説明

電気電子機器の電力供給システムおよび電力供給方法

【課題】電気電子機器の電池動作時間を拡張する電池ユニットを提供する。
【解決手段】電池ユニットの1次レセプタクル13にはAC/DCアダプタが接続される。AC/DCアダプタは電気電子機器の専用レセプタクルにも接続が可能である。2次レセプタクル41は、ケーブル・アセンブリで電気電子機器に接続される。充電器127はAC/DCアダプタが供給する電力で2次電池129を充電する。MPU121は、AC/DCアダプタが接続されたときはAC/DCアダプタから電気電子機器に電力を供給し、AC/DCアダプタが外れたときは2次電池から電気電子機器に電力をするように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AC/DCアダプタのような直流電力源から電力の供給を受ける電気電子機器の電池動作時間を拡大する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナル・コンピュータ(ノートPC)、タブレット型コンピュータ(タブレット端末)および多機能携帯電話(スマートフォン)などのような携帯端末装置は直流電圧で動作する。携帯端末装置の電力源としては、携帯端末装置の筐体内部に実装したりベイに装着したりする内部電池または携帯端末装置にケーブルで接続する外部電池のような直流電源、および交流電源がある。
【0003】
交流電源の場合は、AC/DCアダプタで直流に変換してから携帯端末装置に電力を供給するのが一般的である。内部電池も外部電池も交流電源による充電が必要になる。内部電池は通常AC/DCアダプタで充電する。外部電池の充電には専用の充電器が必要となる。携帯端末装置には、移動中に電池だけで動作する時間(電池動作時間)をできるだけ長くしたいという要求がある。ノートPCでは本体に筐体の外延より拡張した大型の電池パックを搭載したり、多目的ベイに追加的に電池パックを搭載したり、あらかじめ充電しておいた予備の電池パックを持ち歩いたりしてこの要求に応えてきた。
【0004】
特許文献1は、スペアの電池パックの運搬時の安全および充電のための電力供給系統を提供するトラベル・クィック・チャージャについて開示する。トラベル・クィック・チャージャは、AC/DCアダプタとノートPCの間に挿入されノートPCに電力を供給するとともに、ノートPCの電力消費状態に応じてスペアの電池パックを充電する。トラベル・クィック・チャージャはノートPCと一緒に携帯することを予定しており、交流の電力源がないために本体内蔵の電池パックの残容量が低下したときは、スペアの電池パックと内蔵の電池パックを交換する。特許文献2は、電源端子を共通化しながら、ACアダプタ、外部電池、カー電池などの電源の種類を判別して、それぞれに対応できるように内部の電源の制御を変更することが可能な電子機器について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−251830号公報
【特許文献2】特開平5−184065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の薄型化したノートPCやタブレット端末は、大型の内部電池を搭載できなかったり、内部電池が筐体の内部に組み込まれているため劣化しても容易に交換できなかったり、あるいは多目的ベイを備えていなかったりする。したがってこのような携帯端末装置は、これまでのノートPCのような方法で電池動作時間を拡張することが困難である。このような携帯端末装置の電池動作時間を拡張するには、AC/DCアダプタを接続するレセプタクルを利用して外部電池から電力を供給するしか方法はない。
【0007】
外部電池は、専用の充電器で充電する必要がある。商用電源の利用も可能な移動先の環境で、より一層の電池動作時間の拡張を図ろうとする場合には、携帯端末装置と一緒に、AC/DCアダプタ、専用充電器、および外部電池を持ち運ぶ必要がある。また、交流電源が利用できるときは、交流電源を利用して携帯端末装置を使用しながら内部電池および外部電池を充電して、その後の電池動作時間を拡張できるようにしておくことが望ましい。
【0008】
したがって、持ち運びに便利で携帯端末装置の電池動作時間を拡大できる新たな電池ユニットが望まれる。また、近年は、一人のユーザが異なる電力規格のAC/DCアダプタで動作する複数の携帯端末装置を保有することが多くなってきているが、新たな電池ユニットはそれらのいずれでも利用できることが望ましい。さらに新たな電池ユニットは、旧式のAC/DCアダプタで動作する携帯端末装置にも適用できることが望ましい。さらに新たな電池ユニットは、既存のAC/DCアダプタのプラグおよび携帯端末装置のレセプタクルを改造しないで実現できることが望ましい。
【0009】
さらに新たな電池ユニットは、電力を供給するための新たなインターフェースを設けないで実現できることが望ましい。さらに新たな電池ユニットは、旧式の携帯端末装置もパワー・マネジメントできるような方法で定格容量(定格電力)を表明できることが望ましい。本発明は、これらの多くの課題を解決しながら新たなコンセプトに基づく電力供給システムを実現しようとするものである。
【0010】
そこで本発明の目的は、AC/DCアダプタまたは直流電源と協働して電気電子機器の電池動作時間を拡張する電池ユニットを提供することにある。さらに本発明の目的は、持ち運びに便利な電池ユニットを提供することにある。さらに本発明の目的は、AC/DCアダプタを接続するインターフェースしか備えない電気電子機器の電池動作時間を拡張する電池ユニットを提供することにある。
【0011】
さらに本発明の目的はAC/DCアダプタおよび電気電子機器に対してバックワード・コンパチビリティを備える電池ユニットを提供することにある。さらに本発明の目的は、AC/DCアダプタと電気電子機器の規格が一致しない場合の保護ができる電池ユニットを提供することにある。さらに本発明の目的は、電気電子機器がパワー・マネジメントをすることが可能な電池ユニットを提供することにある。さらに本発明の目的は、電気電子機器が2次電池を管理することができる電池ユニットを提供することにある。さらに本発明の目的はそのような電池ユニットを使用する携帯端末装置、および電力の供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様では、電気電子機器に電力を供給する電池ユニットを提供する。電池ユニットは、AC/DCアダプタの接続が可能な1次レセプタクルと、電気電子機器の接続が可能な2次レセプタクルと、AC/DCアダプタが供給する電力で2次電池を充電する充電器と、AC/DCアダプタが接続されたときはAC/DCアダプタから電気電子機器に電力を供給し、AC/DCアダプタが外れたときは2次電池から電気電子機器に電力をする出力回路と、電池ユニットの動作を制御する制御回路とを有する。
【0013】
このような構成を備えることで電池ユニットから電気電子機器にアダプタ接続状態ではAC/DCアダプタから電力を供給し、単独状態では2次電池から電力を供給することができる。2次電池は、電気電子機器に収納する必要がないため容易に容量を増大できるので電気電子機器の制約を受けないで電池動作時間の拡大を図ることができる。電池ユニットに接続されるAC/DCアダプタは電気電子器の専用レセプタクルに接続が可能なものとすることができる。その結果、電池ユニットの電力源と電気電子機器の電力源としてAC/DCアダプタを共用することができる。また、AC/DCアダプタを接続するインターフェースしか備えない電気電子機器の電池動作時間を拡大することができる。
【0014】
2次電池は電池ユニットの筐体の内部に収納するタイプであったり、電池ユニットのベイに装着するタイプであったり、あるいは電池ユニットとケーブルで接続するタイプであったりしてよい。2次電池が筐体に収納する組み込みタイプの場合は、電池ユニットとともに持ち運んだり接続の手間が省けたりするので都合がよい。
【0015】
制御回路は、AC/DCアダプタが接続されたときに2次電池を充電しながら電気電子機器に電力を供給するように充電器を制御するようにしてもよい。その結果、AC/DCアダプタを使用できる環境では、電池ユニットに接続されたAC/DCアダプタから電気電子機器に電力を供給しながら2次電池の充電ができるので、その後の移動中に2次電池が充電された電池ユニットを使って電池動作時間の拡大を図ることができる。
【0016】
電池ユニットは、2次電池の出力電圧をAC/DCアダプタの出力電圧まで昇圧して2次レセプタクルに出力する昇圧回路を有するようにしてもよい。昇圧回路を設けることで、電気電子機器はAC/DCアダプタが接続されたときと同じ動作をすることができるためバックワード・コンパチビリティを確保することができる。このとき制御回路は、2次レセプタクルに電気電子機器が接続されないとき、または、2次レセプタクルに接続された電気電子機器が電力を消費しないときに昇圧回路の動作を停止して電力の損失を低減することができる。また、電気電子機器を組み込み型の2次電池を有し、かつ専用レセプタクル以外に外部から電力を供給するインターフェースを有しないようなタイプとすることができる。この場合は特に電池動作時間の拡大に有効である。
【0017】
本発明の第2の態様は、複数の電気電子機器に電力を供給することが可能な電池ユニットを提供する。電池ユニットは、それぞれにAC/DCアダプタの接続が可能な複数の1次レセプタクルと、複数の電気電子器の中から選択した任意のいずれかに接続が可能な2次レセプタクルと、2次電池を充電する充電器と、複数の1次レセプタクルのいずれかにAC/DCアダプタが接続されたときはAC/DCアダプタから電気電子機器に電力を供給し、1次レセプタクルのいずれにもAC/DCアダプタ接続されないときは2次電池から電気電子機器に電力を供給する出力回路と、電池ユニットの動作を制御する制御回路とを有する。
【0018】
このような構成によれば、電池ユニットを複数のAC/DCアダプタと複数の電気電子機器で利用することができる。複数の電気電子機器の電力規格がそれぞれ異なる場合には、制御回路は1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタの電力規格と2次レセプタクルに接続された電気電子機器の電力規格が一致しないと判断したときにAC/DCアダプタから電気電子機器に対する電力供給を停止することができる。その結果、電池ユニットはさまざまな電力規格のAC/DCアダプタおよび電気電子機器に使用する際に両者の規格の一致を保証することができる。
【0019】
制御回路は、電気電子機器に対する電力の供給を停止したときに、2次電池の充電を行うように充電器を制御することができる。したがって、使用を予定する電気電子機器とは電力規格の異なるAC/DCアダプタで電池ユニットの充電をすることはできるため、AC/DCアダプタを外して単体状態にすることで電池ユニットから電気電子機器に電力供給ができる。
【0020】
複数の1次レセプタクルを特定の電気電子機器の電力規格に一致するAC/DCアダプタだけの接続が可能な一次レセプタクルで構成し、制御回路はAC/DCアダプタが接続された1次レセプタクルを示す識別子を認識してAC/DCアダプタの電力規格を認識することができる。このような構成によれば、AC/DCアダプタの電力規格を識別するための配線を増加させないで、バックワード・コンパチビリティを維持しながらAC/DCアダプタの電力規格を認識することができる。
【0021】
複数の電気電子機器のそれぞれが、電力規格の一致するAC/DCアダプタだけが接続可能な専用レセプタクルを備え、制御回路は専用レセプタクルと2次レセプタクルを接続するケーブル・アセンブリを示す識別子から2次レセプタクルに接続された電気電子機器の電力規格を認識するようにしてもよい。このような構成により電池ユニットと電気電子機器の間に、電気電子機器の電力規格を認識するための特別な配線を設ける必要がない。ケーブル・アセンブリの識別子は、ケーブル・アセンブリのプラグに組み込むことができる。
【0022】
本発明の第3の態様は、直流電力源と電気電子機器に接続が可能な電力供給システムを提供する。電力供給システムは、直流電力源が供給する電力で2次電池を充電する充電回路と、直流電力源の電力を電気電子機器に供給する第1の電力回路と、2次電池の電力を直流電圧で電気電子機器に供給する第2の電力回路と、直流電力源が接続されたときは第1の電力回路から電気電子機器に電力を供給し、直流電力源が外れたときは第2の電力回路から電気電子機器に電力を供給する制御回路とを有する。
【0023】
本発明の第4の態様は、AC/DCアダプタの接続が可能な専用レセプタクルを備える携帯端末装置に電力を供給する電池ユニットを提供する。電池ユニットは、AC/DCアダプタの接続が可能な1次レセプタクルと、携帯端末装置の接続が可能な2次レセプタクルと、2次電池を充電する充電器と、AC/DCアダプタが接続されたときはAC/DCアダプタから携帯端末装置に電力を供給し、AC/DCアダプタが外れたときは2次電池から携帯端末装置に電力を供給する出力回路と、電池ユニットの動作を制御し、携帯端末装置に電池ユニットの定格容量を表明する制御回路とを有する。
【0024】
その結果、携帯端末装置は電池ユニットが接続されたときにその定格容量を認識して消費電力の制御をすることができる。表明する定格容量は、電池ユニットに接続される複数の携帯端末装置の定格容量の中で最低の定格容量とすることができる。最低の定格容量を表明することで、電池ユニットは定格容量を表明する識別端子を備えていないAC/DCアダプタが接続される可能性がある場合に、いずれの携帯端末装置に対しても安全な定格容量を表明してパワー・マネジメントを実行させるバックワード・コンパチビリティを備えることになる。
【0025】
制御回路は1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタの定格容量を認識して、携帯端末装置に認識したAC/DCアダプタの定格容量を表明することができる。このような構成により、携帯端末装置は電池ユニットに接続されたAC/DCアダプタの定格容量を有効に活用して動作することができる。1次レセプタクルと専用レセプタクルがそれぞれ電源端子とグランド端子と識別端子を含み、制御回路は1次レセプタクルの識別端子を通じてAC/DCアダプタの定格容量を認識し、専用レセプタクルの識別端子を通じて電池ユニットの定格容量を表明することができる。
【0026】
電源端子とグランド端子と識別端子からなる3端子構造は、これまでのAC/DCアダプタのDCプラグに採用されており、電池ユニットは適用できるAC/DCアダプタに関してバックワード・コンパチビリティを備えるようになる。制御回路は、2次電池の残容量と劣化情報を計算して携帯端末装置に転送することができる。その結果、携帯端末装置は電池ユニットから電力の供給を受けて動作する間、電池ユニットの2次電池を自らが実装する2次電池と同じように管理することができる
【0027】
1次レセプタクルと専用レセプタクルをそれぞれ電源端子とグランド端子と識別端子を含むように構成すれば、制御回路は専用レセプタクルの識別端子を通じて携帯端末装置に残容量と劣化情報を送ることができる。制御回路は、パルスの周期とデューティ比で前記残容量と劣化情報を同時に転送することができる。
【0028】
本発明の第5の態様は、AC/DCアダプタまたはAC/DCアダプタの接続が可能な電池ユニットの任意のいずれかから電力を供給することが可能な携帯端末装置を提供する。電池ユニットは、AC/DCアダプタが接続されたアダプタ接続状態ではAC/DCアダプタから携帯端末装置に電力を供給し、AC/DCアダプタが外れた単独状態では2次電池から携帯端末装置に電力を供給する。そして携帯端末装置は、AC/DCアダプタと電池ユニットのいずれかを接続できる専用レセプタクルと、専用レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタまたは電池ユニットの定格容量を認識して消費電力を制御するコントローラとを有する。
【0029】
したがって、携帯端末装置は専用レセプタクルに電池ユニットおよびAC/DCアダプタのいずれが接続されてもその定格容量を認識して消費電力の制御をすることができる。携帯端末装置はディスプレイを備えていてもよい。この場合コントローラは、専用レセプタクルに電池ユニットが接続されたと認識したときは電池ユニットから2次電池の残容量や劣化情報を取得してディスプレイに表示することができる。したがって、携帯端末装置は、電池ユニットの状態を管理しながら使用することができる。
【0030】
専用レセプタクルは電源端子とグランド端子と識別端子を含む3端子構造で構成することができる。このときコントローラは識別端子を通じて電池ユニットまたはAC/DCアダプタにパルス信号を送り、パルス信号に対する応答パルスから専用レセプタクルにAC/DCアダプタと電池ユニットのいずれが接続されたかを認識することができる。したがって、既存の3端子構造の専用レセプタクルを備える携帯端末装置は電池ユニットが接続されたときに、2次電池の定格容量を認識してパワー・マネジメントをしたり、2次電池を管理したりすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、AC/DCアダプタまたは直流電源と協働して電気電子機器の電池動作時間を拡張する電池ユニットを提供することができた。さらに本発明により、持ち運びに便利な電池ユニットを提供することができた。さらに本発明により、AC/DCアダプタを接続するインターフェースしか備えない電気電子機器の電池動作時間を拡張する電池ユニットを提供することができた。
【0032】
さらに本発明によりAC/DCアダプタおよび電気電子機器に対してバックワード・コンパチビリティを備える電池ユニットを提供することができた。さらに本発明により、AC/DCアダプタと電気電子機器の規格が一致しない場合の保護ができる電池ユニットを提供することができた。さらに本発明により、電気電子機器がパワー・マネジメントをすることが可能な電池ユニットを提供することができた。さらに本発明により、電気電子機器が2次電池を管理することができる電池ユニットを提供することができた。さらに本発明によりそのような電池ユニットを使用する携帯端末装置、および電力の供給方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態にかかる電力供給システムの概要を示すブロック図である。
【図2】AC/DCアダプタ10の概略の構成を示すブロック図である。
【図3】電池ユニット100の全体的な構成を示す機能ブロック図である。
【図4】電池ユニットの本体101の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】携帯端末装置50の一例としてのノートPC50の概略の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】ノートPC50と電池ユニット100がケーブル・アセンブリ51で接続された状態を示す図である。
【図7】単独状態の電池ユニット100にAC/DCアダプタとケーブル・アセンブリが接続されてアダプタ接続状態に繊維するときの動作手順を示すフローチャートである。
【図8】単独状態の電池ユニット100にケーブル・アセンブリが接続されたときの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】アダプタ接続状態の電池ユニット100からノートPC50に電力を供給するときの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】EC221とMPU121がシングル・ワイヤ・バス方式で通信するときのプロトコルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[電力供給システムの概要]
図1は、本実施の形態にかかる電力供給システムの概要を示すブロック図である。電力供給システムは、AC/DCアダプタ10、20、30、電池ユニット100、携帯端末装置50、60、70およびケーブル・アセンブリ51、53、55で構成される。AC/DCアダプタおよび携帯端末装置の数は一例である。携帯端末装置50、60、70は、ノートPCまたはタブレット端末とすることができる。AC/DCアダプタ10、20、30は、それぞれ1次側にACプラグ45が接続され2次側にDCプラグ11、21、31が接続される。
【0035】
DCプラグ11、21は電源端子とグランド端子とID端子とからなる3端子構造で、DCプラグ31は電源端子とグランド端子の2端子構造である。電池ユニット100の1次側には3個の専用レセプタクル13、23、33が設けられ、2次側には1個の共用レセプタクル41が設けられている。なお、専用レセプタクルと共用レセプタクルの数は例示である。
【0036】
ケーブル・アセンブリ51、53、55は、それぞれ1次側にDCプラグ43が設けられ2次側にDCプラグ11a、21a、31aが設けられている。いずれのケーブル・アセンブリ51、53、55のDCプラグ43も2つのID端子を含む4端子構造で共用レセプタクル41に適合する。携帯端末装置50、60、70にはそれぞれ専用レセプタクル13a、23a、33aが設けられている。携帯端末装置50、60、70は、それぞれ、専用レセプタクル13a、23a、33a以外に外部から電力を供給するインターフェースを備えていない。
【0037】
AC/DCアダプタ10は電流電圧特性の点で、携帯端末装置50にだけ電力を供給し、AC/DCアダプタ20は携帯端末装置60にだけ電力を供給し、AC/DCアダプタ30は携帯端末装置70にだけ電力を供給することができる。このような同一電力規格のAC/DCアダプタと携帯端末装置の組み合わせを保証するために、各AC/DCアダプタ10、20、30のDCプラグ11は専用レセプタクル13、13aにだけ適合し、DCプラグ21は専用レセプタクル23、23aにだけ適合し、DCプラグ31は専用レセプタクル33、33aにだけ適合するように形成されている。専用レセプタクル13と13a、23と23a、33と33aは形状が一致する。したがって、AC/DCアダプタ10は電力規格の異なる携帯端末装置60、70に接続して電力を供給することはできない。他のAC/DCアダプタ20、30も同様に電力規格の異なる携帯端末装置に電力供給ができない。
【0038】
つぎに、電力供給システムの動作の概要について説明する。AC/DCアダプタ10、20、30は、同時に対応する専用レセプタクル13、23、33に接続することはできるが、有効になるのは最初に接続されたいずれかのAC/DCアダプタだけである。共用レセプタクル41には、ケーブル・アセンブル51、53、55のいずれかによりいずれかの携帯端末装置50、60、70が接続される。
【0039】
電池ユニット100は3端子構造と2端子構造のDCプラグを備えるいずれのAC/DCアダプタにも対応することができる。2端子構造のDCプラグ31は、旧式のまたはタブレット端末のAC/DCアダプタに多く採用されている。DCプラグ11、21はID端子を通じて電池ユニット100および携帯端末装置10、20にAC/DCアダプタの定格容量を表明することができる。したがって、AC/DCアダプタ10、20にはそれぞれ定格容量が複数存在する。
【0040】
携帯端末装置50、60は、対応する専用レセプタクル13a、23aに接続される電池ユニット100またはAC/DCアダプタ10、20の定格容量を認識して、それを越えないように消費電力の制御をする。このように消費電力を目標となる定格容量以内に納めるためにシステム・デバイスの消費電力を抑制することをパワー・マネジメントという。パワー・マネジメントはさらにノートPC50が内蔵する電池セット223(図5参照)または電池ユニット100が内蔵する電池セット129のいずれかで動作しているときに、AC/DCアダプタ10で動作するときよりもロー・パワー・モードで動作したり、電池セット223、129の残容量が少なくなったときにハイバネーション状態やサスペンド状態に遷移させたりする動作も含む。
【0041】
DCプラグ31、31aはID端子を備えていないため電池ユニット100および携帯端末装置70に定格容量を表明しない。したがって、携帯端末装置70はAC/DCアダプタ30から取得した定格容量をターゲットにしたパワー・マネジメントはしない。本実施の形態では、携帯端末装置50、60、70がそれぞれに接続される可能性のあるAC/DCアダプタ10、20、30の定格容量の中で最低の定格容量を最低定格容量として定義する。携帯端末装置70は、あらかじめ定義された最低定格容量に対してパワー・マネジメントをする。電池ユニット100は内部に充電器、電池セット、およびプロセッサなどを備えている。
【0042】
共用レセプタクル41は、電池ユニット100が携帯端末装置50、60に定格容量を表明するID端子を備える。たとえば電池ユニット100に、AC/DCアダプタ10および携帯端末装置50が接続されたときは、パワー・マネジメントをする携帯端末装置50にAC/DCアダプタ10の定格容量の範囲または最低定格容量の範囲で電力を供給する。商用電源が停電になったり、DCプラグ11が外れたりしてAC/DCアダプタ10が電力の供給を停止したときは電池ユニット100が搭載する電池セットから携帯端末装置50に電力を供給することができる。電池ユニット100は、AC/DCアダプタの定格容量と携帯端末装置の消費電力の差で電池セットを充電する。
【0043】
電池ユニット100にいずれかのAC/DCアダプタ10、20、30が接続された状態を電池ユニット100のアダプタ接続状態といい、いずれのAC/DCアダプタ10、20、30も接続されてない状態を電池ユニット100の単独状態ということにする。当然ながら、DCプラグ11、21、31は接続されているが、ACプラグ45が外れている状態、ACプラグ45およびDCプラグ11、21、31は接続されているが、アウトレットの電源が停止している状態も単独状態に含まれる。
【0044】
電力供給が行われるAC/DCアダプタ10、20、30と携帯端末装置50、60、70の組み合わせにおける電力規格の一致を保証するために、AC/DCアダプタ10が接続された電池ユニット100は、共用レセプタクル41に携帯端末装置60、70が接続されたときにはそれらに電力を供給しない。携帯端末装置50、60は、電池ユニット100またはAC/DCアダプタ10、20が表明する定格容量を認識できないときは、最低定格容量をターゲットにしてパワー・マネジメントをすることができる。
【0045】
携帯端末装置50、60は、専用レセプタクル13a、23aに接続された外部電力源が電池ユニット100であるかAC/DCアダプタ10、20であるかを認識する。携帯端末装置50、60は、専用レセプタクル13a、23aに電池ユニット100が接続されたことを認識したときは、電池ユニットの電池セットを本体に実装される電池パックと同じように残容量の情報や劣化情報を取得して管理する。携帯端末装置70は、専用レセプタクル33aに電池ユニット100が接続されたときに、AC/DCアダプタ30が接続されたと判断して動作し電池セットの管理はしない。
【0046】
[AC/DCアダプタ]
図2は、AC/DCアダプタ10の概略の構成を示す機能ブロック図である。AC/DCアダプタ10は、ACプラグ45、AC/DC変換回路12、識別抵抗R1およびDCプラグ11で構成されている。ACプラグ45は交流100V〜240Vの範囲の商用電源のアウトレットに接続する。AC/DC変換回路12は交流電圧を直流20V(−0.5/+1V)に変換してDCプラグ11のDC+ラインとGNDラインに出力する。
【0047】
AC/DC変換回路12は垂下特性を備えており、出力電力が定格容量を超えると出力電圧が低下する。同一の定格容量のAC/DCアダプタであっても電力規格が異なるとこの垂下特性も異なるため、AC/DCアダプタと携帯端末装置の組み合わせは電力規格を一致させる必要がある。このため、DCプラグ11、21、31と専用レセプタクル13a、23a、33aの形状を他の組み合わせでは接続できないよう特有のものにしている。
【0048】
識別抵抗R1はAC/DCアダプタ10が電池ユニット100または携帯他院待つ装置10に定格容量を表明するための抵抗値を有し、DCプラグ11のID1端子に接続される。AC/DCアダプタ20は、本発明との関連ではAC/DCアダプタ10とほぼ同じ構成であるが電力規格は異なっており、定格容量に対応する識別抵抗R1の値も異なる場合がある。AC/DCアダプタ30のDCプラグ31にID1端子を備えていない。
【0049】
[電池ユニットの構成]
図3は、電池ユニット100の全体的な構成を示す機能ブロック図である。電池ユニット100は、概略的に3つの専用レセプタクル13、23、33と1つの共用レセプタクル41と本体101で構成されている。本発明においては専用レセプタクルと共用レセプタクル41の数は特に限定する必要はなくそれぞれ1個以上あればよい。専用レセプタクル13、23は、それぞれDC+端子、ID1端子、ID2端子、およびGND端子を備えている。
【0050】
ID1端子は、AC/DCアダプタ10、20の定格容量を認識するための信号を転送する端子である。ID2端子は、DCプラグ11、21、31と接続する端子ではなく、専用レセプタクル13、23、33を識別するためにそれぞれの内部から引き出される端子である。専用レセプタクル33は、DC+端子、ID2端子、およびGND端子を備えている。
【0051】
各専用レセプタクル13、23、33のDC+端子はそれぞれFETで構成されたスイッチ15、25、35を経由して相互に接続されて本体101に接続されている。各専用レセプタクル13、23、33のGND端子も相互に接続されて本体101に接続されている。共用レセプタクル41は、DC+端子、ID3端子、ID4端子、およびGND端子を備え、それぞれが本体101に接続されている。ID3端子は、携帯端末装置50、60に定格容量を表明したり、電池セット129の情報を転送したりするための端子である。ID4端子は、共用レセプタクル41に接続されるケーブル・アセンブリの識別子を認識して接続される携帯端末装置50、60、70の電力規格を識別するための端子である。
【0052】
図4は、電池ユニット100を構成する本体101の構成を示す機能ブロック図である。スイッチ103、105、107、109、111、113、115、117はFETで構成されMPU121によりオン/オフ制御される。図3に示したスイッチ15、25、35もMPU121によりオン/オフ制御される。専用レセプタクル13のDC+端子はスイッチ15、103が直列に接続されたDC+ライン151で共用レセプタクル41のDC+端子に接続されている。
【0053】
DC+ライン151は、AC/DCアダプタから携帯端末装置に電力を供給する回路を構成する。スイッチ15とスイッチ103の間のDC+ライン151には電圧検出回路125が接続され、その出力はMPU121に接続される。電圧検出回路125は、DC+ライン151に直流20Vを基準とする所定の範囲の電圧が印加されたことを検出するとMPU121に信号を出力する。
【0054】
専用レセプタクル13のID1端子に接続されたID1ライン153は、所定の電圧でプルアップされMPU121に接続されている。MPU121は、DCプラグ11が専用レセプタクル13に接続されたときにAC/DCアダプタ10の識別抵抗R1で分圧されたID1ライン153の電圧を検出してその定格容量を認識する。専用レセプタクル23も同様にID1ラインがMPU121に接続されている。専用レセプタクル33には、ID1端子が存在しないためID1ラインでMPU121に接続されない。
【0055】
専用レセプタクル13には、DCプラグ11の挿入を検出する機械式スイッチ104が組み込まれている。機械式スイッチ104は、専用レセプタクルを示す識別子として機能する。機械式スイッチ104の一端はMPU121に接続され他端は専用レセプタクル13のGND端子に接続されており、DCプラグ11が専用レセプタクル13に挿入されたときにオン状態となってID2ラインの電位を遷移させる。なお、専用レセプタクル23、33にも同様に機械式スイッチ104が組み込まれており、それぞれがID2ライン155でMPU121に接続される。専用レセプタクル13のGND端子はGNDライン161を経由して共用レセプタクル41のGND端子に接続されている。
【0056】
DC+ライン151とGNDライン161との間に、スイッチ105を経由して充電器127、電池セット129およびセンス抵抗R4が接続されている。充電器127は、スイッチング・レギュレータで構成され定電流定電圧特性で電池セット129を充電する。充電器127の充電電圧および充電電流はMPU121が設定する。電池セット129は、3個のリチウム・イオン単電池が直列に接続されており、充電停止電圧が12.6Vで放電停止電圧が9Vである。電池セット129の電圧側の端子は昇圧型スイッチング・レギュレータ(昇圧型レギュレータ)131と電圧レギュレータ123の入力に接続されている。
【0057】
昇圧型レギュレータ131は、インダクタに蓄えた電力から生成した電圧を入力電圧に重畳させることで入力電圧よりも高い電圧を出力する。昇圧型レギュレータ131は、少なくとも直流12.6Vから直流9Vまでの範囲の電圧を直流20Vに昇圧して出力する。昇圧レギュレータ131を設けることで、携帯端末装置は、専用レセプタクルに印加される電圧と、AC/DCアダプタから印加される電圧が一致するため同じ動作をすることができる。
【0058】
ただし、携帯端末装置が対応できれば昇圧型レギュレータ131を設けないで単独状態の電池ユニット100から専用レセプタクル13aに直流20Vよりも低い電圧で電力を供給することもできる。MPU121は、共用レセプタクル41にいずれのケーブル・アセンブリ51、53、55も接続されていないときまたは携帯端末装置が電力を消費しないときに、昇圧型レギュレータ131の動作を停止させて消費電力の低減を図ることができる。
【0059】
昇圧型レギュレータ131には、バイパス・スイッチ117が接続されている。バイパス・スイッチ117は、電池ユニット100が昇圧型レギュレータ131の動作を停止したときにも電池セット129の出力電圧を共用レセプタクル41のDC+端子に出力して、専用レセプタクル13a、23a、33aに単独状態の電池ユニット100が接続されたことを携帯端末装置50、60、70が検出できるようにするために設ける。MPU121が、共用レセプタクル41にいずれかのケーブル・アセンブリ51、53、55が接続されたときには常に昇圧レギュレータ131を動作させる場合は、バイパス・スイッチ117を設ける必要はない。
【0060】
昇圧型レギュレータ131の出力はスイッチ115を経由して共用レセプタクル41のDC+端子に接続される。スイッチ115は、電池セット129が放電するときはオン状態になりそれ以外のときはオフ状態になる。スイッチ115の両端にはダイオード133が接続される。ダイオード133は、共用レセプタクル41のDC+端子に出力する電力源がAC/DCアダプタから電池セット129に切り換わるときにスイッチ115がオン状態に切り換わるまでの間にDC+端子の電圧が低下することを防ぐために設けている。ダイオード133に代えてFETで構成したスイッチ115の寄生ダイオードを利用してもよい。
【0061】
電池セット129の出力にはMPU121に電力を供給する電圧レギュレータ123が接続されている。電圧レギュレータ123は電池セット129の出力電圧をMPU111に適した安定した電圧に変換する。共用レセプタクル41のID3端子は、ID3ライン157でMPU121に接続されている。ID3ライン157とGND端子との間には通信用スイッチ107、識別抵抗R1を活性化するスイッチ109、識別抵抗R2を活性化するスイッチ111、および識別抵抗R3を活性化するスイッチ113が接続されている。スイッチ109、111、113は、ID3ライン157に電池ユニット100が表明する定格容量に相当する電圧を発生させるためにMPU121が制御する。
【0062】
電池ユニット100は、識別抵抗R1、R2、R3により専用レセプタクル13、23、33に接続されたAC/DCアダプタ10、20、30の定格容量に対応する3種類の定格容量を表明することができる。一例として識別抵抗R1、R2、R3はそれぞれAC/DCアダプタの定格容量65W、90W、135Wに対応する。識別抵抗の数は3個に限定するものではなく、電池ユニット100は4種類以上の定格容量を表明することもできる。このとき、同時に2個以上の識別抵抗を活性化して、単独の場合とは異なる抵抗値を作り出してもよい。定格容量の表明の仕方には2つの方式がある。
【0063】
第1の方式では、MPU121がID2ライン155を検出して、専用レセプタクル13、23のいずれかにAC/DCアダプタ10、20が接続されたと認識したときは、ID1ライン153を通じて認識した定格容量に相当するいずれかの識別抵抗R1、R2、R3を活性化し、専用レセプタクル33にAC/DCアダプタ30が接続されたと認識したときは、最低定格容量に対応する識別抵抗R1を活性化する方法である。この方法は、電池ユニット100に接続されたAC/DCアダプタ100の定格容量まで携帯端末装置が電力を消費できるので都合がよい。
【0064】
ただし、この場合は大きな定格容量を表明したあとに電池ユニット100が単独状態に至ったときに、携帯端末装置がそのまま大きな電力を消費することになる。通常の携帯端末装置は電池動作状態のときには、AC/DCアダプタから電力が供給されている状態のときよりも消費電力を下げてロー・パワー・モードで動作しながら電池動作時間の拡張を図る。第1の方式でもこれと同じ方法で電池ユニット100による電池動作時間を拡張するには、AC/DCアダプタが電力を停止したことを検出して、携帯端末装置に最低定格容量を通知する必要がある。
【0065】
しかも携帯端末装置が、短時間で消費電力を低下できるようにするために、電池ユニット100と携帯端末装置の間のコミュニケーションを短時間で終了させる必要がある。本実施の形態では、専用レセプタクル13a、23a、33aの端子数を増やしたり、新たな通信ラインを構築したりしないで、電池ユニット100と携帯端末装置との間のコミュニケーションを行うために、既存のID3端子を利用したシングル・ワイヤ・バス方式を採用している。シングル・ワイヤ・バス方式で複雑なコミュニケーションを短時間で安定して行うことは容易ではないため第1の方式はこの点を考慮して選択する必要がある。なお、本発明はシングル・ワイヤ・バス方式に限定するものではないため、SMバスのようにクロック・ラインを追加して複雑な通信を容易に行えるようにした場合は第1の方式は有利である。
【0066】
第2の方式は、いずれの専用レセプタクル13、23、33にどのような定格容量のAC/DCアダプタ10、20、30が接続されても常に最低定格容量に対応する識別抵抗R1を活性化する方法である。この場合、携帯端末装置は、実際に接続されたAC/DCアダプタの定格容量を十分に活用することはできないが、電池ユニット100が単独状態のときも携帯端末装置がそれに応じたパワー・マネジメントをする。また、AC/DCアダプタが接続された専用レセプタクル13、23、33を認識したり、AC/DCアダプタが電力供給を停止したりしたことを検出して最低定格容量を表明したりする必要がないため、シングル・ワイヤ・バス方式でも容易に実現できる。第2の方式は、電池ユニットがアダプタ接続状態と単独状態のいずれであっても、携帯式電子機器が最低定格容量の電池セットと認識して、それに応じたパワー・マネジメントをする方式ともいえる。
【0067】
共用レセプタクル41のID4端子はID4ライン159でMPU111に接続されている。ID4ラインは、MPU121が共用レセプタクル41に接続されたケーブル・アセンブリ51、53、55の識別子を認識するために設けている。MPU121はID4ライン159を通じて電池ユニット100に接続される携帯端末装置の電力規格を認識することができる。MPU121は、充電器127、昇圧型レギュレータ131およびスイッチ15、スイッチ103〜117の動作を制御する。
【0068】
MPU121は、センス抵抗R4の電圧および電池セット129のセル電圧から、残容量、充放電サイクル、および満充電容量などを計算する。MPU121は、ID3ラインを通じて携帯端末装置とシングル・ワイヤ・バス方式で通信をして、専用レセプタクル13a、23aに接続された電力源が電池ユニット100であることを表明し、さらに、定格容量、残容量、および劣化情報などを通知する。
【0069】
[携帯端末装置]
図5は、携帯端末装置50の一例としてのノートPC50の概略の構成を示す機能ブロック図である。CPU201はメモリ・コントローラとPCI Expressコントローラを内蔵しており、メイン・メモリ203、ビデオ・カード205およびチップ・セット209に接続されている。ビデオ・カード205にはLCD207が接続されている。チップ・セット209は、SATA、USB、PCI Express、LPCなどのコントローラおよびRTC(Real Time Clock)を内蔵している。
【0070】
SATAコントローラにはHDD211が接続され、PCI ExpressコントローラにはLANカード213が接続され、USBコントローラにはUSBレセプタクル217が接続される。LANカード213には、RJ45レセプタクル215が接続されている。LPCコントローラには、BIOS_ROM219およびエンベデッド・コントローラ(EC)221が接続されている。
【0071】
BIOS_ROM219は、不揮発性で記憶内容の電気的な書き替えが可能なメモリであり、起動時にハードウェアの試験および初期化を行うPOST(Power-On Self Test)、デバイスへの基本入出力と電源および筐体内の温度などを管理するACPI BIOS、およびユーザにパスワード認証を要求するためのパスワード認証コードなどなどのプログラムを格納する。
【0072】
EC221は、CPU、ROM、RAMなどで構成されたマイクロ・コンピュータであり、さらに複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、およびディジタル入出力端子を備えている。EC221は、ノートPC10の内部の動作環境の管理にかかるプログラムをCPU201とは独立して実行することができる。EC221は、ID3ライン251で専用レセプタクル13aに接続されている。
【0073】
EC221は電池セット223の状態を監視して充電器227の動作を制御する。電池セット223は、スマート・バッテリィ・システム(SBS)の規格に適合し、筐体の内部にユーザが交換できない態様で実装される。EC221は、電池セット223の充電電流の設定値および充電電圧の設定値を充電器227に設定する。充電器227は、EC221により設定された充電電流の設定値および充電電圧の設定値に基づいて、定電流定電圧制御方式(CCCV)で電池セット223を充電する。
【0074】
EC221は、パワー・コントローラ225を介してDC/DCコンバータ229を制御して、ノートPC50に実装されたシステム・デバイスに電力を供給する。パワー・コントローラ225は、EC221およびDC/DCコンバータ229に接続され、EC221からの指示に基づいてDC/DCコンバータ229を制御する。DC/DCコンバータ229は、専用レセプタクル13aに接続された電池ユニット100またはAC/DCアダプタ10、または電池セット223から供給される直流電圧を複数の電圧に変換してシステム・デバイスに電力を供給する。
【0075】
専用レセプタクル13aには、アダプタ接続状態または単独状態の電池ユニット100またはAC/DCアダプタ10が接続される。専用レセプタクル13aに接続された電池ユニット100またはAC/DCアダプタ10は、DC/DCコンバータ229と充電器227に電力を供給する。EC221は、後に説明方法で専用レセプタクル13aに電池ユニット100とAC/DCアダプタ10のいずれが接続されたかを認識する。EC221は、レセプタクル13aに電池ユニット100が接続されたと認識したときは、充電器227による電池セット223の充電を停止することができる。
【0076】
[ノートPCによる電池ユニットの管理]
専用レセプタクル13aにはAC/DCアダプタ10または電池ユニット100のいずれが接続されるが、AC/DCアダプタ10のDCプラグ11の形状は従来通りである。専用レセプタクル13aに接続が可能なAC/DCアダプタ10の定格容量は複数存在するが、DCプラグ11と専用レセプタクル13aの形状により出力電圧が直流20V以外のAC/DCアダプタは専用レセプタクル13aには接続できないようにしている。
【0077】
AC/DCアダプタ10の定格容量は、ノートPC50のシステム・デバイスの消費電力を合計したシステム最大消費電力よりは大きいが、それに充電器227の充電電力を加えた合計最大消費電力よりは小さい。したがって、ノートPC50は、合計最大消費電力がAC/DCアダプタ10の定格容量を越えないようにパワー・マネジメントを実行する。パワー・マネジメントは、通常はシステムの性能を優先してAC/DCアダプタ10の定格容量とシステム消費電力の差を充電電力に利用するように充電器227を制御して行う。
【0078】
ノートPC50は、定格容量がシステム最大消費電力より小さいAC/DCアダプタ10が接続された場合は、CPU201やビデオ・カード205のクロック周波数を低下させたりLCD207の輝度を低下させたりしてシステム消費電力を低下させる必要があるためシステムのパフォーマンスが低下したり充電が行えなかったりする。ノートPC50は、定格容量が合計最大消費電力より大きなAC/DCアダプタ10が接続された場合はパワー・マネジメントをする必要がない。
【0079】
ノートPC50は、専用レセプタクル13aにAC/DCアダプタ10または電池ユニット100が接続されたときは、パワー・マネジメントをするためにそれらの定格容量を認識する必要がある。ノートPC50はさらに、AC/DCアダプタ10と電池ユニット100のいずれが接続されたかを認識する。そしてノートPC50は、電池ユニット100が接続されたと認識した場合は、電池セット223と同様に電池セット129の残容量と劣化情報を取得してLCD207に表示して管理したり、パワー・マネジメントをしたりする。
【0080】
このようなパワー・マネジメントをしたり電池セット129を管理したりするために、本実施の形態ではケーブル・アセンブリ51を通じてノートPC50と電池ユニット100がシングル・ワイヤ・バス方式で通信をする。本発明はさまざまな特徴を有するなかで、シングル・ワイヤ・バス方式の通信は、既存のノートPC50への変更が少ないためバックワード・コンパチビリティを確保したりコストの低減を図ったりする上では有益であるが、その他の特徴はクロックを使用する他の通信方式を採用しても実現できる。
【0081】
図6は、ノートPC50と電池ユニット100がケーブル・アセンブリ51で接続された状態を示す図である。ケーブル・アセンブリ51は、DCプラグ43のID4端子とGND端子の間に識別抵抗R6が接続されている。識別抵抗R6は、共用レセプタクル41に接続されたケーブル・アセンブリ51の識別子に相当する。MPU121は、識別抵抗R6が分圧したID4ライン159の電圧を検出することで、共用レセプタクルにケーブル・アセンブリ53、55ではなくケーブル・アセンブリ51が接続されたことを検出する。
【0082】
ケーブル・アセンブリ51、53、55は、DCプラグ11a、21a、31aと専用レセプタクル13a、23a、33aの規格により携帯端末装置50、60、70と一意に対応付けられている。また、ケーブル・アセンブリ53、55も識別抵抗R6とは抵抗値が異なりさらに相互に抵抗値が異なる識別抵抗R6を備えている。したがってMPU121は識別抵抗R6により、共用レセプタクル41にいずれの携帯端末装置が接続されたかを認識することができる。
【0083】
専用レセプタクル13aのDC+端子とスイッチ233の間には電圧検出回路231が接続されている。電圧検出回路231は、直流20Vを基準とする所定の範囲の電圧を検出したときに出力する。電圧検出回路231の出力はパワー・コントローラ225に接続されている。スイッチ233はFETで構成されDC/DCコンバータ229に対する専用レセプタクル13aからの電力供給を制御する。スイッチ233はDC+端子に直流20Vの電圧が印加されたときにオン状態になり、電圧が喪失したときにオフ状態になるようにパワー・コントローラ225が制御する。
【0084】
なお、図1から図6は本実施の形態を説明するために、本実施の形態に関連する主要なハードウェアの構成および接続関係を簡略化して記載したに過ぎないものである。ここまでの説明で言及した以外にも、電池ユニット100、AC/DCアダプタ10、およびノートPC50を構成するには多くのデバイスが使われる。しかしそれらは当業者には周知であるので、ここでは詳しく言及しない。
【0085】
図で記載した複数のブロックを1個の集積回路もしくは装置としたり、逆に1個のブロックを複数の集積回路もしくは装置に分割して構成したりすることも、当業者が任意に選択することができる範囲においては本発明の範囲に含まれる。また、各々のデバイスの間を接続するバスおよびインターフェースなどの種類はあくまで一例に過ぎず、それら以外の接続であっても当業者が任意に選択することができる範囲においては本発明の範囲に含まれる。
【0086】
[アダプタ接続状態の電池ユニットの動作手順]
図7は、単独状態の電池ユニット100にAC/DCアダプタとケーブル・アセンブリが接続されたときの動作手順を示すフローチャートである。ブロック301では、いずれの専用レセプタクル13、23、33にもAC/DCアダプタ10、20、30が接続されておらず電池ユニット100は単独状態で存在している。また、共用レセプタクル41にもいずれのケーブル・アセンブリ51、53、55も接続されていない。MPU121は、電池セット129が供給する電力で動作して内部の動作を制御している。
【0087】
MPU121は、各専用レセプタクル13、23、33のID2ライン155を通じて電池ユニット100が単独状態であることを認識し、かつ共用レセプタクル41のID4ライン159を通じていずれのケーブル・アセンブリ51、53、55も接続されていないことを認識してすべてのスイッチ15、25、35、103、105、107、109、111、113、115、117をオフ状態にする。MPU121はさらにいずれのケーブル・アセンブリ51、53、55も接続されていないことを認識して、昇圧型レギュレータ131の動作を停止して電力損失を軽減する。
【0088】
したがって、単独状態の電池ユニット100はいずれのケーブル・アセンブリも接続されていないときは共用レセプタクル41に直流20Vの電圧を出力しない。ブロック303でMPU121はいずれかの専用レセプタクル13、23、33にAC/DCアダプタ10、20、30が接続されたことを機械式スイッチ104の動作で検出する。ここでは、専用レセプタクル13にAC/DCアダプタ10が接続された場合を中心にして説明するが、AC/DCアダプタ20が接続された場合も同様の手順で動作する。AC/DCアダプタ30が接続された場合は、専用レセプタクル33にID1ライン153が存在しないので多少異なった動作をするがそれについては適宜説明する。
【0089】
AC/DCアダプタ10が接続されたことを認識したMPU121は、スイッチ15をオン状態にする。ブロック305でMPU121は、AC/DCアダプタ10の識別抵抗R1で分圧された専用レセプタクル13のID1ライン153の電圧を検出して、専用レセプタクル13に接続されたAC/DCアダプタ10の定格容量を認識する。AC/DCアダプタ30が専用レセプタクル33に接続されたときは、この手順を省略する。
【0090】
ブロック307では電圧検出回路125の出力によりDC+ライン151に電圧が印加されたことを検出したMPU121はスイッチ105をオン状態にして、必要に応じて充電器127に充電電流および充電電圧を設定して電池セット129の充電を開始する。MPU121はこれ以後、接続されたAC/DCアダプタ10の定格容量と共用レセプタクル41から出力する電力との差の電力の範囲で充電電力を制御するように充電電圧および充電電流を設定する。専用レセプタクル33にAC/DCアダプタ30が接続されたことを認識したときは、MPU121は最低定格容量と共用レセプタクル41から出力する電力との差の電力の範囲で充電電力を制御するように充電電圧および充電電流を設定する。
【0091】
MPU121は、さらに、電池セット129の残容量、満充電容量、および充放電サイクルの計算を行う。ブロック309では、MPU121がID4ライン159の電圧を検出して共用レセプタクル41にいずれかのケーブル・アセンブリ51、53、55が接続されたこと、および接続されたケーブル・アセンブリの識別子を認識する。MPU121がいずれのケーブル・アセンブリ51、53、55の接続も認識しないときは、それ以上手順は進行しない。
【0092】
ブロック313では、接続されたケーブル・アセンブリ51を示すID4ライン159通じて判断したノートPC50の電力規格とID2ライン155が示す専用レセプタクル13を通じて判断したAC/DCアダプタ10の電力規格を比較する。ケーブル・アセンブリ53、55が接続されたような場合は、AC/DCアダプタ10の規格と携帯端末装置60、70の電力規格が不一致であるためブロック309に戻りこれ以上手順は進行しない。電力規格が一致しない限りAC/DCアダプタ10から電池ユニット100を経由してから携帯端末装置60、70に電力を供給することはないが、充電器127には電力が供給されて電池セット129の充電は行われる。
【0093】
共用レセプタクル41にケーブル・アセンブリ51が接続されたときは、AC/DCアダプタ10とノートPC50の電力規格が一致する。MPU121は、AC/DCアダプタ10の電力規格とケーブル・アセンブリ51に対応付けられたノートPC50の電力規格が一致したと判断すると、ブロック315で昇圧型レギュレータ131を動作させる。この時点ではケーブル・アセンブリ51に携帯端末装置50が接続されているか否か、さらに、接続された携帯端末装置50が電力を消費しているか否かは不明である。したがって、ノートPC50が接続されていない状態またはノートPC50が接続されてはいるがパワー・オフ状態の場合もある。
【0094】
昇圧型レギュレータ131を動作させると電力損失が発生するが、ノートPC50が実際に電力を消費する前であって、ケーブル・アセンブリ51が接続されたタイミングで昇圧型レギュレータ131を動作させるのは、以下の理由である。専用レセプタクル13aにAC/DCアダプタ10が接続されたときに、既存のノートPCは電圧検出回路231が直流20Vを検出してAC/DCアダプタ10の接続を検出して、パワー・コントローラ225を動作させる。
【0095】
ノートPC50は電池ユニット100に対しても同様にして接続を検出して、EC221がMPU121との間でコミュニケーションを開始する必要がある。昇圧型レギュレータ131を停止すると、単独状態の電池ユニット100は、共用端子41に直流9Vから直流12.6Vの電圧を出力する。しかし既存のノートPCの電圧検出回路231は、直流9Vから直流12.6Vの電圧を検出することができないため、単独状態の電池ユニット100がノートPC50に接続されたときに、事前に昇圧型レギュレータ131を動作させておかないとその接続を検出して動作することができない。
【0096】
これに対して、電池ユニット100側でプルアップしたID3ライン157、251の電圧をEC221が検出して、AC/DCアダプタ10または電池ユニット100の接続を検出する方法もあるが、その場合EC221にパワー・オフ状態でも電力を供給しておく必要があるため電力損失が発生する。また、この方法では2端子構造の専用レセプタクル33aを備える携帯端末装置70はAC/DCアダプタ30または電池ユニット100の接続を検出できない。
【0097】
ただし、電池ユニット100を利用するすべての携帯端末装置の電圧検出回路231が直流9Vから20Vの広い範囲の電圧を検出することができれば、昇圧レギュレータ131に設けたバイパス・スイッチ117を、昇圧型レギュレータ131を停止するときはオン状態にすることでEC221とMPU121との通信プロセスを開始させることができる。この場合、ノートPC50が電力を消費しない間は、昇圧レギュレータ131を停止しておき、ノートPC50が電力を消費したことをMPU121が検出して昇圧型レギュレータ131を動作させるようにすることができる。
【0098】
つづいて、ブロック317でMPU121は第1の方式または第2の方式のいずれかの方法で識別抵抗R1、R2、R3のいずれかを活性化するために対応するスイッチ109、111、113のいずれかをオン状態にする。ここでは第2の方式を採用してMPU121は最低定格容量に対応する識別抵抗R1を活性化するためにスイッチ109だけをオン状態にする。その結果、電池ユニット100は、接続されたAC/DCアダプタ10の定格容量の値にかかわらず最低定格容量をノートPC50に表明する。
【0099】
ブロック319では、MPU121は、スイッチ103をオン状態にする。その結果、共用レセプタクル41のDC+端子には直流20Vの電圧が出力され、ケーブル・アセンブリ51のDCプラグ11aに接続される携帯端末装置50に電力を供給する状態が完了する。昇圧型レギュレータ131の電圧は、共用レセプタクル41に携帯端末装置50が接続されたときにAC/DCアダプタ10から電力を供給するように設定されている。MPU121は、アダプタ接続状態のときは昇圧レギュレータ131を停止しておき、電池ユニット100が単独状態に移行したときに昇圧レギュレータ131を動作させ、スイッチ103をオフ状態にしかつスイッチ105をオン状態に制御してもよい。
【0100】
ブロック321では、AC/DCアダプタ10が接続されたアダプタ接続状態の専用レセプタクル23にAC/DCアダプタ20が接続される。MPU121は、専用レセプタクル23のID2ラインを通じて新たなAC/DCアダプタ20が接続されたことを検出すると、ブロック323でそれより先に専用レセプタクルにAC/DCアダプタが接続されているか否かを判断する。たとえば先にAC/DCアダプタ10が専用レセプタクル13に接続されていると判断すると、スイッチ25のオフ状態を維持して複数のAC/DCアダプタが並列接続されないようにする。
【0101】
ブロック325では、アダプタ接続状態の電池ユニット100からケーブル・アセンブリ51が外される。MPU121は、ID4ラインを通じてケーブル・アセンブリ51が外されたことを検出すると、ブロック327で昇圧型レギュレータ131の動作を停止してブロック309に戻る。したがって、共用レセプタクル41にいずれのケーブル・アセンブリ51、53、55も接続されないときは、昇圧型レギュレータ131の電力損失を軽減できる。
【0102】
図8は、単独状態の電池ユニット100にケーブル・アセンブリが接続されたときの動作手順を示すフローチャートである。ブロック401ではブロック301と同様に電池ユニット100は単独状態にある。ブロック402では、MPU121は、各専用レセプタクル13、23、33のID2ライン155を通じて単独状態であることを認識すると、スイッチ109だけをオン状態にして最低定格容量を表明する。ブロック403では、MPU121がID4ライン159を通じて共用レセプタクル41にいずれかのケーブル・アセンブリ51、53、55が接続されたことを検出する。MPU121はいずれかのケーブル・アセンブリ51、53、55が接続されたことを認識するとブロック405で昇圧型レギュレータ131を動作させる。
【0103】
ブロック407では、MPU121がスイッチ115をオン状態にすると、共用レセプタクル41に直流20Vの電圧が出力されて電池ユニット100は、電池セット129からいずれかの携帯端末装置50、60、70に電力を供給する準備が完了する。ブロック409は、その後単独状態の電池ユニット100にいずれかのAC/DCアダプタ10、20、30が接続される状態を示している。
【0104】
いずれかのAC/DCアダプタ10、20、30が接続されるとブロック411では図7のブロック303、305、307、317の手順が実行されてブロック319の状態に遷移する。このときMPU121は昇圧型レギュレータ411の動作を停止してもよい。単独状態の電池ユニット100は、AC/DCアダプタと携帯端末装置の電力規格を判断することなく電力を供給することができる。
【0105】
ブロック413では、単独状態の電池ユニット100からケーブル・アセンブリ51が外される。MPU121は、ID4ラインを通じてケーブル・アセンブリ51が外されたことを検出すると、ブロック415で昇圧型レギュレータ131の動作を停止してブロック403に戻る。したがって、共用レセプタクル41にいずれのケーブル・アセンブリ51、53、55も接続されないときは、昇圧型レギュレータ131を停止して電池セット129の放電を抑制することができる。
【0106】
[電池ユニットからノートPCに電力供給するときの動作手順]
つぎにアダプタ接続状態の電池ユニット100からノートPC50に電力を供給するときの動作手順を図9のフローチャートを参照して説明する。図10は、EC221とMPU121がシングル・ワイヤ・バス方式で通信するときのプロトコルを説明する図である。図10(A)は、専用レセプタクル13aに電池ユニット100が接続されたときのID3ライン251、157の電圧を示し、図10(B)は専用レセプタクル13aにAC/DCアダプタ10が接続されたときのID3ライン251の電圧を示している。
【0107】
ノートPC50は、電力源が電池セット223だけであり、パワー・オン状態またはパワー・オフ状態に遷移している。ここではパワー・オフ状態を前提に説明する。パワー・オフ状態では、DC/DCコンバータ229はパワー・オン状態に遷移させるために最低限必要な電力をパワー・コントローラ225に供給している。また、スイッチ233はオフ状態で、EC221は停止している。
【0108】
電池ユニット100はブロック601で図7のブロック319の状態または図8のブロック411の状態に遷移しており、スイッチ107、109、111、113の中ではスイッチ109だけをオン状態にして最低定格容量を表明している。ノートPC50ではブロック501で、専用レセプタクル13aにAC/DCアダプタ10または図7のブロック319の状態に遷移している電池ユニット100(以下、電力デバイスという。)が接続される。AC/DCアダプタ10または電池ユニット100のいずれの電力デバイスが接続された場合でも、ブロック503で電圧検出回路231は、専用レセプタクル13aのDC+端子の電圧を検出しパワー・コントローラ225に出力する。パワー・コントローラ225は、EC221が電池ユニット100またはAC/DCアダプタ10の定格容量を認識したり、MPU121と通信したりするために必要な範囲に電力を供給するようにDC/DCコンバータ229を制御する。
【0109】
ブロック505では、AC/DCアダプタ10または電池ユニット100の識別抵抗が分圧したID3ライン251の電圧V1をEC221が時間T1の間検出して電力デバイスが表明する定格容量を認識する。EC221は、電圧V1が自ら保有するリストに存在する電圧範囲にない場合は、接続された電力デバイスの定格容量を最低定格容量として認識することができる。
【0110】
もし、ノートPC50が最低定格容量ではパワー・マネジメントができない場合は、スイッチ233のオフ状態を維持して最低定格容量を表明する電力デバイスからは電力を受け取らないようにすることができる。この場合ノートPC50は電池セット223の電力だけで動作して、電池セット223の残容量が低下した場合は、自動的にハイバネーション状態またはサスペンド状態に遷移する。この時点でEC221はAC/DCアダプタ10または電池ユニット100のいずれが接続されたかを認識していない。
【0111】
また、ノートPC50は認識した電力デバイスの定格容量がパワー・マネジメントできる電力の最大値を超えている場合は、パワー・マネジメントの可能な電力に対してパワー・マネジメントをする。したがって、ノートPC50が定格容量90WのAC/DCアダプタ10までパワー・マネジメントが可能な場合は、定格容量が135WのAC/DCアダプタ10が接続されても消費電力を90W以内に制御する。AC/DCアダプタの定格容量とノートPC50の合計最大消費電力の差は、電池セット129の充電に利用される。
【0112】
ブロック507でEC221は、AC/DCアダプタ10または電池ユニット100に対して、専用レセプタクル13aに接続された電力デバイスがいずれであるかを認識するためのチャレンジをする。EC221は時間T1が経過した後の時間T2の間ID3ライン251をロー(電圧V0)に遷移させてから再び電圧V1に復帰させる。ここで専用レセプタクル13aに電池ユニット100が接続されている場合はブロック603でチャレンジを受けたMPU121は、ID3ライン157が電圧V1に復帰した後にスイッチ109をオフ状態にして、ID3ライン251をコミュニケーション用に開放する。その結果、ID3ライン157の電圧は、MPU121の内部抵抗で定まる電圧V2に遷移する。
【0113】
つづいて、MPU121は時間T3が経過するとスイッチ107をオン状態にしてID3ライン157の電圧を時間T4の間電圧V0に遷移させる。専用レセプタクル13aにAC/DCアダプタ10が接続されている場合は、EC221のチャレンジに対して応答しないためID3ライン251は、時間T2の後にEC221が復帰させた電圧V1を維持する。
【0114】
ブロック509では、EC221はID3ラインの電圧で、チャレンジに対する応答を監視して接続された電力デバイスが電池ユニット100またはAC/DCアダプタ10のいずれであるかを認識する。EC221は、電力デバイスの種類と定格容量を認識するとスイッチ233をオン状態に制御し、DC/DCコンバータ229および充電器227にいずれかの電力デバイスから電力が供給される。デバイスが電池ユニット100の場合は、ブロック604でアダプタ接続状態の電池ユニット100からノートPC50に電力が供給される。
【0115】
ブロック511で、EC221がAC/DCアダプタ10が接続されたと認識した場合はブロック513に移行して本実施の形態にかかる動作手順は終了する。電池セット100が接続されていると判断した場合は、ノートPC50はAC/DCアダプタ10が接続されていると判断した場合に比べて、CPU201のクロック周波数を低下させたり、LCD207の輝度を低下させたりしてロー・パワー・モードで動作することができる。
【0116】
ブロック605ではチャレンジに応答したMPU121は、時間T4が経過するとそれ以後ID3ライン157を通じて満充電容量に対する残容量(RSOC:Relative State Of Charge)と、電池セット129の劣化の進行程度を示す劣化情報をEC221に転送する。劣化情報は、充放電サイクルに対応付けられた値であったり定格容量に対する現在の満充電容量の割合に対応付けられた値であったりする。MPU121は、劣化進行程度を複数の段階に分けて転送することができる。
【0117】
MPU121は、スイッチ107を制御してID3ライン157の電圧を電圧V2とV0の間で遷移させて残容量と劣化情報を同時に転送する。パルスの周期T1x、T2x、T3xは劣化程度に対応付けられている。また、各パルスの周期に対するオン時間の割合に相当するデューティ・サイクル(T1y/T1x、T2y/T2x、T3y/T3x、)は、残容量に対応付けられている。
【0118】
MPU121は、以後ID4ライン159を通じてケーブル・アセンブリ51が取り外されたことを検出するまでパルスの転送を続ける。他の転送方法では、EC221が要求するたびにMPU121が残容量と劣化情報を転送する。たとえばMPU121は1回の情報の転送に2個のパルスを送信し、その後ID3ライン251を電圧V2に維持する。EC221は、情報が必要なときにID3ライン251を電圧V0に遷移させ、それに応答してMPU121が情報転送用の2個のパルスを送るようにしてもよい。
【0119】
ブロック515でEC221は、所定のタイミングでID3ライン251を通じてパルスを受け取りLCD207に残容量と劣化情報を表示する。すなわち、ノートPC50は電池ユニット100の電池セット129を、本体に組み込まれた電池セット223と同様に管理しながら使用する。LCD207に表示する情報には、現在ノートPC50に電力を供給することができるデバイスの種類(電池セット223、電池ユニット100、AC/DCアダプタ10)と、電池セット223と電池セット129についての劣化情報と残容量とすることができる。
【0120】
残容量を受け取ったEC221は、電池セット129の残容量が限界まで低下したときに、さらに電池セット223の残容量も参照して、ノートPCをサスペンド状態に遷移させたり、作業中のメイン・メモリ203のデータをHDD211に退避させてからノートPC50をハイバネーション状態に遷移させたりする。LCD207に表示された劣化情報によりユーザは、電池セット129の適切な交換時期を判断することができるようになる。
【0121】
ブロック607では、専用レセプタクル13からAC/DCアダプタ10が外される。共用レセプタクル41のDC+端子の電圧が低下するとダイオード133を通じて電池セット129からノートPC50に電力が供給される。電力源がAC/DCアダプタから電池セット129に切り換わるときは、スイッチ115がオン状態になるまでの短時間はダイオード133を通じて電力が供給されるため、共用レセプタクル41のDC+端子の電圧が低下することはない。MPU121は、電圧検出回路125の出力が停止したことを検出してスイッチ115をオン状態にし、スイッチ15、103をオフ状態にする。
【0122】
単独状態の電池ユニット100が接続されたときの動作手順は、図9とほぼ同じであるため、図9を参照して異なる手順だけを説明する。ブロック601に代わる新たな手順では、図8のブロック407に示すように、電池ユニット100は単独状態で電力の供給準備が完了している。ブロック607に代わる新たな手順では、AC/DCアダプタ10が電池ユニット100に接続されることがある。
【0123】
電圧検出回路125を通じて専用レセプタクル13のDC+端子に直流20Vの電圧が印加されたことを検出したMPU121は、スイッチ15、103をオン状態にする。その結果ブロック609では、共用レセプタクル41のDC+端子に、AC/DCアダプタ10から電力が供給され、必要に応じて電池セット129の充電が開始される。
【0124】
電池ユニット100は、電池セット129を筐体に収納して鞄に入れやすいように薄型化することが望ましい。したがって、電車や車の中では鞄に電池ユニット100を入れて膝の上でノートPC50を利用することもできるため、これまで困難であった薄型化のノートPCの電池動作時間を拡張することができる。また、従来の外部電池のように専用の充電器を持ち運ぶ必要がなく、さらに予備の電池に交換したりする手間を省くことができる。さらに、移動先で商用電源が使用できるときはAC/DCアダプタで電池セット129を充電しながらノートPC50を使用し、移動中は単独状態の電池ユニット100から電力供給をすることができるので利便性に富んでいる。
【0125】
電池セット223が完全に放電しているノートPC50をアダプタ接続状態の電池ユニット100に接続して使用する場合は、商用電源が停止したときには、無停電で使用を継続することができるため、電池ユニットは無停電電源装置(UPS)としての機能も備えている。電池セット129は、電池ユニット100の筐体の中に組み込む組み込み電池であっても、電池ユニット100の筐体のベイに着脱可能な電池パックであってもよい。また、電池パックの場合は、ノートPCの電池パックと互換性のあるタイプにすることができる。
【0126】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0127】
10、20、30 AC/DCアダプタ
11、21、31、43、11a、21a、31a DCプラグ
13、23、33、13a、23a、33a 専用レセプタクル
41 共用レセプタクル
45 ACプラグ
50 携帯端末装置(ノートPC)
60、70 携帯端末装置
51、53、55 ケーブル・アセンブリ
100 電池ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気電子機器に電力を供給する電池ユニットであって、
AC/DCアダプタの接続が可能な1次レセプタクルと、
前記電気電子機器の接続が可能な2次レセプタクルと、
前記AC/DCアダプタが供給する電力で2次電池を充電する充電器と、
前記AC/DCアダプタが接続されたときは前記AC/DCアダプタから前記電気電子機器に電力を供給し、前記AC/DCアダプタが外れたときは前記2次電池から前記電気電子機器に電力をする出力回路と、
前記電池ユニットの動作を制御する制御回路と
を有する電池ユニット。
【請求項2】
前記AC/DCアダプタが前記電気電子器の専用レセプタクルに接続が可能である請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記2次電池が前記電池ユニットの筐体に収納されている請求項1または請求項2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記制御回路は、前記AC/DCアダプタが接続されたときに前記2次電池を充電しながら前記電気電子機器に電力を供給するように前記充電器を制御する請求項1から請求項3のいずれかに記載の電池ユニット。
【請求項5】
前記2次電池の出力電圧を前記AC/DCアダプタの出力電圧まで昇圧して前記2次レセプタクルに出力する昇圧回路を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の電池ユニット。
【請求項6】
前記制御回路は、前記2次レセプタクルに前記電気電子機器が接続されないとき、または前記2次レセプタクルに接続された電気電子機器が電力を消費しないときに前記昇圧回路の動作を停止する請求項5に記載の電池ユニット。
【請求項7】
前記電気電子機器が筐体の内部に組み込まれた2次電池を有し、前記専用レセプタクル以外に外部から電力を供給するインターフェースを有しない請求項1から請求項6のいずれかに記載の電池ユニット。
【請求項8】
複数の電気電子機器に電力を供給することが可能な電池ユニットであって、
それぞれにAC/DCアダプタの接続が可能な複数の1次レセプタクルと、
前記複数の電気電子器の中から選択した任意のいずれかに接続が可能な2次レセプタクルと、
2次電池を充電する充電器と、
前記複数の1次レセプタクルのいずれかに前記AC/DCアダプタが接続されたときは前記AC/DCアダプタから前記電気電子機器に電力を供給し、前記1次レセプタクルのいずれにも前記AC/DCアダプタ接続されないときは前記2次電池から前記電気電子機器に電力を供給する出力回路と、
前記電池ユニットの動作を制御する制御回路と
を有する電池ユニット。
【請求項9】
前記複数の電気電子機器の電力規格がそれぞれ異なっており、前記制御回路は、前記1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタの電力規格と前記2次レセプタクルに接続された電気電子機器の電力規格が一致しないと判断したときに前記AC/DCアダプタから前記電気電子機器に対する電力の供給を停止する請求項8に記載の電池ユニット。
【請求項10】
前記制御回路は、前記電気電子機器に対する電力の供給を停止したときに、前記2次電池の充電を行うように前記充電器を制御する請求項9に記載の電池ユニット。
【請求項11】
前記複数の1次レセプタクルが特定の電気電子機器の電力規格に一致するAC/DCアダプタだけの接続が可能な一次レセプタクルで構成され、前記制御回路は前記AC/DCアダプタが接続された1次レセプタクルを示す識別子を認識して前記AC/DCアダプタの電力規格を認識する請求項9または請求項10に記載の電池ユニット。
【請求項12】
前記複数の電気電子機器のそれぞれが、電力規格の一致する前記AC/DCアダプタだけが接続可能な専用レセプタクルを備え、前記制御回路は前記専用レセプタクルと前記2次レセプタクルを接続するケーブル・アセンブリを示す識別子から前記2次レセプタクルに接続された前記電気電子機器の電力規格を認識する請求項9から請求項11のいずれかに記載の電池ユニット。
【請求項13】
前記識別子が前記ケーブル・アセンブリのプラグに組み込まれている請求項12に記載の電池ユニット。
【請求項14】
直流電力源と電気電子機器に接続が可能な電力供給システムであって、
前記直流電力源が供給する電力で2次電池を充電する充電回路と、
前記直流電力源の電力を前記電気電子機器に供給する第1の電力回路と、
前記2次電池の電力を直流電圧で前記電気電子機器に供給する第2の電力回路と、
前記直流電力源が接続されたときは前記第1の電力回路から前記電気電子機器に電力を供給し、前記直流電力源が外れたときは前記第2の電力回路から前記電気電子機器に電力を供給する制御回路と
を有する電力供給システム。
【請求項15】
AC/DCアダプタの接続が可能な専用レセプタクルを備える携帯端末装置に電力を供給する電池ユニットであって、
前記AC/DCアダプタの接続が可能な1次レセプタクルと、
前記携帯端末装置の接続が可能な2次レセプタクルと、
2次電池を充電する充電器と、
前記AC/DCアダプタが接続されたときは前記AC/DCアダプタから前記携帯端末装置に電力を供給し、前記AC/DCアダプタが外れたときは前記2次電池から前記携帯端末装置に電力を供給する出力回路と、
前記電池ユニットの動作を制御し、前記携帯端末装置に前記電池ユニットの定格容量を表明する制御回路と
を有する電池ユニット。
【請求項16】
前記表明する定格容量は、前記電池ユニットに接続される複数の携帯端末装置の定格容量の中で最低の定格容量である請求項16に記載の電池ユニット。
【請求項17】
前記制御回路は前記1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタの定格容量を認識して、前記携帯端末装置に前記認識したAC/DCアダプタの定格容量を表明する請求項16に記載の電池ユニット。
【請求項18】
前記1次レセプタクルと前記専用レセプタクルがそれぞれ電源端子とグランド端子と識別端子を含み、前記制御回路は前記1次レセプタクルの識別端子を通じて前記AC/DCアダプタの定格容量を認識し、前記専用レセプタクルの識別端子を通じて前記電池ユニットの定格容量を表明する請求項15から請求項17のいずれかに記載の電池ユニット。
【請求項19】
前記制御回路は、前記2次電池の残容量と劣化情報を計算して前記携帯端末装置に転送する請求項15から請求項18のいずれかに記載の電池ユニット。
【請求項20】
前記制御回路は、シングル・ワイヤ・バス方式で前記残容量と前記劣化情報を転送する請求項19に記載の電池ユニット。
【請求項21】
前記1次レセプタクルと前記専用レセプタクルがそれぞれ電源端子とグランド端子と識別端子を含み、前記制御回路は前記専用レセプタクルの識別端子を通じて前記携帯端末装置に前記残容量と前記劣化情報を送る請求項20に記載の電池ユニット。
【請求項22】
前記制御回路は、パルスの周期とデューティ比で前記残容量と劣化情報を同時に転送する請求項21に記載の電池ユニット。
【請求項23】
AC/DCアダプタまたは該AC/DCアダプタの接続が可能な電池ユニットの任意のいずれかから電力を供給することが可能な携帯端末装置であって、
前記電池ユニットは、前記AC/DCアダプタが接続されたアダプタ接続状態では前記AC/DCアダプタから前記携帯端末装置に電力を供給し、前記AC/DCアダプタが外れた単独状態では2次電池から前記携帯端末装置に電力を供給し、
前記携帯端末装置は、
前記AC/DCアダプタと前記電池ユニットの任意のいずれかを接続できる専用レセプタクルと、
前記専用レセプタクルに接続された前記AC/DCアダプタまたは前記電池ユニットの定格容量を認識して消費電力を制御するコントローラと
を有する携帯端末装置。
【請求項24】
前記携帯端末装置はディスプレイを備え、
前記コントローラは、前記電池ユニットが接続されたと認識したときは前記電池ユニットから前記2次電池の残容量を取得して前記ディスプレイに表示する請求項23に記載の携帯端末装置。
【請求項25】
前記コントローラは、前記電池ユニットが接続されたと認識したときは前記電池ユニットの劣化情報を取得して前記ディスプレイに表示する請求項23または請求項24に記載の携帯端末装置。
【請求項26】
前記専用レセプタクルが電源端子と識別端子とグランド端子を含み、前記コントローラは前記識別端子を通じて前記電池ユニットまたは前記AC/DCアダプタにパルス信号を送り、該パルス信号に対する応答パルスから前記専用レセプタクルに前記AC/DCアダプタと前記電池ユニットのいずれが接続されたかを認識する請求項23から請求項25のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項27】
1次レセプタクルと2次レセプタクルを備える電池ユニットまたはAC/DCアダプタの任意のいずれかの接続が可能な専用レセプタクルを備える電気電子機器に電力を供給する方法であって、
前記AC/DCアダプタを前記1次レセプタクルに接続するステップと、
前記2次レセプタクルと前記専用レセプタクルをケーブル・アセンブリで接続するステップと、
前記AC/DCアダプタから前記ケーブル・アセンブリを通じて前記電気電子機器に電力を供給するステップと、
前記1次レセプタクルが供給する電力を停止するステップと、
前記AC/DCアダプタからの電力供給が停止したときに2次電池から前記電気電子機器に電力を供給するステップと
を有する方法。
【請求項28】
前記1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタから前記電気電子機器に電力を供給しながら前記電池ユニットが前記2次電池を充電するステップを有する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記電池ユニットが前記2次電池の出力電圧を前記AC/DCアダプタの出力電圧まで昇圧するステップを有する請求項27または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ケーブル・アセンブリの電力供給が停止したときに前記昇圧回路の動作を停止するステップを有する請求項27から請求項29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記電気電子機器がパワー・オフ状態のときに前記昇圧回路の動作を停止するステップを有する請求項27から請求項30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
2次レセプタクルと複数の1次レセプタクルを備える電池ユニットまたはAC/DCアダプタの任意のいずれかの接続が可能な専用レセプタクルを備える電気電子機器に電力を供給する方法であって、
前記AC/DCアダプタをいずれかの前記1次レセプタクルに接続するステップと、
前記2次レセプタクルと前記専用レセプタクルをケーブル・アセンブリで接続するステップと、
前記AC/DCアダプタから前記ケーブル・アセンブリを通じて前記電気電子機器に電力を供給するステップと、
前記AC/DCアダプタが供給する電力を停止するステップと、
前記AC/DCアダプタからの電力供給が停止したときに2次電池から前記電気電子機器に電力を供給するステップと
を有する方法。
【請求項33】
前記1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタの規格と前記電気電子機器の規格を照合するステップと、
前記規格が一致しないときに、前記AC/DCアダプタから前記電気電子機器に対する電力供給を停止するステップと
を有する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記照合するステップが、前記1次レセプタクルを示す識別子を取得するステップと、前記ケーブル・アセンブリを示す識別子を取得するステップとを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタから前記電気電子機器に電力を供給しながら前記2次電池を充電するステップを有する請求項32から請求項34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
1次レセプタクルと2次レセプタクルを備え2次電池から電力供給をすることが可能な電池ユニットまたはAC/DCアダプタの任意のいずれかの接続が可能な専用レセプタクルを備える携帯端末装置に電力を供給する方法であって、
前記AC/DCアダプタを前記1次レセプタクルに接続するステップと、
前記2次レセプタクルと前記専用レセプタクルをケーブル・アセンブリで接続するステップと、
前記1次レセプタクルに接続されたAC/DCアダプタから前記携帯端末装置に電力を供給するステップと、
前記携帯端末装置に前記電池ユニットの定格容量を表明するステップと
を有する方法。
【請求項37】
前記AC/DCアダプタからの電力供給を停止するステップと、
前記AC/DCアダプタからの電力供給が停止したときに前記2次電池から前記携帯端末装置に電力を供給するステップと
を有する請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記2次電池の残容量と劣化情報を計算するステップと、
前記ケーブル・アセンブリを通じて前記残容量と前記劣化情報を前記携帯端末装置に転送するステップと
を有する請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
AC/DCアダプタの接続が可能な電池ユニットまたは前記AC/DCアダプタの任意のいずれかから電力を供給することが可能な携帯端末装置が消費電力の制御をする方法であって、
前記電池ユニットと前記携帯端末装置を接続するステップと、
前記電池ユニットが、前記AC/DCアダプタが接続されたアダプタ接続状態で前記AC/DCアダプタから前記携帯端末装置に電力を供給するステップと、
前記携帯端末装置が、前記AC/DCアダプタと前記電池ユニットのいずれが接続されたかを判断するステップと、
前記携帯端末装置が、前記電池ユニットが接続されたと判断したときは前記電池ユニットの定格容量を認識して消費電力を制御するステップと
を有する方法。
【請求項40】
前記電池ユニットが、前記AC/DCアダプタが電力供給を停止した単独状態で前記電池ユニットに接続される複数の携帯端末装置の定格容量の中で最低の最低定格容量を前記携帯端末装置に表明するステップと、
前記携帯端末装置が、前記最低定格容量を認識して消費電力の制御をするステップと
を有する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記携帯端末装置が、前記電池ユニットが接続されたと判断したときは前記電池ユニットから前記2次電池の残容量および劣化情報を取得するステップを有する請求項39または請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記携帯端末装置は、前記残容量に基づいてパワー・マネジメントを実行する請求項41に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−99063(P2013−99063A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238289(P2011−238289)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
【復代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
【Fターム(参考)】