説明

電池、ゴム封止部材、電池の製造方法及びゴム封止部材の製造方法

【課題】外側封止部材と電池ケースとの間の気密性を容易かつ確実に検査できる電池等を提供する。
【解決手段】電池は、貫通孔170を有する電池ケース110と、貫通孔170を気密に封止したゴム封止部材183と、これを覆いつつ電池ケース110に気密に固着した外側封止部材181とを備える。外側封止部材181等の間に形成された封止空間KC内の空間内気体GSは、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、ゴム封止部材のゴム封止部183は、加硫剤である有機過酸化物の分解により生成した有機化合物を含み、これを検知可能気体として封止空間KCへ供給する気体供給体を兼ねる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、この電池ケース内に収容された電極体と、電池ケースの貫通孔を外部から気密に封止してなる封止部材とを備える電池及び電池の製造方法に関する。また、上記電池に用いるゴム封止部材及びゴム封止部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電解液を注入するための注液孔などの貫通孔を有する電池ケースと、この電池ケースに収容された電極体と、電池ケースの貫通孔を外部から気密に封止した封止部材とを備える電池が知られている。封止部材としては、例えば、金属からなる金属蓋部材に、ゴム状弾性体からなるゴム栓部材が接合されたものがある。このうちゴム栓部材は、電池ケースの貫通孔に外部から圧入されており、貫通孔を気密に封止(密栓)する。一方、金属蓋部材は、このゴム栓部材を電池ケースの外部から覆いつつ、ゴム栓部材を電池ケースの内部に向けて押圧した状態で、電池ケースに接合されている。このようにすることで、ゴム栓部材による貫通孔の気密封止をより確実なものとすることができる。
なお、このようなゴム栓部材及び金属蓋部材を有する封止部材で貫通孔を封止した形態の電池として、例えば特許文献1に開示された電池が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−87659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電池では、前述のように、貫通孔の気密封止はゴム栓部材で行えば足りると考えられていたため、金属蓋部材と電池ケースとの間の気密性まで厳密に要求されることはなかった。しかしながら、ゴム状弾性体からなるゴム栓部材は、経時的に劣化するため、ゴム栓部材と貫通孔との間の気密性も経時的に低下する。特に、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車載用の電池は、例えば10年以上の長期間にわたり使用されるため、この経時劣化による気密性の低下が懸念される。
【0005】
ゴム栓部材が劣化してゴム栓部材と貫通孔との間の気密性が低下すると、電池ケース内に収容されていた電解液が、ゴム栓部材と貫通孔との間に入り込み、更に、金属蓋部材と電池ケースとの間の気密性も低い場合には、その電解液が金属蓋部材と電池ケースとの間を通じて電池外部まで漏れ出てしまうことがある。すると、電池ケース内の電解液が不足して、電池特性が低下するおそれがある。また逆に、金属蓋部材と電池ケースとの間、及び、ゴム栓部材と貫通孔との間を通じて、大気中の水分が電池ケース内に入り込み、電池特性が低下するおそれもある。
【0006】
この問題を解決するため、ゴム栓部材が劣化してゴム栓部材と貫通孔との間の気密性が低下しても、電池ケースの内部と外部が連通しないように、金属蓋部材と電池ケースとの間を確実に気密かつ環状に接合しておくことが考えられる。
しかしながら、このようにした電池は、製造直後にはゴム栓部材がまだ劣化しておらず、ゴム栓部材と貫通孔との間が気密に封止されている。つまり、この電池は、ゴム栓部材と貫通孔との密着、及び、金属蓋部材と電池ケースとの接合により、二重に封止されている。このため、金属蓋部材と電池ケースとの接合の不具合で封止不良が生じていたとしても、この封止不良が生じた電池を検査により判別するのが困難であった。
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電池ケースの貫通孔を気密に封止したゴム封止部材と、このゴム封止部材を外部から覆いつつ、電池ケースに気密かつ環状に固着した外側封止部材とを備える電池において、外側封止部材と電池ケースとの間の気密性を容易かつ確実に検査できる電池及び電池の製造方法を提供することを目的とする。また、上記電池に用いるゴム封止部材及びゴム封止部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、前記電池ケース内に収容された電極体と、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなり、ゴム状弾性体からなるゴム封止部を有するゴム封止部材と、ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなるゴム封止部を有するゴム封止部材と、前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着してなる外側封止部材と、を備え、前記電池ケースと前記ゴム封止部材と前記外側封止部材との間に形成された気密に封止された空間を、封止空間としたとき、前記封止空間内に存在する気体である空間内気体は、前記封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、前記ゴム封止部は、有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、前記有機過酸化物の分解により生成した有機化合物を含んでなり、前記有機化合物のガスを、前記検知可能気体として前記封止空間へ供給する気体供給体を兼ねる電池である。
【0009】
この電池では、ゴム封止部材が電池ケースの貫通孔を気密に封止すると共に、このゴム封止部材と一体化された、或いは別体とされた外側封止部材がこのゴム封止部材を外部から覆って電池ケースの孔周囲部に気密かつ環状に固着している。従って、貫通孔は、これらゴム封止部材及び外側封止部材により二重にシールされている。しかし、この電池では、電池ケースとゴム封止部材と外側封止部材との間に形成された封止空間内の空間内気体が、封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含む。このため、ゴム封止部材で貫通孔が気密に封止されているにも拘わらず、外側封止部材と電池ケース(その孔周囲部)との間の気密性を容易かつ確実に検査できる。即ち、検知可能気体が封止空間から電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、外側封止部材と電池ケースとの間の気密性を容易かつ確実に検査できる。
【0010】
更に、この電池では、ゴム封止部材のゴム封止部が、有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成されており、かつ、有機過酸化物の分解により生成した有機化合物を含んでいる。そして、このゴム封止部は、この有機化合物のガスを、検知可能気体として封止空間へ供給する気体供給体を兼ねている。このため、検知可能気体を封止空間に供給するための気体供給体を電池内に別途設ける必要がなく、しかも、ゴム封止部から発生した検知可能気体(有機化合物のガス)を、確実に封止空間に供給できる。
【0011】
なお、ゴム封止部をなす「ゴム状弾性体」の材質としては、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム(Q)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、フッ素ゴム(FKM)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。
【0012】
また、加硫剤として用いる「有機過酸化物(パーオキサイド)」としては、例えば、メチルエチルパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド(DCP)、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、クミルパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステルが挙げられる。
【0013】
これらの有機過酸化物の中でも、ジクミルパーオキサイド(DCP)、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイドを用いるのが特に好ましい。その理由は、化学的に安定で架橋効率が良く、室温下で検出可能な蒸気圧を有する有機化合物を含む分解生成物が、加硫により発生するからである。
【0014】
また、有機過酸化物の加硫時の分解生成物であり、ゴム封止部内に残り得る「有機化合物」としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)を加硫剤とした場合のアセトン、トルエン、アセトフェノン、及びα−クミルアルコールが挙げられる。また、t-ブチルクミルパーオキサイドを加硫剤とした場合のアセトン、t-ブタノール、アセトフェノン、及びα-クミルアルコールが挙げられる。また、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンを加硫剤とした場合のアセトン、t-ブタノール、3-アセチルアセトフェノン、2-(3-アセチルフェニル)-2-プロパノール、及びα,α'-ジヒドロキシ-1,3-ジ
イソプロピルベンゼンが挙げられる。また、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンを加硫剤とした場合のアセトン、t-ブタノール、t-アミルアルコール、及び2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジオールが挙げられる。
【0015】
また、「空間内気体」のうち、前述の検知可能気体以外の気体成分も、適宜変更でき、例えば、大気や窒素ガスなどを用いることができる。
【0016】
更に、上記の電池であって、前記ゴム封止部は、前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って形成されてなる電池とすると良い。
【0017】
このゴム封止部は、二次加硫は行わないで、または、自身に有機過酸化物の分解生成物である有機化合物が残るように二次加硫を行って形成したものである。このため、ゴム封止部を、確実に気体供給体とすることができる。
【0018】
更に、上記のいずれかに記載の電池であって、前記ゴム封止部は、エチレンプロピレンジエンゴムからなる電池とすると良い。
【0019】
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)は、耐久性や耐候性、耐熱性に優れていることから、EPDMによりゴム封止部を形成することで、電池の耐久性等を良好にすることができる。
【0020】
また、他の態様は、電池の電池ケースに設けられ、前記電池ケースの内外を連通する貫通孔を、気密に封止するゴム封止部材であって、ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止可能に構成されたゴム封止部を有し、前記ゴム封止部は、有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、前記有機過酸化物の分解により生成され、自身の外部にガスとして放出される有機化合物を含んでなるゴム封止部材である。
【0021】
このゴム封止部材を用いて電池ケースの貫通孔を気密に封止し、更に、前述した外側封止部材を電池ケースの孔周囲部に気密かつ環状に固着して、電池を形成すれば、電池ケースとゴム封止部材と外側封止部材との間に形成された封止空間内の空間内気体が、封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含む電池を製造できる。従って、前述のように、外側封止部材と電池ケース(その孔周囲部)との間の気密性を容易かつ確実に検査できる。また、ゴム封止部材のゴム封止部は、自身から放出される有機化合物のガスを検知可能気体として封止空間へ供給する気体供給体を兼ねるので、検知可能気体を封止空間に供給するための気体供給体を電池内に別途設ける必要がない。
【0022】
更に、上記のゴム封止部材であって、前記ゴム封止部は、前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って形成されてなるゴム封止部材とすると良い。
【0023】
このようにして形成したゴム封止部は、前述のように、確実に気体供給体とすることができる。また、ゴム封止部の形成が容易で、ゴム封止部材を安価にすることができる。そして、このゴム封止部材を用いた電池も安価にすることができる。
【0024】
更に、上記のいずれかに記載のゴム封止部材であって、前記ゴム封止部は、エチレンプロピレンジエンゴムからなるゴム封止部材とすると良い。
【0025】
前述のように、EPDMは、耐久性や耐候性、耐熱性に優れていることから、このゴム封止部材を用いて電池を形成すれば、電池の耐久性等を良好にすることができる。
【0026】
更に、前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着可能に構成された外側封止部材と一体化されてなる、上記のいずれかに記載のゴム封止部材とすると良い。
【0027】
このように外側封止部材と一体化されたゴム封止部材は、一度に電池ケースに取り付けできるなど、取り扱いが容易である。また、部品点数を少なくでき、工数を少なくできる。
【0028】
また、他の態様は、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、前記電池ケース内に収容された電極体と、ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなるゴム封止部を有するゴム封止部材と、前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着してなる外側封止部材と、を備え、前記電池ケースと前記ゴム封止部材と前記外側封止部材との間に形成された気密に封止された空間を、封止空間としたとき、前記封止空間内に存在する気体である空間内気体は、前記封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、前記ゴム封止部は、有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、前記有機過酸化物の分解により生成した有機化合物を含んでなり、前記有機化合物のガスを、前記検知可能気体として前記封止空間へ供給する気体供給体を兼ねる電池の製造方法であって、前記過酸化物加硫により形成され前記有機化合物を含んでなる前記ゴム封止部を有する前記ゴム封止部材のうち、前記ゴム封止部で、前記電池ケースの前記外部から前記貫通孔を塞いで、前記貫通孔を気密に封止する第1封止工程と、前記第1封止工程の後、前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記外側封止部材を前記電池ケースの前記孔周囲部に気密かつ環状に固着し、前記封止空間を形成する第2封止工程と、を備える電池の製造方法である。
【0029】
この電池の製造方法では、第1封止工程において、ゴム封止部材で貫通孔を気密に封止する。このため、その後、第2封止工程までの間に、電池ケース内に収容された電解液が貫通孔を通じて電池ケースの外部(孔周囲部等)に漏れ出るのを防止できる。従って、第2封止工程の際に、貫通孔から漏れ出た電解液が外側封止部材と電池ケースの孔周囲部との間に入り込んで、封止不良が生じるのを防止でき、外側封止部材と孔周囲部とを確実に固着できる。
【0030】
また、第1封止工程では、有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、この有機過酸化物の分解により生成した有機化合物を含んだゴム封止部を有するゴム封止部材によって、貫通孔を気密に封止する。その後、第2封止工程において、ゴム封止部材と一体化された、或いは別体とされた外側封止部材を電池ケースに固着して封止空間を形成する。このようにすることで、封止空間に臨むゴム封止部から封止空間へ有機化合物ガス(検知可能気体)が供給される。このため、検知可能気体を封止空間に供給するための気体供給体を電池内に別途設ける必要がない。そして、この第2封止工程後の電池では、ゴム封止部材で貫通孔が気密に封止されているにも拘わらず、外側封止部材と電池ケース(その孔周囲部)との間の気密性を容易かつ確実に検査できる。即ち、ゴム封止部から封止空間に供給された有機化合物ガス(検知可能気体)が、封止空間から電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、外側封止部材と電池ケースとの間の気密性を容易かつ確実に検査できる。
【0031】
更に、上記の電池の製造方法であって、前記ゴム封止部は、前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って形成されてなる電池の製造方法とすると良い。
【0032】
このようにして形成したゴム封止部は、前述のように、ゴム封止部を、確実に気体供給体とすることができる。
【0033】
更に、上記のいずれかに記載の電池の製造方法であって、前記ゴム封止部は、エチレンプロピレンジエンゴムからなる電池の製造方法とすると良い。
【0034】
前述のように、EPDMは、耐久性や耐候性、耐熱性に優れていることから、EPDMによりゴム封止部を形成することで、耐久性等が良好な電池を製造できる。
【0035】
更に、上記のいずれかに記載の電池の製造方法であって、前記第2封止工程の後、前記検知可能気体が前記封止空間から電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、前記外側封止部材と前記電池ケースの前記孔周囲部との間の気密性を検査する気密検査工程を更に備える電池の製造方法とすると良い。
【0036】
この電池の製造方法では、気密検査工程において、外側封止部材と電池ケースの孔周囲部との間の気密性を検査する。そして、これらの間に封止不良が生じている電池を確実に排除できる。よって、外側封止部材と電池ケースとの間の気密性が良好な電池を製造できる。
【0037】
更に、上記のいずれかに記載の電池の製造方法であって、前記第1封止工程は、減圧下で行い、前記第2封止工程は、大気圧下で行う電池の製造方法とすると良い。
【0038】
第1封止工程を減圧下で行うことで、この第1封止後の電池ケース内を減圧状態(負圧)にすることができる。このため、第2封止工程後に行う初期充電の際やその後の使用において、電池ケース内に気体が発生しても、電池ケースの内圧が早期に高くなるのを防止できる。一方、溶接等を行う第2封止工程は、大気圧下で行うので、減圧下で行う場合に比して、第2封止工程を容易に行うことができる。
【0039】
また、他の態様は、電池の電池ケースに設けられ、前記電池ケースの内外を連通する貫通孔を、気密に封止するゴム封止部材であって、ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止するゴム封止部を有し、前記ゴム封止部は、有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、前記有機過酸化物の分解により生成され、自身の外部にガスとして放出される有機化合物を含んでなるゴム封止部材の製造方法であって、前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って、前記ゴム封止部を形成するゴム封止部形成工程を備えるゴム封止部材の製造方法である。
【0040】
このようにゴム封止部形成工程を行うことで、ゴム封止部を、確実に気体供給体とすることができる。また、ゴム封止部材を、容易かつ安価に形成できる。そして、このゴム封止部材を用いた電池を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態1に係るリチウムイオン二次電池を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係るリチウムイオン二次電池を示す縦断面図である。
【図3】実施形態1に係り、注液孔及び封止部材の近傍を示す部分拡大縦断面図である。
【図4】実施形態1に係り、図3の上方から見た、封止部材の近傍を示す部分拡大平面図である。
【図5】実施形態1に係り、封止部材を示す縦断面図である。
【図6】実施形態1に係るリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、第1封止工程において、封止部材のうちゴム封止部材の挿入部を注液孔に圧入して、ゴム封止部材で注液孔を気密に封止する様子を示す説明図である。
【図7】実施形態2に係るハイブリッド自動車を示す説明図である。
【図8】実施形態3に係るハンマードリルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に、本実施形態1に係るリチウムイオン二次電池100(以下、単に電池100とも言う)を示す。また、図3及び図4に、電池100のうち注液孔(貫通孔)170及び封止部材180の近傍の形態を示す。また、図5に、封止部材180を示す。なお、図1〜図3における上方を電池100の上側、下方を電池100の下側として説明する。
【0043】
この電池100は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両や、ハンマードリル等の電池使用機器に搭載される角型電池である。この電池100は、直方体形状の電池ケース110、この電池ケース110内に収容された捲回型の電極体120、電池ケース110に支持された正極端子150及び負極端子160等から構成されている(図1及び図2参照)。また、電池ケース110内には、非水系の電解液117が保持されている。
【0044】
このうち電池ケース110は、金属(具体的にはアルミニウム)により形成されている。この電池ケース110は、上側のみが開口した箱状のケース本体部材111と、このケース本体部材111の開口111hを閉塞する形態で溶接されたケース蓋部材113とから構成されている(図1及び図2参照)。ケース蓋部材113は、電池ケース110の内部を向く主面である内表面113cと、電池ケース110の外部を向く主面である外表面113dとを有する矩形板状をなす。
【0045】
ケース蓋部材113には、その長手方向の中央付近に、電池ケース110の内圧が所定圧力に達した際に破断する非復帰型の安全弁115が設けられている。また、この安全弁115の近傍には、ケース蓋部材113を貫通し、電池ケース110の内外を連通する後述する注液孔(貫通孔)170が設けられている。この注液孔170は、電池ケース110内が大気圧よりも減圧された状態(負圧状態)で、後述する封止部材180で気密に封止されている。
また、ケース蓋部材113には、それぞれ電池ケース110の内部から外部に延出する形態の通電端子部材151からなる正極端子150及び負極端子160が固設されている。具体的には、正極端子150及び負極端子160は、これらにバスバーや圧着端子など電池外の端子を締結するためのボルト153,153と共に、樹脂からなる絶縁部材155,155を介して、ケース蓋部材113に固設されている。
【0046】
また、電極体120は、絶縁フィルムを上側のみが開口した袋状に形成した絶縁フィルム包囲体119内に収容され、横倒しにした状態で電池ケース110内に収容されている(図2参照)。この電極体120は、帯状の正極板121と帯状の負極板131とを、多孔質膜からなる帯状の2枚のセパレータ141,141を介して互いに重ねて捲回し、扁平状に圧縮したものである。正極板121の幅方向の一部は、セパレータ141から軸線方向の一方側に渦巻き状をなして突出しており、前述の正極端子150と接続している。また、負極板131の幅方向の一部は、セパレータ141から軸線方向の他方側に渦巻き状をなして突出しており、前述の負極端子160と接続している。
【0047】
次に、注液孔170及び封止部材180の近傍の構造について説明する(図3及び図4参照)。ケース蓋部材113には、その外表面113dから内表面113c側(図3、下方)に凹む平面視円形状の凹部175が形成されている。この凹部175は、円筒状をなす凹部側面175f1と、内表面113cと平行に延びる平面をなす凹部底面175f2により構成されている。
【0048】
前述した注液孔170は、上述の凹部175の凹部底面175f2とケース蓋部材113の内表面113cとの間を貫通する形態で、凹部底面175f2の中央に設けられた軸線BX方向に延びる円孔であり、電池ケース110の内外を連通している。この注液孔170は、円筒状をなす孔側面170fで構成されている。この注液孔170は、電解液117を電池ケース110内に注入にあたって用いられる。
【0049】
この注液孔170は、封止部材180で気密に封止されている。この封止部材180は、外側封止部材181と、これに接合されたゴム封止部材183とから一体的に形成されている。
このうち外側封止部材181は、電池ケース110の材質と同じ材質(具体的にはアルミニウム)からなる。この外側封止部材181は、ゴム封止部材183を外部から覆いつつ、電池ケース110の注液孔170を囲む環状の孔周囲部113mに、気密かつ環状に固着可能に構成されている。具体的には、封止部材180の軸線CX方向の内側CC(ケース蓋部材113側、図3及び図5中、下方)に位置する主面である内表面181cと、これに平行で軸線CX方向の外側CD(ケース蓋部材113とは反対側、図3及び図5中、上方)に位置する主面である外表面181dとを有し、凹部175の内径と同じ外径を有する円板状をなす。
【0050】
この外側封止部材181は、注液孔170及びゴム封止部材183を電池ケース110の外部から覆いつつ、注液孔170と同軸になる形態で、凹部175内に嵌合して、電池ケース110(そのケース蓋部材113)に気密かつ環状に固着している。具体的には、外側封止部材181の外周縁に沿う円環状の周縁部181mが、ケース蓋部材113のうち注液孔170を囲む円環状の孔周囲部113mに、全周にわたり溶接されて、平面視円環状の溶接部181yを形成している。これにより、外側封止部材181(その周縁部181m)は電池ケース110の孔周囲部113mに気密に接合されている。
【0051】
ゴム封止部材183は、その全体がゴム状弾性体からなり、ゴム封止部材183の全体が前述のゴム封止部に相当する。具体的には、このゴム封止部材(ゴム封止部)183は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からなる。但し、このEPDMからなるゴム封止部材183は、後述するように、ジクミルパーオキサイド(DCP)を加硫剤とした過酸化物加硫により形成されたものであり、DCPの分解により生成した分解生成物のうち、アセトン、トルエン、アセトフェノン及びα−クミルアルコールを含んでいる。
【0052】
しかも、このゴム封止部材183は、後述するように、過酸化物加硫による一次加硫のみを行い、二次加硫は行わないで形成された一次加硫品である。従って、このゴム封止部材183は、非常に多くのアセトフェノン等の前述の有機化合物を含んでおり、この有機化合物のガスを発生して、これを後述する封止空間KC内に供給する。このように、ゴム封止部材183は、アセトフェノンガス等の有機化合物ガスを後述する検知可能気体として封止空間KCへ供給する気体供給体としての機能も兼ねている。
【0053】
このゴム封止部材183は、注液孔170を電池ケース110の外部から気密に封止可能に構成されている。具体的には、挿入部184と環状圧接部185とから構成され、これらが一体に繋がった形態を有する。このうち挿入部184は、径小な頂面184cと径大な底面184dとこれらの間を結ぶ側面184fとを有する円錐台状をなす。このうち頂面184cは、注液孔170の内径よりも径小となっている。一方、底面184dは、頂面184c及び注液孔170の内径よりも径大となっている。
【0054】
この挿入部184は、その底面184dが外側封止部材181の内表面181cの中央に接合されて、環状圧接部185と共に外側封止部材181と一体化されている。この挿入部184は、外側封止部材181の内表面181cから軸線BX,CX方向の内側BC,CC(図3及び図5中、下方)に延びて、注液孔170内に圧入されており、自身の弾性によって、注液孔170を気密に封止(密栓)している。
【0055】
また、環状圧接部185は、その断面が概略矩形状で、外径が凹部175の内径(凹部底面175f2の外径)よりも小さくされた平面視円環状をなす。この環状圧接部185は、挿入部184の周囲を囲む形態で挿入部184に繋がって挿入部184と一体化されている。この環状圧接部185は、頂面185cと底面185dと外側面185fとを有する。このうち頂面185cは、軸線BX,CX方向の内側BC,CC(図3及び図5中、下方)を向く面である。また、底面185dは、軸線BX,CX方向の外側BD,CD(図3及び図5中、上方)を向く面である。また、外側面185fは、軸線BX,CXの径方向外側を向く面である。
【0056】
この環状圧接部185は、その底面185dが外側封止部材181の内表面181cに接合されて、挿入部184と共に外側封止部材181と一体化されている。また、この環状圧接部185は、外側封止部材181からの押圧により、全周にわたり厚み方向(図3中、上下方向)に圧縮されている。これにより、環状圧接部185の頂面185cは、凹部175の凹部底面175f2に密着して、環状圧接部185よりも径方向内側に位置する注液孔170を気密に封止している。前述のように、注液孔170は、挿入部184によっても気密に封止されているので、挿入部184と環状圧接部185とでそれぞれシールされている。
【0057】
また、環状圧接部185の径方向外側、かつ、電池ケース110の外部には、気密に封止された封止空間KCが形成されている。この封止空間KCは、電池ケース110(具体的には、そのケース蓋部材113の一部である凹部側面175f1及び凹部底面175f2)と、外側封止部材181の内表面181cと、ゴム封止部材183(その環状圧接部185)の外側面185fとの間に形成された円環状の空間である。
【0058】
この封止空間KC内に存在する(封止空間KC内に封入された)気体である空間内気体GSは、この空間内気体GSが封止空間KCから電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含んでいる。本実施形態1では、検知可能気体は、アセトフェノンガス等の前述の有機化合物ガスであり、空間内気体GSは、この有機化合物ガスと大気との混合気体となっている。アセトフェノンガス等の有機化合物ガスは、前述のように、気体供給体としても機能するゴム封止部材(ゴム封止部)183から供給されたものである。
【0059】
以上で説明したように、本実施形態1に係るゴム封止部材183を用いて形成した電池100は、注液孔170がゴム封止部材183及び外側封止部材181により二重にシールされている。しかし、この電池100では、電池ケース110とゴム封止部材183と外側封止部材181との間に形成された封止空間KC内の空間内気体GSが、大気中の気体成分と区別して検知可能なアセトフェノンガス等の有機化合物ガスを含む。このため、ゴム封止部材183で注液孔170が気密に封止されているにも拘わらず、後述するように、アセトフェノンガス等の有機化合物ガスが封止空間KCから電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、外側封止部材181と電池ケース110(その孔周囲部113m)との間(溶接部181y)の気密性を容易かつ確実に検査できる。
【0060】
更に、この電池100では、ゴム封止部材183(その全体がゴム封止部)が、後述するように、DCPを加硫剤とした過酸化物加硫により形成されており、かつ、DCPの分解により生成したアセトフェノン等の有機化合物を含んでいる。そして、ゴム封止部材(ゴム封止部)183は、このアセトフェノン等の有機化合物のガスを検知可能気体として封止空間KCへ供給する気体供給体を兼ねている。このため、検知可能気体を封止空間KCに供給するための気体供給体を電池100内に別途設ける必要がなく、しかも、ゴム封止部材(ゴム封止部)183から発生したアセトフェノンガス等の有機化合物ガスを、確実に封止空間KCに供給できる。
【0061】
更に、本実施形態1では、ゴム封止部材(ゴム封止部)183は、過酸化物加硫による一次加硫のみを行った一次加硫品であり、二次加硫を行っていないので、DCPの分解生成物であるアセトフェノン等の有機化合物を特に多く含む。従って、ゴム封止部材(ゴム封止部)183は、確実に気体供給体とすることができ、多くのアセトフェノンガス等の有機化合物ガス(検知可能気体)を長期間にわたり封止空間KCに供給できる。また、ゴム封止部材(ゴム封止部)183は、一次加硫のみを行って形成するので、ゴム封止部材183の形成が容易で、ゴム封止部材183を安価にすることができ、電池100を安価にすることができる。
【0062】
また、ゴム封止部材(ゴム封止部)183は、EPDMからなる。EPDMは、耐久性や耐候性、耐熱性に優れていることから、EPDMによりゴム封止部材(ゴム封止部)183を形成することで、電池100の耐久性等を良好にすることができる。
また、ゴム封止部材183と外側封止部材181は、一体化されているので、一度に電池ケース110に取り付けできるなど、取り扱いが容易である。また、部品点数を少なくでき、工数を少なくできる。
【0063】
次いで、上記電池100の製造方法について説明する。まず、外側封止部材181とゴム封止部材183とからなる封止部材180(図5参照)を形成しておく。即ち、金属板(具体的にはアルミニウム板)からなる外側封止部材181を射出成形用の金型にセットし、射出成形により、ゴム状弾性体(具体的にはEPDM)からなるゴム封止部材(ゴム封止部)183を外側封止部材181と一体に成形する。なお、外側封止部材181を圧縮成形用の金型にセットし、圧縮成形により、ゴム封止部材(ゴム封止部)183を外側封止部材181と一体に成形してもよい。
【0064】
具体的には、EPDMに、有機過酸化物の加硫剤であるDCPを加え、更に、カーボンブラックやホワイトカーボンに代表される充填材、加工助剤、老化防止剤、可塑剤、オイル、架橋助剤等の配合剤を適宜加えて、例えば、ニーダ、バンバリーミキサ、オープンロール等の混練機で混練して、これらの組成物を得る。
次に、ゴム封止部形成工程において、この組成物を用いて、例えば140〜200℃で2〜30分間保持する条件にて、射出成形(または圧縮成形)によりゴム封止部材(ゴム封止部)183を成形(一次加硫)し、封止部材180を得る。
【0065】
本実施形態1のゴム封止部材(ゴム封止部)183は、上記のように過酸化物加硫による一次加硫のみを行い、二次加硫は行わないで形成した一次加硫品である。このようにして形成したゴム封止部材(ゴム封止部)183は、DCPの分解により生成したアセトフェノン等の有機化合物を非常に多く含む。このため、このゴム封止部材(ゴム封止部)183は、少なくとも7日間以上にわたってアセトフェノンガス等の有機化合物ガスを発生し続ける。
【0066】
なお、本実施形態1では、前述のように、二次加硫を全く行っていないゴム封止部形成工程を例示したが、これに限られない。ゴム封止部形成工程において、ゴム封止部材(ゴム封止部)183から検知可能気体となる有機化合物が全て揮発消失してしまわない(自身に有機化合物が残る)程度に二次加硫を行ってもよい。具体的には、140〜200℃で最長5時間保持する二次加硫を行うことができる。
【0067】
次に、安全弁115及び注液孔170等を形成したケース蓋部材113と、通電端子部材151,151と、ボルト153,153とを用意し、これらを射出成形用の金型にセットする。そして、射出成形により絶縁部材155,155を一体的に成形して、ケース蓋部材113に正極端子150及び負極端子160を固設する(図1及び図2参照)。
次に、別途形成した電極体120に、正極端子150及び負極端子160をそれぞれ接続(溶接)する。その後、ケース本体部材111及び絶縁フィルム包囲体119を用意し、ケース本体部材111内に絶縁フィルム包囲体119を介して電極体120を収容すると共に、ケース本体部材111の開口111hをケース蓋部材113で塞ぐ。そして、レーザ溶接によりケース本体部材111とケース蓋部材113とを溶接して、電池ケース110を形成する(図1及び図2参照)。
【0068】
次に、この電池ケース110等の気密性を検査する(電池ケースの気密検査工程)。具体的には、この電池100をチャンバ内に入れて、チャンバ内をヘリウムガスで充満させると共に、ケース蓋部材113の注液孔170に吸引用ノズルを気密に装着して、電池ケース110の内部を減圧する。例えば、電池ケース110の接合部分(ケース本体部材111とケース蓋部材113との溶接部分)や、電池ケース110と正極端子150または負極端子160との固設部分(ケース蓋部材113と絶縁部材155との間や絶縁部材155と通電端子部材151との間)に封止不良がある場合には、電池ケース110外のヘリウムガスが電池ケース110内に侵入する。従って、電池ケース110内に侵入したヘリウムガスを検知することで、電池ケース110等の気密性を検査できる。
【0069】
次に、この電池100を真空チャンバ内に入れて真空チャンバ内を減圧する。そして、注液用ノズルを注液孔170内に挿入して、注液用ノズルから電池ケース110内に電解液117を注液する。その後、不織布により注液孔170の周囲(孔周囲部113mを含む)を清掃する。電解液117の注入の際、電解液117が注液孔170の周囲に付着するおそれがあるが、この清掃により注液孔170の周囲を清浄状態とすることができる。
【0070】
次に、この減圧下において第1封止工程を行う。即ち、電池ケース110(そのケース蓋部材113)の注液孔170を、電池ケース110の外部からゴム封止部材183で塞いで、注液孔170を気密に封止する(図6参照)。具体的には、封止部材180のうちゴム封止部材(ゴム封止部)183の挿入部184を、注液孔170に電池ケース110の外部から(注液孔170の軸線BX方向の外側BDから)圧入して、挿入部184で注液孔170を気密に封止(密栓)する。
【0071】
第1封止後は、真空チャンバ内を大気圧に戻して、真空チャンバからこの電池100を取り出す。電池ケース110は、第1封止工程でゴム封止部材183により気密に封止されているので、電池100を大気圧下に戻しても、電池ケース110内はその減圧状態を保っている。
ところで、注液孔170が封止されていない場合には、電池ケース110内に収容された電解液117が、電池外部に漏れ出たり、電池ケース110の孔周囲部113mに付着するおそれがある。しかし、本実施形態1では、前述の第1封止工程においてゴム封止部材183(その挿入部184)で注液孔170を気密に封止している。従って、電解液117が電池外部に漏れ出るのを確実に防止できる。また、次述する第2封止工程も、電池ケース110内を減圧状態に保ったまま、大気圧下で行うことができる。
【0072】
次に、この大気圧下において第2封止工程を行う。即ち、ゴム封止部材183を電池ケース110の外部から覆いつつ、外側封止部材181を電池ケース110(そのケース蓋部材113)の孔周囲部113mに気密かつ環状に固着し、前述の封止空間KCを形成する。具体的には、封止部材180のうち、ゴム封止部材183を外部から覆う外側封止部材181を、軸線BX,CX方向の内側BC,CCに押圧して、ゴム封止部材183の環状圧接部185を凹部175の凹部底面175f2に圧接させる(図6参照)。これと共に、外側封止部材181を凹部175内に収容して、外側封止部材181の外表面181dを、ケース蓋部材113の外表面113dと面一にする。この状態で、レーザ溶接を行い、外側封止部材181の周縁部181mと電池ケース110の孔周囲部113mとを全周にわたって溶接して、平面視円環状の溶接部181yを形成する。
【0073】
これにより、環状圧接部185(その頂面185c)が凹部底面175f2に密着するので、環状圧接部185よりも径方向内側に位置する注液孔170は気密に封止される。前述のように、注液孔170は、挿入部184によっても気密に封止されているので、挿入部184と環状圧接部185とでそれぞれシールされる。また、溶接により、外側封止部材181の周縁部181mと電池ケース110の孔周囲部113mとの間も、気密に封止され、封止空間KCが形成される。
また、封止空間KC内には、ゴム封止部材(ゴム封止部)183の環状圧接部185が臨むので、ゴム封止部材183に含まれるアセトフェノン等の有機化合物が気化したアセトフェノンガス等の有機化合物ガスが、空間内気体GSに含まれる。従って、空間内気体GSは、この有機化合物ガスと大気との混合気体となる。
【0074】
次に、初期充電工程において、この電池100について初期充電を行う。その際、電池ケース110内には、水素などの気体が発生する。
【0075】
次に、この電池100について気密検査工程を行う。即ち、検知可能気体であるアセトフェノンガス等の有機化合物ガスが封止空間KCから電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、封止部材180のうち外側封止部材181の周縁部181mと電池ケース110(そのケース蓋部材113)の孔周囲部113mとの間(溶接部181y)の気密性を検査する。
この気密検査工程は、電池100を真空チャンバ内に置いて、真空チャンバ内を減圧する。そして、封止部材180の近傍に、アセトフェノンガス等の有機化合物ガスを大気中の気体成分と区別して検知可能な炭化水素ガス検知器(例えば、HORIBA製:APHA−370)を設置して、所定時間、アセトフェノンガス等の有機化合物ガスを検知することにより行う。
【0076】
前述のように、封止空間KC内には、アセトフェノンガス等の有機化合物ガスを含む空間内気体GSが封入されている。このため、外側封止部材181の周縁部181mと電池ケース110の孔周囲部113mとの間(溶接部181y)に封止不良が生じている場合には、溶接部181yのうち封止不良の部位を通じて、アセトフェノンガス等の有機化合物ガスが電池ケース110の外部に漏れ出る。かくして、ガス検出器によりアセトフェノンガス等の有機化合物ガスを検知できれば、外側封止部材181の周縁部181mと電池ケース110の孔周囲部113mとの間に封止不良が生じていることが判る。そこで、この封止不良のある電池を排除し、封止不良のない良品の電池100のみを選別する。かくして、電池100が完成する。
【0077】
以上で説明したように、本実施形態1に係る電池100の製造方法は、第1封止工程において、ゴム封止部材183で注液孔170を気密に封止する。このため、その後、第2封止工程までの間に、電解液117が注液孔170を通じて電池ケース110の外部(孔周囲部113m等)に漏れ出るのを防止できる。従って、第2封止工程の際に、注液孔170から漏れ出た電解液117が外側封止部材181と電池ケース110の孔周囲部113mとの間に入り込んで、封止不良が生じるのを防止できる。
【0078】
また、第1封止工程において、アセトフェノン等の有機化合物を含んだゴム封止部(ゴム封止部材)183によって注液孔170を気密に封止し、第2封止工程において、更に外側封止部材181を電池ケース110に固着して封止空間KCを形成する。このようにすることで、封止空間KCに臨むゴム封止部(ゴム封止部材)183から封止空間KCに、アセトフェノンガス等の有機化合物ガスが検知可能気体として供給される。このため、検知可能気体を封止空間KCに供給するための気体供給体を電池100内に別途設ける必要がない。また、第2封止工程後の電池100では、外側封止部材181と電池ケース110(その孔周囲部113m)との間の気密性を容易かつ確実に検査できる。
【0079】
更に、本実施形態1では、ゴム封止部材(ゴム封止部)183は、過酸化物加硫による一次加硫のみを行った一次加硫品であるため、アセトフェノン等の有機化合物を特に多く含む。従って、ゴム封止部材(ゴム封止部)183は、確実に気体供給体とすることができ、多くのアセトフェノンガス等の有機化合物ガス(検知可能気体)を長期間にわたり封止空間KCに供給できる。また、ゴム封止部材183の形成が容易で、ゴム封止部材183を安価にすることができるので、安価な電池100を製造できる。
また、EPDMは、耐久性や耐候性、耐熱性に優れていることから、EPDMによりゴム封止部材(ゴム封止部)183を形成することで、耐久性等が良好な電池100を製造できる。
【0080】
また、本実施形態1では、気密検査工程において、外側封止部材181と電池ケース110の孔周囲部113mとの間の気密性を検査する。そして、これらの間に封止不良が生じている電池を確実に排除できる。従って、外側封止部材181と電池ケース110との間の気密性が良好な電池100を製造できる。
また、本実施形態1では、第1封止工程を減圧下で行うことで、第1封止後の電池ケース110内を減圧状態(負圧)にすることができる。このため、その後に電池ケース110内に気体が発生しても、電池ケース110の内圧が早期に高くなるのを防止できる。一方、溶接を行う第2封止工程は、大気圧下で行うので、減圧下で行う場合に比して、第2封止工程を容易に行うことができる。
【0081】
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態について説明する。本実施形態2に係るハイブリッド自動車(車両)700(以下、単に自動車700とも言う)は、実施形態1に係る電池100を搭載し、この電池100に蓄えた電気エネルギを、駆動源の駆動エネルギの全部または一部として使用するものである(図7参照)。
【0082】
この自動車700は、電池100を複数組み合わせた組電池710を搭載し、エンジン740、フロントモータ720及びリアモータ730を併用して駆動するハイブリッド自動車である。具体的には、この自動車700は、その車体790に、エンジン740と、フロントモータ720及びリアモータ730と、組電池710(電池100)と、ケーブル750と、インバータ760とを搭載する。そして、この自動車700は、組電池710(電池100)に蓄えられた電気エネルギを用いて、フロントモータ720及びリアモータ730を駆動できるように構成されている。
前述したように、電池100は、長期間にわたり封止部材180の外側封止部材181で注液孔170を気密に封止できるので、この自動車700の耐久性を高くできる。
【0083】
(実施形態3)
次いで、第3の実施の形態について説明する。本実施形態3のハンマードリル800は、実施形態1に係る電池100を搭載した電池使用機器である(図8参照)。このハンマードリル800は、本体820の底部821に、電池100を含むバッテリパック810が収容されており、このバッテリパック810を、ドリルを駆動するためのエネルギー源として利用している。
前述したように、電池100は、長期間にわたり封止部材180の外側封止部材181で注液孔170を気密に封止できるので、このハンマードリル800の耐久性を高くできる。
【0084】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態1〜3に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態1では、電池ケースの内外を連通する「貫通孔」として、電解液117を注入するための注液孔170を例示したが、貫通孔は注液孔に限られない。貫通孔としては、例えば、電池ケース内の気体(ガス)を抜くための通気孔などが挙げられる。また、実施形態1では、「貫通孔」を、電池ケース110のうちケース蓋部材113に設けたが、貫通孔の形成位置はこれに限られない。貫通孔は、例えば、ケース本体部材111の側面や底面に設けてもよい。また、実施形態1では、「貫通孔」の形態を円孔としたが、貫通孔の形態も適宜変更できる。
【0085】
また、実施形態1では、「電極体」として、各々帯状をなす正極板121及び負極板131をセパレータ141,141を介して互いに重ねて捲回してなる捲回型の電極体120を例示したが、電極体の形態はこれに限られない。例えば、電極体を、各々所定形状(例えば矩形状など)をなす複数の正極板及び複数の負極板をセパレータを介して交互に複数積層してなる積層型としてもよい。
【0086】
また、実施形態1では、「ゴム封止部材」及び「外側封止部材」として、ゴム封止部材183及び外側封止部材181が互いに接合されて一体化された封止部材180を例示したが、「ゴム封止部材」及び「外側封止部材」は、別体とすることもできる。この場合、ゴム封止部材のみを単独で、前述した射出成形や圧縮成形により形成する。
【0087】
また、実施形態1では、「ゴム封止部材」として、その全体がゴム封止部とされたゴム封止部材183を例示したが、ゴム封止部材の形態はこれに限られない。例えば、ゴム封止部材を、円錐台状等のゴム封止部に、これを外部から覆う板状等の被覆部材が接合された形態とすることもできる。このようにゴム封止部材がゴム封止部以外の部位を有する場合、ゴム封止部以外の部位は、金属など、ゴム状弾性体をなす材質以外の材質で形成することができる。
【0088】
また、実施形態1では、「ゴム封止部」として、円錐台状の挿入部184と円環状の環状圧接部185とが一体に繋がったゴム封止部(ゴム封止部材)183を例示したが、ゴム封止部の形態はこれに限定されない。例えば、ゴム封止部を、実施形態1で示したような円錐台状の挿入部のみからなる形態とすることができる。このように挿入部のみからなるゴム封止部でも、自身の弾性によって貫通孔を電池ケースの外部から気密に封止できる。
【0089】
また、実施形態1では、電池ケース110に設けた凹部175に、外側封止部材181を嵌合させた状態で、外側封止部材181を電池ケース110に固着しているが、この形態に限られない。例えば、外側封止部材の径を実施形態1の外側封止部材181よりも更に大きくして、外側封止部材の周縁部を、凹部175の周囲に電池ケース110の外部から当接させ、この状態で外側封止部材を電池ケース110に固着してもよい。
また、実施形態1では、溶接により、外側封止部材181を電池ケース110の孔周囲部113mに固着したが、固着方法はこれに限られない。例えば、ロウ材やハンダ、接着剤等を用いて、或いは、加締めや巻き締め等により、外側封止部材を電池ケースの孔周囲部に固着してもよい。
【0090】
また、実施形態2では、本発明に係る電池100を搭載する車両として、ハイブリッド自動車700を例示したが、これに限られない。本発明に係る電池を搭載する車両としては、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータなどが挙げられる。
【0091】
また、実施形態3では、本発明に係る電池100を搭載する電池使用機器して、ハンマードリル800を例示したが、これに限られない。本発明に係る電池を搭載する電池使用機器としては、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電池駆動の電動工具、無停電電源装置など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0092】
100 リチウムイオン二次電池(電池)
110 電池ケース
111 ケース本体部材
113 ケース蓋部材
113m 孔周囲部
117 電解液
120 電極体
150 正極端子
160 負極端子
170 注液孔(貫通孔)
175 凹部
180 封止部材
181 外側封止部材
181m 周縁部
181y 溶接部
183 ゴム封止部材(ゴム封止部)
184 挿入部
185 環状圧接部
700 ハイブリッド自動車(車両)
710 組電池
800 ハンマードリル(電池使用機器)
810 バッテリパック
GS 空間内気体
KC 封止空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、
前記電池ケース内に収容された電極体と、
前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなり、ゴム状弾性体からなるゴム封止部を有するゴム封止部材と、
前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着してなる外側封止部材と、備え、
前記電池ケースと前記ゴム封止部材と前記外側封止部材との間に形成された気密に封止された空間を、封止空間としたとき、
前記封止空間内に存在する気体である空間内気体は、
前記封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、
前記ゴム封止部は、
有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、
前記有機過酸化物の分解により生成した有機化合物を含んでなり、
前記有機化合物のガスを、前記検知可能気体として前記封止空間へ供給する気体供給体を兼ねる
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記ゴム封止部は、
前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って形成されてなる
電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池であって、
前記ゴム封止部は、エチレンプロピレンジエンゴムからなる
電池。
【請求項4】
電池の電池ケースに設けられ、前記電池ケースの内外を連通する貫通孔を、気密に封止するゴム封止部材であって、
ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止可能に構成されたゴム封止部を有し、
前記ゴム封止部は、
有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、
前記有機過酸化物の分解により生成され、自身の外部にガスとして放出される有機化合物を含んでなる
ゴム封止部材。
【請求項5】
請求項4に記載のゴム封止部材であって、
前記ゴム封止部は、
前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って形成されてなる
ゴム封止部材。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のゴム封止部材であって、
前記ゴム封止部は、エチレンプロピレンジエンゴムからなる
ゴム封止部材。
【請求項7】
前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着可能に構成された外側封止部材と一体化されてなる、請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載のゴム封止部材。
【請求項8】
自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、
前記電池ケース内に収容された電極体と、
ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなるゴム封止部を有するゴム封止部材と、
前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着してなる外側封止部材と、を備え、
前記電池ケースと前記ゴム封止部材と前記外側封止部材との間に形成された気密に封止された空間を、封止空間としたとき、
前記封止空間内に存在する気体である空間内気体は、
前記封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、
前記ゴム封止部は、
有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、
前記有機過酸化物の分解により生成した有機化合物を含んでなり、
前記有機化合物のガスを、前記検知可能気体として前記封止空間へ供給する気体供給体を兼ねる
電池の製造方法であって、
前記過酸化物加硫により形成され前記有機化合物を含んでなる前記ゴム封止部を有する前記ゴム封止部材のうち、前記ゴム封止部で、前記電池ケースの前記外部から前記貫通孔を塞いで、前記貫通孔を気密に封止する第1封止工程と、
前記第1封止工程の後、前記ゴム封止部材を前記外部から覆いつつ、前記外側封止部材を前記電池ケースの前記孔周囲部に気密かつ環状に固着し、前記封止空間を形成する第2封止工程と、を備える
電池の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電池の製造方法であって、
前記ゴム封止部は、
前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って形成されてなる
電池の製造方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の電池の製造方法であって、
前記ゴム封止部は、エチレンプロピレンジエンゴムからなる
電池の製造方法。
【請求項11】
請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の電池の製造方法であって、
前記第2封止工程の後、前記検知可能気体が前記封止空間から電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、前記外側封止部材と前記電池ケースの前記孔周囲部との間の気密性を検査する気密検査工程を更に備える
電池の製造方法。
【請求項12】
請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載の電池の製造方法であって、
前記第1封止工程は、減圧下で行い、
前記第2封止工程は、大気圧下で行う
電池の製造方法。
【請求項13】
電池の電池ケースに設けられ、前記電池ケースの内外を連通する貫通孔を、気密に封止するゴム封止部材であって、
ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止するゴム封止部を有し、
前記ゴム封止部は、
有機過酸化物を加硫剤とした過酸化物加硫により形成され、
前記有機過酸化物の分解により生成され、自身の外部にガスとして放出される有機化合物を含んでなる
ゴム封止部材の製造方法であって、
前記過酸化物加硫による一次加硫は行うが、二次加硫は行わないで、または、自身に前記有機化合物が残る二次加硫を行って、前記ゴム封止部を形成するゴム封止部形成工程を備える
ゴム封止部材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−114910(P2013−114910A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260171(P2011−260171)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】