説明

電池に応用するためのナノ構造材料

本発明は、電池で使用するための(ナノワイヤを含む)ナノ構造材料に関する。例示的な材料は、炭素含有Si系ナノ構造、炭素系基板上に配設されたナノ構造材料、およびナノスケール骨格を含むナノ構造を含む。また、本発明は、ナノ構造材料を使用して、電池電極および電池を調製する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池で使用するためのナノ構造材料(ナノワイヤを含む)に関する。例示的な材料は、炭素含有Si系ナノ構造、炭素系基板に配設されたナノ構造材料、およびナノスケール骨格を備えるナノ構造を含む。本発明は、さらに、ナノ構造材料を用いて、電池電極および電池を調製する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
リチウム(Li)イオン電池を含む従来の電池は、アノード、電解質媒体を有するセパレータ材料、およびカソードを備える。市販されているほとんどのLiイオン電池のアノード電極は、黒鉛粉末および二フッ化ポリビニリデン(PVDF)等のポリマーブレンドの混合物によって被覆された銅箔である。カソードは、概して、アルミニウム箔上に被覆されたリチウム遷移金属酸化物、PVDFおよびカーボンブラックの混合物を含む。黒鉛およびLiCoO2が通常使用されており、高いクーロン効率を有するが、優れた貯蔵容量および熱安定性を有する改善されたアノード材料が求められている。
【0003】
その高い容量により、大きく注目を集めているある材料に、シリコン(Si)がある。しかしながら、繰り返される充電/放電サイクルが、最終的には材料を崩壊させ、何らかの潜在的な電池寿命を大幅に制限させる可能性のある、Siの体積変化を生じさせることがわかっている。このため、電池で使用するための改善された電極材料、特にSi系の材料が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、電池スラリーで使用するための添加剤を提供する。適切には、かかる添加剤は、1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を含む。例示的なSi系のナノ構造は、Si系のナノワイヤおよびSi系のナノ粒子を含む。適切には、ナノワイヤは、コアシェル構造を有し、例示的な実施形態では、コアは、Siを含み、シェルは、Cを含む。Si系のナノワイヤは、適切には、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する。
【0005】
実施形態では、添加剤は、約1重量%〜約80重量%(より適切には約10重量%)のスラリーを含む。例示的な実施形態では、二フッ化ポリビニリデン等の導電性ポリマーは、Si系のナノ構造上に配設される。本発明は、さらに、1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を含む、電池スラリーを提供する。Si系のナノワイヤを含むSi系のナノ構造の例示的な特性が、本明細書に記載されている。適切には、電池スラリーは、約1重量%〜約80重量%(適切には約10重量%)の炭素含有Si系ナノ構造を含む。例示的な実施形態では、電池スラリーは、さらに、炭素または黒鉛等の炭素系材料を含む。
【0006】
別の実施形態では、本発明の添加剤は、炭素系基板に配設された1つ以上のナノ構造を含む。例示的なナノ構造は、コアシェル構造を有するナノワイヤ等のナノワイヤまたはナノ粒子を含む。適切には、ナノワイヤは、結晶性コア(例えばSi)および非酸化物非結晶性シェル(例えばSiまたはC)を含む。例示的な実施形態では、ナノワイヤまたはナノ粒子は、Siを含む。適切には、ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する。
【0007】
例示的な炭素系基板は、炭素系粉末、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末および黒鉛箔を含む。適切には、炭素系粉末は、約5ミクロン〜約50ミクロン、例えば約20ミクロンの粒子を含む。適切には、本発明の添加剤は、約1重量%〜約80重量%(例えば約10重量%)のスラリーを含む。添加剤は、さらに、ナノ構造上に配設された二フッ化ポリビニリデン等の導電性ポリマーを含むことができる。
【0008】
さらなる実施形態では、本発明の添加剤は、ナノスケール骨格を含む1つ以上のナノ構造、ナノスケール骨格上に配設されたSi系の層、およびSi系の層に配設された炭素系層を含む。例示的なナノスケール骨格は、ナノワイヤ、ナノ繊維、およびナノチューブを含む。適切には、ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する。
【0009】
本発明は、さらに、本明細書に記載されているように、炭素含有Si系のナノ構造、炭素系基板に配設されたナノ構造、および/またはナノスケール骨格を含むナノ構造のうちの1つ以上を含む、電池スラリーおよび/または電池電極(例えばアノード)も提供する。ナノ構造の組成および特性を含む例示的なナノ構造が、全体を通じて記載されている。例示的な実施形態では、ナノワイヤ等のナノ構造は、ナノワイヤに挿入されたLiを含む。例示的な実施形態では、電極は、約1重量%〜約80重量%(例えば約10重量%)のナノ構造を含む。適切には、ナノ構造は、Li箔に埋め込まれる。
【0010】
本発明は、さらに、本発明のナノ構造のうちの1つ以上を含むアノードを有する電池も提供する。適切には、電池はLiイオン電池である。本発明の電池は、適切には、さらにカソード、およびアノードとカソードとの間に配設された電解質セパレータも含む。例示的なカソード材料は、LiCoO2、LiFePO4、LiMnO2、LiMnO4、LiNiCoAlO/LiNiCoMnO+LiMn24、LiCoFePO4、およびLiNiO2を含むが、これらに限定されない。適切には、電池はさらに、アノード、電解質セパレータ、およびカソードを収容する筐体を含む。
【0011】
本発明は、さらに、電池電極を調製する方法を提供する。適切には、方法は、本発明のナノ構造のうちの1つ以上を提供することを含む。ナノ構造は、スラリーを形成するために、導電性ポリマーおよび炭素系材料と混合される。スラリーは、電池電極に形成される。
【0012】
本発明は、さらに、電池を調製する方法も提供する。適切には、方法は、1つ以上のナノ構造を提供することを含む。ナノ構造は、スラリーを形成するために、導電性ポリマーおよび炭素系材料と混合される。スラリーは、電池アノードに形成され、セパレータはアノードとカソードとの間に配設される。
【0013】
本発明は、さらに、炭素被覆されたナノ構造を調製する方法を提供する。適切には、方法は、ナノスケール骨格を提供することを含む。炭素含有ポリマーは、ナノスケール骨格上に配設される。炭素含有ポリマーは、ナノスケール骨格上に炭素被覆を形成するために加熱される。
【0014】
本発明は、さらに、電池スラリーで使用するための添加剤を調製する方法を提供する。適切には、方法は、炭素系粉末を提供することを含む。Si系のナノ構造は、炭素系粉末上に配設される。
【0015】
本発明のさらなる実施形態、特徴、および利点、さらに、本発明の種々の構造および動作を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0016】
本発明は、添付の図面を参照して記載される。添付図面では、同様の参照符号が、同一の要素または機能的に類似した要素を指示する。その図面においてある要素が最初に現れる図面は、対応する参照番号の最も左側の桁によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の一実施形態に従う、炭素含有Si系ナノ構造を示す図である。
【図1B】本発明の一実施形態に従う、炭素系基板に配設されたナノ構造を示す図である。
【図1C】本発明の一実施形態の電池電極を示す図である。
【図1D】本発明の一実施形態の炭素被覆されたナノ構造を示す図である。
【図1E】本発明の一実施形態に従う、炭素系粉末上に配設されたナノ構造を示す図である。
【図1F】本発明の一実施形態の電池電極を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に従う、電池を示す図である。
【図3A】本発明の実施形態に従う、電池電極を調製する方法のフローチャートである。
【図3B】本発明の実施形態に従う、電池電極を調製する方法のフローチャートである。
【図4A】本発明の実施形態に従う、電池を調製する方法のフローチャートである。
【図4B】本発明の実施形態に従う、電池を調製する方法のフローチャートである。
【図5】高い度合いの真直度および垂直度の配向(図5A)で、および無作為の取り混ぜた、絡み合った、および重複した配向(図5B)で、成長したナノワイヤの走査型電子顕微鏡法(SEM)顕微鏡写真である。
【図6】カーボンブラック上に成長したシリコンナノワイヤのSEM顕微鏡写真である。
【図7】黒鉛箔上に成長したシリコンナノワイヤの低い(図7A)および高い(図7B)倍率のSEM顕微鏡写真である。
【図8】固まっていないグラフェンマイクロシート粉末(図8A)およびグラフェン粉末上に成長したシリコンナノワイヤ(図8B)のSEM顕微鏡写真である。
【図9】結晶性コアおよび非晶質シェルを有するシリコンナノワイヤの透過型電子顕微鏡(TEM)顕微鏡写真である。
【図10】鉄鋼基板上に成長した2つの異なる直径を持つシリコンナノワイヤの電荷容量(ソリッドマーカ)およびサイクル効率(オープンマーカ)を示す図である。
【図11】ステンレス鋼基板上に成長した異なる直径を有するシリコンナノワイヤに対する電流対電位曲線である。
【図12】共にステンレス鋼基板上で成長した、シリコン薄膜、およびシリコン薄膜にシリコンナノワイヤを加えたものに対する電流対電位曲線である。
【図13】本発明の組成を対照組成と比較する、充電/放電サイクルの関数としての容量を示す図である。
【図14】60回の充電サイクル後のシリコンナノワイヤのSEM顕微鏡写真である。
【図15】Liアノード/LiCO2カソード制御セルと比較した、Liシリコンナノワイヤアノード/LiCO2カソードを含む、セルの高速充電サイクリング挙動の比較を示す図である。
【図16】シリコンナノワイヤ網(図16A)上のNAFION(登録商標)(図16C)のマーカとして、炭素(図16B)および鉛(Pb)の均一および均質な分布を明らかにする、走査型透過電子顕微鏡(STEM)エネルギー分散型X線(EDX)顕微鏡写真である。
【図17】本発明の一実施形態に従う、ナノワイヤを生成するための例示的な工程を示す図である。
【図18】本発明の添加剤を、既存のスラリーの調製に導入するための例示的な工程/装置設計を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に従う、炭素被覆されたナノ構造を調製する方法のフローチャートである。
【図20】本発明の一実施形態に従う、電池スラリーで使用するための添加剤を調製する方法のフローチャートである。
【図21A】本発明の一実施形態に従う、炭素被覆を備えるナノ構造の顕微鏡写真である。
【図21B】本発明の一実施形態に従う、炭素被覆を備えるナノ構造の顕微鏡写真である。
【図22】本発明の別の実施形態に従う、炭素被覆を備えるナノ構造の顕微鏡写真である。
【図23A】数回の充電/放電サイクル後の形態変化を示す、本発明の実施形態のナノ構造の顕微鏡写真である。
【図23B】数回の充電/放電サイクル後の形態変化を示す、本発明の実施形態のナノ構造の顕微鏡写真である。
【図23C】数回の充電/放電サイクル後の形態変化を示す、本発明の実施形態のナノ構造の顕微鏡写真である。
【図23D】数回の充電/放電サイクル後の形態変化を示す、本発明の実施形態のナノ構造の顕微鏡写真である。
【図24】低い(図24A)および高い(図24B)倍率のシリコンナノワイヤのSEM顕微鏡写真である。
【図25A】結晶性コアおよび非晶質SiおよびポリSiシェルの組み合わせを有するシリコンナノワイヤのTEM顕微鏡写真である。
【図25B】結晶性コアおよび非晶質SiおよびポリSiシェルの組み合わせを有するシリコンナノワイヤのTEM顕微鏡写真である。
【図26】SiNWとSi粉末との間の差を示す、フーリエ変換赤外分光(FTIR)測定を示す図である。
【図27】10%Siナノワイヤ、10%PVDF、および80%黒鉛炭素を含む第1のアノードと、黒鉛炭素およびPVDFのみを含む第2のアノードとのサイクル数の関数としての容量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に示され、記載された特定の実施態様は本発明の例であり、それらの実施態様は、いかなる形であれ本発明の範囲を別途限定することは意図されていないことが理解されるべきである。事実、簡潔にするため、従来のエレクトロニクス、製造、半導体デバイス、ならびにナノワイヤ(NW)、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボン技術、ならびにシステムの他の機能態様(およびシステムの個々の動作構成要素の構成要素)は、本明細書では詳細に説明されていない場合がある。さらに、便宜上、本発明は、多くの場合、ナノワイヤに関するものとして本明細書に記載されているが、他の類似の構造も本明細書に包含される。
【0019】
ナノワイヤが頻繁に引用されているが、本明細書に記載されている技術は、ナノロッド、ナノ粒子、ナノ粉末、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボン、ナノシートおよび/またはその組み合わせ等の他のナノ構造にも適用可能であることを理解されたい。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「アスペクト比」は、ナノ構造の第1の軸の長さをナノ構造の第2および第3の軸の長さの平均によって除算したものであり、ここで、第2および第3の軸は、その長さが互いに最もほぼ等しい2つの軸である。例えば、完璧なロッド(perfect rod)のアスペクト比は、長軸の長さをその長軸に垂直(直角)な断面の直径によって除算したものになる。
【0021】
ナノ構造を参照して使用される場合、「ヘテロ構造」という用語は、少なくとも2つの異なり、かつ/または区別可能な材料タイプによって特徴付けられるナノ構造を指す。一般的には、ナノ構造の一領域は、第1の材料タイプを含み、一方、ナノ構造の第2の領域は、第2の材料タイプを含む。別の実施形態では、ナノ構造は、第1の材料のコアおよび第2の(または第3の等)材料のうちの少なくとも1つのシェルを備え、ここで、異なる材料タイプは、例えば、ナノワイヤの長軸、分岐したナノ結晶のアームの長軸、またはナノ結晶の中心を中心にして、半径方向に分布されている。シェルとして見なされるために、またはナノ構造がヘテロ構造であると見なされるためには、シェルが近接する材料を完全に覆う必要はない。例えば、第2の材料の小さいアイランド(small island)で覆われる1つの材料のコアによって特徴付けられるナノ結晶は、ヘテロ構造である。他の実施形態では、異なる材料タイプは、ナノ構造内の異なる位置に分布される。例えば、材料タイプは、ナノワイヤの主要な(長い)軸または分岐したナノ結晶の長軸またはアームに沿って分布できる。ヘテロ構造内の異なる領域は、完全に異なる材料を含むことができ、または異なる領域は、基材を含むことができる。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「ナノ構造」は、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または約20nm未満の寸法の、少なくとも1つの領域または特徴的な寸法を有する構造である。一般的には、領域または特徴的な寸法は、構造の最小の軸に沿う。かかる構造の例は、ナノワイヤ、ナノ粉末、ナノロッド、ナノ膜、ナノチューブ、分岐したナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐したテトラポッド(例えば無機デンドリマー)等を含む。材料特性において、ナノ構造は実質的に均質である可能性があり、または他の実施形態では、不均一(例えばヘテロ構造)である可能性がある。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、非結晶性、またはその組み合わせにすることができる。一態様では、ナノ構造の3つの寸法のうちの1つは、約500nm未満、例えば、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または約20nm未満の寸法を有する。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「ナノワイヤ」という用語は、概して、500nm未満、適切には、200nm未満、または100nm未満である少なくとも1つの断面寸法を含み、10を超える、好適には50を超える、およびより好適には、100を超える、例えば、最大で約1000またはそれ以上のアスペクト比(長さ:幅)を有する任意の細長い導電性または半導体材料(または本明細書に記載されている他の材料)を指す。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「ナノ粒子」は、約500nm未満、適切には約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、または約10nm未満の寸法の、少なくとも1つの領域または特徴的な寸法を有する粒子、結晶、球体、または他の形状の構造を指す。適切には、本発明で利用されるナノ粒子の全ての寸法は、約50nm未満であり、適切には、約1nm〜約30nm、または約1nm〜約20nm、約1nm〜約10nm、約1nm〜約9nm、約1nm〜約8nm、約1nm〜約7nm、約1nm〜約6nm、約1nm〜約5nm、約1nm〜約4nm、約1nm〜約3nm、または約1nm〜約2nm、例えば、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、または約10nmのサイズを有する。
【0025】
本発明のナノワイヤは、材料特性において実質的に均質にすることができる、または他の実施形態では、不均一(例:ナノワイヤヘテロ構造)にすることができる。ナノワイヤは、基本的に任意の都合の良い材料からでも作製でき、例えば実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、非結晶性、またはその組み合わせにすることができる。ナノワイヤは可変の直径を有することができ、または、実質的に均一な直径、つまり、最も変動の多い領域において、および、少なくとも5nm(例えば少なくとも10nm、少なくとも20nm、または少なくとも50nm)の線形寸法において、約20%未満(例えば約10%未満、約5%未満、または約1%未満)の差異を示す直径を有することができる。典型的には、直径は、ナノワイヤの端から離れて(例えばナノワイヤの中央の20%、40%、50%、または80%において)評価される。ナノワイヤは、その長軸の全体長さまたはその一部にわたって、まっすぐである可能性があり、または、例えば、曲がったまたは湾曲している可能性がある。他の実施形態では、ナノワイヤまたはその一部は、二次元または三次元量子閉じ込めを示すことができる。
【0026】
かかるナノワイヤの例は、参照することにより本明細書に組み込まれる、公開国際特許出願番号WO02/017362号、WO02/048701号、およびWO01/003208号に記載されている半導体ナノワイヤ、炭素ナノチューブ、および同様の寸法の他の細長い導電性または半導体構造を含む。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「ナノロッド」という用語は、ナノワイヤと類似しているが、ナノワイヤのアスペクト比未満のアスペクト比(長さ:幅)を有する任意の細長い導電性または半導体材料(または他の材料本明細書に記載されている)を概して指す。2つ以上のナノロッドは、それらの縦軸に沿って共に結合できることに留意されたい。あるいは、2つ以上のナノロッドは、それらの縦軸に沿って実質的に整列できるが、共に結合することはできず、2つ以上のナノロッドの端の間に小さい隙間が存在する。この場合、電子が、1つのナノロッドから別のナノロッドへホップすることにより、1つのナノロッドから別のナノロッドへと流れることができる。2つ以上のナノロッドは、そこを通って電子が移動できる経路を形成するように、実質的に整列することができる。
【0028】
例えばSi、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BC、BP(BP6)、BSi、SiC、SiGe、SiSn、GeSn、WC、SiO2、TiO2、BN、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi23、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Tl、Fe)(S、Se、Te)2、Si34、Ge34、Al23、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2CO、および2つ以上のかかる半導体の適切な組み合わせから選択された半導体材料を含む、ナノワイヤ、ナノ結晶、ナノ粒子、ナノ粉末、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボンを含む、ナノ構造の幅広いタイプの材料を使用できる。
【0029】
本発明のナノワイヤは、さらに、有機ポリマー、セラミック、炭化物および窒化物等の無機半導体、および酸化物(TiO2またはZnO等)、炭素ナノチューブ、生物学的に導出された合成物、例えば細繊維タンパク質等を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、半導体ナノワイヤ等の無機ナノワイヤが使用される。半導体ナノワイヤは、多数のIV族、III−V族またはII−VI族半導体またはそれらの酸化物で構成できる。一実施形態では、ナノワイヤは、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNx、MoNx等の金属電導、半導体、炭化物、窒化物、または酸化物材料を含んでもよい。全体を通して用いられているように、化学式において用いられる場合、添字「x」は、正の整数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等)を指す。ナノワイヤは、弱酸における分解に耐える材料で調製することが適している。本発明に従うナノワイヤは、炭素ナノチューブを含むことができ、または炭素ナノチューブを明示的に除外でき、特定の実施形態では、「ホイスカ」または「ナノホイスカ」、特に、100nmを超える、または約200nmを超える直径を有するホイスカを除外する。
【0030】
他の態様において、半導体は、周期表のIII族からのpタイプのドーパント、周期表のV族からのnタイプのドーパント、B、Al、およびInから成る群から選択されたpタイプのドーパント、P、AsおよびSbから成る群から選択されたnタイプのドーパント、周期表のII族からのp−タイプのドーパント、Mg、Zn、Cd、およびHgから成る群から選択されたpタイプのドーパント、周期表のIV族からのpタイプのドーパント、CおよびSiから成る群から選択されたpタイプのドーパント、またはSi、Ge、Sn、S、Se、およびTeで構成される群から選択されたnタイプのドーパント、から成る群からのドーパントを含んでもよい。他の現在知られているまたは将来的に開発されるドーパント材料を使用することができる。
【0031】
加えて、ナノワイヤは、炭素ナノチューブ、または導電性あるいは半導体有機ポリマー材料(例えばペンタセン、および遷移金属酸化物)で形成されたナノチューブを含むことができる。
【0032】
本明細書で用いられている空間的な記述(例えば「〜の上」、「〜の下」、「上へ」、「下へ」、「上部」、「下部」等)は、例示を目的とするものにすぎず、本発明のデバイスは、任意の配向または方法でも空間的に構成可能であることを理解されたい。
【0033】
ナノ構造は、広い範囲の異なる方法で生産されている。例えば、溶液系、界面活性剤媒介の結晶成長は、球形の無機ナノ材料、例えば量子ドット、さらに、細長いナノ材料、例えばナノロッドおよびナノテトラポッドを生成するために記載されている。気相方法を含む、他の方法も、ナノ構造を生成するために用いられている。例えば、シリコンナノ結晶は、シランガスのレーザー熱分解によって生成されると報告されてきた。
【0034】
他の方法は、例えばGreeneらによって記述されるZnOナノワイヤを生成するための、例えば低温合成法を含む基板系合成方法(“Low−temperature wafer scale production of ZnO nanowire arrays,”L.Greene,M.Law,J.Goldberger,F.Kim,J.Johnson,Y.Zhang,R.Saykally、P.Yang、Angew.Chem.Int.Ed.42,3031−3034、2003)、および、例えば加熱時に粒子を形成するコロイドまたは薄膜として堆積される、触媒金粒子を利用する、より高温の蒸気−液体−固体(VLS)方法を利用する。例えば、ナノワイヤを生成するためのかかるVLS方法は、公開国際特許出願番号WO02/017362号に記載されており、その完全な開示は、参照により、全ての目的のために、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
ナノ構造を作製することができ、それらのサイズは、異なる材料に適応できる多くの便利な方法のいずれかによって制御できる。例えば、種々の組成のナノ結晶の合成は、例えば、Peng et al.(2000)“Shape Control of CdSe Nanocrystals”Nature 404,59−61、Puntes et al.(2001)“Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt”Science 291,2115−2117、Alivisatosらによる米国特許第6,306,736号(2001年10月23日)、表題「Process for forming shaped group III−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process」、AlivisatosらによるUSPN第6,225,198号(2001年5月1日)、表題「Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process」、AlivisatosらによるUSPN第5,505,928号(1996年4月9日)、表題「Preparation of III−V semiconductor nanocrystals」、AlivisatosらによるUSPN第5,751,018号(1998年5月12日)、表題「Semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self−assembled monolayers」、Gallagherらによる、USPN第6,048,616号(2000年4月11日)、表題「Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same」、およびWeissらによるUSPN第5,990,479号(1999年11月23日)、表題「Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes」に記載される。これらの各文書の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
制御された直径を有するナノワイヤを含む種々のアスペクト比を有するナノワイヤの成長は、例えば、Gudiksen et al.(2000)“Diameter−selective synthesis of semiconductor nanowires”、J.Am.Chem.Soc.122,8801−8802、Cui et al.(2001)“Diameter−controlled synthesis of single−crystal silicon nanowires”Appl.Phys.Lett.78,2214−2216、Gudiksen et al.(2001)“Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires”J.Phys.Chem.B105,4062−4064、Morales et al.(1998)“A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires”Science 279,208−211、Duan et al.(2000)“General synthesis of compound semiconductor nanowires”Adv.Mater.12,298−302、Cui et al.(2000)“Doping and electrical transport in silicon nanowires”J.Phys.Chem.B104,5213−5216、Peng et al.(2000)“Shape control of CdSe nanocrystals”Nature 404,59−61、Puntes et al.(2001)“Colloidal nanocrystal shape and size control: The case of cobalt”Science 291,2115−2117、AlivisatosらによるUSPN第6,306,736号(2001年10月23日)、表題「Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals,and product formed using process」、AlivisatosらによるUSPN第6,225,198号(2001年5月1日)、表題「Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process」、LieberらによるUSPN第6,036,774号(2000年3月14日)、表題「Method of producing metal oxide nanorods」、LieberらによるUSPN第5,897,945号(1999年4月27日)、表題「Metal oxide nanorods」、LieberらによるUSPN第5,997,832号(1999年12月7日)「Preparation of carbide nanorods」、Urbau et al.(2002)“Synthesis of single−crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate”J.Am.Chem.Soc.,124,1186、およびYun et al.(2002)“Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy”Nanoletters 2,447に記載されている。これらの各文書の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
特定の実施形態では、本発明のナノワイヤは、基板界面上にこれらの細長い構造を成長または合成させることによって生成される。例えば、公開米国特許出願第US−2003−0089899−A1号(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、気相エピタキシ/VLSを使用して固体基板に接着される金コロイドから半導体ナノワイヤの均一集団を成長させる方法を開示する。Greeneら(“Low−temperature wafer scale production of ZnO nanowire arrays”、L.Greene、M.Law、J.Goldberger、F.Kim、J.Johnson、Y.Zhang、R.Saykally、P.Yang、Angew.Chem.Int.Ed.42、3031−3034、2003)は、溶液系低温ワイヤ成長工程を使用して、ナノワイヤを合成する代替の方法を開示する。より短いナノ材料を生成するために、米国特許第5,505,928号、第6,225,198号、および第6,306,736号に開示された界面活性剤系合成方法、および炭素ナノチューブを生成するための公知の方法(例えばDaiらによる第US−2002/0179434号を参照)、さらに、成長基板を使用せずにナノワイヤを成長するための方法(例えばMorales and Lieber、Science,V.279、p.208(1998年1月9日)を参照)を含む、他の細長いナノ材料を合成するための、種々の他の方法が使用されている。本明細書に記載されているように、これらの異なる材料のうちのいずれかまたは全てを、本発明で使用するためのナノワイヤを生成するために、使用してもよい。いくつかの応用のために、基板または調製された物品の最終的な応用に基づき、幅広い種々のIII−V族、II−VI族およびIV族半導体を使用してもよい。概して、かかる半導体ナノワイヤは、例えば、上記において本明細書に組み込まれる、第US−2003−0089899−A1号に記載されている。これらの各文書の開示は、参照されることにより、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
分岐したナノワイヤ(例えばナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、および分岐したテトラポッド)の成長は、例えば、Jun et al.(2001)“Controlled synthesis of multi−armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system”J.Am.Chem.Soc.123,5150−5151、およびManna et al.(2000)“Synthesis of Soluble and Processable Rod−,Arrow−,Teardrop−,and Tetrapod−Shaped CdSe Nanocrystals” J.Am.Chem.Soc.122,12700−12706”に記載される。これらの各文書の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
ナノ粒子の合成は、例えばClark Jr.らによるUSPN第5,690,807号(1997年11月25日)、表題「Method for producing semiconductor particles」、El−ShallらによるUSPN第6,136,156号(2000年10月24日)、表題「Nanoparticles of silicon oxide alloys」、YingらによるUSPN第6,413,489号(2002年7月2日)、表題「Synthesis of nanometer−sized particles by reverse micelle mediated techniques」、およびLiu et al.(2001)“Sol−Gel Synthesis of Free−Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nanoparticles”J.Am.Chem.Soc.123,4344に記載される。これらの各文書の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。さらに、ナノ粒子の合成が、ナノ結晶、ナノワイヤ、および分岐したナノワイヤの成長についての上記の引用において記載されており、ここで、生成されたナノ構造は、アスペクト比が約1.5未満である。
【0040】
コアシェルナノ構造ヘテロ構造、すなわちナノ結晶およびナノワイヤ(例えばナノロッド)コアシェルヘテロ構造の合成が、例えばPeng et al.(1997)“Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility”J.Am.Chem.Soc.119,7019−7029、Dabbousi et al.(1997)“(CdSe)ZnS core−shell quantum dots: Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites”J.Phys.Chem.B101,9463−9475、Manna et al.(2002)“Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods” J.Am.Chem.Soc.124,7136−7145、およびCao et al.(2000)“Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores”J.Am.Chem.Soc.122,9692−9702に記載される。同様のアプローチを他のコアシェルナノ構造の成長に適用することができる。これらの各文書の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
異なる材料がナノワイヤの長軸に沿って異なる位置に分布されるナノワイヤヘテロ構造の成長は、例えば、Gudiksen et al.(2002) “Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics”Nature 415,617−620、Bjork et al.(2002)“One−dimensional steeplechase for electrons realized”Nano Letters 2,86−90、Wu et al.(2002)“Block−by−block growth of single−crystalline Si/SiGe superlattice nanowires”Nano Letters 2,83−86、およびEmpedoclesによる米国特許出願第60/370,095号(2002年4月2日)、表題「Nanowire heterostructures for encoding information」に記載される。これらの各文書の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。類似のアプローチを、他のヘテロ構造の成長に適用することができる。
【0042】
本明細書、およびそのそれぞれの全体の内容が参照することにより本明細書に組み込まれる、共同譲渡された公開特許出願第2007/0212538号および第2008/0280169号の全体を通して記載されるように、例えば、導電性内側コアワイヤ(例えば電子移動のために必要な導電性を与えるために)(ドーピングされていてもよく、されていなくてもよい)およびポリマー電解質の結合のために適した表面を提供する1つ以上の外側シェル層等の、複数のシェルを有するナノワイヤ構造も作製できる。本発明の実施において使用できる例示的なナノワイヤは、さらに、公開米国特許出願番号2007/0212538号および2008/0280169号に開示されているもの等の炭素含有ナノワイヤを含む。
【0043】
一実施形態では、本発明は、電池スラリーで使用するための添加剤を提供する。本明細書で用いられる場合、「添加剤」は、元のスラリーの一部(例えば重量%)が添加剤組成物に取って代わるように、電池スラリーに追加される組成物を指す。本明細書で用いられる場合、「電池スラリー」は、電池の電極(アノードまたはカソード)を形成するために使用される成分の混合物を指す。
【0044】
一実施形態において、添加剤は、1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を含む。本明細書で用いられる場合、「炭素含有」は、ナノ構造は、少なくともいくつかの形態の炭素を含むことを示すように使用される。適切には、ナノ構造は、ナノ構造を包囲、または少なくとも一部包囲する炭素シェル、またはシートを含む。本明細書で用いられる場合、「Si系の」は、ナノ構造は、少なくとも50%シリコン(Si)を含むことを示すために用いられる。適切には、ナノ構造は、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%のSiを含む。図1Aは、例示的なSiコア102およびCシェル104を含む本発明の炭素含有Si系ナノ構造100(例えばナノワイヤ)を示す。図1Aに示されるように、適切にはナノ構造はSi系のナノワイヤであるが、さらなる実施形態において、ナノ構造は、Si系のナノ粒子にすることができる。炭素含有Si系ナノ構造は、本明細書に記載されている他のナノ構造と共に、本明細書では、概して「ナノ構造」と称されることに留意されたい。
【0045】
別の実施形態では、添加剤は、ナノスケール骨格、ナノスケール骨格上に配設されるSi系の層、およびSi系の層に配設される炭素系層を含む、1つ以上のナノ構造を含む。本明細書で用いられる場合、「ナノスケール骨格」は、その上に1つ以上の他の材料、構成要素、層、被覆、シェル、および/または膜を配設してもよいナノ構造を指す。例示的なナノスケール骨格は、ナノワイヤ、ナノ粉末、ナノロッド、ナノ膜、ナノチューブ、分岐したナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐したテトラポッド(例えば無機デンドリマー)等を含む。図1Dは、ナノスケール骨格152、ナノスケール骨格152上に配設されたSi系の層154、およびSi系の層154上に配設されたCシェル156を含む、本発明の例示的なナノ構造150(例えば被覆されたナノワイヤ)を示す。適切には、ナノスケール骨格152は、ナノワイヤ(例えばSiナノワイヤ)、ナノ繊維、ナノチューブ(例えばCナノチューブ)、またはSi系の層が配設されてもよいいくつかの他のナノスケール骨格を含む。
【0046】
ナノスケール骨格、ナノスケール骨格上に配設されたSi系の層、およびSi系の層上に配設された炭素系層を含む本発明のナノ構造は、さらに、本明細書において、ナノスケール骨格系組成、ナノ骨格系組成、または単に骨格系ナノ構造と称される。
【0047】
例示的な実施形態では、Si系のナノ構造は、Si系のナノワイヤである。本発明のナノワイヤの例示的な寸法は、全体を通じて記載される。適切には、ナノワイヤは、約10nm〜約500nm、または約20nm〜約400nm、約20nm〜約300nm、約20nm〜約200nm、約20nm〜約100nm、または約40nm〜約100nmの直径を有する。適切には、ナノワイヤは、約100nm〜約100μm、または約1μm〜約75μm、約1μm〜約50μm、または約1μm〜約20μmの長さを有する。適切には、ナノワイヤのアスペクト比は、最大で約2000:1、または適切には、最大で約1000:1であり、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する。
【0048】
蒸気−液体−固体(VLS)工程を使用してナノワイヤを生成する方法が、例えば、公開米国特許出願番号US−2003−0089899号(この開示は参照により、本明細書に組み込まれる)に開示される。ナノワイヤを生成する追加的な方法が、本明細書に記載されており、当該技術において公知である。例示的な実施形態では、大量の、高密度ナノワイヤを生産するために、その開示が、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる、2009年6月29日に出願された、米国特許仮出願第61/221,501号、表題「Methods for Growth of High Density Nanowires」、代理人整理番号2132.0680000に開示された方法が使用される。ナノワイヤ成長後、ナノワイヤは、(例えば高周波分解または他の機械的手段によって)適切に回収される。炭素含有層(例えばCシェル)の追加は、成長直後、または回収後にナノワイヤに追加できる。次いで、ナノワイヤを、本明細書に記載されているように添加剤として使用できる。ナノワイヤおよび添加剤をより小さいピースまたはより短いセグメントに破壊するための、ボールミル処理、粉砕処理、または他の機械的機構等の追加の処理も使用できる。
【0049】
本明細書に記載されているように、適切には、本発明の添加剤は、現在存在する電池スラリーに追加でき、スラリーの一部、例えば黒鉛成分の一部を、本発明の炭素含有Si系ナノ構造組成物に代える。商用グレードの電池に利用される電池スラリーは、概して、黒鉛、炭素、およびポリマー電解質(例えば二フッ化ポリビニリデン(PVDF))の混合物を含む。これらの成分の量および割合は、概して電池によって異なるが、スラリーは、通常、約50%〜80%の黒鉛、約40%〜10%の炭素および約10%のPVDF(全パーセンテージは重量パーセンテージ)を含む。例示的な実施形態では、スラリーの黒鉛成分の一部は、適切には本発明の添加剤に代えられる。例えば、添加剤は、約1重量%〜約80重量%のスラリー(黒鉛の等しい量に取って代わる)に取って代わる。例えば、添加剤は、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、約65重量%、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%、約71重量%、約72重量%、約73重量%、約74重量%、約75重量%、約76重量%、約77重量%、約78重量%、約79重量%、または約80重量%のスラリーに取って代えられる。
【0050】
例示的な実施形態では、本発明の添加剤はさらに、ナノ構造上に配設された導電性のポリマー(例えば炭素系ポリマー)を含む。例示的な導電性ポリマーが、本明細書に記載されており、かつ、別法によりまた当該技術において公知であり、例えば、PVDF、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレン酸化物、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリプロピレン、ポリ(β−プロピオラクトン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)、および(ウィルミントンのDuPont Chemicals社から市販されている)NAFION(登録商標)等のスルホン酸フルオロポリマー、ポリイミド、ポリ(アクリル酸)等を含む。導電性ポリマーは、適切には、例えば、ナノワイヤの長さに沿って、ナノ構造の界面上に均一に分散される。ナノ構造、適切にはナノワイヤと導電性ポリマーとの間の界面により、さらに、かかる材料を使用して生成された電極の高速の充電/放電サイクルが可能になる。さらに、ナノワイヤ上の導電性ポリマー被覆は、アルカリ金属インターカレーションに関連付けられるナノワイヤの体積変化を適合するのに役立つ。
【0051】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書に記載されているように炭素含有Si系ナノ構造のうちの1つ以上を含む電池スラリーを提供する。ナノ構造の例示的な特性が全体を通じて記載されている。本明細書に記載されているように、適切にはスラリーは、約1重量%〜約80重量%の炭素含有Si系ナノ構造(適切にはスラリー内の同等の量の黒鉛に代わる)を含む。
【0052】
本明細書に記載されているように、例示的な実施形態では、スラリーはさらに、全体を通じて記載されているナノ構造に加え、炭素系材料を含む。例えば、スラリーは、適切には(ポリマー電解質と共に)ナノ構造に加え、炭素または黒鉛を含む。
【0053】
別の実施形態では、本発明の添加剤は、適切には、炭素系基板(ナノ構造−炭素系基板組成)上に配設された1つ以上のナノ構造を含む。図1Bに示されるように、添加剤110は、適切には、炭素系基板112上に配設されたナノ構造114を含む。追加の実施形態では、図1Eに示されるように、添加剤110’は、適切には、炭素系粉末112’上に配設されたナノ構造114を含む。適切には、炭素系粉末112’は、約5ミクロン〜約50ミクロン、約10ミクロン〜30ミクロン、約15ミクロン〜約25ミクロン、または約20ミクロンの粒子を含む。図1A〜1Eに示される構成要素は、原寸に比例しておらず、例示のために提供されているにすぎないことに留意されたい。全体を通して記載されているように、本発明の実施において利用可能な例示的なナノ構造は、ナノワイヤ、ナノ粒子またはナノ膜を含む。
【0054】
本明細書で用いられる場合、「配設された」という用語は、別の要素の次におよび/または別の要素に隣接して(別のものの上に重ねること、またはそれに付着することを含む)1つの要素を配置する任意の方法を指し、噴霧、層形成、堆積、塗装、浸漬、結合、被覆、成長、形成、堆積等を含む。適切には、ナノ構造は、炭素系基板上に成長する。例えば、全体を通じて記載されているように、適切には、ナノ構造114は、炭素系基板112上に直接成長した、または炭素系基板112から分かれて成長し、次いで炭素系基板112上に配設された(例えば付着または別法により組み込まれた)ナノワイヤである。
【0055】
例えば、金属箔またはコロイド(例えば金コロイド)を含む触媒金属は、まず、炭素系基板上に配設される。次いで、触媒金属は、VLS工程を使用してナノワイヤを成長させるために1つ以上の前駆物質ガスに接触される。かかるVLS工程を使用してナノワイヤを生産するための方法が、例えば、公開米国特許出願第US−2003−0089899号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示される。ナノワイヤを生産するための追加の方法が、本明細書に記載されており、当該技術において公知である。例示的な実施形態では、大量に、高密度ナノワイヤを生成するために、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年6月29日に出願された、米国特許仮出願第61/221,501号、表題「Methods for Growth of High Density Nanowires」、代理人整理番号2132.0680000、に開示された方法が使用される。かかる実施形態では、ナノワイヤ成長後、ナノワイヤは、単独で回収でき、次いで、炭素系基板上に配設できる、または他の実施形態では、その上にナノワイヤおよびナノワイヤが配設される炭素系基板は、共に回収される。次いで、ナノワイヤおよびナノワイヤ−炭素系基板を、本明細書に記載されているように、添加剤として利用できる。ナノワイヤおよび添加剤をより小さいピースまたはより短いセグメントに破壊するためのボールミル処理、粉砕処理または他の機械的機構等の追加の加工も使用できる。
【0056】
一実施形態において、Si系のナノ構造は、図1Eに示されるように黒鉛粉末上に配設されたSi系のナノ構造を作製するための微小孔がなくても、炭素系粉末、例えば黒鉛粉末上で成長する。適切には、Si系のナノ構造は、Si系ナノワイヤ、Si系のナノ繊維、Si粒子、Si系の薄層、および/またはSi系の膜を含んでもよい。追加の実施形態では、Liインターカレーションが可能な他の材料を、炭素含有粉末(例えば黒鉛粉末)上にナノ構造を成長させるために使用できる。
【0057】
本発明の実施形態は、黒鉛粉末上にSi系のナノ構造を成長させることにより、改善された導電性を実現する。さらに、黒鉛粉末上に配設されたSi系のナノ構造は、Siの高容量および黒鉛粉末の高導電性を活用する、電池−電極スラリーおよび電池−電極層で使用できる。
【0058】
追加的な本発明の実施形態は、リチウムイオン電池のために炭素系スラリー内にSi系ナノワイヤを一体化することをより容易にする場合がある、Si系のナノワイヤ上に炭素被覆を配設することで、改善された導電性を実現する。リチウムイオン電池スラリーは、一般的には炭素含有ポリマー(例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)から成る結合剤を含む。実施形態では、結合剤は、炭素被覆Siナノワイヤの炭素源として使用される。電池スラリー結合剤を使用するSiナノワイヤの炭化は、適切には、炭化されたSiナノワイヤおよび電池スラリーの間の相互作用を改善する。
【0059】
炭素系基板上に配設されたナノ構造を含む本発明の組成は、本明細書では、ナノ構造−炭素系基板組成、ナノワイヤ−炭素系基板組成、または単にナノ構造組成またはナノワイヤ組成とも称される。
【0060】
本明細書で用いられる場合、「炭素系基板」は、少なくとも約50質量%炭素を含む基板を指す。適切には、炭素系基板は、100%炭素を含む、少なくとも約60質量%炭素、70質量%炭素、80質量%炭素、90質量%炭素、95質量%炭素または約100質量%炭素を含む。本発明の実施において使用可能な例示的な炭素系基板は、カーボンブラック、フラーレン煤煙、脱硫カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末または黒鉛箔等の炭素粉末を含むが、これに制限されない。全体を通して用いられているように、「カーボンブラック」は、石油製品の不完全燃焼によって生成される材料を指す。カーボンブラックは、極めて高い表面積対体積比を有する非晶質炭素の形態である。「グラフェン」は、シートとして形成された炭素の単一原子層を指し、グラフェン粉末として調製できる。その各開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、例えば米国特許第5,677,082号、第6,303,266号、および第6,479,030号を参照されたい。「炭素系基板」は、特に、ステンレス鋼を含む鉄鋼等の金属材料を除外する。炭素系基板は、シートまたは個別の粒子、ならびに架橋重合構造の形態とすることができる。
【0061】
適切には、ナノ構造−炭素系基板組成、炭素含有Si系ナノ構造、および/または骨格系ナノ構造は、本明細書に記載されているように、容易に操作でき、つまり添加剤として、種々の電池スラリーに添加できる、または電池電極の調製時に利用できる、「インク」を形成する。
【0062】
SiナノワイヤおよびSiナノ粒子を含む、Siを含むナノ構造(つまりSi系のナノ構造)は、適切には、再充電可能電池の充電および放電サイクルに関連付けられた容量変化を吸収するそれらの能力により、本発明の実施において利用される。シリコンは、全ての材料の中でも公知の最も高い容量を有し、リチウム化シリコン(Li15Si4、シリコンの周囲温度リチウム化で実現可能な最も高いリチウム化相)は、リチウム化以前に約3579mAh/g(1グラム当たりのミリアンペア時間)の対応する容量を有する。さらに、シリコンは、豊富かつ安価であり、黒鉛よりも製造および利用が安全である。しかしながら、x線データから、Li15Si4の計算された密度は、1.179g/cm3である。このため、シリコンをLi14Si4へと完全にリチウム化すると、280%の体積膨張が生じ、リチウム化後に、2190mAh/cm3の最大の理論的体積容量を有する。この体積膨張により、反復される充電および放電サイクル時において材料が分解し、したがって電池寿命が大幅に制限されるため、バルクシリコンは電池での使用に実用的ではなくなっている。
【0063】
例えば、骨格系ナノ構造、炭素系基板上に配設されたSiナノワイヤを含むナノワイヤ、または炭素含有Si系ナノワイヤ等の、本発明のナノ構造は、反復される充電/放電サイクル中のリチウム化に関連付けられる容量変化を吸収する。グラフェン、カーボンブラックおよび他の炭素系基板等の炭素系構造の利用は、構造が容易に屈曲、屈伸および変形するため、スラリー内の体積変化の吸収に役立つ。さらに、ナノワイヤの全体構造は、変形時におけるワイヤの歪みによって過度の力を発生させずに、スラリー内の容量変化を可能にする。Si系のナノワイヤの周囲の炭素シェルまたはシートは、さらに、容量変化の吸収に役立つ。
【0064】
本明細書に記載されているように、実施形態では、本発明の実施において使用されるナノワイヤは、コアシェル構造を有する。適切には、ナノワイヤは結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含む。つまり、ナノワイヤのシェルは、酸化物を含まない。さらなる実施形態において、シェルは、シリコンナノワイヤを伴うもの等の酸化物を含むことができる。さらなる実施形態において、ナノワイヤは、コアシェル−シェル構造(または追加のシェル)とすることができる。例示的なコアシェル(およびコアシェル−シェル)ナノワイヤ組成が、全体を通じて記載されている。適切には、ナノワイヤのシェルは、リチウム合金形成材料等のアルカリ金属合金形成材料である。適切には、アルカリ金属(例えばLi)インターカレーションを可能にする材料、または高いLi溶解度(例えば>0.1%)を有する。適切には、ナノワイヤのコアまたは第1のシェルは、室温で良好な熱導体(例えばk>0.2Wm-1K(メートル当たりのワット×ケルビン)の熱導電性)であり、かつ良好な導電体(例えばR<5オームの抵抗)である。
【0065】
例示的な実施形態では、本発明の炭素含有Si系ナノワイヤ、ナノワイヤ炭素系基板組成、または骨格系ナノ構造は、ナノワイヤが絡み合う、織り交ざる、または重複する多孔性の網状組織を形成する。この配設は、ナノワイヤの間の細孔のサイズが適切にメソ細孔およびマクロ細孔である、多孔性の構造の形態を取る。本明細書で用いられる場合、「メソ細孔」という用語は、微小孔(微小孔は直径約2nm未満として定義される)よりも大きいが、マクロ細孔(マクロ細孔は直径約50nmを超えるものと定義される)よりも小さい細孔を指し、適切には、直径が約30nmより大きく約200nm未満の範囲の細孔のサイズを有する。適切には、本発明の組成は、実質的に微小孔がない、つまり、細孔の約0.1%未満が微小孔(つまり直径約2nm未満)となる。多孔性の性質これらのナノワイヤ構造は、構造を通過する電解質の大量輸送増大を可能にし、アルカリ金属イオンの高速拡散を生じさせる。
【0066】
適した実施形態では、ナノワイヤは、Si、適切にはSiコア、およびCを含むシェルを含む。SiCコアまたはSiCシェルを含むナノワイヤも使用可能であるが、適切には、ナノワイヤは炭化物シェル(つまりSP3炭素)を含まず、代わりに、シリコンコアに共有結合する炭素シェル(つまりSP2炭素)のみを含む。SiCナノワイヤの場合、強固に結合された炭素ナノ粒子で、部分的に浸炭されたSiナノワイヤ(公開米国特許出願第2008/0280169号を参照)を生成するように、浸炭工程が適切に制御される。本発明のナノワイヤは、アルカリ金属(例えばLi)インターカレーションに関連付けられた体積変化に適合することができる。ナノワイヤのコアで使用するための他の適した材料が、本明細書に記載されており、TiO2を含む。
【0067】
本発明の組成におけるコアシェル(または複数のシェル)ナノワイヤ構造の使用により、ナノワイヤの界面上の不動態化膜の形成による可能性が最も高いと思われる、強化されたサイクリング(充電/放電)性能を提供する。初期の容量喪失は、ナノワイヤ表面上の電解質の減少、それによるナノワイヤ表面上の固体電解質界面(SEI)の形成、または、ナノ構造への不可逆性アルカリ金属(例えばLi)挿入/インターカレーションによって生じる可能性がある。ナノ構造上の人工のSEI層の(化学修飾による)事前形成、およびまたはナノ構造の事前リチウム化を、性能を向上させるために使用できる。実施形態では、シェルは、Cu、スズ酸化物、Ni等の金属および/または金属酸化物を含む。Siナノワイヤ表面導電性は、このようにして改善することができ、薄く、高密度および安定したSEIを表面上に維持できるように、Cu/SiNWsまたはNi/SiNWSの体積変化を減少することができる。かかる金属および/または金属酸化物シェルは、さらに、電池内のLiの消費を低減できる。酸化スズ等の金属酸化物を含むシェルは、例えば、Liイオンをシェルを通して拡散させることを可能にし、電解質内の溶媒が浸透することを防ぐ。
【0068】
実施形態では、本発明で使用されるナノワイヤは、さらに、それらの表面上にナノ粒子を含むことができる。例えば、ナノ粒子は、黒鉛またはグラフェン粒子または層にすることができる。アノードを調製するためにナノワイヤが使用される実施形態では、本明細書に記載されているように、適切には、ナノワイヤは、それらの界面上にSiまたはTiO2のナノ粒子を、さらに含むことができる。カソードを調製するためにナノワイヤが使用される実施形態では、ナノワイヤは、LiNiSiO4、LiNiSiO、LiFeO2等のナノ粒子を含むことができる。本発明のナノワイヤの表面を装飾するナノ粒子は、これらが配設されるナノワイヤ表面(例えば約100nm未満の半径)の高い曲率のために効率が高い方法で利用され(インターカレーションするまたは合金化する材料として作用する)、このため、多数のナノ粒子を、外部環境にさらす。
【0069】
Li−Si合金組成物は、極性非プロトン性電解質溶液において、かつ、固体電解質界面のように挙動するLiイオン導電表面膜によって、不動態化できる。イオン液体は、さらに、Siナノワイヤ表面化学を修正するように導入できる。このため、表面化学修飾は、電解質溶液内の構成要素を調整することにより実現できる。
【0070】
本発明のナノワイヤの例示的な寸法が、全体を通じて記載されている。適切には、ナノワイヤは、約10nm〜約500nm、または約20nm〜約400nm、約20nm〜約300nm、約20nm〜約200nm、約20nm〜約100nm、または約40nm〜約100nmの直径を有する。適切には、ナノワイヤは、約100nm〜約100μm、または約1μm〜約75μm、約0.1μm〜約50μm、または約1μm〜約20μmの長さを有する。適切には、ナノワイヤのアスペクト比は、最大で約2000:1、または適切には、最大で約1000:1である。かかる高いアスペクト比は、ナノワイヤ上で生成された電子が、ナノワイヤの間を高速で電動電極へと通過することを可能にする。さらに、約50nm未満の直径、および約1000:1を超えるアスペクト比を有するナノワイヤは、本明細書に記載されているように、充電および放電状態の間のサイクリングに関連付けられた体積変化が行われる場合に、より大きな柔軟性を示す。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明の実施で使用するためのナノワイヤは、多孔性のSiナノワイヤ等の多孔性のナノワイヤとすることができる。リチウム化および非リチウム化の間の電気化学サイクリングは、ナノ構造の壁に細孔を生成する。これらの細孔の存在は体積変化に適合するための、および導電性ポリマーおよびアルカリ金属との接触に利用可能な表面積を拡大するためのナノ構造の能力を上げる場合があると仮定されている。多孔性のナノワイヤを含む多孔性のナノ構造の調製は、電気化学サイクリングによって実行できる。追加の実施形態では、細孔形成材料を、ナノ構造に組み込むことができ、その後多孔性のナノ構造を生成するために除去することができる。例えば、Snまたは他の二次的な成分をナノ構造(例えばSiナノワイヤ)に組み込むことができ、次いで、化学的(例えばエッチング)または物理的方法によって除去することができる。多孔性のSiナノワイヤを含むこれらの多孔性のナノ構造は、次いで、炭素含有Si系ナノ構造組成、ナノ構造炭素系基板組成、骨格系ナノ構造、および本発明の添加剤において利用される。
【0072】
炭素含有Si系ナノワイヤ、ナノワイヤ炭素系基板組成、および骨格系ナノ構造を含む、本発明の添加剤の調製は、高密度ナノワイヤ組成を生成するための公開米国特許出願第2008/0224123号(その開示は、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているもの等のナノワイヤ整列方法を適切に利用する。例示的な整列方法は、ナノワイヤを整列するための流体流れおよび剪断押し出し(shear extrusion)の使用、ならびに炭素系基板を含む、e−フィールド(e−field)整列および種々の基板への堆積を含む。ナノワイヤおよび/または導電性ポリマーをナノワイヤに導入するために、噴霧を利用できる。ナノワイヤは、さらに、より密度が高く、かつ織り交ぜられた組成を形成するために、屈曲および圧縮できる。
【0073】
本明細書に記載されているように、本発明の添加剤を現在の既存の電池スラリー適切に追加でき、スラリーの一部、例えば黒鉛成分の一部に取って代わる。商用グレードの電池で利用される電池スラリーは、概して、黒鉛、炭素およびポリマー電解質(例えば二フッ化ポリビニリデン(PVDF)の混合物を含む。これらの成分の量および比率は、概して電池によって異なるが、スラリーは、通常、約50%〜80%の黒鉛、約40%〜10%の炭素および約10%のPVDF(全てのパーセンテージは重量パーセンテージ)を含む。例示的な実施形態では、スラリーの黒鉛成分の一部は、本発明の添加剤によって適切に代えられる。例えば、添加剤は、約1重量%〜約80重量%のスラリーに取って代わる(等しい量の黒鉛に取って代わる)。
【0074】
例示的な実施形態では、本発明の添加剤は、さらに、ナノ構造上に配設された導電性のポリマーを含む。例示的な導電性ポリマーが、本明細書に記載されており、かつ別の方法により当該技術において公知であり、例えば、PVDF、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレン酸化物、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリプロピレン、ポリ(β−プロピオラクトン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)、およびNAFION(登録商標)(ウィルミントンのDuPont Chemicals社から市販されている)等のスルホン酸フルオロポリマーを含む。導電性ポリマーは、例えばナノワイヤの長さに沿って、ナノ構造の表面に適切に均一に分散される。ナノ構造、適切にはナノワイヤと、導電性ポリマーとの間の界面は、さらに、かかる材料を使用して調製される電極の高速充電/放電サイクルを可能にする。さらに、ナノワイヤ上の導電性ポリマー被覆も、アルカリ金属インターカレーションに関連付けられたナノワイヤの体積変化を適合するために役立つ。
【0075】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書に記載されているように、炭素含有Si系ナノ構造、ナノ構造−炭素系基板組成、および/または骨格系ナノ構造のうちの1つ以上を含む電池スラリーを提供する。ナノ構造の例示的な特性は、全体を通じて記載されている。本明細書に記載されているように、適切には、スラリーは、約1重量%〜約80重量%のナノ構造炭素系基板組成(スラリー内の等しい量の黒鉛に適切に取って代わる)を含む。
【0076】
本明細書に記載されているように、例示的な実施形態では、スラリーは、さらに、全体を通じて記載されているナノ構造に加えて、炭素系材料を含む。例えば、スラリーは、適切には、ナノ構造(ならびにポリマー電解質)に加えて炭素または黒鉛を含む。
【0077】
本発明は、さらに、本発明の1つ以上の添加剤を含む電池電極も提供する(つまり炭素含有Si系ナノ構造、ナノ構造−炭素−基板系組成、および/または骨格系ナノ構造)。図1Cおよび図1Fに示されるように、適切には、かかる電池電極120および120’は、図1Aの炭素含有Si系ナノ構造100、図1Bに示されるナノ構造−炭素−基板系組成100、または図1Eに示される100’、および/または図1Dに示される骨格系ナノ構造から調製される。図1Fに示されるように、適切には、電池電極120’は、さらに、炭素系粉末112’上に堆積されたナノ構造114から調製されてもよい。本発明の添加剤は、電池のアノードおよび/またはカソードを調製するために使用できる。例示的な実施形態では、電極は、あるタイプの添加剤(例えば図1Aの炭素のみ含有Si系ナノ構造100、図1Bに示されるナノ構造−炭素−基板系組成110もしくは図1Eに示される100’、または図1Dに示される骨格系ナノ構造150)を含み、または他の実施形態では、図1Aの炭素含有Si系ナノ構造100、図1Bに示されるナノ構造−炭素−基板系組成110もしくは図1Eの100’、および/または図1Dに示される骨格系ナノ構造150の混合物を含む。
【0078】
全体を通して記載されているように、適切には、電池電極で使用するためのナノ構造は、ナノワイヤ、ナノ粒子、またはナノ膜である。コアシェルおよびコアシェルシェルナノワイヤを含むナノ構造の例示的な組成は、全体を通じて記載されている。例示的な実施形態では、ナノ構造は、Siナノワイヤ、およびコアがSiであるコアシェルナノワイヤ、ならびにコアに共有結合されたシェルCを含むSiナノ構造である。電池電極で使用するためのナノワイヤの例示的なサイズが全体を通じて記載されている。
【0079】
本明細書に記載されているように、適切には、ナノ構造組成は、約1重量%〜約80重量%の電池スラリーに取って代わる。このため、電池電極を調製するために使用される場合、ナノ構造組成は、さらに、約1重量%〜約80重量%の電極、適切には、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約15重量%、約5重量%〜約10重量%、または約10重量%の電池電極を含む。
【0080】
適した実施形態では、本発明の組成は、適切には、ナノ構造上に配設された導電性のポリマーを含む。例示的な導電性ポリマーが、本明細書に記載されており、例えば、二フッ化ポリビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレン酸化物、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリプロピレン、ポリ(β−プロピオラクトン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)、およびNAFION(登録商標)(ウィルミントンのDuPont Chemicals社から市販されている)等のスルホン酸フルオロポリマーを含む。導電性ポリマーは、さらに、電極120を形成する場合に、結合剤材料として機能する。
【0081】
さらなる実施形態において、電池電極の炭素含有Si系ナノ構造、ナノ構造炭素系基板、および骨格系ナノ構造は、さらに、アルカリ金属(例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、またはフランシウム(Fr))を含む。例えば、本発明のナノ構造は、リチウム(Li)箔等のアルカリ金属箔に埋め込むことができる。ナノ構造組成物およびアルカリ金属(例えばアルカリ金属膜)の複合材料は、高い導電性を有し、全体を通じて記載されているように、イオン挿入による大きな体積変化に適合するためのナノ構造(例えばSiナノ構造)の能力を示す。
【0082】
本発明は、さらに、本発明の種々の炭素含有Si系ナノ構造、ナノ構造炭素系基板組成、および/または骨格系ナノ構造を含む電池も提供する。本発明の電池200の図2に示される概略図は、例示のために提供されているにすぎない。概略図は原寸に比例して示されておらず、電池構成要素の配向および配設は、本発明の説明に役立てるために提供されているにすぎない。電池の追加の構成要素、配向および配設が、当該技術において公知である。
【0083】
実施形態では、図2に示されるように、電池200は、アノード202を適切に備える。適切には、アノード202は、本明細書に記載されているように、ナノ構造組成のうちの1つ以上を備える。例示的な実施形態では、アノードは、炭素含有Si系ナノ構造を含む。他の実施形態では、アノードは、ナノ構造炭素系基板組成を含む。さらなる実施形態において、アノードは、骨格系ナノ構造を含む。さらに別の実施形態では、アノードは、これらの異なるナノ構造組成、または、それぞれがこれらのナノ構造組成のうちの1つまたはいずれかを含む、複数のアノードのいずれかを含むことができる。ナノワイヤを含む例示的なナノ構造およびかかるナノ構造(およびナノワイヤ)の組成が、本明細書に記載されている。電池で使用されるナノワイヤに適したサイズが、全体を通じて記載されている。さらに、例示的な炭素系基板も本明細書に記載されており、炭素系粉末、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末および黒鉛箔を含む。
【0084】
炭素含有Si系ナノ構造組成、ナノ構造炭素系基板組成、および骨格系ナノ構造、および本発明の添加剤を、任意の電池タイプで利用可能である。例示的な実施形態では、本発明の電池はLiイオン電池である。つまり、電池は、適切には、リチウムイオン206がアノード202とカソード204との間を移動する再充電可能な電池である。リチウムイオンは、放電中にはアノードからカソードへ移動し、充電中には逆にカソードからアノードへ移動する。
【0085】
本明細書に記載されているように、アルカリ金属、例えば、本発明のナノ構造へ挿入するためのLiの能力は、増加した静電容量を提供する。しかしながら、この挿入に伴う体積変化を吸収するためのナノワイヤを含む(例えばSiナノワイヤ)、ナノ構造の能力により、アノードは、構造的に健全なままである。ナノワイヤ、特にSiナノワイヤへ挿入するためのリチウムの能力は、かかる材料から調製されたアノードの静電容量に劇的な向上をもたらす。
【0086】
適切には、本発明の電池200のアノード202は、約1重量%〜約80重量%(適切には約5重量%〜約20重量%、または約10重量%)の本発明のナノ構造を含む。二フッ化ポリビニリデン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、またはカルボキシメチルセルロース等の導電性ポリマーも、ナノ構造上に適切に配設される。例示的な実施形態では、アノード202は、Li箔に埋め込まれたSiナノ構造を含む。
【0087】
図2に示されるように、適切には、電池200は、アノードおよびカソードを相互から区切るためのみならず、セパレータ208を通したイオンの通過を可能にするために、アノード202とカソード204との間に配置されたカソード204およびセパレータ208(例えば電解質セパレータ)をさらに含む。例示的な実施形態では、カソード204は、LiCoO2、LiFePO4、LiMnO2、LiMnO4、LiNiCoAlO/LiNiCoMnO+LiMn24、LiCoFePO4およびLiNiO2等のリチウム系カソード等であるがこれに限定されない、電池カソードとして使用することが知られている任意の適した材料を含むことができる。セパレータ208の例示的な材料は、良好なイオン導電性および十分に低い導電性を有する細孔性ポリマー材料を含む。適した材料は、PVDF、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレン酸化物、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリプロピレン、ポリ(β−プロピオラクトン)、およびNAFION(登録商標)等のスルホン酸フルオロポリマー、ならびに、他の当該技術で公知のものを含む。電池200は、電解質218、適切には、1:1 w:w、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネートで、有機溶媒、例えば、LiPF6に溶解されたアルカリ金属塩(例えばLi塩)もさらに含む。あるいは、電解質218は、懸濁液を形成するように、ポリマーまたは無機材料等のイオン導電性材料と混合されたアルカリ金属塩(例えばLi塩)を含むことができる。あるいは、電解質218は、添加剤を含むことができる[電子メールからのリストを含む。]
【0088】
図2に示されるように、例示的な実施形態では、電池200は、アノード、電解質セパレータおよびカソードを収容する筐体210をさらに含む。筐体210に対する適した形状および材料(例えば金属、ポリマー、セラミック、複合材料等)は当該技術において公知であり、金属層および合成樹脂層で構成されたラミネート筐体を含む。例えば、この順で構成されたナイロン膜、アルミニウム箔およびポリオレフィン膜層である。ポリオレフィン膜は、適切には、筐体の内側を構成するために接着剤によって溶融または結合される。ポリオレフィン膜は、例えば、ポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、または改質ポリエチレン膜であってもよい。電池200は、さらに、適切には、アルミニウム、銅、ニッケルまたはステンレス鋼等の金属を含み、負荷212に結合できる、電極214および216をさらに備える。
【0089】
実施形態では、本発明は、電池スラリーで使用するための添加剤を調製する方法を提供する。図20のフローチャート2000に示されるように、図1Eを参照し、かかる方法は、ステップ2002において、炭素系粉末を提供することを適切に含む。炭素系粉末は、例えば、約5ミクロン〜約50ミクロン、約10ミクロン〜約30ミクロン、約15ミクロン〜約25ミクロン、または約20ミクロンのサイズの黒鉛粒子を含んでもよい。ステップ2004において、Si系のナノ構造は、炭素系粉末上に配設される。適切には、Si系のナノ構造は、炭素系粉末上で成長したSiナノワイヤまたはSiナノ繊維である。Siナノワイヤを成長させる方法が、本明細書に提供されている。かかる方法は、ステップ2006において示されるように、Si系ナノ構造上に炭素含有ポリマーを配設すること、およびSi系のナノ構造上に炭素被覆を形成するために炭素含有ポリマーを加熱することをさらに任意選択的に含んでもよい。例示的な加熱温度および時間が、本明細書に記載されている。
【0090】
さらなる実施形態において、本発明は、電池電極を調製する方法を提供する。図3Aのフローチャート300に示されるように、図1Aおよび1Cを参照して、適切には、かかる方法は、ステップ302において、1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造100を提供することを含む。フローチャート300のステップ304において、ナノ構造は、スラリーを形成するために、導電性ポリマーおよび炭素系材料と混合される。ステップ306において、スラリーは、電池電極120に形成される。
【0091】
ナノワイヤを含む例示的なナノ構造が、ナノ構造の組成および特性として、本明細書に開示されている。適切には、ナノ構造は、ナノワイヤのコアがSiを含む、コアシェル(またはコアシェルシェル)ナノワイヤを含むSiナノワイヤである。
【0092】
全体を通じて述べられているように、適切には、本発明の炭素含有Si系ナノ構造組成が、電極(例えばアノード)を生成するために、従来の電池スラリーに添加剤として利用される。全体を通じて述べられているように、適切には、かかる添加剤は、約1重量%〜約80重量%の電極、より適切には約5重量%〜約20重量%、または約10重量%の電極において提供される。本明細書に記載されているように、適切には、本発明の方法に従って調製された電極は、リチウムイオン電池のアノードである。
【0093】
フローチャート300のステップ304は、適切には、炭素含有Si系ナノ構造組成物を、二フッ化ポリビニリデン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、および/またはカルボキシメチルセルロース塩(CMC)等の導電性ポリマーと混合することを含む。他の適した導電性ポリマーが、本明細書に記載されている、または別の方法により当該技術において公知である。炭素含有Si系ナノ構造組成物は、さらに、適切には、追加の炭素系材料と混合される。かかる追加の炭素系基板の例は、全体を通じて記載されており、炭素、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末または黒鉛箔を含む。この組み合わせは、電極を形成するために一般的に使用される電池スラリーを形成する。
【0094】
本発明は、電池電極を調製するさらなる方法を提供する。図3Bのフローチャート310に示されるように、図1Bおよび図1Cを参照すると、適切には、かかる方法は、ステップ312において、炭素系基板112または112’に配設された1つ以上のナノ構造114または114’を提供することを含む。フローチャート300のステップ304において、ナノ構造は、スラリーを形成するために、導電性ポリマーおよび炭素系材料と混合される。ステップ316において、スラリーは、電池電極120または120’に形成される。
【0095】
ナノワイヤを含む例示的なナノ構造は、ナノ構造の組成および特性と同様に、本明細書に開示される。適切には、ナノ構造は、ナノワイヤのコアがSiを含むコアシェル(またはコアシェルシェル)ナノワイヤを含むSiナノワイヤである。例示的な炭素系基板が、さらに、本明細書に記載されており、適切には、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、炭素系粉末、グラフェン粉末または黒鉛箔を含む。
【0096】
全体を通じて述べられているように、本発明のナノ構造−炭素系基板組成物は、電極(例えばアノード)を生成するために、従来の電池スラリーに添加剤として適切に利用される。全体を通じて述べられているように、かかる添加剤は、約1重量%〜約80重量%の電極、より適切には約5重量%〜約20重量%、または約10重量%の電極に、適切に提供される。本明細書に記載されているように、適切には、本発明の方法に従って調製される電極は、リチウムイオン電池のアノードである。
【0097】
フローチャート310のステップ314は、適切にはナノ構造炭素系基板組成物を二フッ化ポリビニリデン等の導電性ポリマーに混合することを含む。他の適した導電性ポリマーが、本明細書に記載されている、または別の方法により当該技術において公知である。ナノ構造炭素系基板組成物は、(ナノ構造が配設される炭素系基板に加えて)追加の炭素系材料と適切に混合される。かかる追加の炭素系基板の例は、全体を通じて記載されており、炭素、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末または黒鉛箔を含む。この組み合わせは、典型的には電極を形成するために使用される電池スラリーを形成する。
【0098】
図4Aのフローチャート400に示されるように、図1A、図1Cおよび図2を参照すると、本発明は、さらに、電池200を調製する方法を提供する。適切には、フローチャート400のステップ402において、方法は、1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造100を提供することを含む。ステップ404において、ナノ構造は、スラリーを形成するために、導電性ポリマーおよび炭素系材料と混合される。フローチャート400のステップ406において、スラリーはアノード202に形成される。次いで、セパレータ材料208は、ステップ408において、アノード202およびカソード204間に配設される。
【0099】
図4Bのフローチャート410に示されるように、図1B、図1Cおよび図2を参照すると、本発明は、さらに、電池200を調製する追加の方法を提供する。適切には、フローチャート410のステップ412において、方法は、炭素系基板112または112’上に配設された1つ以上のナノ構造114を提供することを含む。ステップ414において、ナノ構造は、スラリーを形成するために、導電性ポリマーおよび炭素系材料と混合される。フローチャート410のステップ416において、スラリーはアノード202に形成される。次いで、セパレータ材料208は、ステップ418において、アノード202とカソード204との間に配設される。
【0100】
リチウム電池、ならびに、カソード、セパレータ材料、および電解質のための適した成分を調製する方法は、例えば、“Lithium batteries: Science and Technology”,G Nazri and G.Pistoia,eds.,Springer,New York(2004)に示されており、その開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。これらの公知の方法は、電池を調製するために本明細書に記載されている方法およびナノ構造組成と適切に組み合わせられる。
【0101】
全体を通して記載されているように、例示的なナノ構造は、ナノワイヤ、ナノ粒子、またはナノ膜、適切には、Siナノワイヤ等のSiナノ構造、およびコアシェル(コアシェルシェルを含む)ナノワイヤを含む。ナノワイヤ等のナノ構造の適した特性およびサイズは、同様に、全体を通じて記載されている。例示的な炭素系基板も、本明細書に記載されている。
【0102】
適切には、本発明の炭素含有Si系ナノ構造、ナノ構造炭素系基板組成、および骨格系ナノ構造は、約1重量%〜約80重量%のアノード、適切には約10重量%を備える。適した実施形態では、ナノ構造は、ステップ404/414において、最終的に電池アノードとなるスラリーを調製するために、二フッ化ポリビニリデン導電性ポリマーおよび黒鉛および/または炭素と混合される。追加の導電性ポリマーおよび炭素系材料が、本明細書に記載されている。
【0103】
適した実施形態では、導電性ポリマー膜(セパレータ208)が、ステップ408/418においてアノードとカソードとの間に配設される。例示的な導電性ポリマー膜が、本明細書に開示され、または他の方法により当該技術において公知である。
【0104】
電池を形成するためにアノード、セパレータおよびカソードを調製する方法は、当該技術において公知である圧延、加熱、乾燥および貯蔵方法を含む(温度および時間を含む)。例えば、その各開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Lithium batteries:Science and Technology」、ならびに米国特許第6,165,642号、第7,541,114号、第6,440,606号、第5,681,357号、第5,688,293号、および第5,834,135号を参照されたい。
【0105】
本明細書に記載されているように、本発明の炭素含有Si系ナノ構造組成、ナノ構造炭素系基板組成、および骨格系ナノ構造は、従来の電池電極(例えばアノード)形成技術において添加剤として適切に使用される。このため、これらの添加剤は、電池電極スラリーの一部を、単に、現在開示されている添加剤(例えば約1重量%〜約80重量%、適切には約5重量%〜約20重量%、または約10重量%)に代えるだけで、電池製造工程において容易に代用される。従来の電池形成工程の残りが次に行われる。本発明の添加剤を使用する場合には、追加の修正は不要であるが、所望の場合には、工程をさらに修正できる。
【0106】
本発明は、炭素被覆されたナノ構造を調製するさらなる方法を提供する。図19のフローチャート1900に示されるように、図1Dを参照すると、適切には、かかる方法は、ステップ1902において、ナノスケール骨格152を提供することを含む。例示的なナノスケール骨格は、ナノワイヤ、ナノ粉末、ナノロッド、ナノ膜、ナノチューブ、分岐したナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐したテトラポッド(例えば無機デンドリマー)等を含む。
【0107】
フローチャート1900のステップ1904において、炭素含有ポリマーは、ナノスケール骨格152上に配設される。炭素含有ポリマーは、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0108】
ステップ1906において、炭素含有ポリマーは、ナノスケール骨格152上に炭素被覆156を形成するために加熱される。炭素含有ポリマーは、約160℃〜約1000℃に加熱されてもよい。例えば、炭素含有ポリマーは、約200℃〜約400℃、約250℃〜約350℃、または約300℃に加熱されてもよい。別の例として、これは、約600℃〜約800℃、約650℃〜約750℃、または約700℃に加熱されてもよい。さらなる例として、これは、約800℃〜約1000℃、約850℃〜約950℃、または約900℃に加熱されてもよい。炭素含有ポリマーは、約30分〜約5時間、約1時間〜約3時間、または約2時間の間、加熱されてもよい。加熱は、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノン等の不活性ガスが存在下で行われてもよい。
【0109】
ステップ1908において図示されるように、かかる方法は、さらに、任意選択的に、炭素含有ポリマーの配設の前に、ナノスケール骨格152上にSi系の層154(例えば結晶性Siおよび/または非晶質Si)を配設することを含んでもよく、この場合、炭素含有ポリマーはSi系の層154上に配設される。
【0110】
本明細書に記載されているように、以下に記載されている例において、およびその開示が参照により本明細書にその全体が組み込まれる、2009年5月19日に出願された仮特許出願第61/179,663号において、本発明は、バルクシリコンの制限を克服し、ナノワイヤの形態におけるシリコンの高電荷容量を利用する。ナノワイヤは、適切には、数10ナノメートル程度の範囲の直径および約1000のアスペクト比を有する。ナノワイヤは、それらの構造的な完全性を失うことなく、充電および放電においてリチウム化および非リチウム化によって生じる大きな体積変化を吸収することができる。
【0111】
以下の例は、実際のシリコンナノワイヤ(Si NW)の性能について記載する。Liイオン電池における実装のために、Si NWは、アノード内の低重量(約5〜30重量%)賦形剤として適切に使用される。このアプローチにより、性能における大幅な向上を提供しながら、既存の製品ラインへの容易な統合が可能になる。SiNWの10重量%の添加は、約30%〜50%の電池アノードの容積増加を生じさせることがわかっている。
【0112】
関連技術の当業者には、本発明の範囲またはその任意の実施形態から逸脱せずに、本明細書に記載されている方法および応用に、他の適した修正および適応を行うことができることが容易に明らかであろう。ここでは、本発明について詳細に説明してきたが、例示のために本明細書に含まれているにすぎず、本明細書を制限することを意図するものではない、以下の例を参照すると、これはより明確に理解されるであろう。

例1
Siナノワイヤの調製および特性評価
Siナノワイヤの成長および形状
【0113】
Siナノワイヤを成長させるために、蒸気−液体−固体(VLS)方法が利用される。ワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約1μm〜約50μmの長さを有する単結晶性である。成長工程は、形状、サイズ、組成等の設計において高い自由度を可能にする。例えば、ナノワイヤは、実質的に直線であり、約99%を超える歩留まりで調製できる(図5Aを参照)。電池の応用のために、織り合わされた、交互的な、または重複した構造が適切に使用される(図5Bを参照)。ナノワイヤは、容易にドーピングでき、さらに、合金または多相材料として成長できる。適切には、シェルが、シリコンにほとんどが共有結合される炭素の薄層から成るコア/シェル構成において、およそ20nm〜60nmの直径のSiナノワイヤが生成される。この炭素層は、導電性のための経路を提供する。
電池の応用のためのシリコンナノワイヤの適した成長基板:カーボンブラック、黒鉛、グラフェン
【0114】
本発明の方法は、種々の異なる基板材料および形状因子上にシリコンナノワイヤを調製するために利用できる。電池スラリーへの添加剤として使用するために、ナノワイヤを、カーボンブラック、黒鉛、または固まっていないグラフェンナノシート粉末界面上に適切に成長させる。3つ全ての場合において、基板/Siナノワイヤ組成物/添加剤をアノード材料に混合することは非常に簡単である。全体を通して記載されているように、グラフェンまたは炭素粉末上にSiナノワイヤを成長させることにより、構造が、Si材料のリチウム化および非リチウム化の間の大きな体積変化に適合することを可能にする。このため、Siナノワイヤ材料は、黒鉛系インクまたはスラリーに直接利用できる。
【0115】
カーボンブラックは、ナノワイヤ、ならびに電池アノードに適したマトリクス材料にとって効率的な成長基板であり、スラリー形成に容易に統合できる。ナノワイヤは、広範囲にわたって調整でき、このため所望の性能特性に適合できる密度で、カーボンブラック、ならびに他の基板上に成長させることができる。図6は、カーボンブラック上に成長させたシリコンナノワイヤのSEM顕微鏡写真を示す。ナノワイヤは、大きな表面積およびリチウム化およびイオンならびに電子移動のアクセスの容易さを提供する、織り交ぜられたおよび重複した網状組織を形成する。
【0116】
図7Aおよび7B内の顕微鏡写真は、高い(A)および低い(B)倍率の黒鉛箔上で成長させたSiナノワイヤを示す。図24Aおよび24Bは、低い倍率(A)および高い倍率(B)のSiナノワイヤを示す。ナノワイヤの平均直径は約45nmである。
【0117】
図8Aおよび8Bは、グラフェン粉末(B)上に成長した固まっていないグラフェンマイクロシート粉末(A)およびシリコンナノワイヤのSEM顕微鏡写真を示す。ナノワイヤの平均直径は50nmである。ナノまたはマイクログラフェンナノシート粉末上に成長したSiナノワイヤは、高い表面積および高い機械的柔軟性を添加剤に提供する。黒鉛箔およびグラフェン粉末の両方は、共に、Siナノワイヤの体積変化の適合を可能にし、高い導電性を提供する。
【0118】
図9は、結晶性コア902および非晶質シェル904を有するシリコンナノワイヤ900の透過型電子顕微鏡(TEM)顕微鏡写真を示す。Siナノワイヤは、適切には、シェル直径比率へ調整可能なコアを有するコアシェル構造を有する。コアは、結晶性およびシェル非結晶性である。最終的な界面層は、大部分がシェルに共有結合される炭素の導電性薄層である。ナノワイヤは、およそ約100原子半径の半径方向の寸法を有し、このため、リチウム化の際に、格子の歪みを、弾力的に吸収することができる。弾力的に適合するには歪みが大きくなりすぎる場合、結晶性Siから非晶質Siへの相変態が生じる。リチウム原子の結晶への連続的な組み込みの際において、ナノワイヤは、最終的に、プラスチック変形、および突出またはナノワイヤの表面から延在する葉状構造906の生成による歪みの増加に適合する。
【0119】
薄膜材料のこれらの突出により、Si材料自体の導電性は低下し、このため、サイクリングにおけるSi材料の容量は減少する。しかしながら、Cシェルで被覆されたSiコアナノワイヤの場合に、これらの突出は、滑らかなナノワイヤと比較して、より大きい表面積およびリチウムイオンのためのより短い拡散経路を生成する利点を提供する。さらに、ワイヤ表面および電極内の炭素粉末または黒鉛粉末上の炭素の存在により、導電性の喪失が避けられる。このさらなる表面積は、充電サイクル数の増加にともなう、本発明のSiナノワイヤを含む電池アノードの容量の低減ではなく、増加をもたらす。
【0120】
ナノワイヤは、球体のナノ粒子と同じレベルで実現される、見えない連続的な導電経路を提供する。その本来の性質により、球体は、導電性に貢献する限られた数の球体と球体との点の接触のみを有する。ナノワイヤは、さらに、多孔性の調整において追加の自由度も提供する。’
【0121】
図25Aおよび図25Bは、結晶性コア(約15〜20nmの厚さ)を有するシリコンナノワイヤ、および非結晶(Si−Oが関与する場合がある)および炭素シェルで覆われたポリSiシェル(約10〜15nmの厚さ)の組み合わせのTEM顕微鏡写真を示す。図25Aを参照すると、シリコンナノワイヤ2500は、第1の側面2504および第2の側面2506を含む炭素シェルを有する、およそ14.76nmの結晶性コア2502を有する。炭素シェルの第1の側2504はおよそ13.2nmの厚さを有し、炭素シェルの第2の側2506はおよそ10.03nmの厚さを有する。図25Bを参照すると、シリコンナノワイヤ2550は、第1の側2554および第2の側2556を含む、炭素シェルを有する、およそ19.44nmの結晶性コア2552を有する。炭素シェルの第1の側2554は、およそ13.93nmの厚さを有し、炭素シェルの第2の側2556は、およそ11.42nmの厚さを有する。
リチウム箔対電極を有する、ステンレス鋼電極上のSiナノワイヤの容量
【0122】
Siナノワイヤの電荷容量およびサイクル効率性を計測するために、ナノワイヤを、アノードとして鉄鋼基板上に成長させ、これは、対電極としてリチウム箔と共に使用された。
【0123】
図10は、2つの異なる直径を有する、ナノワイヤの電荷容量およびサイクル効率性を示す。より細い(40nm)直径のワイヤ(図中では黒塗りのひし形)は、第1サイクル効率が85%(図中では白抜きの正方形)の、第1のサイクルにおいて4200mAh/gの最大容量のバルクシリコンの理論的な容量を実現する。サイクル数の増加と共に、電荷容量は低減し、これは実験的配設のアーチファクトであり、結合剤および添加剤の喪失により生じる。より太い(80nm)ナノワイヤは、より少ない(2110mAh/g)初期容量(図中では黒塗りの円)を示し、これは増加する充電サイクル数と共に増加する。この挙動は、Liの拡散距離がより長く、表面突出による歪みの弛緩がより難しいという事実により、理解できる。この場合の第1サイクル喪失は、同様に、15%である(図中では白抜きの正方形)。
【0124】
これらの測定は、理論的な電荷容量を40nmの太さのワイヤで示すことができることを、明らかに実証する。後述のように、これらのSiナノワイヤは、ほとんどまたは全く低減せずに、80サイクルの間維持可能な改善された容量を提供する電極を開発するために使用されている。
シリコン薄膜および粉末を有するシリコンナノワイヤの比較
【0125】
Siナノワイヤは、Si薄膜、バルクSi、またはSi粉末とはかなり異なる挙動をする。シリコンナノワイヤがステンレス鋼基板上に生成される場合、さらに、シリコンの薄い層もステンレス基板上でナノワイヤのベース間に生成される。従って、本明細書に提供されている測定は、ナノワイヤおよびSi薄膜の両方からの貢献を含む。図11は、異なる直径を有するSi NWについて、0.1mV/sで得られた電流対電位の曲線を示す。0.48Vにおける鋭角の頂点は、直接、Siナノワイヤに関連する。0.29Vにおける特徴は、薄膜の形態のシリコンの痕跡(signature)である。非常に薄いワイヤについて、薄膜の体積分率は、その貢献が、電流対電位走査に貢献できるほど十分大きくなる。シリコンの荷電ピークにおける非常に大きな電流は、ナノワイヤが急速充電を可能にする理由の一部となっている。
【0126】
図12においてはっきりと異なる挙動が見られ、ここで、ナノワイヤのないシリコン薄膜が、ナノワイヤを有する薄膜と比較される。ナノワイヤを有するサンプル上の走査では、0.5Vに近い追加のピークが観察される。
【0127】
図26は、SiNWとSi粉末との間の差を示す、フーリエ変換赤外分光(FTIR)測定を示す。FTIRは、Si−Oがおよそ1070cm-1で伸びることを示唆し、SiO2がシェル材料に存在するかもしれないことを示す。
Siナノワイヤ上の炭素被覆
【0128】
炭素被覆は、Siナノワイヤの導電性およびリチウムイオン電池の炭素系スラリーへSiナノワイヤを統合する能力を適切に向上させる。炭素系ポリマー(SBR、CMC、PVDF等)は、一般的には、電池スラリー内の結合剤として使用される。実施形態では、結合剤は、Siナノワイヤ上の炭素被覆の炭素源として使用される。Siナノワイヤ上に炭素被覆を形成するための炭素系ポリマーの炭化は、さらに、Siナノワイヤ上の炭素系ポリマーと炭素被覆との間の相互作用を改善する場合がある。
【0129】
図21Aおよび21Bは、炭素被覆2102を有するSiナノワイヤ2104を示す顕微鏡写真である。炭素被覆2102は、SBR(スチレンブタジエンゴム)を分解することにより実現した。この例において、Siナノワイヤ2104はSBRと混合され、次いで、炭素被覆2102を形成するために、アルゴンの存在下で、2時間、約700℃で加熱された。
【0130】
図22は、炭素被覆2202を有するSiナノワイヤ2204を示す顕微鏡写真である。炭素被覆2202は、PVDF(ポリ(フッ化ビニリデン))を分解することにより実現された。この例において、Siナノワイヤ2204は、PVDFと混合され、次いで、炭素被覆2202を形成するために、アルゴンの存在下で、2時間、約900℃で加熱された。
【0131】
炭素被覆(例えば炭素の表面層または炭素シェル)を有するSiナノワイヤは、リチウムイオン電池で使用する場合に、より良いサイクリング性能を示す。改善された性能は、特にSiおよび炭素被覆されたSiに対する、電極材料の表面上の不動態化膜の形成による場合がある。
【0132】
図23Aおよび図23Bは、数回の充電/放電サイクル後の本発明の実施形態のSiナノワイヤを示す顕微鏡写真である。図23Aは、2回の充電/放電サイクル後に大きな形態変化が生じなかったことを示す。図23Bは、Siナノワイヤが10回の充電/放電サイクル後により多孔性になったことを示す。
【0133】
図23Cおよび図23Dは、数回の充電/放電サイクル後の、本発明の実施形態の炭素被覆されたSiナノワイヤを示す顕微鏡写真である。これらの図中のSiナノワイヤは、分解されたPVDFを使用して炭素被覆された。2回の充電/放電サイクル後に、図23Cに示されるように、炭素被覆されたSiナノワイヤにおいて大きな形態変化は存在せず、炭素被覆は影響を受けないままである。10回の充電/放電サイクル後、図23Dに示されるように、炭素被覆されたSiナノワイヤには大きな形態変化は存在しないが、炭素被覆はSiナノワイヤの長さに沿って割れる(split)。
例2
ナノワイヤ炭素系基板添加剤を使用したアノードの調製および特性評価
増加したアノード容量およびサイクル寿命
【0134】
商用電池の仕様に近づけるため、および基準および制御を目的として、10%炭素および10%PVDF(Li−G−C−PVDF)を有する80%黒鉛の混合物を、電池スラリーとして利用した。本発明のナノワイヤ材料の容量を決定するために、10%の黒鉛を、10%Siナノワイヤ材料(Li−SiNW−G−C−PVDF)に代えた。図13は、結果として得られたナノワイヤを使用した場合の容量の増加を示す。容量増加は、最初、30%であり、約60回の充電/放電サイクル後に50%まで増加し続ける。サイクル数に伴う容量の増加は、数回のサイクル(図14)後のSi NWの構造をSEM顕微鏡写真で精査することによって説明できる。以前滑らかであったナノワイヤ表面が、微細構造になり、表面積が増加し、このためシリコンとイオン導体との間の界面面積が大きくなり、Siナノワイヤ内のLiの拡散経路は短くなる。
【0135】
図27は、10%Siナノワイヤ、10%PVDF、および80%黒鉛炭素を含む第1のアノード、および黒鉛炭素およびPVDFのみを含む第2のアノードのサイクル数の関数としての、容量のグラフを示す。サイクリング性能が、10定電圧(CV)および3定電流(CC)サイクル後のセルについて得られた。図27に示されるサイクリング結果が、約1.5時間/ハーフサイクルのCCサイクルを用いて試験された。第1のアノード(Siナノワイヤ、黒鉛、およびPVDFを含む)について、250サイクルで30%を超える容量増加が実現された。
Liイオン電池:ナノワイヤ材料に対する電流パルスへの高速応答レート
【0136】
図15は、対照としてのナノワイヤを持たない同じセルと比較した、Li SiNWアノード/Li CoO2カソードセルの充電サイクリング挙動を示す。アノード内にナノワイヤを含むセルは、種々の電流パルス(例えば3秒のタイムスロットで1mA)に対する非常に速い応答速度を示す。この速い速度は、効率的な電導を提供する独自の網状組織構造と共に、Liイオンのための大きな表面積および短い拡散経路に貢献できる。
ポリマー結合剤の均一分布
【0137】
本明細書に記載されているように、適切には、本発明の添加剤のナノワイヤは、織り交ぜられた、交互的な、または重複する網上組織で配設される。しかしながら、効率的な電池設計のために、炭素だけでなく、結合剤(例えば導電性ポリマーまたは「ポリマー結合剤」)も均一に分散することが重要である。ポリマーの均一の分布を示すために、エネルギー分散型X線(EDX)分析を使用して追跡可能なモデル物質として、鉛(Pb)で染色されたNAFION(登録商標)を使用した。図16A〜図16Cは、Siナノワイヤ上のCおよび結合剤の均一分布を示す、Siナノワイヤ(16A)、炭素(16B)、およびPb(16C)の走査型透過電子顕微鏡(STEM)EDX要素マップを示す。ナノワイヤ網上組織表面積は、商用電池の黒鉛粉末(〜1m2/g)のものよりもかなり大きい、20-60nmのナノワイヤに対して30〜100m2/gに調整できる。
【0138】
熱処理電池電極は、結合剤分布を改善する場合があり、従って、より良いサイクリングがもたらされる場合がある。一例において、PVDF−SiNW−黒鉛−導電性カーボンブラックを有する箔が、8時間、アルゴン中4%水素の下で、300℃で加熱された。PVDFの融点は約160℃である。PVDFの開始温度は、350℃よりも高く、そのため、300℃は、本発明の実施形態の熱処理の有効な温度である。
【0139】
熱処理Siナノワイヤ−黒鉛−PVDF電極は、電流コレクタ(例えばCu)との接着を向上する場合があり、より重要なことに、比較的密度が高く/均一な被覆層を作り出す場合がある。改善された電流コレクタ上の被覆層の接着は、より良いサイクリング性能をもたらす場合がある。さらに、結合剤および活性材料粉末の間のより良い相互作用は、さらに、サイクリング性能に影響を与える固体電解質界面(SEI)内の変化の減少をもたらす場合がある。
既存のスラリー調製の製造および既存のスラリー調製への統合
【0140】
本明細書に記載されているように、Siナノワイヤを多数の基板上に配設することができる。全体を通じて記載されている方法を使用して、広い範囲にわたり、高い歩留まりで、ナノワイヤ直径(例えば20〜200nm)、長さ(例えば約50um)、テーパ(通常、ゼロを目標とする)、サイズ分布(>+/−20%半値全幅)、およびドーピング(所望の場合)を容易に制御できる。調整可能なコア/シェル比率およびグラフィック表面層を有するSiコアおよびSiCシェルを有するナノワイヤを、容易に生産できる。生産出力は、実験スケールから100倍にスケールアップされており、大量生産(毎年50トンのSiNW)のために設計された製造ラインの試作品で試験され、良好な結果を得ている。
【0141】
例示的な製造工程を、図17に示す。この工程は、2009年6月29日に出願された、米国特許仮出願第61/221,2501号、表題「Methods for Growth of High Density Nanowires」、代理人整理番号2132.0680000、および、2009年5月19日に出願された米国特許仮出願第61/179,663号に開示されているように、ナノワイヤを成長させる大量、高密度の方法を利用する。Siナノワイヤの成長は、適切には、シリコンが豊富な化学的蒸着環境の金コロイド触媒からのナノワイヤ核生成を利用する。図17に記載されるように、フローチャート1700に示される生産方法は、アルミニウム箔がエンボス加工されるステップ1702を適切に含む。ステップ1704において、箔は、次いで、従来の溶媒を使用して清浄化され、ステップ1706において、基板表面が調製される(例えば炭素系基板)。金コロイドは、ステップ1708において基板に配設され、次いで、ステップ1710において乾燥される。次いで、ナノワイヤ成長が、ステップ1712において、VLS−工程(本明細書に記載される他の工程も使用できる)を用いて実施される。次いで、ナノワイヤが(例えば、超音波処理により)ステップ1714において回収され、ステップ1716において濾過され、ステップ1718において乾燥される。ナノワイヤは、本明細書に記載されているように添加剤として使用されるために、ステップ1720においてボールミルで粉砕することができる。適切には、米国特許仮出願第61/221,501号、2009年6月29日に出願された、表題「Methods for Growth of High Density Nanowires」、代理人整理番号2132.0680000、および米国特許仮出願第61/179,663号に記載されるように、カートリッジアセンブリ1722が、多数のナノワイヤの調製を容易にするように使用される。
【0142】
図18は、本発明の添加剤を既存のスラリー調製プロトコル/装置設計1800へ導入する例示的な工程を記載する。図18に示されるように、例示的な調製プロトコル/装置設計1800は、適切には、ポンプ1802、粉末移送送風機1804および1810、およびポジティブスラリー混合機1806およびネガティブスラリー混合機1808を含む。ポジティブおよびネガティブスラリー混合機は、それぞれ、スラリーポンプ1812および1814へと供給する。スラリーポンプ1812および1814は、それぞれ、ポジティブ塗装機乾燥機1818およびネガティブ塗装機乾燥機1820へと供給する。溶媒回収機構1816も提供されている。ポジティブ塗装機乾燥機1818およびネガティブ塗装機乾燥機1820は、共に、例示的な調製プロトコル/装置設計1800を終了させる、ロール貯蔵庫1822へと供給する。全体を通して記載されているように、本発明の添加剤は、1824において、粉末移送送風機1810へ適切に添加され、これは、次いで混合されてアノードに調製される。他の適した調製プロトコル/装置設計が、当業者によって容易に想像されるであろう。また、1800に示される設計は、一例として例示されることを目的とするにすぎない。
【0143】
本発明の例示的な実施形態が提示された。本発明はこれらの例に限定されない。これらの例は、例示のために本明細書に提示されたのであって、限定のために本明細書に提示されたのではない。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づく(本明細書に記載された実施形態の均等物、拡張、変形、誘導型等を含む)代替実施形態が明白であろう。このような代替実施形態は本発明の範囲および趣旨に含まれる。
【0144】
本明細書において記載されている全ての文書、特許および特許出願は、本発明に関連する当該技術の当業者の技術水準を示すものであり、これらは、あたかも各個別の文書、特許または特許出願が、参照により組み込まれることが具体的におよび個別に示されているのと同程度に、参照により、本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を含む、電池スラリーで使用するための添加剤。
【請求項2】
前記Si系ナノ構造は、Si系ナノワイヤまたはSi系ナノ粒子である、請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
前記Si系ナノワイヤは、コアシェル構造を有する、請求項2に記載の添加剤。
【請求項4】
前記コアはSiを含み、前記シェルはCを含む、請求項3に記載の添加剤。
【請求項5】
前記Si系ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項2に記載の添加剤。
【請求項6】
前記添加剤は、約1重量%〜約80重量%の前記スラリーを含む、請求項1に記載の添加剤。
【請求項7】
前記添加剤は、約10重量%の前記スラリーを含む、請求項6に記載の添加剤。
【請求項8】
前記Si系ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項1に記載の添加剤。
【請求項9】
前記ポリマー結合剤は二フッ化ポリビニリデンである、請求項8に記載の添加剤。
【請求項10】
1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を含む、電池スラリー。
【請求項11】
前記Si系ナノ構造は、Si系ナノワイヤまたはSi系ナノ粒子である、請求項10に記載の電池スラリー。
【請求項12】
前記Si系ナノワイヤは、コアシェル構造を有する、請求項11に記載の電池スラリー。
【請求項13】
前記コアはSiを含み、前記シェルはCを含む、請求項12に記載の電池スラリー。
【請求項14】
前記Si系ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項11に記載の電池スラリー。
【請求項15】
前記スラリーは、約1重量%〜約80重量%の前記炭素含有Si系ナノ構造を含む、請求項10に記載の電池スラリー。
【請求項16】
前記スラリーは、約10重量%の前記炭素含有Si系ナノ構造を含む、請求項15に記載の電池スラリー。
【請求項17】
前記Si系ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項10に記載の電池スラリー。
【請求項18】
前記ポリマー結合剤は二フッ化ポリビニリデンである、請求項17に記載の電池スラリー。
【請求項19】
炭素系材料をさらに含む、請求項10に記載の電池スラリー。
【請求項20】
前記炭素系材料は、炭素または黒鉛である、請求項19に記載の電池スラリー。
【請求項21】
1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を含む、電池電極。
【請求項22】
前記Si系ナノ構造は、Si系ナノワイヤまたはSi系ナノ粒子である、請求項21に記載の電池電極。
【請求項23】
前記Si系ナノワイヤは、コアシェル構造を有する、請求項22に記載の電池電極。
【請求項24】
前記コアはSiを含み、前記シェルはCを含む、請求項23に記載の電池電極。
【請求項25】
前記Si系ナノワイヤは、前記ナノワイヤに挿入されたLiを含む、請求項22に記載の電池電極。
【請求項26】
前記Si系ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項22に記載の電池電極。
【請求項27】
前記電極は、約1重量%〜約80重量%の前記炭素含有Si系ナノ構造を含む、請求項21に記載の電池電極。
【請求項28】
前記電極は、約10重量%の前記炭素含有Si系ナノ構造を含む、請求項27に記載の電池電極。
【請求項29】
前記Si系ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項21に記載の電池電極。
【請求項30】
前記ポリマー結合剤は二フッ化ポリビニリデンである、請求項29に記載の電池電極。
【請求項31】
前記Si系ナノ構造は、Li箔に埋め込まれる、請求項21に記載の電池電極。
【請求項32】
前記電極はアノードである、請求項21に記載の電池電極。
【請求項33】
1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を含むアノードを有する、電池。
【請求項34】
前記電池はLiイオン電池である、請求項33に記載の電池。
【請求項35】
カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に位置付けられた電解質セパレータとをさらに備える、請求項33に記載の電池。
【請求項36】
前記カソードは、LiCoO2、LiFePO4、LiMnO2、LiMnO4、LiNiCoAlO/LiNiCoMnO+LiMn24、LiCoFePO4、またはLiNiO2を含む、請求項35に記載の電池。
【請求項37】
前記アノード、前記電解質セパレータ、および前記カソードを収容する筐体をさらに備える、請求項35に記載の電池。
【請求項38】
炭素系基板上に配設された1つ以上のナノ構造を含む、電池スラリーで使用するための添加剤。
【請求項39】
前記ナノ構造は、ナノワイヤまたはナノ粒子である、請求項38に記載の添加剤。
【請求項40】
前記ナノワイヤはコアシェル構造を有する、請求項39に記載の添加剤。
【請求項41】
前記ナノワイヤは結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含む、請求項40に記載の添加剤。
【請求項42】
前記ナノワイヤまたはナノ粒子は、Siを含む、請求項39に記載の添加剤。
【請求項43】
前記コアはSiを含む、請求項40に記載の添加剤。
【請求項44】
前記シェルはCを含む、請求項43に記載の添加剤。
【請求項45】
前記ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項39に記載の添加剤。
【請求項46】
前記炭素系基板は、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末、または黒鉛箔である、請求項38に記載の添加剤。
【請求項47】
前記添加剤は、約1重量%〜約80重量%の前記スラリーを含む、請求項38に記載の添加剤。
【請求項48】
前記添加剤は、約10重量%の前記スラリーを含む、請求項47に記載の添加剤。
【請求項49】
前記ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項38に記載の添加剤。
【請求項50】
前記ポリマー結合剤は二フッ化ポリビニリデンである、請求項49に記載の添加剤。
【請求項51】
炭素系基板上に配設された1つ以上のナノ構造を含む、電池スラリー。
【請求項52】
前記ナノ構造は、ナノワイヤまたはナノ粒子である、請求項51に記載の電池スラリー。
【請求項53】
前記ナノワイヤはコアシェル構造を有する、請求項52に記載の電池スラリー。
【請求項54】
前記ナノワイヤは結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含む、請求項53に記載の電池スラリー。
【請求項55】
前記ナノワイヤまたはナノ粒子はSiを含む、請求項52に記載の電池スラリー。
【請求項56】
前記コアはSiを含む、請求項53に記載の電池スラリー。
【請求項57】
前記シェルはCを含む、請求項56に記載の電池スラリー。
【請求項58】
前記ナノワイヤは約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項52に記載の電池スラリー。
【請求項59】
前記炭素系基板は、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末、または黒鉛箔である、請求項51に記載の電池スラリー。
【請求項60】
前記電極は、前記炭素系基板に配設された約1重量%〜約80重量%の前記ナノ構造を含む、請求項51に記載の電池スラリー。
【請求項61】
前記電極は、前記炭素系基板に配設された約10重量%の前記ナノ構造を含む、請求項60に記載の電池スラリー。
【請求項62】
前記ナノ構造に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項51に記載の電池スラリー。
【請求項63】
前記ポリマー結合剤は二フッ化ポリビニリデンである、請求項62に記載の電池スラリー。
【請求項64】
炭素系材料をさらに含む、請求項51に記載の電池スラリー。
【請求項65】
前記炭素系材料は炭素または黒鉛である、請求項64に記載の電池スラリー。
【請求項66】
炭素系基板に配設された1つ以上のナノ構造を含む、電池電極。
【請求項67】
前記ナノ構造はナノワイヤまたはナノ粒子である、請求項66に記載の電池電極。
【請求項68】
前記ナノワイヤはコアシェル構造を有する、請求項67に記載の電池電極。
【請求項69】
前記ナノワイヤまたはナノ粒子はSiを含む、請求項67に記載の電池電極。
【請求項70】
前記ナノワイヤは結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含む、請求項68に記載の電池電極。
【請求項71】
前記コアはSiを含む、請求項68に記載の電池電極。
【請求項72】
前記シェルはCを含む、請求項71に記載の電池電極。
【請求項73】
前記ナノワイヤは、前記ナノワイヤに挿入されたLiを含む、請求項67に記載の電池電極。
【請求項74】
前記ナノワイヤは約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項67に記載の電池電極。
【請求項75】
前記炭素系基板はカーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末、または黒鉛箔である、請求項66に記載の電池電極。
【請求項76】
前記電極は、前記炭素系基板上に配設された約1重量%〜約80重量%の前記ナノ構造を含む、請求項66に記載の電池電極。
【請求項77】
前記電極は、前記炭素系基板上に配設された約10重量%の前記ナノ構造を含む、請求項76に記載の電池電極。
【請求項78】
前記ナノ構造に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項66に記載の電池電極。
【請求項79】
前記ポリマー結合剤は二フッ化ポリビニリデンである、請求項78に記載の電池電極。
【請求項80】
電極前記ナノ構造はLi箔に埋め込まれる、請求項66に記載の電池電極。
【請求項81】
前記電極はアノードである、請求項66に記載の電池電極。
【請求項82】
炭素系基板上に配設された1つ以上のナノ構造を含むアノードを有する、電池。
【請求項83】
カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に位置付けられた電解質セパレータと、をさらに備える、請求項82に記載の電池。
【請求項84】
前記カソードは、LiCoO2、LiFePO4、LiMnO2、LiMnO4、LiNiCoAlO/LiNiCoMnO+LiMn24、LiCoFePO4、またはLiNiO2を含む、請求項83に記載の電池。
【請求項85】
前記アノード、前記電解質セパレータ、および前記カソードを収容する筐体をさらに備える、請求項83に記載の電池。
【請求項86】
電池電極を調製する方法であって、
(A)1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を提供することと、
(B)スラリーを形成するように、前記Si系ナノ構造をポリマー結合剤および炭素系材料と混合することと、
(c)前記スラリーを前記電池電極に形成することと、を含む、方法。
【請求項87】
前記提供することは、Si系ナノワイヤまたはSi系ナノ粒子を提供することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記提供することは、コアシェル構造を有するSi系ナノワイヤを提供することを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記提供することは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有するSi系ナノワイヤを提供することを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記提供することは、SiコアおよびCシェル構造を有するナノワイヤを提供することを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記提供することは、Si系ナノ構造として約1重量%〜約80重量%の前記電極を提供することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記提供することは、Si系ナノ構造として約10重量%の前記電極を提供することを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記混合することは、二フッ化ポリビニリデンを含むポリマー結合剤と混合することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項94】
前記混合することは、黒鉛または炭素と混合することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項95】
電池を調製する方法であって、
(a)1つ以上の炭素含有Si系ナノ構造を提供することと、
(b)スラリーを形成するために、前記Si系ナノ構造をポリマー結合剤および炭素系材料と混合することと、
(c)前記スラリーを電池アノードに形成することと、
(d)前記アノードとカソードとの間にセパレータを配設することと、を含む、方法。
【請求項96】
前記提供することは、Si系ナノワイヤまたはSi系ナノ粒子を提供することを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記提供することは、コアシェル構造を有する、Si系ナノワイヤを提供することを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記提供することは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有するSiナノワイヤを提供することを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記提供することは、SiコアおよびCシェル構造を有するSi系ナノワイヤを提供することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記提供することは、前記アノードの約1重量%〜約80重量%をSi系ナノ構造として提供することを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項101】
前記提供することは、前記アノードの約10重量%をSi系ナノ構造として提供することを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
混合することは、二フッ化ポリビニリデンを含むポリマー結合剤と混合することを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項103】
前記混合することは、黒鉛または炭素と混合することを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記配設することは、前記アノードと前記カソードとの間にポリマー結合剤の膜を配設することを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
電池電極を調製する方法であって、
(a)炭素系基板上に配設された1つ以上のナノ構造を提供することと、
(b)スラリーを形成するために、前記ナノ構造をポリマー結合剤および炭素系材料と混合することと、
(c)前記スラリーを前記電池電極に形成することと、を含む、方法。
【請求項106】
前記提供することは、前記炭素系基板上に配設されたナノワイヤまたはナノ粒子を提供することを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記提供することは、前記炭素系基板上に配設されたSiナノワイヤまたはSiナノ粒子を提供することを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記提供することは、コアシェル構造を有するナノワイヤを提供することを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記提供することは、結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含むナノワイヤを提供することを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記提供することは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有するナノワイヤを提供することを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項111】
前記提供することは、SiコアおよびCシェル構造を有するナノワイヤを提供することを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記提供することは、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末、または黒鉛箔上に配設された1つ以上のナノ構造を提供することを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項113】
前記提供することは、前記電極の約1重量%〜約80重量%を前記炭素系基板上に配設されたナノ構造として提供することを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項114】
前記提供することは、前記電極の約10重量%をナノ構造として提供することを含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
混合することは、二フッ化ポリビニリデンを含むポリマー結合剤と混合することを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項116】
前記混合することは、黒鉛または炭素と混合することを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項117】
電池を調製する方法であって、
(a)炭素系基板上に配設された1つ以上のナノ構造を提供することと、
(b)スラリーを形成するために、前記ナノ構造をポリマー結合剤および炭素系材料と混合することと、
(c)前記スラリーを電池アノードに形成することと、
(d)前記アノードとカソードとの間にセパレータを配設することと、を含む、方法。
【請求項118】
前記提供することは、前記炭素系基板上に配設されたナノワイヤまたはナノ粒子を提供することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記提供することは、前記炭素系基板上に配設されたSiナノワイヤまたはSiナノ粒子を提供することを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記提供することは、コアシェル構造を有する、ナノワイヤを提供することを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
前記提供することは、結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含むナノワイヤを提供することを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記提供することは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有するナノワイヤを提供することを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項123】
前記提供することは、SiコアおよびCシェル構造を有するナノワイヤを提供することを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項124】
前記提供することは、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラフェン粉末、または黒鉛箔上に配設された1つ以上のナノ構造を提供することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項125】
前記提供することは、前記アノードの約1重量%〜約80重量%を前記炭素系基板上に配設されたナノ構造として提供することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項126】
前記提供することは、前記アノードの約10重量%をナノ構造として提供することを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
混合することは、二フッ化ポリビニリデンを含むポリマー結合剤と混合することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項128】
前記混合することは、黒鉛または炭素と混合することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項129】
前記配設することは、前記アノードと前記カソードとの間にポリマー結合剤の膜を配設することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項130】
1つ以上のナノ構造を含む電池スラリーで使用するための添加剤であって、前記1つ以上のナノ構造は、
(a)ナノスケール骨格と、
(b)前記ナノスケール骨格上に配設されたSi系層と、
(c)前記Si系層上に配設された炭素系層と、を備える、添加剤。
【請求項131】
前記ナノスケール骨格は、ナノワイヤ、ナノ繊維、またはナノチューブを含む、請求項130に記載の添加剤。
【請求項132】
前記ナノスケール骨格は、SiナノワイヤまたはSiナノ繊維を含む、請求項130に記載の添加剤。
【請求項133】
前記ナノスケール骨格は、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維を含む、請求項130に記載の添加剤。
【請求項134】
前記Si系層は非晶質Siを含む、請求項130に記載の添加剤。
【請求項135】
前記Si系層は結晶性Siを含む、請求項130に記載の添加剤。
【請求項136】
前記炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維は、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項133に記載の添加剤。
【請求項137】
前記添加剤は、約1重量%〜約80重量%の前記スラリーを含む、請求項130に記載の添加剤。
【請求項138】
前記添加剤は、約10重量%の前記スラリーを含む、請求項137に記載の添加剤。
【請求項139】
前記ナノ構造に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項130に記載の添加剤。
【請求項140】
前記ポリマー結合剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)である、請求項139に記載の添加剤。
【請求項141】
1つ以上のナノ構造を含む電池スラリーであって、前記1つ以上のナノ構造は、
(a)ナノスケール骨格と、
(b)前記ナノスケール骨格上に配設されたSi系層と、
(c)前記Si系層上に配設された炭素系層と、を備える、電池スラリー。
【請求項142】
前記ナノスケール骨格は、ナノワイヤ、ナノ繊維、またはナノチューブを含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項143】
前記ナノスケール骨格は、SiナノワイヤまたはSiナノ繊維を含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項144】
前記ナノスケール骨格は、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維を含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項145】
前記Si系層は、非晶質Siを含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項146】
前記Si系層は、結晶性Siを含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項147】
前記炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維は、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項144に記載の電池スラリー。
【請求項148】
前記スラリーは、約1重量%〜約80重量%の前記ナノ構造を含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項149】
前記スラリーは、約10重量%の前記ナノ構造を含む、請求項148に記載の電池スラリー。
【請求項150】
前記ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項151】
前記ポリマー結合剤はスチレンブタジエンゴム(SBR)である、請求項150に記載の電池スラリー。
【請求項152】
炭素系材料をさらに含む、請求項141に記載の電池スラリー。
【請求項153】
前記炭素系材料は炭素または黒鉛である、請求項152に記載の電池スラリー。
【請求項154】
1つ以上のナノ構造を含む電池電極であって、前記1つ以上のナノ構造は、
(a)ナノスケール骨格と、
(b)前記ナノスケール骨格上に配設されたSi系層と、
(c)前記Si系層上に配設された炭素系層と、を備える、電池電極。
【請求項155】
前記ナノスケール骨格は、ナノワイヤ、ナノ繊維、またはナノチューブを含む、請求項154に記載の電池電極。
【請求項156】
前記ナノスケール骨格は、Siナノワイヤ、またはSiナノ繊維を含む、請求項154に記載の電池電極。
【請求項157】
前記ナノスケール骨格は、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維を含む、請求項154に記載の電池電極。
【請求項158】
前記Si系層は非晶質Siを含む、請求項158に記載の電池電極。
【請求項159】
前記Si系層は結晶性Siを含む、請求項154に記載の電池電極。
【請求項160】
前記ナノ構造は、前記炭素系層に挿入されたLiを含む、請求項154に記載の電池電極。
【請求項161】
炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維は、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを含む、請求項157に記載の電池電極。
【請求項162】
前記電極は、約1重量%〜約80重量%の前記ナノ構造を含む、請求項154に記載の電池電極。
【請求項163】
前記電極は、約10重量%の前記ナノ構造を含む、請求項162に記載の電池電極。
【請求項164】
前記ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項154に記載の電池電極。
【請求項165】
前記ポリマー結合剤はスチレンブタジエンゴム(SBR)である、請求項164に記載の電池電極。
【請求項166】
前記ナノ構造はLi箔に埋め込まれる、請求項154に記載の電池電極。
【請求項167】
前記電極はアノードである、請求項154に記載の電池電極。
【請求項168】
1つ以上のナノ構造を含むアノードを有する電池であって、前記1つ以上のナノ構造は、
(a)ナノスケール骨格と、
(b)前記ナノスケール骨格上に配設されたSi系層と、
(c)前記Si系層上に配設された炭素系層と、を備える、電池。
【請求項169】
前記電池はLiイオン電池である、請求項168に記載の電池。
【請求項170】
カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に位置付けられた電解質セパレータとをさらに含む、請求項168に記載の電池。
【請求項171】
前記カソードは、LiCoO2、LiFePO4、LiMnO2、LiMnO4、LiNiCoAlO/LiNiCoMnO+LiMn24、LiCoFePO4、またはLiNiO2を含む、請求項170に記載の電池。
【請求項172】
前記アノード、前記電解質セパレータ、および前記カソードを収容する筐体をさらに備える、請求項170に記載の電池。
【請求項173】
炭素被覆されたナノ構造を調製する方法であって、
(a)ナノスケール骨格を提供することと、
(b)前記ナノスケール骨格上に炭素含有ポリマーを配設することと、
(c)前記ナノスケール骨格上に炭素被覆を形成するために、前記炭素含有ポリマーを加熱することと、を含む、方法。
【請求項174】
前記(a)のナノスケール骨格を提供することは、ナノワイヤ、ナノ繊維、またはナノチューブを提供することを含む、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記(a)のナノスケール骨格を提供することは、SiナノワイヤまたはSiナノ繊維を提供することを含む、請求項173に記載の方法。
【請求項176】
前記(a)のナノスケール骨格を提供することは、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維を提供することを含む、請求項173に記載の方法。
【請求項177】
前記(b)の炭素含有ポリマーを配設することの前に、前記ナノスケール骨格上にSi系層を配設することをさらに含む、請求項173に記載の方法。
【請求項178】
前記(d)の前記ナノスケール骨格上にSi系層を配設することは、前記ナノスケール骨格上に非晶質Siを配設することを含む、請求項177に記載の方法。
【請求項179】
前記(d)の前記ナノスケール骨格上にSi系層を配設することは、前記ナノスケール骨格上に結晶性Siを配設することを含む、請求項177に記載の方法。
【請求項180】
前記(b)の前記Si系層に炭素含有ポリマーを配設することは、前記Si系層上にスチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうちの少なくとも1つを配設することを含む、請求項173に記載の方法。
【請求項181】
前記(c)の前記炭素含有ポリマーを加熱することは、前記ナノスケール骨格上に前記炭素被覆を形成するように、前記炭素含有ポリマーを約600℃〜約1000℃に加熱することを含む、請求項173に記載の方法。
【請求項182】
前記(c)の前記炭素含有ポリマーを加熱することは、前記ナノスケール骨格上に前記炭素被覆を形成するように、前記炭素含有ポリマーを約700℃に加熱することを含む、請求項181に記載の方法。
【請求項183】
前記(c)の前記炭素含有ポリマーを加熱することは、前記ナノスケール骨格に炭素被覆を形成するように、前記炭素含有ポリマーを約900℃に加熱することを含む、請求項181に記載の方法。
【請求項184】
工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造であって、前記工程は、
(a)ナノスケール骨格を提供することと、
(b)前記ナノスケール骨格上に炭素含有ポリマーを配設することと、
(c)前記ナノスケール骨格上に炭素被覆を形成するために、前記炭素含有ポリマーを加熱することと、を含む、ナノ構造。
【請求項185】
前記(a)の前記ナノスケール骨格を提供することは、ナノワイヤ、ナノ繊維、またはナノチューブを提供することを含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項186】
前記(a)のナノスケール骨格を提供することは、SiナノワイヤまたはSiナノ繊維を提供することを含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項187】
前記(a)の前記ナノスケール骨格を提供することは、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤ、または炭素ナノ繊維を提供することを含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項188】
(b)の炭素含有ポリマーを配設することの前に、前記ナノスケール骨格上にSi系層を配設することをさらに含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項189】
前記(d)の前記ナノスケール骨格上にSi系層を配設することは、前記ナノスケール骨格上に非晶質Siを配設することを含む、請求項188に記載の前記工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項190】
前記(d)の前記ナノスケール骨格上にSi系層を配設することは、前記ナノスケール骨格上に結晶性Siを配設することを含む、請求項188に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項191】
前記(b)の前記Si系層上に炭素含有ポリマーを配設することは、前記Si系層上に、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチル−セルロース(CMC)、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうちの少なくとも1つを配設することを含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項192】
前記(c)の前記炭素含有ポリマーを加熱することは、前記ナノスケール骨格上に前記炭素被覆を形成するように、前記炭素含有ポリマーを約600℃〜約1000℃に加熱することを含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項193】
前記(c)の前記炭素含有ポリマーを加熱することは、前記ナノスケール骨格上に前記炭素被覆を形成するように、前記炭素含有ポリマーを約700℃に加熱することを含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項194】
前記(c)の前記炭素含有ポリマーを加熱することは、前記ナノスケール骨格上に前記炭素被覆を形成するように、前記炭素含有ポリマーを約900℃に加熱することを含む、請求項184に記載の工程によって調製される炭素被覆されたナノ構造。
【請求項195】
請求項184に記載の前記炭素被覆されたナノ構造を含む、電池スラリーで使用するための添加剤。
【請求項196】
請求項184に記載の前記炭素被覆されたナノ構造を含む、電池スラリー。
【請求項197】
請求項184に記載の前記炭素被覆されたナノ構造を含む、電池電極。
【請求項198】
請求項184に記載の前記炭素被覆されたナノ構造を含む、電池。
【請求項199】
約5ミクロン〜約50ミクロンの粒子を含む炭素系粉末上に配設された1つ以上のナノ構造を含む、電池スラリーで使用するための添加剤。
【請求項200】
前記ナノ構造はナノワイヤまたはナノ粒子である、請求項199に記載の添加剤。
【請求項201】
前記ナノワイヤはコアシェル構造を有する、請求項200に記載の添加剤。
【請求項202】
前記ナノワイヤは結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含む、請求項201に記載の添加剤。
【請求項203】
前記ナノワイヤまたはナノ粒子は、Siを含む、請求項200に記載の添加剤。
【請求項204】
前記コアはSiを含む、請求項201に記載の添加剤。
【請求項205】
前記シェルはCを含む、請求項204に記載の添加剤。
【請求項206】
前記ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項200に記載の添加剤。
【請求項207】
前記添加剤は、約1重量%〜約80重量%の前記スラリーを含む、請求項199に記載の添加剤。
【請求項208】
前記添加剤は、約10重量%の前記スラリーを含む、請求項207に記載の添加剤。
【請求項209】
前記ナノ構造に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項199に記載の添加剤。
【請求項210】
前記ポリマー結合剤は、二フッ化ポリビニリデン、スチレンブタジエンゴム、およびカルボキシメチルセルロースのうちの少なくとも1つを含む、請求項209に記載の添加剤。
【請求項211】
前記炭素系粉末は、約20ミクロンの粒子を含む、請求項199に記載の添加剤。
【請求項212】
約5ミクロン〜約50ミクロンの粒子を含む炭素系粉末上に配設された1つ以上のナノ構造を含む、電池スラリー。
【請求項213】
前記ナノ構造は、ナノワイヤまたはナノ粒子である、請求項212に記載の電池スラリー。
【請求項214】
前記ナノワイヤはコアシェル構造を有する、請求項213に記載の電池スラリー。
【請求項215】
前記ナノワイヤは結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含む、請求項214に記載の電池スラリー。
【請求項216】
前記ナノワイヤまたはナノ粒子は、Siを含む、請求項213に記載の電池スラリー。
【請求項217】
前記コアはSiを含む、請求項214に記載の電池スラリー。
【請求項218】
前記シェルはCを含む、請求項217に記載の電池スラリー。
【請求項219】
前記ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項213に記載の電池スラリー。
【請求項220】
前記電極は、前記炭素系基板上に配設された約1重量%〜約80重量%の前記ナノ構造を含む、請求項212に記載の電池スラリー。
【請求項221】
前記電極は、前記炭素系基板上に配設された約10重量%の前記ナノ構造を含む、請求項220に記載の電池スラリー。
【請求項222】
前記ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項212に記載の電池スラリー。
【請求項223】
前記ポリマー結合剤は、二フッ化ポリビニリデン、スチレンブタジエンゴム、およびカルボキシメチルセルロースである、請求項222に記載の電池スラリー。
【請求項224】
前記炭素系粉末は、約20ミクロンの粒子を含む、請求項212に記載の電池スラリー。
【請求項225】
約5ミクロン〜約50ミクロンの粒子を含む炭素系粉末上に配設された1つ以上のナノ構造を含む、電池電極。
【請求項226】
前記ナノ構造はナノワイヤまたはナノ粒子である、請求項225に記載の電池電極。
【請求項227】
前記ナノワイヤはコアシェル構造を有する、請求項226に記載の電池電極。
【請求項228】
前記ナノワイヤまたはナノ粒子はSiを含む、請求項226に記載の電池電極。
【請求項229】
前記ナノワイヤは結晶性のコアおよび非酸化物非結晶性シェルを含む、請求項227に記載の電池電極。
【請求項230】
前記コアはSiを含む、請求項227に記載の電池電極。
【請求項231】
前記シェルはCを含む、請求項230に記載の電池電極。
【請求項232】
前記ナノワイヤは、前記ナノワイヤに挿入されたLiを含む、請求項226に記載の電池電極。
【請求項233】
前記ナノワイヤは、約20nm〜約200nmの直径および約0.1μm〜約50μmの長さを有する、請求項226に記載の電池電極。
【請求項234】
前記電極は、前記炭素系基板上に配設された約1重量%〜約80重量%の前記ナノ構造を含む、請求項225に記載の電池電極。
【請求項235】
前記電極は、前記炭素系基板上に配設された約10重量%の前記ナノ構造を含む、請求項234に記載の電池電極。
【請求項236】
前記ナノ構造上に配設されたポリマー結合剤をさらに含む、請求項225に記載の電池電極。
【請求項237】
前記ポリマー結合剤は、二フッ化ポリビニリデン、スチレンブタジエンゴム、およびカルボキシメチルセルロースである、請求項236に記載の電池電極。
【請求項238】
前記炭素系粉末は、約20ミクロンの粒子を含む、請求項225に記載の電池電極。
【請求項239】
前記ナノ構造はLi箔に埋め込まれる、請求項225に記載の電池電極。
【請求項240】
前記電極はアノードである、請求項225に記載の電池電極。
【請求項241】
約5ミクロン〜約50ミクロンの粒子を含む炭素系基板上に配設された1つ以上のナノ構造を含むアノードを有する、電池。
【請求項242】
カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に位置付けられた電解質セパレータとをさらに含む、請求項241に記載の電池。
【請求項243】
前記カソードは、LiCoO2、LiFePO4、LiMnO2、LiMnO4、LiNiCoAlO/LiNiCoMnO+LiMn24、LiCoFePO4、またはLiNiO2を含む、請求項242に記載の電池。
【請求項244】
前記アノード、前記電解質セパレータ、および前記カソードを収容する筐体をさらに備える、請求項242に記載の電池。
【請求項245】
電池スラリーで使用するための添加剤を調製する方法であって、
(a)約5ミクロン〜約50ミクロンの直径を有する少なくとも1つの粒子を含む炭素系粉末を提供することと、
(b)前記炭素系粉末上にSi系ナノ構造を配設することと、を含む、方法。
【請求項246】
前記(a)の炭素系粉末を提供することは、
約20ミクロンの直径を有する少なくとも1つの炭素系粒子を提供することを含む、請求項245に記載の方法。
【請求項247】
前記(b)の前記炭素系粉末にSi系ナノ構造を配設することは、前記炭素系粉末上にSi系ナノワイヤを成長させることを含む、請求項245に記載の方法。
【請求項248】
(c)前記Si系ナノ構造上に炭素含有ポリマーを配設させることをさらに含む、請求項245に記載の方法。
【請求項249】
前記(c)の前記Si系ナノ構造上に炭素含有ポリマーを配設することは、前記Si系ナノ構造上に、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうちの少なくとも1つを配設することを含む、請求項248に記載の方法。
【請求項250】
前記Si系ナノ構造上に炭素被覆を形成するために、前記炭素含有ポリマーを加熱することをさらに含む、請求項248に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2012−527735(P2012−527735A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511997(P2012−511997)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/035435
【国際公開番号】WO2010/135446
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【Fターム(参考)】