説明

電気電子部品封止用樹脂組成物、電気電子部品封止体の製造方法および電気電子部品封止体

【課題】 冷熱サイクル負荷、高温高湿負荷、高温負荷等の環境負荷に対する耐久性に優れる電気電子部品封止体を提供すること、それに適した電気電子部品封止体の製造方法および電気電子部品封止用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 結晶性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対しエポキシ樹脂(B)0.1〜50質量部およびポリオレフィン樹脂(C)0.5〜50質量部が配合されており、 水分率0.1%以下に乾燥して220℃に加熱し圧力1MPaを付与し、孔径1.0mm、厚み10mmのダイより押出したときの溶融粘度が5dPa・s以上2000dPa・s以下であり、 ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレート板に対する、−40℃30分と80℃30分の冷熱サイクルを1000サイクル付加した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上であり、 ガラスエポキシ板に対する、−40℃30分と80℃30分の冷熱サイクルを1000サイクル付加した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上である、 電気電子部品封止用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物によって封止された電気電子部品封止体およびその製造方法、この用途に適した樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車・電化製品に広汎に使用されている電気電子部品は、その使用目的を達成する為に、外部との電気絶縁性が必須とされる。例えば、電線は電気絶縁性を有する樹脂で被覆されている。昨今、携帯電話等、小さい容量の中に複雑な形状の電気電子部品を詰め込む必要がある用途が激増している中で、その電気絶縁には種々の方法が採用されている。特に電気絶縁体となる樹脂によって回路基板等複雑な形状を有する電気電子部品を封止するときは、その電気電子部品の形状に確実に追随し未充填部が発生しない封止方法が求められる。その為には、被覆時の封止樹脂組成物の粘度を下げる方法が一般的である。予め封止樹脂を溶剤に溶解して溶液状として、電気電子部品間に含浸させかつ電気電子部品を包み込み、その後溶媒を蒸発させる方法は、封止樹脂組成物の粘度を下げる方法の一つであるが、溶媒の蒸発時に気泡が残存する、溶媒として有機溶剤を使用するので作業環境中への有機溶剤の揮散に対応する生産設備を要する等、問題点が多い。
【0003】
そこで、これまでは、封止後の耐久性も加味して、二液硬化型エポキシ樹脂が一般的に使用されてきた(例えば特許文献1、2参照)。これは主剤と硬化剤を封止直前に混合して、低粘度の樹脂組成物を電気電子部品間に含浸させかつ電気電子部品を包み込み、次いで加温して数日間保管することで硬化反応を促進させ、完全に固化させるものである。しかしこの方法においては、まず、液状エポキシ樹脂の環境への悪影響が懸念される。さらには、二液の混合比率を精密に調整する必要があるため、手間とコストがかかり、混合比率のぶれよる不良発生のリスクが懸念され、さらには混合後の使用可能期間が1〜2ヶ月と短く限定される。さらに、硬化に数時間〜数日間の養生期間を必要とするので、生産性が低いという問題がある。また、硬化後においては、エポキシ樹脂の硬化収縮による応力が、電気電子部品と導線を接合するハンダ部分等の物理的強度の弱いところに応力集中して、その部分を剥離させる場合があるという問題点もある。
【0004】
このような問題点を含みながら使用されてきた二液型エポキシ樹脂を代替する封止用樹脂として、ホットメルトタイプのものが挙げられる。加温溶融するだけで粘度が低下し封止できるホットメルト樹脂は、溶剤含有系における作業環境上の問題点が解決される。また、封止後冷却するだけで固化して封止体が形成されるので、生産性も高くなる。加えて、一般に熱可塑性の樹脂を使用するので、製品としての寿命を終えた後も、加熱して樹脂を溶融除去することで、部材のリサイクルが容易に可能となる。しかし、このように封止用樹脂としての高い潜在能力を有しながら、これまで二液硬化型エポキシ樹脂を充分に代替する材料となり得ていなかったのは、それに適した素材が提案されていなかったことによる。
【0005】
例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)は、ホットメルト密着剤として比較的安価で汎用されている。しかしながら耐熱性が不充分で、電気電子部品が使用される環境における耐久性を有しないだけでなく、密着性を発現する為に様々な添加剤が配合されているので、電気電子部品への汚染による電気的性能の低下が起こる虞があり、不適である。また樹脂単体で種々の素材への高い密着性を発現するポリアミドは、低い溶融粘度と高い樹脂強度により低圧射出成型用樹脂材料として優れてはいるが(例えば特許文献3参照)、基本的に吸湿性が高く、外部から徐々に吸湿することで、最も重要な特性である電気絶縁性が経時的に低下することが多い。
【0006】
一方、電気絶縁性・耐水性が共に高いポリエステルはこの用途に非常に有用な材料と考えられるが、一般に溶融粘度が高く、複雑な形状の部品を封止するには数百MPa以上の高圧での射出成型が必要となり、電気電子部品を破壊してしまう虞がある。また、特許文献4においては、ポリテトラメチレングリコール(以下PTMGと略す)を反応させた結晶性ポリエーテルエステルエラストマーとエポキシ樹脂を用いた密着剤が提案されているが、ここで用いられているポリエステル樹脂は、初期の密着性は良好だが、結晶性が高い傾向にあるため、密着後、非晶状態から結晶状態になる際のひずみエネルギーが発生するため、密着強度が大幅に低下する傾向があった。
【0007】
特許文献5、6によって、部品を破損しない低圧での封止に最適な溶融粘度の樹脂が提案され、初期密着性良好な成型品が得られるようになった。しかしながら、例えば−40℃と80℃の冷熱サイクルの多数回繰り返しや、温度85℃かつ相対湿度85%等の高温高湿度環境に長期間さらされると、密着強度の大幅低下が起こると共に封止状態が保てなくなる場合がある、との問題点があった。
【0008】
以上のように従来の技術では、複雑な形状を有する電気電子部品封止用樹脂として、全ての要求性能を充分満足する素材は提案されていなかった。
【0009】
【特許文献1】特開平1−75517号公報
【特許文献2】特開2000−239349号公報
【特許文献3】特開2001−24550号公報
【特許文献4】特開昭60−18562号公報
【特許文献5】特許第3553559号公報
【特許文献6】特開2004−83918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、冷熱サイクル負荷、高温高湿負荷、高温負荷等の環境負荷に対する耐久性に優れる電気電子部品封止体を提供すること、それに適した電気電子部品封止体の製造方法および電気電子部品封止用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する為、本発明者等は鋭意検討し、以下の発明を提案するに至った。即ち本発明は、
(1) 結晶性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対しエポキシ樹脂(B)0.1〜50質量部およびポリオレフィン樹脂(C)0.5〜50質量部が配合されており、
水分率0.1%以下に乾燥して220℃に加熱し圧力1MPaを付与し、孔径1.0mm、厚み10mmのダイより押出したときの溶融粘度が5dPa・s以上2000dPa・s以下であり、
ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレート板に対する、−40℃30分と80℃30分の冷熱サイクルを1000サイクル付加した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上であり、
ガラスエポキシ板に対する、−40℃30分と80℃30分の冷熱サイクルを1000サイクル付加した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上である、
電気電子部品封止用樹脂組成物。
(2) ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレート板に対する初期せん断密着強度が0.5MPa以上であり、
ガラスエポキシ板に対する初期せん断密着強度が0.5MPa以上である、
(1)に記載の電気電子部品封止用樹脂組成物。
(3) ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレート板に対する、85℃、85%RH、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上であり、
ガラスエポキシ板に対する、85℃、85%RH、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上である、
(1)または(2)記載の樹脂組成物。
(4) ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレートに対する、105℃、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上であり、
ガラスエポキシ板に対する、105℃、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上である、
(1)〜(3)いずれかに記載の樹脂組成物。
(5) (1)〜(4)いずれかに記載の樹脂組成物を、加熱して混練した後、電気電子部品を挿入した金型に樹脂組成物温度130℃以上260℃以下かつ樹脂組成物圧力0.1MPa以上10MPa以下で注入する、電気電子部品封止体の製造方法。
(6) (1)〜(4)いずれかに記載の樹脂組成物で封止された電気電子部品封止体。
(7) 前記結晶性ポリエステル樹脂(A)が、
酸成分としてテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸の両方または一方を含有し、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸の合計が酸成分の合計量を100モル%としたときに65モル%以上であり、
グリコール成分として1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールの両方または一方を含有し、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールの合計がグリコール成分の合計量を100モル%としたときに40モル%以上である、
(1)〜(4)いずれかに記載の樹脂組成物。
(8) 前記結晶性ポリエステル樹脂(A)が、グリコール成分として、数平均分子量400〜5000のポリエーテルジオールを、グリコール成分の合計量を100モル%としたときに1モル%以上50モル%以下含有する(1)〜(4)および(7)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(9) 前記ポリオレフィン樹脂(C)の温度30℃における密度が0.75g/cm以上0.91g/cm未満である(1)〜(4)および(7)および(8)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10) 前記ポリオレフィン樹脂(C)がポリエチレンまたはα−オレフィン共重合体である(1)〜(4)および(7)〜(9)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(11) 前記エポキシ樹脂(B)が1分子あたり平均2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂である(1)〜(4)および(7)〜(10)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(12) 前記エポキシ樹脂(B)がビスフェノール型エポキシ樹脂である(1)〜(4)および(7)〜(11)のいずれかに記載の樹脂組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電気電子部品封止用樹脂組成物は、電気電子部品封止体において封止材として用いることにより、電気電子部品の代表的な基材であるガラスフィラー入りポリブチレンテレフタレートおよびガラスエポキシに対して冷熱サイクル負荷に対する高度な密着耐久性を発揮し、絶縁性を維持することができる。また、本発明の好ましい実施態様においては、高い初期密着力および高温環境負荷、高湿高温環境負荷に対する密着耐久性を発揮することができる。このため、本発明の電気電子部品封止用樹脂組成物を用いて封止した電気電子部品封止体は、冷熱サイクル、高温、高湿高温等の過酷な環境負荷に対する耐久性が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の電気電子部品封止体は、電気電子部品を金型内部にセットした金型の中に、加熱し混練して流動性を与えた樹脂または樹脂組成物を、0.1〜10MPaの低圧で射出して、樹脂または樹脂組成物によって電気電子部品を包み込み封止することによって製造することができる。すなわち、従来一般的にプラスチックの成型に用いられている40MPa以上の高圧での射出成型に比べて、非常に低圧で行われるため、射出成型法による封止でありながら、耐熱性及び耐圧性に制限のある電気電子部品を破壊することなく封止することができるものである。封止樹脂または封止樹脂組成物を適切に選択することにより、様々なポリエステル基材、ガラスエポキシ基板、金属等に対して、環境負荷に耐える密着耐久性を有する封止体を得ることができるものである。以下に、発明実施の形態の詳細を順次説明していく。
【0014】
本発明において、エポキシ樹脂(B)を封止用樹脂組成物に配合することにより、電気電子部品の封止に際し、良好な初期密着性と冷熱サイクルや高湿高温環境負荷に対する密着耐久性といった優れた特性を付与することができる。エポキシ樹脂(B)は、ポリエステル樹脂(A)の結晶化遅延による応力緩和効果、結晶性ポリエステル樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(C)の相溶化剤としての効果、さらには官能基導入による基材への濡れ性向上の効果を発揮するものと考えられる。本発明におけるエポキシ樹脂(B)の配合量は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜50質量部である。エポキシ樹脂(B)配合量が0.1質量部未満の場合、結晶化遅延による応力緩和効果が発現できない上、ポリオレフィン樹脂(C)とエポキシ樹脂(B)の相溶化剤としての働きも発現できないことがある。また、エポキシ樹脂(B)を50質量部以上配合した場合、樹脂組成物の生産性に劣り、さらには封止体の耐熱性等の特性が劣ることがある。
【0015】
本発明において、ポリオレフィン樹脂(C)を封止用樹脂組成物に配合することは、電気電子部品の封止に際し、良好な密着性と冷熱サイクルや高温硬質環境負荷に対する密着耐久性といった優れた特性を発揮する。ポリオレフィン樹脂(C)はポリエステル樹脂(A)の結晶化やエンタルピー緩和によるひずみエネルギーの緩和効果を発揮するものと考えられる。本発明におけるポリオレフィン樹脂(C)の配合量は、ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、0.5〜50質量部である。ポリオレフィン樹脂(C)が0.5質量部未満の場合、ポリエステル樹脂(A)の結晶化やエンタルピー緩和によるひずみエネルギーの緩和が難しいため、密着強度が低下する傾向がある。また、ポリオレフィン樹脂(C)を50質量部以上配合した場合、逆に密着性や樹脂物性を低下させてしまう傾向がある。またポリエステル樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(C)がマクロな相分離を起こして破断伸度が低下し、また平滑な表面を得られないなど成型性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0016】
本発明の封止用樹脂組成物には、密着性、柔軟性、耐久性等を改良する目的でポリエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、ポリオレフィン樹脂(C)以外のポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ、ポリカーボネート、アクリル、エチレンビニルアセテート、フェノール等の他の樹脂、イソシアネート化合物、メラミン等の硬化剤、タルクや雲母等の充填材、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、三酸化アンチモン、臭素化ポリスチレン等の難燃剤を配合しても全く差し支えない。その際のポリエステル樹脂(A)は、組成物全体に対して50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。ポリエステル樹脂(A)の含有量が50重量%未満であるとポリエステル樹脂(A)自身が有する、優れた電気電子部品に対する密着性、密着耐久性、伸度保持性、耐加水分解性、耐水性が低下する虞がある。
【0017】
さらには本発明の封止体が高温高湿度環境に長期間曝される場合には、酸化防止剤を添加することが好ましい。例えば、ヒンダードフェノール系として、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノイック酸、ペンタエリトリチルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゼンプロパノイック酸、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、リン系として、3,9−ビス(p−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリ(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリフェノキシフォスフィン、イソデシルフォスファイト、イソデシルフェニルフォスファイト、ジフェニル2−エチルヘキシルフォスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)エステルフォスフォラス酸、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルフォスファイト)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、チオエーテル系として4,4’−チオビス[2−t−ブチル−5−メチルフェノール]ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、チオビス[2−(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン]ビス[3−(テトラデシルチオ)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−n−ドデシルチオプロピオネート)、ビス(トリデシル)チオジプロピオネートが挙げられ、これらを単独に、または複合して使用できる。添加量は封止用樹脂組成物全体に対して0.1重量%以上5重量%以下が好ましい。0.1重量%未満だと熱劣化防止効果に乏しくなることがある。5重量%を超えると、密着性等に悪影響を与える場合がある。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、100時間、121℃、0.2MPa、飽和水蒸気圧下における熱処理試験終了後の溶融粘度の保持率が、熱処理試験実施前の溶融粘度に対して70%以上であるものが望ましい。ここで言う熱処理試験とは、成型加工用の樹脂やその組成物を、一辺1cmの立方体状に切り出し、121℃、0.2MPa(飽和水蒸気圧下)、100時間の条件で処理したものとする。熱処理試験実施後の溶融粘度保持率は好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。上限は限定無く、100%に近いものほど良い。溶融粘度の保持率が70%未満であると高温での使用における耐久性の低下することがある。溶融粘度の保持率を70%以上とする方法としては、例えば、ポリエステル樹脂(A)の好ましい組成として後述する組成を採用することや、封止用樹脂組成物に酸化防止剤を配合することを挙げることができる。
【0019】
エンジニアリングプラスチックスとして汎用されているポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する場合がある)やポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記する場合がある)等の汎用の結晶性ポリエステル樹脂にはない低溶融粘度と、二液硬化型エポキシ樹脂に匹敵する耐熱性と耐高温高湿性、耐冷熱サイクル性等を発現させる為に、ポリエステル樹脂(A)の構成成分において、脂肪族系および/または脂環族系と芳香族系の組成比率を調整する必要がある。例えば、150℃以上の高い耐熱性を保持する為には、テレフタル酸とエチレングリコール、テレフタル酸と1,4−ブタンジオール、ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコール、ナフタレンジカルボン酸と1,4−ブタンジオールをベースとした共重合ポリエステルが適している。特に、モールド後の速い結晶固化による金型離型性は、生産性の観点から望ましい特性なので、結晶化の速いテレフタル酸と1,4−ブタンジオール、ナフタレンジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とすることが好ましい。
【0020】
ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分として、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸の両方または一方を含有し、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸の合計が酸成分の合計量を100モル%としたとき65モル%以上であることが好ましく、更には70モル%以上、特には80モル%以上であることが好ましい。60モル%以下であると、電気電子部品に必要な耐熱性が不足することがある。
【0021】
また、ポリエステル樹脂(A)を構成するグリコール成分として、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールの両方または一方を含有し、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールの合計量がグリコール成分の合計量を100モル%としたとき40モル%以上であることが好ましく、更には45モル%以上、特には50モル%以上が好ましく、最も好ましくは55モル%以上である。40モル%以下であると、結晶化速度不足し、金型離型性の悪化や、成型時間が長くなる等成型性が損なわれる上、結晶性も不足し、耐熱性が不足することがある。
【0022】
本願のポリエステル樹脂(A)においては、高い耐熱性を与える上述した酸成分およびグリコール成分からなる基本組成に、密着性等を付与する為の共重合成分として、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸や、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステル、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシメチレングリコール等の脂肪族または脂環族グリコールを用いることが好ましい。
【0023】
また、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の炭素数10以上の脂肪族または脂環族ジカルボン酸およびそれらの誘導体、またはダイマージオール、水添ダイマージオール等の炭素数10以上の脂肪族および/または脂環族ジオールを共重合すると、高融点を維持したままガラス転移温度を低下させることができるため、ポリエステル樹脂の耐熱性と電気電子部品への密着性を両立させるという観点から、これらが共重合の際のジカルボン酸成分またはジオール成分として含有されていることが好ましい。なお、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸の誘導体とは、カルボン酸の誘導体であって共重合成分となりうるもの、例えばエステル、酸塩化物等をいう。
【0024】
ここでダイマー酸とは、不飽和脂肪酸が重合またはDiels−Alder反応等によって二量化して生じる脂肪族または脂環族ジカルボン酸(大部分の2量体の他、3量体、モノマー等を数モル%含有するものが多い)をいい、水添ダイマー酸とは前記ダイマー酸の不飽和結合部に水素を付加させたものをいう。また、ダイマージオール、水添ダイマージオールとは、該ダイマー酸または該水添ダイマー酸の二つのカルボキシル基を水酸基に還元したものをいう。ダイマー酸またはダイマージオールとしてはコグニス社のエンポール(登録商標)若しくはソバモール(登録商標)またはユニケマ社のプリポール等が挙げられる。
【0025】
また、低い溶融粘度を保持する範囲内であれば、少量の芳香族系共重合成分も使用できる。好ましい芳香族系共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等の芳香族系グリコールが挙げられる。特に、金型離型性の観点から、モールド後の素早い結晶固化を示す、ダイマー酸や、ダイマージオール、ポリテトラメチレングリコールの様な分子量の比較的高い脂肪族系成分を導入することが好ましい。
【0026】
また、ダイマー酸や、ダイマージオール、ポリテトラメチレングリコールの様な分子量の比較的高い脂肪族系成分に代表されるブロック的なセグメントの導入すると、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が低くなることにより冷熱サイクル耐久性が、エステル基濃度が低下することにより耐加水分解性が、それぞれ向上するので、モールド後の耐久性が重要な場合はより好ましい方策である。ここで言う冷熱サイクル耐久性とは、高温と低温の間を何度も昇降温させても、線膨張係数の異なる電子部品等と封止樹脂との界面部分の剥離や、封止樹脂の亀裂が起こりにくいという性能である。冷却時に樹脂の弾性率が著しく上がると、剥離や亀裂が起こりやすくなる。冷熱サイクルに耐える素材を提供する為に、ガラス転移温度は−10℃以下が好ましい。より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−40℃以下、最も好ましくは−50℃以下である。下限は特に限定されないが、密着性や耐ブロッキング性を考慮すると−100℃以上が現実的である。
【0027】
また、電気電子部品封止体に長期耐久性を付与する上で、高温高湿に耐える耐加水分解性を付与する為に、ポリエステル樹脂(A)のエステル基濃度の上限は8000当量/10gであることが望ましい。好ましい上限は7500当量/10g、より好ましくは7000当量/10gである。また、耐薬品性(ガソリン、エンジンオイル、アルコール、汎用溶剤等)を確保する為に、下限は1000当量/10gであることが望ましい。好ましい下限は1500当量/10g、より好ましくは2000当量/10gである。ここでエステル基濃度の単位は、樹脂10gあたりの当量数で表し、ポリエステル樹脂の組成及びその共重合比から算出される値である。
【0028】
ブロック的なポリマー導入をする上で、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ポリテトラメチレングリコールはポリエステル樹脂(A)の全酸成分と全グリコール成分の合計を200モル%としたとき2モル%以上であることが好ましく、さら好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、最も好ましくは20モル%以上である。上限は耐熱性やブロッキング等の取り扱い性を考慮すると70モル%以下、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下である。また、ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量は400以上であることが好ましく、より好ましくは500以上、さらに好ましくは600以上、特に好ましくは700以上であり、上限は好ましくは10000、より好ましくは6000、さらに好ましくは4000、特に好ましくは3000である。ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量が400未満であると、冷熱サイクル耐久性や耐加水分解性が低下することがある。一方10000を越えると、ポリエステル部分との相溶性が低下し、ブロック状に共重合することが難しくなる場合がある。
【0029】
本発明のポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は3000以上であることが好ましく、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは7000以上である。また、数平均分子量の上限は好ましくは50000以下、より好ましくは40000以下、さらに好ましくは30000以下である。数平均分子量が3000未満であると、封止用樹脂組成物の耐加水分解性や高温高湿下での強伸度保持が不足することがあり、50000を超えると、220℃での溶融粘度が高くなることがある。
【0030】
本発明のポリエステル樹脂(A)は、不飽和基を含有していない飽和ポリエステル樹脂であることが望ましい。不飽和ポリエステルであれば、溶融時に架橋が起こる等の可能性があり、溶融安定性に劣る場合がある。
【0031】
また、本発明のポリエステル樹脂(A)は、必要に応じて無水トリメリット酸、トリメチロールプロパン等のポリカルボン酸やポリオールを共重合しても差し支えない。
【0032】
ポリエステル樹脂の組成及び組成比を決定する方法としては例えばポリエステル樹脂を重クロロホルム等の溶媒に溶解して測定するH−NMRや13C−NMR、ポリエステル樹脂のメタノリシス後に測定するガスクロマトグラフィーによる定量(以下、メタノリシス−GC法と略記する場合がある)等が挙げられる。本発明においては、ポリエステル樹脂(A)を溶解でき、なおかつH−NMR測定に適する溶剤がある場合には、H−NMRで組成及び組成比を決定することとする。適当な溶剤がない場合やH−NMR測定だけでは組成比が特定できない場合には、13C−NMRやメタノリシス−GC法を採用または併用することとする。
【0033】
本発明の結晶性ポリエステル樹脂(A)の製造方法としては、公知の方法をとることができるが、例えば、上記のジカルボン酸及びジオール成分を150〜250℃でエステル化反応後、減圧しながら230〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステル樹脂を得ることができる。あるいは、上記のジカルボン酸のジメチルエステル等の誘導体とジオール成分を用いて150℃〜250℃でエステル交換反応後、減圧しながら230℃〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステル樹脂を得ることができる。
【0034】
本発明に用いるポリオレフィン樹脂(C)は、密度が0.75g/cm以上0.91g/cm未満であることが好ましい。このような超低密度のポリオレフィンを使用することによって、元来非相溶のポリエステル樹脂(A)に対して、ポリオレフィン樹脂(C)を容易に微分散・混合することができ、特別な混練設備を必要とせず、均質な樹脂組成物を得ることができる。また、低密度で結晶性も低いことで、結晶性ポリエステル樹脂(A)に生じた射出成型時の残存応力の経時的な緩和にも適切に作用し、封止樹脂として長期密着耐久性付与や環境負荷による発生応力の軽減といった好ましい特性を発揮する。このような特性を有するポリオレフィン樹脂(C)としては、ポリエチレンおよびエチレン共重合体が、入手容易、安価、金属やフィルムへの密着性に悪影響しない点で、特に好ましい。具体的には低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンプロピレンエラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体が挙げられる。
【0035】
また、ポリオレフィン樹脂(C)にはカルボキシル基、グリシジル基等のポリエステル樹脂(A)と反応しうる極性基を含まないものが好ましい。極性基が存在すると、ポリエステル樹脂(A)との相溶性が変化し、ポリエステル樹脂(A)の結晶化時のひずみエネルギーをかえって緩和できないことがある。一般に極性基を有するポリオレフィンは、極性基を有しないポリオレフィンに比べてポリエステル樹脂に対する相溶性が高い傾向にあるが、本発明では相溶性が高くなるとかえって経時的な密着性低下が大きくなる傾向にある。
【0036】
本発明の樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(B)とは、好ましくは数平均分子量450〜40000の範囲にある、分子中に平均で少なくとも1.1個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂である。例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルタイプ、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルタイプ、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルヒンダントイン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、ジグリシジルトリブロムアニリン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン、あるいは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族あるいは脂肪族エポキサイドなどが挙げられる。これらのうち、特に、高い密着力を発揮させるためにはポリエステル樹脂(A)に対して相溶性が良いものが好ましい。エポキシ樹脂(C)の好ましい数平均分子量は450〜40000である。数平均分子量が450未満では密着剤組成物が極めて軟化し易く、機械的物性が劣ることがあり、40000以上では、ポリエステル樹脂(A)との相溶性が低下し、密着性が損なわれる恐れがある。
【0037】
本発明の封止用樹脂組成物は220℃での溶融粘度が5〜4000dPa・sであることが望ましい。ここで220℃での溶融粘度は以下のようにして測定した値である。すなわち、封止用樹脂組成物を水分率0.1%以下に乾燥し、次いで島津製作所株式会社製フローテスター(型番CFT−500C)にて、220℃に加温安定した封止用樹脂組成物を、1.0mmの孔径を有する厚み10mmのダイを98N/cmの圧力で通過させたときの粘度の測定値である。4000dPa・s以上の高溶融粘度になると、高い樹脂凝集力や耐久性が得られるが、複雑な形状の部品への封止の際には高圧の射出成型が必要となるため、部品の破壊を生じることがある。1000dPa・s以下、好ましくは500dPa・s以下の溶融粘度を有する封止用樹脂組成物を使用することで、0.1〜100MPaの比較的低い射出圧力で、電気絶縁性に優れたモールド部品が得られると共に、電気電子部品の特性も損ねない。また、封止用樹脂組成物注入操作の観点からは220℃での溶融粘度は低いほうが好ましいが、樹脂組成物の密着性や凝集力を考慮すると下限としては5dPa・s以上が望ましく、さらに好ましくは10dPa・s以上、より好ましくは50dPa・s以上、最も好ましくは100dPa・s以上であることが好ましい。
【0038】
また、ポリエステル樹脂(A)の熱劣化を出来るだけ生じさせずにモールドするためには、210〜240℃での速やかな溶融が求められるため、ポリエステル樹脂(A)の融点の上限は210℃が望ましい。好ましくは、200℃、より好ましくは190℃である。下限は、該当する用途で求められる耐熱温度より5〜10℃以上高くすると良い。常温での取り扱い性と通常の耐熱性を考慮すると70℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは140℃以上、最も好ましくは150℃以上である。
【0039】
本発明において、特定の部材と封止用樹脂組成物の密着強度は、2枚の板状部材を封止用樹脂組成物で接着した測定用試料片を作成し、これのせん断破壊強度を測定することにより判定する。測定用試験片の作成方法やせん断破壊強度の測定方法は、後述する実施例に記載の方法に従って行うものとする。
【0040】
本発明の封止用樹脂組成物は、電気電子部品をセットした金型に注入することで成型される。より具体的には、スクリュータイプのホットメルト成型加工用アプリケーターを用いた場合において、130〜220℃前後で加熱溶融し、射出ノズルを通じて金型へ注入され、その後一定の冷却時間を経た後、成型物を金型から取り外して成型物を得ることが出来る。
【0041】
ホットメルト成型加工用アプリケーターの型式は特に限定されないが、例えば独国Nordson社製ST2、井元製作所製竪型押し出し成型機等が挙げられる。
【実施例】
【0042】
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例、比較例を挙げるが、本発明は実施例によってなんら限定されるものではない。尚、実施例、比較例に記載された各測定値は次の方法によって測定したものである。
【0043】
<融点、ガラス転移温度の測定>
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計「DSC220型」にて、測定試料5mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、一度250℃で5分ホールドした後、液体窒素で急冷して、その後−150℃から250℃まで、20℃/minの昇温速度で測定した。得られた曲線の変曲点をガラス転移温度、吸熱ピークを融点とした。
【0044】
<十点平均粗さの測定>
株式会社ミツトヨ製のサーフテスト600を使用し、基材4および5の封止樹脂組成物と接触する面の任意の5箇所について測定長を各5mmとして測定し、JIS B 0601−1994に従い、十点表面粗さを算出した。なお、測定に用いたスタイラスには下記の仕様のものを用いた。
スタイラス先端材質: ダイヤモンド
スタイラス先端形状: 90°円錐形
スタイラス先端曲率半径: 2μm
【0045】
<密着強度試験>
密着強度試験片の作成方法
ガラスフィラー30重量%入りPBT(以下、GPBTと略記する場合がある)からなる基材4(幅25mm×長さ48mm×厚み2mm)、基材5(幅25mm×長さ70mm×厚み2mm)を、平板成型用金型1(金型内面寸法:幅100mm×長さ100mm×厚み5mm)に、スペーサー3とともに設置した。次いでスクリュー型ホットメルト成型加工用アプリケーター(井元製作所製竪型低圧押し出し成型機)を用いてゲート2から封止用樹脂組成物を注入し、射出成型を行った。射出成型条件は、成型樹脂温度220℃、成型圧力3MPa、保圧圧力3MPa、冷却時間15秒、射出速度50%設定とした。図1〜3は金型1の断面の模式図であり、封止用樹脂組成物の注入が終了した時点の状態を示し、図1のA−A’断面が図2、図1のB−B’断面が図3、図2および図3のC−C’断面が図1にあたる。成型物を離型し、平板4と平板5の重なり部分以外の封止用樹脂組成物を切り落とし、密着強度試験片を得た。以下、この試験片をGPBT密着試験片と呼ぶ。GPBT密着試験片は、GPBT板同士の重なり部分(幅25mm×長さ18mm)に厚み1mmの封止用樹脂組成物を充填して接着した構造をとっており、GPBT板と樹脂組成物の接着面積は25×18=450mmである。なお、ここで使用したGPBT板は、接着部表面の十点平均粗さが1〜5μmの範囲内のものを使用した。
【0046】
ニッカン工業製FR−4ガラスエポキシ板NIKAPLEXを基材4、5として用い、その他はGPBT密着試験片と同様にして、ガラスエポキシ密着試験片(以下、GE密着試験片と略記する場合がある)を得た。以下、単に密着試験片と記した場合には、GPBT密着試験片および/またはGE密着試験片を指すものとする。なお、ここで使用したガラスエポキシ板は、接着部表面の十点平均粗さが0.5〜3μmの範囲内のものを使用した。
【0047】
金型離型性の評価
前記密着試験片を金型から離型する際の状態を、以下の基準で評価した。
評価基準 ◎:全く引っかかり無く密着試験片を取り出すことができた
○:ランナー部分に若干の引っかかりが生じるが、密着試験片に瑕や
割れを生じることなく離型することができた。
△:密着試験片を金型離型する際に抵抗があり、密着試験片表面に若
干瑕がつくが、割れが発生することなく密着試験片を取り出すこ
とができた。
×:密着試験片を金型から離型できなかった、または離型の際に密着
試験片に割れが生じた。
【0048】
初期密着性の評価
前記密着試験片を23℃、50%RHの雰囲気下にて3時間以上100時間以内放置後、試験片の長手方向に引張りを加えてせん断力を付加し、破壊時の強力を測定した。引張り速度は50mm/分とした。密着面積(450mm)あたりの破壊時の強力をせん断密着強度とした。
評価基準 ◎:せん断密着強度1.5MPa以上
○:せん断密着強度1.5MPa未満1.0MPa以上
△:せん断密着強度1.0MPa未満0.5MPa以上
×:せん断密着強度0.5MPa未満
【0049】
耐環境負荷試験
耐環境負荷試験として、冷熱サイクル試験、高温試験、高湿高温試験を行った。密着試験片に環境負荷を与えた後、初期密着性の評価と同様の方法で密着性を評価し、下記定義のせん断密着強度保持率を算出した。
【0050】
【数1】

【0051】
評価基準 ◎:せん断密着強度保持率80%以上
○:せん断密着強度保持率80%未満70%以上
△:せん断密着強度保持率70%未満50%以上
×:せん断密着強度保持率50%未満
【0052】
冷熱サイクル試験
初期密着性を評価したのと同様にして作成した密着試験片に対して、−40℃で30分、次いで80℃で30分の環境下におくことを1サイクルとする1000サイクルの環境負荷を与え、次いでせん断密着強度を測定し、せん断密着度保持率を算出した。
【0053】
高温試験
初期密着性を評価したのと同様にして作成した密着試験片に対して、105℃で1000時間の環境負荷を与え、次いで密着強度を測定し、密着度保持率を算出した。
【0054】
高湿高温試験
初期密着性を評価したのと同様にして作成した密着試験片に対して、85℃、相対湿度85%で1000時間の環境負荷を与え、次いで密着強度を測定し、密着度保持率を算出した。
【0055】
<溶融特性試験>
樹脂および封止用樹脂組成物の溶融粘度の評価方法
島津製作所製、フローテスター(CFT−500C型)にて、220℃に設定した加熱体中央のシリンダー中に水分率0.1%以下に乾燥した樹脂または封止用樹脂組成物を充填し、充填1分経過後、プランジャーを介して試料に荷重を加え、圧力1MPaで、シリンダー底部のダイ(孔径:1.0mm、厚み:10mm)より、溶融した試料を押出し、プランジャーの降下距離と降下時間を記録し、溶融粘度を算出した。
【0056】
低圧成型性評価方法
平板成型用金型を使用し、ホットメルト成型加工用アプリケーターとしてNordson製ST−2を用いて封止用樹脂組成物からなる平板(100mm×100mm×10mm)を成型した。なお、ゲート位置は100mm×100mmの面の中心とした。
成型条件:成型樹脂温度220℃、成型圧力3MPa、保圧圧力3MPa、冷却時間15秒、射出速度50%設定
評価基準 ○:完全に充填され、ヒケ無し。
△:ショートショット無く充填されるが、ヒケ有り。
×:ショートショット有り。
【0057】
<絶縁性試験>
絶縁性試験片の作成方法
ステンレス鋼からなる直径1.5mm、長さ100mmの導電棒11の中央部に同軸に、PBTからなる直径6mm、長さ50mmの円柱状成型部12を、高圧射出成型法により成型した(図4(a)参照)。次いで、封止用樹脂組成物からなる円柱状成型部13を、PBTからなる円柱状成型部12と同軸に、軸方向に5mm重なるように、低圧射出成型法により成型した(図4(b)参照)。低圧射出成型はホットメルト成型加工用アプリケーターとして井元製作所製低圧竪型押し出し成型機を用い、成型樹脂温度220℃、成型圧力3MPa、保圧圧力3MPa、冷却時間15秒、射出速度50%設定の成型条件で実施した。このようにして得た成型体からゲート部を切り落としたものを、以下、絶縁性試験片21と呼ぶ。
【0058】
絶縁性評価方法
ステンレス鋼からなる直径1.5mm、長さ100mmの導電棒22と、絶縁性試験片21とを、両者の導電棒を絶縁状態でほぼ平行かつ間隔95〜105mmとなるようにガラス容器23中に固定し、次いで、絶縁性試験片21の導電棒露出部が水没せず、なおかつ封止用樹脂組成物からなる円柱状成型部13が完全に水没する水位となるまで、ガラス容器に水温25℃の水道水を注ぎ込んだ。そのまま30分間静置した後、絶縁性試験片21の導電棒と導電棒22の間の直流電気抵抗値を測定した。抵抗値が100MΩ以上であれば絶縁性維持、100MΩ以下であれば絶縁不良と判定した。この試験を、100個の絶縁性試験片について行い、下記基準により評価した。
評価基準 ○:絶縁不良0個
△:絶縁不良1個以上5個未満
×:絶縁不良5個以上
【0059】
金型離型性の評価
前記絶縁性試験片を金型から離型する際の状態を、以下の基準で評価した。
評価基準 ◎:全く引っかかり無く絶縁性試験片を取り出すことができた
○:ランナー部分に若干の引っかかりが生じるが、絶縁性試験片に瑕
や割れを生じることなく離型することができた。
△:絶縁性試験片を金型離型する際に抵抗があり、絶縁性試験片表面
に若干瑕がつくが、割れが発生することなく絶縁性試験片を取り
出すことができた。
×:絶縁性試験片を金型から離型できなかった、または離型の際に絶
縁性試験片に割れが生じた。
【0060】
ポリエステル樹脂の製造例
撹拌機、温度計、溜出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸166質量部、1,4−ブタンジオール180質量部、テトラブチルチタネート0.25質量部を加え、170〜220℃で2時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール「PTMG1000」(三菱化学社製)を300質量部とヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1330」(チバガイギー社製)を0.5質量部投入し、255℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧にしてゆき、60分かけて255℃で665Paとした。そしてさらに133Pa以下で30分間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂Aを得た。このポリエステル樹脂Aの融点は165℃で、溶融粘度は250dPa・sであった。
【0061】
ポリエステル樹脂B〜Hは、ポリエステル樹脂Aと同様な方法により合成した。それぞれの組成及び物性値を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
表中の略号は以下の通りである。
TPA:テレフタル酸、NDC:ナフタレンジカルボン酸、IPA:イソフタル酸、DIA:水添ダイマー酸、BD:1,4−ブタンジオール、PTMG1000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000)、PTMG2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量2000)
【0064】
電気電子部品封止用樹脂組成物の製造例
電気電子部品封止用樹脂組成物1は、ポリエステル樹脂A100質量部、ポリオレフィン樹脂Aを20質量部、エポキシ樹脂Aを10質量部を均一に混合した後、二軸押し出し機を用いてダイ温度220℃において溶融混練することによって得た。ポリエステル樹脂組成物2〜26は、ポリエステル樹脂組成物1と同様な方法によって調製した。それぞれの組成及び物性値を表2〜7に示した。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
【表6】

【0070】
【表7】

【0071】
ポリオレフィンA:エクセレンVL EUL731、住友化学(株)製、α−オレフィン共重合超低密度ポリエチレン、密度0.90。
ポリオレフィンB:アドマーSF−600、三井化学(株)製、接着性ポリオレフィン、密度0.88。
ポリオレフィンC:ハイゼックス 2100J、三井化学(株)製、高密度ポリエチレン、密度0.93。
エポキシA:JER1007、ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノール型エポキシ樹脂。
エポキシB:UG4070、東亞合成(株)製、多官能エポキシ樹脂。
エポキシC:EX−145、ナガセケムテックス(株)製、モノエポキシ樹脂。
【0072】
実施例1
封止用樹脂組成物として封止用樹脂組成物1を用い、<溶融特性試験>、<密着強度試験>、<絶縁性試験>を実施した。<溶融特性試験>において、394dPa・sと良好な溶融特性であった。<密着強力試験>において、GPBT密着試験片について、初期密着強度は1.2MPa、冷熱サイクル試験後は1.0MPa、高温試験後1.1MPa、高湿高温試験後1.0MPa、GE密着試験片について、初期密着強度は1.2MPa、冷熱サイクル試験後は1.1MPa、高温試験後1.1MPa、高湿高温試験後0.9MPaとなり、すべての項目において高い密着強度保持率を示す良好な結果となった。また<絶縁性試験>においても、すべての試料について、絶縁性を保っていた。金型離型性も非常に良好な結果であった。評価結果を表2に示した。
【0073】
実施例2〜13
封止用樹脂組成物として封止用樹脂組成物2〜13を用い、実施例1と同様にして<溶融特性試験>、<密着強力試験>、<絶縁性試験>を実施した。評価結果を表2〜4に示した。
【0074】
比較例1
封止用樹脂組成物として封止用樹脂組成物14を用い、実施例1と同様にして<溶融特性試験>、<密着強力試験>、<絶縁性試験>を実施した。<溶融特性試験>において、1832dPa・sであり成型可能範囲であり、<密着強力試験>において、GPBT密着試験片について、初期密着強度は1.1MPa、冷熱サイクル試験後は1.1MPa、高温放置後1.0MPa、高湿高温試験後0.8MPaと要求特性を満たすが、GE密着試験片について初期密着強度は1.0MPa、冷熱サイクル試験後は0.1MPa、高温放置後0.1MPa、高湿高温試験後0.1MPaとなり、GE密着試験片については環境負荷後の密着強度保持率が低く、特許請求の範囲外であった。また、<絶縁性試験>においては、すべての項目について、絶縁性不良が多発し、不良となった。
【0075】
比較例2〜13
封止用樹脂組成物として封止用樹脂組成物15〜26を用い、実施例1と同様にして<溶融特性試験>、<密着強力試験>、<絶縁性試験>を実施した。評価結果を表5〜7に示した。
【0076】
実施例1〜13は特許請求の範囲を満たし、溶融特性試験、密着強度試験、絶縁性試験の結果が良好である。これに対し、比較例1はGEに対するせん断密着強度保持率が低く、本発明の範囲外である。比較例2、4、5はポリオレフィン樹脂が含まれていないため、本発明の範囲外であり、環境試験後の密着性能の低下が大きく、金型離型性も悪い。比較例3、6、7はエポキシ樹脂が含まれていないため、本発明の範囲外であり、環境試験後の密着性能が大きく低下する。比較例8、9はエポキシ樹脂とポリオレフィン樹脂が含まれていないため、本発明の範囲外であり、高湿高温試験後の密着性が低下する。比較例10、11はポリオレフィン樹脂の配合比が請求項1の範囲外であるため、密着性が非常に悪い。比較例12、13はGPBTに対するせん断密着保持率およびGEに対するせん断密着保持率が低く、本発明の範囲外である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のポリエステル樹脂、樹脂組成物は、複雑な形状を有する電気電子部品の成型加工用として、種々の性能を充分満足する素材を提供することができ、例えば自動車、通信、コンピュータ、家電用途各種のコネクター、ハーネスやあるいは電子部品、プリント基板を有するスイッチ、センサーのモールド成型品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】密着強力試験用試験片の作成方法を示す模式図である。
【図2】密着強力試験用試験片の作成方法を示す模式図である。
【図3】密着強力試験用試験片の作成方法を示す模式図である。
【図4】絶縁性試験用試験片の作成方法を示す模式図である。
【図5】絶縁性試験用試験片の絶縁評価方法の模式図である。
【符号の説明】
【0079】
1:金型
2:ゲート
3:スペーサー
4、5:基材
6:樹脂組成物
11:導電棒
12:GPBT製円柱状成型部
13:封止用樹脂組成物製円柱状成型部
21:絶縁性試験片
22:導電棒
23:ガラス容器
24:水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対しエポキシ樹脂(B)0.1〜50質量部およびポリオレフィン樹脂(C)0.5〜50質量部が配合されており、
水分率0.1%以下に乾燥して220℃に加熱し圧力1MPaを付与し、孔径1.0mm、厚み10mmのダイより押出したときの溶融粘度が5dPa・s以上2000dPa・s以下であり、
ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレート板に対する、−40℃30分と80℃30分の冷熱サイクルを1000サイクル付加した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上であり、
ガラスエポキシ板に対する、−40℃30分と80℃30分の冷熱サイクルを1000サイクル付加した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上である、
電気電子部品封止用樹脂組成物。
【請求項2】
ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレート板に対する初期せん断密着強度が0.5MPa以上であり、
ガラスエポキシ板に対する初期せん断密着強度が0.5MPa以上である、
請求項1に記載の電気電子部品封止用樹脂組成物。
【請求項3】
ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレート板に対する、85℃、85%RH、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上であり、
ガラスエポキシ板に対する、85℃、85%RH、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上である、
請求項1または2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ガラスフィラー30重量%入りポリブチレンテレフタレートに対する、105℃、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上であり、
ガラスエポキシ板に対する、105℃、1000時間の環境負荷を付与した後の初期せん断密着強度に対するせん断密着強度保持率が50%以上である、
請求項1〜3いずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の樹脂組成物を、加熱して混練した後、電気電子部品を挿入した金型に樹脂組成物温度130℃以上260℃以下かつ樹脂組成物圧力0.1MPa以上10MPa以下で注入する、電気電子部品封止体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4いずれかに記載の樹脂組成物で封止された電気電子部品封止体。
【請求項7】
前記結晶性ポリエステル樹脂(A)が、
酸成分としてテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸の両方または一方を含有し、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸の合計が酸成分の合計量を100モル%としたときに65モル%以上であり、
グリコール成分として1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールの両方または一方を含有し、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールの合計がグリコール成分の合計量を100モル%としたときに40モル%以上である、
請求項1〜4いずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記結晶性ポリエステル樹脂(A)が、グリコール成分として、数平均分子量400〜5000のポリエーテルジオールを、グリコール成分の合計量を100モル%としたときに1モル%以上50モル%以下含有する請求項1〜4および7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリオレフィン樹脂(C)の温度30℃における密度が0.75g/cm以上0.91g/cm未満である請求項1〜4、7および8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記ポリオレフィン樹脂(C)がポリエチレンまたはα−オレフィン共重合体である請求項1〜4および7〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記エポキシ樹脂(B)が1分子あたり平均2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂である請求項1〜4および7〜10のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂(B)がビスフェノール型エポキシ樹脂である請求項1〜4および7〜11のいずれかに記載の樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−150471(P2010−150471A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332431(P2008−332431)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】