説明

電池アダプタ及びそれを備える電源装置

【課題】 電池アダプタを提供する。
【解決手段】 第1の充電池を接続可能な電圧波形を変換する波形変換装置4に対して、電池アダプタ3は前記第1の充電池に代わって前記第1の充電池とは異なる形状を有する第2の充電池7を接続可能とし、シガーソケット端子33を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池アダプタ及びそれを備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電源からの直流電圧を変換して交流電圧を出力するインバータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−278832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるインバータ装置では、通常、専用の直流電源(例えば、リチウムイオンを用いた電動工具用のバッテリパックなど)を装着している。専用の直流電源とそれ以外の直流電源とは、形状および電気的特性が異なるため、専用の直流電源以外の電源は、インバータ装置に用いることはできなかった。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、専用の直流電源以外の電源をインバータ装置に接続可能とする電池アダプタ及びそれを備える電源装置を提供しようとするものである。例えば、専用の直流電源がリチウムイオンを用いた電動工具用のバッテリパックの場合には、当該電池パックに代わって鉛充電池などの電源をインバータ装置に接続可能な電池アダプタ及びそれを備える電源装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の充電池を接続可能な電圧波形を変換する波形変換装置に対して、前記第1の充電池とは異なる形状を有する第2の充電池を接続可能とする電池アダプタであって、シガーソケット端子を有することを特徴とする電池アダプタを提供している。
【0007】
このような構成によると、シガーソケットを有する外部の電子機器を電子アダプタを用いて利用することができる。
【0008】
前記シガーソケット端子に前記第2の充電池からの電圧波形を変換せずに出力することを特徴とすることが好ましい。このような構成によると、第2の充電池の電圧をそのまま外部の電子機器に用いることができる。
【0009】
前記第2の電池の電圧値を測定し、前記第2の電池の電圧値が所定の値以下のときに、前記シガーソケット端子からの直流電圧の出力を停止する停止手段を有することが好ましい。このような構成によると、第2の充電池が過放電するのを防止することができる。
【0010】
前記波形変換装置に接続される前記第1の充電池の接続部と同形状の接続部を有することが好ましい。このような構成によると、電池アダプタを、波形変換装置の第1の充電池と同様にして接続することができる。
【0011】
前記シガーソケット端子は、前記接続部と連なる側面に設けられていることが好ましい。このような構成によると、外部機器をシガーソケット端子に容易に接続することができる。
【0012】
前記接続部は前記波形変換装置に接続される出力端子を有し、前記シガーソケット端子は前記第2の充電池の直流電圧を出力し、前記出力端子は前記シガーソケット端子の出力と同時に前記波形変換装置に出力可能であることが好ましい。このような構成によると、電池アダプタは、シガーソケット端子に接続された外部機器と、波形変換装置とに電力を供給することができる。
【0013】
また、本発明は、前記波形変換装置と、前記電池アダプタとを備える電源装置を提供する。波形変換手段は、電池アダプタを介して電圧の波形を変換させることができる。また、電池アダプタは、シガーソケット端子を有するので、外部の電子機器を電子アダプタを用いて利用することができる。
【0014】
前記波形変換装置は、前記第1の充電池又は前記第2の充電池の直流電圧を交流電圧に変換する電圧変換部と、前記電圧変換部で変換された交流電圧を出力する出力部とを有し、前記シガーソケット端子と前記出力部とは同時に出力可能であることが好ましい。このような構成によると、シガーソケット端子から直流電圧を出力し、同時に波形変換装置からは直流電圧を供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電池アダプタによれば、シガーソケット端子を有する外部の電子機器を電子アダプタを用いて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における電源装置の外観図。
【図2(a)】収容部にインバータ装置を収容したときの電源装置の断面図。
【図2(b)】収容部に正弦波アダプタを収容したときの電源装置の断面図。
【図3】電源装置の上蓋と中蓋とを取外した状態を示す平面図。
【図4(a)】本発明の実施の形態における電池アダプタ、インバータ装置、正弦波アダプタの斜視図。
【図4(b)】本発明の実施の形態における電池アダプタ、インバータ装置、正弦波アダプタの正面図。
【図4(c)】本発明の実施の形態における電池アダプタ、インバータ装置、正弦波アダプタの側面図。
【図5】本発明の実施の形態における電池アダプタ、インバータ装置、正弦波アダプタが分離された状態を示す側面図。
【図6】本発明の実施の形態における電池アダプタ、インバータ装置、正弦波アダプタが分離された状態を示す正面図。
【図7】本発明の実施の形態における電池アダプタ、インバータ装置、正弦波アダプタが分離された状態を示す斜視図。
【図8】インバータ装置の斜視図。
【図9】電池アダプタ、および、インバータ装置の背面図。
【図10】電池アダプタ、および、インバータ装置が分離された状態の背面図。
【図11】電池アダプタ、インバータ装置の回路図。
【図12】本発明の実施の形態における電圧波形の変化を説明する図。
【図13】本発明の実施の形態における正弦波アダプタの回路図。
【図14】本発明の実施の形態における充電制御における時間と、電池電圧及び電流との関係を示すグラフ図。
【図15】本発明の実施の形態における電池温度と、充電電圧及び充電完了時間の関係を示す表。
【図16】本発明の実施の形態における充放電制御を示すフローチャートの一部。
【図17】本発明の実施の形態における充放電制御を示すフローチャートの残りの一部。
【図18】本発明の実施の形態におけるインバータ装置の出力制御を示すフローチャート。
【図19】本発明の実施の形態における正弦波アダプタの出力制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態にかかる電源装置1を添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示されるように電源装置1は、収容器2と、電池アダプタ3と、インバータ装置4と、正弦波アダプタ5(図4(a))とを有する。図1では正弦波アダプタ5は、収容器2の内部に収容されている。収容器2の上部(後述の上蓋24)にインバータ装置4が載置され、インバータ装置4に電池アダプタ3が挿入されている。また、図4(a)に示されるように、電源装置1の使用時には、正弦波アダプタ5の上部にインバータ装置4を載置することも可能である。インバータ装置4は、電池アダプタ3を介して供給される鉛充電池等からの直流電圧を矩形波形状の交流電圧に変換するものであり、インバータ装置4は、例えば、ACモータを内蔵する電動工具の電源として用いられる。後述する正弦波アダプタ5はインバータ装置4に接続され、インバータ装置4からの出力波形を正弦波形に変換するものである。正弦波アダプタ5はAC駆動の電動工具のみならず、AC駆動されるその他の電気機器の電源としても用いることができる。
【0019】
図2(a)に示されるように、収容器2は、ハンドル21と、車輪22(図1)と、中蓋23と、上蓋24と、ヒンジ25とを有している。上蓋24は、ヒンジ25を中心に開閉可能になっており、ヒンジ25と反対側(図の左側)に設けたラッチで閉状態に固定できるように構成されている。上蓋24の下の空間に中蓋23が設けられている。中蓋23の下部の空間に鉛充電池7が、蝶ボルト84によって固定されている。
【0020】
図2(a)に示されるように、収容器2は、中蓋23に形成された収容空間に電池アダプタ3を収容可能である。収容器2は、中蓋23の上部にインバータ装置4を載置して、収容することも可能である。また、図2(b)に示されるように、インバータ装置4に代えて、中蓋23の上部に正弦波アダプタ5を載置することも可能である。この場合、上蓋24にインバータ装置4を載置・固定することも可能であり、正弦波による機器の使用が可能となる。
【0021】
本実施の形態では、インバータ装置4の直流電源として、無停電電源等に使用される12Vの鉛充電池7を用いる。なお、自動車に搭載されるカーバッテリを使用することも可能である。図3に示されるように、鉛充電池7は、端子71A、71Bを有している。プラス端子71Aには後述するサーミスタ307がボルトにより固定されている。マイナス端子71Bには銅製ホルダ309によって保持された2つのサーマルプロテクタ308A、308Bがシリコンにより銅製ホルダ309に固定されて、ボルトで固定されている。
【0022】
詳細は後述するが、サーミスタ307は鉛充電池7の温度を検出する。サーマルプロテクタ308Aはシガーソケット33の出力経路遮断用、サーマルプロテクタ308Bは充電経路遮断用である。

【0023】
図4(a)〜図4(c)は、電池アダプタ3と、インバータ装置4と、正弦波アダプタ5とが一体に載置されている場合を示している。また、図5〜図7は、電池アダプタ3と、インバータ装置4と、正弦波アダプタ5とが分離した場合を示している。電池アダプタ3は、ケース30と、接続ケーブル31(図9)とを有し、ケース30の外側には、LED34(図4(a))と、シガーソケットプラグ33(図4(c)、5)と、端子32(32A〜32G)(図6)とが設けられている。図3に示されるように、接続ケーブル31の先端には、端子31A、31Bが設けられ、それぞれ端子71A、71Bと接続されている。これにより、電池アダプタ3は、鉛充電池7からの12Vの電圧を入力することができる。また、シガーソケットプラグ33に鉛充電池7が接続され、シガーソケットプラグ33から直流電圧が供給される。
【0024】
図7に示されるように、インバータ装置4は、ケース40を有し、ケース40には、凹部45と、ケーブル接続口43、44とが設けられている。図7では省略しているが、凹部45内には、端子42(42A〜42G)(図11)が設けられている。また、インバータ装置4の左右側面には正弦波アダプタ5の係止部5aと係合するラッチ部4aが設けられている。これによりインバータ装置4と正弦波アダプタ5は一体的に固定することができる。なお、係止部5aと同様の係止部が上蓋24にも設けられておりインバータ装置4を上蓋24に固定できるようになっている。図8に示されるように、インバータ装置4の凹部45には、電動工具用電池パック49が挿入可能である。即ち、電池パック49は、電動工具の電源となる充電地であり、凹部45に挿入可能な形状である。電池パック49は、例えば、14.4V、3.0Ahのリチウムイオン電池である。尚、電池パックはその内部の回路に識別抵抗49Aと、サーミスタ49Bとを設けている。
【0025】
また、電池アダプタ3は、凹部45に挿入可能な形状をしており、図4(a)〜図4(c)に示されるように凹部45に挿入される。即ち、電池アダプタ3と電池パック49の接続部(凹部49に挿入される部分)は同じ形状をしている。このとき、端子32(32A〜32G)と端子42(42A〜42G)とが接触して、電池アダプタ3とインバータ装置4とが電気的に接続される。これにより、鉛充電池7を電池アダプタ3を介してインバータ装置4に接続し、鉛充電池7の直流電圧を電池アダプタ3を介してインバータ装置4に入力可能になる。シガーソケットプラグは、ケース30の接続部と連続する側面に設けられている。
【0026】
ケーブル接続口43、44の内部には、それぞれ、図11に示される端子47(47A、47B)、48(48A、48B)が設けられる。ケーブル接続口43、44は、ぞれぞれ、ケーブル41A、41B(図8)が接続される。ケーブル41Bは商用電源である交流電源に接続され、鉛受電地7を充電可能にする。尚、ケーブル41Aはケーブル接続口43に一体的に接続されており、ケーブル41Bはケーブル接続口44に着脱可能に接続される。
【0027】
図4(a)に示されるように、正弦波アダプタ5はケース50を有し、ケース50にはケーブル接続口53、54が設けられている。ケーブル接続口53、54の内部に端子57、58が設けられている。図10に示されるように、ケーブル接続口53、54は、それぞれ、ケーブル51、41Aと接続される。ケーブル41Aにより端子47と端子57とが電気的に接続される。尚、ケーブル51はケーブル接続口54に一体的に接続されている。ケーブル接続口44、53は雄型端子を備えており、ケーブル接続口44はケーブル41Aの雌型端子を受け、ケーブル接続口53はケーブル41Aの雌型端子を受けるように構成されている。ケーブル51の他端側は雌型端子プラグとなっており、電動工具や電気機器等の外部機器の電源コードが接続可能となっている。
【0028】
図11は、鉛充電池7と、電池アダプタ3と、インバータ装置4との電気的構成を示す回路図である。
【0029】
電池アダプタ3は、プラス側端子31Aと、マイナス側端子31Bと、端子32A〜32Gと、マイコン310と、定電圧回路320と、充電電流検出回路330と、低消費回路340と、電源電圧検出回路350と、出力停止回路360と、充電回路370と、充電タイマリセット回路381と、識別抵抗385と、残量表示回路384と、放電停止回路386と、鉛充電池7のサーミスタ307と接続される温度検出部307Aを有する。
【0030】
プラス側端子31Aとマイナス側端子31Bは、それぞれ鉛充電池7のプラス側端子71Aとマイナス側端子71Bと接続され、鉛充電池7からの直流電圧を入力する。入力側のプラス側端子31Aとマイナス側端子31Bとは、それぞれ出力側のプラス側端子32Bとマイナス側端子32Cと接続されており、鉛充電池7から入力された直流電圧を端子32B、32Cよりインバータ装置4へ出力する。尚、マイナス側端子32Cは鉛充電池7のマイナス側端子71Bに接続されている。
【0031】
電源電圧検出回路350は抵抗351、352とを有している。抵抗351、352は、プラス側の端子31Aと出力側のマイナス側端子32C間に直列に接続され、抵抗351と抵抗352とによる分圧電圧をマイコン310に出力する。
【0032】
低消費回路340は、FET341、343と、抵抗342、344、347,348と、ダイオード346と、コンデンサ345とを有する。低消費回路340は、プラス側の端子31Aと定電圧回路320との間に接続されている。詳細には、FET341のソースと端子31Aとが接続され、FET341のドレインと定電圧回路320とが接続されている。インバータ装置4からの電圧が、端子32Dを介して、低消費回路340に印加されると、FET343がオンとなり、FET341もオンとなる。このため、鉛充電池7からの出力電圧が定電圧回路320に印加される。一方、インバータ装置4から電圧が低消費回路340に印加されていないときには、FET343はオフであり、よって、FET341もオフとなる。そのため、鉛充電池7からの出力電圧は定電圧回路320には印加されない。従って、マイコン310も駆動しない。このように、インバータ装置4が動作していないときには、鉛充電池7が電池アダプタ3に対して電力を供給することはなく、鉛充電池7が無駄な電力を消費することを防止している。
【0033】
定電圧回路320は、三端子レギュレータ323と、発振防止用コンデンサ322とを備えており、鉛充電池7からの電圧を所定の電圧(例えば5V)に変換し、マイコン310等の駆動電力を供給する。
【0034】
充電電流検出回路330は、抵抗331〜335と、オペアンプ336と、コンデンサ337とを有している。抵抗331は、入力側端子31Bと出力側端子32C間に接続されている。充電電流検出回路330は、抵抗331に流れる電流をオペアンプ336で増幅し、マイコン310に入力している。これにより、マイコン310は、抵抗331に流れる電流を測定することができる。
【0035】
充電タイマリセット回路381は、抵抗382と、トランジスタ383とを有する。トランジスタ383のコレクタは、識別抵抗385と、端子32Eとを介して、インバータ装置4(端子42E)に接続されている。トランジスタ383のエミッタはマイナス側端子32Cに接続されている。マイコン310が、ハイレベルの信号を送出するとトランジスタ383はオンとなり、リセット信号がインバータ装置4に出力される。尚、マイコン310は、充電タイマリセット回路381、識別抵抗385、端子32Eを介してインバータ装置4に識別信号を送信する。識別抵抗385は鉛充電池7に対応したものである。インバータ装置4は、識別信号により、鉛充電池7の電圧値などの電気特性を判断することができる。識別抵抗385の抵抗値は、電動工具用電池パック49の識別抵抗49Aと異なる値に設定されている。即ち、識別抵抗385と識別抵抗49Aとが異なるため、識別抵抗385を介して出力される電池アダプタ3の識別信号と、識別抵抗49Aとを介して出力される電池パック49の識別信号とは、互いに異なる。従って、インバータ装置4は、電池アダプタ3が接続されているか、電池パック49が接続されているかを識別信号に基づいて判断することができる。
【0036】
放電停止回路386は、抵抗387と、トランジスタ388と、抵抗389とを有する。トランジスタ388のコレクタは、抵抗389および端子32Gを介して、インバータ装置4に接続されている。トランジスタ388のエミッタはマイナス側端子32Cに接続されている。マイコン310が、電源電圧検出回路350の出力に基づき鉛充電池7の出力電圧が所定レベルより低下したと判断したときには、ハイレベルの信号を放電停止回路386に送出する。すると、トランジスタ388はオンとなり、放電停止信号(LD信号)がインバータ装置4に出力される。一方、マイコン310が鉛充電池7の出力電圧が所定レベルより低下していない、即ち、放電を継続することに支障がないと判断したときには、マイコン310はローレベルの信号を放電停止回路386に送出する。すると、トランジスタ388はオフとなり、放電停止信号は出力されない。なお、マイコン310から放電停止回路386に出力される信号は、後述する出力停止回路360にも出力され、放電停止回路386から放電停止信号が出力されるときには、出力停止回路360は鉛充電池7とシガーソケットプラグ33とを遮断し、シガーソケットプラグ33からの電圧出力を停止する。
【0037】
マイコン310は、端子32Fに接続されており、充電停止信号(LE信号)を端子32Fを介してインバータ装置4に出力する。
【0038】
残量表示回路384は、抵抗395と、LED34とを有しており、鉛充電池の残量(電源電圧検出回路350にて検出された電圧値)に応じて、LED34を点灯している。本実施の形態では、マイコン301は、電源電圧検出回路350にて検出された電圧値が、鉛充電池7の最大電圧の70パーセント以上と判断したときには、LED34を連続点灯表示させる。また、電圧値が、鉛充電池7の最大電圧の30パーセント以上、70パーセント未満と判断したときには、LED34を点滅表示させる。電圧値が、鉛充電池7の最大電圧の30パーセント未満と判断したときには、LED34を、電圧値が30パーセント以上、70パーセント未満のときより早い間隔で、点滅表示させる。従って、ユーザはLED34によって鉛充電池7の電池残量を認識することができる。
【0039】
シガーソケットプラグ33は端子33Aと、33Bとを有する。プラス側端子33Aは、端子31Aと出力停止回路360とを介して鉛充電池7のプラス側端子71Aに接続されている。シガーソケットプラグ3の他方の端子33Bは鉛充電池7のマイナス側端子71Bに接続されている。尚、鉛充電池7の出力は、シガーソケット端子33A、33Bと、端子32B、32Cとの両方から同時に出力可能である。すなわち、シガーソケット端子33から直流12Vを出力できると共に、インバータ装置4から矩形波100Vを出力することができる。正弦波アダプタ5を接続すれば、直流12Vと正弦波AC100Vを同時に出力することができる。
【0040】
出力停止回路360は、鉛充電池7のプラス側端子31Aとシガーソケットプラグ33の端子33Aとの間に設けられている。出力停止回路360は、FET361と抵抗362、363、365〜367、369、392と、トランジスタ364、391とツェナーダイオード368とを有する。トランジスタ391のベースはマイコン310と接続されている。FET361のソースは、端子31Aと接続され、ドレインは、端子33Aと接続されている。トランジスタ391のベースにマイコン310からハイレベルの信号が印加されるとトランジスタ391はオンとなり、トランジスタ364はオフとなる。そのため、FET361はオフとなり、端子31Aと端子33Aとが遮断される。一方、トランジスタ391のベースにマイコン310からローレベルの信号が印加されるとトランジスタ392はオフとなり、ツェナーダイオード368,抵抗367,366,365の経路に電流が流れるため、トランジスタ364はオンとなる。その結果、FET361はオンとなり、端子31Aと端子33Aとが接続され、鉛充電池7の出力電圧をシガーソケットプラグの端子33Aと33Bから取り出すことができる。このようにシガーソケットプラグ33を設けることにより、シガーソケットプラグ33から鉛充電池7の直流電圧をそのまま出力することができる。これにより、シガーソケットを有する電子機器を電池アダプタ3に挿入し使用することができる。また、鉛充電池7の電圧が低下したときには、出力停止回路360によって、鉛充電池7の放電停止し、過放電を防止することができる。尚、鉛充電池7が所定値以上の電圧であれば、ツェナーダイオード368、抵抗367,366を介してトランジスタ364がオンするので、FET361がオンしシガーソケットプラグ33に電力が供給される。
【0041】
充電回路370は、FET371と、抵抗372、373、375と、トランジスタ374とを有する。トランジスタ374のベースは、抵抗375を介してマイコン310の出力端子に接続されている。FET371のドレインは、鉛充電池7のプラス側端子31Aおよび定電圧回路320に接続され、ソースは、電池アダプタ3の出力側端子32Aに接続されている。鉛充電池7は、インバータ装置4から端子32A、32Bに印加された電圧によって充電される。マイコン310は、鉛充電池7を充電するときには、ハイレベルの信号をトランジスタ374のベースに出力してトランジスタ374をオンとする。トランジスタ374がオンとなるとFET371もオンとなり、充電路が形成され鉛充電池7は充電される。一方、マイコン310がローレベルの信号をトランジスタ374のベースに印加すると、FET371はオフとなり充電路は遮断され、鉛充電池7への充電が停止される。
【0042】
サーミスタ307が、鉛充電池7の近傍(プラス側端子71A)に設置(ボルトで固定)されている。固定具(ボルト)によって端子に固定されているため、電池温度を効率的に検出することができ、振動等による外力により外れにくいようになっている。マイコン310は、サーミスタ307と温度検出部307Aにより、鉛充電池7の温度を測定している。定電圧回路320は、温度検出部307Aに電力を供給している。
【0043】
2つのサーマルプロテクタ308A、308Bが、鉛充電池7(マイナス側端子71B)の近傍に設置(ボルトで固定)されている。2つのサーマルプロテクタ308A、308Bは銅製ホルダ309で保持され、シリコンによって銅製ホルダ309に固定されている。銅製ホルダ309はボルトにより鉛充電池7のマイナス側端子71Bに固定されている。サーマルプロテクタ308Aは、シガーソケット33(端子33A、33B)と鉛充電地7の出力経路に配置されている。サーマルプロテクタ308Bは鉛充電池7の充電経路及びインバータ装置4への電力供給経路(スイッチ425)に配置されている。尚、サーマルプロテクタ308A、308Bは、電池アダプタ3、鉛充電池7と別部材として定義したが、電池アダプタ3の一部、または、鉛充電池7の一部としてもよい。
【0044】
サーマルプロテクタ308A、308Bは、電池異常等により電池温度が高温(例えば65℃以上)になると開状態となり、上記した経路が遮断される。これにより、電池異常時に充放電を停止することができる。
【0045】
サーマルプロテクタ308Aが開状態となると、トランジスタ364のゲートに信号が入力されなくなるためFET361がオフしシガーソケットプラグ33への出力が遮断される。
【0046】
サーマルプロテクタ308Bが開状態となると、充電部4Bと鉛充電池7との充電経路が遮断される。さらに、インバータ装置4のスイッチ425(後述)を介して定電圧回路421への電力供給が遮断されるため制御部401(後述)が駆動できなくなりインバータ装置4の動作が停止される。
【0047】
通常、蓄電池の温度は、長時間連続で使用しても余り上昇しない。しかしながら、高温、或いは低温の温度環境で使用した場合、電池の性能劣化や電池故障が生じる場合がある。このため、本発明では、温度に関する使用条件を設けた構成にしている。温度制御の構成としてはインバータ装置4側への電源供給の温度制御のためにサーミスタ307を設け、シガーソケットプラグ33への出力制御及び充電時の温度保護をするために、2つのサーマルプロテクタ308A、308Bを設けている。
【0048】
また、図3に示すように、温度制御の精度向上の目的から、1つのサーミスタ307が鉛充電池7のプラス端子71Aに、2つのサ−マルプロテクタ308A、308Bがマイナス端子71Bに直付けの構成とした。なお、サーマルプロテクタ308A、308Bは、プラス端子71Aに2個とも直付けし、かつ、温度を精度良く読み取ることができるように銅製のホルダ309に対してシリコンにより2個のサーマルプロテクタを直接接着させて、端子部にナット(ボルト)により固定している。これより、運搬時等に生じる振動等によるサーマルプロテクタ308A、308Bやサーミスタ307の脱落、断線等を防止することが可能となり、かつ、温度制御の精度も向上することができる。尚、図11では、回路図の説明の便宜のため、サーマルプロテクタ308A、308Bがプラス端子71A近傍に、サーミスタ307はマイナス端子71B近傍に示されているが、これは物理的な位置関係を示したものでなく、上述の如く、図3が本実施の形態のサーミスタ307、サーマルプロテクタ308A、308Bの物理的な位置関係を示している。但し、1つのサーミスタ307が鉛充電池7のマイナス端子71Bに、2つのサ−マルプロテクタ308A、308Bがプラス端子71Aに直付けの構成であってもよい。
【0049】
インバータ装置4には、電池アダプタ3を介して鉛充電池7から直流電圧が供給され(図12(a))、インバータ装置4は、当該直流電圧を昇圧した上で(図12(b))、矩形波電圧に変換して出力する(図12(c))。正弦波アダプタ5は、まず、当該矩形波電圧を直流電圧に整流し(図12(d))、当該直流電圧を変圧する(図12(e))。そして、変圧された直流電圧をパルス波電圧に変換した後(図12(f))、当該矩形波電圧を正弦波電圧に変換する(図12(g))。当該正弦波電圧は、端子5A、5B(商用電源用のコンセント)を介して精密機器等に出力可能である。
【0050】
図11に示されるように、インバータ装置4は、放電部4Aと充電部4Bとを有する。放電部4Aは、電池電圧検出部410と、スイッチ425と、定電圧回路421と、昇圧回路440と、整流・平滑回路450と、昇圧電圧検出部460と、インバータ回路470と、電流検出抵抗417と、PWM信号出力部411と、制御部401とを備えている。放電部4Aは、端子42B、42Cに入力された直流電圧を矩形波形状の交流電圧に変換して端子47A、47Bに出力している。
【0051】
電池電圧検出部410は、電池電圧検出抵抗411及び412を備えている。電池電圧検出抵抗411及び412は、プラス側端子42Bとマイナス側端子42Cとの間に直列に接続されており、端子42に接続された電池(図11の例では、電池アダプタ3に接続された鉛充電池7)の電池電圧の電池電圧検出抵抗411と電池電圧検出抵抗412とによる分圧電圧を制御部401に出力する。なお、端子32B、32Cには電動工具用の電池パック49(図8)を接続することも可能である。
【0052】
電源スイッチ425及び定電圧回路421は、プラス側端子42Bと制御部401との間に直列に接続されている。定電圧回路421は、三端子レギュレータ422と、発振防止用コンデンサ423及び424と、を備えており、ユーザにより電源スイッチ425がオンされると、電池アダプタ3(鉛充電池7)からの電圧を所定の直流電圧(例えば5V)に変換し、制御部401に駆動電力として供給する。なお、電源スイッチ425がオフされると、制御部401に駆動電力が供給されなくなるので、インバータ装置4全体がオフされることとなる。
【0053】
昇圧回路440は、トランス441と、FET431と、抵抗432、サーミスタ433とを備えており、トランス441は、一次側巻線441aと、二次側巻線441bと、を備えている。
【0054】
一次側巻線441aは、プラス側端子42Bとマイナス側端子42Cとの間に接続されており、トランス441の一次側巻線441aとマイナス側端子42Cとの間には、更に、FET431が配置されている。FET431のゲートには、FET431をオン・オフさせるための第1のPWM信号が制御部401から入力され、FET431のオン・オフにより、電池アダプタ3(あるいは電池パック49)から供給された直流電力は交流電力に変換されてトランス441の一次側巻線441aに出力される。一次側巻線441aに入力された交流電力は、一次側巻線441aと二次側巻線441bとの巻数比に応じて変圧されて二次側巻線441bから出力される。サーミスタ433は、FET431の温度を検出し、制御部401は、FET431の温度が所定の温度より高いと判断すると、第1のPWM信号によって、FET431をオフさせ、トランス441への電流の供給を遮断する。これは回路部品、特にFET431が高温により破損することを防止するためである。
【0055】
整流・平滑回路450は、整流ダイオード451及び452と、平滑コンデンサ453と、を備えており、これらにより、トランス441により昇圧された交流電力を整流・平滑して直流電力として出力する。
【0056】
昇圧電圧検出部460は、互いに直列接続された抵抗461及び462から構成されており、整流・平滑回路450から出力された直流の昇圧電圧(平滑コンデンサ電圧、例えば141V)を検出し、昇圧電圧の、抵抗461と抵抗462とによる分圧電圧を制御部401に出力する。
【0057】
インバータ回路470は、4つのFET471−474から構成されており、直列に接続されたFET471及び472と、直列に接続されたFET473及び474とが、平滑コンデンサ453に並列に接続されている。詳細には、FET471のドレインは、整流ダイオード451及び452のカソードと接続され、FET471のソースは、FET472のドレインに接続されている。また、FET473のドレインは、整流ダイオード451及び452のカソードと接続され、FET473のソースは、FET474のドレインに接続されている。
【0058】
更に、FET471のソース及びFET472のドレイン、FET473のソース及びFET474のドレインは、それぞれ、出力端子47A、47Bと接続されており、出力端子47A、47Bは、正弦波アダプタの52A、52Bに接続可能である。FET471−474のゲートには、FET471−474をオン・オフさせるための第2のPWM信号がPWM信号出力部411から入力され、FET471−474のオン・オフにより、整流・平滑回路450から出力された直流電圧は矩形波形の交流電圧(例えばAC100V)に変換されて正弦波アダプタ5に出力される。
【0059】
電流検出抵抗417は、FET472のソース及びFET474のソースと、マイナス側端子42Cとの間に接続されており、電流検出抵抗417の高電圧側の端子は制御部401と接続されている。このような構成により、電流検出抵抗417は、インバータ装置4に流れる電流を抵抗の電圧降下により検出し、電圧として制御部401に出力する。
【0060】
制御部401は、昇圧電圧検出部460によって検出された昇圧電圧に基づき、昇圧電圧が目標実効値(例えば、141V)となるよう第1のPWM信号をFET431のゲートに出力する。また、制御部401は、目標実効値(例えば、AC100V)を有する交流電力が端子47に出力されるような第2のPWM信号をPWM信号出力部411を介してFET471−474のゲートに出力する。本実施の形態では、制御部401は、FET471とFET474(以降、第1のセット)と、FET472とFET473(以降、第2のセット)とを、それぞれ1セットとして、第1のセットと第2のセットを交互にオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。すなわち、制御部401は、目標の昇圧電圧になるように、昇圧電圧検出部460によって検出された昇圧電圧のフィードバック情報に基づき、FET431のゲート信号を制御する。
【0061】
また、制御部401は、電池電圧検出部410によって検出された電池電圧に基づき、電池アダプタ3に接続された鉛充電池7の過放電の判断を行う。具体的には、電池電圧検出部410によって検出された電池電圧が所定の過放電電圧より小さい場合には、鉛充電池7に過放電が生じていると判断し、インバータ装置4への出力を停止させるための第1のPWM信号及び第2のPWM信号を出力する。すなわち、第1及び第2のPWM信号の少なくとも一方を停止する。また、制御部401は、信号端子42Gから放電停止信号(LD信号)を受信した場合にも、端子47への出力を停止させるための第1のPWM信号及び第2のPWM信号を出力する。すなわち、第1及び第2のPWM信号の少なくとも一方を停止する。
【0062】
更に、制御部401は、電流検出抵抗417によって検出された電流(電圧)に基づき、過電流の判断を行う。詳細には、電流検出抵抗417によって検出された電流がインバータ回路470のFET471−474の過電流閾値を超えていた場合に、FET431のオン・オフ動作を停止させるための第1のPWM信号をFET431のゲートに出力し、FET471−474のオン・オフ動作を停止させるための第2のPWM信号をFET471−474のゲートに出力する。これにより、ACモータ31への電力の供給が停止されるので、過電流によりACモータ31やインバータ回路470(特にFET471−474)が故障することを防止することができる。なお、FET431とFET471−474の一方のオン・オフ動作を停止するようにしても良い。
【0063】
充電部4Bは、整流回路481と、平滑コンデンサ482と、FETドライバIC483と、降圧回路490と、整流・平滑回路485と、フィードバック制御部488と、スイッチ489と、コンデンサ495とを有する。
【0064】
整流回路481は、端子48A、48Bと接続され、端子48A、48Bから入力された交流電圧を整流する。平滑コンデンサ482は、整流回路481で整流された電流を平滑する。尚、端子48は図8に示すようにケーブル41Bが接続されており商用電源が入力される。
【0065】
降圧回路490は、トランス491と、FET442とを備えており、トランス491は、一次側巻線491aと、二次側巻線491bと、を備えている。
【0066】
一次側巻線491aは、プラス側端子48Aとマイナス側端子48Bとの間に接続されており、トランス491の一次側巻線491aとマイナス側端子48Bとの間には、更に、FET442が接続されている。FET442のゲートには、FETドライバIC483から第3のPWM信号が入力され、FET442はPWM信号に応じてオン・オフし、供給された直流電圧は交流電圧に変換されてトランス491の一次側巻線491aに印加される。一次側巻線491aに印加された交流電圧は、一次側巻線491aと二次側巻線491bとの巻数比に応じて変圧されて二次側巻線491bから出力される。尚、マイコン401は、端子42Eから入力された識別信号をFETドライバIC483に入力する。FETドライバIC483は、識別信号に基づいて、鉛充電池7に対応したデューティ比となるような第3のPMW信号を生成している。これにより、充電部4Bから鉛充電池7に対応した電圧が供給される。
【0067】
整流・平滑回路485は、整流ダイオード486と、平滑コンデンサ487とを備えており、これらにより、トランス491により降圧された交流出力を整流・平滑して直流電圧として電池アダプタ3側に出力する。即ち、整流・平滑回路385のプラス側は端子42Aに接続され、マイナス側は端子42Cに接続されている。スイッチ489がオンすると、整流・平滑回路485によって整流・平滑された直流電圧が端子42Aを介して電池アダプタ3に出力される。
【0068】
フィードバック制御部488は、フィードバック回路488aと、抵抗488bとを有する。フィードバック回路488aは、抵抗488bを流れる電流を検出し、検出した電流に応じて、フォトカプラ484を介して、FETドライバIC483に制御信号を送る。即ち、抵抗488bの電流が減少したら、フィードバック制御回路488aは、FETドライバIC483がデューティ比を増加させる第3のPMW信号を送信するように制御し、逆に抵抗488bの電流が増加したら、FETドライバIC483がデューティ比を減少させる第3のPMW信号を送信するように制御する。
【0069】
スイッチ489は、端子42Aと昇圧・平滑回路485との間に接続されており、充電のオン、オフを切替える。制御部401は、充電開始時からの充電時間tcを計時している。充電時間が所定の時間tcfを経過したら、制御部401は、スイッチ489をオフに切替え充電を停止する。インバータ装置4は専用(電動工具用)の電池パック49の使用を前提としている。所定の時間tcfは、電池パック49が過充電になるのを防ぐように設定されている。また、制御部401に端子42Eからの充電停止信号(LE信号)が入力された場合にもスイッチ489をオフにする。
【0070】
次に、正弦波アダプタ5の回路構成について説明する。図13は、正弦波アダプタ5の回路図である。
【0071】
図13に示すように、正弦波アダプタ5は、入力端子57(57A、57B)と、出力端子58(58A、58B)と、整流回路511と、第1平滑コンデンサ502と、突入電流防止回路503と、電圧検出回路54と、補助電源55と、昇圧回路56と、第2平滑コンデンサ507と、インバータ回路18と、電流検出抵抗59と、ドライバIC502と、マイコン503と、周波数切替回路520と、表示部83と、ファン機構84と、リレー回路590とを備えている。
【0072】
整流回路511及び第1平滑コンデンサ502は、インバータ装置4から入力された矩形波電圧(図12(c))を整流・平滑し、図12(d)及び(e)に示すように、インバータ装置4から入力された電圧の最大値に相当する直流電圧を出力する。
【0073】
突入電流防止回路503は、電源投入時に正弦波アダプタ5内に大きな突入電流が流れることを防止するためのものであり、主に、FET531と、突入電流防止用抵抗532と、分圧抵抗533及び534と、を備えている。突入電流防止用抵抗532は、第1平滑コンデンサ502に大電流が流れない程度の抵抗値を有している。
【0074】
FET531は、インバータ装置4の電源投入後(正弦波アダプタ5の動作開始後)、整流回路511及び第1平滑コンデンサ502から出力された電圧の分圧抵抗533及び534による分圧がFET531のゲート電圧まで上昇するまでオフしている。この場合には、突入電流防止用抵抗532が第1平滑コンデンサ502と直列に接続されており、全体としてのインピーダンスが増加することとなるので、大きな突入電流が正弦波アダプタ5内に流れることが防止されている。
【0075】
一方、上記分圧がFET531のゲート電圧まで上昇するとFET531はオンし、突入電流防止用抵抗532には電流が流れなくなる。しかしながら、この頃には、大きな突入電流も収まっているので、FET531がオンした後の定常時にも突入電流防止用抵抗532に電流が流れて電力が浪費されることが防止される。
【0076】
電圧検出回路54は、直列に接続された電圧検出抵抗541及び542を備えており、整流回路511及び第1平滑コンデンサ502から出力された電圧すなわち第1平滑コンデンサ502の充電電圧の電圧検出抵抗541及び542による分圧電圧をマイコン503に出力する。
【0077】
補助電源55は、三端子レギュレータ551と、発振防止用コンデンサ552及び553と、を備えており、整流回路511及び第1平滑コンデンサ502から出力された電圧を所定の直流電圧(例えば5V)に変換し、マイコン503等に駆動電圧として供給する。
【0078】
昇圧回路56は、コイル561と、FET562と、スイッチングIC563と、整流ダイオード564と、電圧検出抵抗565及び566と、を備えている。
【0079】
スイッチングIC563が、FET562をオン・オフさせることにより、コイル561に蓄えられた電圧がパルス状に出力される。当該パルス状の電圧は、整流ダイオード564及び第2平滑コンデンサ507により整流・平滑されて直流電圧として出力される。本実施の形態では、図12(e)に示すように、昇圧回路56及び第2平滑コンデンサ507からは141Vの直流電圧が出力される。電圧検出抵抗565及び566は第2平滑コンデンサ507の電圧を監視してスイッチングIC563にフィードバックする。スイッチングIC563は、第2平滑コンデンサ507の電圧が141VになるようにFET562をオン・オフさせる。
【0080】
インバータ回路18は、インバータ部581と、フィルタ部582と、を備えている。
【0081】
インバータ部581は、4つのFET581a−581dを備えている。FET581aのドレインは、整流ダイオード564のカソードと接続され、FET581aのソースは、FET581bのドレインに接続されている。また、FET581cのドレインは、整流ダイオード564のカソードと接続され、FET581cのソースは、FET581dのドレインに接続されている。FET581a−581dのゲートには、FET581a−581dをオン・オフさせるための第2のPWM信号がドライバIC502により入力され、FET581a−581dのオン・オフにより、昇圧回路56及び第2平滑コンデンサ507から出力された直流電圧はパルス波電圧(図12(f))に変換される。
【0082】
フィルタ部582は、コイル582a及び582bと、コンデンサ582cと、を備えており、コイル582aにはFET581aのソース及びFET581bのドレインが接続され、コイル582bにはFET581cのソース及びFET581dのドレインが接続されている。インバータ部581(FET581a−581d)から出力されたパルス波電圧は、フィルタ部582を介して正弦波電圧に変換される(図12(g))。
【0083】
電流検出抵抗59は、FET581bのソース及びFET581dのソースと、GNDとの間に接続されており、電流検出抵抗59の高電圧側の端子はマイコン503と接続されている。このような構成により、電流検出抵抗59は、インバータ回路18(正弦波アダプタ5)に流れる電流を検出し、電圧としてマイコン503に出力する。
【0084】
マイコン503は、電圧検出回路54によって検出された電圧に基づき、スイッチングIC563のオン・オフ制御を行う。所定の直流電圧(本実施の形態では、141V)が昇圧回路56及び第2平滑コンデンサ507から出力されるように、すなわち第2平滑コンデンサ507の昇圧電圧が141VになるようにスイッチングIC563がFET562をPWM制御する。
【0085】
また、マイコン503は、実効値100Vのパルス波電圧がインバータ回路508から出力されるような第2のPWM信号をドライバIC502を介してFET581a−581dのゲートに出力する。本実施の形態では、マイコン503は、通常時には、FET581aとFET581d(以降、第1のセット)と、FET581bとFET581c(以降、第2のセット)とを、それぞれ1セットとして、第1のセットと第2のセットをデューティ比100%で交互にオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。なお、各FETを20kHzのスイッチング周波数でオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。このとき後述する周波数切替回路22によって設定された出力周波数(図12(f)では50Hz)で出力する。
【0086】
更に、本実施の形態によるマイコン503は、正弦波アダプタ5の動作開始時に、入力電圧監視、昇圧要否判別、及び、ソフトスタートを行う。
【0087】
入力電圧監視では、インバータ装置4から入力された矩形波電圧の最大値が第1範囲(本実施の形態では、99V以上169V以下)から外れている場合に、昇圧回路56及びインバータ回路508の動作を停止させる。これにより、正弦波アダプタ5内のFET等の素子の破損が抑制される。
【0088】
昇圧要否判別では、マイコン503は、矩形波電圧の最大値が第2範囲(本実施の形態では、127V以上141V以下)に含まれている場合に、昇圧回路56の動作を停止させる。これにより、無駄に昇圧回路56を動作させて電力が浪費することが防止される。
【0089】
ソフトスタートでは、インバータ回路508の動作を開始させた直後から所定時間(本実施の形態では、100μs)に亘ってインバータ回路508に流れる電流が所定値(本実施の形態では、10A)より大きかった場合に、第2のPWM信号のデューティを50%に下げ、その後、2.5sかけてデューティを100%に戻す。これにより、正弦波アダプタ5及びインバータ装置4内に大電流が流れることが抑制される。
【0090】
周波数切替回路520は、スイッチ521と、EEPROM522と、を備えている。
【0091】
ユーザは、スイッチ221を所定時間(例えば、3秒間)押下することにより、正弦波アダプタ5から出力される正弦波電圧の周波数を50Hzと60Hzとの間で切り替えることができる。詳細には、スイッチ221が押下されると周波数切替回路520からマイコン503にHIGHレベルの周波数切替信号が入力されるので、マイコン503は、正弦波アダプタ5から出力される正弦波電圧の周波数を切り替えるために、周波数切替信号に応じて第2のPWM信号を変化させる。
【0092】
EEPROM522は、マイコン503の動作停止時、すなわち、インバータ装置4からの電力の供給が停止された時の周波数を記憶しており、マイコン503は、次回の動作開始時に、EEPROM522に記憶された周波数に応じた第2のPWM信号を出力する。
【0093】
表示部83は、トランジスタ831と、LED832と、を備えている。マイコン503がLOW信号を出力することでトランジスタ831がオンしLED832が点灯又は点滅する。図13には図示していないが、実際には、トランジスタ831は、50Hz緑点灯用トランジスタと、50Hz赤点灯用トランジスタと、60Hz緑点灯用トランジスタと、60Hz赤点灯用トランジスタと、を備えており、LED832は、50Hz緑点灯用トランジスタと接続された50Hz緑LEDと、50Hz赤点灯用トランジスタと接続された50Hz赤LEDと、60Hz緑点灯用トランジスタと接続された60Hz緑LEDと、60Hz赤点灯用トランジスタと接続された60Hz赤LEDと、を備えており、マイコン503は、正弦波アダプタ5の状態に応じたLEDを点灯させるような信号を表示部83に出力する。
【0094】
周波数切替回路520で周波数が50Hzに設定されている場合には、50Hz緑LEDを点灯させ、60Hzに設定されている場合には、60Hz緑LEDを点灯させる。
【0095】
また、電流検出抵抗59によって検出された電流が4A以上の場合、設定されている周波数の赤LEDを点灯させ、5A以上の場合、設定されている周波数の赤LEDを点滅させる。
【0096】
また、図示していないが、FET562には、温度検出手段(例えばサーミスタ)が近接して配置されており、サーミスタにより検出された温度が100度以上であった場合、設定されている周波数の緑LEDを点滅させる。
【0097】
更に、周波数切替回路520において周波数が切り替えられた時、設定されている周波数の緑及び赤LEDを0.5秒周期で3秒間点滅させ、続いて、0.2秒周期で2秒間点滅させた後、緑LEDのみを点灯させる。なお、緑LEDと赤LEDの両方が点灯している場合には、橙色に点灯することとなる。
【0098】
ファン機構84は、主に、冷却ファン841と、トランジスタ842と、を備えており、マイコン503は、駆動電力が供給されるとトランジスタ842にオン信号を出力することにより、冷却ファン841を動作させる。
【0099】
リレー回路590は、スイッチ591、592とを有する。プラス側端子57Aとプラス側端子58Aとの間にスイッチ591が設けられ、マイナス側端子57Bとマイナス側端子58Bとの間にスイッチ592が設けられている。スイッチ591、592のオン・オフはマイコン503により制御される。リレー回路590は正弦波アダプタ5に入力された電圧が正弦波の場合にオンし、入力電圧をそのまま出力する。このとき、昇圧回路56、インバータ回路18は動作しないため、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0100】
図14は、電池アダプタ3による鉛充電池7の充電時における制御を示すグラフである。横軸が充電開始時間t0からの充電時間を示し、縦軸にそれぞれ充電電流と、電池電圧とを示している。マイコン310は、電源電圧検出回路350における抵抗351、352の分圧電圧から鉛充電池7の電圧を測定している。マイコン310は、充電開始時間t0から、鉛充電池7の電圧がV1になる時間t1までの時間間隔T1を求め、時間間隔T1の長さに応じて時間間隔T2を決定している。マイコン310は、時間t1から時間間隔T2経った時間t2に充電を停止している。尚、上述のように、インバータ装置4は、充電経過時間tcが所定の時間tcf経つと自動的にスイッチ489をオフするようにしている。本実施の形態の鉛充電池7は、電池パック49(容量3.0Ah)より大きい電池容量(38Ah)を有している。上記の所定の時間tcfは、電池パック49を過充電から保護するための時間である。なお、電池パック49がリチウム電池の場合には、電池パック内に過充電や過放電、過電流を防止するために保護ICが内蔵されており、過充電状態等になった場合には電池パック49からインバータ装置4側に充電停止信号が出力されることで、過充電にならないように構成されている。過放電、過電流についても同様である。万が一、何らかの原因で保護ICが動作しなかった場合、電池パック49の充電完了時間tcf(基準値)を制御部401に記憶させているため、この充電時間を経過したら強制的にスイッチ489をオフするようにしている。充電時間の上限が所定の時間tcfであると、リチウム電池パック49より大容量の鉛充電池7を満充電するためには不十分な時間になりうる。そのため、マイコン310は、充電時間がtcfになる前に、充電タイマリセット回路381を介して、リセット信号を送信し、インバータ装置4における充電経過時間tcを0にリセットするようにしている。また、リセット信号を送信した時間から、時間tcf経過する前にリセット信号を送信する。従って、鉛充電池7の充電時間がt2になるまで、マイコン310は、所定間隔(時間tcfより短い間隔)でリセット信号を送信し続ける。これにより、インバータ装置4がスイッチ489をオフすることを防止して、鉛充電池7を時間t2まで充電可能にしている。なお、所定間隔でリセット信号を送信しなくても、充電されている電池が鉛蓄電池7と判断された場合には、充電タイマリセット回路381からリセット信号を出力し、充電タイマーを無効にしてもよい。
【0101】
図15(a)に示されるように、鉛充電池7の充電電圧V1は、サーミスタ307及び温度検出手段307Aの検出する鉛充電池7の温度に応じて異なる値が決定される。図15(b)に示されるように、時間間隔T1と時間間隔T2との関係もサーミスタ307(温度検出部307A)の示す鉛充電池7の温度によって決定される。
【0102】
図16は、マイコン310による充放電制御を示すフローチャートである。充放電制御において、上記の図15(b)に示される時間T2を求めている。尚、充放電制御の開始時には、充電回路370におけるトランジスタ384のベースにベース電流を入力していないため、FET371はオフとなっている。このため充電経路が遮断されており鉛充電池7は充電されていない。また、充放電制御とは独立して、マイコン310は、リセット信号を上述のように送信している。なお、鉛充電池7の充電は、インバータ装置4の端子48が商用電源に接続された場合に行うことができる。
【0103】
S1において、マイコン310は、電源電圧検出回路350の示す鉛充電池7の電圧が10.5V以上かを判断している。鉛充電池7の電圧が10.5V以上であれば(S1:YES)、S3において、マイコン310は、サーミスタ307(温度検出部307A)の示す鉛充電池7の温度が−15℃以上、60℃未満であるかどうかを判定する。鉛充電池7の電圧が10.5V未満であるか(S1:NO)、または、鉛充電池7の温度が−15℃未満か、60℃以上である場合には(S3:NO)、S5において、マイコン310は、放電停止回路386から放電停止信号を出力させて、インバータ装置4の放電を停止させ、鉛充電池7の放電を停止させる。すなわち、インバータ装置4の制御部401は、放電停止回路386から放電停止信号を受けると、昇圧回路440、インバータ回路470の一方あるいは両方のFETへの信号を停止する。これにより、鉛充電池7が過放電状態になることを防止することができる。また、鉛充電池7の温度は所定範囲外の異常温度の場合にも放電しないようにしているため、鉛充電池7の急激な性能劣化を抑制することができる。
【0104】
S5を実行後か、または、鉛充電池7の温度が−15℃以上、60℃未満であるとき(S3:YES)、S7において、マイコン310は、電源電圧検出回路350の示す鉛充電池7の電圧が12.85V以下であるかを判断する。電源電圧検出回路350の示す鉛充電池7の電圧が12.85Vより大きい場合には(S7:NO)、S1に戻る。即ち、鉛充電池7の電圧が12.85Vより大きい場合には、電圧が十分高く、鉛充電池7に充電を行う必要はないため、下記のS11からの充電を行わず、インバータ装置4あるいは正弦波アダプタ5に外部機器が接続されている場合には鉛充電池7が放電をするようにしている。
【0105】
電源電圧検出回路350の示す鉛充電池7の電圧が12.85V以下である場合には(S7:YES)、S9において、サーミスタ307の示す鉛充電池7の温度が−10℃以上、50℃未満であるかどうかを判断する。サーミスタ307の示す鉛充電池7の温度が−10℃以上、50℃未満のときには(S9:YES)、S11において、マイコン310は充電回路370のトランジスタ374のベースに充電開始信号を出力しFET371をオンにして、端子32Aと端子31Aとを通電させ、鉛充電池7の充電を開始する。
【0106】
一方、サーミスタ307の示す鉛充電池7の温度が−10℃未満か、または、50℃以上であるときには、S13において、マイコン310は、充電回路370のFET371をオフにして、鉛充電池7の充電を停止する。S15において、マイコン310は、充電停止信号を端子32Fに出力させて、インバータ装置4のスイッチ489をオフにして、充電機能を停止させる。即ち、充電に不適当な温度のときには、充電を行わないようにしている。これにより、鉛充電池7の性能劣化を抑制している。
【0107】
S17において、現在の時間t0からの充電間隔T1の計時を始める。S19において、充電電流検出回路330が示す充電電流が0.5A以上であるかどうかを判断する。マイコン310は、充電電流検出回路330が示す充電電流が0.5A以上のとき(S19:YES)、S21において、マイコン310は、サーミスタ307の示す値が−10℃以上、50℃未満であるかを判断する。サーミスタ307の示す値が−10℃以上、50℃未満であるときには(S21:YES)、S23において、マイコン310は、電池温度は40℃以上、50℃未満であるかを判断する。電池温度は40℃以上、50℃未満であるときには(S23:YES)、S29において、マイコン310は、充電電圧V1を13.9Vと設定し(図15(a)参照)、電源電圧検出回路350の示す電圧が、電圧V1(13.9V)以上であるかどうかを判断する。
【0108】
電池温度が40℃以上から50℃未満の範囲にないとき、すなわち、電池温度が−10℃以上、40℃未満のとき(S23:NO)、S25において、マイコン310は、充電電圧V1を14.4Vと設定し(図15(a)参照)、電源電圧検出回路350の示す電圧が、電圧V1(14.4V)以上であるかどうかを判定する。
【0109】
電源電圧検出回路350の示す電圧(鉛充電池7の電圧)が、電圧V1の値である14.4V以上であるとき(S25:YES)、または、電源電圧検出回路350の示す電圧が、電圧V1(13.9V)以上であるとき(S29:YES)、S27において、マイコン310は、時間t0から現在の時間t1までの時間間隔T1を記憶する。ここで、現在の時間t1は、電池電圧が電圧V1になったときの時間である。
【0110】
電源電圧検出回路350の示す電圧が、電圧V1の値である14.4V未満であるとき(S25:NO)、または、電源電圧検出回路350の示す電圧が、電圧V1(13.9V)未満であるとき(S29:NO)、S19に戻る。
【0111】
充電電流検出回路330が示す充電電流が0.5A未満のとき(S19:NO)、又は、サーミスタ307の示す値が−10℃以上、50℃未満の範囲にないときには(S21:NO)、十分な充電電流が入力されていないか、または、充電に適した温度ではないため、S31において、マイコン310は、充電回路370におけるトランジスタ384のベースにベース電流を入力するのを停止させ、鉛充電池7の充電を停止する。S33において、マイコン310は、充電停止信号を端子32Fに出力させて、インバータ装置4の充電機能を停止させる。
【0112】
図17のS35において、マイコン310は、電池電圧が充電電圧V1に達した時間間隔T1が22時間以上かを判断する。時間間隔T1が22時間以上のとき(S35:YES)、S37において、マイコン310は、サーミスタ307が示す温度が10℃以上かを判断する。サーミスタ307が示す温度が10℃未満のとき(S37:NO)、S39において、マイコン310は充電完了までの時間間隔T2を5時間と設定する。サーミスタ307が示す温度が10℃以上のとき(S37:YES)、S41において、マイコン310は時間間隔T2を2.5時間と設定する。
【0113】
時間間隔T1が22時間未満のとき(S35:NO)、S43において、マイコン310は、時間間隔T1が11時間以上かを判断する。時間間隔T1が11時間以上のとき(S43:YES)、S45において、マイコン310は、サーミスタ307が示す温度が10℃以上かを判断する。サーミスタ307が示す温度が10℃未満のとき(S45:YES)、S47において、マイコン310は時間間隔T2を4時間と設定する。サーミスタ307が示す温度が10℃以上のとき(S45:NO)、S49において、マイコン310は時間間隔T2を1.5時間と設定する。
【0114】
時間間隔T1が11時間未満のとき(S43:NO)、S51において、マイコン310は、時間間隔T1が30秒以上かを判断する。時間間隔T1が30秒以上のとき(S51:YES)、S53において、マイコン310は、サーミスタ307が示す温度が10℃以上かを判断する。サーミスタ307が示す温度が10℃未満のとき(S53:NO)、S55において、マイコン310は時間間隔T2を2.5時間と設定する。サーミスタ307が示す温度が10℃以上のとき(S53:YES)、S57において、マイコン310は時間間隔T2を0.5時間と設定する。
【0115】
時間間隔T1が30秒未満のとき、S59において、時間間隔T2を0秒と設定する。すなわち充電を完了する。
【0116】
S61において、マイコン310は、時間t1からの経過時間を計時する。
【0117】
S63において、マイコン310は、充電電流検出回路330が示す充電電流が0.5A以上であるかどうかを判断する。充電電流検出回路330が示す充電電流が0.5A以上のとき(S63:YES)、S65において、マイコン310は、サーミスタ307の示す値が−10℃以上、50℃未満であるかを判断する。サーミスタ307の示す値が−10℃以上、50℃未満であるときには(S65:YES)、時間t2からの経過時間が時間間隔T2を経過したかを判断する。時間t2からの経過時間が時間間隔T2を経過しないときには(S67:NO)、S61に戻る。言い換えれば、S63〜S65の処理は、t1から時間間隔T2まで(充電が終了するまで)、充電が可能な環境が維持されているかを判断するものである。
【0118】
一方、充電電流検出回路330が示す充電電流が0.5A未満のとき(S63:NO)、サーミスタ307の示す値が−10℃未満、50℃以上であるときには(S65:NO)、または、時間t2からの経過時間が時間間隔T2を経過したときには(S67:YES)、S69において、マイコン310は、充電回路370のFET371をオフにして、鉛充電池7の充電を停止する。S71において、マイコン310は、充電停止信号を端子32Fに出力させて、インバータ装置4の充電機能を停止させる。
【0119】
以上の処理により、電池アダプタ3は、鉛充電池7の電気特性に合わせた放電を行うことができる。即ち、S5において、鉛充電池7の電圧が10.5V未満に低下したときや、鉛充電池7の温度が−15℃以上、60℃未満の範囲にないときには、鉛充電池7の放電を停止させている。これにより、鉛充電池7の使用環境、電気特性を考慮した、鉛充電池7の過放電の防止を行うことができる。
【0120】
また、鉛充電池7の温度に基づいて所定の充電電圧V1を設定し、設定した所定電圧V1に充電されるまでにかかった時間間隔T1に基づいて、時間間隔T2を決定して、充電終了時間t2を決めている。これにより、鉛充電池7の使用環境、電気特性に最適になるように、充電時間を設定することができる。即ち、鉛充電池7が十分充電されていない状況や、過充電される状況を避けることができる。また、充電電流が0.5A未満であれば、充電を停止している。これにより、十分な充電電流が供給されているときだけ鉛充電池7の充電を行うことができる。なお、鉛充電池7の充電電流は、電池パック49の充電電流と同じ5A前後である。また、充電電流を充電途中で、例えば時間間隔T1では5A、T2では1Aのように切り替えることにより、同じ充電電流5Aで充電を継続する場合に比べ充電容量を多くすることができる。
【0121】
鉛充電池7は電池電圧や充放電電流等を制御するための制御回路を備えていないため、直接鉛充電池7をインバータ装置4に接続してしまうと、過充電、過放電、過電流となってしまい電池の性能を劣化させてしまう可能性がある。そこで、本発明では、鉛充電池7専用のアダプタ3を介してインバータ装置4に接続するようにしている。アダプタ3には鉛充電池7を制御するための制御回路部(マイコン、電圧監視、電流監視、識別手段等)が内蔵されている。インバータ装置4はアダプタ3からの制御信号を受信することにより、鉛充電池7が異常状態になって電池の性能劣化を防止するよう制御することができる。インバータ装置4は、接続された電池(鉛充電池7、電池パック49)にかかわらず同じ制御を行うことができ、アダプタ3が接続されている場合にはアダプタ3からの信号により充放電を制御している。また、接続された電池に応じて充電制御を変更してもよい。この点について図18を用いて説明する。
【0122】
図18を用いて、インバータ装置4の出力制御について説明する。S201において、作業者により電源スイッチ425がオンされる。これにより、鉛充電池7から定電圧回路421に電圧が供給され、制御部401に電力が供給される。
【0123】
S202において、制御部401は、端子42Eより識別信号を受信する。上述のように識別信号は電池アダプタ3の識別抵抗385、または、電池パック49の識別抵抗49Aによって決まる信号である。
【0124】
S203において、制御部401は、識別信号に基づいて、インバータ装置4に電池アダプタ3が装着されているかどうか判断する。
【0125】
電池アダプタ3が装着されていないときは(S203:NO)、インバータ装置4に電池パック49が装着されているものと判断し、S204において制御部401は、過電流閾値を電池パック49に対応した値に設定する。ここで、過電流閾値は、インバータ装置4の電源(電池パック49または電池アダプタ3)から過電流が放電されるのを保護するために設けられている。
【0126】
S205において、制御部401は、過放電電圧閾値を電池パック49に対応した値に設定する。
【0127】
S206において、制御部401は、電池パック49に対応した過熱温度保護設定値を設定する。なお、電池パック49内には保護ICが内蔵されており、電池パック49単独でも過充電、過放電、過電流を判別し保護している。これらの異常信号は、インバータ装置4の端子42F、42Gに入力され、制御部401で充放電を停止するように各FET等を制御している。
【0128】
電池アダプタ3が装着されているときは(S203:YES)、S207において、制御部401は、過電流閾値を鉛充電池7に対応した値に設定する。鉛充電池7は電池パック49より大きい電流を流すことができるため、鉛充電池7に対応した過電流閾値は、電池パック49の過電流閾値より大きい値が設定される。
【0129】
S208において、制御部401は、過放電電圧閾値を鉛充電池7に対応した値に設定する。
【0130】
S207において、制御部401は、鉛充電池7に対応した過熱温度保護設定値を設定する。
【0131】
S210において、制御部401は、抵抗461、462の分圧によって昇圧電圧の測定を行い、昇圧電圧が目標電圧より大きいかを判断する。昇圧電圧が目標電圧以下の場合(S210:NO)、S211において制御部401は、デューティ比が増加するように第1のPMW信号を変更する。昇圧電圧が目標電圧より大きい場合(S210:YES)、S211において、制御部401は、デューティ比が減少するように第1のPMW信号を変更する。すなわち、第2平滑コンデンサ453の昇圧電圧が141VになるようにFET431を制御する。
【0132】
S213において、制御部401は、PMW信号出力部411を介して、第2のPMW信号を出力し、矩形波形状の交流電圧を出力する。
【0133】
S214において、制御部401は、電流検出抵抗417の電流を測定し、測定した電流値が荷電流閾値より大きいかを判断する。
【0134】
測定した電流値が過電流閾値以下の場合(S214:NO)、S215において、抵抗411、412の分圧によって、電源(電池アダプタ3、または、電池パック49)の電圧を検出し、検出した電圧が過放電電圧閾値より小さいかを判断する。
【0135】
電源(電池アダプタ3、または、電池パック49)の電圧が過放電電圧閾値以上のとき(S215:NO)、S216において、制御部401は、電源(電池アダプタ3、または、電池パック49)の温度が過熱保護設定値より大きいかを判断する。尚、電池アダプタ3の温度は、サーミスタ307によって測定された温度であり、制御部310によって、端子32F、端子42Fを介して制御部401に送信される。また、電池パック49の温度は、サーミスタ49Bによって測定された温度である。電源(電池アダプタ3、または、電池パック49)の温度が過熱保護設定値より小さいときはS210に戻る。
【0136】
測定した電流値が過電流閾値より大きい場合(S214:YES)、電源(電池アダプタ3、または、電池パック49)の電圧が過放電電圧閾値より小さい場合(S215:YES)、電源(電池アダプタ3、または、電池パック49)の温度が過熱保護設定値以上の場合(S216:YES)、昇圧回路410と、インバータ回路470との少なくとも一つを停止させて、電圧の出力を停止させる。これにより、電源(電池アダプタ3、または、電池パック49)の特性に応じて、過電流が出力されること、過放電がおこること、及び、電源の温度が上昇することを防止することができる。尚、電圧の出力を停止させる代わりに、制御装置401は、電圧の出力を低下させるよう、昇圧回路410とインバータ回路470との少なくとも一つを制御するようにしてもよい。
【0137】
図19を用いて、正弦波アダプタ5の出力制御について説明する。S101において、マイコン503は、入力電圧が直流か交流かを判断する。入力電圧が直流の場合には(S101:YES)、S103に移行する。入力電圧が交流の場合には(S101:NO)、S115において、マイコン503は、入力電圧が矩形波電圧であるかを判断する。矩形波形状の交流電圧は図12(c)に示されるように、電圧が0Vの時間が、時間間隔T0の長さ続く。一方、図12(g)正弦波形状の交流電圧は電圧が0の時間は瞬間的であり、従って、時間間隔T0よりはるかに短い。そこで、時間間隔T0より短く、0より長い基準時間Tsを設定する。基準時間間隔Tsは、正弦波形状の交流電圧が0になる瞬間的な時間より十分長い時間である。マイコン503は、入力電圧の電圧が0の時間が基準時間間隔Tsより長ければ、入力電圧は矩形波形状の交流電圧であると判断し(S115:YES)、S103へ移行する。一方、入力電圧の電圧が0の時間が基準時間間隔Tsより短ければ、入力電圧は、正弦波形状の交流電圧であると判断し(S115:NO)、S117において、マイコン503は、入力電圧の周波数が50Hzか、または、60Hzであるかを判断する。入力電圧の周波数が50Hzでも60Hzでもないとき(S117:NO)、S103へ移行する。入力電圧の周波数が50Hzか、または、60Hzのとき、S119においてインバータ回路508を停止し、S121において、マイコン503は、インバータ回路508停止から5秒経過するのを待つ。インバータ回路508停止から5秒経過すれば、AC出力が完全に遮断される。S123において、リレー回路590(スイッチ591、592)をオンにし、入力電圧を変換せずにそのまま出力する。正弦波交流電圧の周波数が50Hzまたは60Hzでならば、一般の電子機器にそのまま入力することが可能だからである。
【0138】
一方、S103では、マイコン503は、周波数切替回路520が50Hzに設定されているかを判断する。周波数切替回路520の設定が50Hzに設定されていれば(S103:YES)、S105において、マイコン503はインバータ回路508の出力を50Hzに設定する。周波数切替回路520の設定が60Hzに設定されていれば(S103:NO)、S105において、マイコン503はインバータ回路508の出力を60Hzに設定する。
【0139】
S109において、マイコン503はリレー回路590(スイッチ591、592)をオフにし、入力電圧がそのまま出力されるのを防止する。S111では、マイコン503は5秒待機して、AC出力が完全に遮断されるのを待つ。S113において、マイコン503は、インバータ回路508を作動させ、入力電圧を正弦波形状の交流電圧に変換して出力する。
【0140】
以上の構成により、正弦波アダプタ5に正弦波形状の交流電圧が入力された場合には、入力された電圧を変換せずにそのまま出力する。そのため、入力された正弦波形状の交流電圧を変換することによる電力の変換によるロスを防止することができる。
【0141】
本発明による電源装置は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、正弦波アダプタ5はインバータ装置4に接続されていたが、商用の交流電源である、50Hzまたは60Hzの正弦波電圧を出力する電源に接続されていてもよい。また、インバータ装置4が正弦波電圧を出力可能に構成されており、かかるインバータ装置4が正弦波アダプタ5に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0142】
3 電池アダプタ
4 インバータ装置
5 正弦波アダプタ
7 鉛充電池
310 マイコン
330 充電電流検出回路
340 低消費回路
350 電源電圧検出回路
360 出力停止回路
370 充電回路
381 充電タイマリセット回路
33 シガーソケットプラグ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の充電池を接続可能な電圧波形を変換する波形変換装置に対して、前記第1の充電池とは異なる形状を有する第2の充電池を接続可能とする電池アダプタであって、
シガーソケット端子を有することを特徴とする電池アダプタ。
【請求項2】
前記シガーソケット端子に前記第2の充電池からの電圧波形を変換せずに出力することを特徴とする請求項1に記載の電池アダプタ。
【請求項3】
前記第2の電池の電圧値を測定し、前記第2の電池の電圧値が所定の値以下のときに、前記シガーソケット端子からの直流電圧の出力を停止する停止手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電池アダプタ。
【請求項4】
前記波形変換装置に接続される前記第1の充電池の接続部と同形状の接続部を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電池アダプタ。
【請求項5】
前記シガーソケット端子は、前記接続部と連なる側面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電池アダプタ。
【請求項6】
前記接続部は前記波形変換装置に接続される出力端子を有し、
前記シガーソケット端子は前記第2の充電池の直流電圧を出力し、前記出力端子は前記シガーソケット端子の出力と同時に前記波形変換装置に出力可能であることを特徴とする請求項5に記載の電池アダプタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の波形変換装置と、
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の電池アダプタとを備える電源装置。
【請求項8】
前記波形変換装置は、前記第1の充電池又は前記第2の充電池の直流電圧を交流電圧に変換する電圧変換部と、前記電圧変換部で変換された交流電圧を出力する出力部とを有し、
前記シガーソケット端子と前記出力部とは同時に出力可能であることを特徴とする請求項7に記載の電池アダプタ。



【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−46478(P2013−46478A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181926(P2011−181926)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】