しても変質せず、また、高温条件下でも、めっき浴に含まれる有機添加剤による促進剤効果と抑制剤効果のバランスを良好に保つことができることから、スルーホール及びビアホールのスローイングパワー、並びにめっき皮膜の物性を、めっき温度を高温化しても維持できる。また、本発明の電気銅めっき浴を使用することで、従来は、噴流などの強い攪拌を必須とするめっき温度及び陰極電流密度条件を適用した高速めっきを行う場合であっても、エアー攪拌などの噴流より弱い攪拌で高速めっきが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例及び比較例のスローイングパワーの評価において、めっき皮膜の膜厚を測定した箇所を説明するための基板の部分断面図であり、(A)はスルーホールの断面図、(B)はビアホールの断面図である。
【図2】実施例及び比較例において、めっき皮膜物性を測定した試験片の形状及びサイズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の電気銅めっき浴は、硫酸銅、硫酸及び塩化物イオンを含有し、硫酸銅を硫酸銅5水塩として50〜250g/L、好ましくは100〜200g/L、硫酸を20〜200g/L、好ましくは50〜200g/L、塩化物イオンを20〜150mg/L、好ましくは30〜100mg/L含有する。
【0018】
また、本発明の電気銅めっき浴は、硫黄含有有機化合物及び窒素含有有機化合物を含有する。硫黄含有有機化合物としては、スルーホールやビアホールの電気銅めっきに用いられる公知の硫黄含有有機化合物を用いることができる。具体的には、下記式(1)〜(4)
【化1】

(式中、R1,R2及びR3は各々炭素数1〜5のアルキル基、Mは水素原子又はアルカリ金属、aは1〜8の整数、b,c及びdは各々0又は1を示す)
で示される硫黄含有有機化合物などを用いることができ、その電気銅めっき浴中の濃度は、通常0.001〜100mg/Lである。
【0019】
更に、本発明の電気銅めっき浴は、窒素含有有機化合物として、モルホリン1モルに対し、エピクロロヒドリン2モルを酸性水溶液中で反応させて反応生成物を得、更に、該反応生成物に、上記モルホリン1モルに対して1〜2モルのイミダゾールを反応させる2段階反応により得た高分子化合物を含有する。この高分子化合物は、いわゆるレベラーとして作用し、めっき温度を、例えば30℃以上、特に35〜50℃に高温化しても変質することがない。また、高温条件下でも、めっき浴に含まれる有機添加剤による促進剤効果と抑制剤効果のバランスを良好に保つことができ、スルーホール、ビアホール等の基板上に形成された非平坦部、ポスト(バンプ)等の形成時に、レジスト等により形成された非平坦部への電気銅めっきにおいて、スローイングパワー及びめっき皮膜の物性を、めっき温度を高温化しても維持できる有効なレベラーとして作用する。
【0020】
この高分子化合物は、CAS No. 109882−76−0として知られており、ポリエーテル構造を有する高分子化合物と考えられている。この高分子化合物は、2段階反応、即ち、第1段階において、1モルのモルホリン及び2モルのエピクロロヒドリンの反応、及び第2段階において、1〜2モル、好ましくは約2モル、特に1.8〜2モルのイミダゾールを第1段階の反応生成物に添加して高分子化合物とする反応の2段階反応で得られた高分子化合物を用いることができる。
【0021】
より具体的には、例えば、1モルのモルホリンを、約375mlの蒸留水に溶解し、HClによって、pH値5.5に調整する。そして、約50℃の反応温度で、2モルのエピクロロヒドリンを滴下し、遊離したエピクロロヒドリンが検出されなくなるまで40〜50℃に保持する(第1段階)。次に、第1段階で得た反応物に1モルのイミダゾールを加え、また、50gのNaOHを125mlの水に溶解させて加え、55〜60℃で6時間反応させる(第2段階)。得られた液には、水を更に添加し、総容量を1Lとして用いることができる。このような高分子化合物の市販品としては、Ralu(登録商標)Plate MOME(RASCHIG社製)などを挙げることができる。
【0022】
この高分子化合物の電気銅めっき浴中の濃度は1〜1000mg/L、特に10〜500mg/Lであることが好ましい。
【0023】
更に、本発明の電気銅めっき浴には、スルーホールやビアホールの電気銅めっきに用いられるポリエチレングリコールなどのポリエーテル系有機添加物等の酸素含有有機化合物を添加することができる。酸素含有有機化合物の電気銅めっき浴中の濃度は0.001〜5000mg/Lであることが好ましい。
【0024】
本発明の電気銅めっき浴を用いた電気銅めっきでは、従来公知のめっき条件が適用できるが、特に35℃以上、とりわけ35〜50℃のめっき温度、また、特に5A/dm2以上、とりわけ5〜20A/dm2の陰極電流密度において、従来の電気めっきと比較して、安定したスローイングパワーとめっき皮膜特性を得ることができる。
【0025】
アノードは、通常不溶性アノードが用いられ、例えば、チタン上に白金、酸化イリジウムなどをコーティングしたアノードを用いることができる。また、従来公知の攪拌手段、例えばポンプ等を使用した噴流攪拌又は循環攪拌、エアーポンプを用いた空気攪拌、パドル、カソードロッキングなどの機械攪拌などを用いることができる。
【0026】
本発明の電気銅めっき浴を用いた電気銅めっきは、特に、スルーホール、ビアホール等の基板上に形成された非平坦部、ポスト(バンプ)等の形成時に、レジスト等により形成された非平坦部を有するプリント基板等の被めっき物の電気銅めっきに好適である。この場合、ビアホールに対しては、特に、ビアホール内部の面(ビアホールの底面及び側面)上にめっき皮膜を形成する場合(ビアホール内に銅めっきを充填するビアフィルめっきではない場合)に有効である。
【0027】
本発明は、アスペクト比(AR)の大きいスルーホールやビアホールの電気銅めっきに好適であり、例えば、スルーホールの場合は、径が0.05〜2.0mm、特に0.1〜1.0mm、板厚(高さ)が0.01〜2.0mm、特に0.05〜1.6mm、アスペクト比(AR)が0.1〜10、特に0.1〜5.0のものの、ビアホールの場合は、径が20〜300μm、特に30〜200μm、高さ(深さ)が20〜150μm、特に40〜100μm、アスペクト比(AR)が0.2〜1.5、特に0.4〜1.0のものの高速めっきに効果的である。
【0028】
ポスト(バンプ)をめっきにより形成する場合、主に、ポスト(バンプ)を形成する被めっき物の表面に銅めっき皮膜を形成し、そのポスト(バンプ)形成部位をエッチングレジストで保護して、レジスト非被覆部分をエッチングし、レジストを除去して形成する工法と、ポスト(バンプ)を形成する被めっき物の表面に、ポスト(バンプ)形成部位が開口しためっきレジストパターンを形成し、この開口部分に銅めっきを施し、レジストを除去して形成する工法が挙げられるが、前者の工法では、銅めっき自体の高速化は可能であるが、アスペクト比(AR)の大きいポスト(バンプ)を形成する場合、形成されるポスト(バンプ)の高さ方向中央部がエッチングにより大きく侵食されて、糸巻ボビンのような形状となり、断面の垂直性が低下する問題がある。また、高さがあるポスト(バンプ)では、エッチングに時間がかかるという問題もある。
【0029】
本発明の電気銅めっきにより、ポスト(バンプ)をめっきにより形成する場合、めっきレジストを用いる上述した後者の工法において特に好適であり、アスペクト比(AR)の大きいポスト(バンプ)、例えば、径が30〜300μm、特に50〜200μm、高さ(レジスト高さ)が25〜200μm、特に30〜150μm、アスペクト比(AR)が0.2〜3、特に0.3〜2のポスト(バンプ)の高速めっきに効果的である。なお、この場合は、めっきレジストの開口部分に形成された凹陥部にめっきを充填するめっきとなる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0031】
[実施例1〜4、比較例1〜3]
表2に示されるスルーホール(4種)又はビアホール(2種)を有する積層基板を用い、下記組成の電気銅めっき浴を用い、下記めっき条件でスルーホール及びビアホールに対して電気銅めっき皮膜を形成した。なお、積層基板の電気めっきを形成する部分には、予め、公知の前処理を施した後、下地層として化学銅めっき皮膜(膜厚0.3μm)を形成して電気銅めっきを行った。
【0032】
<電気銅めっき浴>
硫酸銅5水塩:150g/L
硫酸:150g/L
塩化物イオン:50mg/L
有機添加剤:表1に記載
<めっき条件>
陰極電流密度:15ASD(A/dm2
温度:40℃
めっき時間:8分(めっき皮膜厚26μmに相当)
攪拌:やや強いエアー攪拌
【0033】
【表1】

SPS:ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(二ナトリウム塩)
PEG#6000:ポリエチレングリコール(平均分子量6000)
高分子化合物1:Ralu(登録商標)Plate MOME(RASCHIG社製)
PAS−A−5:ジアリルジアルキルアンモニウムと二酸化硫黄との共重合体(日東紡績株式会社製、平均分子量4000)
JGB:ヤヌスグリーンブラック
なお、PAS−A−5及びJGBは、ハルセルテストで最も高電部領域の光沢が得られる添加剤濃度から添加量を設定した。
【0034】
電気銅めっき後の外観を目視にて、また、スローイングパワー(TP)について、下記方法で各々評価した。結果を表2に示す。
【0035】
〔スローイングパワー(TP)の評価〕
(1)スルーホール(TH)
図1(A)に示されるA〜Fの箇所の銅めっき皮膜の膜厚を測定し、下記式により算出した割合(%)により評価した。なお、E及びFについて、実施例1〜4、比較例1,3はE1,F1で示されるスルーホールの中央部、比較例2はE2,F2で示されるスルーホールの上端部の厚さを計測して用いた。
TP(%)=2×(E+F)/(A+B+C+D)×100
E=E1又はE2、F=F1又はF2
(2)ビアホール(via)
図1(B)に示されるA〜Cの箇所の銅めっき皮膜の膜厚を測定し、下記式により算出した割合(%)により評価した。
TP(%)=2×C/(A+B)×100
【0036】
なお、図1中、1は基材(絶縁層)、2は積層銅、3は化学銅めっき皮膜、4は電気銅めっき皮膜、tはスルーホール、vはビアホールを示す。
【0037】
【表2】

なお、比較例2はビアホールの開口側のコーナー部の膜厚が最も薄く、それ以外は、底側のコーナー部の膜厚が最も薄かった。
【0038】
<スルーホール>
実施例1〜4、比較例1:板厚が薄い(スルーホールが低い)ときでも、スルーホール内部への電流集中が抑制されて、スルーホール内部の膜厚は、表面とほぼ同じ膜厚でスローイングパワーは約100%となった。板厚が厚い(スル−ホールが高い)と、スルーホール内部への電流つきまわりの低下が少なく、スローイングパワーの悪化が抑制されている。
比較例2:レベラーがスルーホールのコーナー部で析出を抑制して薄くなっている。
比較例3:板厚が薄い(スルーホールが低い)と、スルーホール部に電流が集中してスルーホール内部の膜厚が厚くなり、スローイングパワーは100%を大きく超えた。一方、板厚が厚い(スルーホールが高い)と、スルーホール内部へ電流がつきまわらず、スルーホール中央部の膜厚が薄くなって、スローイングパワーが悪化している。
【0039】
<ビアホール>
実施例1〜4:適正なレベリング効果により、表面部の析出を抑え、ビアホール内部へも電流が回り込み、ビアホール底側のコーナー部の抑制効果が弱いので、ビアホール底側のコーナー部へもつきまわっている。
比較例1:レベリング効果が弱く、電流の回り込みにくいビアホール底側のコーナー部へのつきまわりが悪い。
比較例2:レベリング効果が強すぎて、レベラーがビアホール開口側のコーナー部で析出を抑制して薄くなった。
比較例3:レベラーがないため、電流の回り込みにくいビアホール底側のコーナー部へのつきまわりが著しく悪い。
【0040】
また、実施例1〜4及び比較例1〜3の電気銅めっき浴を用い、下記方法にて、めっき皮膜の物性を評価した。
〔めっき皮膜物性の評価〕
SUS板に、以下の前処理を施し、上記電気銅めっき浴を用いて、下記めっき条件で、SUS板上に電気めっき皮膜を形成し、更に、下記後処理を施した後、SUS板から箔状のめっき皮膜を剥離し、このめっき皮膜に対して、下記の方法で抗張力及び伸び率を評価した。結果を表3に示す。
【0041】
<前処理>
(1)酸性クリーナー処理(上村工業株式会社製 MSC−3−A)
(2)湯洗浄
(3)水洗浄
(4)酸洗浄
(5)水洗浄
<めっき条件>
陰極電流密度:15ASD(A/dm2
温度:40℃
めっき時間:15分(めっき皮膜厚50μmに相当)
攪拌:やや強いエアー攪拌
<後処理>
(1)水洗浄
(2)変色防止処理(上村工業株式会社製 AT−21)
(2)水洗浄
(4)乾燥
【0042】
<抗張力、伸び率の測定>
めっき皮膜を図2に示されるサイズのダンベル形状の試験片に打ち抜き、オートグラフによりチャック間距離40mm、引っ張り速度4mm/minとして、皮膜が破断するまでの伸び率と抗張力を以下の式により算出して評価した。
T[kgf/mm2]=F[kgf]/(10[mm]×d[mm])
T:抗張力 F:最大引張応力 d:試験片中央部の膜厚
E[%]=△L[mm]/20[mm]
E:伸び率 △L:皮膜が破断するまでに伸びた長さ
【0043】
【表3】

【0044】
[実施例5〜8、比較例4〜6]
被めっき表面に径80μm、高さ(深さ)100μmの凹陥部をめっきレジストにより形成した積層基板を用い、表1に示される電気銅めっき浴を用い、下記めっき条件で、積層基板上のポストを形成する凹陥部に対して電気銅めっきを施した。なお、積層基板の電気めっきを形成する部分には、予め、公知の前処理を施した後、下地層として化学銅めっき皮膜(膜厚0.3μm)を形成して電気銅めっきを行った。
【0045】
<めっき条件>
陰極電流密度:10ASD(A/dm2
温度:35℃
めっき時間:36分(ポスト高さ80μmに相当)
攪拌:やや強いエアー攪拌
【0046】
電気銅めっき後のポストの上面形状を、ポストの縦断面(高さ方向の断面)で評価した。また、ポスト高さの最高値と最低値を計測し、その差を算出した。結果を表4に示す。
【0047】
【表4】

【0048】
実施例5〜8:適正なレベリング効果で端部の膜厚がやや薄いがほぼ平坦なポストが得られている。
比較例4:レベリング効果が弱すぎ、端部の膜厚が薄い。
比較例5:レベリング効果が強すぎ、端部の膜厚が極端に厚い。
比較例6:レベラーが無いため、端部が極端に薄くなった。
【符号の説明】
【0049】
1 基材(絶縁層)
2 積層銅
3 化学銅めっき皮膜
4 電気銅めっき皮膜
t スルーホール
v ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸銅:硫酸銅5水塩として50〜250g/L、
硫酸:20〜200g/L、及び
塩化物イオン:20〜150mg/L
を含み、更に、有機添加剤として、硫黄含有有機化合物及び窒素含有有機化合物を含む電気銅めっき浴であって、
上記窒素含有有機化合物として、モルホリン1モルに対し、エピクロロヒドリン2モルを酸性水溶液中で反応させて反応生成物を得、更に、該反応生成物に、上記モルホリン1モルに対して1〜2モルのイミダゾールを反応させる2段階反応により得た高分子化合物
を含むことを特徴とする電気銅めっき浴。
【請求項2】
上記高分子化合物を1〜1000mg/L含むことを特徴とする請求項1記載の電気銅めっき浴。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電気銅めっき浴を用い、30〜50℃の温度でめっきすることを特徴とする電気銅めっき方法。
【請求項4】
基板上に形成されたスルーホール、ビアホール又はポストをめっきすることを特徴とする請求項3記載の電気銅めっき方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−84779(P2011−84779A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238460(P2009−238460)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000189327)上村工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】