説明

電池パック

【課題】薄型電池を外装ケースから抜けないようにしっかりと保持しながら、全体を薄く、軽くし、さらに能率よく組み立てして安価に多量生産する。
【解決手段】電池パックは、電池コア20を外装ケース1に収納している。外装ケース1は、薄型電池2の片面をカバーする表面プレート13と四角形の枠体14とからなる箱形に一体的に成形している。外装ケース1は、枠体14のひとつを連結枠14Aとして、この連結枠14Aの電極窓7から電池コア20の出力端子8を表出させている。連結枠14Aは、表面プレート13と反対側の側縁に沿ってひさし16を一体的に成形して、ひさし16と表面プレート13との間に嵌入溝17を設けており、この嵌入溝17に電池コア20を入れて定位置に配置している。電池パックは、薄型電池2の表面と枠体14に絶縁シート4を接着して、絶縁シート4で外装ケース1の開口部15を閉塞している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型電池を外装ケースに収納している電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
薄型電池の電池パックは、種々の携帯用の電気機器に装着されて便利に使用される。とくに、携帯電話やPDA等のように、全体を薄くする必要がある電気機器に最適な形状である。この形状の電池パックは、薄型電池を薄くしないかぎり、全体を薄くできないので、いかにして薄型電池を薄くできるかの研究がなされている。現在、極めて薄い薄型電池としてポリマー電池が開発されている。ポリマー電池は、アルミのラミネートフィルムを外装に使用するので全体を極めて薄くできる。さらに、外装缶に鉄やアルミニウムを使用するリチウムイオン二次電池の薄型電池も開発されている。
【0003】
現在開発されているポリマー電池やリチウムイオン二次電池等の薄型電池は、すでに相当に薄く設計されている。さらに、これらの薄型電池は、充電容量を減少させることなく、より薄くするための研究も行われている。また、薄型電池を内蔵する電池パックにおいても、全体を薄くするための設計が行われている。とくに、携帯用の電気機器のように、より薄くすることが要求される機器に装着される電池パックは、さらに薄く設計することが要求されている。このため、薄型電池の充電容量を減少させることなく、電池パックを薄く設計することは極めて重要であり、このことを実現できる電池パックが求められている。
【0004】
このことを実現することを目的として、本出願人は、薄型電池の外周に、両面を開口部とする外装ケースを固定し、この外装ケースを絶縁シートで薄型電池に固定する電池パックを開発した(特許文献1参照)。
【0005】
この公報に記載する電池パックを図1の分解斜視図に示す。この電池パックは、プラスチックを四角形の枠形に成形している外装ケース31に、薄型電池32を装着して、薄型電池32の表面に絶縁シート34を接着している。さらに電池パックは、外装ケース31に、薄型電池32の表裏面を外部に表出させる開口部33を設けて、薄型電池32の両側面と両端面とをカバーする方形枠形に成形している。外装ケース31は、その厚さを薄型電池32の厚さに等しく、あるいは外装ケース31を薄型電池32よりも薄くしている。さらに、外装ケース31を、薄型電池32の表裏面に、第1ケース31Aと第2ケース31Bに分割している。第1ケース31Aと第2ケース31Bは、薄型電池32の側面をカバーする側面ケース部31aと、薄型電池32の端面をカバーする端部ケース部31bとで方形枠形に成形して、側面ケース部31aの外側コーナー部を湾曲面としている。第1ケース31Aと第2ケース31Bの側面ケース部31aの外側面の表面に絶縁シート34を接着して、第1ケース31Aと第2ケース31Bとを連結している。
【0006】
図1に示す電池パックは、全体の厚さを薄型電池にほぼ等しくするまで薄くできる。しかしながら、この構造の電池パックは、薄型電池の外周に固定する外装ケースを厚さ方向に2分割するので、外装ケースの製造と組み立てに手間がかかり、しかも充分な強度とするのが難しい欠点があった。
【0007】
また、この構造の電池パックは、外装ケースの両面の開口部を絶縁シートで閉塞するので、薄型電池の両面を充分な強度とするのが難しい。この欠点を解消する電池パックとして、本出願人は、枠体の両面を金属プレートで閉塞する電池パックと、片面を金属プレートで閉塞して、他方の面を枠体に一体的に成形したプラスチックプレートで閉塞する電池パックを開発した(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−273174号公報
【特許文献2】特開2004−273371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載される電池パックは、枠体の両面を金属プレートやプラスチックプレートでカバーするので、薄型電池の両面を強靭な構造にできる。しかしながら、この構造の電池パックは重くなる欠点がある。
【0009】
本発明者は、枠体の片面を枠体のプラスチックと一体的に成形しているプラスチックプレートで閉塞して片面を開口し、開口部を絶縁シートで閉塞して全体の重量を軽くする電池パックを開発した。この電池パックは、薄型電池の片面をプラスチックプレートで、他の片面を絶縁シートでカバーするので、全体を軽くできる。しかしなから、この構造の電池パックは、使用状態において、薄型電池と外装ケースとの位置ずれを阻止するのが難しく、また薄型電池を外装ケースから抜けないように保持するのも難しい欠点がある。
【0010】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、薄型電池を外装ケースから抜けないようにしっかりと保持しながら、全体を薄く、軽くでき、さらに能率よく組み立てして安価に多量生産できる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電池パックは、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
電池パックは、電池の厚さが幅よりも薄い薄型電池2と、この薄型電池2の正負の電極を外部に取り出す出力端子8とを備えてなる電池コア20を外装ケース1に収納している。外装ケース1はプラスチック製で、薄型電池2の片面をカバーする四角形の表面プレート13の周囲に、電池コア20の外周を囲む四角形の枠体14を一体的に成形して設けて、表面プレート13と枠体14とからなる箱形の外装ケース1に電池コア20を収納している。さらに、外装ケース1は、枠体14のひとつを電極窓7を設けている連結枠14Aとして、電池コア20の出力端子8を電極窓7から外部に表出させている。この連結枠14Aは、表面プレート13を連結している側縁の反対側の側縁に沿ってひさし16を一体的に成形して設けている。外装ケースは、ひさし16と表面プレート13との間に、電池コア20の出力端子8側の端部を嵌入する嵌入溝17を設けて、嵌入溝17に電池コア20を入れて、電池コア20の出力端子8を定位置に配置している。さらに、電池パックは、枠体14の開口部15を閉塞するように、薄型電池2の表面と枠体14に絶縁シート4を接着して、絶縁シート4でもって、外装ケース1の開口部15を閉塞している。
【0012】
本発明の電池パックは、出力端子8を固定している回路基板6を薄型電池2に連結して電池コア20とすることができる。この電池コア20は、回路基板6と薄型電池2との間に基板ホルダー5を配設することができる。
【0013】
さらに、本発明の電池パックは、基板ホルダー5とひさし16とを嵌合形状で連結して電池コア20を定位置に配置することができる。基板ホルダー5とひさし16の嵌合構造は、基板ホルダー5に設けた嵌着凸部18と、ひさし16に設けられて嵌着凸部18を案内する嵌着凹部19とすることができる。
【0014】
さらに、本発明の電池パックは、回路基板6と基板ホルダー5を嵌着構造として、回路基板6を基板ホルダー5の定位置に連結することができる。さらに、本発明の電池パックは、薄型電池2の外装缶を金属ケースとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電池パックは、使用状態において、薄型電池と外装ケースとの位置ずれを阻止できると共に、薄型電池を外装ケースから抜けないようにしっかりと保持できる特長がある。それは、本発明の電池パックが、電池コアを収納する外装ケースを、表面プレートと枠体とからなる箱形に一体的に成形すると共に、枠体のひとつを出力端子を表出させる連結枠としており、この連結枠の側縁であって、表面プレートと反対側の側縁に沿ってひさしを一体的に成形して設けて、ひさしと表面プレートとの間に設けた嵌入溝に電池コアを嵌入して定位置に配置しているからである。この構造の電池パックは、外装ケースに設けた嵌入溝に電池コアを嵌入する状態で配置するので、薄型電池と外装ケースとの位置ずれを阻止しながら定位置に保持して、薄型電池を外装ケースから抜け難くできる。
【0016】
とくに、本発明の電池パックは、電極窓を設けた連結枠に嵌入溝を設けて電池コアを嵌入するので、電池コアの出力端子を外装ケースの定位置にしっかりと保持できる特長もある。この構造の電池パックは、簡単かつ容易に、出力端子を外装ケースの定位置に配置できるので、電池パックの組み立ての能率を向上して安価に多量生産できる特長が実現できる。
【0017】
さらに、本発明の電池パックは、外装ケースの嵌入溝に電池コアを嵌入して定位置に保持しながら、薄型電池の表面と枠体に絶縁シートを接着して、絶縁シートで外装ケースの開口部を閉塞するので、薄型電池を外装ケースから抜けないようにしっかりと保持しながら、全体を薄くして、軽くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
図2ないし図6に示す電池パックは、薄型電池2と、この薄型電池2の正負の電極を外部に取り出す出力端子8とを備える電池コア20を外装ケースに収納している。薄型電池2は、厚さ(t)が幅(W)よりも薄く、外周の形状を四角形とする二次電池である。本明細書において、薄型電池の外周とは、薄型電池の最大面である表裏面の外周を意味するものとする。また、薄型電池の表裏面とは、図4において上下方向である厚さ方向から見える面であって、図4において、幅(W)と長さ(L)とで構成される最大面とする。さらに、薄型電池の片面とは、最大面である表裏面の一方の面と意味するものとする。さらにまた、電池コアの外周とは、薄型電池に出力端子が連結された電池コアの最大面である表裏面の外周を意味するものとする。
【0021】
薄型電池2は、リチウムイオン電池、又はポリマー電池である。ポリマー電池はリチウムポリマー電池である。ただ、本発明は、薄型電池をリチウムイオン電池やポリマー電池に特定しない。薄型電池には、これ等の電池以外の電池、たとえばニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池とすることもできる。
【0022】
外装ケース1は、全体をプラスチックで一体的に成形して製作される。プラスチックは、ガラス繊維やカーボン繊維等の繊維を埋設して補強しているプラスチック、たとえばPPS(ポリフェニレンサルファイト)が適している。PPSは、極めて優れた強度を有する。また、PPSは、繊維で補強して衝撃強度も向上できる。さらに、PPSは、難燃性に優れているので、例えば、外装ケースの材質にPPSを使用した場合、板厚を0.4mmまで薄くしても、UL規格等で定められている難燃性に関する基準を満たすことができる。これに対して、ポリカーボネートでは、この基準を満たすためには、0.8mm以上の板厚が必要となる。したがって、PPSは、難燃性を保ちながら、外装ケースを薄くすることができ、その分、パック電池の小型化を図ることができる。ただし、外装ケースのプラスチックは、ポリカーボネート等のプラスチックも使用できるので、プラスチックをPPSには特定しない。
【0023】
薄型電池2は、電池コア20の状態で外装ケース1に収納される。電池コア20は、回路基板6と基板ホルダー5と薄型電池2とを備える。電池コア20は、基板ホルダー5を介して回路基板6を薄型電池2に連結したものである。電池コア20は、回路基板6に出力端子8を固定している。出力端子8は、外装ケース1に設けた電極窓7から外部に表出される。
【0024】
電池コア20は、回路基板6と薄型電池2との間に基板ホルダー5を配置している。基板ホルダー5は、プラスチック等の絶縁材を一体的に成形したものである。回路基板6は、表面に出力端子8を固定している。また、回路基板6は電池の保護回路(図示せず)を実装している。保護回路は、薄型電池2の過電流を保護する回路やPTC、あるいは薄型電池2の過充電や過放電を防止する回路である。図の電池パックは、保護素子11であるPTCを一方の接続リード9として、回路基板6を薄型電池2に接続しているが、PTCや温度ヒューズ等の保護素子を回路基板に実装して、回路基板の両端をリード板で薄型電池に連結することができる。また、電池パックは、保護素子をPTCに代わって温度ヒューズとし、一方の接続リードを温度ヒューズとして、回路基板を薄型電池に連結することもできる。
【0025】
基板ホルダー5は、回路基板6と薄型電池2とに挟着される。基板ホルダー5は、一方の面に回路基板6を連結して、他方の面を薄型電池2の凸部電極面2Aに連結している。基板ホルダー5は、回路基板6を連結する側では、一方の側縁に沿って位置決壁5Aを設けており、この位置決壁5Aに沿って回路基板6を配設している。基板ホルダー5の薄型電池2を連結する側は、薄型電池2の凸部電極2aを案内する凹部5Bを設けている。
【0026】
図の電池パックは、回路基板6の両端を、接続リード9を介して薄型電池2の正負の電極に連結して、接続リード9を介して回路基板6を薄型電池2に連結している。図の電池パックは、一方の接続リード9を保護素子11として、薄型電池2の凸部電極2aに接続し、他方の接続リード9をリード板10として封口板2bに接続している。図の電池パックは、一方の接続リード9を保護素子11とするが、両方の接続リードをリード板とすることもできる。
【0027】
凸部電極2aに接続される接続リード9は、封口板2bから絶縁する必要がある。それは、封口板2bと凸部電極2aとが異なる電極となるからである。薄型電池2であるリチウムイオン二次電池は、凸部電極2aを負極、封口板2bと外装缶を正極としている。薄型電池2の外装缶は、金属ケースとすることができる。図の電池パックは、凸部電極2aに接続される接続リード9を保護素子11とするので、凸部電極2aに接続される接続リード9である保護素子11と封口板2bとの間に絶縁板12を配設して、接続リード9と封口板2bとを絶縁している。絶縁板12は接着され、あるいは両面接着テープを介して薄型電池2の端面に固定されて、凸部電極2aに接続される接続リード9を封口板2bから絶縁する。接続リード9は、抵抗スポット溶接やレーザー溶接して薄型電池2の電極に接続される。また、抵抗スポット溶接やレーザー溶接し、あるいは半田付けして回路基板6に接続される。
【0028】
回路基板6は、基板ホルダー5の定位置に嵌着構造で連結される。図に示す基板ホルダー5は、一方の側縁に沿って位置決壁5Aを設けると共に、中央部分には垂直方向に突出して位置決凸部5Cを設けており、この位置決壁5Aと位置決凸部5Cに回路基板6を当接させる状態で配置して、回路基板6を基板ホルダー5の定位置に連結している。基板ホルダー5は、回路基板6の側面を位置決壁5Aの内面に当接させて回路基板6の長手方向に直交する横方向を位置決めし、さらに、回路基板6の端面を位置決凸部5Cに当接させて長手方向を位置決めしている。さらに、回路基板6は、両端に連結している接続リード9を介して、基板ホルダー5から外れないように連結している。図4の基板ホルダー5は、この図において右端面に、回路基板6に連結するリード板10を案内するリード溝5Dを設け、このリード溝5Dにリード板10を案内している。さらに、基板ホルダー5は、回路基板6の表面に垂直な方向に回路基板6がずれるのを阻止するために、位置決壁5Aの内面と、位置決壁5Aに対向する側縁とに、回路基板6の裏面を当接させる載置部5Eを設けている。この載置部5Eは、位置決壁5Aよりも低く成形している。回路基板6は、裏面を基板ホルダー5の載置部5Eに接触させて、垂直な方向へのずれが阻止される。以上の嵌着構造は、回路基板6を基板ホルダー5の定位置に位置ずれしないように連結する。ただ、回路基板と基板ホルダーは、嵌合構造や係止構造で互いに定位置に連結することもできる。
【0029】
回路基板6は基板ホルダー5の定位置に連結される状態で、接続リード9を介して薄型電池2に連結される。回路基板6が薄型電池2に連結されると、基板ホルダー5は回路基板6と薄型電池2に挟着されて、定位置に配置される。以上の電池コア20は、基板ホルダー5と回路基板6とを互いに定位置に連結して、接続リード9を介して回路基板6を薄型電池2に連結するので、回路基板6と基板ホルダー5と薄型電池2を互いに相対位置がずれないように連結できる。
【0030】
外装ケース1はプラスチック製で、薄型電池2の片面をカバーする四角形の表面プレート13の周囲に、電池コア20の外周を囲む四角形の枠体14を一体的に成形して設けている。外装ケース1は、表面プレート13と枠体14とで箱形となり、この外装ケース1に電池コア20を収納している。表面プレート13は、電池コア20の薄型電池2の片面をカバーする。外装ケース1は、電池コア20の薄型電池2の表裏面をカバーしない。表面プレート13でカバーされない面は枠体14の開口部15にあって、絶縁シート4でカバーされる。
【0031】
四角形の枠体14は4つの辺で構成される。4つの辺のひとつは連結枠14Aで、連結枠14Aには電極窓7を設けている。電極窓7は、電池パックの出力端子8を外部に表出させる。したがって、電極窓7の内側には出力端子8を配設する。出力端子8は回路基板6に固定されて、電極窓7の内側に配置される。
【0032】
連結枠14Aは、ひさし16を一体的に成形して設けている。ひさし16は、表面プレート13を連結して設けている側縁の反対側の側縁、図3において上縁に沿って設けられる。連結枠14Aは、ひさし16と表面プレート13との間に、電池コア20の出力端子8側の端部を嵌入する嵌入溝17を設けている。嵌入溝17に電池コア20を入れて、外装ケース1の定位置に配置している。この状態で、外装ケース1に配置された電池コア20は、回路基板6を定位置に配置して、回路基板6に固定している出力端子8を電極窓7の内側の定位置に配置する。
【0033】
図6の断面図とその一部拡大図である図7に示す電池パックは、電池コア20の基板ホルダー5と回路基板6を嵌入溝17に入れて、電池コア20を外装ケース1の定位置に配置している。ただし、本発明の電池パックは、図示しないが、電池コアの回路基板と基板ホルダーと薄型電池の一部を嵌入溝に入れて、外装ケースの定位置に配置することもできる。
【0034】
図6と図7の断面図に示す電池パックは、電池コア20の回路基板6と基板ホルダー5を、連結枠14Aの嵌入溝17に入れて、電池コア20を外装ケース1の定位置に配置する。この連結枠14Aは、ひさし16の幅を、開口端縁が封口板2bに当接する幅としている。この電池パックは、ひさし16の外側面を薄型電池2の表面と同一平面として、連結枠14Aが薄型電池2の表面から突出しない幅としている。電池パックは、枠体14のすべての部分を、薄型電池2の表面から突出しない幅として、全体を薄くできる。外装ケース1と電池コア20の嵌合形状は、図7の拡大断面図に示すように、基板ホルダー5の両側に突出して設けている嵌着凸部18と、外装ケース1の連結枠14Aの表面プレート13とひさし16に設けている嵌着凹部19からなる。図の外装ケース1は、表面プレート13とひさし16の両方に嵌着凹部19を設けている。表面プレート13とひさし16の嵌着凹部19は、基板ホルダー5を外装ケース1の連結枠14Aの嵌入溝17に入れて定位置に配置する状態で、嵌着凸部18を入れる位置に設けている。図の外装ケース1の嵌着凹部19は、表面プレート13とひさし16に設けた嵌着穴である。
【0035】
嵌着凸部18は、電池コア20を嵌入溝17に挿入して、嵌着凹部19に入れることはできるが、嵌着凹部19に入れた状態では、電池コア20を嵌入溝17から抜けない形状としている。この形状の嵌着凸部18は、電池コア20をスムーズに連結枠14Aの嵌入溝17に入れることができ、また、出力端子8に作用する接触圧力を外装ケース1の連結枠14Aでしっかりと支持して、出力端子8の位置ずれを阻止できる。電池パックが電気機器にセットされると、出力端子8には電気機器の接続端子が弾性的に押圧されて、接触圧力が作用する。すなわち、出力端子8は接触圧力で弾性的に押圧される。接触圧力による出力端子8の位置は、接触不良の原因となる。このため、接触圧力で出力端子8の位置がずれないことが大切である。図の電池パックは、出力端子8に作用する接触圧力、すなわち、出力端子8を固定している回路基板6に作用する接触圧力を、外装ケース1と電池コア20との嵌合形状で支持する。
【0036】
電池コア20を連結枠14Aの嵌入溝17から引き抜くときに、嵌着凹部19と嵌着凸部18に作用する力と、出力端子8を接触圧力が作用するときに作用する力とは方向が一致する。このため、電池コア20を嵌入溝17から抜けないようにする電池コア20と外装ケース1の嵌合形状は、出力端子8に接触圧力が作用して、出力端子8と回路基板6の位置ずれを阻止する。図の嵌合形状は、電池コア20を嵌入溝17から引き抜くときに互いに押圧される嵌着凸部18と嵌着凹部19の接触面、図7において嵌着凸部18の右側面と、嵌着凹部19の左側面を、表面プレート13とひさし16の表面に直交する垂直面として、電池コア20を嵌入溝17から抜けない構造としている。
【0037】
図の嵌合形状は、嵌着凹部19を貫通孔とするが、嵌着凹部は嵌着凸部を入れる凹部とすることもできる。また、図示しないが、図の嵌合形状とは反対に、表面プレートとひさしの内面に突出して嵌着凸部を設け、この嵌着凸部を案内する嵌着凹部を基板ホルダーに設けて、基板ホルダーと外装ケースとを定位置に連結することもできる。
【0038】
電池パックは、外装ケース1に電池コア20を入れた状態で、ラベル等の絶縁シート4を付着して、枠体14の開口部15を閉塞する。絶縁シート4は、薄型電池2の片面と外装ケース1とに接着される。図の電池パックは、絶縁シート4を、外装ケース1の枠体14の4辺に接着し、さらに、絶縁シート4の両側縁を枠体14の両側でU曲して、表面プレート13の両側縁部に接着している。絶縁シート4は、電池コア20を外装ケース1の内部に保持する。
【0039】
絶縁シート4は、可撓性のあるプラスチックシートやラベルである。この絶縁シート4は、接着材を介して薄型電池2と外装ケース1に接着され、あるいは粘着層を介して接着される。
【0040】
さらに、外装ケース1の枠体14内に入れられる薄型電池2は、表面プレート13の内面に接着剤で接着し、あるいは両面接着テープ21で接着して固定することができる。接着剤や両面接着テープ21は、薄型電池2の連結枠14Aの反対側の端部、あるいは薄型電池2の周縁部を表面プレート13の内面に接着し、または全面を表面プレート13に接着する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の電池パックの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる電池パックの斜視図である。
【図3】図2に示す電池パックの分解斜視図である。
【図4】図3に示す電池パックの分解斜視図である。
【図5】図2に示す電池パックの底面図である。
【図6】図2に示す電池パックのA−A線断面図である。
【図7】図6に示す電池パックの一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…外装ケース
2…薄型電池 2A…凸部電極面
2a…凸部電極
2b…封口板
4…絶縁シート
5…基板ホルダー 5A…位置決壁
5B…凹部
5C…位置決凸部
5D…リード溝
5E…載置部
6…回路基板
7…電極窓
8…出力端子
9…接続リード
10…リード板
11…保護素子
12…絶縁板
13…表面プレート
14…枠体 14A…連結枠
15…開口部
16…ひさし
17…嵌入溝
18…嵌着凸部
19…嵌着凹部
20…電池コア
21…両面接着テープ
31…外装ケース 31A…第1ケース
31B…第2ケース
31a…側面ケース部
31b…端部ケース部
32…薄型電池
33…開口部
34…絶縁シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の厚さが幅よりも薄い薄型電池(2)と、この薄型電池(2)の正負の電極を外部に取り出す出力端子(8)とを備えてなる電池コア(20)を外装ケース(1)に収納している電池パックであって、
外装ケース(1)はプラスチック製で、薄型電池(2)の片面をカバーする四角形の表面プレート(13)の周囲に、電池コア(20)の外周を囲む四角形の枠体(14)を一体的に成形して設けて、表面プレート(13)と枠体(14)とからなる箱形の外装ケース(1)に電池コア(20)を収納しており、
さらに、外装ケース(1)は、枠体(14)のひとつを電極窓(7)を設けている連結枠(14A)として、電池コア(20)の出力端子(8)を電極窓(7)から外部に表出させており、
さらにまた、この連結枠(14A)は、表面プレート(13)を連結している側縁の反対側の側縁に沿ってひさし(16)を一体的に成形して設けて、ひさし(16)と表面プレート(13)との間に、電池コア(20)の出力端子(8)側の端部を嵌入する嵌入溝(17)を設けて、嵌入溝(17)に電池コア(20)を入れて、電池コア(20)の出力端子(8)を定位置に配置しており、
さらに、枠体(14)の開口部(15)を閉塞するように、薄型電池(2)の表面と枠体(14)に絶縁シート(4)を接着して、絶縁シート(4)でもって、外装ケース(1)の開口部(15)を閉塞してなる電池パック。
【請求項2】
電池コア(20)が、出力端子(8)を固定している回路基板(6)を薄型電池(2)に連結している請求項1に記載される電池パック。
【請求項3】
電池コア(20)が、回路基板(6)と薄型電池(2)との間に基板ホルダー(5)を配設している請求項2に記載される電池パック。
【請求項4】
基板ホルダー(5)とひさし(16)とを嵌合形状で連結して電池コア(20)を定位置に配置しており、基板ホルダー(5)とひさし(16)の嵌合構造が、基板ホルダー(5)に設けた嵌着凸部(18)と、ひさし(16)に設けられて嵌着凸部(18)を案内する嵌着凹部(19)である請求項3に記載される電池パック。
【請求項5】
電池コア(20)が、回路基板(6)と基板ホルダー(5)を嵌着構造として、回路基板(6)を基板ホルダー(5)の定位置に連結している請求項3に記載される電池パック。
【請求項6】
薄型電池(2)の外装缶が金属ケースである請求項1に記載される電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−164559(P2006−164559A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349841(P2004−349841)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】