説明

電気錠制御装置

【課題】扉を入退室する人が少ないときに発生する不審者の友連れを抑制することができる電気錠制御装置の提供。
【解決手段】電気錠2a,2bによって施錠された複数の扉と、各扉の近傍に設けられ、所定のIDコードが記憶されたカードリーダ3a,3bと、カードリーダ3a,3bのIDコードを認証した場合に、電気錠2a,2bに解錠指令を出力して扉を解錠し、解錠後に扉の閉扉が検出されてから所定の時間が経過したときに電気錠2a,2bで扉を施錠するように制御する制御装置6と、カードリーダ3a,3bのIDコードの認証頻度を計測して扉の入退室頻度17Aaを算出するカードリーダ読込頻度計算部17と、カードリーダ読込頻度計算部17によって算出された入退室頻度17Aaに応じて、扉が閉扉してから電気錠2a,2bが施錠作動するまでの時限を設定する施錠指令手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉に設けられた電気錠の施錠作動を制御する電気錠制御装置に係り、特にセキュリティを高めるのに好適な電気錠制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の扉に設けられた電気錠の施錠作動を制御する装置の従来技術の1つとして、電気錠の解錠操作した後、扉を開扉して再び閉扉すると即座に自動的に施錠する自動施錠モード機能を備える電気錠装置において、自動施錠モード機能を、電気錠の解錠操作した後、扉を開扉して再び閉扉すると、閉扉してから所定の時間が経過したときに自動的に施錠する遅延自動施錠モード機能とした電気錠装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術の電気錠装置は、各住戸の屋内に設置する電源トランスと、各住戸の屋内に設置し電気錠に解錠指示を与えるための押釦スイッチと、屋外の玄関先に設置される操作器と、扉に設けられた電気錠とから構成されており、この電気錠は操作器からの信号で進退するデッドボルトを備えている。従って、電気錠の解錠操作した後に扉を開扉して再び閉扉すると、遅延自動施錠モード機能によって閉扉してから所定の時間が経過したときに自動的にデッドボルトが突出して扉を施錠するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−179846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に開示された従来技術の電気錠装置は、上述したように扉が閉扉してから所定の時間が経過した後に電気錠のデッドボルトを突出させて扉を施錠するものであるから、電気錠の動作回数が少ない、すなわち住戸の住人の出入りが少ない深夜等においても扉が閉扉するのに所定の時間が経過しなければ、遅延自動施錠モード機能によって電気錠のデッドボルトが突出せず、施錠を完了するまでに時間がかかることが問題となっている。そのため、深夜等の目撃者の少ない時間帯において住人が扉を解錠して入室した後、デッドボルトが突出しないうちに不審者が扉を開扉して住戸内へ侵入する友連れが発生する虞がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、扉を入退室する人が少ないときに発生する不審者の友連れを抑制することができる電気錠制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の電気錠制御装置は、電気錠によって施錠された扉と、この扉の近傍に設けられ、所定のIDコードが記憶されたカードリーダと、このカードリーダの前記IDコードを認証した場合に、前記電気錠に解錠指令を出力して前記扉を解錠し、解錠後に前記扉の閉扉が検出されてから所定の時間が経過したときに前記電気錠によって前記扉を施錠するように制御する制御装置とを備えた電気錠制御装置において、前記カードリーダの前記IDコードの認証頻度を計測して前記扉の入退室頻度を算出する入退室頻度算出手段と、この入退室頻度算出手段によって算出された前記入退室頻度に応じて、前記扉が閉扉してから前記電気錠が施錠作動するまでの時限を設定する施錠指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、入退室頻度算出手段がカードリーダのIDコードの認証頻度を計測して扉の入退室頻度を算出し、算出された入退室頻度に応じて、施錠指令手段によって扉が閉扉してから電気錠が施錠作動するまでの時限が設定可能となっているので、例えば算出された入退室頻度が高い場合には、施錠指令手段によって設定される時限を長くすることにより、住人が扉を解錠してから電気錠によって施錠が完了するまでの間に扉を再度解錠しなくても開扉することができるので、入退室を円滑に実行させることができる。一方、算出された入退室頻度が低い場合には、施錠指令手段によって設定される時限を短くすることにより、住人の出入りが少ない深夜等において住人が扉を解錠して入室した後に扉を迅速に施錠させることができるので、不審者が友連れによって侵入する機会を逃し易くなる。これにより、扉を入退室する人が少ないときに発生する不審者の友連れを抑制することができる。
【0009】
また、本発明に係る電気錠制御装置は、前記発明において、前記施錠指令手段は、前記入退室頻度を高低レベルに応じて区分し、これらの高低レベル毎に前記扉が閉扉してから前記電気錠が施錠作動するまでの異なる時限を予め設定した閉扉時限テーブルから構成されることを特徴としている。このように構成すると、閉扉時限テーブルによって入退室頻度の高低レベルに応じて扉が閉扉してから電気錠が施錠作動するまでの異なる時限を自動的に設定することができるので、住人の出入りの状況に合わせて扉の施錠を適切に行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る電気錠制御装置は、前記発明において、前記施錠指令手段は、前記入退室頻度の前記高低レベルが低い程、前記扉が閉扉してから前記電気錠が施錠作動するまでの異なる時限を短く設定したことを特徴としている。このように構成すると、入退室頻度が少ない程、すなわち住人が解錠された扉の開扉動作を繰り返さなくなるので、住人の出入りが少ない深夜等において扉が閉扉してから電気錠が施錠作動するまでの異なる時限を住人の出入りが多い時間帯より短く設定しても扉の施錠を確実に完了することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気錠制御装置は、電気錠によって施錠された扉と、この扉の近傍に設けられ、所定のIDコードが記憶されたカードリーダと、このカードリーダのIDコードを認証した場合に、電気錠に解錠指令を出力して扉を解錠し、解錠後に扉の閉扉が検出されてから所定の時間が経過したときに電気錠によって扉を施錠するように制御する制御装置とを備えている。そして、本発明の電気錠制御装置は、カードリーダのIDコードの認証頻度を計測して扉の入退室頻度を算出する入退室頻度算出手段と、この入退室頻度算出手段によって算出された入退室頻度に応じて、扉が閉扉してから電気錠が施錠作動するまでの時限を設定する施錠指令手段とを備えているので、例えば算出された入退室頻度が高い場合に施錠指令手段に設定される時限を長くすることにより、入退室を円滑に実行させることができると共に、算出された入退室頻度が低い場合に施錠指令手段に設定される時限を短くすることにより、住人の出入りが少ない深夜等において住人が扉を解錠して入室した後に扉を迅速に施錠させることができる。これにより、扉を入退室する人が少ないときに発生する不審者の友連れを抑制することができるので、従来よりも安全性を向上させることができ、高い防犯性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電気錠制御装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1に示す本実施形態に備えられる閉扉時限テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る電気錠制御装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0014】
本発明に係る電気錠制御装置の一実施形態は、図1に示すように電気錠2a,2bによって施錠された図示しない複数の扉と、これらの扉の近傍にそれぞれ設けられ、所定のIDコードがそれぞれ記憶されたカードリーダ3a,3bと、複数の扉にそれぞれ設けられ、開扉信号及び閉扉信号を出力する閉扉検出装置15a,15bとを備えている。
【0015】
また、本実施形態は、カードリーダ3a,3bのIDコードを認証した場合に、電気錠2a,2bに解錠指令を出力して扉を解錠し、解錠後に扉の閉扉が検出されてから所定の時間が経過したときに電気錠2a,2bによって扉を施錠するように制御する制御装置6を備えており、この制御装置6は、図示しない建物の任意の場所に設置されている。なお、制御装置6は、外部と通信を行う通信インターフェイス7が設けられている。
【0016】
さらに、本実施形態は、制御装置6と各電気錠2a,2bとの間に接続され、電気錠2a,2bに施錠信号や解錠信号を出力する電気錠ドライブ回路4と、制御装置6と各カードリーダ3a,3bとの間に接続され、カードリーダ3a,3bが読み込んだIDコードを取り込むカードリーダドライブ回路5とを備えている。このカードリーダドライブ回路5は、例えばカードリーダ3a,3bに設けた図示しない報知装置(ランプやブザー等)を介して住人等の利用者に開扉可否を知らせる開扉可否信号を出力するようになっている。なお、利用者は、所定のIDコードが記憶された図示しないカードを所持しており、所持したカードをカードリーダ3a,3bに読み込ませることによって、電気錠2a,2bを解錠する。
【0017】
また、本実施形態は、扉を開放可能とする上記カードのIDコード等の情報を少なくとも記憶する記憶装置8と、制御装置6と各閉扉検出装置15a,15bに接続され、扉の開扉信号及び閉扉信号を取り込む入出力回路9と、各カードリーダ3a,3bが利用者のカードを読み込んだ時刻、カードの利用者名称、及び入室又は退室等の履歴情報を記憶する履歴記憶部16とを備えている。
【0018】
そして、本実施形態は、カードリーダ3a,3bのIDコードの認証頻度を計測して扉の入退室頻度を算出する入退室頻度算出手段と、この入退室頻度算出手段によって算出された入退室頻度に応じて、各扉が閉扉してから電気錠2a,2bが施錠作動するまでの時限を設定する施錠指令手段とを備えている。具体的には、入退室頻度算出手段は、例えば各カードリーダ3a,3bが読み込んだカードの情報を、カードリーダドライブ回路5を介して取り込み、各カードリーダ3a,3bに所定の時間、例えば30秒間に読み込まれた回数を計測して入退室頻度を計算するカードリーダ読込頻度計算部17から成っており、施錠指令手段は制御装置6内に含まれている。
【0019】
さらに、制御装置6は、各カードリーダ3a,3bがIDコードを読み込んだときに、読み込まれたIDコードと履歴記憶部16に記憶されたIDコードとを比較し、読み込まれたIDコードが解錠許可されたIDコードと一致する場合に電気錠ドライブ回路4を介して解錠指令信号を電気錠2a,2bへ出力し、各扉を解錠するようになっている。一方、制御装置6の施錠指令手段は、例えば解錠された各扉が閉扉してから設定された時限が経過したときに電気錠ドライブ回路4を介して施錠指令信号を電気錠2a,2bへ出力し、各扉を施錠するようになっている。
【0020】
ここで、履歴記憶部16とカードリーダ読込頻度計算部17は互いに接続されており、カードリーダ読込頻度計算部17は入退室頻度を計算するときに過去のデータを履歴記憶部16から取得して参照するようになっている。また、電気錠2a,2bは制御装置6からの信号で進退する図示しないデッドボルトをそれぞれ備えており、電気錠2a,2bが制御装置6から解錠指令信号を受信した場合にデッドボルトを突入させ、制御装置6から施錠指令信号を受信した場合にデッドボルトを突出させるようにしている。すなわち、制御装置6は、扉が閉扉してから設定された時限を経過したときに施錠指令信号を電気錠2a,2bへ送信するようになっている。なお、デッドボルトには図示しないリミットスイッチが設けられており、デッドボルトが突出した際に突出信号を電気錠ドライブ回路4へ出力して各扉の施錠状態をリミットスイッチの出力信号から検出するようになっている。
【0021】
また、本実施形態では、制御装置6の施錠指令手段は、例えば図3に示すように入退室頻度17Aaを高低レベルに応じて区分し、これらの高低レベル毎に扉が閉扉してから電気錠2a,2bが施錠作動するまでの異なる時限、すなわちデッドボルト突出時間17Abを予め設定した閉扉時限テーブル17Aから構成されており、入退室頻度17Aaの高低レベルが低い程、扉が閉扉してから電気錠2a,2bが施錠作動するまでの異なる時限、すなわちデッドボルト突出時間17Abを短く設定している。
【0022】
本実施形態では、閉扉時限テーブル17Aは、入退室頻度17Aaが、5段階のレベルとして高い順から1秒以内、1〜1.9秒、2〜3.4秒、3.5〜4.9秒、5秒以上に区分されている。そして、デッドボルト突出時間17Abは、これらの区分に対して5秒、4秒、3秒、2秒、1秒の時間が設定されている。
【0023】
また、本実施形態は、図1に示すように通信インターフェイス7と一般回線10を介して接続され、建物の設備機器等の管理や監視を行う監視センター11を備えており、この監視センター11は、一般回線10に接続された通信インターフェイス12と、この通信インターフェイス12に接続されると共に、図示しない機器の動作を制御する制御装置13と、この制御装置13に接続され、建物内の制御装置6から受信した情報を記憶する記憶装置14とを備え、履歴記憶部16に記憶された情報を監視センター11の記憶装置14へ定期的に転送させるようにしている。
【0024】
次に、本実施形態の動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0025】
図2は本実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【0026】
本実施形態では、扉は閉扉状態であり、閉扉検出装置15a,15bが閉扉信号を出力すると共に、デッドボルトが突出してリミットスイッチの突出信号によって電気錠2a,2bが施錠されていることが確認される。次に、扉から住居内に入室する利用者は、扉を開扉するときに所持しているカードを例えばカードリーダ3aに翳すと、このカードに書き込まれているIDコードをカードリーダ3aが読み込み、読み込まれたIDコードはカードリーダドライブ回路5を介して制御装置6に送信される。そして、制御装置6は、受信したIDコードが記憶装置8に記憶されているか否かを判断する(S1)。
【0027】
制御装置6は、受信したIDコードが記憶装置8に記憶されていないと判断した場合には、カードリーダドライブ回路5を介してカードリーダ3aの報知装置を起動させ、カードが無効であることを利用者に知らせる。一方、手順S1において制御装置6は、受信したIDコードが記憶装置8に記憶されていると判断した場合には、すなわち入室が許可された場合には、電気錠ドライブ回路4を介して該当する扉に設けられた電気錠2aへ解錠指令信号を出力する(S2)。
【0028】
次に、解錠指令信号を入力した電気錠2aは、突出されたデッドボルトを引き戻して扉を開扉可能とし(S3)、扉が開かれた際に閉扉検出装置15aは入出力回路9を介して開扉信号を制御装置6へ出力する(S4)。また、手順S1において制御装置6は、受信したIDコードが記憶装置8に記憶されていると判断した場合には、カードリーダ3aが読み込んだ時刻及びIDコードを履歴記憶部16に記憶させる。そして、カードリーダ読込頻度計算部17が、カードリーダ3aが読み込んだ当該時刻と、履歴記憶部16に記憶されている時刻のうち前回カードリーダ3aが読み込んだ時刻とを参照して扉の入退室頻度を計算する(S5)。
【0029】
例えば、カードリーダ読込頻度計算部17によって計算された入退室頻度が高く、0.5秒である場合には、図3に示すように閉扉時限テーブル17Aの入退室頻度17Aaにおける1秒以内の区分を参照してデッドボルト突出時間17Abが5秒に設定される(S6)。そして、制御装置6は、設定されたデッドボルト突出時間17Ab、すなわち5秒を取り込み、扉が閉扉してから設定された5秒を経過したときに施錠指令信号を電気錠2aへ送信する制御を行う(S7)。
【0030】
また、手順S5において例えばカードリーダ読込頻度計算部17によって計算された入退室頻度が低く、6秒である場合には、閉扉時限テーブル17Aの入退室頻度17Aaにおける5秒以上の区分を参照してデッドボルト突出時間17Abが1秒に設定される(S6)。そして、制御装置6は、設定されたデッドボルト突出時間17Ab、すなわち1秒を取り込み、扉が閉扉してから設定された1秒を経過したときに施錠指令信号を電気錠2aへ送信する制御を行う(S7)。
【0031】
次に、閉扉検出装置15aは、扉が閉じられたことを検出し、入出力回路9を介して閉扉信号を制御装置6へ出力すると(S8)、制御装置6は、閉扉信号が入力されてからの時間を計測し、計測された時間と手順S7において設定されたデッドボルト突出時間17Abとを比較し、計測された時間がデッドボルト突出時間17Abを満たしているか否かを判断する(S9)。制御装置6は、計測した閉扉信号が入力されてからの時間がデッドボルト突出時間17Abに満たしていないと判断した場合には、閉扉検出装置15aが入出力回路9を介して開扉信号を出力したか否か、すなわち電気錠2aの解錠状態において再度扉が開かれたか否かを判断する(S10)。
【0032】
そして、制御装置6は、閉扉検出装置15aが入出力回路9を介して開扉信号を出力したと判断した場合には、手順S7の動作に戻って制御装置6が、設定されたデッドボルト突出時間17Abを再度取り込み、扉が再度閉扉してから設定されたデッドボルト突出時間17Abを経過したときに施錠指令信号を電気錠2aへ送信する制御を行う(S7)。一方、手順S10において制御装置6が、閉扉検出装置15aが入出力回路9を介して開扉信号を出力していないと判断した場合には、手順S9の動作に戻り、手順S8において閉扉信号が入力されてからの時間が設定されたデッドボルト突出時間17Abを経過するまで計測し続ける。
【0033】
次に、手順S9において制御装置6は、計測された時間がデッドボルト突出時間17Abを満たしていると判断した場合には、電気錠ドライブ回路4を介して施錠指令信号を電気錠2aへ出力する(S11)。そして、施錠指令信号を受信した電気錠2aは、デッドボルトを突出させて扉の施錠を完了し(S12)、本実施形態の動作を終了する。
【0034】
このように構成した本実施形態によれば、手順S5においてカードリーダ読込頻度計算部17がカードリーダ3aのIDコードの認証頻度を計測して扉の入退室頻度17Aaを算出し、手順S6において算出された入退室頻度17Aaに応じて、施錠指令手段によって扉が閉扉してから電気錠2aが施錠作動するまでの時限を設定することにより、例えば算出された入退室頻度が高く、上述した0.5秒である場合には、施錠指令手段によって設定される時限を5秒とすることにより、住人が扉を解錠してから電気錠2aによって施錠が完了するまでの時間を十分に確保できるので、この間に扉を再度解錠しなくても開扉することができ、入退室を円滑に実行させることができる。また、デッドボルトの突出中に扉が開扉する動作が減少するので、デッドボルトの破損を防止することができる。
【0035】
一方、手順S5において算出された入退室頻度が低く、上述した6秒である場合には、施錠指令手段によって設定される時限を1秒とすることにより、住人の出入りが少ない深夜等において住人が扉を解錠して入室した後に扉を迅速に施錠させることができるので、不審者が友連れによって侵入する機会を逃し易くなる。これにより、扉を入退室する人が少ないときに発生する不審者の友連れを抑制することができるので、安全性を向上させることができ、高い防犯性能を発揮することができる。
【0036】
また、本実施形態は、図3に示すように閉扉時限テーブル17Aによって入退室頻度17Aaを高低レベルに応じて高い順から1秒以内、1〜1.9秒、2〜3.4秒、3.5〜4.9秒、5秒以上に区分し、扉が閉扉してから電気錠2aのデッドボルトが突出するデッドボルト突出時間17Abを5秒、4秒、3秒、2秒、1秒にそれぞれ設定しているので、手順S7において制御装置6が入退室頻度17Aaに対応するデッドボルト突出時間17Abを自動的に取り込んで施錠指令信号の電気錠2aへの送信を制御することにより、住人の出入りの状況に合わせて扉の施錠を適切に行うことができる。これにより、電気錠2a,2bによる扉の施解錠における運用効率を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態は、閉扉時限テーブル17Aは、入退室頻度17Aaの高低レベルが低い程、デッドボルト突出時間17Abを5秒、4秒、3秒、2秒、1秒のように短く設定することにより、入退室頻度17Aaが少ない程、すなわち手順S10において住人が解錠された扉の開扉動作を繰り返さなくなるので、住人の出入りが少ない深夜等においてデッドボルト突出時間17Abを住人の出入りが多い時間帯より短く設定しても扉の施錠を確実に完了することができる。これにより、電気錠2aに対する高い信頼性を確保することができる。
【0038】
また、本実施形態は、一般回線10を介して履歴記憶部16に記憶された情報を監視センター11の記憶装置14へ転送するようにしているので、制御装置6やカードリーダ読込頻度計算部17等の動作履歴を確実に保存することができる。従って、履歴記憶部16に記憶容量の大きなものを選定しなくて済むので、コストを抑えることができる。
【0039】
なお、上述した本実施形態では、閉扉時限テーブル17Aは、入退室頻度17Aaを1秒以内、1〜1.9秒、2〜3.4秒、3.5〜4.9秒、5秒以上に区分し、デッドボルト突出時間17Abを5秒、4秒、3秒、2秒、1秒にそれぞれ設定した場合について説明したが、この場合に限らず、入退室頻度が高いほど、デッドボルト突出時間をより長く設定しても良い。
【0040】
また、本実施形態は、手順S5においてカードリーダ読込頻度計算部17が、カードリーダ3aがIDコードを読み込んだ時刻と、履歴記憶部16に記憶されている時刻のうち前回カードリーダ3aがIDコードを読み込んだ時刻とを参照して扉の入退室頻度を計算した場合について説明したが、この場合に限らず、予め定めた時間間隔におけるIDコードの読込回数を求め(例えば1分間に何回読み込んだか)、求めたIDコードの読込回数に対してデッドボルト突出時間を設定しても良い。この場合も、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
2a,2b 電気錠
3a,3b カードリーダ
4 電気錠ドライブ回路
5 カードリーダドライブ回路
6 制御装置
7 通信インターフェイス
8 記憶装置
9 入出力回路
15a,15b 閉扉検出装置
16 履歴記憶部
17 カードリーダ読込頻度計算部
17A 閉扉時限テーブル
17Aa 入退室頻度
17Ab デッドボルト突出時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠によって施錠された扉と、この扉の近傍に設けられ、所定のIDコードが記憶されたカードリーダと、このカードリーダの前記IDコードを認証した場合に、前記電気錠に解錠指令を出力して前記扉を解錠し、解錠後に前記扉の閉扉が検出されてから所定の時間が経過したときに前記電気錠によって前記扉を施錠するように制御する制御装置とを備えた電気錠制御装置において、
前記カードリーダの前記IDコードの認証頻度を計測して前記扉の入退室頻度を算出する入退室頻度算出手段と、この入退室頻度算出手段によって算出された前記入退室頻度に応じて、前記扉が閉扉してから前記電気錠が施錠作動するまでの時限を設定する施錠指令手段とを備えたことを特徴とする電気錠制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気錠制御装置において、
前記施錠指令手段は、前記入退室頻度を高低レベルに応じて区分し、これらの高低レベル毎に前記扉が閉扉してから前記電気錠が施錠作動するまでの異なる時限を予め設定した閉扉時限テーブルから構成されることを特徴とする電気錠制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気錠制御装置において、
前記施錠指令手段は、前記入退室頻度の前記高低レベルが低い程、前記扉が閉扉してから前記電気錠が施錠作動するまでの異なる時限を短く設定したことを特徴とする電気錠制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−219576(P2012−219576A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89148(P2011−89148)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】