説明

電池パック及び電池モジュール

【課題】電力を負荷に安定して供給できる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パック1は、電池ユニット装置2と、溶断セル41とを備える。電池ユニット装置2は、電池ユニット20と、制御回路50とを有する。電池ユニット20は、電池サブユニット21,22,23を複数個並列に接続する。電池サブユニット21,22,23は、ヒューズ211,221,231と、ヒューズ211,221,231に直列に接続された二次電池セル群212,222,232とを含む。制御回路50は、各電池サブユニット21,22,23が異常であるか否かを判定する。溶断セル41は、二次電池セルまたはキャパシタで構成され、制御回路50が異常であると判定した電池サブユニットのヒューズに、過電流を流すことにより、ヒューズを溶断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子機器に電池パックが搭載され、その電池パックから電力が供給されることにより、電子機器を使用することができる。
【0003】
一般に、電池パックは、充放電可能な二次電池セルを含む電池サブユニットを複数個内蔵し、充電、放電を繰り返すことにより、長年使用することができる。しかしながら、電池パックの充放電が繰り返されていくうちに、電池パック内の電池サブユニットが故障(劣化)してしまう。電池サブユニットが故障(劣化)してしまうと、電池パックが過充電及過放電等を起こしてしまう。そして、異常である電池サブユニットをそのままにして、電池パックの使用を続けると、電池パックが定格の電力を供給することができなくなるだけでなく、発熱などを起こす可能性がある。このため、電池サブユニットの異常を検出するための方法が研究されてきた。
【0004】
特開2010−3619号公報(特許文献1)には、制御回路が温度、電圧及び電流を検出し、検出した温度、電圧及び電流のうちいずれか1つが異常であると判定した場合、異常であると判定された電池サブユニット以外の電池サブユニットから流れてくる電流をヒューズの近傍に設けられた抵抗に流し、抵抗からの熱によって、ヒューズを溶断することが記載されている([0052]参照)。
【0005】
また、特開2004−103483号公報(特許文献2)には、二次電池セルとヒューズとを直列に接続してなる電池サブユニットを複数個並列に接続し、各電池サブユニットの間に電圧の不均衡が発生すると、直ちに不均衡を補うべく別の電池サブユニットから電流が流れ込むことが記載されている。そして、特許文献2には、別の電池サブユニットから流れ込んだ電流により、電池サブユニットのヒューズが溶断されることが記載されている([0014]参照)。
【0006】
更に、特開2006−238619号公報(特許文献3)には、二次電池セルの電圧を個別に計測し、異常を起こした二次電池セルが含まれる場合、異常二次電池セルが検出された直列モジュールの組電池回路切離しスイッチをOFFにすることが記載されている([0025]〜[0027]参照)。
【0007】
更に、特開2004−146307号公報(特許文献4)には、電池サブユニット内の電池に電圧降下が起こった場合、制御基板が、電池サブユニット遮断用スイッチ素子をオープンし、その電池サブユニットへの電流を遮断することが記載されている([0016]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−3619号公報
【特許文献2】特開2004−103483号公報
【特許文献3】特開2006−238619号公報
【特許文献4】特開2004−146307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1及び2では、異常である電池サブユニット以外の電池サブユニットから流れる電流を、ヒューズを溶断するための電流として用いているので、電力を負荷に安定して供給することが困難である。
【0010】
また、上記の特許文献3及び4では、電池サブユニットに異常が検出され、スイッチをオフにした場合でも、そのスイッチが故障(劣化)したり、外部から衝撃が加えられることにより、再びスイッチがオンになる可能性があるので、電力を負荷に安定して供給することが困難である。
【0011】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電力を負荷に安定して供給できる電池パックおよび電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の実施の形態による電池パックは、電池ユニット装置と、溶断セルとを備える。電池ユニット装置は、電池ユニットと、制御回路とを有する。電池ユニットは、電池サブユニットを複数個並列に接続する。電池サブユニットは、ヒューズと、ヒューズに直列に接続された二次電池セルとを含む。制御回路は、各電池サブユニットが異常であるか否かを判定する。溶断セルは、二次電池セルまたはキャパシタで構成され、制御回路が異常であると判定した電池サブユニットのヒューズに、過電流を流すことにより、ヒューズを溶断する。
【0013】
この発明の実施の形態による電池モジュールは、p×q個の電池パックと、負荷スイッチとを備える。p×q個の電池パックは、p(2以上の整数)行×q(2以上の整数)列に配列される。p×q個の電池パックの各々は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電池パックからなる。負荷スイッチは、p×q個の電池パックと、負荷との間に接続される。そして、負荷スイッチは、p×q個の電池パックのうち少なくとも1つが異常であると判定された場合、オフされる。
【0014】
また、この発明の実施の形態による電池モジュールは、p×q個の電池ユニット装置と、溶断手段と、負荷スイッチとを備える。p×q個の電池ユニット装置は、p(2以上の整数)行×q(2以上の整数)列に配列される。p×q個の電池ユニット装置の各々は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電池ユニット装置からなる。溶断手段は、各制御回路が異常であると判定した電池サブユニットのヒューズに、過電流を流すことにより、ヒューズを溶断する。負荷スイッチは、p×q個の電池ユニット装置と、負荷との間に接続される。そして、負荷スイッチは、p×q個の電池ユニット装置のうち少なくとも1つが異常であると判定された場合、オフされる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の実施の形態による電池パックにおいては、制御回路は、各電池サブユニットが異常であるか否かを判定する。そして、溶断セルは、制御回路によって異常あると判定された電池サブユニットのヒューズに過電流を流し、そのヒューズを溶断する。その結果、異常である電池サブユニットは、電力を負荷に供給せず、正常である電池サブユニットのみが電力を負荷に供給する。
【0016】
従って、電力を負荷に正確に供給できる。
【0017】
また、この発明の実施の形態による電池モジュールにおいては、各電池パックまたは各電池ユニット装置に含まれる電池サブユニットにおいて、異常が発生した場合、異常な電池サブユニットのヒューズが溶断されるとともに、電池モジュールと負荷との間に配置された負荷スイッチがオフされる。その結果、電池モジュールは、異常である場合、電力を負荷に供給せず、正常である場合のみ、電力を負荷に更に正確に供給する。
【0018】
従って、電力を負荷に更に正確に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第1の実施の形態による電池パックの回路構成を示す回路図である。
【図2】図2は、充電時間と電圧との関係を示す図である。
【図3】図3は、放電時間と電圧との関係を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態における異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、図4に示すステップS1,S2の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、図4に示すステップS3,S4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、ヒューズの溶断を確認する動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、第1の実施の形態における他の異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、図8に示すステップS3A,S4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、第1の実施の形態による他の電池パックの回路構成を示す回路図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態による電池パックの回路構成を示す回路図である。
【図12】図12は、図4に示すステップS1,S2の詳細な動作を説明するための第2の実施の形態におけるフローチャートである。
【図13】図13は、第2の実施の形態による他の電池パックの回路構成を示す回路図である。
【図14】図14は、図4に示すステップS1,S2の詳細な動作を説明するための第2の実施の形態の変形例のフローチャートである。
【図15】図15は、第3の実施の形態による電池パックの回路構成を示す回路図である。
【図16】図16は、図15に示す各電池サブユニットに流れる電流の模式図である。
【図17】図17は、第3の実施の形態における異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】図18は、図16に示すステップS42,S43の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】図19は、第4の実施の形態による電池パックの回路構成を示す回路図である。
【図20】図20は、第5の実施の形態による電池パックの回路構成を示す回路図である。
【図21】図21は、この発明の実施の形態による電池パックを備えた電池モジュールの回路構成を示す回路図である。
【図22】図22は、図21に示す電池モジュールにおける異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図23】図23は、この発明の実施の形態による他の電池モジュールの回路構成を示す回路図である。
【図24】図24は、図23に示す電池モジュールにおける異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態による電池パックの回路構成を示す回路図である。図1を参照して、第1の実施の形態による電池パック1は、電池ユニット装置2と、溶断手段4と、電圧検出部510,511,520,521,530,531,540と、温度センサー541とを備える。
【0022】
電池ユニット装置2は、電池ユニット20と、制御回路50とを含む。電池ユニット20は、電池サブユニット21,22,23を含む。電池サブユニット21,22,23は、プラス端子10とマイナス端子11との間に並列に接続される。識別情報ID21,ID22,ID23は、それぞれ、電池サブユニット21,22,23に付与されている。識別情報ID21,ID22,ID23は、それぞれ、電池サブユニット21,22,23を識別するための情報である。
【0023】
電池サブユニット21は、ヒューズ211と、二次電池セル群212とを含む。ヒューズ211および二次電池セル群212は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。二次電池セル群212は、二次電池セル2121〜2124からなる。二次電池セル2121〜2124は、直列に接続される。
【0024】
電池サブユニット22は、ヒューズ221と、二次電池セル群222とを含む。ヒューズ221および二次電池セル群222は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。二次電池セル群222は、二次電池セル2221〜2224からなる。二次電池セル2221〜2224は、直列に接続される。
【0025】
電池サブユニット23は、ヒューズ231と、二次電池セル群232とを含む。ヒューズ231および二次電池セル群232は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。二次電池セル群232は、二次電池セル2321〜2324からなる。二次電池セル2321〜2324は、直列に接続される。
【0026】
二次電池セル2121〜2124,2221〜2224,2321〜2324の各々は、充放電可能なセルであり、例えば、リチウムイオン二次電池およびニッケル水素二次電池等からなる。
【0027】
溶断手段4は、溶断セル41と、抵抗42と、スイッチ431〜433とを含む。溶断セル41および抵抗42は、サブプラス端子12とマイナス端子11との間に直列に接続される。また、溶断セル41および抵抗42は、電池サブユニット21〜23の各々と、マイナス端子11との間に直列に接続される。
【0028】
溶断セル41は、充放電可能なセルであり、例えば、リチウムイオン二次電池およびニッケル水素二次電池等からなる。また、溶断セル41は、リチウムイオンキャパシタおよびナノゲートキャパシタ等のキャパシタからなる。
【0029】
スイッチ431は、溶断セル41の正極端子と、ヒューズ211の二次電池セル群212側の端子との間に接続される。
【0030】
スイッチ432は、溶断セル41の正極端子と、ヒューズ221の二次電池セル群222側の端子との間に接続される。
【0031】
スイッチ433は、溶断41の正極端子と、ヒューズ231の二次電池セル群232側の端子との間に接続される。
【0032】
スイッチ431〜433の各々は、例えば、電界効果トランジスタからなる。
【0033】
電圧検出部510は、二次電池セル群212の両端に接続される。電圧検出部511は、ヒューズ211の両端に接続される。電圧検出部520は、二次電池セル群222の両端に接続される。電圧検出部521は、ヒューズ221の両端に接続される。電圧検出部530は、二次電池セル群232の両端に接続される。電圧検出部531は、ヒューズ231の両端に接続される。電圧検出部540は、抵抗42の両端に接続される。温度センサー541は、溶断セル41の近傍に配置される。
【0034】
ヒューズ211,221,231の各々は、定格以上の電流が流れると、溶断する。
【0035】
電圧検出部510は、二次電池セル群212の両端の電圧V11を検出し、その検出した電圧V11を制御回路50へ出力する。
【0036】
電圧検出部520は、二次電池セル群222の両端の電圧V12を検出し、その検出した電圧V12を制御回路50へ出力する。
【0037】
電圧検出部530は、二次電池セル群232の両端の電圧V13を検出し、その検出した電圧V13を制御回路50へ出力する。
【0038】
電圧検出部511は、ヒューズ211の両端の電圧V21を検出し、その検出した電圧V21を制御回路50へ出力する。
【0039】
電圧検出部521は、ヒューズ221の両端の電圧V22を検出し、その検出した電圧V22を制御回路50へ出力する。
【0040】
電圧検出部531は、ヒューズ231の両端の電圧V23を検出し、その検出した電圧V23を制御回路50へ出力する。
【0041】
電圧検出部540は、抵抗42の両端の電圧V3を検出し、その検出した電圧V3を制御回路50へ出力する。
【0042】
温度センサー541は、溶断セル41の温度Tを検出し、その検出した温度Tを制御回路50へ出力する。
【0043】
制御回路50は、識別情報ID21,ID22,ID23をそれぞれスイッチ431,432,433に対応付けて保持している。また、制御回路50は、抵抗42の抵抗値R42を保持している。
【0044】
制御回路50は、電圧検出部510,520,530からそれぞれ電圧V11,V12,V13を受ける。また、制御回路50は、電圧検出部511,521,531からそれぞれ電圧V21,V22,V23を受ける。更に、制御回路50は、電圧検出部540から電圧V3を受け、温度センサー41から温度Tを受ける。
【0045】
そして、制御回路50は、電圧V11,V12,V13に基づいて、二次電池セル群212,222,232のいずれが異常であるか否かを判定する。より具体的には、制御回路50は、二次電池セル群212が異常であるか否かを判定するとき、判定対象である二次電池セル群212以外の二次電池セル群222,232の両端の電圧V12,V13の平均値Vave23を演算する。そして、制御回路50は、電圧V11と平均値Vave23との絶対値|Vave23−V11|を演算する。
【0046】
そうすると、制御回路50は、絶対値|Vave23−V11|が閾値Vth1よりも大きいか否かを判定する。そして、制御回路50は、絶対値|Vave23−V11|が閾値Vth1よりも大きいと判定したとき、電池サブユニット21が異常であると判定し、電池サブユニット21に付与された識別情報ID21を記憶する。また、制御回路50は、絶対値|Vave23−V11|が閾値Vth1以下であると判定したとき、電池サブユニット21が正常であると判定する。
【0047】
なお、閾値Vth1は、例えば、平均値Vave23の10%に設定される。
【0048】
制御回路50は、同様にして、電池サブユニット22,23の各々が異常であるか否かを判定する。
【0049】
そして、制御回路50は、電池サブユニット21〜23のうち、電池サブユニット21が異常であると判定したとき、電池サブユニット21の識別情報ID21に対応付けられたスイッチ431をオンする。また、制御回路50は、電池サブユニット21〜23のうち、電池サブユニット22が異常であると判定したとき、電池サブユニット22の識別情報ID22に対応付けられたスイッチ432をオンする。更に、制御回路50は、電池サブユニット21〜23のうち、電池サブユニット23が異常であると判定したとき、電池サブユニット23の識別情報ID23に対応付けられたスイッチ433をオンする。
【0050】
なお、異常であると判定される電池サブユニットは、電池サブユニット21〜23のうちの1個とは限らず、2個以上である場合も想定される。その場合、制御回路50は、異常であると判定された2個以上の電池サブユニットの識別情報(=ID21,ID22,ID23のうちの2個以上)に対応付けられた2個以上のスイッチ(=スイッチ431〜433のうちの2個以上のスイッチ)をオンする。
【0051】
制御回路50は、電圧V21,V22,V23に基づいて、それぞれ、ヒューズ211,221,231が溶断されたか否かを判定する。より具体的には、制御回路50は、図示されていないが、溶断セル41の両端間の電圧V41を保持している。そして、制御回路50は、スイッチ431をオンした後、電圧V21が電圧V41と略同じになると、ヒューズ211が溶断されたと判定する。制御回路50は、同様にして、電圧V22,V23に基づいて、ヒューズ221,231が溶断されたか否かを判定する。
【0052】
制御回路50は、電圧V3および抵抗値R42に基づいて、ヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)に流れる電流値を演算し、その演算した電流値がヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)を溶断するのに必要な電流値であることを確認する。
【0053】
制御回路50は、温度Tが70℃よりも低いか否かを判定する。そして、制御回路50は、温度Tが70℃よりも低いとき、溶断セル41が正常であると判定する。一方、制御回路50は、温度Tが70℃以上であるとき、溶断セル41が異常であると判定する。
【0054】
溶断セル41は、制御回路50によってスイッチ431がオンされると、ヒューズ211に過電流を流す。これによって、ヒューズ211は、溶断する。また、溶断セル41は、制御回路50によってスイッチ432がオンされると、ヒューズ221に過電流を流す。これによって、ヒューズ221が溶断する。更に、溶断セル41は、制御回路50によってスイッチ433がオンされると、ヒューズ231に過電流を流す。これによって、ヒューズ231が溶断する。更に、溶断セル41は、サブプラス端子12およびマイナス端子11を介して充電される。
【0055】
図2は、充電時間と電圧との関係を示す図である。図2を参照して、電池パック1は、充電が開始されると、電圧が急激に上昇し、その後、充電時間の経過とともに、電圧は、徐々に上昇する。そして、スイッチ431がオンになりヒューズ211が溶断された後、スイッチ431がオフになるまでの間、プラス端子10とマイナス端子11との間には、本来の二次電池セル群212の電圧に加え、溶断セル41の電圧が印加される。その結果、電池パック1の充電開始からある程度の時間が経過している電池パック1に溶断セル41の電圧が印加されると、負荷に定格以上の電圧が印加される可能性がある。従って、電池パック1の充電開始時に、異常であると判定された電池サブユニットに過電流を流すことにより、電池パック1の電圧上昇に対する影響を少なくすることができる。
【0056】
そこで、第1の実施の形態においては、充電開始時に、異常が発生した電池サブユニットのヒューズを溶断する。
【0057】
図3は、放電時間と電圧との関係を示す図である。図3を参照して、放電が開始されると、電池パック1の電圧は、徐々に低下し、放電末期時には、急峻に低下する。その結果、放電末期時以外において、異常であると判定された電池サブユニットに過電流を流すと、上述したように、定格以上の電圧が負荷に印加される可能性がある。従って、電池パック1の放電末期時に、異常であると判定された電池サブユニットに過電流を流すことにより、電池パック1の電圧上昇に対する影響を少なくすることができる。
【0058】
そこで、第1の実施の形態においては、放電末期時に、異常が発生した電池サブユニットのヒューズを溶断する。
【0059】
このように、第1の実施の形態においては、充電開始時、または放電末期時に、異常が発生した電池サブユニットのヒューズを溶断する。
【0060】
次に、第1の実施の形態における電池パック1の異常処理の動作を説明する。なお、電池パック1が負荷に対して電力を供給する(放電)動作及び電池パック1が負荷に供給するための電力を蓄積する(充電)動作等については、周知の電池パックの動作と同じであるため、説明を省略する。
【0061】
図4は、第1の実施の形態における異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0062】
図4を参照して、異常処理の動作が開始されると、電池パック1の制御回路50は、電池サブユニットの異常を検出したか否かを判定する(ステップS1)。そして、制御回路50は、電池サブユニットの異常を検出したと判定すると、異常が発生した電池サブユニットの識別情報(=ID21,ID22,ID23の少なくとも1つ)を記憶する(ステップS2)。
【0063】
その後、制御回路50は、充電開始時か否かを判定する(ステップS3)。より具体的には、制御回路50は、電圧V11,V12,V13の時間に対する上昇率が閾値以上であるか否かを判定することによって、充電開始時か否かを判定する。この場合、制御回路50は、電圧V11,V12,V13の時間に対する上昇率が閾値以上であれば、充電開始時であると判定し、電圧V11,V12,V13の時間に対する上昇率が閾値よりも小さければ、充電開始時ではないと判定する。
【0064】
ステップS3において、充電開始時であると判定されると、制御回路50は、ステップS2において記憶した識別情報に対応するスイッチ(=スイッチ431〜433の少なくとも1つ)をオンする。これによって、溶断セル41は、ヒューズ(=ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)を溶断する。即ち、異常が発生した電池サブユニットのヒューズに過電流が流れ、ヒューズが溶断される(ステップS4)。そして、異常処理の動作が終了する。
【0065】
なお、図4に示すステップS1〜ステップS4は、1時間毎及び1日毎等のように、一定時間毎に実行される。
【0066】
図5は、図4に示すステップS1,S2の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0067】
図5を参照して、異常処理の動作が開始されると、電圧検出部510,520,530は、それぞれ、電圧V11,V12,V13を検出し(ステップS11)、その検出した電圧V11,V12,V13を制御回路50へ出力する。そして、制御回路50は、電圧V11,V12,V13を各電池サブユニット21,22,23の識別情報ID21,ID22,ID23に対応付けて記憶する。
【0068】
その後、制御回路50は、異常判定の対象となる電池サブユニットを決定する(ステップS12)。具体的には、制御回路50は、電池サブユニット21〜23のうち、任意の1つの電池サブユニットを異常判定の対象となる電池サブユニットとして決定する。例えば、制御回路50は、電池サブユニット21を異常判定の対象となる電池サブユニットとして決定する。
【0069】
そして、制御回路50は、上述した方法によって、判定対象の電池サブユニット21が異常であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0070】
ステップS13において、判定対象の電池サブユニットが異常であると判定されると、制御回路50は、異常である電池サブユニットの識別情報を記憶する(ステップS14)。
【0071】
そして、ステップS13において、判定対象の電池サブユニットが異常でないと判定されたとき、またはステップS14の後、制御回路50は、全ての電池サブユニット21〜23について、異常判定が終了したか否かを判定する(ステップS15)。
【0072】
ステップS15において、全ての電池サブユニット21〜23について、異常判定が終了していないと判定されたとき、制御回路50は、次の判定対象を決定する(ステップS16)。より具体的には、制御回路50は、既に異常であるか否かが判定された電池サブユニット以外の電池サブユニットから任意の1つの電池サブユニットを選択することによって次の判定対象を決定する。
【0073】
その後、一連の動作は、ステップS13へ移行し、ステップS15において、全ての電池サブユニット21〜23について、異常判定が終了したと判定されるまで、上述したステップS13〜ステップS16が繰返し実行される。
【0074】
そして、ステップS15において、全ての電池サブユニット21〜23について、異常判定が終了したと判定されると、一連の動作は、図4のステップS3へ移行する。
【0075】
上述したステップS11〜ステップS16を実行することにより、制御回路50は、各電池サブユニット21,22,23の二次電池セル群212,222,232の電圧V11,V12,V13を比較することにより、判定対象である電池サブユニットが異常であるか否かを判定することができる。
【0076】
図6は、図4に示すステップS3,S4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0077】
図6を参照して、図4に示すステップS2の後、制御回路50は、上述した方法によって、充電開始時であるか否かを判定する(ステップS21)。そして、ステップS21において、充電開始時であると判定されると、制御回路50は、記憶した識別情報に対応するスイッチをオンし、溶断セル41は、異常である電池サブユニットのヒューズに過電流を流す(ステップS22)。これによって、異常である電池サブユニットのヒューズが溶断される。そして、一連の動作は、図4に示す“終了”へ移行する。
【0078】
図7は、ヒューズの溶断を確認する動作を説明するためのフローチャートである。なお、図7においては、電池サブユニット21のヒューズ211の溶断を確認する場合について、その動作を説明する。
【0079】
図7を参照して、ヒューズの溶断を確認する動作が開始されると、電圧検出部511は、ヒューズ211の両端の電圧V21を検出し(ステップS31)、その検出した電圧V21を制御回路50へ出力する。
【0080】
そして、制御回路50は、電圧V21が、電圧V41と略同じになったか否かを判定する(ステップS32)。
【0081】
ステップS32において、電圧V21が電圧V41と略同じになったと判定されると、制御回路50は、ヒューズ211が溶断されたことを確認する。そして、制御回路50は、スイッチ431をオフする。
【0082】
なお、ヒューズの溶断を確認する動作は、制御回路50が異常である電池サブユニットに対応するスイッチをオンすると、開始される。
【0083】
また、ヒューズ221,231の溶断を確認する動作も、上述したステップS31,S32に従って実行される。
【0084】
ステップS31,S32を実行することにより、異常である電池サブユニット21のヒューズ211に過電流が流された場合、そのヒューズ211が正確に溶断されたか否かを確認することができる。
【0085】
図8は、第1の実施の形態における他の異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0086】
図8に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートのステップS3をステップS3Aに代えたものであり、その他は、図4に示すフローチャートと同じである。
【0087】
図8を参照して、異常処理の動作が開始されると、上述したステップS1,S2が順次実行される。ステップS2の後、制御回路50は、上述した方法によって、電池パック1が放電末期時であるか否かを判定する(ステップS3A)。
【0088】
そして、ステップS3Aにおいて、電池パック1が放電末期時であると判定されると、上述したステップS4が実行される。
【0089】
図9は、図8に示すステップS3A,S4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0090】
図9に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートのステップS21をステップS21Aに代えたものであり、その他は、図6に示すフローチャートと同じである。
【0091】
図9を参照して、図8に示すステップS2の後、制御回路50は、上述した方法によって、電池パック1が放電末期時であるか否かを判定する(ステップS21A)。
【0092】
そして、ステップS21Aにおいて、電池パック1が放電末期時であると判定されると、上述したステップS22が実行される。
【0093】
なお、放電末期時に異常である電池サブユニットのヒューズを溶断セル41によって溶断した場合も、図7に示すフローチャートに従って、ヒューズの溶断を確認する動作が実行される。
【0094】
上述したように、第1の実施の形態においては、制御回路50は、二次電池セル群212,222,232の両端の電圧V11,V12,V13に基づいて、電池パック1の充電開始時または放電末期時に各電池サブユニットが異常であるか否かを判定し、異常であると判定された電池サブユニットの二次電池セル群に直列に接続されたヒューズを溶断セル41によって溶断する。その結果、異常であると判定された電池サブユニットは、電力を負荷に供給せず、正常な電池サブユニットだけが電力を負荷に供給する。
【0095】
従って、電力を負荷に安定して供給できる。
【0096】
なお、上記においては、制御回路50は、ヒューズ211,221,231の溶断を確認すると、スイッチ431〜433をオフすると説明したが、第1の実施の形態においては、これに限らず、制御回路50は、ヒューズ211,221,231の溶断を確認した後も、スイッチ431〜433をオンし続けてもよい。これは、次の理由による。
【0097】
例えば、ヒューズ211の溶断後、スイッチ431がオンされ続けた場合、二次電池セル群212および溶断セル41は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。その結果、直列に接続された溶断セル41および二次電池セル群212は、負荷に電力を供給する。従って、溶断セル41は、二次電池セル群212を構成する4個の二次電池セル2121〜2124のうち、異常である二次電池セルを補うことができるからである。他の電池サブユニット22,23が異常である場合も同様である。
【0098】
このように、第1の実施の形態においては、溶断セル41を異常である電池サブユニットの二次電池セルを補う「非常用セル」として用いてもよい。
【0099】
[第1の実施の形態の変形例]
図10は、第1の実施の形態による他の電池パック1Aの回路構成を示す回路図である。
【0100】
第1の実施の形態による電池パックは、図10に示す電池パック1Aであってもよい。図10を参照して、電池パック1Aは、図1に示す電池パック1の電池ユニット装置2を電池ユニット装置2Aに代え、溶断手段4を溶断手段4Aに代えたものであり、その他は、電池パック1と同じである。
【0101】
電池ユニット装置2Aは、図1に示す電池ユニット装置2の制御回路50を制御回路50Aに代えたものであり、その他は、電池ユニット装置2と同じである。
【0102】
溶断手段4Aは、図1に示す溶断手段4に溶断セル41A、抵抗42A、電圧検出部540Aおよび温度センサー541Aを追加したものであり、その他は、溶断手段4と同じである。
【0103】
溶断セル41Aおよび抵抗42Aは、サブプラス端子12とマイナス端子11との間に直列される。また、溶断セル41Aおよび抵抗42Aは、電池サブユニット21〜23の各々とマイナス端子11との間に直列に接続される。そして、直列に接続された溶断セル41Aおよび抵抗42Aは、直列に接続された溶断セル41および抵抗42と並列に接続される。溶断セル41Aは、充放電可能なセルであり、例えば、リチウムイオン二次電池およびニッケル水素二次電池等からなる。また、溶断セル41Aは、リチウムイオンキャパシタおよびナノゲートキャパシタ等のキャパシタからなる。
【0104】
電圧検出部540Aは、抵抗42Aの両端に接続される。温度センサー541Aは、溶断セル41Aの近傍に配置される。
【0105】
溶断セル41Aは、制御回路50Aによってスイッチ431がオンされると、溶断セル41と共にヒューズ211に過電流を流す。これによって、ヒューズ211は、溶断する。また、溶断セル41Aは、制御回路50Aによってスイッチ432がオンされると、溶断セル41と共にヒューズ221に過電流を流す。これによって、ヒューズ221が溶断する。更に、溶断セル41Aは、制御回路50Aによってスイッチ433がオンされると、溶断セル41と共にヒューズ231に過電流を流す。これによって、ヒューズ231が溶断する。更に、溶断セル41Aは、サブプラス端子12およびマイナス端子11を介して充電される。
【0106】
電圧検出部540Aは、抵抗42Aの両端の電圧V32を検出し、その検出した電圧V32を制御回路50Aへ出力する。
【0107】
温度センサー541Aは、溶断セル41Aの温度T2を検出し、その検出した温度T2を制御回路50Aへ出力する。
【0108】
なお、電池パック1Aにおいては、抵抗42の両端の電圧は、“V31”と表記され、溶断セル41の温度は、“T1”と表記されている。
【0109】
制御回路50Aは、抵抗42Aの抵抗値R42Aを保持している。制御回路50Aは、温度センサー41Aから温度T2を受ける。
【0110】
制御回路50Aは、電圧V32および抵抗値R42Aに基づいて、ヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)に流れる電流値を演算し、その演算した電流値がヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)を溶断するのに必要な電流値であることを確認する。
【0111】
制御回路50Aは、温度T2が70℃よりも低いか否かを判定する。そして、制御回路50Aは、温度T2が70℃よりも低いとき、溶断セル41Aが正常であると判定する。一方、制御回路50Aは、温度T2が70℃以上であるとき、溶断セル41Aが異常であると判定する。
【0112】
制御回路50Aは、その他、制御回路50と同じ機能を果たす。
【0113】
電池パック1Aにおける各電池サブユニット21〜23が異常であるか否かの判定は、上述した図4,5,6,8,9に示すフローチャートに従って実行され、異常であると判定された電池サブユニットにおけるヒューズの溶断を確認する動作は、図7に示すフローチャートに従って実行される。
【0114】
この場合、2個の溶断セル41,41Aは、制御回路50Aによってオンされたスイッチ(スイッチ431〜433の少なくとも1つ)を介して、異常である電池サブユニット(=電池サブユニット21〜23の少なくとも1つ)のヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)に過電流を流す。
【0115】
従って、電池パック1Aにおいては、異常である電池サブユニットのヒューズを電池パック1よりも正確に溶断できる。
【0116】
その結果、電池パック1Aは、電池パック1よりも安定して電力を負荷に供給できる。
【0117】
なお、電池パック1Aにおいても、溶断セル41,41Aを上述した非常用セルとして用いてもよい。
【0118】
また、電池パック1Aの溶断手段4Aは、並列に接続された3個以上の溶断セルを含んでいてもよく、一般的には、並列に接続された複数の溶断セルを含んでいればよい。
【0119】
上記においては、電池パック1,1Aの各々は、並列に接続された3個の電池サブユニット21〜23を備えると説明したが、第1の実施の形態においては、これに限らず、電池パック1,1Aの各々は、一般的には、並列に接続された複数の電池サブユニットを備えていればよい。
【0120】
また、上記においては、二次電池セル群212,222,232の各々は、4個の二次電池セル2121〜2124;2221〜2224;2321〜2324を含むと説明したが、第1の実施の形態においては、これに限らず、二次電池セル群212,222,232の各々は、一般的には、1個以上の二次電池セルを含んでいればよい。そして、二次電池セル群212,222,232の各々が2個以上の二次電池セルを含む場合、その2個以上の二次電池セルは、直列に接続される。
【0121】
更に、第1の実施の形態においては、電池パック1,1Aの充電開始時または放電末期時以外に各電池サブユニット21〜23が異常であるか否かを判定し、異常である電池サブユニットのヒューズを溶断するようにしてもよい。異常である電池サブユニットの二次電池セル群の電圧低下の大きさによっては、溶断セル41,41Aの電圧が二次電池セル群の電圧に加算されても、定格の電圧が負荷に供給される場合もあるからである。
【0122】
[第2の実施の形態]
図11は、第2の実施の形態による電池パック1Bの回路構成を示す回路図である。図11を参照して、第2の実施の形態による電池パック1Bは、図1に示す電池パック1の電池ユニット装置2を電池ユニット装置2Bに代え、電圧検出部512,522,532を追加したものであり、その他は、電池パック1と同じである。
【0123】
電池ユニット装置2Bは、図1に示す電池ユニット装置2の制御回路50を制御回路50Bに代えたものであり、その他は、電池ユニット装置2と同じである。
【0124】
電圧検出部512は、直列に接続された二次電池セル2123,2124の両端に接続される。電圧検出部522は、直列に接続された二次電池セル2223,2224の両端に接続される。電圧検出部532は、直列に接続された二次電池セル2323,2324の両端に接続される。
【0125】
電圧検出部512は、直列に接続された二次電池セル2123,2124の両端の電圧V11’を検出し、その検出した電圧V11’を制御回路50Bへ出力する。電圧検出部522は、直列に接続された二次電池セル2223,2224の両端の電圧V12’を検出し、その検出した電圧V12’を制御回路50Bへ出力する。電圧検出部532は、直列に接続された二次電池セル2323,2324の両端の電圧V13’を検出し、その検出した電圧V13’を制御回路50Bへ出力する。
【0126】
制御回路50Bは、各二次電池セル群212,222,232を構成する二次電池セル2121〜2124;2221〜2224;2321〜2324の個数m(=4個)と、電圧検出部512,522,532が接続される二次電池セルの個数n(=2個)とを保持している。ここで、mは、2以上の整数であり、nは、1≦n<mを満たす整数である。
【0127】
制御回路50Bは、電圧検出部510,520,530からそれぞれ電圧V11,V12,V13を受け、電圧検出部512,522,532からそれぞれ電圧V11’,V12’,V13’を受ける。
【0128】
そして、制御回路50Bは、電圧V11および個数m,nに基づいて、直列に接続された2個の二次電池セル2123,2124の両端の電圧Vn(=(n/m)×V11)を演算する。
【0129】
その後、制御回路50Bは、電圧Vnと電圧V11’との差ΔVの絶対値|ΔV|=|Vn−V11’|=|(n/m)×V11−V11’|を演算する。
【0130】
そうすると、制御回路50Bは、絶対値|ΔV|が閾値Vth2よりも大きいか否かを判定する。そして、制御回路50Bは、絶対値|ΔV|が閾値Vth2よりも大きいと判定したとき、電池サブユニット21が異常であると判定する。一方、制御回路50Bは、絶対値|ΔV|が閾値Vth2以下であると判定したとき、電池サブユニット21が正常であると判定する。なお、閾値Vth2は、例えば、電圧Vnの10%に設定される。
【0131】
制御回路50Bは、同様にして、電池サブユニット22,23の各々が異常であるか否かを判定する。
【0132】
制御回路50Bは、その他、制御回路50と同じ機能を果たす。
【0133】
次に、電池パック1Bにおける異常処理の動作を説明する。電池パック1Bにおける異常処理の動作は、図4に示すフローチャートに従って実行される。
【0134】
図12は、図4に示すステップS1,S2の詳細な動作を説明するための第2の実施の形態におけるフローチャートである。
【0135】
図12に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートのステップS11,S12をステップS12A,S12B,S12Cに代え、ステップS13をステップS13Aに代えたものであり、その他は、図5に示すフローチャートと同じである。
【0136】
図12を参照して、電池パック1Bにおける異常処理の動作が開始されると、制御回路50Bは、制御回路50と同じ方法によって、異常判定の対象となる電池サブユニットを決定する(ステップS12A)。
【0137】
そして、制御回路50Bは、異常判定の対象となる電池サブユニットに含まれるm個(=4個)の二次電池セルの両端の電圧Vm(=V11,V12,V13のいずれか)を電圧検出部(=電圧検出部510,520,530のいずれか)から受ける。即ち、制御回路50Bは、異常判定の対象となる電池サブユニットに含まれるm個の二次電池セルの両端の電圧Vmを検出する(ステップS12B)。
【0138】
その後、制御回路50Bは、異常判定の対象となる電池サブユニットに含まれるn個(=2個)の二次電池セルの両端の電圧Vn’(=V11’,V12’,V13’のいずれか)を電圧検出部(=電圧検出部512,522,532のいずれか)から受ける。即ち、制御回路50Bは、異常判定の対象となる電池サブユニットに含まれるn個の二次電池セルの両端の電圧Vn’を検出する(ステップS12C)。
【0139】
その後、制御回路50Bは、判定対象の電池サブユニットが異常であるか否かを判定する(ステップS13A)。より具体的には、制御回路50Bは、電圧Vm(=V11,V12,V13のいずれか)および個数m,nに基づいて、直列に接続された2個の二次電池セル2123,2124の両端の電圧Vn(=(n/m)×Vm)を演算する。
【0140】
そして、制御回路50Bは、電圧Vnと電圧Vn’との差ΔVの絶対値|ΔV|=|Vn−Vn’|=|(n/m)×Vm−Vn’|を演算する。
【0141】
そうすると、制御回路50Bは、絶対値|ΔV|が閾値Vth2よりも大きいか否かを判定する。そして、制御回路50Bは、絶対値|ΔV|が閾値Vth2よりも大きいと判定したとき、判定対象の電池サブユニットが異常であると判定する。一方、制御回路50Bは、絶対値|ΔV|が閾値Vth2以下であると判定したとき、判定対象の電池サブユニットが正常であると判定する。
【0142】
ステップS13Aにおいて、判定対象の電池サブユニットが異常であると判定されたとき、異常処理の動作は、ステップS14へ移行し、上述したステップS14〜ステップS16が順次実行される。
【0143】
一方、ステップS13Aにおいて、判定対象の電池サブユニットが正常であると判定されたとき、異常処理の動作は、ステップS15へ移行し、上述したステップS15,S16が順次実行される。
【0144】
そして、ステップS16が実行されたとき、異常処理の動作は、ステップS12Bへ移行し、ステップS15において、全ての電池サブユニットについて、異常判定が終了したと判定されるまで、上述したステップS12B,S12C,S13A,S14〜S16が繰返し実行される。
【0145】
その後、ステップS15において、全ての電池サブユニットについて、異常判定が終了したと判定されると、図4に示すステップS3,S4(図6に示すステップS21,S22)が順次実行される。
【0146】
電池パック1Bにおける異常処理の動作が行なわれると、異常である電池サブユニットに含まれるヒューズの溶断を確認する動作が図7に示すフローチャートに従って実行される。
【0147】
また、電池パック1Bにおける異常処理の動作は、図8に示すフローチャートに従って実行されてもよい。この場合、図8に示すステップS1,S2の詳細な動作は、図12に示すフローチャートに従って実行される。また、図8に示すステップS3A,S4の詳細な動作は、図9に示すフローチャートに従って実行される。
【0148】
上述したように、第2の実施の形態においては、制御回路50Bは、二次電池セル群212,222,232のm個の二次電池セルの両端の電圧V11,V12,V13および二次電池セル群212,222,232のn個の二次電池セルの両端の電圧V11',V12’,V13’に基づいて、電池パック1Bの充電開始時または放電末期時に各電池サブユニット21〜23が異常であるか否かを判定し、異常であると判定された電池サブユニットの二次電池セル群に直列に接続されたヒューズを溶断セル41によって溶断する。その結果、異常であると判定された電池サブユニットは、電力を負荷に供給せず、正常な電池サブユニットだけが電力を負荷に供給する。
【0149】
従って、電力を負荷に安定して供給できる。
【0150】
なお、第2の実施の形態においては、上述した電池パック1から電池パック1Aへの変更と同じ変更を電池パック1Bに対して施してもよい。この場合、電池パック1Bは、電圧検出部540Aおよび温度センサー541Aを更に備える。
【0151】
第2の実施の形態におけるその他の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0152】
[第2の実施の形態の変形例]
図13は、第2の実施の形態による他の電池パック1Cの回路構成を示す回路図である。
【0153】
第2の実施の形態による電池パック2Bは、図13に示す電池パック1Cであってもよい。図13を参照して、電池パック1Cは、図11に示す電池パック1Bの電池ユニット装置2Bを電池ユニット装置2Cに代え、電圧検出部510,520,530を電圧検出部560に代えたものであり、その他は、電池パック2Bと同じである。
【0154】
電池ユニット装置2Cは、図11に示す電池ユニット装置2Bの制御回路50Bを制御回路50Cに代えたものであり、その他は、電池ユニット装置2Bと同じである。
【0155】
電圧検出部560は、並列に接続された電池サブユニット21〜23の両端に接続される。電圧検出部560は、電池サブユニット21〜23の両端の電圧V20を検出し、その検出した電圧V20を制御回路50Cへ出力する。制御回路50Cは、電圧検出部560から電圧V20を受ける。
【0156】
制御回路50Cは、各二次電池セル群212,222,232を構成する二次電池セル2121〜2124;2221〜2224;2321〜2324の個数m(=4個)と、電圧検出部512,522,532が接続される二次電池セルの個数n(=2個)とを保持している。
【0157】
そして、制御回路50Cは、電圧V20および個数m,nに基づいて、2個の二次電池セル2123,2124の両端の電圧Vn1(=(n/m)×V20)を演算し、その演算した電圧Vn1を電圧11’と比較することにより、電池サブユニット21が異常であるか否かを判定する。
【0158】
具体的には、制御回路50Cは、電圧Vn1(=(n/m)×V20)を演算した後、電圧Vn1と電圧V11’との差ΔV’の絶対値|ΔV’|=|Vn1−V11’|=|(n/m)×V20−V11’|を演算する。
【0159】
そうすると、制御回路50Cは、絶対値|ΔV’|が閾値Vth2’よりも大きいか否かを判定する。そして、制御回路50Cは、絶対値|ΔV’|が閾値Vth2’よりも大きいと判定したとき、電池サブユニット21が異常であると判定する。一方、制御回路50Cは、絶対値|ΔV’|が閾値Vth2’以下であると判定したとき、電池サブユニット21が正常であると判定する。なお、閾値Vth2’は、例えば、電圧Vn’の10%に設定される。
【0160】
そして、制御回路50Cは、同様にして、電池サブユニット22,23の各々が異常であるか否かを判定する。
【0161】
制御回路50Cは、その他、制御回路50と同じ機能を果たす。
【0162】
次に、電池パック1Cにおける異常処理の動作を説明する。電池パック1Cにおける異常処理の動作は、図14に示すフローチャートに従って実行される。
【0163】
図14は、図12に示すフローチャートのステップS12BをステップS12B’に代え、ステップS13Aをステップ13A’に代えたものであり、その他は、図12に示すフローチャートと同じである。
【0164】
異常判定の対象となる電池サブユニットが決定されると(ステップS12A)、制御回路50Cは、電圧検出部560から電池サブユニット21〜23の両端の電圧V20を検出する(ステップS12B’)。
【0165】
その後、制御回路50Cは、制御回路50Bと同じ方法によって、異常判定の対象となる電池サブユニットに含まれるn個の二次電池セルの両端の電圧Vn’を検出する(ステップS12C)。
【0166】
そして、制御回路50Cは、判定対象の電池サブユニットが異常であるか否かを判定する(ステップS13A’)。より具体的には、制御回路50Cは、電圧V20および個数m,nに基づいて、直列に接続された2個の二次電池セル2123,2124の両端の電圧Vn1(=(n/m)×V20)を演算する。
【0167】
そして、制御回路50Cは、電圧Vn1と電圧Vn’との差ΔV’の絶対値|ΔV’|=|Vn1−Vn’|=|(n/m)×V20−Vn’|を演算する。
【0168】
そうすると、制御回路50Cは、絶対値|ΔV’|が閾値Vth2’よりも大きいか否かを判定する。そして、制御回路50Cは、絶対値|ΔV’|が閾値Vth2’よりも大きいと判定したとき、判定対象の電池サブユニットが異常であると判定する。一方、制御回路50Cは、絶対値|ΔV’|が閾値Vth2’以下であると判定したとき、判定対象の電池サブユニットが正常であると判定する。
【0169】
ステップS13A’において、判定対象の電池サブユニットが異常であると判定されたとき、異常処理の動作は、ステップS14へ移行し、上述したステップS14〜ステップS16が順次実行される。
【0170】
一方、ステップS13A’において、判定対象の電池サブユニットが正常であると判定されたとき、異常処理の動作は、ステップS15へ移行し、上述したステップS15,S16が順次実行される。
【0171】
上述したように、第2の実施の形態の変形例においては、制御回路50Cは、電池ユニット20の両端の電圧V20および二次電池セル群212,222,232のn個の二次電池セルの両端の電圧V11',V12’,V13’に基づいて、電池パック1Cの充電開始時または放電末期時に各電池サブユニット21〜23が異常であるか否かを判定し、異常であると判定された電池サブユニットの二次電池セル群に直列に接続されたヒューズを溶断セル41によって溶断する。その結果、異常であると判定された電池サブユニットは、電力を負荷に供給せず、正常な電池サブユニットだけが電力を負荷に供給する。
【0172】
従って、電力を負荷に安定して供給できる。
【0173】
なお、第2の実施の形態の変形例においては、上述した電池パック1から電池パック1Aへの変更と同じ変更を電池パック1Cに対して施してもよい。この場合、電池パック1Cは、電圧検出部540Aおよび温度センサー541Aを更に備える。
【0174】
第2の実施の形態の変形例におけるその他の説明は、第2の実施の形態と同じである。
【0175】
[第3の実施の形態]
[第3の実施の形態の構成]
図15は、第3の実施の形態による電池パック1Dの回路構成を示す回路図である。図15を参照して、第3の実施の形態による電池パック1Dは、図1に示す電池パック1の電池ユニット装置2を電池ユニット装置2Dに代え、電圧検出部510,520,530をそれぞれ電圧検出部513,523,533に代え、抵抗543および電圧検出部550を追加したものであり、その他は、電池パック1と同じである。
【0176】
電池ユニット装置2Dは、図1に示す電池ユニット装置2の電池ユニット20および制御回路50をそれぞれ電池ユニット20Aおよび制御回路50Dに代えたものである。電池ユニット20Aは、図1に示す電池サブユニット21,22,23をそれぞれ電池サブユニット21A,22A,23Aに代えたものである。
【0177】
電池サブユニット21Aは、図1に示す電池サブユニット21に抵抗213を追加したものであり、その他は、電池サブユニット21と同じである。電池サブユニット22Aは、図1に示す電池サブユニット22に抵抗223を追加したものであり、その他は、電池サブユニット22と同じである。電池サブユニット23Aは、図1に示す電池サブユニット23に抵抗233を追加したものであり、その他は、電池サブユニット23と同じである。
【0178】
抵抗213は、ヒューズ211と二次電池セル群212との間にヒューズ211および二次電池セル群212と直列に接続される。この場合、スイッチ431の一方の端子は、ヒューズ211と抵抗213との間に接続される。
【0179】
抵抗223は、ヒューズ221と二次電池セル群222との間にヒューズ221および二次電池セル群222と直列に接続される。この場合、スイッチ432の一方の端子は、ヒューズ221と抵抗223との間に接続される。
【0180】
抵抗233は、ヒューズ231と二次電池セル群232との間にヒューズ231および二次電池セル群232と直列に接続される。この場合、スイッチ433の一方の端子は、ヒューズ231と抵抗233との間に接続される。
【0181】
抵抗543は、二次電池セル群212,222,232のプラス側の端子と、プラス端子10との間に接続される。
【0182】
電圧検出部513は、抵抗213の両端に接続される。電圧検出部523は、抵抗223の両端に接続される。電圧検出部533は、抵抗233の両端に接続される。電圧検出部550は、抵抗543の両端に接続される。
【0183】
電圧検出部513は、抵抗213の両端の電圧V11”を検出し、その検出した電圧V11”を制御回路50Dへ出力する。電圧検出部523は、抵抗223の両端の電圧V12”を検出し、その検出した電圧V12”を制御回路50Dへ出力する。電圧検出部533は、抵抗233の両端の電圧V13”を検出し、その検出した電圧V13”を制御回路50Dへ出力する。電圧検出部550は、抵抗543の両端の電圧V4を検出し、その検出した電圧V4を制御回路50Dへ出力する。
【0184】
制御回路50Dは、電圧検出部550から電圧V4を受ける。そして、制御回路50Dは、電圧V4に基づいて電池パック1Dが放電状態であるか否かを判定する。より具体的には、制御回路50Dは、電圧V4が正の電圧値からなるとき(=電圧検出部550の左側の端子に入力される電圧が右側の端子に入力される電圧よりも高い場合)、電池パック1Dが放電状態であると判定する。一方、制御回路50Dは、電圧V4が負の電圧値からなるとき(=電圧検出部550の左側の端子に入力される電圧が右側の端子に入力される電圧よりも低い場合)、電池パック1Dが充電状態であると判定する。
【0185】
また、制御回路50Dは、電圧検出部513,523,533からそれぞれ電圧V11”,V12”,V13”を受ける。そして、制御回路50Dは、電圧V11”に基づいて、二次電池セル群212に流れている電流の方向が充電方向であるか放電方向であるかを判定する。より具体的には、制御回路50Dは、電圧V11”が正の電圧値からなるとき(=電圧検出部513の下側の端子に入力される電圧が上側の端子に入力される電圧よりも高い場合)、二次電池セル群212に流れている電流の方向が放電方向であると判定する。一方、制御回路50Dは、電圧V11”が負の電圧値からなるとき(=電圧検出部513の下側の端子に入力される電圧が上側の端子に入力される電圧よりも低い場合)、二次電池セル群212に流れている電流の方向が充電方向であると判定する。
【0186】
そして、制御回路50Dは、二次電池セル群212に流れている電流の方向が充電方向であると判定したとき、電池サブユニット21Aが異常であると判定する。また、制御回路50Dは、二次電池セル群212に流れている電流の方向が放電方向であると判定したとき、電池サブユニット21Aが正常であると判定する。
【0187】
制御回路50Dは、同様にして、電圧V12”,V13”に基づいて、それぞれ電池サブユニット22A,23Aが異常であるか否かを判定する。
【0188】
制御回路50Dは、その他、制御回路50と同じ機能を果たす。
【0189】
図16は、図15に示す各電池サブユニット21A,22A,23Aに流れる電流の模式図である。
【0190】
図16を参照して、電池パック1Dの放電時、正常である電池サブユニット21A,23Aの各々は、プラス端子10およびマイナス端子11を介して電流を負荷へ流す。一方、電池サブユニット22Aが異常である場合、電流は、電池サブユニット22Aに流れ込む。即ち、電池サブユニット22Aが異常である場合、電池サブユニット22Aには、充電方向に電流が流れる。
【0191】
また、電池パック1Dの放電時、電池サブユニット21Aが異常であり、電池サブユニット22A,23Aが正常である場合、電池サブユニット22A,23Aの各々は、プラス端子10およびマイナス端子11を介して電流を負荷へ流し、電池サブユニット21Aには、充電方向に電流が流れる。
【0192】
更に、電池パック1Dの放電時、電池サブユニット23Aが異常であり、電池サブユニット21A,22Aが正常である場合、電池サブユニット21A,22Aの各々は、プラス端子10およびマイナス端子11を介して電流を負荷へ流し、電池サブユニット23Aには、充電方向に電流が流れる。
【0193】
従って、制御回路50Dは、電池パック1Dの放電時、各電池サブユニット21A,22A,23Aに流れる電流が充電方向であることを検出することによって、各電池サブユニット21A,22A,23Aが異常であることを検出できる。
【0194】
図17は、第3の実施の形態における異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0195】
図17を参照して、電池パック1Dにおける異常処理の動作が開始されると、制御回路50Dは、電圧検出部550から受けた電圧V4が正の電圧値であるか否かを判定することによって電池パック1Dが放電状態であるか否かを判定する(ステップS41)。
【0196】
ステップS41において、電池パック1Dが放電状態であると判定されると、制御回路50Dは、電池サブユニットの異常を検出したか否かを更に判定する(ステップS42)。
【0197】
ステップS42において、電池サブユニットの異常が検出されたと判定されたとき、制御回路50Dは、異常が発生した電池サブユニットの識別情報を記憶する(ステップS43)。そして、制御回路50Dは、異常が発生した電池サブユニット(電池サブユニット21A,22A,23Aの少なくとも1つ)のヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)に対応付けられたスイッチ(スイッチ431〜433の少なくとも1つ)をオンし、溶断セル41によってヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)に過電流を流してヒューズ(ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)を溶断する(ステップS44)。
【0198】
これによって、異常処理の動作が終了する。
【0199】
図18は、図17に示すステップS42,S43の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0200】
図18を参照して、図17に示すステップS41において、電池パック1Dが放電状態であると判定されると、制御回路50Dは、制御回路50と同じ方法によって、異常判定の対象となる電池サブユニットを決定する(ステップS421)。
【0201】
そして、制御回路50Dは、異常判定の対象となる電池サブユニットに含まれる抵抗(抵抗213,223,233のいずれか)の両端の電圧V(=電圧V11”,V12”,V13”のいずれか)を受ける。即ち、制御回路50Dは、異常判定の対象となる電池サブユニットに含まれる抵抗の両端の電圧Vを検出する(ステップS422)。
【0202】
その後、制御回路50Dは、電圧Vが正の電圧値からなるか否かを判定することによって、判定対象の電池サブユニットが異常であるか否かを判定する(ステップS423)。
【0203】
ステップS423において、判定対象の電池サブユニットが異常であると判定されたとき、制御回路50Dは、異常である電池サブユニットの識別情報を記憶する(ステップS424)。
【0204】
そして、ステップS423において、判定対象の電池サブユニットが異常でないと判定されたとき、またはステップS424の後、制御回路50Dは、全ての電池サブユニット21A,22A,23Aについて、異常判定が終了したか否かを判定する(ステップS425)。
【0205】
ステップS425において、全ての電池サブユニット21A,22A,23Aについて、異常判定が終了していないと判定されたとき、制御回路50Dは、次の判定対象となる電池サブユニットを決定する(ステップS426)。その後、異常処理の動作は、ステップS422に移行し、ステップS425において、全ての電池サブユニット21A,22A,23Aについて、異常判定が終了したと判定されるまで、ステップS422〜ステップS426が繰返し実行される。
【0206】
そして、ステップS425において、全ての電池サブユニット21A,22A,23Aについて、異常判定が終了したと判定されると、異常処理の動作は、図17に示すステップS44へ移行する。
【0207】
上述したように、第3の実施の形態においては、制御回路50Dは、電池パック1Dの放電状態において、各電池サブユニット21A,22A,23Aに流れる電流が充電方向であることを検出することによって、異常である電池サブユニットを検出する。
【0208】
そして、制御回路50Dは、異常である電池サブユニットのヒューズに溶断セル41によって過電流を流し、異常である電池サブユニットのヒューズを溶断する。その結果、異常である電池サブユニットは、電力を負荷に供給せず、正常である電池サブユニットのみが電力を負荷に供給する。
【0209】
従って、電力を負荷に安定して供給できる。
【0210】
電池パック1Dにおける異常処理の動作が行なわれると、異常である電池サブユニットに含まれるヒューズの溶断を確認する動作が図7に示すフローチャートに従って実行される。
【0211】
なお、第3の実施の形態においては、制御回路50Dは、電池パック1Dが負荷に電力を供給しておらず、かつ、電池パック1Dが充電されていない時に、上述した方法によって、異常である電池サブユニットを検出し、異常である電池サブユニットのヒューズを溶断してもよい。この場合、制御回路50Dは、電圧検出部550から受けた電圧V4が約0Vであるとき、電池パック1Dが負荷に電力を供給しておらず、かつ、電池パック1Dが充電されていないと判定する。
【0212】
電池サブユニット21A,22A,23Aのうち、例えば、電池サブユニット22Aが異常である場合、二次電池セル群222の両端の電圧V12は、二次電池セル群212,232の両端の電圧V11,V13よりも低くなるので、電池サブユニット22Aには、充電方向に電流が流れ、電池サブユニット21A,23Aには、放電方向に電流が流れる。
【0213】
従って、電池パック1Dが負荷に電力を供給しておらず、かつ、電池パック1Dが充電されていない時も、図17に示すフローチャートに従って異常処理を実行することが可能である。
【0214】
また、第3の実施の形態においては、上述した電池パック1から電池パック1Aへの変更と同じ変更を電池パック1Dに対して施してもよい。この場合、電池パック1Dは、電圧検出部540Aおよび温度センサー541Aを更に備える。
【0215】
第3の実施の形態におけるその他の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0216】
[第4の実施の形態]
図19は、第4の実施の形態による電池パック1Eの回路構成を示す回路図である。図19を参照して、第4の実施の形態による電池パック1Eは、図1に示す電池パック1の電池ユニット装置2を電池ユニット装置2Eに代え、電圧検出部510,520,530をそれぞれ温度センサー514,524,534に代えたものであり、その他は、電池パック1と同じである。
【0217】
電池ユニット装置2Eは、図1に示す電池ユニット装置2の制御回路50を制御回路50Eに代えたものであり、その他は、電池ユニット装置2と同じである。
【0218】
温度センサー514は、二次電池セル群212の近傍に配置される。温度センサー524は、二次電池セル群222の近傍に配置される。温度センサー534は、二次電池セル群232の近傍に配置される。
【0219】
温度センサー514は、二次電池セル群212の温度T11を検出し、その検出した温度T11を制御回路50Eへ出力する。
【0220】
温度センサー524は、二次電池セル群222の温度T12を検出し、その検出した温度T12を制御回路50Eへ出力する。
【0221】
温度センサー534は、二次電池セル群232の温度T13を検出し、その検出した温度T13を制御回路50Eへ出力する。
【0222】
制御回路50Eは、温度センサー514,524,534からそれぞれ温度T11,T12,T13を受ける。
【0223】
そして、制御回路50Eは、温度T11が70℃よりも低いとき、電池サブユニット21が正常であると判定する。また、制御回路50Eは、温度T11が70℃以上であるとき、電池サブユニット21が異常であると判定する。
【0224】
制御回路50Eは、電池サブユニット21が異常であると判定すると、電池サブユニット21の識別情報に対応するスイッチ431をオンし、溶断セル41によってヒューズ211に過電流を流す。これによって、ヒューズ211が溶断される。
【0225】
制御回路50Eは、同様にして、温度T12に基づいて、電池サブユニット22が異常であるか否かを判定し、電池サブユニット22が異常であるとき、スイッチ432をオンして溶断セル41によってヒューズ221を溶断する。
【0226】
また、制御回路50Eは、同様にして、温度T13に基づいて、電池サブユニット23が異常であるか否かを判定し、電池サブユニット23が異常であるとき、スイッチ433をオンして溶断セル41によってヒューズ231を溶断する。
【0227】
制御回路50Eは、その他、制御回路50と同じ機能を果たす。
【0228】
このように、第4の実施の形態においては、制御回路50Eは、二次電池セル群212,222,232の温度T11,T12,T13に基づいて、それぞれ、電池サブユニット21,22,23が異常であるか否かを判定し、電池サブユニット21,22,23が異常であるとき、電池サブユニット21,22,23のヒューズ211,221,231を溶断セル41によって溶断する異常処理を実行する。
【0229】
そして、電池パック1Eにおいては、電池パック1Eの放電時、充電時および不使用時を問わず、一定時間毎に、二次電池セル群212,222,232の温度T11,T12,T13が70℃以上であるか否かを判定することによって、異常である電池サブユニットを検出し、その検出した電池サブユニットのヒューズを溶断セル41によって溶断する異常処理が実行される。
【0230】
なお、第4の実施の形態においては、好ましくは、充電開始時または放電末期時に電池パック1Eの異常処理を実行するようにしてもよい。この場合、電池パック1Eは、電圧検出部510,520,530を更に備え、制御回路50Eは、電圧検出部510,520,530からそれぞれ受ける電圧V11,V12,V13に基づいて、上述した方法によって、二次電池セル群212,222,232が充電開始時であるか、または放電末期時であるかを判定する。
【0231】
電池パック1Eにおける異常処理が図4〜図6に示すフローチャートに従って充電開始時に実行される場合、制御回路50Eは、図4に示すステップS1において、温度センサー514,524,534から受けた温度T11,T12,T13が70℃以上であるか否かを判定することによって、電池サブユニット21,22,23の異常を検出する。
【0232】
また、電池パック1Eにおける異常処理が図8、図5および図9に示すフローチャートに従って放電末期時に実行される場合、制御回路50Eは、図8に示すステップS1において、温度センサー514,524,534から受けた温度T11,T12,T13が70℃以上であるか否かを判定することによって、電池サブユニット21,22,23の異常を検出する。
【0233】
上述したように、第4の実施の形態においては、制御回路50Eは、各電池サブユニット21,22,23の温度T11,T12,T13が70℃以上であることを検出することによって、異常である電池サブユニットを検出する。
【0234】
そして、制御回路50Eは、異常である電池サブユニットのヒューズに溶断セル41によって過電流を流し、異常である電池サブユニットのヒューズを溶断する。その結果、異常である電池サブユニットは、電力を負荷に供給せず、正常である電池サブユニットのみが電力を負荷に供給する。
【0235】
従って、電力を負荷に安定して供給できる。
【0236】
電池パック1Eにおける異常処理の動作が行なわれると、異常である電池サブユニットに含まれるヒューズの溶断を確認する動作が図7に示すフローチャートに従って実行される。
【0237】
なお、上記においては、電池サブユニット21〜23が異常であるか否かを判定する時の基準温度は、70℃であると説明したが、第4の実施の形態においては、これに限らず、70℃以外の値を用いて電池サブユニット21〜23が異常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0238】
また、第4の実施の形態においては、上述した電池パック1から電池パック1Aへの変更と同じ変更を電池パック1Eに対して施してもよい。この場合、電池パック1Eは、電圧検出部540Aおよび温度センサー541Aを更に備える。
【0239】
第4の実施の形態におけるその他の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0240】
[第5の実施の形態]
図20は、第5の実施の形態による電池パック1Fの回路構成を示す回路図である。図20を参照して、第5の実施の形態による電池パック1Fは、図1に示す電池パック1の電池ユニット装置2を電池ユニット装置2Fに代え、電圧検出部512,513,522,523,532,533および温度センサー514,524,534を追加したものであり、その他は、電池パック1と同じである。
【0241】
電池ユニット装置2Fは、図1に示す電池ユニット装置2の電池ユニット20を電池ユニット20Aに代え、制御回路50を制御回路50Fに代えたものであり、その他は、電池ユニット装置2と同じである。
【0242】
電池ユニット20Aは、図1に示す電池ユニット20の電池サブユニット21,22,23をそれぞれ電池サブユニット21A,22A,23Aに代えたものであり、その他は、電池ユニット20と同じである。
【0243】
電圧検出部512,522,532については、第2の実施の形態において説明したとおりである。また、電池サブユニット21A,22A,23Aおよび電圧検出部513,523,533については、第3の実施の形態において説明したとおりである。
【0244】
第1の実施の形態による異常処理を第1の異常処理とし、第2の実施の形態による異常処理及び第2の実施の形態の変形例による異常処理を第2の異常処理とし、第3の実施の形態による異常処理を第3の異常処理とし、第4の実施の形態による異常処理を第4の異常処理とする。
【0245】
表1は、充電時、放電時および不使用時における第1から第4の異常処理の実行可能性を示す。
【0246】
【表1】

【0247】
制御回路50Fは、表1に従って第1から第4の異常処理のうち、少なくとも2つを上述した方法によって実行する。より具体的には、制御回路50Fは、電池パック1Fの充電時、第1の異常処理、第2の異常処理および第4の異常処理のうち、少なくとも2つを上述した方法によって実行する。また、制御回路50Fは、電池パック1Fの放電時、第1から第4の異常処理のうち、少なくとも2つを上述した方法によって実行する。更に、制御回路50Fは、電池パック1Fの不使用時、第1から第4の異常処理のうち、少なくとも2つを上述した方法によって実行する。
【0248】
そして、制御回路50Fは、好ましくは、電池パック1Fの充電開始時に、第1の異常処理、第2の異常処理および第4の異常処理のうち、少なくとも2つを上述した方法によって実行する。また、制御回路50Fは、好ましくは、電池パック1Fの放電末期時、第1から第4の異常処理のうち、少なくとも2つを上述した方法によって実行する。
【0249】
第1の異常処理、第3の異常処理および第4の異常処理が実行される場合、制御回路50Fは、例えば、電圧検出部510から受けた電圧V11が電圧V12と電圧V13との平均値から閾値Vth2よりも大きくずれ、電池サブユニット21Aに流れる電池が充電方向であり、更に、温度T11が70℃以上であるとき、電池サブユニット21Aが異常であると判定する。電池サブユニット22A,23Aの各々が異常であるときも同様である。
【0250】
また、第1〜第4の異常処理のうちの他の複数の異常処理が実行される場合も、制御回路50Fは、同様にして、各電池サブユニット21A,22A,23Aが異常であるか否かを判定する。
【0251】
そして、電池パック1Fにおける異常処理の動作が行なわれると、異常である電池サブユニットに含まれるヒューズの溶断を確認する動作が図7に示すフローチャートに従って実行される。
【0252】
このように、第5の実施の形態においては、上述した第1から第4の異常処理のうちの少なくとも2つが実行される。その結果、異常である電池サブユニットを更に正確に判定でき、異常である電池サブユニットのヒューズを更に正確に溶断できる。そして、異常である電池サブユニットから負荷への電力の供給が更に正確に停止され、正常である電池サブユニットだけが更に安定して電力を負荷に供給する。
【0253】
従って、電力を負荷に更に安定して供給できる。
【0254】
なお、第5の実施の形態においては、上述した電池パック1から電池パック1Aへの変更と同じ変更を電池パック1Fに対して施してもよい。この場合、電池パック1Fは、電圧検出部540Aおよび温度センサー541Aを更に備える。
【0255】
第5の実施の形態におけるその他の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0256】
[応用例]
図21は、この発明の実施の形態による電池パックを備えた電池モジュール100の回路構成を示す回路図である。
【0257】
図21を参照して、電池モジュール100は、電池装置200と、スイッチ300と、抵抗400と、電圧検出部410,420と、電池モジュール制御回路500とを備える。
【0258】
電池装置200は、プラス端子10とマイナス端子11との間に接続される。スイッチ300は、プラス端子10と抵抗400との間に接続される。抵抗400は、電池装置200とスイッチ300との間に接続される。
【0259】
電圧検出部410は、抵抗400の両端に接続される。電圧検出部420は、スイッチ300と抵抗400との間のノードN1と、マイナス端子11との間に接続される。
【0260】
電池装置200は、電池パック501〜504を含む。電池パック501,502は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。電池パック503,504は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。直列に接続された電池パック501,502は、プラス端子10とマイナス端子11との間において、直列に接続された電池パック503,504と並列に接続される。そして、電池パック501〜504の各々は、図1に示す電池パック1からなる。
【0261】
このように、電池モジュール100においては、電池パック1は、2行×2列に配列される。
【0262】
電池モジュール100においては、電池パック501〜504の各々において、制御回路500は、電池パック501〜504に含まれる電池サブユニット21〜23のうち、少なくとも1個が異常であるとき、異常信号SABN1を電池モジュール制御回路500へ出力する。
【0263】
電圧検出部410は、抵抗400の両端の電圧V5を検出し、その検出した電圧V5を電池モジュール制御回路500へ出力する。電圧検出部420は、ノードN1とマイナス端子11との間の電圧V6を検出し、その検出した電圧V6を電池モジュール制御回路500へ出力する。
【0264】
電池モジュール制御回路500は、正常である電池装置200が負荷へ供給すべき電圧VNOMおよび電流INOMを保持している。また、電池モジュール制御回路500は、抵抗400の抵抗値を保持している。
【0265】
電池モジュール制御回路500は、各電池パック501〜504の制御回路50から異常信号SABN1を受ける。また、電池モジュール制御回路500は、電圧検出部410,420からそれぞれ電圧V5,V6を受ける。
【0266】
電池モジュール制御回路500は、電池パック501〜504から受けた異常信号SABN1の個数NABN1をカウントし、そのカウントした個数NABN1が閾値(例えば、1個)以上であるか否かを判定する。
【0267】
そして、電池モジュール制御回路500は、個数NABN1が閾値以上であると判定したとき、電池装置200が異常であると判定する。一方、電池モジュール制御回路500は、個数NABN1が閾値よりも小さいとき、電池装置200が正常であると判定する。
【0268】
また、電池モジュール制御回路500は、個数NABN1に基づいて、電池装置200が正常であると判定したとき、電圧検出部420から受けた電圧V6に基づいて電池装置200が異常であるか否かを判定する。より具体的には、電池モジュール制御回路500は、電圧VNOMと電圧V6との差の絶対値|VNOM−V6|を演算し、その演算した絶対値|VNOM−V6|が閾値Vth3以上であるとき、電池装置200が異常であると判定する。一方、電池モジュール制御回路500は、絶対値|VNOM−V6|が閾値Vth3よりも小さいとき、電池装置200が正常であると判定する。なお、閾値Vth3は、例えば、電圧VNOMの10%に設定される。
【0269】
更に、電池モジュール制御回路500は、電圧V6に基づいて、電池装置200が正常であると判定したとき、電圧V5に基づいて、負荷に供給される電流Iを演算し、その演算した電流Iに基づいて電池装置200が異常であるか否かを判定する。より具体的には、電池モジュール制御回路500は、電圧V5と、抵抗400の抵抗値とに基づいて、抵抗400を流れる電流Iを演算し、その演算した電流Iと、電流INOMとの差の絶対値|INOM−I|を演算する。そして、電池モジュール制御回路500は、その演算した絶対値|INOM−I|が閾値Ith1以上であるとき、電池装置200が異常であると判定する。一方、電池モジュール制御回路500は、絶対値|INOM−I|が閾値Ith1よりも小さいとき、電池装置200が正常であると判定する。なお、閾値Ith1は。例えば、電流INOMの10%に設定される。
【0270】
電池モジュール制御回路500は、電池装置200が異常であると判定すると、スイッチ300をオフする。
【0271】
図22は、図21に示す電池モジュール100における異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0272】
図22を参照して、電池モジュール100における異常処理の動作が開始されると、上述した方法によって、異常である電池パック(=電池パック501〜504の少なくとも1つ)に含まれる電池サブユニット(=電池サブユニット21〜23の少なくとも1つ)のヒューズ(=ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)が溶断される(ステップS51)。
【0273】
そして、電池モジュール制御回路500は、異常である電池パック(=電池パック501〜504の少なくとも1つ)の制御回路50から異常信号SABN1を受け、その受けた異常信号SABN1の個数NABN1をカウントする(ステップS52)。
【0274】
そして、電池モジュール制御回路500は、そのカウントした個数NABN1が1以上であるか否かを判定する(ステップS53)。
【0275】
ステップS53において、個数NABN1が1よりも小さいと判定されたとき、電池モジュール制御回路500は、電圧V6に基づいて、絶対値|VNOM−V6|を演算し(ステップS54)、その演算した絶対値|VNOM−V6|が閾値Vth3以上であるか否かを判定する(ステップS55)。
【0276】
ステップS55において、絶対値|VNOM−V6|が閾値Vth3よりも小さいと判定されたとき、電池モジュール制御回路500は、電圧V5に基づいて、絶対値|INOM−I|を演算し(ステップS56)、その演算した絶対値|INOM−I|が閾値Ith1以上であるか否かを判定する(ステップS57)。
【0277】
ステップS53において、個数NABN1が1以上であると判定されたとき、ステップS55において、絶対値|VNOM−V6|が閾値Vth3以上であると判定されたとき、およびステップS57において、絶対値|INOM−I|が閾値Ith1以上であると判定されたときのいずれかのとき、電池モジュール制御回路500は、スイッチ300をオフする(ステップS58)。
【0278】
そして、ステップS57において、絶対値|INOM−I|が閾値Ith1よりも小さいと判定されたとき、またはステップS58の後、電池モジュール100における異常処理の動作が終了する。
【0279】
そして、電池モジュール100における異常処理が終了した後、異常である電池パック(=電池パック501〜504の少なくとも1つ)においては、ヒューズの溶断を確認する動作が図7に示すフローチャートに従って行なわれる。
【0280】
上述したように、電池モジュール100においては、各電池パック501〜504において異常である電池サブユニットのヒューズが溶断されるとともに、電池モジュール制御回路500は、電池装置200が異常であるか否かを判定し、電池装置200が異常であると判定したとき、スイッチ300をオフする。その結果、電池装置200が正常である場合にのみ、電力が負荷に供給される。従って、電力を負荷に正確に供給できる。
【0281】
なお、電池モジュール100は、一般的に、p(pは2以上の整数)行×q(qは2以上の整数)列に配列された電池パック1を備えていればよい。
【0282】
また、電池モジュール100は、電池パック1に代えて、電池パック1A,1B,1D,1E,1Fのいずれかをp行×q列に配列した構成からなっていてもよい。
【0283】
更に、個数NABN1の閾値は、2以上の数からなっていてもよい。
【0284】
更に、電池モジュール100は、電池モジュール制御回路500を備えていなくてもよい。この場合、各電池パック501〜504の制御回路50が上述した電池モジュール制御回路500の機能を果たす。
【0285】
図23は、この発明の実施の形態による他の電池モジュール100Aの回路構成を示す回路図である。
【0286】
図23を参照して、電池モジュール100Aは、図21に示す電池モジュール100の電池装置200を電池装置200Aに代え、電池モジュール制御回路500を電池モジュール制御回路500Aに代え、溶断セル41、抵抗42、電圧検出部540、温度センサー541およびスイッチ551〜554を追加したものであり、その他は、電池モジュール100と同じである。
【0287】
電池装置200Aは、プラス端子10とマイナス端子11との間に接続される。そして、電池装置200Aは、電池ユニット装置505〜508を含む。電池ユニット装置505,506は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。電池ユニット装置507,508は、プラス端子10とマイナス端子11との間に直列に接続される。直列に接続された電池ユニット装置505,506は、プラス端子10とマイナス端子11との間において、直列に接続された電池ユニット装置507,508と並列に接続される。そして、電池ユニット装置505〜508の各々は、図1に示す電池ユニット装置2からなる。
【0288】
このように、電池モジュール100Aにおいては、電池ユニット装置2は、2行×2列に配列される。
【0289】
溶断セル41および抵抗42は、電池ユニット装置505〜508の各々と、マイナス端子11との間に直列に接続される。また、溶断セル41および抵抗42は、サブプラス端子12とマイナス端子11との間に直列に接続される。
【0290】
電圧検出部540および温度センサー541については、上述したとおりである。
【0291】
スイッチ551は、溶断セル41のプラス端子と電池ユニット装置505との間に接続される。スイッチ552は、溶断セル41のプラス端子と電池ユニット装置506との間に接続される。スイッチ553は、溶断セル41のプラス端子と電池ユニット装置507との間に接続される。スイッチ554は、溶断セル41のプラス端子と電池ユニット装置508との間に接続される。そして、スイッチ551〜554の各々は、上述した3個のスイッチ431〜433からなる。
【0292】
電池モジュール100Aにおいては、電池ユニット装置505〜508の各々において、制御回路50は、電池ユニット装置505〜508に含まれる電池サブユニット21〜23のうち、少なくとも1個が異常であるとき、異常である電池サブユニットを示す異常信号SABN2を電池モジュール制御回路500Aへ出力する。異常信号SABN2は、異常である電池ユニット装置(=電池ユニット装置505〜508のいずれか)と、異常である電池ユニット装置に含まれる電池サブユニット(=電池サブユニット21〜23の少なくとも1つ)とを示す。
【0293】
電池モジュール制御回路500Aは、各電池ユニット装置505〜508に含まれる電池サブユニット21〜23の識別情報ID21〜ID23とスイッチ431〜433との対応関係を保持している。
【0294】
電池モジュール制御回路500Aは、電池モジュール制御回路500と同じ方法によって電池装置200Aが異常であるか否かを判定する。この場合、電池モジュール制御回路500Aは、異常信号SABN2の個数NABN2をカウントし、そのカウントした個数NABN2が閾値(=1個)以上であるとき、電池装置200Aが異常であると判定する。
【0295】
また、電池モジュール制御回路500Aは、異常信号SABN2によって示された電池サブユニット(=電池サブユニット21〜23の少なくとも1つ)に接続されたスイッチ(=スイッチ431〜433の少なくとも1つ)をオンする。
【0296】
電池モジュール制御回路500Aは、その他、電池モジュール制御回路500と同じ機能を果たす。
【0297】
図24は、図23に示す電池モジュール100Aにおける異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0298】
図24に示すフローチャートは、図22に示すフローチャートのステップS51,S52,S53をそれぞれステップS51A,S52A,S53Aに代えたものであり、その他は、図22に示すフローチャートと同じである。
【0299】
図24を参照して、電池モジュール100Aにおける異常処理の動作が開始されると、異常である電池ユニット装置(=電池ユニット装置505〜508の少なくとも1つ)の制御回路50は、異常信号SABN2を電池モジュール制御回路500Aへ出力する。
【0300】
そして、電池モジュール制御回路500Aは、異常信号SABN2によって示された電池ユニット装置(=電池ユニット装置505〜508の少なくとも1つ)に含まれる電池サブユニット(=電池サブユニット21〜23の少なくとも1つ)の識別情報(=ID21〜ID23の少なくとも1つ)に対応付けられたスイッチ(=スイッチ431〜433の少なくとも1つ)をオンする。これによって、溶断セル41は、異常である電池ユニット装置(=電池ユニット装置505〜508の少なくとも1つ)に含まれる電池サブユニット(=電池サブユニット21〜23の少なくとも1つ)のヒューズ(=ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)に過電流を流し、ヒューズ(=ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)を溶断する。
【0301】
即ち、異常である電池ユニット装置(=電池ユニット装置505〜508の少なくとも1つ)に含まれる電池サブユニット(=電池サブユニット21〜23の少なくとも1つ)のヒューズ(=ヒューズ211,221,231の少なくとも1つ)が溶断される(ステップS51A)。
【0302】
そして、電池モジュール制御回路500Aは、異常信号SABN2の個数NABN2をカウントし(ステップS52A)、そのカウントした個数NABN2が1以上であるか否かを判定する(ステップS53A)。
【0303】
そして、ステップS53Aにおいて、個数NABN2が1よりも小さいと判定されたとき、異常処理の動作は、上述したステップS54へ移行する。そして、上述したステップS54〜ステップS57が順次実行される。
【0304】
一方、ステップS53Aにおいて、個数NABN2が1以上であると判定されたとき、ステップS55において、絶対値|VNOM−V6|が閾値Vth3以上であると判定されたとき、およびステップS57において、絶対値|INOM−I|が閾値Ith1以上であると判定されたときのいずれかのとき、電池モジュール制御回路500Aは、スイッチ300をオフする(ステップS58)。
【0305】
そして、ステップS57において、絶対値|INOM−I|が閾値Ith1よりも小さいと判定されたとき、またはステップS58の後、電池モジュール100Aにおける異常処理の動作が終了する。
【0306】
そして、電池モジュール100Aにおける異常処理が終了した後、異常である電池ユニット装置(=電池ユニット装置505〜508の少なくとも1つ)においては、ヒューズの溶断を確認する動作が図7に示すフローチャートに従って行なわれる。
【0307】
上述したように、電池モジュール100Aにおいては、各電池ユニット装置505〜508において異常である電池サブユニットのヒューズが溶断されるとともに、電池モジュール制御回路500Aは、電池装置200Aが異常であるか否かを判定し、電池装置200Aが異常であると判定したとき、スイッチ300をオフする。その結果、電池装置200Aが正常である場合にのみ、電力が負荷に供給される。従って、電力を負荷に正確に供給できる。
【0308】
なお、電池モジュール100Aは、一般的に、p行×q列に配列された電池ユニット装置2を備えていればよい。
【0309】
また、電池モジュール100Aは、電池ユニット装置2に代えて、電池ユニット装置2A,2B,2C,2D,2E,2Fのいずれかをp行×q列に配列した構成からなっていてもよい。
【0310】
更に、個数NABN2の閾値は、2以上の数からなっていてもよい。
【0311】
更に、電池モジュール100Aは、電池モジュール制御回路500Aを備えていなくてもよい。この場合、各電池ユニット装置505〜508の制御回路50が上述した電池モジュール制御回路500Aの機能を果たす。
【0312】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0313】
この発明は、電池パックおよび電池モジュールに適用される。
【符号の説明】
【0314】
1,1A,1B,1C,1D,1F,501〜504 電池パック、2,2A,2B,2C,2D,2E,2F,505〜508 電池ユニット装置、4,4A 溶断手段、10 プラス端子、11 マイナス端子、12 サブプラス端子、20,20A 電池ユニット、21〜23,21A〜23A 電池サブユニット、41,41A 溶断セル、42,42A,400,543 抵抗、50,50A,50B,50C,50D,50E,50F 制御回路、100,100A 電池モジュール、200,200A 電池装置、211,221,231 ヒューズ、212,222,232 二次電池セル群、300,431〜433,551〜554 スイッチ、20,410,420,510,511,513,520,521,523,530,531,533,540,540A,550,560 電圧検出部、500,500A 電池モジュール制御回路、514,524,534,541,541A 温度センサー、2121〜2124,2221〜2224,2321〜2324 二次電池セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズと、前記ヒューズに直列に接続された二次電池セルとを含む電池サブユニットを複数個並列に接続した電池ユニットと、前記各電池サブユニットが異常であるか否かを判定する制御回路とを有する電池ユニット装置と、
二次電池セルまたはキャパシタで構成され、前記制御回路が異常であると判定した電池サブユニットのヒューズに、過電流を流すことにより、前記ヒューズを溶断する溶断セルとを備える、電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記制御回路は、前記各電池サブユニットの二次電池セルの電圧を検出し、前記電圧を、他の電池サブユニットの二次電池セルの電圧を示す比較対象電圧と比較し、前記電圧と、前記比較対象電圧との差の絶対値が第1の閾値よりも大きい場合に前記電池サブユニットが異常であると判定する第1の処理を実行する、電池パック。
【請求項3】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記電池サブユニットは、直列に接続されたm(mは2以上の整数)個の二次電池セルを含み、
前記制御回路は、前記m個の二次電池セルのうちのn(1≦n<m)個の二次電池セルの両端間の電圧Vと、前記m個の二次電池セルの両端間の電圧Vとを検出し、前記電圧Vと、(n/m)×Vで示される電圧との差の絶対値が第2の閾値よりも大きい場合に前記電池サブユニットが異常であると判定する第2の処理を実行する、電池パック。
【請求項4】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記電池サブユニットは、直列に接続されたm(mは2以上の整数)個の二次電池セルを含み、
前記制御回路は、前記m個の二次電池セルのうちのn(1≦n<m)個の二次電池セルの両端間の電圧Vと、前記並列に接続された電池サブユニットの両端の電圧Vとを検出し、前記電圧Vと、(n/m)×Vで示される電圧との差の絶対値が第3の閾値よりも大きい場合に前記電池サブユニットが異常であると判定する第3の処理を実行する、電池パック。
【請求項5】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記制御回路は、前記電池サブユニット内に流れる電流を検出し、前記電池ユニットの放電時において、前記電流が充電方向に流れている電池サブユニットを異常であると判定する第4の処理を実行する、電池パック。
【請求項6】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記制御回路は、前記電池サブユニット内に流れる電流を検出し、前記電池ユニットの充電時及び放電時でない時において、前記電流が充電方向に流れている電池サブユニットを異常であると判定する第5の処理を実行する、電池パック。
【請求項7】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記制御回路は、前記電池サブユニットの二次電池セルの温度を検出し、前記温度が所定範囲外である場合に前記電池サブユニットを異常であると判定する第6の処理を実行する、電池パック。
【請求項8】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記制御回路は、前記第1〜6の処理のうち少なくとも2つの処理を実行する、電池パック。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電池パックであって、
前記溶断セルは、複数個並列に設けられる、電池パック。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池パックであって、
前記制御回路は、更に、前記ヒューズに過電流が流された場合、前記ヒューズが溶断されたか否かを確認する、電池パック。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の電池パックであって、
前記溶断セルのプラス端子と、前記各電池サブユニットのヒューズの前記二次電池セル側の端子との間に接続されたスイッチを更に備える、電池パック。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池パックであって、
前記溶断セルは、前記制御回路において、前記電池サブユニットが異常であると判定された場合、前記電池ユニットの充電開始時に、異常であると判定された電池サブユニットのヒューズに過電流を流す、電池パック。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池パックであって、
前記溶断セルは、前記制御回路において、前記電池サブユニットが異常であると判定された場合、前記放電時において、時間に対する電圧の変化量が閾値以上であるときに、異常であると判定された電池サブユニットのヒューズに過電流を流す、電池パック。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の電池パックであって、
前記制御回路において、前記電池サブユニットが異常であると判定された場合、前記異常であると判定された電池サブユニット内の二次電池セルに直列に接続される非常用セルを更に備える、電池パック。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の電池パックを、p(2以上の整数)行×q(2以上の整数)列に配列したp×q個の電池パックと、
前記p×q個の電池パックと、負荷との間に接続された負荷スイッチとを備え、
前記負荷スイッチは、前記p×q個の電池パックのうち少なくとも1つが異常であると判定された場合、オフされる、電池モジュール。
【請求項16】
請求項15に記載の電池モジュールであって、
前記p×q個の電池パックのうち少なくとも1つが異常であると判定された場合、又は、前記負荷に供給される電圧又は電流が第4の閾値以上変化した場合、前記負荷スイッチをオフする電池モジュール制御回路を更に備える、電池モジュール。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の電池ユニット装置を、p(2以上の整数)行×q(2以上の整数)列に配列したp×q個の電池ユニット装置と、
前記各制御回路が異常であると判定した電池サブユニットのヒューズに、過電流を流すことにより、前記ヒューズを溶断する溶断手段と、
前記p×q個の電池ユニット装置と、負荷との間に接続された負荷スイッチとを備え、
前記負荷スイッチは、前記p×q個の電池ユニット装置のうち少なくとも1つが異常であると判定された場合、オフされる、電池モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載の電池モジュールであって、
前記p×q個の電池ユニット装置のうち少なくとも1つが異常であると判定された場合、又は、前記負荷に供給される電圧又は電流が第5の閾値以上変化した場合、前記負荷スイッチをオフする電池モジュール制御回路を更に備える、電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−119249(P2012−119249A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269984(P2010−269984)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(511084555)日立マクセルエナジー株式会社 (212)
【Fターム(参考)】