説明

電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両

【課題】放熱性に優れ、軽くすることができ、かつ外部からケースに荷重が加えられても防水性を確保できる電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】電池パック40は、ケース52および第1電池ユニット62を有する。ケース52は、互いに組み合わされるケース部材54,56を有する。第1電池ユニット62は、複数の電池100、電池保持部102および複数のリード部材を有する。第1電池ユニット62は、ケース部材54,56によって収容される。ケース部材54は、側壁部66および周壁部68を有し、ケース部材56は、側壁部72および周壁部74を有する。周壁部68と周壁部74とは、シール部材152を挟んで組み合わされる。周壁部68は、シール部材152を収容する凹部68fを有し、周壁部74は、凹部68fに差し込まれる凸部74fを有する。凸部74fの最大厚みTは、側壁部66および側壁部72のいずれの厚みよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両に関し、より特定的には、複数の充電できる電池を有する電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される種々の電池パックが提案されている。たとえば、特許文献1には、前後方向に延びるように車両に搭載されるバッテリアッセンブリ、すなわち横置き型のバッテリアッセンブリが開示されている。特許文献1のバッテリアッセンブリは、バッテリユニットおよびバッテリユニットを収納するバッテリボックスを有する。バッテリボックスの底面は、ダンパー、前側受けプレートおよび後側受けプレートを介して電動車両の車体フレームに弾性的に支持されている。また、たとえば特許文献2には、上下方向に延びるように車両に搭載される車載バッテリ、すなわち縦置き型の車載バッテリが開示されている。特許文献2の車載バッテリは、2次電池、バッテリ制御回路部およびバッテリケースを有する。バッテリケースは、2次電池を独立して収納する電池収納室と、バッテリ制御回路部を独立して収納するバッテリ制御室とを有する。バッテリケースの底部は、バッテリ支持トレーを介して電動二輪車の車体フレームに支持されている。
【0003】
上述のように、車両に搭載される電池パックは、その配置方向(横置き:たとえば特許文献1参照、縦置き:たとえば特許文献2参照)に関わらず、車両の車体フレームに支持される。ここで、通常、電池パックは重量物であるので、車両の加減速および重力等によって、電池パックの外部(車体フレーム)から電池パックのケースに大きな荷重が加えられる。たとえば、特許文献1のバッテリアッセンブリでは、車体フレームから前側受けプレート、後側受けプレートおよびダンパーを介してバッテリボックスに上下方向の荷重が加えられる。また、たとえば特許文献2の車載バッテリでは、車体フレームからバッテリ支持トレーを介してバッテリケースに上下方向の荷重が加えられる。
【0004】
上述のような電池パックは、近年、小型の電動車両にも搭載されるようになり、電池パックを軽くすることが望まれている。電池パックを軽くするための手段としては、たとえば、複数の電池を収容するケースを樹脂(たとえば、プラスチック)で成形することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−114157号公報
【特許文献2】特開2004−74911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のバッテリアッセンブリのような横置き型の電池パックでは、一般に、電池パックの製造を容易にするために、複数の電池を収容するためのケースが、開口部が広くなるように上下に分割された構成を有する。このように上下に分割された構成のケースでは、上ケース部材と下ケース部材との接続部において上下方向の剛性を十分に確保できる。そのため、外部からケースに上下方向の荷重が加えられたとしても、上ケース部材と下ケース部材との接続部が大きく変形することを防止できる。しかしながら、車両の設計上の要請などにより、ケースの底面ではなくケースの左右側壁または前後側壁を支持せざるを得ない場合がある。このような場合は、外部からケースに左右方向または前後方向に荷重が加えられることになる。これにより、上ケース部材と下ケース部材との接続部が変形し、ケースの防水性が低下するおそれがある。特に、剛性がそれ程高くない樹脂でケースを成形した場合には、接続部が変形しやすくなる。
【0007】
ケースの変形を防止してケースの防水性を向上させる手段としては、ケースの厚みを厚くしてケースの剛性を高くすることが考えられる。しかしながら、ケースの厚みを厚くした場合には、電池パックの放熱性が低下してしまう。
【0008】
一方、特許文献2の車載バッテリのような縦置き型の電池パックでは、一般に、電池パックの製造を容易にするために、複数の電池を収容するためのケースが、開口部が広くなるように左右(または前後)に分割された構成を有する。このように左右(または前後)に分割された構成のケースでは、左ケース部材(または前ケース部材)と右ケース部材(または後ケース部材)との接続部における上下方向の剛性は、上下に分割された上述のようなケースの接続部の上下方向の剛性に比べて低くなる。そのため、外部からケースに上下方向の荷重が加えられた場合に、左ケース部材(または前ケース部材)と右ケース部材(または後ケース部材)との接続部が変形し、ケースの防水性が低下するおそれがある。特に、剛性がそれ程高くない樹脂でケースを成形した場合には、接続部が変形しやすくなる。
【0009】
上述の横置き型の電池パックと同様に、ケースの変形を防止してケースの防水性を向上させる手段としては、ケースの厚みを厚くしてケースの剛性を高くすることが考えられる。しかしながら、上述のように、ケースの厚みを厚くした場合には、電池パックの放熱性が低下してしまう。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、放熱性に優れ、軽くすることができ、かつ外部からケースに荷重が加えられても防水性を確保できる電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の電池パックは、第1方向に複数行および第1方向に直交する第2方向に複数列に配列される複数の充電できる電池と、複数の電池を保持する電池保持部と、第1方向および第2方向の双方に直交する第3方向において互いに対向しかつ互いに組み合わされる第1ケース部材および第2ケース部材を含み、複数の電池および電池保持部を収容するケースと、第1ケース部材および第2ケース部材によって挟まれる環状のシール部材とを備え、第1ケース部材および第2ケース部材のうちの少なくとも一方の外面は、当該電池パックの外部から荷重を受ける荷重受け部を有し、第1ケース部材は、第3方向に交差する板状の第1側壁部および第1側壁部の外周縁部から第2ケース部材に向かって突出する枠状の第1周壁部を有し、第2ケース部材は、第3方向に交差する板状の第2側壁部および第2側壁部の外周縁部から第1ケース部材に向かって突出する枠状の第2周壁部を有し、第2周壁部は、第1ケース部材に向かって突出する環状の凸部を有し、第1周壁部は、凸部およびシール部材を収容する環状の凹部を有し、第2周壁部の凸部の最大厚みは、第1側壁部および第2側壁部のいずれの厚みよりも大きいことを特徴とする。
【0012】
なお、「第3方向に交差する第1側壁部」には、第3方向に垂直な第1側壁部のみならず、第3方向に対して傾斜する第1側壁部が含まれる。第2側壁部についても同様である。「板状の第1側壁部」には、平板状の第1側壁部のみならず、凹凸を有する第1側壁部が含まれる。第2側壁部についても同様である。凸部全体が凹部に完全に収容されてもよく、凸部の一部(たとえば、凸部の根元部分)が凹部からはみ出ていてもよい。
【0013】
「第1側壁部の厚み」は、たとえば、第1側壁部のうち第3方向視において電池保持部の第1側面部(第3方向において第1側壁部に対向する側面部)に重なる部分の平均厚みとして算出することができる。「第2側壁部の厚み」は、たとえば、第2側壁部のうち第3方向視において電池保持部の第2側面部(第3方向において第2側壁部に対向する側面部)に重なる部分の平均厚みとして算出することができる。
【0014】
請求項2に記載の電池パックは、請求項1に記載の電池パックにおいて、第1ケース部材および第2ケース部材のうち荷重受け部を有する少なくとも一方のケース部材の内面は、荷重受け部において受けた荷重を電池保持部に伝える荷重伝達部を有することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の電池パックは、請求項2に記載の電池パックにおいて、第1側壁部および第2側壁部のうちの少なくとも一方は、電池保持部に固定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の電池パックは、請求項1に記載の電池パックにおいて、第1周壁部および第2周壁部はそれぞれ荷重受け部を有することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の電池パックは、請求項4に記載の電池パックにおいて、第1ケース部材の内面は、第1周壁部の荷重受け部において受けた荷重を電池保持部に伝える第1荷重伝達部を有し、第2ケース部材の内面は、第2周壁部の荷重受け部において受けた荷重を電池保持部に伝える第2荷重伝達部を有することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の電池パックは、請求項5に記載の電池パックにおいて、第1側壁部および第2側壁部のうちの少なくとも一方は、電池保持部に固定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の電池パックは、請求項1から6のいずれかに記載の電池パックにおいて、シール部材は断面円形状を有し、シール部材の線径は第2周壁部の凸部の最大厚みよりも大きいことを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の鞍乗型車両は、請求項1から6のいずれかに記載の電池パックを備えることを特徴とする。
【0021】
請求項1に記載の電池パックでは、第1周壁部の凹部にシール部材および第2周壁部の凸部が収容されるように、第1ケース部材と第2ケース部材とが組み合わされる。第1ケース部材および第2ケース部材のうちの少なくとも一方の外面は、電池パックの外部から荷重を受ける荷重受け部を有する。この電池パックを車両に搭載する場合、たとえば、電池パックのケースの外面が支持部材を介して車両のフレームに支持される。この場合、ケースの外面のうち支持部材に接触する部分が荷重受け部になり、電池パックの外部(支持部材)からの荷重はケースの荷重受け部に加えられる。ここで、この電池パックでは、第2周壁部の凸部の最大厚みは、第1ケース部材の第1側壁部および第2ケース部材の第2側壁部のいずれの厚みよりも大きい。このように凸部の厚みを大きくすることによって、第1ケース部材と第2ケース部材との接続部の剛性を高めることができる。それにより、外部からケースに荷重が加えられた場合でもケースの変形を抑制できるので、電池パックの防水性を十分に確保できる。また、凸部の厚みを大きくすることによって、軽量素材(たとえば、樹脂)によって第1ケース部材および第2ケース部材を成形する場合でも、第1ケース部材と第2ケース部材との接続部の剛性を十分に高めることができる。したがって、ケースの強度を確保しつつ、ケースを軽くすることができる。また、凸部の厚みを大きくすることによってケースの強度を確保できるので、ケースの強度を確保するために第1側壁部および第2側壁部の厚みを大きくする必要がない。これにより、ケースの放熱性の低下を防止できる。以上のように、この発明によれば、電池パックの放熱性を十分に確保でき、電池パック自体を軽くすることができ、かつ外部からケースに荷重が加えられても電池パックの防水性を十分に確保することができる。
【0022】
請求項2に記載の電池パックでは、第1ケース部材および第2ケース部材のうちの少なくとも一方は、外面に荷重受け部を有しかつ内面に荷重伝達部を有する。この場合、第1ケース部材または第2ケース部材が荷重受け部において外部から受けた荷重は、荷重伝達部を介して電池保持部に伝達される。言い換えると、第1ケース部材および第2ケース部材のうちの少なくとも一方は、荷重伝達部において電池保持部に支持される。これにより、ケースの変形をより十分に抑制できる。
【0023】
請求項3および請求項6に記載の電池パックでは、第1側壁部および第2側壁部のうちの少なくとも一方が電池保持部に固定されるので、ケースの剛性を十分に高めることができる。これにより、ケースの変形を十分に抑制できるので、電池パックの防水性をさらに向上できる。また、複数の電池で発生した熱を電池保持部からケース(第1側壁部および第2側壁部のうちの少なくとも一方)に効率よく伝達できる。これにより、電池パックの放熱性をさらに向上できる。
【0024】
請求項4に記載の電池パックでは、外部からケースに加えられる荷重を第1周壁部および第2周壁部において受けることができる。言い換えると、外部からケースに加えられる荷重を、第1ケース部材および第2ケース部材で分担して受けることができる。これにより、外部から第1ケース部材に伝達される荷重と第2ケース部材に伝達される荷重とに大きな差が生じることを防止できるので、第1ケース部材の変形量と第2ケース部材の変形量とに大きな差が生じることを防止できる。その結果、第1ケース部材と第2ケース部材との接続部において水密性が低下することを十分に抑制できる。それにより、電池パックの防水性を十分に向上できる。
【0025】
請求項5に記載の電池パックでは、外部から第1ケース部材(第1周壁部)に加えられた荷重は、第1荷重伝達部を介して電池保持部に伝達され、外部から第2ケース部材(第2周壁部)に加えられた荷重は、第2荷重伝達部を介して電池保持部に伝達される。言い換えると、第1ケース部材は第1荷重伝達部において電池保持部に支持され、第2ケース部材は第2荷重伝達部において電池保持部に支持される。このように第1ケース部材および第2ケース部材をともに電池保持部によって支持することによって、第1ケース部材および第2ケース部材の変形を十分に抑制できる。
【0026】
請求項7に記載の電池パックでは、第1周壁部の凹部と第2周壁部の凸部との間の水密性をシール部材によって十分に向上できる。
【0027】
近年、電池パックを備えた鞍乗型車両が提案されている。このような鞍乗型車両の信頼性を向上させかつ製造を容易にするためには、電池パックの放熱性および防水性を向上させるとともに、電池パックを軽くすることが好ましい。したがって、放熱性および防水性に優れかつ軽くすることができる上述の電池パックは、請求項8に記載されるように、鞍乗型車両に好適に利用できる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、放熱性に優れ、軽くすることができ、かつ外部からケースに荷重が加えられても防水性を確保できる電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施の形態に係るスクータを示す側面図である。
【図2】車体カバーを取り外した状態のスクータを示す側面図である。
【図3】電池パックの外観を示す斜視図である。
【図4】電池パックを示す分解斜視図である。
【図5】電池パックの内部構造を示す断面図解図である。
【図6】電池パックの内部構造を示す断面図解図である。
【図7】周壁部とシール部材との関係を示す図である。
【図8】ケース部材を側方から見た図である。
【図9】電池パックと支持部材との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。ここでは、この発明の実施の形態に係る電池パック40を、鞍乗型車両の一例であるスクータ10に搭載した場合について説明する。なお、スクータ10の説明において前後、左右、上下とは、スクータ10のシート38に運転者がハンドル32に向かって着座した状態を基準とした前後、左右、上下を意味する。
【0031】
図1は、スクータ10を示す側面図である。スクータ10は、車体フレーム12および車体カバー14を有する。なお、図面が煩雑になることを避けるために、図1においては車体フレーム12を簡略化して示している。
【0032】
図2は、車体カバー14を取り外した状態のスクータ10を示す側面図である。
【0033】
図2を参照して、車体フレーム12は、ヘッドパイプ16、ヘッドパイプ16から後方斜め下方に延びる前部フレーム18、および前部フレーム18の下端部から後方に延びる一対の後部フレーム20(図2においては、左側の後部フレーム20のみを図示)を含む。一対の後部フレーム20は、スクータ10の幅方向(左右方向)に並ぶように配置される。
【0034】
各後部フレーム20は、前部フレーム18の下端部から後方へ延びる第1フレーム部22、第1フレーム部22の後端部から斜め上方へ延びる第2フレーム部24、第2フレーム部24の上端部から後方へ延びる第3フレーム部26、および第2フレーム部24と第3フレーム部26とを連結する第4フレーム部28を含む。第4フレーム部28は、第2フレーム部24の上下方向における中央部と第3フレーム部26の前後方向における中央部とを連結するように、第2フレーム部24から後方斜め上方に延びる。
【0035】
ヘッドパイプ16には、ステアリング軸30が回動自在に挿通される。ステアリング軸30の上端部には、ハンドル32が取り付けられる。ステアリング軸30の下端部には、フロントフォーク34が取り付けられる。フロントフォーク34の下端部には、前輪36が回転自在に支持される。
【0036】
第2フレーム部24の上方にシート38が設けられる。シート38の下方において後部フレーム20に電池パック40が支持される。より具体的には、電池パック40は、第2フレーム部24の下端部に設けられる支持部材42および第3フレーム部26の前端部に設けられる支持部材44を介して後部フレーム20に支持される。この実施形態では、電池パック40は、やや後方に傾くように配置される。より具体的には、電池パック40は、後述する第1壁部68a,74a,84a,96a(図4参照)が上方斜め後方を向くようにかつ第2壁部68b,74b,84b,96b(図5参照)が下方斜め前方を向くように配置される。また、電池パック40は、後述する側壁部66(図4参照)が左を向くようにかつ後述する側壁部94(図4参照)が右を向くように配置される。
【0037】
第4フレーム部28にスイングユニット46が揺動可能に支持される。スイングユニット46は、電動モータ48および後輪50を含む。スクータ10では、電池パック40から供給される電力によって電動モータ48が駆動され、電動モータ48の出力によって後輪50が駆動される。
【0038】
図3は、電池パック40の外観を示す斜視図であり、図4は、電池パック40を示す分解斜視図であり、図5および図6は、電池パック40の内部構造を示す断面図解図である。なお、図4〜図6においては、図面が煩雑になることを避けるために、電池パック40の各構成部材を簡略化して示している。また、図3以降の各図には、電池パック40の各構成部材の位置関係を明確にするために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。この実施形態においては、X方向が第1方向に相当し、Y方向が第2方向に相当し、Z方向が第3方向に相当する。また、この実施形態では、X方向は、後述する側壁部66,72,82,94の長手方向(長さ方向)に対して平行な方向であり、Y方向は、側壁部66,72,82,94の短手方向(幅方向)に対して平行な方向である。
【0039】
図3を参照して、電池パック40はケース52を含む。ケース52は、Z方向において複数のケース部材に分割された構成を有する。この実施形態では、ケース52は、Z方向において4つのケース部材54,56,58,60に分割された構成を有する。ケース部材54,56,58,60は、たとえば、樹脂によって形成される。この実施形態では、ケース部材54およびケース部材58がそれぞれ第1ケース部材に相当し、ケース部材56およびケース部材60がそれぞれ第2ケース部材に相当する。
【0040】
図4〜図6を参照して、電池パック40はさらに、第1電池ユニット62および第2電池ユニット64を有する。第1電池ユニット62および第2電池ユニット64は、ケース52に収容される。より具体的には、第1電池ユニット62は、ケース部材54とケース部材56との間に配置され、第2電池ユニット64は、ケース部材58とケース部材60との間に配置される。
【0041】
ケース部材54は、板状かつ略長方形の側壁部66、側壁部66の外周縁からケース部材56に向かって突出する枠状の周壁部68、および側壁部66の四隅にそれぞれ設けられるボス部70(図4参照)を有する。
【0042】
側壁部66は、Z方向に交差するように設けられる。側壁部66は、第1電池ユニット62側に向かって突出する複数の突出部66a(図4および図5参照)、および複数の貫通孔66b(図4参照)を有する。突出部66aは、第1電池ユニット62側から見た場合に(Z方向視において)略長方形状を有する。突出部66aは、側壁部66の略長方形の領域が第1電池ユニット62側に押し出されたような形状を有する。図4を参照して、この実施形態では、突出部66aと3つの貫通孔66bとがX方向に交互に並ぶように、複数の突出部66aおよび複数の貫通孔66bが設けられる。
【0043】
図4〜図6を参照して、周壁部68は、X方向において互いに対向する第1壁部68aおよび第2壁部68bと、Y方向において互いに対向する第3壁部68cおよび第4壁部68dとを含む。図5および図6を参照して、周壁部68は、ケース部材56側の縁部68eに凹部68fを有する。凹部68fは、ケース部材56側から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凹部68fは、ケース部材56に向かって開口するように設けられる。
【0044】
この実施形態では、Z方向視における側壁部66の面積は、X方向視における第1壁部68aの面積、X方向視における第2壁部68bの面積、Y方向視における第3壁部68cの面積、およびY方向視における第4壁部68dの面積のいずれよりも大きい。X方向視における第1壁部68aの面積およびX方向視における第2壁部68bの面積はそれぞれ、Y方向視における第3壁部68cの面積およびY方向視における第4壁部68dの面積のいずれよりも小さい。第1壁部68aのY方向の長さおよび第2壁部68bのY方向の長さはそれぞれ、第3壁部68cのX方向の長さおよび第4壁部68dのX方向の長さのいずれよりも短い。
【0045】
図4〜図6を参照して、ケース部材56は、板状かつ略長方形の側壁部72、側壁部72の外周縁からケース部材54に向かって突出する枠状の周壁部74、側壁部72からケース部材58に向かって突出する中空状の連結部76,78、および側壁部72の四隅に設けられるボス部80a,80b,80c,80d(図4参照)を有する。連結部76は、ケース部材58の後述する連結部86に対応する形状を有し、連結部78は、ケース部材58の後述する連結部88に対応する形状を有する。
【0046】
この実施形態では、側壁部66および後述の側壁部82がそれぞれ第1側壁部に相当し、側壁部72および後述の側壁部94がそれぞれ第2側壁部に相当し、周壁部68および後述の周壁部84が第1周壁部に相当し、周壁部74および後述の周壁部96が第2周壁部に相当する。
【0047】
側壁部72は、Z方向に交差するように設けられる。側壁部72は、第1電池ユニット62側に向かって突出する複数の突出部72a、および側壁部72の一方の長辺に沿ってX方向に延びるように設けられる貫通孔72b(図4および図6参照)を有する。突出部72aは、突出部66aと同様の形状を有する。図6を参照して、貫通孔72bは、ケース部材58側から見た場合に(Z方向視において)連結部78の内側に位置する。
【0048】
図4〜図6を参照して、周壁部74は、X方向において互いに対向する第1壁部74aおよび第2壁部74bと、Y方向において互いに対向する第3壁部74cおよび第4壁部74dとを含む。図5および図6を参照して、周壁部74は、ケース部材54側の縁部74eに凸部74fを有する。凸部74fは、ケース部材54側から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凸部74fは、ケース部材54に向かって突出するように設けられる。
【0049】
図6を参照して、連結部76は、ケース部材58側の縁部76aに凹部76bを有する。凹部76bは、ケース部材58から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凹部76bは、ケース部材58に向かって開口するように設けられる。図5および図6を参照して、連結部78は、ケース部材58側の縁部78aに凹部78bを有する。凹部78bは、ケース部材58から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凹部78bは、ケース部材58に向かって開口するように設けられる。
【0050】
図4を参照して、この実施形態では、Z方向視における側壁部72の面積は、X方向視における第1壁部74aの面積、X方向視における第2壁部74bの面積、Y方向視における第3壁部74cの面積、およびY方向視における第4壁部74dの面積のいずれよりも大きい。X方向視における第1壁部74aの面積およびX方向視における第2壁部74bの面積はそれぞれ、Y方向視における第3壁部74cの面積およびY方向視における第4壁部74dの面積のいずれよりも小さい。第1壁部74aのY方向の長さおよび第2壁部74bのY方向の長さはそれぞれ、第3壁部74cのX方向の長さおよび第4壁部74dのX方向の長さのいずれよりも短い。
【0051】
図4〜図6を参照して、ケース部材58は、板状かつ略長方形状の側壁部82、側壁部82の外周縁からケース部材60に向かって突出する枠状の周壁部84、側壁部82からケース部材56に向かって突出する中空状の連結部86,88、側壁部82からケース部材56側に向かって突出するように設けられる遮断部90(図4参照)、および側壁部82の四隅に設けられるボス部92a,92b,92c,92d(図4参照)を有する。
【0052】
側壁部82は、Z方向に交差するように設けられる。側壁部82は、第2電池ユニット64側に向かって突出する複数の突出部82a(図4および図5参照)、および側壁部82の一方の長辺に沿ってX方向に延びるように設けられる貫通孔82b(図4および図6参照)を有する。突出部82aは、突出部66aと同様の形状を有する。図6を参照して、貫通孔82bは、ケース部材56側から見た場合に(Z方向視において)連結部88の内側に位置する。
【0053】
図4〜図6を参照して、周壁部84は、X方向において互いに対向する第1壁部84aおよび第2壁部84bと、Y方向において互いに対向する第3壁部84cおよび第4壁部84dとを含む。図5および図6を参照して、周壁部84は、ケース部材60側の縁部84eに凹部84fを有する。凹部84fは、ケース部材60側から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凹部84fは、ケース部材60に向かって開口するように設けられる。
【0054】
図6を参照して、連結部86は、ケース部材56側の縁部86aに凸部86bを有する。凸部86bは、ケース部材56側から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凸部86bは、ケース部材56に向かって突出するように設けられる。図5および図6を参照して、連結部88は、ケース部材56側の縁部88aに凸部88bを有する。凸部88bは、ケース部材56側から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凸部88bは、ケース部材56に向かって突出するように設けられる。
【0055】
この実施形態では、Z方向視における側壁部82の面積は、X方向視における第1壁部84aの面積、X方向視における第2壁部84bの面積、Y方向視における第3壁部84cの面積、およびY方向視における第4壁部84dの面積のいずれよりも大きい。X方向視における第1壁部84aの面積およびX方向視における第2壁部84bの面積はそれぞれ、Y方向視における第3壁部84cの面積およびY方向視における第4壁部84dの面積のいずれよりも小さい。第1壁部84aのY方向の長さおよび第2壁部84bのY方向の長さはそれぞれ、第3壁部84cのX方向の長さおよび第4壁部84dのX方向の長さのいずれよりも短い。
【0056】
図3および図4を参照して、詳細な説明は省略するが、遮断部90は、側壁部82からケース部材56側に向かって突出する側面視(Z方向視)略C字状の収容部90a、収容部90aに収容される少なくとも一対のリード部材(図示せず)、および収容部90aに対して着脱可能に設けられるサービスプラグ90bを含む。この実施形態では、サービスプラグ90bが収容部90aに取り付けられている場合には、上記一対のリード部材がサービスプラグ90bによって電気的に接続され、サービスプラグ90bが収容部90aから取り外されることによって上記一対のリード部材の電気的な接続が遮断される。また、この実施形態では、電池パック40のプラスの電源端子(図示せず)とマイナスの電源端子(図示せず)とは、第1電池ユニット62、後述する連結ユニット146の複数のリード部材150、第2電池ユニット64、および遮断部90(より具体的には、上記一対のリード部材およびサービスプラグ90b)を介して電気的に接続される。したがって、電池パック40では、サービスプラグ90bを収容部90aに取り付けることによって、プラスの電源端子とマイナスの電源端子とを電気的に接続することができ、サービスプラグ90bを収容部90aから取り外すことによって、プラスの電源端子とマイナスの電源端子との間の電気的な接続を遮断することができる。
【0057】
図4〜図6を参照して、ケース部材60は、板状かつ略長方形状の側壁部94、側壁部94の外周縁からケース部材58に向かって突出する枠状の周壁部96、および側壁部94の四隅にそれぞれ設けられるボス部98(図4参照)を有する。
【0058】
側壁部94は、Z方向に交差するように設けられる。側壁部94は、第2電池ユニット64側に向かって突出する複数の突出部94a、および複数の貫通孔94b(図4参照)を有する。突出部94aは、突出部66aと同様の形状を有する。図4を参照して、この実施形態では、3つの貫通孔94bと突出部94aとがX方向に交互に並ぶように、複数の突出部94aおよび複数の貫通孔94bが設けられる。
【0059】
図4〜図6を参照して、周壁部96は、X方向において互いに対向する第1壁部96aおよび第2壁部96bと、Y方向において互いに対向する第3壁部96cおよび第4壁部96dとを含む。図5および図6を参照して、周壁部96は、ケース部材58側の縁部96eに凸部96fを有する。凸部96fは、ケース部材58側から見た場合に(Z方向視において)環形状を有する。凸部96fは、ケース部材58に向かって突出するように設けられる。
【0060】
この実施形態では、Z方向視における側壁部94の面積は、X方向視における第1壁部96aの面積、X方向視における第2壁部96bの面積、Y方向視における第3壁部96cの面積、およびY方向視における第4壁部96dの面積のいずれよりも大きい。X方向視における第1壁部96aの面積およびX方向視における第2壁部96bの面積はそれぞれ、Y方向視における第3壁部96cの面積およびY方向視における第4壁部96dの面積のいずれよりも小さい。第1壁部96aのY方向の長さおよび第2壁部96bのY方向の長さはそれぞれ、第3壁部96cのX方向の長さおよび第4壁部96dのX方向の長さのいずれよりも短い。
【0061】
図4〜図6を参照して、第1電池ユニット62は、互いに平行に配置される複数の充電できる電池100、複数の電池100を保持する電池保持部102、および複数の電池100を電気的に接続する複数の板状のリード部材104,106,108,110(図5参照)を有する。この実施形態では、第1電池ユニット62は、98本の電池100、7つのリード部材104、1つのリード部材106、6つのリード部材108、および1つのリード部材110を有する。
【0062】
電池100は円柱形状を有し、Z方向に対して平行に配置される。複数の電池100は、X方向に複数行およびY方向に複数列に配列される。この実施形態では、複数の電池100は、X方向に14行かつY方向に7列になるように格子状に配列される。
【0063】
第1電池ユニット62の複数の電池100についての以下の説明では、第1壁部68a(図4および図5参照)に最も近い1行を1行目とし、第2壁部68b(図5参照)に最も近い1行を14行目とする。また、第3壁部68c(図4および図5参照)に最も近い1列を1列目とし、第4壁部68d(図5参照)に最も近い1列を7列目とする。この実施形態では、複数の電池100は、奇数行に配置される電池100と偶数行に配置される電池100とが逆方向を向くように電池保持部102に保持される。具体的には、たとえば、1、3、5、7、9、11および13行目の複数の電池100は、マイナス極が側壁部66側を向くように配置され、2、4、6、8、10、12および14行目の複数の電池100は、プラス極が側壁部66側を向くように配置される。
【0064】
図4および図5を参照して、1行目の複数の電池100の一端部(側壁部66側の端部)および2行目の複数の電池100の一端部(側壁部66側の端部)に1つのリード部材104が接続される。これにより、1行目の複数の電池100の一端部が電気的に並列に接続され、2行目の複数の電池100の一端部が電気的に並列に接続される。また、1行目の複数の電池100の一端部と2行目の複数の電池100の一端部とが電気的に直列に接続される。同様に、3行目から14行目の複数の電池100の一端部に、6つのリード部材104が接続される。具体的には、2つの行の複数の電池100毎に1つのリード部材104が接続される。
【0065】
図5を参照して、1行目の複数の電池100の他端部(側壁部72側の端部)にリード部材106が接続される。これにより、1行目の複数の電池100の他端部が電気的に並列に接続される。2行目の複数の電池100の他端部および3行目の複数の電池100の他端部に1つのリード部材108が接続される。これにより、2行目の複数の電池100の他端部が電気的に並列に接続され、3行目の複数の電池100の他端部が電気的に並列に接続される。また、2行目の複数の電池100の他端部と3行目の複数の電池100の他端部とが電気的に直列に接続される。同様に、4行目から13行目の複数の電池100の他端部に、5つのリード部材108が接続される。具体的には、2つの行の複数の電池100毎に1つのリード部材108が接続される。リード部材110は、14行目の複数の電池100の他端部に接続される。これにより、14行目の複数の電池100の他端部が電気的に並列に接続される。
【0066】
リード部材104,106,108,110は、たとえば複数の電池100に溶接される。
【0067】
電池保持部102は、略直方体状の第1保持部112、略直方体状の第2保持部114、および複数のボス部116(図4参照)を含む。図4を参照して、この実施形態では、第1保持部112の四隅にそれぞれボス部116が設けられる。なお、図4においては、3つのボス部116のみを図示している。電池保持部102および後述の電池保持部102aは、たとえば樹脂等の絶縁材料によって形成される。
【0068】
図4および図6を参照して、第1保持部112は、それぞれZ方向に交差しかつ側面視(Z方向視)略長方形状を有する側面部118,120(図6参照)、および側面部118の外周縁と側面部120の外周縁とを連結する枠状の周面部122を有する。側面部118は、Z方向において側壁部66に対向するように設けられる。
【0069】
図4および図5を参照して、側面部118は、Y方向に延びかつ側壁部66に向かって突出する複数(この実施形態では6つ)の突出部118aを含む。この実施形態では、リード部材104と突出部118aとがY方向に交互に並ぶように、複数のリード部材104および複数の突出部118aが設けられる。
【0070】
図4を参照して、第1保持部112はさらに、突出部118aにおいて開口する複数のネジ穴112aを有する。この実施形態では、各突出部118aにおいて3つのネジ穴112aが開口するように複数のネジ穴112aが設けられる。複数のネジ穴112aは、複数の貫通孔66bに対応して設けられる。
【0071】
図4〜図6を参照して、周面部122は、それぞれX方向に交差する第1面部122aおよび第2面部122bと、それぞれY方向に交差する第3面部122cおよび第4面部122dとを含む。第1面部122aはX方向において第1壁部68aに対向し、第2面部122bはX方向において第2壁部68bに対向し、第3面部122cはY方向において第3壁部68cに対向し、第4面部122dはY方向において第4壁部68dに対向する。
【0072】
図4および図5を参照して、第1面部122aは、第1壁部68aに向かって突出する複数(この実施形態では2つ)の突出部124を含む。突出部124は、第1壁部68a側から見た場合に(X方向視において)長方形状を有する。第2面部122bは、第2壁部68b(図5参照)に向かって突出する複数(この実施形態では2つ)の突出部126を含む。突出部126は、第2壁部68b側から見た場合に(X方向視において)長方形状を有する。この実施形態では、突出部124と突出部126とがX方向視において重なるように、第1面部122aおよび第2面部122bが設けられる。
【0073】
図4および図6を参照して、第2保持部114は、それぞれZ方向に交差しかつ側面視(Z方向視)略長方形状を有する側面部128,130(図6参照)、および側面部128の外周縁と側面部130の外周縁とを連結する枠状の周面部132を有する。側面部130は、Z方向において側壁部72に対向するように設けられる。
【0074】
図5を参照して、側面部130は、Y方向に延びかつ側壁部72に向かって突出する複数(この実施形態では7つ)の突出部130aを含む。この実施形態では、リード部材と突出部130aとがY方向に交互に並ぶように、複数の106,108,110および複数の突出部130aが設けられる。
【0075】
図4〜図6を参照して、周面部132は、それぞれX方向に交差する第1面部132aおよび第2面部132bと、それぞれY方向に交差する第3面部132cおよび第4面部132dとを含む。第1面部132aはX方向において第1壁部74aに対向し、第2面部132bはX方向において第2壁部74bに対向し、第3面部132cはY方向において第3壁部74cに対向し、第4面部132dはY方向において第4壁部74dに対向する。
【0076】
図4および図5を参照して、第1面部132aは、第1壁部74aに向かって突出する複数(この実施形態では2つ)の突出部134を含む。突出部134は、第1壁部74aから見た場合に(X方向視において)長方形状を有する。図5を参照して、第2面部132bは、第2壁部74bに向かって突出する複数(この実施形態では2つ:図5においては1つのみ図示)の突出部136を含む。突出部136は、第2壁部74b側から見た場合に(X方向視において)長方形状を有する。この実施形態では、突出部134と突出部136とがX方向視において重なるように、第1面部132aおよび第2面部132bが設けられる。この実施形態では、隣り合う突出部124と突出部134とが面一になり、隣り合う突出部126と突出部136とが面一になるように、複数の突出部124および複数の突出部126が設けられる。
【0077】
図4〜図6を参照して、第2電池ユニット64は、第1電池ユニット62とほぼ同様の構成を有する。第2電池ユニット64が第1電池ユニット62と異なるのは、電池保持部102の代わりに電池保持部102aを有する点である。なお、第2電池ユニット64については、第1電池ユニット62と異なる構成についてのみ説明し、第1電池ユニット62と同一の構成については説明を省略する。
【0078】
図4〜図6を参照して、電池保持部102aが電池保持部102と異なるのは、第1保持部112の代わりに第1保持部138を有する点、および第2保持部114の代わりに第2保持部140を有する点である。
【0079】
第1保持部138が第1保持部112と異なるのは、側面部118の代わりに側面部142を有する点、およびネジ穴112a(図4参照)を有していない点である。
【0080】
図4および図5を参照して、側面部142が側面部118と異なるのは、複数の突出部118aの代わりに複数の突出部142aを有する点である。突出部142aが突出部118aと異なるのは、複数の開口(ネジ穴112a(図4参照)の開口端)を有していない点である(なぜなら、第1保持部138はネジ穴112aを有していないので)。側面部142は、Z方向において側壁部82に対向するように設けられる。
【0081】
図5および図6を参照して、第2保持部140が第2保持部114と異なるのは、側面部130の代わりに側面部144を有する点、およびケース部材60の複数の貫通孔94b(図4参照)に対応する複数のネジ穴(図示せず)を有する点である。側面部144は、Z方向において側壁部94に対向するように設けられる。
【0082】
図5を参照して、側面部144が側面部130と異なるのは、複数の突出部130aの代わりに複数の突出部144aを有する点である。突出部144aが突出部130aと異なるのは、複数の開口(ネジ穴の開口端)を有する点である。この実施形態では、各突出部144aに3つの開口が設けられる。
【0083】
図5を参照して、電池保持部102aの第1面部122a、第2面部122b、第1面部132aおよび第2面部132bは、X方向において第1壁部84a、第2壁部84b、第1壁部96aおよび第2壁部96bにそれぞれ対向する。図6を参照して、電池保持部102aの第3面部122c、第4面部122d、第3面部132cおよび第4面部132dは、Y方向において第3壁部84c、第4壁部84d、第3壁部96cおよび第4壁部96dにそれぞれ対向する。
【0084】
図4を参照して、第1電池ユニット62と第2電池ユニット64とを連結するように、接続ユニット146が設けられる。なお、図面が煩雑になることを避けるために、図6においては接続ユニット146を図示していない。
【0085】
図4を参照して、接続ユニット146は、基板148、および基板148に固定される複数のリード部材150を含む。接続ユニット146は、ケース部材56の貫通孔72bおよびケース部材58の貫通孔82bに挿通される。第1電池ユニット62の複数の電池100と第2電池ユニット64の複数の電池100とは、複数のリード部材150を介して電気的に接続される。この実施形態では、ケース52に設けられるプラスの電源端子(図示せず)およびマイナスの電源端子(図示せず)を介して第1電池ユニット62および第2電池ユニット64の複数の電池100に対して電力の入出力が行われる。
【0086】
図4〜図6を参照して、第1電池ユニット62は、ケース部材54とケース部材56とによって収容される。ケース部材54の周壁部68とケース部材56の周壁部74とは、環状のシール部材152を挟んで互いに組み合わされる。より具体的には、図5および図6を参照して、周壁部68の凹部68fにシール部材152が収容されるように、周壁部74の凸部74fが凹部68fに差し込まれる。シール部材152は、ケース部材54とケース部材56とを水密に組み合わせるために設けられる。シール部材152としては、種々のガスケットを用いることができる。この実施形態では、シール部材152として、たとえば、樹脂(ゴムまたはプラスチック等)または金属によって構成されたガスケットを用いることができる。後述のシール部材154,158a,158b,160,162,166,170についても、シール部材152と同様である。
【0087】
図7は、周壁部68,74とシール部材152との関係を示す図であり、図8は、ケース部材54を側方から見た図(Z方向視図)である。なお、図8においては、側壁部66のうちZ方向視において電池保持部102の側面部118に重なる部分Pに二点鎖線のハッチングを付している。また、図8においては、図面が煩雑になることを避けるために、貫通孔66bを図示していない。
【0088】
図7を参照して、凸部74fの最大厚みTは、ケース部材54の側壁部66(図5参照)およびケース部材56の側壁部72(図5参照)のいずれの厚みよりも大きい。この実施形態において凸部74fの厚みとは、凸部74fの突出方向(この実施形態ではZ方向)に対して垂直な方向における凸部74fの厚みのことである。より具体的には、図5を参照して、凸部74fのうち第1壁部74aおよび第2壁部74bに設けられる部分については、凸部74fの厚みとはX方向の厚みのことである。図6を参照して、凸部74fのうち第3壁部74cおよび第4壁部74dに設けられる部分については、凸部74fの厚みとはY方向の厚みのことである。図7を参照して、凸部74fの最大厚みTとは、凸部74fの凹部68f内に位置する部分のうち厚みが最大となる部分の厚みのことである。図8を参照して、この実施形態において側壁部66の厚みとは、側壁部66のうちZ方向視において電池保持部102の側面部118に重なる部分Pの平均厚みのことである。この実施形態では、部分Pの平均厚みは、部分Pの体積を部分PのZ方向視における面積で除算することによって算出する。同様に、側壁部72の厚みとは、側壁部72のうちZ方向視において電池保持部102の側面部130に重なる部分の平均厚みのことである。側壁部72における平均厚みの算出方法は、部分Pの平均厚みの算出方法と同様である。
【0089】
この実施形態では、シール部材152は、外部から力が加えられていない状態において断面円形状を有する。シール部材152の線径(外部から力が加えられていないときの線の太さ)は、凸部74fの最大厚みTよりも大きい。
【0090】
図4〜図6を参照して、第2電池ユニット64は、ケース部材58とケース部材60とによって収容される。ケース部材58の周壁部84とケース部材60の周壁部96とは、環状のシール部材154を挟んで互いに組み合わされる。より具体的には、図5および図6を参照して、周壁部84の凹部84fにシール部材154が収容されるように、周壁部96の凸部96fが凹部84fに差し込まれる。シール部材154は、ケース部材58とケース部材60とを水密に組み合わせるために設けられる。
【0091】
凸部96fと側壁部82との関係および凸部96fと側壁部94との関係は、凸部74fと側壁部66との関係および凸部74fと側壁部72との関係に等しい。具体的には、凸部96fの最大厚みは、側壁部82および側壁部94のいずれの厚みよりも大きい。この実施形態において凸部96fの厚みとは、凸部96fの突出方向(この実施形態ではZ方向)に対して垂直な方向における凸部96fの厚みのことである。より具体的には、図5を参照して、凸部96fのうち第1壁部96aおよび第2壁部96bに設けられる部分については、凸部96fの厚みとはX方向の厚みのことである。図6を参照して、凸部96fのうち第3壁部96cおよび第4壁部96dに設けられる部分については、凸部96fの厚みとはY方向の厚みのことである。凸部96fの最大厚みとは、凸部96fの凹部84f内に位置する部分のうち厚みが最大となる部分の厚みのことである。この実施形態において側壁部82の厚みとは、側壁部82のうちZ方向視において電池保持部102aの側面部142に重なる部分の平均厚みのことである。同様に、側壁部94の厚みとは、側壁部94のうちZ方向視において電池保持部102aの側面部144に重なる部分の平均厚みのことである。側壁部82および側壁部94における平均厚みの算出方法は、上述の部分P(図8参照)の平均厚みの算出方法と同様である。
【0092】
この実施形態では、シール部材154は、外部から力が加えられていない状態において断面円形状を有する。シール部材154の線径(外部から力が加えられていないときの線の太さ)は、凸部96fの最大厚みよりも大きい。
【0093】
図4を参照して、ケース部材56とケース部材58とに挟まれるように、ナット156a,156b,156c,156dが設けられる。
【0094】
ナット156aは、ケース部材56のボス部80aとケース部材58のボス部92aとによって収容され、ナット156bは、ケース部材56のボス部80bとケース部材58のボス部92bとによって収容される。ボス部80aとボス部92aとは、環状のシール部材158aを挟んで互いに組み合わされ、ボス部80bとボス部92bは、環状のシール部材158bを挟んで互いに組み合わされる。
【0095】
ナット156c,156dは、ケース部材56の連結部78とケース部材58の連結部88とによって収容される。ナット156cは、ボス部80cとボス部92cとに挟まれるように設けられ、ナット156dは、ボス部80dとボス部92dとに挟まれるように設けられる。
【0096】
図4および図6を参照して、ケース部材56の連結部76とケース部材58の連結部86とは、環状のシール部材160を挟んで互いに組み合わされる。より具体的には、図6を参照して、連結部76の凹部76bにシール部材160が収容されるように、連結部86の凸部86bが凹部76bに差し込まれる。凸部86bの最大厚みは、側壁部66、側壁部72、側壁部82、および側壁部94のいずれの厚みよりも大きい。この実施形態において凸部86bの厚みとは、凸部86bの突出方向(この実施形態ではZ方向)に対して垂直な方向における凸部86bの厚みのことである。
【0097】
図4〜図6を参照して、ケース部材56の連結部78とケース部材58の連結部88とは、環状のシール部材162を挟んで互いに組み合わされる。より具体的には、図5および図6を参照して、連結部78の凹部78bにシール部材162が収容されるように、連結部88の凸部88bが凹部78bに差し込まれる。凸部88bの最大厚みは、側壁部66、側壁部72、側壁部82、および側壁部94のいずれの厚みよりも大きい。この実施形態において凸部88bの厚みとは、凸部88bの突出方向(この実施形態ではZ方向)に対して垂直な方向における凸部88bの厚みのことである。
【0098】
図4を参照して、上記のようにして組み合わされたケース52は、複数のボルト164によって第1電池ユニット62および第2電池ユニット64に連結される。
【0099】
この実施形態では、4本のボルト164が、ケース部材54の4つのボス部70、第1電池ユニット62の4つのボス部116、およびケース部材56のボス部80a,80b,80c,80dに差し込まれる。同様に、4本のボルト164(図4においては3本のボルト164のみ図示)が、ケース部材60の4つのボス部98、第2電池ユニット64の4つのボス部116、およびケース部材58のボス部92a,92b,92c,92dに差し込まれる。複数のボルト164の先端部は、ナット156a,156b,156c,156dに固定される。これにより、ケース52、第1電池ユニット62および第2電池ユニット64が連結される。なお、各ボス部70および各ボス部98には、環状のシール部材166が嵌め込まれる。
【0100】
図5を参照して、上述のようにして連結された電池パック40においては、ケース部材54の内面54aは、電池保持部102の複数の突出部124および複数の突出部126に接触する。より具体的には、複数の突出部124は、周壁部68の第1壁部68aに接触し、複数の突出部126は、周壁部68の第2壁部68bに接触する。ケース部材56の内面56aは、電池保持部102の複数の突出部134および複数の突出部136に接触する。より具体的には、複数の突出部134は、周壁部74の第1壁部74aに接触し、複数の突出部136は、周壁部74の第2壁部74bに接触する。
【0101】
ケース部材58の内面58aは、電池保持部102aの複数の突出部124および複数の突出部126に接触する。より具体的には、複数の突出部124は、周壁部84の第1壁部84aに接触し、複数の突出部126は、周壁部84の第2壁部84bに接触する。ケース部材60の内面60aは、電池保持部102aの複数の突出部134および複数の突出部136に接触する。より具体的には、複数の突出部134は、周壁部96の第1壁部96aに接触し、複数の突出部136は、周壁部96の第2壁部96bに接触する。
【0102】
電池保持部102の突出部118aと突出部118aとの間に、側壁部66の突出部66aが配置される。これにより、突出部66aとリード部材104とを近接または接触させることができる。電池保持部102の突出部130aと突出部130aとの間に、側壁部72の突出部72aが配置される。これにより、突出部72aとリード部材108とを近接または接触させることができる。電池保持部102aの突出部142aと突出部142aとの間に、側壁部82の突出部82aが配置される。これにより、突出部82aとリード部材104とを近接または接触させることができる。電池保持部102aの突出部144aと突出部144aとの間に、側壁部94の突出部94aが配置される。これにより、突出部94aとリード部材108とを近接または接触させることができる。
【0103】
図4を参照して、ケース部材54の側壁部66は、複数(この実施形態では18本)のネジ168によって第1電池ユニット62の電池保持部102に固定される。具体的には、各ネジ168は、シール部材170を介して側壁部66の貫通孔66bに挿通されるとともに、第1保持部112のネジ穴112aに螺合される。これにより、図5を参照して、ケース部材54の内面54aを電池保持部102の突出部118aに接触させることができる。この実施形態では、側壁部66は、X方向における複数位置およびY方向における複数位置において電池保持部102の側面部118に固定される。より具体的には、側壁部66は、X方向において6つの位置およびY方向において3つの位置において電池保持部102に固定される。
【0104】
図4を参照して、ケース部材60の側壁部94は、複数(この実施形態では21本)のネジ168によって第2電池ユニット64の電池保持部102aに固定される。具体的には、各ネジ168は、シール部材170を介して側壁部94の貫通孔94bに挿通されるとともに、第2保持部140のネジ穴(図示せず)に螺合される。これにより、図5を参照して、ケース部材60の内面60aを電池保持部102aの突出部144aに接触させることができる。この実施形態では、側壁部94は、X方向における複数位置およびY方向における複数位置において電池保持部102aの側面部144に固定される。より具体的には、側壁部94は、X方向において7つの位置およびY方向において3つの位置において電池保持部102aに固定される。
【0105】
側壁部66,94を電池保持部102,102aに固定するための固定部材としてのネジ168は、通常のネジ(ボルト)であってもよく、タッピングスクリュー等の特殊なネジであってもよい。
【0106】
図9は、電池パック40と支持部材42,44(図2参照)との関係を示す図である。
【0107】
図9を参照して、この実施形態では、支持部材42,44によって、ケース部材54の外面54b、ケース部材56の外面56b、ケース部材58の外面58b、およびケース部材60の外面60bが支持される。したがって、ケース部材54においては、外面54bのうち、支持部材42に接触する領域A1および支持部材44に接触する領域A2がそれぞれ、電池パック40の外部(この実施形態では支持部材42,44)から荷重を受ける荷重受け部として機能する。ケース部材56においては、外面56bのうち、支持部材42に接触する領域B1および支持部材44に接触する領域B2がそれぞれ荷重受け部として機能する。ケース部材58においては、外面58bのうち、支持部材42に接触する領域C1および支持部材44に接触する領域C2がそれぞれ荷重受け部として機能する。ケース部材60においては、外面60bのうち、支持部材42に接触する領域D1および支持部材44に接触する領域D2がそれぞれ荷重受け部として機能する。
【0108】
より具体的には、支持部材42によって、ケース部材54の第1壁部68a、ケース部材56の第1壁部74a、ケース部材58の第1壁部84a、およびケース部材60の第1壁部96aが支持される。また、支持部材44によって、ケース部材54の第2壁部68b、ケース部材56の第2壁部74b、ケース部材58の第2壁部84b、およびケース部材60の第2壁部96bが支持される。したがって、この実施形態では、第1壁部68a、第1壁部74a、第1壁部84a、第1壁部96a、第2壁部68b、第2壁部74b、第2壁部84b、および第2壁部96bがそれぞれ荷重受け部を有する。言い換えると、周壁部68、周壁部74、周壁部84、および周壁部96がそれぞれ荷重受け部を有する。
【0109】
支持部材42,44からケース部材54に伝達された荷重は、ケース部材54の内面54aおよび電池保持部102の複数の突出部124,126を介して電池保持部102に伝達される。したがって、ケース部材54においては、内面54aのうち、複数の突出部124に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域A3および複数の突出部126に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域A4がそれぞれ、荷重受け部(この実施形態では領域A1,A2)において受けた荷重を電池保持部102に伝える荷重伝達部として機能する。
【0110】
支持部材42,44からケース部材56に伝達された荷重は、ケース部材56の内面56aおよび電池保持部102の複数の突出部134,136を介して電池保持部102に伝達される。したがって、ケース部材56においては、内面56aのうち、複数の突出部134に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域B3および複数の突出部136に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域B4がそれぞれ、荷重受け部(この実施形態では領域B1,B2)において受けた荷重を電池保持部102に伝える荷重伝達部として機能する。
【0111】
支持部材42,44からケース部材58に伝達された荷重は、ケース部材58の内面58aおよび電池保持部102aの複数の突出部124,126を介して電池保持部102aに伝達される。したがって、ケース部材58においては、内面58aのうち、複数の突出部124に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域C3および複数の突出部126に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域C4がそれぞれ、荷重受け部(この実施形態では領域C1,C2)において受けた荷重を電池保持部102aに伝える荷重伝達部として機能する。
【0112】
支持部材42,44からケース部材60に伝達された荷重は、ケース部材60の内面60aおよび電池保持部102aの複数の突出部134,136を介して電池保持部102aに伝達される。したがって、ケース部材60においては、内面60aのうち、複数の突出部134に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域D3および複数の突出部136に接触する複数(この実施形態では2つ)の領域D4がそれぞれ、荷重受け部(この実施形態では領域D1,D2)において受けた荷重を電池保持部102aに伝える荷重伝達部として機能する。
【0113】
この実施形態では、領域A3、領域A4、領域C3、および領域C4がそれぞれ第1荷重伝達部に相当し、領域B3、領域B4、領域D3、および領域D4がそれぞれ第2荷重伝達部に相当する。
【0114】
以下、電池パック40の作用効果を説明する。
電池パック40では、周壁部68の凹部68fにシール部材152および周壁部74の凸部74fが収容されるように、ケース部材54とケース部材56とが組み合わされる。周壁部74の凸部74fの最大厚みTは、ケース部材54の側壁部66およびケース部材56の側壁部72のいずれの厚みよりも大きい。このように凸部74fの厚みを大きくすることによって、ケース部材54とケース部材56との接続部の剛性を高めることができる。同様に、周壁部84の凹部84fにシール部材154および周壁部96の凸部96fが収容されるように、ケース部材58とケース部材60とが組み合わされる。周壁部96の凸部96fの最大厚みは、ケース部材58の側壁部82およびケース部材60の側壁部94のいずれの厚みよりも大きい。これにより、ケース部材58とケース部材60との接続部の剛性を高めることができる。これらの結果、外部からケース52に荷重が加えられた場合でもケース52の変形を抑制できるので、電池パック40の防水性を十分に確保できる。また、凸部74fの厚みを大きくすることによって、軽量素材(たとえば、樹脂)によってケース部材54,56を成形する場合でも、ケース部材54とケース部材56との接続部の剛性を十分に高めることができる。同様に、凸部96fの厚みを大きくすることによって、軽量素材(たとえば、樹脂)によってケース部材58,60を成形する場合でも、ケース部材58とケース部材60との接続部の剛性を十分に高めることができる。これらの結果、ケース52の強度を確保しつつ、ケース52を軽くすることができる。また、凸部74f,96fの厚みを大きくすることによってケース52の強度を確保できるので、ケース52の強度を確保するために側壁部66,72,82,94の厚みを大きくする必要がない。これにより、ケース52の放熱性の低下を防止できる。以上の結果、電池パック40の放熱性を十分に確保でき、電池パック40自体を軽くすることができ、かつ外部からケース52に荷重が加えられても電池パック40の防水性を十分に確保することができる。
【0115】
電池パック40では、ケース部材54が外面54bの領域A1において支持部材42から受けた荷重は、内面54aの領域A3を介して電池保持部102に伝達され、ケース部材54が外面54bの領域A2において支持部材44から受けた荷重は、内面54aの領域A4を介して電池保持部102に伝達される。言い換えると、ケース部材54は、領域A3,A4において電池保持部102に支持される。これにより、ケース部材54の変形を抑制できる。同様に、ケース部材56が領域B1,B2において受けた荷重は、領域B3,B4を介して電池保持部102に伝達される。言い換えると、ケース部材56は、領域B3,B4において電池保持部102に支持される。これにより、ケース部材56の変形を抑制できる。ケース部材58が領域C1,C2において受けた荷重は、領域C3,C4を介して電池保持部102aに伝達され、ケース部材60が領域D1,D2において受けた荷重は、領域D3,D4を介して電池保持部102aに伝達される。言い換えると、ケース部材58は、領域C3,C4において電池保持部102aに支持され、ケース部材60は、領域D3,D4において電池保持部102aに支持される。これにより、ケース部材56,58の変形を抑制できる。これらの結果、ケース52の変形を十分に抑制できる。
【0116】
電池パック40では、側壁部66が電池保持部102に固定されるので、側壁部66の剛性を高めることができる。同様に、側壁部94が電池保持部102aに固定されるので、側壁部94の剛性を高めることができる。これらの結果、ケース52の剛性を十分に高めることができる。これにより、ケース52の変形を十分に抑制できるので、電池パック40の防水性をさらに向上できる。また、複数の電池100で発生した熱を電池保持部102,102aからケース52(側壁部66,94)に効率よく伝達できる。これにより、電池パック40の放熱性をさらに向上できる。
【0117】
電池パック40では、外部からケース52に加えられる荷重を、周壁部68,74,84,96において受けることができる。言い換えると、外部からケース52に加えられる荷重を、ケース部材54,56,58,60で分担して受けることができる。これにより、外部からケース部材54,56,58,60にそれぞれ伝達される荷重に大きな差が生じることを防止できるので、ケース部材54,56,58,60のそれぞれの変形量に大きな差が生じることを防止できる。その結果、ケース部材54とケース部材56との接続部およびケース部材58とケース部材60との接続部において水密性が低下することを十分に抑制できる。それにより、電池パック40の防水性を十分に向上できる。
【0118】
電池パック40では、シール部材152の線径は凸部74fの最大厚みTよりも大きい。これにより、凹部68fと凸部74fとの間の水密性を十分に向上できる。同様に、シール部材154の線径は凸部96fの最大厚みよりも大きいので、凹部84fと凸部96fとの間の水密性を十分に向上できる。
【0119】
上述の実施形態では、ケース部材54,56,58,60の外面54b,56b,58b,60bがそれぞれ荷重受け部を有しているが、外面54b,56b,58b,60bのうちの1つ、2つまたは3つにのみ荷重受け部が設けられてもよい。
【0120】
上述の実施形態では、ケース部材54,56,58,60の内面54a,56a,58a,60aがそれぞれ荷重伝達部を有しているが、内面54a,56a,58a,60aのうちの1つ、2つまたは3つにのみ荷重伝達部が設けられてもよい。
【0121】
上述の実施形態では、側壁部66が電池保持部102に固定され、側壁部94が電池保持部102aに固定されているが、側壁部66が電池保持部102に固定されていなくてもよく、側壁部94が電池保持部102aに固定されていなくてもよい。また、側壁部72が電池保持部102に固定されてもよく、側壁部82が電池保持部102aに固定されてもよい。具体的には、たとえば複数のネジ168によって側壁部72を電池保持部102に固定してもよく、複数のネジ168によって側壁部82を電池保持部102aに固定してもよい。
【0122】
上述の実施形態では、電池パック40(ケース52)は、支持部材42,44を介して車体フレーム12に支持されているが、電池パック40(ケース52)が車体フレーム12に直接支持されてもよい。
【0123】
電池パック40をスクータに搭載する際の電池パック40の姿勢は上述の例に限定されない。
【0124】
たとえば、第1壁部68a,74a,84a,96aが上方または上方斜め前方を向き、第2壁部68b,74b,84b,96bが下方または下方斜め後方を向くように電池パック40が配置されてもよい。たとえば、第1壁部68a,74a,84a,96aが下方、下方斜め後方または下方斜め前方を向き、第2壁部68b,74b,84b,96bが上方、上方斜め前方または上方斜め後方を向くように電池パック40が配置されてもよい。
【0125】
たとえば、側壁部66が右を向くようにかつ側壁部94が左を向くように電池パック40が配置されてもよい。たとえば、側壁部66が前方、前方斜め上方または前方斜め後方を向き、側壁部94が後方、後方斜め下方または後方斜め上方を向くように電池パック40が配置されてもよい。側壁部66が後方、後方斜め上方または後方斜め下方を向き、側壁部94が前方、前方斜め下方または前方斜め上方を向くように電池パック40が配置されてもよい。
【0126】
上述の実施形態では、スクータ10において電池パック40を縦置きする場合について説明したが、スクータ(鞍乗型車両)において電池パック40を横置きしてもよい。たとえば、側壁部66が上方を向くように電池パック40をスクータに搭載してもよく、側壁部94が上方を向くように電池パック40をスクータに搭載してもよい。この場合も、支持部材によって周壁部68,74,84,96のいずれかを支持することによって、電池パック40を縦置きする場合の上述の作用効果と同様の作用効果が得られる。したがって、外部からケース52に前後方向または左右方向の荷重が加えられても、ケース52の変形を十分に防止できる。
【0127】
上述の実施形態では、側壁部66,72,82,94の長手方向がX方向に対して平行でかつ側壁部66,72,82,94の短手方向がY方向に対して平行であるが、側壁部の短手方向がX方向に対して平行でかつ側壁部の長手方向がY方向に対して平行になるように、電池パックを構成してもよい。
【0128】
上述の実施形態では、ケース52を電池保持部102,102aに固定するための固定部材としてネジ168を用いているが、ピン等の他の部材を固定部材として用いてもよい。また、たとえば、溶着(熱溶着または超音波溶着等)によってケースを電池保持部に固定してもよい。
【0129】
上述の実施形態では、複数のネジ168によってケース52と電池保持部102,102aとが固定されているが、たとえば、溶着等によってケース52とリード部材104,106,108,110とを固定してもよい。
【0130】
ケース52と電池保持部102,102aとの間に熱伝導シートまたは充填剤(伝熱性接着剤)を設けてもよい。
【0131】
第3壁部68c,74c,84c,96cのいずれかまたは全てに荷重受け部が設けられてもよく、第4壁部68d,74d,84d,96dのいずれかまたは全てに荷重受け部が設けられてもよい。
【0132】
第3壁部68c,74c,84c,96cのいずれかまたは全てに荷重伝達部が設けられてもよく、第4壁部68d,74d,84d,96dのいずれかまたは全てに荷重伝達部が設けられてもよい。
【0133】
電池保持部において、Z方向に2つ以上の電池100が並ぶように複数の電池100が配列されてもよい。
【0134】
上述の実施形態では、側壁部の外周縁からZ方向に突出するように周壁部が設けられる場合について説明したが、周壁部の位置は上述の例に限定されない。たとえば、側壁部の外周縁よりもやや内側の部分からZ方向に突出するように周壁部が設けられてもよい。すなわち、周壁部は、側壁部の外周縁部からZ方向に突出するように設けることができる。なお、側壁部の外周縁部には、側壁部の外周縁が含まれるものとする。
【0135】
この発明が適用される鞍乗型車両はスクータ10に限定されない。具体的には、この発明は、モペット等の他のタイプの自動二輪車、不整地走行用車両(ALL−TERRAIN VEHICLE)、およびスノーモービル等の他の鞍乗型車両にも適用できる。
【符号の説明】
【0136】
10 スクータ
12 車体フレーム
40 電池パック
52 ケース
54,56,58,60 ケース部材
66,72,82,94 側壁部
68,74,84,96 周壁部
68f,76b,78b,84f 凹部
74f,86b,88b,96f 凸部
100 電池
102,102a 電池保持部
112,138 第1保持部
114,140 第2保持部
152,154,158a,158b,160,162,166,170 シール部材
A1,A2,A2,A4,B1,B2,B3,B4,C1,C2,C3,C4,D1,D2,D3,D4 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に複数行および前記第1方向に直交する第2方向に複数列に配列される複数の充電できる電池と、
前記複数の電池を保持する電池保持部と、
前記第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向において互いに対向しかつ互いに組み合わされる第1ケース部材および第2ケース部材を含み、前記複数の電池および前記電池保持部を収容するケースと、
前記第1ケース部材および前記第2ケース部材によって挟まれる環状のシール部材とを備え、
前記第1ケース部材および前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方の外面は、当該電池パックの外部から荷重を受ける荷重受け部を有し、
前記第1ケース部材は、前記第3方向に交差する板状の第1側壁部および前記第1側壁部の外周縁部から前記第2ケース部材に向かって突出する枠状の第1周壁部を有し、
前記第2ケース部材は、前記第3方向に交差する板状の第2側壁部および前記第2側壁部の外周縁部から前記第1ケース部材に向かって突出する枠状の第2周壁部を有し、
前記第2周壁部は、前記第1ケース部材に向かって突出する環状の凸部を有し、
前記第1周壁部は、前記凸部および前記シール部材を収容する環状の凹部を有し、
前記第2周壁部の前記凸部の最大厚みは、前記第1側壁部および前記第2側壁部のいずれの厚みよりも大きい、電池パック。
【請求項2】
前記第1ケース部材および前記第2ケース部材のうち前記荷重受け部を有する少なくとも一方のケース部材の内面は、前記荷重受け部において受けた荷重を前記電池保持部に伝える荷重伝達部を有する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1側壁部および前記第2側壁部のうちの少なくとも一方は、前記電池保持部に固定されている、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1周壁部および前記第2周壁部はそれぞれ前記荷重受け部を有する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1ケース部材の内面は、前記第1周壁部の前記荷重受け部において受けた荷重を前記電池保持部に伝える第1荷重伝達部を有し、前記第2ケース部材の内面は、前記第2周壁部の前記荷重受け部において受けた荷重を前記電池保持部に伝える第2荷重伝達部を有する、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1側壁部および前記第2側壁部のうちの少なくとも一方は、前記電池保持部に固定されている、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記シール部材は断面円形状を有し、前記シール部材の線径は前記第2周壁部の前記凸部の最大厚みよりも大きい、請求項1から6のいずれかに記載の電池パック。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の電池パックを備える、鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109976(P2013−109976A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254427(P2011−254427)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】