説明

電池で動作する電気機器用の再始動防止装置

組み込み可能な電池パック(200)によって動作する電気機器(100)用の防止システム(102)であって、当該防止システムは制御装置(150)を含んでおり、当該制御装置(150)は、電池パック(200)が組み込まれている状態でメインスイッチ(140)が操作されると前記電気機器(100)を動作させるように構成されており、前記電気機器(100)のコンタクト装置(101)と前記電池パック(200)のコンタクト装置(201)は、相補関係にあるコンタクト部材(111、112、121、122、123、211、212、221、222、223)を含んでおり、当該コンタクト部材はそれぞれ、電気機器(100)と電池パック(100)との間の第1の電気接続と第2の電気接続(301、302)を形成する第1のインタフェースと第2のインタフェース(110、120、210、220)を形成する。前記電池パック(200)の組み込み時に、前記第1の電気接続(301)を前記第2の電気接続(302)よりも時間的に前に形成するように前記コンタクト装置(101、201)が構成されている。さらに前記メインスイッチ(140)が操作されている状態において前記第1の電気接続(101)が前記第2の電気接続(102)よりも時間的に前に形成される場合には前記電気機器(100)の動作を阻止するように前記制御装置(150)が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能な電池パックによって動作する電気機器用の防止システムに関する。この防止システムは、電池パック交換後の、電気機器の意図していない再始動を阻止する。本発明はさらに、このような防止システムを備えた電気機器に関する。
【0002】
従来技術
電気で動作する機器、例えば手持ち式工作機械には、意図された動作のために、これに必要な電気エネルギーが供給されなければならない。このような電気機器を電源網に依存せずに、柔軟に使用するために、電流供給は電池によって行われる。手持ち式工作機械の場合にはこのためにしばしば、再充電可能な電池が使用される。この電池はコンパクトな電池パックの形状で形成されている。バッテリーパックとも称されるこの電池パックは取り外し可能に、各機器の相応の収容装置内に取り付けられ、これによって電池パックの外部充電ないしは交換が可能になる。
【0003】
電池パックを電気機器に電気的に接続するために、2つの部分に、相補関係にあるコンタクト部材が設けられている。このコンタクト部材はここでインタフェースを形成し、これは電気機器の電流供給にも、電池と電気機器の間のデータ交換にも使用される。電池組み込み時に、電池パックは電気機器の電池収容部内に挿入される。これによって2つの部分のコンタクト部材が相互に接続される。電池パックのメインコンタクトが電気機器のメインコンタクトと接触接続するやいなや、電気機器に電流が供給される。この時点で電気機器のメインコンタクトが既にスイッチオンされている場合には、電池パックの組み込み時に電気機器が動作されてしまう。これは、電気機器の不所望な再始動を引き起こしてしまう恐れがある。さらに、従来の電気機器では火花形成によって、コンタクト部材で典型的な損耗現象が生じることがある。なぜなら、メインスイッチがスイッチオンされている場合には、メインコンタクトの接触接続は無電流では行われないからである。
【0004】
発明の開示
本発明の課題は、電池パックによって動作する電気機器において、電池パック交換後の不所望な再始動を阻止することである。上述の課題は、請求項1に記載されている防止システムによって解決される。さらに上述の課題は、この種の防止システムを含んでいる請求項12の電気機器によって解決される。本発明の別の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明では、制御装置を有している、組み込み可能な電池パックによって動作する電気機器のための防止システムが設けられる。ここでこの制御装置は、電池パックが組み込まれている状態でメインスイッチが操作されると、電気機器を動作状態にするように構成されている。ここで電気機器は、複数のコンタクト部材を備えたコンタクト装置を含んでいる。これらのコンタクト部材は、電池パックの組み込み時に、電池パックのコンタクト装置の相応のコンタクト部材と接触接続し、これによって、電気機器と電池パックとの間に第1のおよび第2の電気接続が形成される。ここでこの第1の電気接続は相補関係にある第1のコンタクト部材によって形成され、第2の電気接続は、相補関係にある第2のコンタクト部材によって形成される。ここではコンタクト装置が形成されており、電池パックの組み込み時に第1の電気接続を、第2の電気接続より早期に形成する。これに対して制御装置は、スイッチが操作されている状態において、第1の電気接続が第2の電気接続より早期に形成される場合には電気機器が動作状態になるのを阻止するように構成されている。これによって、電池交換後の電気機器の誤った再始動を阻止する効果的な再始動防止が実現される。さらにこれによって、通常は、スイッチオンされている機械に電池パックを挿入したときに生じる火花形成が阻止される。これによって、電池パックと電気機器のコンタクトが効果的に、損耗から保護される。
【0006】
第1の実施形態では、メインスイッチの操作時に第2の電気接続が第1の電気接続よりも時間的に前に解除される場合には、電気機器を停止状態にするように制御機器が構成されている。これによって自動的なスイッチオフ機能が実現され、動作中の機器からの電池パックの取り出し時ないしは落下時に、パワーエレクトロニクスがスイッチオフされる。電池パックの取り外しが、無電流ないしはパワーの無い状態で行われるので、火花形成が阻止される。従ってさらに、電池パックおよび電気機器のコンタクトが効果的に、損耗から保護される。
【0007】
本発明の別の実施形態では、コンタクト装置の第2のインタフェースの少なくとも1つのコンタクト部材が、相応するコンタクト装置の第1のインタフェースのコンタクト部材に対して、電池パックの差し込み方向において空間的にずらして配置されている。これによって、特に容易に、第1および第2のインタフェースのコンタクト部材の接触接続時、ひいては第1および第2の電気接続の形成時に時間的な遅延が得られる。
【0008】
別の実施形態では、コンタクト装置の第2の電気的なインタフェースの少なくとも1つのコンタクト部材が、相応するコンタクト装置の第1のインタフェースのコンタクト部材よりも短く形成されている。この択一的な手法によっても、2つのインタフェースのコンタクト部材の接触接続時、ひいては第1および第2の電気接続の形成時の遅延が非常に容易に実現される。
【0009】
別の実施形態では、機械的な遅延装置が設けられる。これは、電池パックの組み込み時に第2の電気接続の形成を時間的に遅延させるように構成されている。これによって例えば所望の遅延が、2つの電気接続の形成時に、電池パックの差し込み速度とは無関係に形成される。
【0010】
別の実施形態では、機械的なイネーブル化装置が設けられている。このイネーブル化装置は、電池パックが取り外されると、第2の電気接続の少なくとも1つのコンタクト部材を機械的にブロックするように構成されている。ここでこの機械的なイネーブル化装置は、ブロックしたコンタクト部材を時間的に遅延して、第1の電気接続の形成後にイネーブル化するように構成されている。コンタクト部材の機械的なブロックによって、接触接続の順番が特に容易に、かつ効果的に保証される。さらに、これによって、電池パック取り外し時に開放されているないしは露出しているコンタクト部材の機械的な保護が実現される。
【0011】
別の実施形態では、電気的なイネーブル化装置が設けられている。このイネーブル装置は、電池パックが取り外されると、第2の電気接続の少なくとも1つのコンタクト部材を電気的にブロックする。ここでこの電気的なイネーブル化装置は、ブロックしたコンタクト部材を時間的に遅延して、第1の電気接続の形成後にイネーブル化するように構成されている。この択一的な手法も、2つの電気接続の形成時の充分な時間的遅延を実現する。
【0012】
別の実施形態では、この電気的なイネーブル化装置は、少なくとも1つのスイッチを含んでおり、このスイッチは第2の電気接続の電流回路を、電池パック取り外し時に遮断する。このスイッチによって、第2の電気接続の形成が、コンタクト部材の接触接続とは無関係に行われる。殊に、別の実施形態の場合には、このスイッチはロック機構によって操作される。このロック機構は、電気機器のケーシングに電池パックを固定するために用いられる。ロック機構は通常、電池パックが相応する収容装置内に完全に挿入された後にはじめて機能するので、これによって、第2の電気接続が第1の電気接続の後に時間的に遅延して形成されることが保証される。
【0013】
別の実施形態では、第1の電気接続が、電池パックによる電気機器のエネルギー供給に用いられ、第2の電気接続が、電池パックと電気機器との間のコミュニケーション接続部として形成される。電池パックの組み込みによって開始される、制御装置の初期化過程時には、ここでいずれにせよ行われる、コミュニケーションインタフェースの問い合わせに基づいて、メインスイッチがスイッチオンされている状態で、電池が組み込まれたことが確認される。従って、本発明のコンセプトは、大きなコストをかけずに、既存の電気機器内に実装される。
【0014】
最後に、制御装置は、別の実施形態では、電池パックの組み込み時に電気機器の動作が阻止された後にスイッチが再び操作されると直ちに電気機器を動作状態にするように構成されている。これによって、ユーザーによって行われる、電気機器の所望の動作のみが実際に始動につながることが保証される。
【0015】
以下で本発明を図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電池パックが組み込まれている本発明による電気機器の例
【図2】図1に示された電気機器の本発明による防止システムの概略図
【図3】図1に示された電気機器と属する電池パックの、本発明によるコンタクト装置の第1の実施例
【図4】電池パック組み込み過程中の、図3に示されたコンタクト装置
【図5】電池パックが組み込まれている状態の、図3および図4に示されたコンタクト部材装置
【図6】異なって形成されているコンタクト部材を備えた本発明のコンタクト装置の別の実施例
【図7】異なって形成されているコンタクト部材を備えた本発明のコンタクト装置の別の実施例
【図8】異なって形成されているコンタクト部材を備えた本発明のコンタクト装置の別の実施例
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の電気機器100を示している。この電気機器は、組み込み可能な電池パック200によって動作する。有利には手持ち式工作機械(例えばコードレスドライバー、コードレスドリル等)として形成されている電気機器100は、ケーシング130を有している。このケーシング130内には、電力部分160(この場合には電気モーター)が収容されている。さらに電気機器100は、この電力部分160を制御するための制御装置150並びに、電気機器100を動作させる操作部材の形態のメインスイッチ140を有している。電気機器100の電流供給は、電気機器100のケーシング130に、ないしはケーシング130内に組み込まれている電池パック100を介して行われる。簡単に電池交換が行えるようにするために、電池パック200は有利には容易に取り外し可能にケーシング130に取り付けられている。本実施例ではこのために、特別な収容装置170が、グリップとして用いられる、コードレスドライバー100のケーシング部の下方領域に配置されている。電池パック200の組み込みは、相応の収容装置170内への差し込みによって行われる。この例では、コンタクト装置201を含んでいる、電池パック200の前方部分が、矢印によって示されている挿入方向202で、電動工具100のグリップによって形成されているシャフト内に挿入される。これと相応に、電池パック200は、電池交換の過程において収容装置170から取り出される。この際に、電池パックの200の前方部分は、逆方向で、シャフト状グリップから引き出される。電池パック200を電気機器100に接続するために、収容装置170もコンタクト装置101を有している。各コンタクト装置101、201はここで複数のコンタクト部材を含んでいる。これらのコンタクト部材は、相補的に形成されている、対抗部分のコンタクト部材と共働する。コンタクト装置101、201のコンタクト部材はそれぞれ、電流接続を形成するための第1のインタフェースと、コミュニケーション接続を形成するための第2のインタフェースを形成する。本発明ではこれらのコンタクト部材は、2つのコンタクト装置101、201のうちの少なくとも1つにおいて次のように構成されている。すなわち、収容装置170内への電池パック200の差し込み時に、コミュニケーション接続が電流接続よりも遅延して形成されるように構成されている。
【0018】
組み込み位置で電池パック200は通常、ロック機構180を用いて、収容装置170から落下しないようにされている。ロック機構180はここで例えば保持部材を含んでおり、これは、組み込み位置に達したときに、相応のアンダーカット部に噛み合う(ここでは図示されていない)。
【0019】
制御装置150は、電池パック200が組み込まれている状態でメインスイッチ140が操作されると、電気モーター160を動作させるように構成されている。電池パック200の組み込み時に、機械100がメインスイッチ140の操作によって、誤って始動してしまうのを阻止するために、電気機器100には、本発明の防止システム102が設けられている。この防止システム102は、特別なコンタクト装置を含んでいる。ここでは、2つのコンタクト装置101、201のうちの少なくとも1つのコンタクト装置のコンタクト部材を適切に形成することによって、電流接続に対して、コミュニケーション接続の形成時に、遅延が実現される。さらに、この防止システム102は制御装置を含んでいる。この制御装置は、電池の組み込みを、コミュニケーション接続形成時の遅延に基づいて識別し、このような場合に電気機器100の動作を阻止する。このような機能は本実施例では、電気機器100の制御ユニット150内に組み込まれている。基本的にこの制御機能は、電気機器100または電池パック200の別個の制御ユニット内に実現されてもよいる。
【0020】
防止システム102の概略的な図が、図2に示されている。ここでは、電池パック200が相応のインタフェースを介して収容装置170のコンタクト装置と電気的に接続されていることが分かる。この図では第1の電気接続が、一方向矢印を用いて示されている。この第1の電気接続は通常、電流供給に用いられ、電池パックと電気機器の2つのメインコンタクトによって実現されている。さらに、例えば双方向コミュニケーション接続として形成されている第2の電気接続が相応の矢印を用いて示されている。収容装置170は、相応の線路を介して制御装置150と接続されている。この線路を介して、コミュニケーション信号も給電電圧も、制御装置150に伝送される。メインスイッチ140も、相応の線路を介して制御装置150に接続されている。制御装置は、メインスイッチ140の目下のスイッチング状態を問い合わせる。択一的に電流供給を、メインスイッチを介して制御装置に導くことができる。最終的に制御装置150は、相応の線路150を介して、電気機器100のパワーコンポーネント160と電気的に接続されており、パワーコンポーネント160は相応の信号によって、所定の動作状態に即して駆動制御される。
【0021】
電池パックの組み込みを識別するために、および、メインスイッチ41が動作状態である場合に、パワーユニット160の動作を阻止するために、本発明のコンセプトでは、電流接続に対して、コミュニケーション接続の形成時に遅延が設定される。このような遅延はここで種々の方法で実現される。殊に適切な遅延が、電気機器100および/または電池パック200のコンタクト部材の特別な設計ないしは配置によって実現される。
【0022】
図3はこの種のコンタクト装置の例を示している。ここではコミュニケーション接続のコンタクト部材が、電流接続のコンタクト部材に比べて短く形成されている。ここでは、電気機器100のコンタクト装置101と、これと相補関係にある、電池パック200のコンタクト装置201とが示されている。機器側のコンタクト装置101は、相互に平行に配置されている5つのコンタクト部材111、112、121、122、123を含んでいる。ここで2つの外側コンタクト部材111、112は、電気機器100の電流インタフェース110を示している。また内側のコンタクト部材121、122、123は、電気機器100のコミュニケーションインタフェース120を形成する。同様に、電池側のコンタクト装置201も、平行に配置された5つのコンタクト部材211、212、221、222、223を有している。ここで外側のコンタクト部材211、212は電流供給インタフェース210を示しており、内側のコンタクト部材221、222、223はコミュニケーションインタフェース220を形成する。この実施例では、機器側のコミュニケーションインタフェース120のコンタクト部材は、機器側の電流インタフェース110のコンタクト部材よりも短く形成されている。従って、差し込み方向202に関して相互にずれている2つのコンタクト線路C、Cが得られる。これに対して相補的な電池パック200のコンタクト装置201でも、コミュニケーションインタフェース220のコンタクト部材221、222、223は、属するメインコンタクト211、212よりも短く形成されており、ここでも、差し込み方向202に関して相互にずれている2つのコンタクト線C、Cが得られる。
【0023】
インタフェース110および120並びに210および220のコンタクト線が異なっているので、収容装置内への電池パック挿入時に、まずはじめに、2つの電流インタフェース110、210の長いコンタクト部材が相互に接触する。これは、図4に示されている。電気機器の電流供給が形成されると直ちに、制御装置150はスタートアッププロシージャを開始する。ここではコミュニケーションインタフェース120の問い合わせも行われる。コミュニケーション接続はこの時点ではまだ形成されていないので、測定信号は所定の範囲外にある。これは制御装置150によってエラーとして評価される。この場合に制御装置150は、メインスイッチ140がこの時点で活動状態にされる、ないしは既にスイッチオンされている場合に、機器100が動作するのを阻止する。パワーエレクトロニクスが駆動されないので、機器100の電気モーター160は始動しない。効果的な再始動防止を保証するために、電気機器100の動作ないしはパワーエレクトロニクスの駆動制御を次の場合にも阻止することが有効である。すなわち、収容装置170内へ電池パック200をさらに挿入することによって、最終的に、2つのコミュニケーションインタフェース110、210のコンタクト部材も相互に接触する場合である。図5は、電池パック200が完全に収容装置170内に挿入された相応の状況を示している。動作開始のために、制御装置150は解錠されなければならない。これは例えば、メインスイッチ41を再び操作することによって行われる。用途に応じて、コミュニケーション接続の形成を遅延させる別の措置を講じることが有効である。従って例えば、付加的な機械的な遅延を組み込むことができ、これによって、マイクロプロセッサを立ち上げるのに必要な時間が、電池パックの挿入速度に依存せずに保証される。この関連において、コミュニケーションインタフェース120、220のコンタクト部材用の機械的なイネーブル化装置も考えられる。このようなイネーブル化装置(ここには図示されていない)によって、相応するコミュニケーションインタフェース120、220の個別のコンタクト部材ないしは全てのコンタクト部材が機械的な手段によってブロックされ、メインコンタクトの接触接続後に、接触接続が許可される。
【0024】
しかし、電気手段によっても、コミュニケーション接続の形成時に相応の遅延が実現される。従って例えば、電気的なイネーブル化装置によって、コミュニケーション接続形成時の付加的な遅延が可能になる。この電気的なイネーブル化装置は、2つのうちの一方のコミュニケーションインタフェース120、220の1つまたは複数のコンタクト部材の電流回路を遮断し、この電流回路を、メインコンタクトの接触接続後に、再び閉成する。このような電気的なイネーブル化は例えば、コミュニケーション接続の電流回路内のスイッチによって実現される。このスイッチはここでは例えば、収容装置170内に電池パック200を固定するロック機構によって操作される。
【0025】
ここに記載したイネーブル装置は、電気機器100内にも、電池パック200内にも実現可能である。
【0026】
後続の図6〜8は、2つのコンタクト装置101、201のコンタクト部材の設計に対する別の可能な実施例を示している。これによって、電気機器100と電池パック200との間の2つの電気接続301、302の形成時に遅延が設けられる。図6に示された装置では、電池側のコンタクト装置201においてのみ、コミュニケーションインタフェース220のコンタクト部材が、電流インタフェース210の対応するメインコンタクト211、212に比べて短く形成されている。これとは異なり、機器側のコンタクト装置101のコンタクト部材は同じ長さに形成されている。従って、共通のコンタクト線Cが得られる。これと同様に、機器側のコンタクト装置101のコンタクト部材のみが本発明と相応に修正され、電池側のコンタクト装置201のコンタクト部材が、共通のコンタクト線を有していてもよい。
【0027】
このようなケースは図7に示されている。図3に示されている機器側のコンタクト装置とは異なり、この実施例では、コミュニケーションインタフェース120の3つのコンタクト部材のうちの1つのみが、短く形成されている。ここから、組み込み過程の確実な検出を可能にするためにコミュニケーションインタフェース120の全てのコンタクト部材が修正される必要があるのではないことが明らかである。
【0028】
図6および7の例示された2つのコンタクト装置において、2つの接続パートナーである電気機器100または電池パック200の1つのみにおいてコンタクト装置101、102が修正されるので、完全な防止システム102を各接続パートナー100、200内に収容することが可能になる。これによって、既存の機器ないしは電池パックに対するコンパチビリティが実現される。従って、相応に形成された制御装置150並びに本発明と相応に修正されたコンタクト装置101を含む電気機器100は一方では、従来の電池パックによっても、本発明に相応に動作される。他方では、相応の制御装置並びに本発明と相応に形成されたコンタクト装置201を有する電池パック200は、従来の電気機器と、本発明の主旨において共動する。
【0029】
上述の図3〜7に示した、異なる長さに形成されたコンタクト部材の他に、コミュニケーション接続302の形成時の遅延を、挿入方向202に対して平行な軸上でコンタクト部材をシフトさせることによって実現することもできる。図8は、例として、本発明のコンタクト装置を示している。ここでは所望の遅延が、コンタクト部材の長さを変えることによっても、コンタクト部材のポジショニングを変えることによっても実現される。
【0030】
図面を用いて説明した実施形態は、単に、本発明の有利ないしは模範的な実施例である。上述した実施形態の他に、別の実施形態が可能である。これは特徴のさらなる変更並びに組み合わせを含み得る。殊に、ここに示したコンタクト部材は、任意のコンタクト、例えばすり接点、滑り接触またはプラグインコンタクトであってもよい。1つのインタフェースのコンタクト部材の数も、ここでは例として開示されているだけである。さらに、ここで使用されている用語「電池パック」は、通常の電池およびいわゆるバッテリーパックの他に、交換可能なエネルギー供給源の全ての形態、例えば燃料電池も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み込み可能な電池パック(200)によって動作する電気機器(100)用の防止システム(102)であって、当該防止システムは制御装置(150)を含んでおり、
当該制御装置(150)は、電池パック(200)が組み込まれている状態においてメインスイッチ(140)が操作されると前記電気機器(100)を動作させるように構成されており、
前記電気機器(100)のコンタクト装置(101)と前記電池パック(200)のコンタクト装置(201)は、相補関係にあるコンタクト部材(111、112、121、122、123、211、212、221、222、223)を含んでおり、当該コンタクト部材はそれぞれ、電気機器(100)と電池パック(100)との間の第1の電気接続と第2の電気接続(301、302)とを形成する第1のインタフェースと第2のインタフェース(110、120、210、220)とを形成する、防止システムにおいて、
前記電池パック(200)の組み込み時に、前記第1の電気接続(301)を前記第2の電気接続(302)よりも時間的に前に形成するように前記コンタクト装置(101、201)が構成されており、
前記メインスイッチ(140)が操作されている状態において前記第1の電気接続(101)が前記第2の電気接続(102)よりも時間的に前に形成される場合には前記電気機器(100)が動作するのを阻止するように前記制御装置(150)が構成されている、
ことを特徴とする、組み込み可能な電池パック(200)によって動作する電気機器(100)用の防止システム(102)。
【請求項2】
前記スイッチ(140)が操作されている状態において前記第2の電気接続(102)が前記第1の電気接続(101)よりも時間的に前に解除される場合には前記電気機器(100)を停止状態にするように前記制御装置(150)が構成されている、請求項1記載の防止システム(102)。
【請求項3】
コンタクト装置(101、201)の前記第2のインタフェース(120、220)の少なくとも1つのコンタクト部材(121、122、123、221、222、223)は、相応するコンタクト装置(101、201)の第1のインタフェース(110、210)のコンタクト部材(111、112、211、212)に対して、前記電池パック(200)の挿入方向(202)において空間的にずれて配置されている、請求項1または2記載の防止システム(102)。
【請求項4】
コンタクト装置(101、201)の前記第2のインタフェース(120、220)の少なくとも1つのコンタクト部材(121、122、123、221、222、223)は、相応するコンタクト装置(101、201)の前記第1のインタフェース(110、210)のコンタクト部材(111、112、211、212)よりも短く形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の防止システム(102)。
【請求項5】
機械的な遅延装置が設けられており、当該機械的な遅延装置は、前記電池パック(200)の組み込み時に前記第2の電気接続(302)の形成を時間的に遅延させるように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の防止システム(102)。
【請求項6】
機械的なイネーブル化装置が設けられており、当該機械的なイネーブル化装置は、前記電池パック(200)が取り外されると直ちに、コンタクト装置(101、201)の前記第2のインタフェース(120、220)の少なくとも1つのコンタクト部材(121、122、123、221、222、223)を機械的にブロックし、
当該機械的なイネーブル化装置は、前記第1の電気接続(301)の形成後に時間的に遅延して、当該ブロックされているコンタクト部材(121、122、123、221、222、223)をイネーブル化するように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の防止システム(102)。
【請求項7】
電気的なイネーブル化装置が設けられており、当該電気的なイネーブル化装置は、前記電池パック(200)が取り外されると直ちに、コンタクト装置(101、201)の前記第2のインタフェース(120、220)の少なくとも1つのコンタクト部材(121、122、123、221、222、223)を電気的にブロックし、
当該電気的なイネーブル化装置は、前記第1の電気接続(301)の形成後に時間的に遅延して、当該ブロックされているコンタクト部材(121、122、123、221、222、223)をイネーブル化するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の防止システム(102)。
【請求項8】
前記電気的なイネーブル化装置は少なくとも1つのスイッチを含んでおり、当該スイッチは、前記電池パック(200)の取り外し時に、前記第2の電気接続(302)の電流回路を遮断する、請求項7記載の防止システム(102)。
【請求項9】
前記スイッチはロック機構(180)によって操作され、当該ロック機構によって、前記電池パック(200)は、前記電気機器(100)のケーシング(130)に固定される、請求項8記載の防止システム(102)。
【請求項10】
前記第1の電気接続(301)は、前記電池パック(200)による前記電気機器(100)のエネルギー供給に用いられ、
前記第2の電気接続(302)は、前記電池パック(200)と前記電気機器(100)との間のコミュニケーション接続部として形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の防止システム(102)。
【請求項11】
前記電池パック(200)の取り付け時に前記電気機器(100)の動作が阻止された後に、前記メインスイッチ(140)が再び操作されると、前記電気機器(100)を動作させるように前記制御装置(150)は構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の防止システム(102)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載されている防止システム(102)を備えた電気機器(100)。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項に記載されている防止システム(102)を備えた電池パック(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−518546(P2013−518546A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550354(P2012−550354)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070862
【国際公開番号】WO2011/091935
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】