説明

電池パック、及び電池パックを備えた電動車

【課題】各電池モジュールをパッケージングケース内で確実に固定できる上に、各電池モジュールを構成する複数の単電池を確実に冷却することができ、各電池モジュールの単電池の性能を最大限発揮させることのできる電池パックを提供する。
【解決手段】各電池モジュールを固定する複数のモジュール固定部材を備え、電池モジュールは、単電池の接続端子の存在する上部領域に冷却気体を流通させる上部流路が形成されるとともに冷却気体を流出入させる外部通気部が対向位置に形成され、モジュール固定部材は、電池モジュール上に配置される固定部材本体と、パッケージングケースに連結される連結部と、電池モジュールの対向位置のそれぞれと対峙する一対の垂下壁部とを備え、垂下壁部には通気用開口が形成され、隣り合う電池モジュールを固定するモジュール固定部材の通気用開口が連通するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池が一体化された複数の電池モジュールをパッケージングケースに収容した電池パック、並びに、電池パックを電力源として備えた電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大容量の電力を必要とする各種機器に搭載される電力源として、複数の単電池が電気的及び物理的に一体化された電池モジュールが提供されている。
【0003】
かかる電池モジュールは、整列配置された複数の単電池がバスバー(接続金具)を介して互いに電気的に接続されて大容量の組電池を構成している。そして、この種の電池モジュールは、複数の単電池の接続端子を含む導通部分が電気絶縁性を有する部材(以下、この部材を絶縁カバーという)で覆われて外部に対する電気絶縁が図られている。
【0004】
そして、さらなる大容量の電力を必要とする場合、複数の電池モジュール(組電池)がパッケージングケース内に一括して収容されて電池パックとされる。そして、この種の電池パックは、各種機器の電力源として採用されるものであるが、近年、環境保護の観点から、CO2 の排出量の少ないハイブリッド電気自動車や、CO2 を排出しない電気自動車(以下、これらを総称して電動車という)が普及しつつあり、電動車の駆動源や制御系に電力を供給する電力源として採用されている。
【0005】
ところで、この種の電池モジュールは、前記単電池に充放電可能な二次電池が採用され、充電することで繰り返し使用できるようになっているが、前記単電池(二次電池)は、充放電に伴って発熱する傾向にあり、過度に温度上昇すると性能が低下したり寿命が短命化したりする虞がある。
【0006】
これに伴い、この種の電池モジュールには、接続端子を上側にして隣り合う単電池間に冷却気体を流通させる通気隙間を形成するように複数の単電池が配置されるとともに、前記絶縁カバーの上面に複数の通気穴が形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
かかる電池モジュールは、複数の通気穴から絶縁カバー内に冷却気体を流入させることで、絶縁カバー内にある接続端子が冷却され、接続端子周辺を通過した冷却気体が通気隙間を流通して単電池の電槽(発電要素を収容した箱状の電槽)を冷却できるようになっている。これにより、上記構成の電池モジュールを備えた電池パックは、各電池モジュールの単電池を冷却して各単電池の性能を最大限発揮させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−120809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記構成の電池パックは、振動の発生する機器に搭載される電力源として採用されるものであるにも拘わらず、各電池モジュールをパッケージングケース内で確実に固定できないとの指摘がある。
【0010】
すなわち、この種の電池パックは、振動の発生する電動車等の機器に搭載されるものであるため、各電池モジュールが振動に伴って上下動するのを規制すべく、各電池モジュールを上側から押さえる必要がある。
【0011】
しかしながら、上記構成の電池パックは、電池モジュールの最上にある絶縁カバーの上面に通気部を形成されているため、電池モジュールを上方から押さえる材を該電池モジュール(絶縁カバー)上に配置すると通気部が塞がれて単電池を確実に冷却できなくなることから、電池モジュールの周辺部等を部分的に押さえることしかできず、電池モジュールを確実に固定することができないといった問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、各電池モジュールをパッケージングケース内で確実に固定できる上に、各電池モジュールを構成する複数の単電池を確実に冷却することができ、各電池モジュールの単電池の性能を最大限発揮させることのできる電池パック、及び該電池パックを備えた電動車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電池パックは、正極用及び負極用の接続端子を上側にして整列配置された二つ以上の単電池を有する複数の電池モジュールと、該複数の電池モジュールが整列状態で収容されるパッケージングケースとを備え、各電池モジュールの単電池が隣り合う単電池間に冷却気体を通気させる通気隙間を形成するように配置された電池パックであって、各電池モジュールを固定する複数のモジュール固定部材を備え、各電池モジュールは、単電池の正極用及び負極用の接続端子の存在する上部領域に冷却気体を上下方向と直交する方向に流通させる上部流路が形成されるとともに、上下方向と直交する方向に貫通して上部流路に対して冷却気体を流出入させる外部通気部が互いに対向する一対の対向位置に形成され、前記モジュール固定部材は、電池モジュール上に配置されるプレート状の固定部材本体と、固定部材本体に連設されてパッケージングケースに連結される連結部と、電池モジュールの前記対向位置のそれぞれと対峙するように固定部材本体の両端に延設された一対の垂下壁部とを備え、各垂下壁部には、前記外部通気部と同方向に貫通した通気用開口が形成され、隣り合う電池モジュールを固定するモジュール固定部材の垂下壁部同士が対向して互いの通気用開口が連通するように構成されていることを特徴とする。なお、ここで「整列配置」とは、列を整えて配置することを意味し、縦方向で一列に整えて配置することや、横方向で一列に整えて配置することを含む他、縦方向又は横方向で複数列にして各列を整えて配置することも含まれる。
【0014】
上記構成の電池パックによれば、各電池モジュールを固定する複数のモジュール固定部材を備え、各モジュール固定部材は、電池モジュール上に配置されるプレート状の固定部材本体と、固定部材本体に連設されてパッケージングケースに連結される連結部と、電池モジュールの前記対向位置のそれぞれと対峙するように固定部材本体の両端に延設された一対の垂下壁部とを備えているため、モジュール固定部材の固定部材本体を電池モジュール上に配置した状態で連結部をパッケージングケースに固定することで電池モジュールの移動を規制することができる。そして、モジュール固定部材で電池モジュールの移動を規制する(電池モジュールを押さえる)と、機器の振動に伴って電池モジュールが上下方向に移動しようとする慣性が作用して固定部材本体に曲げ作用が生じることがあるが、上記構成のモジュール固定部材は、固定部材本体の両端に一対の垂下壁部が延設されているため、曲げ強度が十分に確保され、固定部材本体が曲がることなく電池モジュールの移動が確実に規制される。
【0015】
そして、上記構成の電池パックの電池モジュールは、単電池の正極用及び負極用の接続端子の存在する上部領域に冷却気体を上下方向と直交する方向に流通させる上部流路が形成されるとともに、上下方向と直交する方向に貫通して上部流路に対して冷却気体を流出入させる外部通気部が互いに対向する一対の対向位置に形成され、モジュール固定部材の垂下壁部には、前記外部通気部と同方向に貫通した通気用開口が形成され、隣り合う電池モジュールを固定するモジュール固定部材の垂下壁部同士が対向して互いの通気用開口が連通するように構成されているため、整列配置された各電池モジュールの上部流路が流体的に連続して一系統の流路を構成する。すなわち、モジュール固定部材の通気用開口と電池モジュールの外部通気部とが連なった状態になるため、各電池モジュールの上部流路に冷却気体に連続して流通させることができる。
【0016】
そして、上述の如く、モジュール固定部材の垂下壁部に通気用開口を形成すると、当該部分での流路サイズが局所的に狭くなるため、冷却気体の流通方向の上流側の電池モジュールからの冷却気体が垂下壁部の通気用開口を通過する際に流速が速まることになり、垂下壁部の通気用開口を通過した冷却気体が勢いよく下流側の電池モジュールの外部通気部から上部流路に流入することになる。これにより、上記構成の電池パックは、上流側の電池モジュールの上部流路から下流側の電池モジュールの上部流路に冷却気体を確実に送り込むことができる。
【0017】
また、上記構成の電池パックは、各電池モジュールの単電池が隣り合う単電池間に冷却気体を通気させる通気隙間を形成するように配置されているため、通気隙間に対して上部流路と同方向で冷却気体を流通させることができる。なお、電池モジュールを整列配置するに当たって、各電池モジュールの通気隙間が一列に並ぶように配置することが好ましいことは言うまでもない。
【0018】
以上のように、上記構成の電池パックは、各電池モジュールの通気隙間及び上部流路に冷却気体を流通させることができるため、各電池モジュールの単電池全体を効率的に冷却でき、各電池モジュール(単電池)の性能を最大限発揮させることができる。
【0019】
本発明の一態様として、各電池モジュールは、二つ以上の単電池を整列状態で一体的に保持可能に構成された一つ以上の電池ホルダーと、電池ホルダーに保持された単電池の上面側を覆う電池カバーとを備え、前記電池ホルダーは、二つ以上の単電池を支持するアンダーフレームと、該アンダーフレームに支持された単電池を固定するためのアッパーフレームとを備え、該アッパーフレームは、前記二つ以上の単電池の正極用及び負極用の接続端子を包囲可能に形成されるとともにアンダーフレームの上端部に連結可能に構成された枠状部を備え、前記外部通気部が枠状部の互いに対向する対向位置のそれぞれに形成され、前記電池カバーを枠状部上に配置して単電池の上面を覆った状態で、電池カバーと単電池との間に冷却気体を流通させる上部流路が形成されるように構成されてもよい。
【0020】
このようにすれば、二つ以上の単電池を支持したアンダーフレームの上端部にアッパーフレームの枠状部を連結することで、アンダーフレームに支持された単電池の正極用及び負極用の接続端子が枠状部に包囲される。そして、上記構成の電池モジュールは、アッパーフレームの枠状部における互いに対向する対向位置のそれぞれに上下方向と直交する方向に貫通した外部通気部が形成され、前記電池カバーを枠状部上に配置して単電池の上面を覆った状態で、電池カバーと単電池との間に冷却気体を流通させる上部流路が形成されるように構成されているため、枠状部に包囲された領域(接続端子の存在する領域)内に外部通気部から冷却気体を流出入させ、単電池の接続端子の存在する領域から冷却気体を不特定な方向に逃がすことなく流通させることができる。
【0021】
すなわち、上記構成の電池モジュールは、何れか一方の対向位置に形成された外部通気部から枠状部に包囲された電池カバーと単電池との間の上部流路に冷却気体を流入させると、該冷却気体が何れか他方の対向位置に向けて流通して当該対向位置に形成された外部通気部から排出することになる。
【0022】
従って、上記構成の電池パックは、各電池モジュールの上部流路で冷却気体を一方向に流通させることができるため、単電池の接続端子の存在する上部流路内で冷却気体を滞留させることなく、新鮮な冷却気体(接続端子を含む単電池の上部を冷却できる状態の冷却気体)を上部流路で流通させて単電池を冷却することができ、前記複数の単電池の性能を最大限発揮させることができる。
【0023】
本発明の他態様として、前記電池モジュールは、前記外部通気部が単電池の整列方向と直交する方向にある対向位置に形成され、冷却気体が上部流路で単電池の整列方向と直交する方向に流通可能に構成されていることが好ましい。なお、ここで「整列方向」とは、列数に関係なく列の延びる方向を意味する。このようにすれば、電池モジュールを構成する複数の単電池のそれぞれの上部を略等しい条件で冷却することができる。具体的に説明すると、単電池の整列方向に冷却気体を流通させると、該冷却気体の流通方向の上流側にある単電池の熱で冷却気体が暖められ、下流側に向かうにつれて冷却気体の温度が高くなり、冷却気体の流通方向の下流側にある単電池に対する冷却効率が低下してしまう。そのため、同一電池モジュール内の各単電池の出力状態等に相違が生じて安定した出力が得られなくなる。
【0024】
しかしながら、上記構成の電池モジュールは、複数の単電池の整列方向と直交する方向で冷却気体が流通するため、各単電池の上部が整列方向と直交する方向の一端側から他端側に向けて均一に冷却される。これにより、電池モジュールを構成する複数の単電池の出力状態を均一にすることができ、安定した出力を得ることができる。
【0025】
この場合、前記外部通気部は、各単電池の配置に対応して複数形成されていることが好ましい。このようにすれば、各単電池の上方で冷却気体を流通させることができるため、各単電池の接続端子及びその周辺を確実に冷却することができる。
【0026】
本発明の別の態様として、前記パッケージングケース内には、整列配置された複数の電池モジュールの両側にパッケージングケースの一端側から他端側に延びる一対の冷却気体流通路が形成され、複数の電池モジュールは、上部流路の冷却気体の流通方向が一対の冷却気体通路と交差方向に向くように配置され、一方の冷却気体流通路に流入させた冷却気体が各電池モジュールを経由して他方の冷却気体流通路に排出されるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、パッケージングケース内の電池モジュール(単電池)を効率的に冷却することができる。すなわち、パッケージングケース内で冷却気体が無造作に流通することがなく、規定の経路を通過することになり、各単電池を効率的に冷却することができる。
【0027】
本発明の電動車は、上記何れかの電池パックを電力源として備えていることを特徴とする。このようにすれば、電池パック(パッケージングケース)内に配置される電池モジュールにおいて、各単電池を確実に冷却することができ、各単電池の性能を十分に引き出すことができる。従って、上記何れかの電池パックから供給される電力で駆動や制御を行う電動車は、駆動部等に安定した電力の供給が可能であり、安定した走行が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の電池パックによれば、各電池モジュールをパッケージングケース内で確実に固定できる上に、各電池モジュールを構成する複数の単電池を確実に冷却することができ、各電池モジュールの単電池の性能を最大限発揮させることができるという優れた効果を奏し得る。
【0029】
また、本発明の電動車によれば、上記何れかの電池パックを備えているため、各電池モジュールをパッケージングケース内で確実に固定できる上に、各電池モジュールを構成する複数の単電池を確実に冷却することができ、各電池モジュールの単電池の性能を最大限発揮させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池パックの全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る電池パック(電池モジュール)に採用される単電池の全体斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係る電池パックの連結アームを省略した横断面図であって、図1のI−I断面図を示す。
【図4】同実施形態に係る電池パックの連結アームを省略した縦断面図であって、図1のII−II断面を示す。
【図5】同実施形態に係る電池パックの連結アームを省略した縦断面図であって、図1のIII−III断面を示す。
【図6】同実施形態に係る電池パックの連結アームを省略した縦断面図であって、図1のIV−IV断面図を示す。
【図7】同実施形態に係る電池モジュール上にモジュール固定部材を配置した状態の断面図であって、単電池の並ぶ列方向から見た断面図を示す。
【図8】同実施形態に係る電池モジュール上にモジュール固定部材を配置した状態の断面図であって、単電池の正極用の接続端子と負極用接続端子との間における単電池の並ぶ列方向と直交する方向から見た断面図を示す。
【図9】同実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図を示す。
【図10】同実施形態に係る電池ホルダーを構成するアッパーフレームの斜視図を示す。
【図11】同実施形態に係る端子カバーを取り外した状態の電池モジュール及びモジュール固定部材の斜視図を示す。
【図12】同実施形態に係る電池モジュール上にモジュール固定部材を配置した状態の斜視図を示す。
【図13】同実施形態に係る端子カバーの斜視図を示す。
【図14】同実施形態に係る電池モジュールをパッケージングケースに配置した状態図であって、パッケージングケースのカバー及びモジュール固定部材を取り外した状態の平面図を示す。
【図15】同実施形態に係る電池モジュールをパッケージングケースに配置してモジュール固定部材で固定した状態図の平面図を示す。
【図16】同実施形態に係る電池モジュールをパッケージングケースに配置してモジュール固定部材で固定し、パッケージングケースのカバーを取り外した状態の斜視図を示す。
【図17】同実施形態に係る電池パックの連結アームを省略した縦断面図であって、図1のV−V断面図を示す。
【図18】同実施形態に係る電池パックの冷却気体の流れを説明するための部分概略断面図であって、(a)は、隣り合う電池モジュールの端子カバー間の冷却気体の流れを説明するための部分拡大概略断面図を示し、(b)は、隣り合う電池モジュールの端子カバーと枠状部との間の冷却気体の流れを説明するための部分拡大概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0032】
本実施形態に係る電池パックは、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等の電動車の電力源として採用されるもので、図1に示す如く、複数の単電池1…と、該複数の単電池1…を収容するパッケージングケース2とを備えている。
【0033】
各単電池1…は、図2に示す如く、電極エレメント(図示しない)と、該電極エレメントを収容した電槽10と、該電槽10の外面上に配置された外部接続用の接続端子11a,11bとを備えている。前記単電池1…は、電槽10の外面上に配置された接続端子11a,11bと電槽10内の電極エレメントとが電気的に接続されている。
【0034】
本実施形態に係る単電池1…は、前記電槽10が六面体状(本実施形態においては長方体状)に形成された、いわゆる角型電池であり、該電槽10の外面を構成する六面のうちの一面上に正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとが間隔をあけて配置されている。この種の単電池1…は、接続端子11a,11bを上下左右の何れに向けても配置できるが、本実施形態に係る電池パックPにおいて、前記単電池1…は、接続端子11a,11bを上側にして配置される。
【0035】
ここで単電池1の電槽10について具体的に説明すると、前記電槽10は、接続端子11a,11bが配置される一面(以下、上面という)TSと、該上面TSの反対側(真逆)にある面(以下、下面という)USとが長方形状に形成され、該上面TS及び下面USの長手方向の両端(長手方向と直交する方向に延びる端縁)同士を接続する面(以下、側面という)SSが上下方向に長手をなす長方形状に形成され、上面TS及び下面USの長手方向と直交する方向の両端(長手方向に延びる端縁)同士を接続する面(以下、正面という)FSが両側面SS間で長手をなす長方形状に形成されている。
【0036】
すなわち、各単電池1…の電槽10は、上面TS及び下面USの長手方向と直交する方向(両正面FSの並ぶ方向:以下、奥行方向という)における厚みが、上面TS及び下面USの長手方向(両側面SSの並ぶ方向:以下、横方向という)の幅よりも薄くなるように形成されている。これにより、該単電池1は、電槽10の外面を構成する六面のうち、正面FSの表面積が最も広くなっている。そして、各単電池1…は、正極用及び負極用の接続端子11a,11bが電槽10の上面TS上に横方向に間隔をあけて配置されている。なお、以下の説明において、便宜上、単電池1…の上面TSと下面USとが並ぶ方向を上下方向ということとする。
【0037】
上記構成の単電池1…は、図3乃至図6に示す如く、パッケージングケース2内で整列配置されている。本実施形態に係る電池パックPは、図3に示す如く、前記複数の単電池1…が複数列(図に示す電池パックPでは三列)をなすように整列配置されている。すなわち、本実施形態に係る電池パックPは、複数の単電池1…が縦方向の列で整列するとともに横方向の列で整列してマトリックス状に配置されている。なお、以下、本実施形態において、縦方向の列を列といい、横方向の列を行ということとする。また、列の延びる方向を列方向といい、行の延びる方向を行方向ということとする。
【0038】
そして、前記複数の単電池1…は、整列方向(列方向)で隣り合う単電池1…間に冷却気体を流通させる通気隙間Sを形成するように配置されている。本実施形態に係る電池パックPは、上述の如く、異なる列の単電池1…が行(行方向)でも整列しているため、異なる列の通気隙間Sが一列に並んだ状態になっている。
【0039】
そして、複数の単電池1…は、各列において正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとが同列になるように整列配置されている。すなわち、複数の単電池1…は、列方向で隣り合う単電池1…同士が正面FSを対向させつつ、両側面SSが同一面上に揃うように配置されている。これにより、単電池1…間に形成される通気隙間Sは、電槽10の外面を構成する六面のうち、表面積が最も広い正面FSによって画定されている。
【0040】
そして、前記複数の単電池1…は、整列方向(列方向)で隣り合う単電池1…の正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとが対峙するように配置され、隣り合う単電池1…の接続端子11a,11b同士が接続金具であるバスバーBを介して電気的に直列接続されている(図9参照)。これにより、該電池パックPは、複数の単電池1…が電気的に直接接続されて大容量の組電池を構成している。
【0041】
本実施形態において、前記複数の単電池1…は、整列方向(列方向)で所定数(二つ以上の複数)毎にパッケージ化されて複数の電池モジュール3…にされている。すなわち、前記複数の単電池1…は、整列方向(列方向)で所定数毎に一体化され、該一体化された所定数の単電池1…が列方向で順々に接続されて組電池を構成している。なお、電池モジュール3…にされる単電池1…と、電池パックPにされる単電池1…は、何れも複数であるが、電池パックPの対象となる単電池1…と電池モジュール3…の対象となる単電池1…の数を表現するに当たって何れにも「複数」の用語を用いると混同する虞があるため、本実施形態においては、便宜上、一つの電池モジュール3…の単電池1…の数を表現する場合は、「複数」という用語を用いずに上記「所定数」という用語を用いることとする。但し、電池モジュール3…は、電池パックPにされる単電池1…の全数を所定数毎にパッケージ化したものであるため、電池モジュール3…の単電池1…の数は電池パックPの単電池1…の全数に比して少ない数(電池パックPの単電池1…の全数を当該電池パックPに搭載される電池モジュール3…の数で除した数)であることは言うまでもない。
【0042】
本実施形態において、上述の如く、複数の単電池1…が複数列(三列)で配置されるため、各列において、複数の単電池1…が所定数毎にパッケージ化されて複数の電池モジュール3…にされている。
【0043】
各電池モジュール3…は、それぞれ同形態に形成されており、同数の単電池1…を備えている。従って、上述の如く、単電池1…を整列配置するために、複数の電池モジュール3…についても整列した状態で配置される。すなわち、複数の電池モジュール3…は、列(縦方向の列)で整列するとともに行(横方向の列)で整列してマトリックス状(多行多列:図に示す電池パックPでは三行三列)に配置されている。これにより、各列の電池モジュール3…の単電池1…が列方向に整列し、異なる列の電池モジュール3…の単電池1…が行方向で整列している。また、上述の如く、列方向で隣り合う単電池1…間に通気隙間Sを形成しているため、異なる列の電池モジュール3…の単電池1…間に形成された通気隙間Sが行方向で一列に並んだ状態となっている。
【0044】
各電池モジュール3…は、図7及び図8に示す如く、単電池1…の接続端子11a,11bの存在する領域が通気可能(冷却気体(冷却用の気体)が通過可能)に構成されている。すなわち、本実施形態に係る電池モジュール3…は、単電池1…の正極用及び負極用の接続端子11a,11bの存在する上部領域に上下方向と直交する方向に冷却気体を流通させる上部流路TPが形成されている。これに伴い、該電池モジュール3…は、図7に示す如く、上部流路TPに冷却気体を流出入させる外部通気部OPが対向位置に形成されている。
【0045】
前記電池モジュール3…は、図8に示す如く、単電池1…間の通気隙間Sで冷却気体を流通可能に構成され、該通気隙間Sを流通した気体を外部に排出可能に構成されている。従って、本実施形態に係る電池モジュール3…は、単電池1…の電槽10の存在する領域と接続端子11a,11bの存在する領域との両方で通気可能になっている。
【0046】
そして、各電池モジュール3…は、通気隙間Sを形成して同数の単電池1…が列方向に整列しているため、少なくとも行方向に複数を整列状態で配置することで、上述の如く、各列の単電池1…間に形成された通気隙間Sが行方向で一列に並んだ状態になる。従って、本実施形態に係る電池パックPは、複数の電池モジュール3…がマトリックス状に整列配置されることで、異なる列の電池モジュール3…の通気隙間Sが行方向で一列に並んだ状態になり、隣り合う電池モジュール3…の通気隙間S同士が通気可能になっている(図3参照)。
【0047】
また、各電池モジュール3…は、同形態に形成されているため、少なくとも行方向に複数を整列状態で配置することで、行方向で隣り合う外部通気部OP,OP同士が対向し、それぞれの上部流路TPが行方向で一列に並んだ状態になる。従って、本実施形態に係る電池パックPは、複数の電池モジュール3…がマトリックス状に整列配置されることで、異なる列の電池モジュール3…の上部流路TPが行方向で一列に並んだ状態になり、隣り合う電池モジュール3…の上部流路TP同士が通気可能になっている(図4及び図5参照)。
【0048】
そして、前記電池モジュール3…は、図7及び図8に示す如く、列方向で整列配置された所定数の単電池1…の正極用の接続端子11a,11b及び負極用の接続端子11a,11bを包囲する枠状部351を備えている。すなわち、電池モジュール3…は、所定数の単電池1…が電気的に接続されて組電池を構成しているため、該組電池を構成する所定数の単電池1…における電気的な接続経路の両端となって外部に接続される接続端子11a,11bを躱して他の接続端子11a,11bが枠状部351によって包囲されている。
【0049】
本実施形態に係る電池モジュール3…は、前記枠状部351の互いに対向する対向位置のそれぞれに前記外部通気部OPが形成され、該枠状部351に包囲された領域内に上部流路TPが形成されるようになっている。なお、本実施形態に係る電池モジュール3…は、列方向で一列をなす所定数の単電池1…が列方向で順々に接続されているため、列方向の両側にある二つの単電池1…のそれぞれの一方の接続端子11a,11b(電槽10の一方の側面SS側にある接続端子11a,11b)が組電池の接続端子11a,11bになっており、該一対の接続端子11a,11bが枠状部351の包囲された領域外に配置されている。
【0050】
ここで電池モジュール3…について具体的に説明すると、電池モジュール3…は、所定数の単電池1…と、二つ以上の単電池1…を保持する一つ以上の電池ホルダー30,30と、該電池ホルダー30,30に保持された単電池1…(電槽10)の上面TS側を覆う電池カバー31とを備えている。
【0051】
本実施形態に係る電池モジュール3…は、図9に示す如く、前記電池ホルダー30,30を複数備えている。これを前提に、該電池モジュール3…は、複数の電池ホルダー30,30を一括して支持するトレー(以下、モジュールトレーという)32を備えている。より具体的には、本実施形態に係る電池モジュール3…は、所定数の単電池1…が複数組に区分けされている。これに伴い、該電池モジュール3…は、所定数の単電池1…を区分けした組数と対応する数の電池ホルダー30,30と、これらの電池ホルダー30,30が横並びで配置されるモジュールトレー32とを備えている。従って、該電池ホルダー30,30は、それぞれ前記所定数を区分けした組数で割った数の単電池1…を保持するようになっている。
【0052】
本実施形態に係る電池モジュール3…は、当該電池モジュール3…が備える単電池1…の総数(所定数)の半数(四つ)の単電池1…を保持可能な電池ホルダー30,30を二つ備えており、これらをモジュールトレー32上に横並び配置することで、各電池ホルダー30,30に保持された半数(四つ)の単電池1…が同列に配置され、所定数(八つ)の単電池1…が整列した状態になるように構成されている。なお、以下において、各電池ホルダー30,30に保持される単電池1…の数は、二つ以上の複数であるが、電池パックPの対象となる単電池1…及び電池モジュール3…の対象となる単電池1…の何れも複数であるため、電池ホルダー30,30に保持される単電池1…の数を表現するにあたって「複数」の用語を用いると混同する虞があるため、本実施形態においては、便宜上、一つの電池ホルダー30,30の単電池1…の数を示す場合は、複数及び所定数という用語を用いずに規定数という用語を用いることとする。
【0053】
前記電池ホルダー30,30は、規定数の単電池1…を上下方向から挟み込んで該規定数の単電池1…を一体的に保持可能に構成されている。具体的に説明すると、本実施形態に係る電池ホルダー30,30は、単電池1…を支持するアンダーフレーム300と、該アンダーフレーム300に支持された単電池1…を固定するためのアッパーフレーム350とを備えている。
【0054】
前記アンダーフレーム300は、電気絶縁性を有する樹脂成形品で構成されている。かかるアンダーフレーム300は、規定数の単電池1…が載置される載置部301と、該載置部301の外周に立設され、該載置部301上に配置された規定数の単電池1…の電槽10の下部を一括して包囲する下枠部302と、前記載置部301及び下枠部302の上方に配置され、前記載置部301上に配置された規定数の単電池1…の電槽10の上部を一括して包囲する上枠部303と、前記下枠部302と上枠部303とを連結する連結部304…とを備えている。
【0055】
前記載置部301は、平面視における外形が略四角形状をなすように形成されている。なお、本実施形態において、アンダーフレーム300の軽量化を図るために、前記載置部301は単電池1…を支持する部位以外に開口(抜き)が形成されている。
【0056】
本実施形態に係るアンダーフレーム300の載置部301は、規定数の単電池1…を列方向に整列させた状態で配置できるサイズ(通気隙間Sを形成して規定数の単電池1…を配置できるサイズ)に設定されている。すなわち、前記載置部301は、隣り合う単電池1…の正面FS間に通気隙間Sを形成しつつ規定数の単電池1…を列方向で整列した状態で配置できるサイズに設定されている。
【0057】
前記下枠部302は、下端全周が載置部301の外周全周に亘って接続され、載置部301における単電池1…を支持する領域を包囲している。すなわち、下枠部302は、規定数の単電池1…が配置される領域を包囲して、平面視略四角形状の領域を画定している。そして、前記上枠部303は、前記下枠部302と同サイズ及び同形態の領域(平面視略四角形状の領域)を画定し、各辺を下枠部302の各辺と対応させた状態で配置されている。
【0058】
前記連結部304…は、複数設けられており、それぞれが上下方向に長手をなす帯板状に形成されている。そして、複数の連結部304…は、上枠部303及び下枠部302の周方向に間隔をあけて配置され、上枠部303と下枠部302との周方向における複数箇所を連結している。これにより、本実施形態に係るアンダーフレーム300は、連結部304…間から冷却気体が流出入できるようになっている。
【0059】
そして、本実施形態に係る電池ホルダー30は、載置部301に載置した規定数の単電池1…を所定間隔おきに配置する(単電池1…間に通気隙間Sを形成する)ために、単電池1…間に介装されるスペーサ305,306を備えている。
【0060】
かかるスペーサ305,306は、単電池1…間に形成する通気隙間Sに対応した厚みの板材で構成してもよいが、本実施形態に係るスペーサ305,306は、アンダーフレーム300と一体的に成型されている。具体的に説明すると、本実施形態に係るアンダーフレーム300は、載置部301の上面に単電池1…が整列配置される方向(単電池1…の奥行方向と対応する方向)に単電池1…の奥行方向の厚みと対応する間隔をあけて複数のスペーサ(以下、下部スペーサという)305…が立設されている。
【0061】
該下部スペーサ305は、上下方向の高さ(延出量)が単電池1…の電槽10の下部を包囲する下枠部302の上下方向の高さ以下に設定され、上下方向と直交する方向(電槽10の横方向と対応する方向)に長手をなして帯板状に形成されている。そして、該下部スペーサ305は、均一な厚みで成形してもよいが、軽量化の観点から、単電池1…の間隔と対応する厚みに設定された厚肉部305aと、該厚肉部305aの厚みよりも薄く設定された薄肉部305bとが長手方向(電槽10の横方向と対応する方向)で交互に形成されている。
【0062】
また、本実施形態に係るアンダーフレーム300は、単電池1…の電槽10の上部を包囲する上枠部303にも複数の単電池1…間に通気隙間Sを形成するためのスペーサ(以下、上部スペーサという)306が設けられている。かかる上部スペーサ306は、下部スペーサ305と同様に板状に形成してもよいが、本実施形態においては、上枠部303の内周面から内側に突出した突片で構成されている。該上部スペーサ306は、下部スペーサ305の配置に対応して設けられており、突出方向と直交する方向(単電池1…の整列方向と対応する方向)の厚みが、下部スペーサ305の厚肉部305aの厚みと対応している。
【0063】
これにより、上記構成のアンダーフレーム300は、載置部301上に規定数の単電池1…を配置することで、上枠部303及び下枠部302が規定数の単電池1…の電槽10の上部及び下部を一括して包囲し、下部スペーサ305が単電池1…の電槽10の下部間に介入するとともに、上部スペーサ306が単電池1…の電槽10の上部間に介入した状態になるように構成されている。なお、前記アンダーフレーム300は、上枠部303に対してアッパーフレーム350の後述する係合突起(採番しない)を係合させる凹部又は穴(本実施形態においては穴)からなる被係合部(採番しない)が周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0064】
前記アッパーフレーム350は、電気絶縁性を有する樹脂成形品で構成されている。かかるアッパーフレーム350は、アンダーフレーム300の上端部(上枠部303)に対して嵌合状態で連結できるように構成されている。そして、該アッパーフレーム350は、アンダーフレーム300の上枠部303に嵌合した状態で、アンダーフレーム300(載置部301)上に整列配置された規定数の単電池1…のうちの整列方向(列方向)の両端にある各単電池1…の一方の接続端子11a,11bを外部に露出させるように形成されている。
【0065】
より具体的に説明すると、本実施形態に係るアッパーフレーム350は、規定数の単電池1…の正極用及び負極用の接続端子11a,11bを包囲可能に形成されるとともにアンダーフレーム300の上端部に連結可能に構成された枠状部351を備えている。
【0066】
前記枠状部351は、アンダーフレーム300に整列状態で支持された規定数の単電池1…のうち、最も外側にある二つの単電池1…の同列に並ぶ一方の接続端子11a,11b(正極用の接続端子11a,11b及び負極用の接続端子11a,11b)を躱すように形成されている。
【0067】
具体的には、前記枠状部351は、図10に示す如く、一方向に長手をなして互いに対向する一対の横梁部352a,352bと、該一対の横梁部352a,352bの両端同士を接続する一対の縦梁部353a,353bとを備えている。
【0068】
前記一対の横梁部352a,352bは、列方向に並ぶ規定数の単電池1…のうちの最も外側にある単電池1…の外側で該単電池1…の電槽10の正面FSと平行又は略平行になるように配置されている。そして、該一対の横梁部352a,352bのそれぞれは、一端が一方の縦梁部353aに接続されて該縦梁部353aに対して直交方向に延出し、長手方向の長さが単電池1…の電槽10の一方の側面SSから反対の側面SS側にある接続端子11a,11bまでの距離よりも短く設定されている。
【0069】
そして、前記一対の縦梁部353a,353bのうち、一方の縦梁部353aは、横梁部352a,352bと直交する方向で真っ直ぐ延びるように形成されている。これに対し、他方の縦梁部353bは、両横梁部352a,352bの長手方向の他端から相手方の横梁部352a,352b側に延出する一対の縦延出部354a,354bと、該縦延出部354a,354bと直交する方向で該一対の縦延出部354a,354bの先端から一方の縦梁部353a側とは反対側に延出する一対の横延出部355a,355bと、一対の横延出部355a,355bの先端同士を連結する主梁部356とで構成されている。
【0070】
一方の縦梁部353aと他方の縦梁部353bの主梁部356とは、アンダーフレーム300に支持された単電池1…の両側面SSより外側で単電池1…の側面SSと平行又は略平行になるように配置されている。一対の縦延出部354a,354bは、単電池1…の正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとの間であって、単電池1…の電槽10の前記反対の側面SS側にある接続端子11a,11b寄りの位置で一方の縦梁部353aと平行又は略平行になるように配置されている。前記一対の横延出部355a,355bのそれぞれは、電池ホルダー30に保持される規定数の単電池1…の列方向の最も外側にある単電池1と該単電池1と隣り合う単電池1との間に配置されている。
【0071】
これにより、本実施形態に係る枠状部351は、規定数の単電池1…の列方向の最も外側にある二つの単電池1…の一側にある接続端子11a,11b以外の接続端子11a,11bを包囲できるように構成されている。すなわち、上記構成の枠状部351は、一対の縦延出部354a,354b及び一対の横延出部355a,355bが当該枠状部351の包囲する領域から整列状態にある単電池1…の最も外側にある二つの単電池1…の一方の接続端子11a,11b(正極用の接続端子11a,11b及び負極用の接続端子11a,11b)を排除し、それ以外の接続端子11a,11bを包囲した状態になるように形成されている。
【0072】
該枠状部351は、一対の横梁部352a,352b、一方の縦梁部353a、及び他方の縦梁部353bの主梁部356がアンダーフレーム300の上枠部303に対して嵌合状態で連結できるようになっている。これに伴い、本実施形態に係る枠状部351は、一対の横梁部352a,352b、一方の縦梁部353a、及び他方の縦梁部353bの主梁部356に対してアンダーフレーム300の上枠部303に形成された前記被係合部に係合させる複数の係合突起(採番しない)が周方向に間隔をあけて設けられている。また、本実施形態に係るアッパーフレーム350は、枠状部351の縦梁部353a,353bに電池カバー31の後述する係合爪(採番しない)を係合させる凹部又は穴(本実施形態においては穴)からなる複数のカバー固定用被係合部(採番しない)が間隔をあけて設けられている。
【0073】
そして、本実施形態に係るアッパーフレーム350は、前記枠状部351の包囲する領域内に配置され、規定数の単電池1…の上下方向の移動を規制する電池規制部357a,357bを備えている。該電池規制部357a,357bは、枠状部351をアンダーフレーム300に連結した状態で該アンダーフレーム300に支持された各単電池1…を上方から付勢可能に形成されている。本実施形態に係る電池規制部357a,357bは、該枠状部351の包囲する領域内で単電池1…の整列方向に延びて梁状に形成され、該枠状部351がアンダーフレーム300の上端部に連結された状態で単電池1…の正極用及び負極用の接続端子11a,11b間にある上部(電槽10の上面TS)に当接可能に構成されている。
【0074】
該電池規制部357a,357bは、一対設けられており、前記横梁部352a,352bの長手方向に間隔をあけて配置され、両端が枠状部351に接続されている。本実施形態において、一方の電池規制部357aは、両端が一対の横梁部352a,352bに接続され、他方の電池規制部357bは、両端が他方の縦梁部353bの縦延出部354a,354bの先端(横延出部355a,355bの基端)に接続されている。従って、本実施形態において、他方の電池規制部357bは、縦延出部354a,354bと連続して一つの梁を構成し、縦延出部354a,354bが単電池1…の移動を規制する電池規制部357bとしても機能するようになっている。
【0075】
該一対の電池規制部357a,357bは、互いの上端が同一平面上に位置するように配置されている。また、該一対の電池規制部357a,357bは、それぞれの上端が枠状部351の上端と同一平面上に位置するように配置されている。すなわち、本実施形態に係るアッパーフレーム350は、枠状部351及び一対の電池規制部357a,357bの最も高い位置にある最上端が同一レベルに設定されている。
【0076】
そして、一対の電池規制部357a,357bは、アンダーフレーム300に支持された単電池1…の正極用の接続端子11a,11bと負極用の接続端子11a,11bとの間に位置するように配置されており、枠状部351を上枠部303に連結(嵌合)した状態で、正極用の接続端子11a,11bと負極用の接続端子11a,11bとの間にある電槽10の上面TS(上端)を押圧し、単電池1…の移動を規制するようになっている。
【0077】
前記枠状部351は、互いに対向する対向位置に上下方向と直交する方向に貫通した外部通気部OPが形成されている。また、電池規制部357a,357bにも、上下方向と直交する方向に貫通した内部通気部IPが形成されている。
【0078】
本実施形態において、前記外部通気部OP及び内部通気部IPは、アンダーフレーム300に支持された規定数の単電池1…のそれぞれの配置に対応して形成されている。すなわち、一対の縦梁部353a,353bには、各単電池1…の配置に対応して複数の外部通気部OPが形成され、一対の電池規制部357a,357bには、各単電池1…の配置に対応して複数の内部通気部IPが形成されている。これにより、枠状部351の外部通気部OP及び電池規制部357a,357bの内部通気部IPは、単電池1…毎に一列に並ぶように形成されている。
【0079】
前記外部通気部OPは、縦梁部353a,353bの上端側に変位して形成されている。これに対し、前記内部通気部IPは、電池規制部357a,357bの下端側に変位して形成されている。すなわち、外部通気部OPは、上方を開放させた切り欠き状に形成され、前記内部通気部IPは、下方に向けて開放した切り欠き状に形成されている。
【0080】
電池規制部357a,357bは、単電池1…の上面TS(上端)を押圧する必要があるため、内部通気部IP(切り欠き)は、単電池1…の上面TSの奥行方向の中央部に対応して形成され、内部通気部IPの両側が電槽10の奥行方向の両端部を押圧するようになっている。なお、本実施形態において、他方の縦梁部353bの縦延出部354a,354bに形成された外部通気部OPは、電池規制部357bに形成された内部通気部IPと同様に、下方に向けて開放した切り欠き状に形成されている。
【0081】
そして、本実施形態に係るアッパーフレーム350は、枠状部351に包囲された領域(上部流路TP)内に単電池1…の電気的な監視を行うための回路基板CBが配置されるようになっている(図9参照)。これに伴い、前記アッパーフレーム350は、枠状部351に包囲された単電池1…の正極用の接続端子11a,11bと負極用の接続端子11a,11bとの間に配置可能な基板支持部358を備えている。該基板支持部358は、前記枠状部351に対して直接的又は間接的に連結される。本実施形態に係る基板支持部358は、一対の電池規制部357a,357b間に配置され、該電池規制部357a,357b及び枠状部351(横梁部352a,352b)に連結されている。
【0082】
かかる基板支持部358は、上下方向に貫通した複数の開口が形成されて格子状をなす支持部本体358aと、該支持部本体358a上に立設された補強リブ358bとで構成されており、補強リブ358b上に回路基板CBが配置されるようになっている。
【0083】
そして、該基板支持部358は、一対の電池規制部357a,357bの下端よりも下方に突出することのないように配置されている。すなわち、基板支持部358は、単電池1の電槽10の上面と接触しないように配置されている(図7参照)。これにより、基板支持部358は、単電池1…からの熱影響の少ない位置で前記回路基板CBを支持できるようになっている。
【0084】
本実施形態のアッパーフレーム350は、少なくとも何れか一方の電池規制部357a,357bに該電池規制部357a,357bの上面で開放した溝359が長手方向に連続して形成される。本実施形態に係る電池モジュール3は、図7に示す如く、基板支持部358上に配置した回路基板CBに接続されたリード線(回路基板CBと後述する制御装置Cとを接続するリード線)Lが前記溝359内(電池規制部357a,357bの内部)に配線されている。
【0085】
モジュールトレー32は、図9に示す如く、一枚の板材を板金加工して形成されたもので、電池ホルダー30,30が載置されるトレー本体部320と、該トレー本体部320の外周に立設されたホルダー規制部321…とを備えている。前記トレー本体部320は、平面視四角形状をなし、二つ以上の電池ホルダー30,30を整列状態で配置できるサイズになっている。本実施形態に係る電池モジュール3は、二つの電池ホルダー30,30を備えているため、前記トレー本体部320は、二つの電池ホルダーを整列状態で配置できるサイズに設定されている。
【0086】
そして、前記ホルダー規制部321…は、トレー本体部320の外形を構成する各辺(四辺)から延出する突辺を起立状態に折り曲げて形成されている。これにより、複数(本実施形態においては二つ)の電池ホルダー30,30をモジュールトレー32(トレー本体部320)上に配置した状態で、各電池ホルダー30,30がホルダー規制部321…との干渉によってトレー本体部320の面方向に移動することが規制されるようになっている。また、二つの電池ホルダー30,30を一体的に支持するモジュールトレー32は、パッケージングケース2の後述するトレー20に対して規定位置で係合可能に構成されている。
【0087】
そして、各電池ホルダー30に保持された規定数の単電池1…は、正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとがバスバーBで接続される。なお、図9において、規定数の単電池1…は、正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとがバスバーBで接続されているが、電池ホルダー30,30(アッパーフレーム350)は、枠状部351と電池規制部357a,357bとを接続する補強梁360が整列配置される単電池1…間に対応して設けられているため、実際には、単電池1…を支持するアンダーフレーム300の上枠部303に対してアッパーフレーム350の枠状部351を嵌合した後、前記補強梁360を跨ぐように配置されるバスバーBで隣り合う単電池1…の正極用の接続端子11a,11bと負極用の接続端子11a,11bとが電気的に接続される。
【0088】
本実施形態に係る電池モジュール3…は、二つの電池ホルダー30,30を整列状態で配置するように構成されているため、単電池1…を保持した電池ホルダー30,30がモジュールトレー32上に配置された状態で、各電池ホルダー30,30に保持されて隣り合う単電池1…の正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとが電池ホルダー30,30を跨ぐようにして配置されたバスバーBによって電気的に接続される。これにより、二つの電池ホルダー30,30に保持された単電池1…が電気的に一体をなして大容量の組電池を構成し、列方向に整列配置された所定数の単電池1…の最も外側に位置する二つの単電池1,1のそれぞれの一方の接続端子11a,11bが組電池の接続端子となる。すなわち、本実施形態に係る電池モジュール3…は、二つの電池ホルダー30,30を横並びに配置することで、所定数の単電池1…が整列するようになっているため、各電池ホルダー30のアッパーフレーム350から外部に露出する一方の接続端子11a,11bは、隣り合う電池ホルダー30,30に保持された単電池1(規定数の単電池1…のうちの整列方向(列方向)の両端にある二つの単電池1…のうちの一方の単電池1…であって、当該電池ホルダー30,30と隣り合う単電池1)の接続端子11a,11bと接続され、各電池ホルダー30,30のアッパーフレーム350から外部に露出する一方の接続端子11a,11bが外部に接続される組電池の接続端子11a,11bになっている。
【0089】
前記電池カバー31は、電気絶縁性を有する樹脂成型品で構成されており、電池ホルダー30,30のアッパーフレーム350上に配置されることで所定数の単電池1…の上面を覆うことができるように形成されている。本実施形態に係る電池モジュール3…は、上述の如く、複数(二つ)の電池ホルダー30,30が整列状態で配置されるために、前記電池カバー31は、整列状態にある複数(二つ)の電池ホルダー30,30の上部全域を一体的に覆うことができるように形成されている。
【0090】
具体的に説明すると、本実施形態に係る電池カバー31は、二つの電池ホルダー30,30に跨って配置されるもので、平面視略四角形状(長方形状)に形成され、所定数の単電池1…が構成する組電池の正極用の接続端子11a及び負極用の接続端子11bを外部に露呈させるように角部が切り欠かれている。
【0091】
本実施形態に係る電池モジュール3…は、整列状態にある所定数の単電池1…の列方向の両側にある二つの単電池1…の正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bと同列で配置されることで、該所定数の単電池1…によって構成される組電池の正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとが一側(電槽10の一方の側面SS側)に位置しているため、平面視略長方形状をなす電池カバー31は、長手方向と直交する方向の一端側にある両角部に切り欠き状の端子露出部310,310が形成されている。該端子露出部310,310は、アッパーフレーム350の縦延出部354a,354bと横延出部355a,355bとを二辺にする四角領域と対応して形成されている。そして、前記電池カバー31は、外周縁部に電池ホルダー30,30(アッパーフレーム350)の枠状部351に形成されたカバー固定用被係合部(採番しない)に係合可能な係合爪(採番しない)が周方向に間隔をあけて複数突設されている。
【0092】
本実施形態に係る電池カバー31は、前記対向位置と電池規制部357a,357bとの間の電池規制部357a,357bに形成された内部通気部IPの配置に対応した位置に、単電池1…側に突出して単電池1…側に向く面が電池規制部357a,357b側に向けて先下りに傾斜した気体誘導部311…が形成されている。
【0093】
すなわち、前記電池カバー31の一方の面(単電池1…と対向する面)には、電池ホルダー30,30を覆った状態で一対の電池規制部357a,357bの両側に位置する部分に下方に向けて突出する気体誘導部311…が形成されている。本実施形態に係る気体誘導部311…は、電池カバー31を部分的に膨出させて形成されている。
【0094】
前記気体誘導部311…は、図7に示す如く、電池規制部357a,357bに隣接するように配置されるとともに、単電池1側にある面(下面)の先下り側の先端E1が電池規制部357a,357bの内部通気部IPを画定する上側のエッジE2と対応した配置又は該エッジE2よりも上方の位置になるように形成されている。
【0095】
これにより、該電池モジュール3…は、単電池1…を保持した電池ホルダー30,30を電池カバー31で覆うことで、アッパーフレーム350の電池規制部357a,357bの外側に気体誘導部311…が配設され、枠状部351と電池規制部357a,357bとの間の冷却気体の流通経路が、該アッパーフレーム350の枠状部351(縦梁部353a,353b)に形成された外部通気部OPから電池規制部357a,357bの内部通気部IPに対応した経路サイズに徐々に縮小し、電池規制部357a,357bの内部通気部IPから外部通気部OPに対応した経路サイズに徐々に拡大している。
【0096】
本実施形態に係る電池モジュール3は、上述の如く、電池カバー31が組電池の正極用の接続端子と負極用の接続端子となる接続端子11a,11bを除いて他の接続端子11a,11bの全てを覆うようになっているため、本実施形態に係る電池モジュール3…は、図11に示す如く、組電池の正極用の接続端子11aと負極用の接続端子11bとを覆う一対の端子カバー33,33を備えている。
【0097】
各端子カバー33,33は、図12に示す如く、接続端子11a,11bを覆った状態でアッパーフレーム350に連結可能に形成されている。そして、端子カバー33,33は、接続端子11a,11bの存在する領域と外部との間で冷却気体を流通させるカバー通気部330が形成されている。本実施形態において、前記端子カバー33,33は、組電池の接続端子11a,11bを覆った状態で隣り合う枠状部351(縦梁部353a,353b)の外部通気部OPと連通するように枠状部351側が開放して形成されるとともに、前記カバー通気部330が該外部通気部OPと対向するように形成されている。
【0098】
具体的には、端子カバー33,33は、図13に示す如く、接続端子11a,11bの上方に配置される平面視略四角形状の天板部331と、該天板部331の一方向の一端から垂下する横壁部332と、前記天板部331の一方向と直交する他方向の一端から垂下し、隣接する横壁部332に接続された縦壁部333とで構成されている。かかる端子カバー33,33は、接続端子11a,11bを覆った状態で横壁部332が他方の縦梁部353bを構成する縦延出部354a,354bと対向するとともに縦壁部333が他方の縦梁部353bを構成する横延出部355a,355bと対向するようになっている。
【0099】
本実施形態に係る端子カバー33,33は、前記横壁部332にカバー通気部330が形成されている。すなわち、他方の縦梁部353bの縦延出部354a,354bは、所定数の単電池1…の最も外側にある単電池1…の正極用の接続端子11a,11bと負極用の接続端子11a,11bとの間を横切るように介在し、該一方の接続端子11a,11bを枠状部351の包囲する領域から排除するとともに、最も外側にある単電池1…の配置に対応して外部通気部OPが形成されているため、本実施形態に係る端子カバー33,33は、縦梁部353a,353b(縦延出部354a,354b)に形成された外部通気部OPと対向する横壁部332にカバー通気部330が形成されている。なお、本実施形態において、カバー通気部330は、内外に貫通した複数条のスリットで構成されている。
【0100】
そして、本実施形態に係る電池パックPにおいて、複数の電池モジュール3…をマトリックス状に配置し、隣り合う電池モジュール3…の接続端子11a,11b同士(正極用の接続端子11a,11bと負極用の接続端子11a,11b)をプレート状のバスバーBで接続するようにしている(図14参照)。これに伴い、前記端子カバー33,33は、縦壁部333及び横壁部332の端部が僅かに切り欠かれてバスバー挿通部334が形成され、該バスバー挿通部334で帯板状のバスバーBを端子カバー33,33の内外に挿通させて隣り合う電池モジュール3に掛け渡せる(接続端子11a,11b同士を接続できる)ようになっている。
【0101】
また、該端子カバー33,33は、天板部331の一方向の他端部にアッパーフレーム350(枠状部351)と係脱可能な取付爪(採番しない)が設けられている。これにより、本実施形態に係る電池モジュール3…は、組電池の正極用の接続端子11a及び負極用の接続端子11bのそれぞれを端子カバー33,33で覆った状態で維持できるようになっている。
【0102】
本実施形態に係る電池モジュール3…は、以上の構成からなり、図14に示す如く、パッケージングケース2内に多行多列で配置されて該パッケージングケース2に固定される。これに伴い、本実施形態に係る電池パックPは、図15に示す如く、パッケージングケース2内に配置された電池モジュール3…を固定するためのモジュール固定部材4を備えている。該モジュール固定部材4は、パッケージングケース2内に配置された電池モジュール3…を上方から押さえることで電池モジュール3…をパッケージングケース2内に固定できるように構成されている。
【0103】
本実施形態に係る電池パックPは、電池モジュール3…毎にモジュール固定部材4が設けられている。各モジュール固定部材4は、図11に示す如く、電池モジュール3…の電池カバー31上に配置されるプレート状の固定部材本体40と、固定部材本体40に連設されてパッケージングケース2に連結される連結部(以下、ケース連結部という)41,41と、複数の単電池1…の整列方向(列方向)と直交する方向(行方向)で枠状部351と対峙するように固定部材本体40の両端に垂設された一対の垂下壁部42,42とを備えている。
【0104】
前記固定部材本体40は、電池カバー31と同様に、電池モジュール3…(組電池)の正極用の接続端子11a及び負極用の接続端子11bの配置に合わせて角部が切り欠かれている。すなわち、固定部材本体40は、長手方向と直交する方向の一端側の両角部に切り欠き状の端子露出部400,400が形成されている。そして、該固定部材本体40は、長手方向と直交する方向のサイズが固定の対象となる電池モジュール3…の横方向のサイズ(単電池1…の横方向に対応する方向のサイズ)よりも大きく設定されている。
【0105】
一対のケース連結部41,41は、固定部材本体40の長手方向と直交する方向に延びる端縁から垂下する第一垂下片部410と、該第一垂下片部410の下端から外側に延出した固定片部411とを備え、固定片部411に連結用のネジ部材(例えば、ボルト)を挿通するための貫通穴が穿設されている。そして、各ケース連結部41,41は、第一垂下片部410の基端部が外側に膨出するように形成されており、当該ケース連結部41,41に可撓性が付与され、外的な要因による振動等が生じたときに、衝撃等を緩和できるようになっている。
【0106】
一対の垂下壁部42,42は、固定部材本体40の長手方向に延びる端縁から垂下する第二垂下片部420と、該第二垂下片部420の下端から電池モジュール3…側(内側)に延出した折返片部421と、該折返片部421の先端から垂下した当接片部422とで構成されている。そして、一対の垂下壁部42,42は、第二垂下片部420に対して通気用開口423…(本実施形態においては四角形状の開口)が複数設けられている。各垂下壁部42,42に設けられた通気用開口423…は、互いに対応した配置になっている。そして、各垂下壁部42,42は、第二垂下片部420に固定用ボルトを挿通するための貫通穴(採番しない)が前記通気用開口423…間に設けられている。
【0107】
上記構成のモジュール固定部材4は、固定部材本体40で電池モジュール3…の電池カバー31を覆った状態で、図7に示す如く、一対の垂下壁部42,42の第二垂下片部420が電池モジュール3の枠状部351と間隔をあけて対向するとともに、当接片部422が電池モジュール3…の両側(単電池1…の整列方向と直交する方向と対応する方向の両側)に当接し、図8に示す如く、一対のケース連結部41,41の第一垂下片部410が電池モジュール3…の両側(単電池1…の整列方向と対応する方向の両側)に当接するようになっている。
【0108】
そして、前記モジュール固定部材4は、図15及び図16に示す如く、一対のケース連結部41,41(固定片部411)がパッケージングケース2の後述する仕切部204…に対して前記貫通穴に挿通したネジ部材で連結され、また、一対の垂下壁部42,42が隣り合う電池モジュール3…を固定するためのモジュール固定部材4の垂下壁部42,42(第二垂下片部420)に対してネジ部材で連結されるようになっている。そして、該モジュール固定部材4は、上述の如く、一対の垂下壁部42,42が隣り合う電池モジュール3…を固定するためのモジュール固定部材4の垂下壁部42,42(第二垂下片部420)に対して連結した状態で、両モジュール固定部材4の通気用開口423…が連通するようになっている(図4及び図5参照)。
【0109】
前記パッケージングケース2は、図16に示す如く、複数の単電池1…(複数組の電池モジュール3…)が配置されるトレー20と、該トレー20上の単電池1…を(トレー20の上部)を覆うカバー21とで構成されている。
【0110】
前記トレー20は、図4及び図5に示す如く、複数の単電池1…(複数組の電池モジュール3…)が配置される底部200と、該底部200の外周に対して直接的又は間接的に接続され、該底部200の外側で環状をなす下側フランジ部202とを備えている。より具体的に説明すると、本実施形態に係るトレー20は、底部200と、該底部200の外周から起立した下側周壁部201と、下側周壁部201の上端から外方に延出した下側フランジ部202とを備えている。
【0111】
前記底部200は、平面視略長方形状に形成されており、これに伴って底部200の外周から起立する下側周壁部201は、底部200の平面形状に対応して平面視長方形状をなす領域を画定するように角枠状に形成されている。そして、該電池パックPは、上述の如く、電動車に搭載されるため、トレー20の下側周壁部201の外面の複数箇所(本実施形態においては、五カ所)にシャーシ(図示しない)と連結するための連結アーム203…が突設されている(図1等参照)。
【0112】
本実施形態に係るトレー20は、図3、図14、及び図15に示す如く、下側周壁部201に包囲された領域が底部200の長手方向で複数(図においては四つ)の領域A1,A2,A3,A4に区画されている。すなわち、前記トレー20は、底部200の長手方向に間隔をあけて複数の仕切部204…が設けられている。なお、以下の説明において、仕切部204…によって区画された四つの領域を、トレー20の底部200の長手方向の一端側から他端に向けて順に第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、第四領域A4ということとする。
【0113】
そして、前記下側周壁部201は、上述の如く、平面視長方形状の領域を画定するように角枠状に形成されているため、複数の仕切部204…のそれぞれは、下側周壁部201の互いに対向する一対の壁面(採番しない)に連結されている。
【0114】
前記トレー20は、第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4のうちの一つの領域(本実施形態においては第二領域A2)に対して電池モジュール3…の充填等を制御する制御手段(制御基板類)Cが配置され、残りの領域(本実施形態においては、第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4)に電池モジュール3…(複数の単電池1…)が配置されるようになっている。
【0115】
本実施形態に係る電池パックPは、第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4のそれぞれに複数組(本実施形態においては三組)の電池モジュール3…が行方向で一列に整列した状態で配置されることで、トレー20全体として複数の電池モジュール3…が多行多列に配置された状態にされる。すなわち、第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4に配置される複数の電池モジュール3…は、それぞれの電池ホルダー30,30に保持された規定数の単電池1…が一列をなすように単電池1…の整列方向を一致させるように配置されるとともに、隣り合う列の電池モジュール3…同士の単電池1…が行方向で整列するように配置される。これにより、行方向に並ぶ電池モジュール3…は、単電池1…間に形成される通気隙間Sが一列に並んで真っ直ぐな流路を形成するように配置される。なお、本実施形態に係る電池パックPは、第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の並ぶ方向(パッケージングケース2の長手方向)と単電池1…の整列方向(列方向)とが一致するように各電池モジュール3…が配置される。
【0116】
そして、本実施形態に係るトレー20は、電池モジュール3…からの電力を電動車の駆動モータや制御系に供給するためのケーブルを接続するコネクタ(採番しない)や、電池モジュール3…全体及び単電池1…に関する情報(充電状態等)の信号送信用のケーブル等を接続するコネクタ(採番しない)が下側周壁部201に取り付けられている。
【0117】
下側フランジ部202は、図4及び図5に示す如く、下側周壁部201の上端全周から外方に延出している。従って、該下側フランジ部202は、無端環状をなしている(例えば、図14等参照)。本実施形態において、前記底部200は、平面視四角形状に形成されているため、前記下側フランジ部202は、平面視角形の枠状をなしている。
【0118】
前記カバー21は、トレー20の底部200(トレー20の底部200上に配置された単電池1…)と対向する天部210と、該天部210の外周に対して直接的又は間接的に接続され、該天部210の外側で環状をなす上側フランジ部212とを備えている。より具体的に説明すると、本実施形態に係るカバー21は、前記トレー20の開放部分と対応した天部210と、該天部210の外周から垂下する上側周壁部211と、該上側周壁部211の下端から外方に延出した上側フランジ部212とを備えている。
【0119】
前記天部210は、トレー20の開放部分と対応して平面視略長方形状に形成されている。そして、上側フランジ部212は、上側周壁部211の下端全周から外方に延出している。従って、該上側フランジ部212は、下側フランジ部202と同様に、無端環状をなしており、当該カバー21でトレー20の上部開口を覆った状態で、下側フランジ部202と重合するようになっている。
【0120】
そして、本実施形態に係る電池パックPは、下側フランジ部202を備えたトレー20と、上側フランジ部212を備えたカバー21とでパッケージングケース2が構成されることを前提に、上記構成に加え、重合した下側フランジ部202及び上側フランジ部212の全周又は略全周を外側から覆うエッジカバー22を備えている。なお、本実施形態に係る電池パックPは、重合した下側フランジ部202及び上側フランジ部212の全周又は略全周をエッジカバー22で覆った上でこれらを一体的に螺子締結するようになっている。これにより、本実施形態に係る電池パックPは、重合する下側フランジ部202及び上側フランジ部212をエッジカバー22で覆うことで、パッケージングケース2の外面に雨水や洗浄水等の液体が付着しても、エッジカバー22が下側フランジ部202と上側フランジ部212との間に液体が進入することを阻止するようになっている。なお、本実施形態に係る電池パックPは、下側フランジ部202と上側フランジ部212との間にシール剤が介装されており、パーケージングケース2内への液体の進入をより確実に防止できるようになっている。
【0121】
そして、本実施形態に係る電池パックPは、電池モジュール3…(単電池1…)の充放電に伴って発生する熱を放熱し、単電池1…の過度な温度上昇を防止できるようになっている。すなわち、本実施形態に係る電池パックPは、パッケージングケース2内に冷却気体の流れを作り、該冷却気体の流通で単電池1…を冷却するようになっている。
【0122】
本実施形態に係る電池パックPは、図16に示す如く、冷却用ファンFを備えており、冷却用ファンFによる送風又は吸引(本実施形態においては吸引)でパッケージングケース2内の単電池1…の配置される領域(本実施形態においては第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4)に冷却気体を流通させることで、各電池モジュール3…(各単電池1…)を冷却するようになっている。
【0123】
具体的に説明すると、図3に示す如く、前記パッケージングケース2内には、複数の単電池1…(複数の電池モジュール3…)の両側で単電池1…の整列方向(列方向)に延びて各通気隙間Sと連通する一対の冷却気体流通路R1,R2が形成され、一方の冷却気体流通路(以下、一次通気路という)R1の長手方向の一端側に冷却気体を流入させ、他方の冷却気体流通路(以下、二次通気路という)R2から冷却気体を外部に排出するように構成されている。
【0124】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPのパッケージングケース2の内部には、冷却気体を第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4のそれぞれに導入可能に形成された一次通気路R1と、第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4のそれぞれを通過した冷却気体を外部に排出可能に構成された二次通気路R2とが形成されている。
【0125】
前記一次通気路R1及び二次通気路R2は、図4及び図5に示す如く、パッケージングケース2内に配置された電池モジュール3…(複数の単電池1…)の両側に隣接して設けられている。すなわち、前記一次通気路R1及び二次通気路R2は、単電池1…の配置される領域(第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4)の両側に形成されている。
【0126】
本実施形態に係る一次通気路R1は、第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の並ぶ方向と直交する方向(トレー20の底部200の長手方向と直交する方向)で第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の両側にある領域の一方の領域内で第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の並ぶ方向に延びるように形成されている。
【0127】
また、本実施形態に係る二次通気路R2は、第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の並ぶ方向と直交する方向(トレー20の底部200の長手方向と直交する方向)で第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の両側にある領域の他方の領域内で第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の並ぶ方向に延びるように形成されている。
【0128】
本実施形態において、前記一次通気路R1及び二次通気路R2は、トレー20に対して電池モジュール3…(複数の単電池1…)を配置することで形成されている。すなわち、本実施形態に係る電池パックPは、パッケージングケース2内の第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4に複数の電池モジュール3…をマトリックス状に配置することで、トレー20の下側周壁部201と、該下側周壁部201の内壁面と対向する電池モジュール3…の外面とが一次通気路R1及び二次通気路R2を画定している。なお、本実施形態に係る電池パックPは、単電池1…の配置される第一領域A1と第三領域A3との間にある第二領域A2内に制御装置Cが配置されるため、当該領域A2においては制御装置Cとトレー20の下側周壁部201とが一次通気路R1及び二次通気路R2を画定している。
【0129】
そして、本実施形態に係るパッケージングケース2は、下側周壁部201の対向面に両端が接続された仕切部204…よってトレー20の内部空間が第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4に区画されているため、第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4の両側に形成する一次通気路R1及び二次通気路R2のそれぞれを一系統の経路とすべく、各仕切部204…は、トレー20の下側周壁部201の近傍にある両端部に底部200の長手方向に貫通する通気口Hが形成されている(図5参照)。これにより、一次通気路R1及び二次通気路R2は、トレー20の内部空間において底部200の長手方向(第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4の並ぶ方向)の全長に亘って連続して形成されている。
【0130】
そして、本実施形態に係る電池パックPは、トレー20の底部200の長手方向の一端側(第一領域A1側)から一次通気路R1内に冷却気体(本実施形態においては外気)を取り込むように構成される一方、トレー20の底部200の長手方向の他端側(第四領域A4側)から二次通気路R2内に冷却気体を外部に排出するようになっている。
【0131】
これに伴い、前記カバー21の天部210には、図1及び図16に示す如く、長手方向の一端側(第一領域A1側)で一次通気路R1の形成位置に対応する位置に吸気用の開口Haが形成されるとともに同方向の他端側(第四領域A4側)で二次通気路R2の形成位置に対応する位置に排気用の開口(図示しない)が形成されている。すなわち、本実施形態に係る電池パックPは、前記カバー21の天部210が長方形状に形成され、長手方向と直交する方向の一端側に上流側の通気路R1を形成するとともに他端側に下流側の通気路R2を形成するようにしているため、前記吸気用の開口Ha及び排気用の開口が天部210上の対角位置に形成されている。
【0132】
そして、前記冷却用ファンFは、通気路の配置に対応して天部210に取り付けられる。本実施形態に係る冷却用ファンFは、吸引ブロアが採用されているため、前記カバー21の排気用の開口に対応して取り付けられている。これにより、本実施形態に係る電池パックPは、冷却用ファンFを駆動すると、排気用の開口から二次通気部内に空気が吸引され、該二次通気路R2、第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、第四領域A4、及び一次通気路R1が負圧になる結果、吸気用の開口から外気が一次通気路R1に流入し、第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、第四領域A4、二次通気路R2を介して排気用の開口(冷却用ファンF)から外部に排出されるようになっている。
【0133】
本実施形態に係る電池パックPは、一次通気路R1が第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3、第四領域A4に沿って形成された長い流路であり、また、トレー20の底部200における長手方向の一端側(第一領域A1側)から外気を取り入れるようになっているため、外部から流入した外気(冷却気体)は、第一領域A1に流入し易いが、該第一領域A1に対して遠方にある領域(第三領域A3や第四領域A4)には流入しにくくなる。すなわち、一次通気部を長い経路に形成すると、当該一次通気路R1の圧力損失で冷却気体が流通方向の下流に流れにくくなる結果、第一領域A1、第三領域A3及び第四領域A4への冷却気体の流通バランスが崩れてしまい、各領域に配置される単電池1…(電池モジュール3…)に対する冷却状態が異なったものになってしまう。
【0134】
そこで、本実施形態に係る電池パックPは、一次通気路R1から第一領域A1、第三領域A3及び第四領域A4のそれぞれに冷却気体をバランスよく供給するための施策がとられている。
【0135】
具体的には、本実施形態に係る電池パックPは、一次通気路R1における上流域の所定範囲での経路断面積(一次通気路R1の延びる方向から見た経路断面積)が該所定範囲よりも下流側の経路断面積に比して狭く設定されている。すなわち、本実施形態に係る一次通気路R1は、第一領域A1及び第二領域A2と対応する領域の経路断面積が第三領域A3及び第四領域A4と対応する領域の経路断面積よりも狭く設定されている。
【0136】
本実施形態においては、第一領域A1、第三領域A3及び第四領域A4のそれぞれに配置される複数の単電池1…(電池モジュール3…)が、同列に配置されて側面SSが一列に整列する(領域に関係なくトレー20全体で整列して配置される)ことを前提に、図3、図14、及び図15に示す如く、トレー20の下部周壁部における前記第一領域A1及び第二領域A2と対応する部位が前記第三領域A3及び第四領域A4と対応する部位よりも内側に変位した位置に形成されており、一次通気路R1の第一領域A1及び第二領域A2と対応する領域の経路幅が第三領域A3及び第四領域A4と対応する領域の経路幅よりも狭くなっている。
【0137】
そして、本実施形態に係る電池パックPは、図4乃至図6に示す如く、前記単電池1…(電池モジュール3…)とカバー21との間に形成される隙間を閉塞する封止部材5が単電池1…(電池モジュール3…)とカバー21との間に介装されている。すなわち、本実施形態に係るパッケージングケース2は、上述の如く、前記複数の単電池1…を配置するトレー20と、該トレー20上の単電池1…を覆うカバー21とで構成されており、単電池1…(電池モジュール3…)の短絡等を防止する観点で、単電池1…(電池モジュール3…)をカバー21で覆った状態で該カバー21の天部210が単電池1…(電池モジュール3…)と緩衝することのないようになっている。
【0138】
そのため、単電池1…(電池モジュール3…)とカバー21との間に隙間が形成されることになるが、この隙間を開放しておくと、一次通気路R1を流通する電池モジュール3…内に供給すべき冷却気体が前記隙間を通って二次通気路R2に流れてしまうことになる。そこで、本実施形態においては、前記単電池1…とカバー21との間に形成される隙間に封止部材5を介装し、単電池1…(電池モジュール3…)とカバー21との間の隙間を閉塞するようにしている。なお、封止部材5は、隙間を閉じることのできるものであれば、適宜採用可能であるが、カバー21で電池モジュール3…を覆ったときに電池モジュール3…等に過度な押圧力が作用することのないように、本実施形態においては、封止部材5にスポンジを採用している。
【0139】
これにより、本実施形態に係る電池パックPは、一次通気路R1の上流領域(第一領域A1及び第二領域A2と対応する領域)での冷却気体の流速を速めて該冷却気体を下流領域(第三領域A3及び第四領域A4)に勢いよく送り込み、第三領域A3及び第四領域A4への冷却気体の供給量を第一領域A1に対する冷却気体の供給量に近づける、或いは、同等にするようになっている。
【0140】
また、本実施形態に係る電池パックPは、図16及び図17に示す如く、前記一次通気路R1の上流域の所定範囲に、当該所定範囲と対応する領域(本実施形態においては第一領域A1)内にある単電池1…側に向けて流れる冷却気体の流量を所定流量に制限する流量制限手段6が設けられている。すなわち、本実施形態に係る電池パックPは、一次通気路R1から第一領域A1に流れ込む冷却気体の流量と第三領域A3及び第四領域A4側に供給する冷却気体の流量とのバランスを図るための流量制限手段6を備えている。
【0141】
本実施形態に係る流量制限手段6は、所定流量の冷却気体を前記所定範囲と対応する領域(第一領域A1)内にある単電池1…側に流通させる通気部60が形成されたプレート材で構成され、前記所定範囲と対応する領域A1内にある単電池1…及び通気隙間Sと対向して配置されている(以下、流量制限手段6を流量制限板ということとする)。かかる流量制限板6は、冷却気体を通過させる通気部60として開口が一つ以上設けられている。前記通気部60は、一次通気路R1から第一領域A1に向けて冷却気体を通過させるもので、第一領域A1側に向けての冷却気体の供給量(許容流量)と第一領域A1への冷却気体の供給範囲に応じて数や、形状、配置を適宜設定される。
【0142】
本実施形態において、前記流量制限板6は、一次通気路R1の上流域と対応する領域(第一領域A1)内に配置された電池モジュール3…(複数の単電池1…)と対向するように、一次通気路R1の第一領域A1と対応する領域内に配置されている。すなわち、流量制限板6は、一次通気路R1の第一領域A1と対応する領域内を第一領域A1側への経路と第三領域A3側への経路とに区画するように配置されている。
【0143】
そして、本実施形態に係る流量制限板6は、図4に示す如く、第一領域A1側(単電池1…側)からトレー20の下側周壁部201(パッケージングケース2の内壁面側)に向かうにつれて先下りに傾斜するように配置されている。これにより、一次通気路R1に冷却気体が流入することで結露が生じ、該流通路調整板に水滴が付着したときに、当該水滴が流通路調整板の傾斜で下部周壁部側(単電池1…から離れた位置)に導くことができるようになっている。
【0144】
本実施形態に係る電池パックPは、以上の通りであり、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の電動車の車体の底部200に取り付けられ、制御装置Cがケーブルを介して車両側に設けられた駆動系や制御系の電気系統に接続され、各電池モジュール3…(単電池1…)から電気系統に電気エネルギーを供給し、また、車両側に設けられた発電装置によって各電池モジュール3…(単電池1…)を充電できるようになる。
【0145】
そして、上述の如く、電池モジュール3…(単電池1…)が充放電を行うことや、周囲の環境(温度等)によって、単電池1…の温度が過剰に上昇する場合や上昇する虞がある場合には、パッケージングケース2内に冷却気体(外気)を供給して各単電池1…が冷却される。
【0146】
ここで上記構成の電池パックPにおける一連の冷却気体の流通態様について説明すると、単電池1…の温度が過剰に上昇する場合や上昇する虞がある場合、冷却用ファンFが駆動し、パッケージングケース2内の気体(空気)を連続的に外部に排出する。
【0147】
そうすると、パッケージングケース2内が負圧気味になるため、パッケージングケース2内が常圧に戻ろうとして吸気用の開口から外気が連続的に内部空間に引き込まれることになる。このとき、パッケージングケース2内では各単電池1…を冷却する冷却気体の流れが形成される。
【0148】
具体的には、吸気用の開口から一次通気路R1に流入した冷却気体は、図15に示す如く、第一領域A1側と、第二領域A2、第三領域A3、及び第四領域A4のある一次通気路R1の下流側とに流れることになる。
【0149】
そして、本実施形態に係る電池パックPは、一次通気路R1における第一領域A1と対応する領域内に流量制限板6が配置されているため、一次通気路R1に流入した冷却気体のうち第一領域A1内の単電池1…を冷却するのに必要な流量の冷却気体が流量制限板6の通気部60を通過し、第三領域A3及び第四領域A4内の単電池1…を冷却するのに必要な流量の冷却気体が一次通気路R1の下流側に向けて流通することになる。
【0150】
本実施形態に係る流量制限板6は、第一領域A1に流れ込む冷却気体の流量よりも第三領域A3及び第四領域A4側に流れる冷却気体の流量を多くするように設定されている。すなわち、第一領域A1は、冷却気体の流通経路(一次通気路R1及び二次通気路R2)の最上流位置にあるため、一次通気路R1から第一領域A1に流入する冷却気体や第一領域A1から二次通気路R2に放出される冷却気体は、他の領域の電池モジュール3…の熱の影響を受けないが、第三領域A3や第四領域A4に流入する冷却気体は上流側から流れてくるときに、その上流側の第一領域A1や第三領域A3にある電池モジュール3…の熱影響を受けることから、下流側に供給する冷却気体の流量を上流域にある第一領域A1に供給する冷却気体の流量よりも多くすることで各領域での冷却バランスを図るようにしている。
【0151】
そして、本実施形態においては、上述の如く、一次通気路R1における第一領域A1と対応する領域が下流側の領域A3,A4よりも経路断面積(経路幅)が狭くなっているため、一次通気路R1の上流域で流れる冷却気体の流速が下流側よりも速くなり、上流域からの冷却気体が勢いづいて下流側に効率的に供給される。
【0152】
そして、一次通気路R1を流通する冷却気体は、第一領域A1、第三領域A3及び第四流域に流れ込んで各領域内の単電池1…を冷却することになる。すなわち、各領域A1,A3,A4に配置された電池モジュール3…は、図3に示す如く、複数の単電池1…の間に通気隙間Sが形成され、該通気隙間Sが連続するように電池モジュール3…が配置されているため、一次通気路R1を流通する冷却気体が各単電池1…にある通気隙間Sを通って各単電池1…を冷却することになる。本実施形態において、各電池モジュール3…は、単電池1…における電槽10の表面積の大きな正面FS同士を対向させて通気隙間Sを形成しているため、冷却気体と電槽10との接触機会が多くなり、各単電池1…は効率的に冷却されることになる。
【0153】
そして、本実施形態に係る電池モジュール3…は、図4及び図5に示す如く、複数の単電池1…を保持する電池ホルダー30,30(アッパーフレーム350)の枠状部351及び電池規制部357a,357bに対して各単電池1…の配置に対応した外部通気部OP及び内部通気部IPが形成されているため、一次通気路R1からの冷却気体が各電池モジュール3…の上部流路TPを通過し、各単電池1…の接続端子11a,11bも冷却される。
【0154】
そして、本実施形態において、各電池モジュール3…は、電池ホルダー30,30のアッパーフレーム350の電池規制部357a,357bに対して各単電池1…の配置に対応する内部通気部IPが形成されるとともに、該アッパーフレーム350を覆う電池カバー31に対し、電池規制部357a,357bに形成された内部通気部IPの配置に対応して気体誘導部311…が形成されているため、アッパーフレーム350の電池規制部357a,357bの外側(接続端子11a,11bの存在する領域)で冷却気体が淀むことなく、該冷却気体が内部通気部IPに円滑に導かれることになる。
【0155】
すなわち、一方の電池規制部357a,357bの外側に気体誘導部311…がなくても電池モジュール3…の上部に流入した冷却気体が電池規制部357a,357bの内部通気部IPに向けて流れることになるが、当該気体誘導部311…がないと冷却気体が一方の電池規制部357a,357bにおける内部通気部IP周辺に衝突して乱流が発生し、冷却気体を円滑に流通させることができなくなる。これに対し、本実施形態に係る電池パックP(電池モジュール3…)は、一方の電池規制部357a,357bの外側に該電池規制部357a,357bに向けて先下りした気体誘導部311…を備えているため、冷却気体が流通する経路が徐々に狭まって内部通過部と対応する流路サイズになる結果、冷却気体の流通がスムーズになり、単電池1…の一方の接続端子11a,11b及びその周辺の冷却が効率的に行われることになる。
【0156】
そして、電池モジュール3…の上部流路TPに流入した冷却気体は、一方の電池規制部357a,357bの内部通気部IPを通過すると、一対の電池規制部357a,357b間を通過することになる。これにより、一対の電池規制部357a,357b間に設けられた基板支持部358上に配置された回路基板CBは、一対の電池規制部357a,357b間を流通する冷却気体によって冷却されるため、外的な要因等で不用意に温度上昇することが確実に防止され、定常的に単電池1…の監視を正確に行えることになる。
【0157】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPは、支持部本体358が格子状に形成されることで、上部流路TPで流通する冷却気体が基板支持部358上の回路基板CBにまで到達することができるため、異常な発熱時においても回路基板CBを冷却して適正な状態で作動させることができ、単電池1…の異常を適確に把握することができる。なお、回路基板CBは、一対の電池規制部357a,357bに掛け渡された基板支持部358上に配置されているため、通常の単電池1…からの熱の影響を直接受けにくくなっているため、通常の状態においては冷却気体の流通がなくても熱影響による誤作動の発生が防止される。
【0158】
そして、一対の電池規制部357a,357b間を通過した冷却気体は、他方の電池規制部357bの内部通気部IPを通過して他方の接続端子11a,11bの存在する領域を通過する。このとき、他方の電池規制部357bと隣接する気体誘導部311…の存在で冷却気体の通過経路の経路断面積が徐々に拡大するため、他方の接続端子11a,11bの存在する領域で冷却気体の流速が急激に減速することがなく冷却気体が下流側に円滑に流通することになる。
【0159】
すなわち、他方の電池規制部357a,357bの外側に気体誘導部311…がなくても電池規制部357a,357bの内部通気部IPを通過した冷却気体は、他方の接続端子11a,11bの存在する領域で流通することは可能であるが、該内部通気部IPの下流側の領域(他方の接続端子11a,11bの存在する領域)は、電池規制部357a,357bに形成された内部通気部IPの経路断面積よりも広いため、該気体誘導部311…がないと内部通気部IPを通過した冷却気体の流速が急激に減速し、当該領域で冷却気体が滞留する虞がある。
【0160】
これに対し、本実施形態に係る電池パックP(電池モジュール3…)は、他方の電池規制部357a,357bの外側に該電池規制部357bに向けて先下りした気体誘導部311…を備えているため、他方の電池規制部357bの内部通過部の下流側の経路断面積が内部通過部IPと対応するサイズから徐々に広くなる結果、冷却気体の流通がスムーズになり、単電池1…の他方の接続端子11a,11b及びその周辺の冷却が効率的に行われることになる。
【0161】
そして、接続端子11a,11bの存在する領域を通過した冷却気体は、枠状部351の外部通気部OPを通過して当該電池モジュール3…の外部(隣り合う電池モジュール3又は二次通風路R2)に向けて円滑に排気されることになる。
【0162】
そして、本実施形態に係る電池パックPは、複数の電池モジュール3…が一列に配置され、隣り合う電池モジュール3…を固定するモジュール固定部材4の通気用開口423…同士が連通するように構成されているため、電池モジュール3…の上部流路TPを通過した冷却気体は、電池モジュール3…同士が隣り合わせになっている箇所ではモジュール固定部材4の通気用開口423…を介して下流側の(二次通気路R2側にある)電池モジュール3…の上部流路TPに流入して下流側に流通し、二次通気路R2と隣り合う電池モジュール3…の上部流路TPを通過した冷却気体は二次通気路R2に放出される。
【0163】
このように冷却気体が通気用開口423…を通過する際、冷却気体の流速が速まることになり、冷却気体は下流側に向けて円滑且つ確実に流れることになる。すなわち、モジュール固定部材4の垂下壁部42,42に通気用開口423…を形成すると、当該部分での流路サイズが狭くなる(流路が絞られる)ため、冷却気体の流通方向の上流側の電池モジュール3…からの冷却気体が垂下壁部42,42の通気用開口423…を通過する際に流速が速まることになる。従って、垂下壁部42,42に通気用開口423…を通過する冷却気体は勢いよく下流側の電池モジュール3…の外部通気部OPから上部流路TPに流入し、二次通気路R2と隣り合う電池モジュール3…の上部空間を通過した冷却気体は二次通気路R2に勢いよく放出されることになる。
【0164】
また、本実施形態に係る電池モジュール3…は、所定数の単電池1…が構成する組電池(大型電池)の正極用の接続端子11a及び負極用の接続端子11bを端子カバー33,33で覆うようにしているが、図18(a)及び図18(b)に示す如く、枠状部351(縦延出部354a,354b)に形成された外部通気部OPと対向する該端子カバー33,33の横壁部332にカバー通気部330が貫通して形成されているため、上部流路TPを流通して他方の縦梁部353b(縦延出部354a,354b)の外部通気部OPを通過した冷却気体が端子カバー33,33内で流通し、カバー通気部330から外部に排出される。これにより、組電池の正極用及び負極用の接続端子11a,11bとその周辺とを冷却することもできる。
【0165】
本実施形態に係る電池パックPは、図15に示す如く、第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4のそれぞれに三つの電池モジュール3…を行方向で一列に配置しているため、各領域において二つの電池モジュール3…は、互いに端子カバー33,33の横壁部332同士を対向させて配置され、残りの電池モジュール3…は、端子カバー33,33の横壁部332を前記二つの電池モジュール3…のうちの一方のアッパーフレーム350に対向させた状態で配置される。
【0166】
従って、図18(a)に示す如く、互いに端子カバー33,33の横壁部332同士を対向させて配置された電池モジュール3…のうち、一方の電池モジュール3…は、枠状部351の外部通気部OPからの冷却気体が端子カバー33内に流入して該端子カバー33,33の横壁部332のカバー通気部330から排出され、他方の電池モジュール3…は、一方の電池モジュール3…の端子カバー33(カバー通気部330)から排出された冷却気体が当該電池モジュール3…の端子カバー33,33のカバー通気部330から端子カバー33,33内に流入し、該端子カバー33,33内から枠状部351内に流入して反対側にある外部通気部OPから外部に排出される。
【0167】
また、図18(b)に示す如く、端子カバー33,33の横壁部332を隣の電池モジュール3…のアッパーフレーム350の枠状部351に対向させた電池モジュール3…は、隣の電池モジュール3…の外部通気部OPから排出される冷却気体が端子カバー33,33のカバー通気部330から該端子カバー33,33内に流入して枠状部351の外部通気部OPから枠状部351内に流入するか、或いは、枠状部351内で流通する冷却気体が枠状部351の外部通気部OPから端子カバー33,33内に流入し、該端子カバー33,33のカバー通気部330から排出して隣の電池モジュール3…の外部通気部OPに流入することになる。なお、図18(b)においては、一方の電池モジュール3の枠状部351の外部通気部OPから他方の電池モジュール3の枠状部351内に流入する状態を示している。従って、何れの配置状態にしても冷却気体を端子カバー33,33内で流通させて該端子カバー33,33外に排出できるため、組電池の正極用及び負極用の接続端子11a,11bを効率的に冷却することができる。
【0168】
そして、第一領域A1、第三領域A3、及び第四領域A4内に配置された電池モジュール3…を通過した冷却気体は、二次通気路R2を流通して排気用の開口から冷却用ファンFで外部に吸い出されることになる。
【0169】
以上のように、本実施形態に係る電池パックPは、各電池モジュール3…を固定する複数のモジュール固定部材4を備え、前記モジュール固定部材4…は、電池モジュール3上に配置されるプレート状の固定部材本体40と、固定部材本体40に連設されてパッケージングケース2に連結されるケース連結部(連結部)41と、電池モジュール3の前記対向位置のそれぞれと対峙するように固定部材本体40の両端に延設された一対の垂下壁部42,42とを備えているため、モジュール固定部材4の固定部材本体40を電池モジュール3上に配置した状態でケース連結部41をパッケージングケース2に固定することで電池モジュール3の移動を規制することができる。
【0170】
そして、モジュール固定部材4で電池モジュール3の移動を規制する(電池モジュール3を押さえる)と、機器の振動に伴って電池モジュール3が上下方向に移動しようとする慣性が作用して固定部材本体40に曲げ作用が生じることがあるが、上記構成のモジュール固定部材4は、固定部材本体40の両端に一対の垂下壁部42,42が延設されているため、曲げ強度が十分に確保され、固定部材本体40が曲がることなく電池モジュール3の移動が確実に規制される。
【0171】
そして、上記構成の電池パックPの各電池モジュール3…は、単電池1…の正極用及び負極用の接続端子11a,11bの存在する上部領域に冷却気体を上下方向と直交する方向に流通させる上部流路TPが形成されるとともに、上下方向と直交する方向に貫通して上部流路TPに対して冷却気体を流出入させる外部通気部OP,OPが互いに対向する一対の対向位置に形成され、モジュール固定部材4の垂下壁部42,42には、前記外部通気部OPと同方向に貫通した通気用開口423…が形成され、隣り合う電池モジュール3,3を固定するモジュール固定部材4,4の垂下壁部42,42同士が対向して互いの通気用開口423,423が連通するように構成されているため、整列配置された各電池モジュール3…の上部流路TP…が流体的に連続して一系統の流路を構成する。すなわち、モジュール固定部材4…の通気用開口423…と電池モジュール3…の外部通気部OP…とが連なった状態になるため、各電池モジュール3…の上部流路TPに冷却気体に連続して流通させることができる。
【0172】
特に、本実施形態に係る電池パックP(電池モジュール3)は、上述の如く、モジュール固定部材4の垂下壁部42に通気用開口423が形成されているため、当該部分での流路サイズが局所的に狭くなり、冷却気体の流通方向の上流側の電池モジュール3からの冷却気体が垂下壁部42の通気用開口423を通過する際に流速が速まることになり、垂下壁部42の通気用開口423を通過した冷却気体を勢いよく下流側の電池モジュール3の外部通気部OPから上部流路TPに流入させることができる。
【0173】
また、上記構成の電池パックPは、各電池モジュール3…の単電池1…が隣り合う単電池1,1間に冷却気体を通気させる通気隙間S…を形成するように配置されているため、通気隙間S…に対して上部流路TPと同方向で冷却気体を流通させることができる。特に、本実施形態に係る電池パックPは、各電池モジュール3…の通気隙間Sが一列に並ぶように配置されているため、複数の電池モジュール3…に跨って冷却気体を円滑に流通させることができる。
【0174】
これにより、本実施形態に係る電池パックPは、各電池モジュール3…の通気隙間S及び上部流路TPに冷却気体を流通させることで、各電池モジュール3…の単電池1…全体を効率的に冷却することができ、各電池モジュール3…(単電池1…)の性能を最大限発揮させることができる。
【0175】
また、本実施形態において、各電池モジュール3…は、単電池1…を整列状態で一体的に保持可能に構成された二つの電池ホルダー30,30と、電池ホルダー30,30に保持された単電池1…の上面側を覆う電池カバー31とを備え、前記電池ホルダー30,30は、規定数の単電池1…を支持するアンダーフレーム300と、該アンダーフレーム300に支持された単電池1…を固定するためのアッパーフレーム350とを備え、該アッパーフレーム350は、前記規定数の単電池1…の正極用及び負極用の接続端子11a,11bを包囲可能に形成されるとともにアンダーフレーム300の上枠部(上端部)303に連結可能に構成された枠状部351を備え、前記外部通気部OPが枠状部351の互いに対向する対向位置のそれぞれに形成され、前記電池カバー31を枠状部351上に配置して単電池1…の上面を覆った状態で、電池カバー31と単電池1…との間に冷却気体を流通させる上部流路TPが形成されるように構成されているため、枠状部351に包囲された領域(接続端子11a,11bの存在する領域)内に対して外部通気部OPから冷却気体を流出入させ、単電池1…の接続端子11a,11bの存在する領域から冷却気体を不特定な方向に逃がすことなく流通させることができる。
【0176】
すなわち、上記構成の電池モジュール3…は、何れか一方の対向位置に形成された外部通気部OPから枠状部351に包囲された電池カバー31と単電池1…との間の上部流路TPに冷却気体を流入させると、該冷却気体を何れか他方の対向位置に向けて流通させて当該対向位置に形成された外部通気部OPから排出することになる。
【0177】
従って、本実施形態に係る電池モジュール3は、冷却気体を一方向に流通させることができるため、単電池1…の接続端子11a,11bの存在する上部流路TP内で冷却気体を滞留させることなく、新鮮な冷却気体(接続端子11a,11bを含む単電池1の上部を冷却できる状態の冷却気体)を上部流路TPで流通させて単電池1…を冷却することができ、前記複数の単電池1…の性能を十分に引き出すことができる。
【0178】
また、本実施形態において、前記電池モジュール3…は、前記外部通気部OPが単電池1…の整列方向と直交する方向にある対向位置に形成され、冷却気体が上部流路TPで単電池1…の整列方向と直交する方向に流通可能に構成されているため、電池モジュール3…を構成する複数の単電池1…のそれぞれの上部を略等しい条件で冷却することができる。具体的に説明すると、単電池1…の整列方向に冷却気体を流通させると、該冷却気体の流通方向の上流側にある単電池1…の熱で冷却気体が暖められ、下流側に向かうにつれて冷却気体の温度が高くなり、冷却気体の流通方向の下流側にある単電池1…に対する冷却効率が低下してしまう。そのため、各単電池1…の出力状態等に相違が生じて安定した出力が得られなくなる。
【0179】
しかしながら、本実施形態に係る電池モジュール3…は、複数の単電池1…の整列方向と直交する方向で冷却気体が流通するため、各単電池1…の上部が整列方向と直交する方向の一端側から他端側に向けて均一に冷却される。これにより、電池モジュール3を構成する複数の単電池1…の出力状態を均一にすることができ、安定した出力を得ることができる。
【0180】
特に、本実施形態に係る電池モジュール3は、前記外部通気部OPが各単電池1…の配置に対応して複数形成されているため、各単電池1…の上方で冷却気体を通過させることができ、各単電池1…の上部を確実に冷却することができる。
【0181】
そして、本実施形態に係る電池パックPは、前記パッケージングケース2内に、整列配置された複数の電池モジュール3…の両側にパッケージングケース2の一端側から他端側に延びる一対の冷却気体流通路(一次通気路R1及び二次通気路R2)が形成され、複数の電池モジュール3…は、上部流路TPの冷却気体の流通方向が一対の冷却気体通路R1,R2と交差方向に向くように配置され、一方の冷却気体流通路(一次通気路)R1に流入させた冷却気体が各電池モジュール3…(通気隙間S及び上部流路TP)を経由して他方の冷却気体流通路(二次通気路)R2に排出されるように構成されているため、パッケージングケース2内の電池モジュール3…(単電池1…)を効率的に冷却することができる。すなわち、パッケージングケース2内で冷却気体が無造作に流通することがなく規定の経路を通過することになり、各単電池1…を効率的に冷却することができる。
【0182】
そして、本実施形態に係る電池パックPを電力源として備える電動車は、電池パック3(パッケージングケース2)内に配置される各電池モジュール3…において、各単電池1…が確実に冷却されるため、各単電池1…の性能が十分に引き出される。従って、本実施形態に係る電池パックPから供給される電力で駆動や制御を行う電動車は、駆動部等に安定した電力の供給が可能であり、安定した走行が可能となる。
【0183】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論のことである。
【0184】
例えば、上記実施形態において、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)に搭載する電池パックPについて説明したが、電池パックPは、これらに搭載する又搭載されたものに限定されるものではなく、例えば、フォークリフトやクレーン車等の産業用車輌、その他各種機器の電力源とされてもよい。すなわち、本発明の電池パックPは、大容量の電力源を必要とする各種機器に搭載可能であり、特に振動が発生する機器の電力源に最適である。
【0185】
上記実施形態において、パッケージングケース2内に複数の単電池1…を多行多列で配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の単電池1…を一列(多行一列)で整列配置してもよい。すなわち、複数の単電池1…が少なくとも一列で整列配置されたものであればよい。但し、複数の単電池1…を列方向(整列方向)で所定間隔をあけて配置して単電池1…間に通気可能な通気隙間Sを形成するとともに、該複数の単電池1…の両側に単電池1…間の通気隙間Sと連通する一対の冷却気体流通路(一次通気路R1及び二次通気路R2)を形成することが好ましいことは言うまでもない。
【0186】
上記実施形態において、一次通気路R1の上流側の所定範囲(第一領域A1)の経路断面積を該所定範囲(第一領域A1)よりも下流側(第三領域A3、及び第四領域A4)の経路断面積に比して狭く設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、一次通気路R1の経路断面積を全長に亘って均等又は略均等に設定してもよい。但し、一次通気路R1の下流側(第三領域A3、及び第四領域A4)への冷却気体の供給の確実性を高めるには、上記実施形態と同様に、上流側の所定範囲における経路断面積を下流側に比して狭く設定することが好ましいことは言うまでもない。
【0187】
上記実施形態において、一次通気路R1における第一領域A1と対応する範囲(所定範囲)に、第一領域A1に向けて流通する冷却気体の流量を制限する流量制限手段6を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、流量制限手段6を設けることなく、第一領域A1側と一次通気路R1の下流側に冷却気体を流通させるようにしてもよい。但し、流量制限手段6を設けないと、第一領域A1側に流れる冷却気体の流量が一次通気路R1の下流側に流れる冷却気体の流量に比して多くなる一方で、一次通気路R1の下流側にある第三領域A3及び第四領域A4に向けて流れる冷却気体の流量が少なくなる傾向にあり、その結果、第三領域A3及び第四領域A4内の単電池1…の冷却効果が低下するため、例えば、パッケージングケース2内で流通させる冷却気体の流量を多くしたり、一次通気路R1の上流側の所定範囲(第一領域A1)の経路断面積を該所定範囲(第一領域A1)よりも下流側(第三領域A3、及び第四領域A4)の経路断面積に比して狭く設定したりして、一次通気路R1の下流側(第三領域A3及び第四領域A4)により多くの冷却気体を送り込むようにしてもよい。
【0188】
上記実施形態において、単電池1…(電池モジュール3…)とパッケージングケース2のカバー21との間に独立した閉塞部材(スポンジ)を介装し、単電池1…の存在する領域以外に冷却気体を流通させないようにしたが、例えば、カバー21(天部210)の下面に単電池1…(電池モジュール3…)の上面TSに沿った態様となる突片を垂設し、単電池1…(電池モジュール3…)とカバー21との間を閉塞するようにしてもよい。
【0189】
上記実施形態において、パッケージングケース2内に仕切部204…を設けて内部空間を複数の領域に区画したが、これに限定されるものではなく、例えば、パッケージングケース2の内部空間を区画することなく一つの領域にしてもよい。
【0190】
上記実施形態において、パッケージングケース2内に仕切部204…を設けて内部空間を複数の領域A1,A2,A3,A4に区画し、複数の単電池1…(電池モジュール3…)の配置される第一領域A1と第三領域A3との間にある第二領域A2に制御装置Cを配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の単電池1…(電池モジュール3…)の配置される領域を連続的に並べ、制御装置Cを配置する領域を端の領域に設定するようにしてもよい。また、制御装置Cをパッケージングケース2の内部空間に配置したものに限定されるものではなく、例えば、制御装置Cをパッケージングケース2の外部に設け、パッケージングケース2の内部空間に単電池1…(電池モジュール3…)のみを配置するようにしてもよい。
【0191】
上記実施形態において、流量制限手段としてプレート材に通気用開口423…を設けた流量制限板6を設けたが、流量制限手段6はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の線材を交差状態で接続した網材で構成してもよい。この場合、線材の線径や線材間の間隔を適宜設定することで、開口率を適正なものにでき、一次通気路R1の上流側において単電池1…側に流れる冷却気体の流量を制限することができ、一次通気路R1の下流側に適量の冷却気体を流すことができる。
【0192】
上記実施形態において、冷却用ファンFに吸引ブロアを採用し、該冷却用ファンFを排気用の開口に対応して配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、冷却用ファンFに送風機を採用し、当該冷却用ファンFを吸気用の開口に対応して配置してもよい。このようにすると、吸気用の開口からパッケージングケース2内の一次通気路R1に冷却気体(例えば、空気)を送り込んで電池モジュール3…を介して二次通気路R2に流通させて排気用の開口から排気することができる。従って、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0193】
上記実施形態において、各電池モジュール3…の二つ以上の単電池1…を保持する電池ホルダー30,30を複数(二つ)設け、これらを単一のモジュールトレー32上に配置することで所定数の単電池1…で一つの組電池にするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、単一の電池ホルダー30,30で所定数の単電池1…(電池モジュール3…を構成する全単電池1…)を保持するようにしてよい。このようにすれば、モジュールトレー32上に電池ホルダー30,30を設置しなくても、所定数の単電池1…で一つの組電池にすることができる。また、これとは逆に、電池ホルダー30,30を三つ以上設けてモジュールトレー32上に配置するようにしてもよい。
【0194】
上記実施形態において、各電池モジュール3…の二つ以上の単電池1…を保持する電池ホルダー30,30を複数(二つ)設け、単一の電池カバー31を複数(二つ)の電池ホルダー30,30に跨るように配置することで、所定数の単電池1…の上面TSを覆うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、電池ホルダー30,30毎に単電池1…の上面TSを覆う電池カバー31を設けるようにしてもよい。この場合においては、電池ホルダー30,30同士、或いは、電池カバー31同士を連結可能に構成したり、上記実施形態と同様に、複数の電池ホルダー30,30を単一のモジュールトレー32上に配置して一体化したりすればよい。
【0195】
上記実施形態において、電池ホルダー30,30のアッパーフレーム350に枠状部351を設けて該枠状部351に外部通気部OPを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、アンダーフレーム300の上枠部303で枠状部351を構成し、該枠状部351に外部通気部OPを形成するとともに、アッパーフレーム350を枠状部351の開口を閉塞可能な構成にしてもよい。このようにしても、単電池1…の接続端子11a,11bの存在する領域に上部流路TPを形成することができる。この場合において、アッパーフレーム350が単電池1…の上面TSを覆うことになるため、電池カバー31は不要である。なお、この場合において、アッパーフレーム350に電池規制部357a,357bを設けることは言うまでもない。
【0196】
上記実施形態において、所定数の単電池1…を保持する電池ホルダー30,30(アッパーフレーム350)を電池カバー31で覆うことで、電池ホルダー30,30に保持された単電池1…の上面TSと電池カバー31との間に上部流路TPを形成し、当該上部流路TPに冷却気体を流通させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、枠状部351の上端開口を天板で閉塞してアッパーフレーム350を蓋の如く形成し、該アッパーフレーム350内に冷却気体を流通させるようにしてもよい。この場合、単電池1…の上方に回路基板CBを配置するには、枠状部351の上端を閉塞した天板と基板支持部358との間に回路基板CBを横方向にスライドさせて配置すればよい。また、上部空間内で円滑な冷却気体の流通を確保するために天板の下面に上記実施形態と同様に電池規制部357a,357bに向けて先下りに傾斜した気体誘導部311…を設けてもよい。
【0197】
上記実施形態において、回路基板CBを電池モジュール3…の上部(アッパーフレーム350の基板支持部358と電池カバー31との間)に配置したが、これに限定されるものではなく、回路基板CBは、適宜箇所に配置しても勿論よい。
【0198】
上記実施形態において、アッパーフレーム350の単電池1…の上面TS(上端)を押圧する電池規制部357a,357bに形成された通気部に冷却気体を誘導する気体誘導部311…を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、気体誘導部311…を設けることなく、電池規制部357a,357bの通気部に直接冷却気体を流通させるようにしてもよい。但し、電池モジュール3…の上部空間内で円滑に冷却気体を流通させるには上記実施形態と同様に気体誘導部311…を設けることが好ましい。
【0199】
上記実施形態において、電池カバー31を電池ホルダー30,30(アッパーフレーム350の枠状部351)に対応した形態に形成し、電池モジュール3…(組電池)の正極用及び負極用の接続端子11a,11bが外部に露呈することを前提に、これらの接続端子11a,11bを覆う端子カバー33,33を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、電池カバー31を所定数の単電池1…の上方を全体的に被覆できるように形成し、該電池カバー31で電池モジュール3…(組電池)の正極用及び負極用の接続端子11a,11bを覆うようにしてもよい。
【0200】
また、上記実施形態において、電池規制部357a,357bに兼用された縦梁部353a,353bの縦延出部354a,354bに切り欠き状の外部通気部OPを形成するとともに、電池モジュール3…(組電池)の正極用及び負極用の接続端子11a,11bを覆う端子カバー33,33の横壁部332にカバー通気部330を形成し、電池モジュール3…(組電池)の正極用及び負極用の接続端子11a,11bの存在する領域に冷却気体を流通可能に構成したが、これに限定されるものではなく、端子カバー33,33は電気絶縁性を得るために単に接続端子11a,11bを被覆するものであってもよい。
【0201】
上記実施形態において、電池モジュール3…(組電池)の正極用及び負極用の接続端子11a,11bを覆う端子カバー33,33の横壁部332にカバー通気部330を形成し、当該カバー通気部330が隣り合う電池モジュール3…の電池ホルダー30,30(アッパーフレーム350)に形成された外部通気部OPと対向することで、隣り合う電池モジュール3…間で冷却気体を流通させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、端子カバー33,33内で冷却気体を流通させる場合、端子カバー33,33の縦壁部333にカバー通気部330を形成し、外部と端子カバー33,33内とで冷却気体を流通させるようにしてもよい。但し、一次通気路R1から二次通気路R2に向けての冷却気体をより円滑に流通させるには、他の領域(電池モジュール3…の上部流路TP)での冷却気体の流れと同方向にすることが好ましいため、上記実施形態と同様に、端子カバー33,33の隣り合う電池モジュール3…と対向する面(横壁部332)にカバー通気部330を設けることが好ましい。
【0202】
上記実施形態において、単電池1…の上面TSを押圧すべく電池ホルダー30,30に設けられた一対の電池規制部357a,357b間に回路基板CBを配置することを前提に、電池規制部357a,357bに溝359を形成して回路基板CBに接続されるリード線Lを前記溝359内に配線するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記電池規制部357a,357bを筒状に形成し、回路基板CBに接続されるリード線Lを電池規制部357a,357b内に配線してもよい。
【0203】
上記実施形態において、梁状の電池規制部357a,357bを一対設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、電池規制部357a,357bを梁状に形成する場合には、少なくとも一つ設ければよい。そして、上記実施形態と同様に、単電池1…の接続端子11a,11b間に回路基板CBを配置する場合には、当該回路基板CBを配置する領域を確保するように電池規制部357a,357bを設ければよい。
【0204】
上記実施形態において、電池規制部357a,357bを梁状に形成して各単電池1…に一括して当接するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、単電池1…の整列方向に延びる梁部を単電池1…から離間させて配置した上で、当該梁部の下端に各単電池1…に当接可能な電池規制部357a,357bを突設するように形成したり、前記枠状部351の上端開口を閉塞する天板を設け、該天板の下面に各単電池1…に当接可能な電池規制部357a,357bを突設して形成したりしてもよい。
【0205】
上記実施形態において、格子状の支持部本体358aと、該支持部本体358a上に立設された補強リブ358bとで基板支持部358を構成し、補強リブ358b上に回路基板CBを配置するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、格子状の支持部本体358aのみを設けてこれを基板支持部358としてもよいし、一対の電池規制部357a,357bに補強リブ358bを設けてこれを基板支持部358としてもよい。そして、基板支持部358は、回路基板CBを単電池1の上面TSとの距離(間隔)を確保しつつ、上部流路TP、好ましくは、内部通気部IPの形成される領域(冷却気体が最も流通し易い領域)に配置できるようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0206】
1…単電池、2…パッケージングケース、3…電池モジュール、4…モジュール固定部材、5…封止部材、6…流量制限手段(流量制限板)、10…電槽、11a,11b…接続端子、20…トレー、21…カバー、22…エッジカバー、30…電池ホルダー、31…電池カバー、32…モジュールトレー、33…端子カバー、40…固定部材本体、41…ケース連結部、42…垂下壁部、60…通気部、200…底部、201…下側周壁部、202…下側フランジ部、203…連結アーム、204…仕切部、210…天部、211…上側周壁部、212…上側フランジ部、300…アンダーフレーム、301…載置部、302…下枠部、303…上枠部、304…連結部、305…下部スペーサ(スペーサ)、305a…厚肉部、305b…薄肉部、306…上部スペーサ(スペーサ)、310…端子露出部、311…気体誘導部、320…本体部、321…ホルダー規制部、330…カバー通気部、331…天板部、332…横壁部、333…縦壁部、350…アッパーフレーム、351…枠状部、352a,352b…横梁部、353a,353b…縦梁部、354a,354b…縦延出部、355a,355b…横延出部、356…主梁部、357a,357b…電池規制部、358…基板支持部、358a…支持部本体、358b…補強リブ、359…溝、360…補強梁、400…端子露出部、410…第一垂下片部、411…固定片部、420…第二垂下片部、421…折返片部、422…当接片部、423…通気用開口、A1…第一領域、A2…第二領域、A3…第三領域、A4…第四領域、B…バスバー、C…制御装置、CB…回路基板、E1…先端、E2…エッジ、F…冷却用ファン、H…通気口、Ha…開口、IP…内部通気部、OP…外部通気部、L…リード線、P…電池パック、R1…一次通気路(冷却気体流通路)、R2…二次通気路(冷却気体流通路)、S…通気隙間、TP…上部流路、TS…上面、US…下面、FS…正面、SS…側面、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極用及び負極用の接続端子を上側にして整列配置された二つ以上の単電池を有する複数の電池モジュールと、該複数の電池モジュールが整列状態で収容されるパッケージングケースとを備え、各電池モジュールの単電池が隣り合う単電池間に冷却気体を通気させる通気隙間を形成するように配置された電池パックであって、各電池モジュールを固定する複数のモジュール固定部材を備え、各電池モジュールは、単電池の正極用及び負極用の接続端子の存在する上部領域に冷却気体を上下方向と直交する方向に流通させる上部流路が形成されるとともに、上下方向と直交する方向に貫通して上部流路に対して冷却気体を流出入させる外部通気部が互いに対向する一対の対向位置に形成され、前記モジュール固定部材は、電池モジュール上に配置されるプレート状の固定部材本体と、固定部材本体に連設されてパッケージングケースに連結される連結部と、電池モジュールの前記対向位置のそれぞれと対峙するように固定部材本体の両端に延設された一対の垂下壁部とを備え、各垂下壁部には、前記外部通気部と同方向に貫通した通気用開口が形成され、隣り合う電池モジュールを固定するモジュール固定部材の垂下壁部同士が対向して互いの通気用開口が連通するように構成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
各電池モジュールは、二つ以上の単電池を整列状態で一体的に保持可能に構成された一つ以上の電池ホルダーと、電池ホルダーに保持された単電池の上面側を覆う電池カバーとを備え、前記電池ホルダーは、二つ以上の単電池を支持するアンダーフレームと、該アンダーフレームに支持された単電池を固定するためのアッパーフレームとを備え、該アッパーフレームは、前記二つ以上の単電池の正極用及び負極用の接続端子を包囲可能に形成されるとともにアンダーフレームの上端部に連結可能に構成された枠状部を備え、前記外部通気部が枠状部の互いに対向する対向位置のそれぞれに形成され、前記電池カバーを枠状部上に配置して単電池の上面を覆った状態で、電池カバーと単電池との間に冷却気体を流通させる上部流路が形成されるように構成されている請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池モジュールは、前記外部通気部が単電池の整列方向と直交する方向にある対向位置に形成され、冷却気体が上部流路で単電池の整列方向と直交する方向に流通可能に構成されている請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記外部通気部は、各単電池の配置に対応して複数形成されている請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記パッケージングケース内には、整列配置された複数の電池モジュールの両側にパッケージングケースの一端側から他端側に延びる一対の冷却気体流通路が形成され、複数の電池モジュールは、上部流路の冷却気体の流通方向が一対の冷却気体通路と交差方向に向くように配置され、一方の冷却気体流通路に流入させた冷却気体が各電池モジュールを経由して他方の冷却気体流通路に排出されるように構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の電池パックを電力源として備えていることを特徴とする電動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−128984(P2012−128984A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277396(P2010−277396)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【Fターム(参考)】