説明

電池およびその製造方法

【課題】イオン伝導性を向上させることが可能な電池を提供する。
【解決手段】電池は、正極および負極と共に固体電解質層を備え、正極、負極および固体電解質層のうちの少なくとも1つは、固体電解質結着剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、正極および負極と共に固体電解質層を備えた電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様な電子機器の普及に伴い、電源である電池の需要が急速に拡大している。この電子機器の用途は、携帯電話機またはノート型パーソナルコンピュータなどの小型用途に限らず、電気自動車などの大型用途まで多岐に渡る。
【0003】
電池の種類としては、放電のみが可能な一次電池と、充放電が可能な二次電池とが知られており、後者の二次電池の代表例は、リチウムイオン二次電池などである。電池は、一般的に、正極および負極と共に液状の電解質(電解液)を備えており、その正極および負極は、いずれも電極反応物質を授受可能な活物質を含んでいる。
【0004】
ところが、電解液を用いた電池では、電解液に特有の問題(漏液など)に起因して、電子機器の性能低下または故障などを招く可能性がある。特に、高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池などでは、漏液に起因してショート(内部短絡)が生じると、場合によっては発火などを招く可能性もある。
【0005】
そこで、電解液に特有の問題を解消するために、その電解液の代わりに固体状の電解質(固体電解質)を用いることが検討されている。漏液が生じないため、腐食に起因する電池性能の劣化などが防止されるからである。また、電解液を用いる場合よりも、固体電解質の種類によっては電位窓が広くなるため、エネルギー密度が高くなるからである。この固体電解質を用いた電池は、固体電解質を含む層(固体電解質層)を挟むように正極と負極が積層されたものであり、一般的に、全固体電池と呼ばれている。
【0006】
固体電解質を用いた電池の構成に関しては、さまざまな検討がなされている。具体的には、固体電解質としてLi2 S−P2 5 などの硫黄系材料を用いることが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。また、固体電解質として非晶質ポリアニリン化合物を用いて、電極活物質と固体電解質とを混合してから加熱焼成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、焼結法を用いて電極または固体電解質層を形成する際に、焼結用の助剤として非晶質酸化物を用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これに関連して、グリーンシート法を用いて電極および固体電解質層を形成することも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「ハイ リチウム イオン コンダクティング グラス−セラミックス イン ザ システム Li2 S−P2 S5 」,ソリッド ステイト イオニクス,177,2721頁−2725頁,2006年(High lithium ion conducting glass-ceramics in the system Li2 S−P2 S5 ,Solid State Ionics 177(2006) 2721-2725)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−140910号公報
【特許文献2】特開2007−005279号公報
【特許文献3】特開2007−227362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電解液を用いた電池では、電極中(活物質などの粒子間の隙間)に電解液が含浸するため、粒子間の接合面積が増大する。この場合には、粒子間に十分なイオン伝導性が得られるため、界面抵抗が大きな問題とならない。これに対して、固体電解質を用いた電池では、粒子間に電解液のような媒介が存在しないため、その粒子間の接合面積が不十分である。この場合には、粒子間に十分なイオン伝導性が得られないため、界面抵抗が大きな問題となる。すなわち、粒子間の界面抵抗が増大するため、電池性能の低下を招きやすい。
【0010】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、イオン伝導性を向上させることが可能な電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術の電池は、正極および負極と共に固体電解質層を備え、正極、負極および固体電解質層のうちの少なくとも1つが固体電解質結着剤を含むものである。また、本技術の電池の製造方法は、固体電解質結着剤を含むように正極準備体、負極準備体および固体電解質層準備体のうちの少なくとも1つを形成し、固体電解質結着剤を加熱して正極、負極および固体電解質層のうちの少なくとも1つを形成するようにしたものである。この「固体電解質結着剤」とは、活物質などの粒子間に介在して結着性を発揮する固体電解質材料である。
【発明の効果】
【0012】
本技術の電池によれば、正極、負極および固体電解質層のうちの少なくとも1つが固体電解質結着剤を含んでいるので、イオン伝導性を向上させることができる。また、本技術の電池の製造方法によれば、固体電解質結着剤を含むように正極準備体等のうちの少なくとも1つを形成したのち、その固体電解質結着剤を加熱して正極等のうちの少なくとも1つを形成しているので、イオン伝導性が向上した電池を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本技術の一実施形態の電池の構成を表す断面図である。
【図2】本技術の一実施形態の電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.電池の構成
2.電池の製造方法
3.変形例
【0015】
<1.電池の構成>
図1は、本技術の一実施形態における電池の断面構成を表している。
【0016】
[電池の概要]
この電池は、いわゆる全固体電池であると共に、電極反応物質であるリチウムの授受により電池容量が繰り返して得られる二次電池である。すなわち、ここで説明する電池は、リチウムイオンの吸蔵放出により負極の容量が得られるリチウムイオン二次電池でもよいし、リチウム金属の析出溶解により負極の容量が得られるリチウム金属二次電池でもよい。
【0017】
具体的には、電池は、例えば、図1に示したように、固体電解質層3を挟むように正極1と負極2とが積層されたものである。
【0018】
[正極]
正極1は、電極反応物質(リチウムイオン)を吸蔵放出可能である活物質(正極活物質)のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて正極結着剤、正極導電剤または結晶性固体電解質などの他の材料を含んでいてもよい。
【0019】
正極活物質の種類は、リチウムイオンを吸蔵放出できる材料であれば特に限定されないが、例えば、リチウム含有化合物である。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物は、例えば、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含む複合酸化物(リチウム遷移金属複合酸化物)や、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物(リチウム遷移金属リン酸化合物)などである。中でも、遷移金属元素は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)のいずれか1種類または2種類以上であることが好ましい。より高い電圧が得られるからである。
【0020】
リチウム遷移金属複合酸化物の化学式は、例えば、Lix M1O2 またはLiy M2O4 などで表されると共に、リチウム遷移金属リン酸化合物の化学式は、例えば、Liz M3PO4 などで表される。ただし、M1〜M3は1種類または2種類以上の遷移金属元素であり、x〜zの値は任意である。
【0021】
リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiVO2 、LiCrO2 またはLiMn2 4 などである。リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiFePO4 またはLiCoPO4 などである。
【0022】
この他、正極活物質は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子などでもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンまたは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェンなどである。
【0023】
正極結着剤は、例えば、合成ゴムまたは高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上である。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはポリイミドなどである。なお、正極結着剤は正極活物質などの粒子を結着させるために必要であるが、正極1が固体電解質結着剤を含む場合には、その正極1は正極結着剤を含んでいなくてもよい。後述するように、固体電解質結着剤は、ガラス転移温度Tg以上の温度で加熱されることで結着剤と同様の機能を果たすからである。
【0024】
正極導電剤は、例えば、炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上である。炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラックまたはカーボンファイバーなどである。ただし、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料または導電性高分子などの他の材料でもよい。
【0025】
結晶性固体電解質の詳細は、後述する固体電解質層3に含まれる結晶性固体電解質と同様である。正極1は、結晶性固体電解質を含んでいてもいなくてもよいが、中でも、結晶性固体電解質を含んでいることが好ましい。正極1と固体電解質層3とのイオン伝導性が向上するからである。
【0026】
なお、正極1は、正極集電体を備えていてもよい。この場合には、正極集電体の上に、上記した正極活物質などを含む正極活物質層が形成される。この正極集電体の形成材料は、導電性材料であれば任意でよい。
【0027】
[負極]
負極2は、電極反応物質(リチウムイオン)を吸蔵放出可能である活物質(負極活物質)のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて負極結着剤、負極導電剤または結晶性固体電解質などの他の材料を含んでいてもよい。なお、負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤および正極導電剤と同様である。ただし、正極1と同様に、負極2が後述する固体電解質結着剤を含んでいる場合には、負極結着剤は必ずしも必要でない。
【0028】
負極活物質の種類は、リチウムイオンを吸蔵放出できる材料であれば特に限定されないが、例えば、炭素材料または金属系材料などである。高いエネルギー密度が得られるからである。
【0029】
炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)または高配向性グラファイト(HOPG)などである。
【0030】
金属系材料は、例えば、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素を構成元素として含む材料である。より具体的には、金属系材料は、例えば、ケイ素(Si)、スズ(An)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)などの単体、合金または化合物のいずれか1種類または2種類以上である。ただし、単体は、純度100%に限らず、微量の不純物を含んでいてもよい。この金属系材料は、例えば、Si、Sn、SiB4 、TiSi2 、SiC、Si3 4 、SiOv (0<v≦2)、LiSiO、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOまたはMg2 Snなどである。
【0031】
この他、金属系材料は、リチウム含有化合物またはリチウム金属(リチウムの単体)でもよい。このリチウム含有化合物は、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含む複合酸化物(リチウム遷移金属複合酸化物)であり、例えば、Li4 Ti5 12などである。
【0032】
結晶性固体電解質の詳細は、後述する固体電解質層3に含まれる結晶性固体電解質と同様である。負極2は、正極1と同様に、結晶性固体電解質を含んでいてもいなくてもよいが、中でも、結晶性固体電解質を含んでいることが好ましい。正極2と固体電解質層3とのイオン伝導性が向上するからである。特に、正極1および負極2はいずれも結晶性固体電解質を含んでいることが好ましい。電池全体のイオン伝導性がより向上するからである。
【0033】
なお、負極2は、正極1と同様に、負極集電体を備えていてもよい。この場合には、負極集電体の上に、上記した負極活物質などを含む負極活物質層が形成される。この負極集電体の形成材料は、導電性材料であれば任意でよい。
【0034】
[固体電解質層]
固体電解質層3は、結晶性固体電解質のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて電解質結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、電解質結着剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤と同様である。ただし、正極1と同様に、固体電解質層3が後述する固体電解質結着剤を含んでいる場合には、電解質結着剤は必ずしも必要でない。
【0035】
結晶性固体電解質の種類は、リチウムイオンを伝導可能である結晶性の固体電解質であれば特に限定されないが、例えば、無機材料または高分子材料などである。無機材料は、例えば、Li2 S−P2 5 、Li2 S−SiS2 −Li3 PO4 、Li7 3 11、Li3.25Ge0.250.75S、またはLi10GeP2 12などの硫化物や、Li1+x Alx Ti2-x (PO4 3 またはLa2/3-x Li3xTiO3 などの酸化物である。高分子材料は、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)などである。
【0036】
[固体電解質結着剤]
ここで、正極1、負極2および固体電解質層3のうちの少なくとも1つは、固体電解質結着剤を含んでおり、その固体電解質結着剤は、加熱時に流動性を示す性質を有している。この固体電解質結着剤は、例えば、電極反応物質の元素(ここではリチウム)と、ガラス形成元素と、酸素(O)または硫黄(S)とを構成元素として含んでいる。このため、固体電解質結着剤は、電極反応物質(リチウムイオン)のイオン伝導性を有している。
【0037】
正極1、負極2および固体電解質層3が活物質などの複数の粒子を含んでいる場合、固体電解質結着剤は、一般的な結着剤と同様に、複数の粒子間の隙間に存在している。電池の製造工程において、固体電解質結着剤はガラス転移温度Tg以上の温度で加熱されているため、毛細管現象を利用して複数の粒子間の微細な隙間に入り込んでいるからである。この複数の粒子に関する詳細は、以下の通りである。正極1に含まれる粒子は、例えば、粒子状の正極活物質、正極導電剤または結晶性固体電解質などである。負極2に含まれる粒子は、例えば、粒子状の負極活物質、負極導電剤または結晶性固体電解質などである。固体電解質層3に含まれる粒子は、粒子状の結晶性固体電解質または電解質結着剤などである。
【0038】
正極1などが固体電解質結着剤を含んでいる理由は、以下の通りである。なお、以下では、正極1を例に挙げて理由を説明しているが、その理由は、固体電解質結着剤を含んでいる負極2および固体電解質層3に関しても同様である。
【0039】
第1に、固体電解質結着剤は加熱時に流動性を示すため、上記したように、その固体電解質結着剤は毛細管現象を利用して粒子間の微細な隙間に入り込むからである。これにより、固体電解質結着剤は正極1中において粒子同士を結着させる役割を果たすため、加熱時に流動性を示さない結着剤を用いた場合と比較して、その粒子同士は固体電解質結着剤を介して結着されやすくなる。
【0040】
第2に、正極活物質の粒子同士は、上記したように、イオン伝導性を有する固体電解質結着剤を介して結着されるため、その粒子間にリチウムイオンの伝導経路が確保されるからである。これにより、粒子間において接合面積が増大し、その粒子間における界面抵抗の上昇が抑制されるため、イオン伝導性を有しない結着剤を用いた場合と比較して、電池性能の低下も抑制される。
【0041】
第3に、正極1のイオン伝導性を向上させる方法としては、その正極1中に結晶性固体電解質を含有させると共にその結晶性固体電解質の含有量を多くすることが考えられる。しかしながら、正極活物質の含有量が相対的に少なくなりすぎると、正極1のイオン伝導性が向上する反面、電池の重量または体積当たりの容量が減少してしまう。これに対して、加熱時に流動性を示す固体電解質結着剤を用いると、上記した毛細管現象を利用して、固体電解質結着剤の含有量がそれほど多くなくても十分な結着性およびイオン伝導性が得られるため、電池の重量または体積当たりの容量が確保される。
【0042】
中でも、固体電解質結着剤は、ガラス状であることが好ましい。固体電解質結着剤がより微細な隙間に入り込みやすくなるため、より高い効果が得られるからである。
【0043】
ガラス形成元素とは、単独で、または他の元素と組み合わされることでガラス化可能な元素である。このガラス形成元素は、例えば、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、テルル(Te)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)のうちの少なくとも1種である。なお、上記した「他の元素」とは、例えば、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素などである。アルカリ金属元素は、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)などであると共に、アルカリ土類金属元素は、例えば、マグネシウム(Mg)またはカルシウム(Ca)などである。
【0044】
より具体的には、固体電解質結着剤は、例えば、上記した1種類または2種類以上のガラス形成元素をMとすると、Lix −M−Oy 結合(xおよびyは任意の値)のいずれか1種類または2種類以上を有する材料である。このLix −M−Oy 結合は、例えば、Li−Si−O結合、Li−P−O結合、Li−B−O結合、Li−Ge−O結合、Li−V−O結合、Li4 −Si−O4 結合、Li4 SiO4 −Li3 BO3 結合、またはLi−Zr−Si−P−O結合などである。もちろん、固体電解質結着剤は、上記したLix −M−Oy 結合中の酸素(O)が硫黄(S)に置き換えられた結合を有する材料でもよい。
【0045】
なお、固体電解質結着剤は、さらに他の元素を構成元素として含んでいてもよい。この「他の元素」は、例えば、フッ素(F)または塩素(Cl)などのハロゲン元素のうちの1種類または2種類以上であり、これ以外の元素でもよい。
【0046】
この固体電解質結着剤は、例えば、1または2以上のガラス形成材料を用いて形成される。このガラス形成材料は、例えば、網目状酸化物(網目形成酸化物)、修飾酸化物または中間酸化物に分類される。網目状酸化物は、それ自身でガラス化できると共に網目状のネットワーク構造を形成する酸化物であり、例えば、SiO2 、B2 3 、P2 5 またはGeO2 などである。修飾酸化物は、それ自身ではガラス化できないが、上記した網目状の酸化物が形成するネットワーク構造内においてガラス化できる(網目を修飾する)酸化物であり、例えば、Li2 Oなどである。ただし、修飾酸化物は、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素などを構成元素として含む酸化物であれば、他の材料でもよい。この修飾酸化物は、ガラスの網目構造を切断して流動性を向上させる性質を有している。中間酸化物は、網目状酸化物と修飾酸化物との中間的な性質を有しており、それ自身では非晶質化しにくく、網目状酸化物と修飾酸化物との混合によってガラス化する酸化物である。この酸化物は、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)およびタングステン(W)などのうちの少なくとも1種の高原子価イオンの酸化物であり、TiO2 またはWO3 などである。この中間酸化物には、ガラスの熱特性のうち、熱膨張係数を低下させる機能を発揮するものがある。
【0047】
より具体的には、固体電解質結着剤は、例えば、少なくとも網目状酸化物(1または2以上のガラス形成元素を構成元素として含む酸化物)と修飾酸化物(リチウムを構成元素として含む酸化物)とを用いて、急冷法またはゾルゲル法などにより形成される。もちろん、必要に応じて中間酸化物を用いてもよい。
【0048】
上記したように、固体電解質結着剤は、正極1、負極2および固体電解質層3のうちの少なくとも1つに含まれている。このため、固体電解質結着剤は、正極1、負極2および固体電解質層3のうちのいずれか1つだけに含まれていてもよいし、任意の2つに含まれていてもよいし、全てに含まれていてもよい。中でも、固体電解質結着剤は、正極1、負極2および固体電解質層3の全てに含まれていることが好ましい。より高い効果が得られるからである。
【0049】
[電池の動作]
この電池では、例えば、充電時において、正極1から放出されたリチウムイオンが固体電解質層3を介して負極2に取り込まれると共に、放電時において、負極2から放出されたリチウムイオンが固体電解質層3を介して正極1に取り込まれる。
【0050】
<2.電池の製造方法>
この電池は、例えば、以下の手順により製造される。図2および図3は、電池の製造方法を説明するためのものであり、いずれも図1に対応する断面構成を示している。なお、以下では、正極1、負極2および固体電解質層3の全てに結晶性固体電解質および固体電解質結着剤が含まれる場合について説明する。
【0051】
ここで説明する電池の製造方法は、いわゆるグリーンシート法を用いて正極1、負極2および固体電解質層3を形成するものである。
【0052】
最初に、図2に示したように、塗布法を用いて正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aを形成する。
【0053】
正極準備体1Aを形成する場合には、正極活物質と、結晶性固体電解質と、固体電解質結着剤と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して、正極合剤とする。続いて、正極合剤を有機溶剤などに分散させて、ペースト状の正極スラリーとする。続いて、所定の支持基体(図示せず)の一面に正極スラリーを塗布してから乾燥させて正極準備体1Aを形成したのち、その支持基体から正極準備体1Aを剥離させる。この支持基体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子材料のフィルムなどである。
【0054】
負極準備体2Aの形成手順は、正極準備体1Aの形成手順と同様である。すなわち、負極活物質と、結晶性固体電解質と、固体電解質結着剤と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを混合して負極合剤としたのち、その負極合剤を有機溶剤などに分散させてペースト状の負極スラリーとする。続いて、支持基体の一面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて負極準備体2Aを形成したのち、その支持基体から負極準備体2Aを剥離させる。
【0055】
固体電解質層準備体3Aを形成する場合には、結晶性固体電解質と、固体電解質結着剤と、必要に応じて電解質結着剤などとを混合して電解質合剤としたのち、その電解質合剤を有機溶剤などに分散させてペースト状の電解質スラリーとする。続いて、支持基体の一面に電解質スラリーを塗布してから乾燥させて固体電解質層準備体3Aを形成したのち、その支持基体から固体電解質層準備体3Aを剥離させる。
【0056】
なお、正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aを形成する場合には、必要に応じて、固体電解質結着剤のガラス転移温度Tg未満の温度で加熱してもよい。
【0057】
また、正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aの形成方法として、塗布法以外の方法を用いてもよい。この塗布法以外の方法は、例えば、蒸着法またはスパッタ法などの気相成長法などである。ただし、常温環境中の容易な形成工程を実現するためには、塗布法を用いることが好ましい。この場合には、正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aのうちのいずれか1つまたは2つ以上の形成方法として塗布法を用いればよく、中でも、全ての形成方法として塗布法を用いることが好ましい。電池の製造工程がより容易になるからである。また、塗布法以外の方法は、例えば、プレス機などを用いて活物質などを粉末状態で加圧成形する方法でもよい。この加圧成形後の形状は特に限定されず、例えば、ペレット状(コイン型)などである。
【0058】
次に、図3に示したように、固体電解質層準備体3Aを挟むように正極準備体1Aと負極準備体2Aとを積層させる。
【0059】
最後に、固体電解質結着剤のガラス転移温度Tg以上の温度で正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aを加熱して、図1に示した正極1、負極2および固体電解質層3を形成する。
【0060】
加熱温度は、固体電解質結着剤のガラス転移温度Tg以上の温度であれば、特に限定されない。なお、正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aが2種類以上の固体電解質結着剤を含む場合には、各固体電解質結着剤のガラス転移温度Tgのうちの最高温度以上とする。中でも、加熱温度は、固体電解質結着剤の分解温度以下の温度であることが好ましい。固体電解質結着剤による結着機能を確保するためである。
【0061】
この加熱処理により、正極準備体1Aでは、固体電解質結着剤が軟化して流動性を示すため、毛細管現象を利用して正極活物質などの粒子間の微細な隙間に入り込む。これにより、正極準備体1Aにおいて、粒子同士が固体電解質結着剤を介して結着されると共に、その粒子間にイオン伝導経路が確保される。
【0062】
この固体電解質結着剤の流動現象は、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aにおいても同様に生じる。すなわち、負極準備体2Aでは、固体電解質結着剤が負極活物質などの粒子間の微細な隙間に入り込むと共に、固体電解質層準備体3Aでは、固体電解質結着剤が結晶性固体電解質などの粒子間の微細な隙間に入り込む。これにより、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aにおいて、粒子同士が固体電解質結着剤を介して結着されると共に、その粒子間にイオン伝導経路が確保される。
【0063】
特に、固体電解質層準備体3Aを介して正極準備体1Aと負極準備体2Aとが積層された状態で加熱することで、正極準備体1Aと固体電解質層準備体3Aとの界面近傍において、固体電解質結着剤の流動現象が生じる。負極準備体2Aと固体電解質層準備体3Aとの界面近傍においても同様である。
【0064】
この場合には、正極準備体1Aと固体電解質層準備体3Aとの界面近傍において、固体電解質結着剤が正極活物質などの粒子と結晶性固体電解質などの粒子との間の微細な隙間に入り込む。これにより、正極準備体1Aと固体電解質層準備体3Aとの間において、粒子同士が固体電解質結着剤を介して結着されると共に、その粒子間にイオン伝導経路が確保される。また、負極準備体2Aと固体電解質層準備体3Aとの界面近傍において、固体電解質結着剤が負極活物質などの粒子と結晶性固体電解質などの粒子との間の隙間に入り込む。これにより、負極準備体1Aと固体電解質層準備体3Aとの間において、粒子同士が固体電解質結着剤を介して結着されると共に、その粒子間にイオン伝導経路が確保される。
【0065】
よって、図1に示したように、固体電解質層3を挟んで正極1と負極2とが積層された電池が完成する。
【0066】
[電池およびその製造方法の作用および効果]
この電池によれば、正極1、負極2および固体電解質層3のうちの少なくとも1つが固体電解質結着剤を含んでいる。この場合には、上記したように、固体電解質結着剤が電池の製造工程において加熱されることで流動性を発揮する。特に、固体電解質結着剤がリチウムとガラス形成元素と酸素または硫黄とを構成元素として含んでいれば、ガラス転移温度Tg以上の温度で加熱されることで良好な流動性が発揮される。これにより、固体電解質結着剤が活物質または結晶性固体電解質などの粒子間の微細な隙間に入り込むため、粒子同士が結着されると共に、その粒子間にリチウムイオンの伝導経路が確保される。よって、粒子間における界面抵抗の上昇が抑制されるため、イオン伝導性を向上させることができる。
【0067】
特に、正極1、負極2および固体電解質層3がいずれも固体電解質結着剤を含んでいれば、上記した界面抵抗の上昇抑制作用が正極1、負極2および固体電解質層3の全てにおいて得られるため、より高い効果を得ることができる。また、正極1および負極2のうちの少なくとも一方が結晶性固体電解質を含んでいれば、電池全体のイオン伝導性がより向上するため、より高い効果を得ることができる。
【0068】
また、上記した電池の製造方法によれば、固体電解質結着剤を含むように正極準備体1A、負極準備体2Aおよび電解質準備体3Aのうちの少なくとも1つを形成したのち、その固体電解質結着剤を加熱している。この場合には、上記したように、固体電解質結着剤が活物質または結晶性固体電解質などの粒子間の微細な隙間に入り込むため、その粒子間における界面抵抗の上昇が抑制される。よって、イオン伝導性が向上した電池を容易かつ安定に製造できる。
【0069】
特に、固体電解質層準備体3Aを挟むように正極準備体1Aと負極準備体2Aとを積層してから固体電解質結着剤を加熱すれば、より高い効果を得ることができる。正極準備体1Aと固体電解質層準備体3Aとの界面近傍、および負極準備体2Aと固体電解質層準備体3Aとの界面近傍においても、界面抵抗の上昇がより抑制されるからである。
【0070】
<3.変形例>
正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aを積層してから加熱したが、これに限られない。
【0071】
具体的には、正極準備体1Aおよび固体電解質層準備体3Aを積層してから加熱してもよい。この場合には、加熱済みの正極準備体1A(正極1)および固体電解質層準備体3A(固体電解質層3)に未加熱の負極準備体2Aを積層させてから、その負極準備体2Aを加熱してもよい。または、別途加熱された負極準備体2A(負極2)を準備しておき、加熱済みの正極準備体1Aおよび固体電解質層準備体3Aに加熱済みの負極準備体2Aを圧着などしてもよい。同様に、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aを積層してから加熱したのち、未加熱の正極準備体1Aを積層させてから加熱したり、加熱済みの正極準備体1A(正極1)を圧着などしてもよい。これらの場合においても、固体電解質結着剤の流動現象による利点が得られるため、同様の効果を得ることができる。
【0072】
中でも、上記したように、正極準備体1Aおよび負極準備体2Aと固体電解質層準備体3Aとの界面近傍においても界面抵抗の上昇を抑制するために、正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aを積層してから加熱することが好ましい。
【0073】
また、上記したように、正極準備体1A、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aのうちの一部を気相成長法などを用いて形成してもよい。具体的には、正極準備体1Aおよび固体電解質層準備体3Aを積層してから加熱したのち、あらかじめ気相成長法などを用いて形成された負極2を圧着などしてもよい。同様に、負極準備体2Aおよび固体電解質層準備体3Aを積層してから加熱したのち、あらかじめ気相成長法などを用いて形成された正極1を圧着などしてもよい。これらの場合においても、固体電解質結着剤の流動現象による利点が得られるため、同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、電極反応物質としてリチウムを用いたが、これに限られない。電極反応物質は、例えば、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)などの他のアルカリ金属や、マグネシウム(Mg)またはカルシウム(Mg)などのアルカリ土類金属でもよいし、その他、アルミニウム(Al)または銀(Ag)などでもよい。これらの場合においても、電極反応物質の元素を構成元素として含んでいれば固体電解質結着剤がイオン伝導性を有するため、同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0075】
本技術の具体的な実施例について、詳細に説明する。
【0076】
(実験例1〜3)
以下の手順により、固体電解質の物性測定用のペレットサンプルを作製してイオン伝導性を比較した。
【0077】
表1に示したように、固体電解質(Li1.3 Al0.3 Ti1.7 (PO4 3 :LATP)の粉末に、必要に応じて添加剤の粉末を加えた。続いて、油圧プレス機(圧力=10MPa)を用いて粉末の混合物をペレット状となるように成型した。この場合には、添加剤としてB2 3 、またはLi−B−O結合を有する化合物(Li−B−O化合物)を用いると共に、添加量を活物質の量(100重量%)に対して1重量%とした。なお、Li−B−O化合物を形成する場合には、冷却法を用いると共に、Li2 OとB2 3 との混合比をモル比でLi2 O:B2 3 =42.7:57.3とした。続いて、大気中において成型体を加熱(475℃×12時間)して、試験用のペレットサンプルを得た。この場合には、LI−B−O化合物に関して示差熱‐熱重量同時測定(TG/DTA)を行ったところ、ガラス転移終了点は471℃、結晶化開始温度は491℃であったため、加熱温度を475℃とした。
【0078】
ペレットサンプルの両面に電極として金(Au)を蒸着したのち、交流インピーダンス測定(25℃)の測定結果(Cole-Cole プロット)からイオン導電率を求めたところ、表1に示した結果が得られた。この場合には、測定装置としてソーラトロン社製のSolartron 1260/1287 を用いると共に、測定周波数を1MHz〜1Hzとした。なお、表1に示したイオン導電率の値は、実験例1のイオン導電率の値(絶対値)を1として規格化した値(規格値)である。
【0079】
【表1】

【0080】
イオン伝導性を有する固体電解質結着剤(Li−B−O化合物)を用いると、その固体電解質結着剤を用いない場合や、イオン伝導性を有しないガラス材料(B2 3 )を用いた場合と比較して、イオン導電率が増加した。この結果から、固体電解質結着剤を用いると、イオン伝導性が向上することが確認された。
【0081】
以上、実施形態および実施例を挙げて本技術を説明したが、本技術は、実施形態および実施例で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本技術の電池は、二次電池に限らず、一次電池に適用されてもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0082】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
正極および負極と共に固体電解質層を備え、
前記正極、前記負極および前記固体電解質層のうちの少なくとも1つは固体電解質結着剤を含む、
電池。
(2)
前記正極および前記負極は電極反応物質を授受可能な活物質を含み、
前記固体電解質結着剤は、前記電極反応物質の元素と、ガラス形成元素と、酸素(O)または硫黄(S)とを構成元素として含む、
上記(1)に記載の電池。
(3)
前記固体電解質結着剤はガラス状である、
上記(2)に記載の電池。
(4)
前記電極反応物質はリチウム(Li)であり、前記固体電解質結着剤はリチウムを構成元素として含む、
上記(2)または(3)に記載の電池。
(5)
前記ガラス形成元素はケイ素(Si)、ホウ素(B)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、テルル(Te)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)のうちの少なくとも1種である、
上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の電池。
(6)
前記固体電解質結着剤はガラス転移温度Tg以上の温度で加熱され、毛細管現象を利用して少なくとも前記活物質間の隙間に入り込んでいる、
上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の電池。
(7)
前記正極、前記負極および前記固体電解質層はいずれも前記固体電解質結着剤を含む、
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の電池。
(8)
前記固体電解質層は結晶性固体電解質を含み、
前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方は前記結晶性固体電解質を含む、
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の電池。
(9)
固体電解質結着剤を含むように正極準備体、負極準備体および固体電解質層準備体のうちの少なくとも1つを形成し、
前記固体電解質結着剤を加熱して正極、負極および固体電解質層のうちの少なくとも1つを形成する
電池の製造方法。
(10)
前記正極準備体および前記負極準備体は電極反応物質を授受可能な活物質を含み、
前記固体電解質結着剤は、前記電極反応物質の元素と、ガラス形成元素と、酸素または硫黄とを構成元素として含み、
前記固体電解質結着剤の加熱温度をガラス転移温度Tg以上とする、
上記(9)に記載の電池の製造方法。
(11)
前記正極準備体および前記固体電解質層準備体はいずれも前記固体電解質結着剤を含み、前記正極準備体と前記固体電解質層準備体とを積層してから前記固体電解質結着剤を加熱し、
または、前記負極準備体および前記固体電解質層準備体はいずれも前記固体電解質結着剤を含み、前記負極準備体と前記固体電解質層準備体とを積層してから前記固体電解質結着剤を加熱し、
または、前記正極準備体、前記負極準備体および前記固体電解質層準備体はいずれも前記固体電解質結着剤を含み、前記固体電解質層準備体を挟むように前記正極準備体と前記負極準備体とを積層してから前記固体電解質結着剤を加熱する、
上記(9)または(10)に記載の電池の製造方法。
(12)
前記正極準備体、前記負極準備体および前記固体電解質層準備体のうちの少なくとも1つの形成方法として塗布法を用いる、
上記(9)ないし(11)のいずれかに記載の電池の製造方法。
【符号の説明】
【0083】
1…正極、1A…正極準備体、2…負極、2A…負極準備体、3…固体電解質層、3A…固体電解質層準備体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極と共に固体電解質層を備え、
前記正極、前記負極および前記固体電解質層のうちの少なくとも1つは固体電解質結着剤を含む、
電池。
【請求項2】
前記正極および前記負極は電極反応物質を授受可能な活物質を含み、
前記固体電解質結着剤は、前記電極反応物質の元素と、ガラス形成元素と、酸素(O)または硫黄(S)とを構成元素として含む、
請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記固体電解質結着剤はガラス状である、
請求項2記載の電池。
【請求項4】
前記電極反応物質はリチウム(Li)であり、前記固体電解質結着剤はリチウムを構成元素として含む、
請求項2記載の電池。
【請求項5】
前記ガラス形成元素はケイ素(Si)、ホウ素(B)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、テルル(Te)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)のうちの少なくとも1種である、
請求項2記載の電池。
【請求項6】
前記固体電解質結着剤はガラス転移温度Tg以上の温度で加熱され、毛細管現象を利用して少なくとも前記活物質間の隙間に入り込んでいる、
請求項2記載の電池。
【請求項7】
前記正極、前記負極および前記固体電解質層はいずれも前記固体電解質結着剤を含む、
請求項1記載の電池。
【請求項8】
前記固体電解質層は結晶性固体電解質を含み、
前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方は前記結晶性固体電解質を含む、
請求項1記載の電池。
【請求項9】
固体電解質結着剤を含むように正極準備体、負極準備体および固体電解質層準備体のうちの少なくとも1つを形成し、
前記固体電解質結着剤を加熱して正極、負極および固体電解質層のうちの少なくとも1つを形成する
電池の製造方法。
【請求項10】
前記正極準備体および前記負極準備体は電極反応物質を授受可能な活物質を含み、
前記固体電解質結着剤は、前記電極反応物質の元素と、ガラス形成元素と、酸素または硫黄とを構成元素として含み、
前記固体電解質結着剤の加熱温度をガラス転移温度Tg以上とする、
請求項9記載の電池の製造方法。
【請求項11】
前記正極準備体および前記固体電解質層準備体はいずれも前記固体電解質結着剤を含み、前記正極準備体と前記固体電解質層準備体とを積層してから前記固体電解質結着剤を加熱し、
または、前記負極準備体および前記固体電解質層準備体はいずれも前記固体電解質結着剤を含み、前記負極準備体と前記固体電解質層準備体とを積層してから前記固体電解質結着剤を加熱し、
または、前記正極準備体、前記負極準備体および前記固体電解質層準備体はいずれも前記固体電解質結着剤を含み、前記固体電解質層準備体を挟むように前記正極準備体と前記負極準備体とを積層してから前記固体電解質結着剤を加熱する、
請求項9記載の電池の製造方法。
【請求項12】
前記正極準備体、前記負極準備体および前記固体電解質層準備体のうちの少なくとも1つの形成方法として塗布法を用いる、
請求項9記載の電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−84377(P2013−84377A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221978(P2011−221978)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】