説明

電気集塵装置の電極板修繕工法

【課題】電極板におけるエレメントの一部劣化、損傷に適切に対応し、交換工事における工費の高騰を抑制することのできる電気集塵装置の電極板修繕工法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための電気集塵装置の電極板修繕工法は、電気集塵装置におけるケーシングの天井面に開口部を設ける工程と、電極板を構成する一部のエレメントを交換対象として、当該交換対象エレメントのみを前記電極板から取り外して前記開口部から搬出する工程と、前記交換対象エレメントと同数の新規エレメントを前記開口部から搬入して前記電極板に組付ける工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵装置の集塵極や放電極等の電極板を修繕するための工法に係り、特に、電気集塵装置における集塵極の部分更新を行う際に好適な電気集塵装置の電極板修繕工法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気集塵装置のケーシング内には、集塵極と放電極が対向して所定の間隔で吊設され、大型の電気集塵装置の場合、電極の大きさは、横の長さが数m、縦の長さが十数mにもなる。そして、電極が電気集塵装置の長時間運転で、例えば腐食等により劣化した場合は、新しい電極に更新する必要がある。
【0003】
従来の電気集塵装置用電極の設置工法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、電気集塵装置のケーシングの天井に開口部を設け、この開口部から集塵極等の電極板の出し入れを行うようにしていた。特許文献1においては、電極板の出し入れに際して、電極板を構成するのに要する枚数のエレメントを収容する箱体を用い、この箱体をクレーンで吊って搬入、搬出作業を行うようにしている。
【0004】
また、更新工法としては、例えば特許文献2に示されているように、ケーシングの側面上部に開口部を設け、この開口部から電極板を出し入れする工法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−145841号公報
【特許文献2】特開平7−96214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術に係る電気集塵装置の電極板の設置・更新工法は、いずれも電極板をまるごと更新するための手法である。しかし、例えば複数のエレメントが並列に配置されることで構成される集塵極では、集塵極の中央に配置されたエレメントに比べ、集塵極の端部側に配置されたエレメントの方が劣化や損傷する割合が高い。これは、集塵極に付着した塵埃を払い落とす際、集塵極の側端に設けられた追打部を、ハンマーによって追打する衝撃が、端部側に位置するエレメントに伝達されやすいといった事情による。
従来は、電極板を構成するエレメントの一部が劣化、損傷した場合であっても、電極板全体を交換しており、工費の高騰を招いていた。
【0007】
本発明では、電極板におけるエレメントの一部劣化、損傷に適切に対応し、交換工事における工費の高騰を抑制することのできる電気集塵装置の電極板修繕工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る電気集塵装置の電極板修繕工法は、電気集塵装置におけるケーシングの天井面に開口部を設ける工程と、電極板を構成する一部のエレメントを交換対象として、当該交換対象エレメントのみを前記電極板から取り外して前記開口部から搬出する工程と、前記交換対象エレメントと同数の新規エレメントを前記開口部から搬入して前記電極板に組付ける工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記のような特徴を有する電気集塵装置の電極板修繕工法において前記新規エレメントの搬入には、複数の新規エレメントを面方向に積層して収容することを可能とする箱体を用いるようにすると良い。
【0010】
このような方法を採用することにより、新規エレメントを吊上げる際にエレメントを傷つけたり、長尺で薄板のエレメントに歪みが生じ無い様にする。また、エレメントの搬出、搬入作業を効率良く行うことが可能となる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する電気集塵装置の電極板修繕工法において前記開口部は、前記箱体を挿通可能な開口幅を有するものとすると良い。
このような方法を採用することによれば、開口部を大きく設ける必要が無くなる。
【0012】
また、上記のような特徴を有する電気集塵装置の電極板修繕工法において前記開口部は、前記ケーシングの上部に設けられた各種装置を避けた位置に設けるようにすると良い。
【0013】
このような方法を採用することによれば、ケーシング上部に設けた各種装置や機器を移動させる必要が無く、従来移動に要していた工期や工費を抑制することが可能となる。
【0014】
また、上記のような特徴を有する電気集塵装置の電極板修繕工法において前記ケーシング内には、前記電極板を構成するエレメントの配列方向と平行に配列ビームを設け、ケーシング内に搬入した前記新規エレメントは、前記配列ビームに仮吊し、前記交換対象エレメントを取り外した位置へ移動させた後に組付けが成されるようにすると良い。
【0015】
このような方法を採用することによれば、開口部を交換対象エレメントを取り外した位置の真上に設ける必要性が無い。このため、開口部の形成位置の自由度が増す。
【0016】
また、上記のような特徴を有する電気集塵装置の電極板修繕工法では、前記交換対象エレメントを有する電極板を前記開口部の開口位置に合わせて移動させるようにすると良い。
このような方法を採用することによっても、開口部の形成位置の制限が少なくなる。よって、開口部の形成位置の自由度が増すこととなる。
【0017】
さらに、上記のような特徴を有する電気集塵装置の電極板修繕工法において前記電極板の移動は、他の電極板をそれぞれ幅寄せして仮吊した後に成すようにすると良い。
このような方法を採用することにより、ケーシング内の限られたスペースを有効利用して、電極板の移動スペースを確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のような特徴を有する電気集塵装置の電極板修繕工法によれば、電極板におけるエレメントの一部劣化、損傷に適切に対応し、交換工事における工費の高騰を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る電極搬出入作業を行っている状態の電気集塵装置の斜視図である。
【図2】電極板の配置方向と直交する方向の断面構成を示す電気集塵装置のブロック図である。
【図3】電極板の配置方向と平行な方向の断面構成を示す電気集塵装置のブロック図である。
【図4】集塵極の構成を示す部分透過斜視図である。
【図5】電極板の修繕作業の様子を示す部分透過斜視図である。
【図6】エレメントの吊上げに用いる箱体の構成を示す図である。
【図7】ケーシング内におけるエレメントの移動に用いる吊冶具の構成を示す図である。
【図8】新規エレメントの組付け方を説明するための図である。
【図9】ケーシング内において電極板を片寄せし、作業対象とする電極板を開口部近傍に移動させた状態を示すブロック図である。
【図10】UボルトとJボルトの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電気集塵装置の電極板修繕工法に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態に係る電気集塵装置の電極板修繕工法を実施する電気集塵装置は、図1〜図3に示すように、ケーシング12とケーシング12内に吊設された集塵極26、および放電極34を基本として構成される。ケーシング12には、一側面に排ガス流入口12aが設けられると共に、対向する側面に処理ガス排出口12bが設けられている。また、下部にはホッパ12cが設けられ、排ガスから除去された塵埃を集積可能な構成とされている。ケーシング12の内部には、エレクションビーム16やホイスト18、及び電極吊ビーム14等が設けられている。
【0021】
なお、図1〜図3に示す電気集塵装置は、大型の集塵極26、放電極34を備える形態の例である。また、図1は、実施形態に係る電極取替え方法を実施する際の電気集塵装置の外観斜視図である。また、図2は、電気集塵装置を集塵極、放電極の配置方向と交差する方向で切断した断面構成を示すブロック図である。また、図3は、電気集塵装置を集塵極、放電極の配置方向と平行に切断した断面構成を示すブロック図である。
【0022】
エレクションビーム16は、ホイスト18を横行させるための梁であり、排ガスの流通方向と直交する方向に向けて張り渡されている。ホイスト18は、ケーシング12内に搬入された集塵極26や放電極34等の電極板を吊上げて電極吊ビーム14に吊設したり、電極吊ビーム14に吊設された電極板を降ろしたりするための天井クレーンである。
【0023】
電極吊ビーム14は、上述した集塵極26を吊設するための梁である。電極吊ビーム14は、エレクションビーム16の両側部に、エレクションビーム16と平行、すなわち排ガスの流通方向と直交する方向に向けて張り渡されている。また、電極吊ビーム14は、エレクションビーム16に比べて断面高さが高く、耐荷重が高くなるように設定されている。そして、電極吊ビーム14による集塵極26の吊高さは、エレクションビーム16におけるホイスト18の横行高さよりも下になるように設定されている。このような構成とすることで、電極吊ビーム14に吊設される集塵極26の板面は、排ガスの流通方向と平行となり、排ガスの処理効率が高められる。また、エレクションビーム16を横行するホイスト18は、集塵極26が電極吊ビーム14に吊られたままの状態で自由に横行することができる。よって、任意の位置の集塵極26の吊り直しが可能となる。
【0024】
このような基本構成を有する電気集塵装置10では、放電極34に高電圧が印加され、集塵極26との間に電界が形成される。そして、放電極34の周囲の排ガスを電離してイオンを供給する。これにより、排ガス流入口12aから塵埃粒子を含む排ガスが導入されると、塵埃粒子をイオンで帯電させ、クーロン力で集塵極に捕集することができる。そして、塵埃粒子が除去された排ガスは、処理ガスとして処理ガス排出口12bから排出される。なお、集塵極26は、集塵極26を構成するフレーム(追打部位)を定期的にハンマリングされることで、捕集した塵埃を払い落とし、ホッパ12cへと集積させることで、集塵機能を回復させることができる。
【0025】
なお、本実施形態で示す集塵極26は、図4に示すように、複数のエレメント28と、上部部材30、および下部部材32を基本として構成されている。エレメント28は、凹凸状にプレス加工された短冊状の鋼板である。上部部材30、下部部材32は、それぞれ、複数配置されたエレメント28の上端部と下端部とを挟持するための部材である。このような部材を用いて集塵極26を構成する場合、複数のエレメント28を並列に配置し、次いで上部部材30、下部部材32により複数配置されたエレメント28を挟持する。その後、上部部材30、下部部材32を介して固定ボルト33によりエレメント28と上部部材30、エレメント28と下部部材32をそれぞれ固定することで構成される。
【0026】
このような基本構成を有する電気集塵装置10に対し、本実施形態に係る電極板修繕工法を実施する際には、対を成す電極吊ビーム14間に配列ビーム20を設ける。配列ビーム20は、電極吊ビーム14に設けられた仮設レール22間に張り渡される梁であり、集塵極26と平行に設けられる。配列ビーム20は、仮設レール22上に載せるだけでその体を成すため、必要に応じて、修繕対象とする集塵極26がある位置に移動させることができる。このため、エレクションビーム16に設けられたホイスト18と重複する位置でなければ、自由に配置位置を変更することができる(図5参照)。配列ビーム20には、ホイスト24が設けられ、交換対象とするエレメント(交換対象エレメント28)や、新規エレメント28を集塵極26と平行に移動させることを可能としている。
【0027】
また、本実施形態に係る電極板修繕工法を実施する場合には、図1や図5に示すように、ケーシング12の天井面に開口部12dを形成する。この開口部12dを介して交換対象エレメント28の搬出や新規エレメント28の搬入を行うためである。開口部12dは、天井面に配置された各種機器を避けた位置に設けることが望ましい。開口部12dに掛かる位置に存在する機器を移動させる手間を省くと共に、工期の短縮を図るためである。また、開口部12dは、少なくとも詳細を後述する箱体50の幅、および厚み方向の寸法以上の大きさを有するものであれば良い。必要最低限の開口寸法であれば、配置機器との重複が少なく、開口部12dを形成する箇所のバリエーションを増やすことも可能となるからである。
【0028】
エレメント28の搬出・搬入(もっぱら搬入)には、図6に示すような箱体50を用いる。エレメント28を裸吊りすることにより、エレメント28に傷が付くことを防止するためである。図6に示すタイプの箱体50は、枠体52と、後面格子54、および前面掛止め部56とを有する。枠体52は、エレメント28と略同じ幅、長さを有すると共に、数枚のエレメント28を面方向に積層して収容可能な厚みを有する。枠体52には、吊り環58が設けられ、当該吊り環58を介して長手方向に垂直な状態となるように吊上げられることを可能としている。後面格子54は、枠体52の一方の開口面を格子状に封止する部材であり、枠体52に収容したエレメント28の落下を防止する役割を担う。前面掛止め部56は、枠体52の他方の開口面において、枠体52の短辺方向に張り渡された棒状、あるいは短冊状の部材であり、枠体52内に収容したエレメント28が前面側に傾倒、落下することを防止する役割を担う。前面掛止め部56は、枠体52の一方の辺側端部を基点として、他方の辺側端部を跳ね上げ可能な構成としている。このためエレメント28は、前面掛止め部56が跳ね上げられた状態で枠体52に収容され、前面掛止め部56が降ろされた状態では傾倒や落下の防止が図られる。
【0029】
本発明に係る電気集塵装置の電極板修繕工法において、交換対象エレメント28の搬出作業と新規エレメント28の搬入作業とは、その手順を逆転させたものである。このため、以下の説明では、説明を簡単化するために、より慎重な作業を必要とする新規エレメント28の搬入作業についてのみ説明することとする。
【0030】
まず、ケーシング12の天井面に、新規エレメント28を搬入するための開口部12dを形成する。開口部12dの形成と同時、あるいは開口部12dの形成と前後して、箱体50に新規エレメント28を収容する。新規エレメント28の収容枚数は、交換対象エレメント28としてケーシング12から搬出したエレメントの数と同数であれば良い。
【0031】
次に、新規エレメント28を収容した箱体50をクレーンにより吊上げる。箱体50の吊上げは、長手方向が垂直に沿った状態となるように成される。このような状態で箱体50を吊上げるようにすることで、開口幅を小さくした開口部12dからの搬入が可能となるからである。その後、吊上げた箱体50を移動させ、電気集塵装置10のケーシング12内に搬入するための巻き降ろしを行う。
【0032】
ケーシング12内に箱体50を搬入した後、箱体50の前面掛止め部56を跳ね上げ、箱体50に収容された新規エレメント28を一枚ずつ、配列ビーム20に設けられたホイスト24に吊り換える。ホイスト24のフック部には、図7に示すような吊冶具60が設けられている。吊冶具60は、エレメント28の上端部に対する逃げを設けたフックである。このような形態から、固定端62をホイスト24のフック部に固定し、先端部64をエレメント28の上端側に設けられた仮吊孔28bに引掛けることで、上部部材30を避けた状態で、エレメント28の吊り上げを行うことが可能となる。
【0033】
配列ビーム20のホイスト24に吊り換えられた新規エレメント28は、集塵極26において交換対象エレメント28が取り外された位置にまで平行移動させ、集塵極に組付けられる(図8(A)参照)。新規エレメント28の組付けは、まず、図8(B)に示すように、新規エレメント28の下端部を下部部材32に挿入する。長尺物である新規エレメント28は、若干の撓みを有するため、図8(C)に示すように、新規エレメント28の下端部を下部部材32における規定の固定位置よりも下部へ挿入することで、新規エレメント28の上端部を上部部材30へ挿入することが可能となる。このため、新規エレメント28の下端部を下部部材32へ挿入した後、図8(D)に示すように、新規エレメント28の上端部を上部部材30の下部側へスライドさせ、新規エレメント28全体を上部へ引き上げることで、新規エレメント28を固定位置に配置することができる。
【0034】
固定位置に配置された新規エレメント28は、上部部材30、下部部材32を介して固定ボルト33を固定孔28aに挿通させて仮組みを行う。その後、順次新規エレメント28の仮組みを行い、集塵極26を構成する全ての新規エレメント28の仮組みが終了した後に、固定ボルト33の本締めを行うことで固定する。
【0035】
このような工法によれば、集塵極26(電極板)を構成するエレメント28のうち、劣化、損傷した一部のエレメント28のみを交換することが可能となる。このため、集塵極26そのものを交換する従来の工法に比べ、工費(修繕費)を大幅に低減することが可能となる。
【0036】
また、ケーシング12の上部に設ける開口部12dを、各種機器の配置を避けて設けるようにすることで、ケーシング12上部に設けられた機器を移動させる必要が無くなる。よって、機器の移動に要する工期、および費用を抑制することができる。
【0037】
また、天井面に設ける開口部12dの開口面積を、エレメント28を収容する箱体50の幅程度とすることで、開口部12dの開口面積を必要最小限の大きさとすることができる。これにより、開口部12dを設ける位置の自由度が向上し、列毎に開口部12dを設けることが可能となる。
【0038】
ここで、ケーシング12の上部に配置された機器の関係上、開口部12dの形成位置を、修繕対象とする集塵極26の近傍とすることができない場合には、次のようにして修繕作業を行うことが望ましい。すなわち、交換対象エレメント28を有する集塵極26、あるいは新規エレメント28を組付ける集塵極26をケーシング12内において、開口部12dの開口位置に合わせて移動させ、その後に修繕作業を行うのである。
【0039】
具体的には、図9に示すように、集塵極26や放電極34といった電極板を、一時的に幅寄せすることで、作業対象とする集塵極26の移動スペースを確保するというものである。そして、確保した移動スペースを利用して、作業対象とする集塵極26を開口部12dの近傍へと移動させ、修繕作業を行う。なお、集塵極26や放電極34の幅寄せは、次のように行えば良い。
【0040】
集塵極26を正規の吊設位置に設置する際には、図10(A)に示すようなUボルト40が用いられている。Uボルト40は、U字状を成すボルト本体の両端が雄ネジ部となっているため、2つの固定孔を使用して、1つのUボルト40が固定されることとなり、設置状態の安定化を図ることができる。
【0041】
これに対し、幅寄せ配置をする場合には、集塵極26を図10(B)に示すようなフック状のJボルト42により仮吊する。Jボルト42は、1つの固定孔に対して1つ取り付けることが可能であり、図10(B)に示すように、フック部42aを向かい合わせるように取り付けることで、Uボルト40を1つ固定するスペースに、2つのJボルト42を取り付けることが可能となる。このため、個々のJボルト42にそれぞれ集塵極26を仮吊することで、1つの集塵極26を吊設されていたスペースに、2つの集塵極26を仮吊することが可能となり、ケーシング12内に、集塵極26を移動させるためのスペースを確保することが可能となる。
【0042】
なお、集塵極26の移動には、エレクションビーム16に設けられたホイスト18を利用すれば良い。すなわち、ホイスト18のフック部に集塵極26を仮吊し、Uボルト40をJボルト42に付け替え、ホイスト18からJボルト42への吊りなおしを行うという作業を繰り返すのである。
【0043】
ここで、集塵極26の幅寄せを行う際には、集塵極26に放電極34を括り付けておくようにすると良い。スペース確保が容易となるからである。なお、集塵極26に対する放電極34の括り付けは、番線などで行えば良い。
【0044】
このような工法を採ることにより、開口部の開口可能箇所が限定されている場合であっても、本発明に係る電気集塵装置の電極板修繕工法を実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
10………電気集塵装置、12………ケーシング、12a………排ガス流入口、12b………処理ガス排出口、12c………ホッパ、12d………開口部、14………電極吊ビーム、16………エレクションビーム、18………ホイスト、20………配列ビーム、24………ホイスト、26………集塵極、28………エレメント(新規エレメント,交換対象エレメント)、30………上部部材、32………下部部材、34………放電極、50………箱体、52………枠体、54………後面格子、56………前面掛止め部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気集塵装置におけるケーシングの天井面に開口部を設ける工程と、
電極板を構成する一部のエレメントを交換対象として、当該交換対象エレメントのみを前記電極板から取り外して前記開口部から搬出する工程と、
前記交換対象エレメントと同数の新規エレメントを前記開口部から搬入して前記電極板に組付ける工程と、を有することを特徴とする電気集塵装置の電極板修繕工法。
【請求項2】
前記新規エレメントの搬入には、複数の新規エレメントを面方向に積層して収容することを可能とする箱体を用いることを特徴とする請求項1に記載の電気集塵装置の電極板修繕工法。
【請求項3】
前記開口部は、前記箱体を挿通可能な開口幅を有するものとしたことを特徴とする請求項2に記載の電気集塵装置の電極板修繕工法。
【請求項4】
前記開口部は、前記ケーシングの上部に設けられた各種装置を避けた位置に設けたことを特徴とする請求項3に記載の電気集塵装置の電極板修繕工法。
【請求項5】
前記ケーシング内には、前記電極板を構成するエレメントの配列方向と平行に配列ビームを設け、
ケーシング内に搬入した前記新規エレメントは、前記配列ビームに仮吊し、前記交換対象エレメントを取り外した位置へ移動させた後に組付けが成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気集塵装置の電極板修繕工法。
【請求項6】
前記交換対象エレメントを有する電極板を前記開口部の開口位置に合わせて移動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気集塵装置の電極板修繕工法。
【請求項7】
前記電極板の移動は、他の電極板をそれぞれ幅寄せして仮吊した後に成されることを特徴とする請求項6に記載の電気集塵装置の電極板修繕工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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