説明

電池パック

【課題】外装枠の分離した枠辺部分が良好に嵌合され、外装枠の電池厚み方向の寸法を短縮して薄型化することができるとともに、外観品位が良好である電池パックを提供する。
【解決手段】電池パック1は、素電池2と、素電池2の四側面を覆う第1外装枠半体9及び第2外装枠半体10とを備える。第1外装枠半体9を素電池2の一側面に嵌め合わせ、第2外装枠半体10を他側面に嵌め合わせ、接合部9dと接合部10cとを係止させることにより第1外装枠半体9と第2外装枠半体10とが一体化される。接合部9d,10cは、側面被覆部9b,10bの電池厚み方向の端部から他方の側面被覆部10b,9bに向かう張出部と、該張出部の端部から前記電池厚み方向の中央部に向かうように突設された突設部とを備え、側面被覆部9b,10bは、互いの突設部に係止される状態で接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の主として携帯電子機器の電源として利用される充放電可能な非水電解質二次電池等の二次電池の側面を絶縁性の外装体で覆ってなる電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に普及しているビデオカメラ、モバイルコンピュータ、携帯電話機等の携帯電子機器の電源としては、充放電可能な直方体状の非水電解質二次電池、例えばリチウムイオン二次電池等が主として用いられている。リチウムイオン二次電池(素電池)は、正極及び負極をセパレータを介して巻回した電極群、及び非水電解質を、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、直方体状をなすケースに収納して構成される。
【0003】
この素電池の一側面に、過充電及び過放電を防止するために電池電圧を制御する保護回路、及び素電池から外部へ電力を取り出し、又は外部から電力を取り込むための出力端子を有する保護回路基板を配置することにより電池コアが構成される。保護回路基板と素電池との間は接続用のリード板により電気的に接続されている。
電池コアの側面を絶縁性を有する、例えば合成樹脂製の外装枠で覆い、さらに素電池の二平面と、外装枠とをラベルで覆うことで電池パックが得られ、この電池パックが携帯電子機器に装着される。
【0004】
図8は、特許文献1等に記載された従来の電池パック25を示す斜視図、図9は電池パック25を示す分解斜視図、図10は、ラベル27を貼着する前の電池パック25を示す斜視図である。
電池パック25の素電池12は角型平板状をなし、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であり、正極及び負極をセパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質を、アルミニウム又はアルミニウム合金製のケースに収納してなる。素電池12の第1側面12aには、絶縁板(図示せず)を介して負極端子12bが設けられ、これに平行な第2側面12cには、リード取付板(図示せず)が設けられている。負極端子12bが設けられた部分以外の素電池12の全体が正極(端子)とされる。
【0005】
素電池12の第1側面12aに隣接する第3側面12dには、絶縁テープ13及び絶縁性を有するスペーサ14を介し、保護回路基板15が配されている。
保護回路基板15は、平面視が略矩形状をなし、裏面に、素電池12の過充電又は過放電等を防止するための保護回路を実装し、該保護回路を絶縁性の合成樹脂で覆ってなる保護回路実装部15aを備えている。また、保護回路基板15の表面の中央部より一端部寄りには、素電池12の外部へ電力を取り出し、逆に充電のために外部から電力を取り込むための正負極、及び温度端子である出力端子15b,15b,15bが、金メッキにより並設されている。
【0006】
前記保護回路基板15は、一端部に形成したパッド(図示せず)が、第1リード17を介してPTC(Positive Temperature Coefficient)素子16の素子本体16aの裏面に接続されたリード16bと接続され、素子本体16aの表面に接続されたリード16cは、負極端子12bと接続されている。
保護回路基板15の他端部に形成したパッド(図示せず)は、第2リード板18及びリード取付板を介して素電池12の第2側面12cと接続されている。
【0007】
合成樹脂製の第1外装枠半体19は、保護回路基板15を覆う基板被覆部19aと、素電池12の第1側面12a及び第2側面12cをそれぞれ覆う側面被覆部19b,19bとを備える。基板被覆部19aの中央部より一端部寄りには、保護回路基板15の出力端子15b,15b,15bを露出させるための窓部19c,19c,19cが設けられている。
第2側面12c側の側面被覆部19b、第1側面12a側の側面被覆部19bの長手方向の端部には、それぞれ係止凸部19e、係止凹部19dが設けられている。
【0008】
第2外装枠半体20は、素電池12の第4側面12eを覆う側面被覆部20aと、第1側面12a,第2側面12cを覆う側面被覆部20b,20bとを備える。第1側面12a側の側面被覆部20b、第2側面12c側の側面被覆部20bの長手方向の端部には、それぞれ係止凸部20c、係止凹部20dが設けられている。側面被覆部20aには、ロット表示ラベル28が貼着されている。
【0009】
そして、固定テープ26を素電池12の第1側面12a、第2側面12c、及び第4側面12eに沿わせて貼着した後、前記保護回路基板15を覆うように、第1外装枠半体19を素電池12に嵌め合わせ、第4側面12eを覆うように第2外装枠半体20を嵌め合わせ、係止凸部19e,20cと係止凹部20d,19dとを係止させることにより第1外装枠半体19と第2外装枠半体20とが一体化される。
素電池12の両平面、並びに第1外装枠半体19及び第2外装枠半体20により覆われた素電池12の側面に合成樹脂製のラベル27が貼着されて、電池パック25が構成される。
【0010】
図11は、係止凸部20cと係止凹部19dとの嵌合状態を示す一部拡大側面図である。
側面被覆部20bの係止凸部20cは、基端部20eと該基端部20eに連設された傘状部20dとからなり、全体として矢印状をなす。側面被覆部19bの係止凹部19dは、係止凸部20cに対応する形状を有する。
図11に示されるように、側面被覆部19b及び側面被覆部20bの電池厚み方向の寸法は、側面被覆部19bの前記厚み方向の両端部から傘状部20dの端部までの寸法H1 、H2 と、基端部20eの前記厚み方向の寸法H4 と、傘状部20dの端部から基端部20eの端部までの突出部分の寸法H3 、H5 とを加算したものである。
【0011】
前記側面被覆部19b及び側面被覆部20bの電池厚み方向の寸法を小さくする場合、前記H1 、H2 は、電池パック25の外形のR(アール)に対応するため、前記Rが固定されたとき、前記H1 、H2 を短くすることはできない。
従って、H3 、H4 、及びH5 を短くすることになる。突出部分の寸法H3 及びH5 を短くした場合、側面被覆部19bと側面被覆部20bとの嵌合力が小さくなり、側面被覆部19bと側面被覆部20bとを側面被覆部19b等の長手方向に引っ張った場合に、係止凸部20cと係止凹部19dとが容易に離隔するおそれがある。また、H4 を短くした場合、強度が低下し、射出成形時における離型時に変形するおそれがある。
上述した問題を解消するためには、H1 、H2 、及びH4 の寸法を最低1mmとし、H3 、H5 の寸法を最低0.5mmとする必要があり、合計で最低4mmの寸法が必要となる。
従って、電池パック25の厚みを4mm以下にすることができず、電池パック25の薄型化に対応することができないという問題がある。
【0012】
図12は、従来の他の電池パック40を示す斜視図、図13は、ラベルを貼着する前の電池パック40を示す斜視図である。図中、図8及び図9と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
電池パック40の合成樹脂製の第1外装枠半体29は、保護回路基板15を覆う基板被覆部29aと、素電池12の第1側面12a及び第2側面12cをそれぞれ覆う側面被覆部29b,29bとを備える。基板被覆部29aの中央部より一端部寄りには、保護回路基板15の出力端子15b,15b,15bを露出させるための窓部29c,29c,29cが設けられている。
側面被覆部29b,29bの長手方向の端部には、それぞれ矩形の係止口29d,29dが設けられている。
【0013】
第2外装枠半体30は、素電池12の第4側面12eを覆う側面被覆部30aと、第1側面12a,第2側面12cの端部を覆う側面被覆部30b,30bとを備える。側面被覆部30b,30bの長手方向の端部には、それぞれ外側に突出した板状の凸部30c,30cが設けられている。
【0014】
そして、前記保護回路基板15を覆うように、第1外装枠半体29を素電池12に嵌め合わせ、素電池12の第4側面12eを覆うように第2外装枠半体30を嵌め合わせ、側面被覆部29b,29bの端部を凸部30c,30cに嵌合することで、側面被覆部29b,29bと、側面被覆部30b,30bとがそれぞれ連結される。
【0015】
図14は、側面被覆部29bと側面被覆部30bとの嵌合状態を示す一部拡大側面図である。
図14に示されるように、側面被覆部29b及び側面被覆部30bの電池厚み方向の寸法は、側面被覆部29bの電池厚み方向の両端部から係止口29dの縁部までの寸法M1 、M2 と、係止口29dの前記厚み方向の寸法M3 とを加算したものである。
【0016】
この電池パック40の場合、係止口29dに凸部30cを嵌め入れるように構成されており、上述した電池パック25と比較すると、パーツの数が少なく、構造が簡単であるので、4mm未満という電池パックの薄型化に対応することはできる。
しかし、側面被覆部29bと側面被覆部30bとの嵌合を、電池パック25のように固定テープ26により固定することができないため、ラベルを巻き付けるときに、嵌合部分が浮き上がり、ラベルにしわが生じたり、異物感を呈したりするため、外観品位が低下するという問題があった。
また、側面被覆部29bと側面被覆部30bとを重ねた状態で嵌合するので、重ね合わせた分、厚みが厚くなり、電池パック40の幅方向(電池パック40の長手方向)の寸法を短くすることができないという問題があった。
【特許文献1】特開2006−164579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、従来の電池パックにおいては、外装枠の電池厚み方向の寸法を短くすることに限界があり、電池パックの薄型化に対応することができないという問題があり、また、外観品位が悪く、電池パックの幅方向の寸法を短くすることができないという問題があった。
【0018】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、外装枠の枠辺の各枠辺部分の端部が鍵の手状をなし、互いの突設部に係止させて各枠辺部分を嵌合するように構成することにより、外装枠の電池厚み方向の寸法を短縮することができるとともに、外観品位が良好である電池パックを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、各突設部が電池厚み方向の端部に凸部を有するように構成することにより、電池厚み方向に嵌合が外れるのが抑制される電池パックを提供することを目的とする。
【0020】
そして、本発明は、各突設部の対向する辺が傾斜するように構成することにより、各枠辺部分を電池厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、応力が嵌合部分の中央部へ集中し、嵌合部分の変形が抑制され、嵌合力が向上する電池パックを提供することを目的とする。
【0021】
さらに、本発明は、各突設部は、他方の突設部に係止される側と反対側に突き出した突出部を備え、他方の枠辺部分は、突出部を係止する係止部を備えるように構成することにより、各枠辺部分を電池厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合が外れるのが抑制される電池パックを提供することを目的とする。
【0022】
また、本発明は、良好な嵌合力を有するので、厚みを4mm未満にすることができるとともに、良好な外観品位を有する電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1発明に係る電池パックは、二平面及び四側面を有する直方体状をなす素電池と、該素電池の四側面を覆う枠体であり、1又は2の枠辺の中途部に、分離した枠辺部分の対向する端部同士を接合する接合構造を有する外装枠とを備える電池パックにおいて、前記接合構造は、各枠辺部分の電池厚み方向の端部から他方の枠辺部分に向かう張出部と、該張出部の端部から前記電池厚み方向の中央部に向かうように突設された突設部とを備え、各枠辺部分が、互いの突設部に係止される状態で接合されるように構成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、枠辺部分の端部が鍵の手状をなし、互いの突設部に係止させて枠辺部分同士を嵌合するので、外装枠の電池厚み方向の寸法を、各突設部が電池厚み方向に重なり合う寸法分、短縮することができる。従って、電池パックの薄型化が図られる。
そして、枠辺部分の接合部分は重なり合わず、外側に突出しないので、枠辺部分に直交する方向の電池パックの幅を短くすることができる。
また、電池の側面に当接した状態で各枠辺部分を嵌合し、固定テープを介して固定することで、ラベルを巻き付けるときにラベルが浮き上がらず、ラベルにしわが生じたり、異物感を呈したりして外観品位が低下することが抑制されている。
【0025】
第2発明に係る電池パックは、第1発明において、各突設部は、前記電池厚み方向の端部に、各枠辺部分の該電池厚み方向の離隔を抑制する凸部を有することを特徴とする。
【0026】
本発明においては、凸部を有するので、電池厚み方向に嵌合が外れるのが抑制される。
【0027】
第3発明に係る電池パックは、第1発明において、各突設部は、前記電池厚み方向の中央部側が端部側より幅広となるように、他方の枠辺部分の突設部に向かう辺が傾斜していることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、各枠辺部分を前記電池厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、応力が嵌合部分の中央部へ集中し、嵌合部分が変形するのが抑制される。
【0029】
第4発明に係る電池パックは、各突設部は、他方の突設部に係止される側と反対側に突き出した突出部を備え、他方の枠辺部分は、前記突出部を係止する係止部を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、各枠辺部分を電池厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合が外れるのが抑制される。
【0031】
第5発明に係る電池パックは、厚みが4mm未満であることを特徴とする。
【0032】
本発明においては、第1乃至第4発明のいずれかの接合構造を有し、良好な嵌合力を有するので、枠辺の電池厚み方向の寸法を短くすることができ、厚みが4mm未満であり、しかも良好な外観品位を有する電池パックが実現され得る。
【発明の効果】
【0033】
第1発明によれば、枠辺部分の端部が鍵の手状をなし、互いの突設部に係止させて各枠辺部分を嵌合するように構成されているので、外装枠の電池厚み方向の寸法を、各突設部が重なり合う寸法分、短縮することができる。従って、電池パックの薄型化に対応することができる。
そして、枠辺部分の接合部分は重なり合わず、外側に突出しないので、枠辺部分に直交する方向の電池パックの幅を短くすることができる。
また、電池の側面に当接した状態で、各枠辺部分を嵌合し、固定テープを介して固定することで、枠辺部分の接合が安定するので、ラベルを巻き付けるときに、ラベルが浮き上がらず、ラベルにしわが生じたり、異物感を呈したりすることがなく、外観品位が良好である。
【0034】
第2発明によれば、各突設部は、電池厚み方向の端部に、各枠辺部分の電池厚み方向の離隔を抑制する凸部を有するので、電池厚み方向に嵌合が外れるのが抑制される。
【0035】
第3発明によれば、各突設部の、他方の枠辺部分の突設部に向かう辺が傾斜しているので、各枠辺部分を電池厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、応力が嵌合部分の中央部へ集中し、嵌合部分の変形が抑制され、嵌合力が向上する。
【0036】
第4発明によれば、各突設部は、他方の突設部に係止される側と反対側に突き出した突出部を備え、他方の枠辺部分は、突出部を係止する係止部を備えるので、各枠辺部分を電池厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合が外れない。
【0037】
第5発明によれば、良好な嵌合力を有するので、枠辺の電池厚み方向の寸法を短くすることができ、厚みが4mm未満であり、しかも良好な外観品位を有する電池パックが実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電池パック1を示す斜視図、図2は、電池パック1を示す分解斜視図である。図1及び図2において、電池2の平面及び側面に巻き付けるラベルは省略している。
本実施の形態の電池パック1は携帯電話機の電源として用いられる。
電池パック1の素電池2は角型平板状をなし、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であり、正極及び負極をセパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質を、アルミニウム又はアルミニウム合金製のケースに収納してなる。素電池2の第1側面21には、絶縁板(図示せず)を介して負極端子2aが設けられ、これに平行な第2側面22には、リード取付板(図示せず)が設けられている。負極端子2aが設けられた部分以外の素電池2の全体が正極(端子)とされる。
【0039】
素電池2の第1側面21に隣接する第3側面23には、絶縁テープ(図示せず)及び絶縁性を有するスペーサ4を介し、保護回路基板5が配されている。
保護回路基板5は、平面視が略矩形状をなし、裏面に、素電池2の過充電又は過放電等を防止するための保護回路を実装し、該保護回路を絶縁性の合成樹脂で覆ってなる保護回路実装部51を備えている。また、保護回路基板5の表面の中央部より一端部寄りには、素電池2の外部へ電力を取り出し、逆に充電のために外部から電力を取り込むための正負極、及び温度端子である出力端子52,52,52が、金メッキにより並設されている。
【0040】
前記保護回路基板5は、一端部に形成したパッド(図示せず)が、第1リード7を介してPTC素子6の裏面に接続されたリードと接続され、PTC素子6の表面に接続されたリードは前記負極端子2aと接続されている。
保護回路基板5の他端部に形成したパッド(図示せず)は、第2リード及びリード取付板を介して素電池2の第2側面22と接続されている。
【0041】
合成樹脂製の第1外装枠半体9は、保護回路基板5を覆う基板被覆部9aと、素電池2の第1側面21及び第2側面22をそれぞれ覆う側面被覆部9b,9bとを備える。基板被覆部9aの中央部より一端部寄りには、保護回路基板5の出力端子52,52,52を露出させるための窓部9c,9c,9cが設けられている。
第1側面21,第2側面22側の側面被覆部9b,9bの長手方向の端部には、それぞれ接合部9d,9dが設けられている。
【0042】
第2外装枠半体10は、素電池2の第4側面24を覆う側面被覆部10aと、第1側面21,第2側面22を覆う側面被覆部10b,10bとを備える。側面被覆部10b,10bの長手方向の端部には、それぞれ接合部10c,10cが設けられている。
【0043】
そして、固定テープ3を素電池2の第1側面21、第2側面22、及び第4側面24に沿わせて貼着した後、前記保護回路基板5を覆うように、第1外装枠半体9を素電池2に嵌め合わせ、第4側面24を覆うように第2外装枠半体10を嵌め合わせ、接合部9d,9dと接合部10c,10cとをそれぞれ係止させることにより第1外装枠半体9と第2外装枠半体10とが一体化される。
さらに、素電池2の両平面、並びに第1外装枠半体9及び第2外装枠半体10により覆われた素電池2の側面に合成樹脂製のラベルが貼着される。
【0044】
図3は、接合部9dと接合部10cとの接合状態を示す一部拡大側面図である。
接合部9dは、側面被覆部10bに向かう張出部9eと、該張出部9eの端部から電池厚み方向の中央部に向かうように突設された突設部9fと、該突設部9fの前記厚み方向端部に設けられた凸部9gと、突設部10fに係止される側と反対側に突き出した突出部9hと、後述する突出部10hを係止する係止部9iと、突出部10hを嵌合させる嵌合部9jとを備える。
凸部9gは、突設部9fの突設部10fに向かう辺が、末広がりに傾斜するように形成されている。この傾斜の角度は、5°以上45°以下であるのが好ましい。
【0045】
接合部10cは、側面被覆部9bに向かう張出部10eと、該張出部10eの端部から前記厚み方向の中央部に向かうように突設された突設部10fと、該突設部10fの前記厚み方向端部に設けられた凸部10gと、突設部9fに係止される側と反対側に突き出した突出部10hと、突出部9hを係止する係止部10iと、突出部9hを嵌合させる嵌合部10jとを備える。
凸部10gは、突設部10fの突設部9fに向かう辺が、末広がりに傾斜するように形成されている。この傾斜の角度は、5°以上45°以下であるのが好ましい。
【0046】
本実施の形態においては、上述したように、突設部9fと突設部10fとが当接する辺が傾斜しており、凸部9g,10gが形成されているので、側面被覆部9b,10bを該側面被覆部9b,10bの長手方向に、又は前記厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、応力が接合部分の中央部へ集中し、接合部分が変形するのが抑制される。
また、接合部9d,10cは、突出部9h,10hと、該突出部10h,9hを嵌合する嵌合部9j,10jと、該突出部10h,9hを係止する係止部9i,10iとを備えるので、側面被覆部9b,10bを前記厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合部分が変形しても嵌合が外れない。
【0047】
図3に示されるように、側面被覆部9b及び側面被覆部10bの電池厚み方向の寸法は、前記係止部9iの前記厚み方向の寸法L1 、前記係止部10iの前記厚み方向の寸法L2 、及び係止部9iの中央部側端部と係止部10iの中央部側端部との間隔L3 の和である。
【0048】
前記L1 、L2 は、電池パック1の外形のR(アール)に対応するため、最低1mmは必要である。
本実施の形態においては、接合部9d,10cが鍵の手状をなし、突設部9fと突設部10fとを互いに係止させて接合部9dを接合部10cに嵌合するので、側面被覆部9b,10bの電池厚み方向の寸法を、突設部9fと突設部10fとが当接する部分(重なる部分)の寸法だけ従来の電池パックより短くすることができる。
加えて、上述したように、嵌合が外れにくいように構成されているので、L3 を1mm程度まで短くすることができる。
従って、L1 、L2 、及びL3 の総和を略3mmにすることができ、電池パック1の厚みを4mm未満に薄型化することができる。
【0049】
また、側面被覆部9bと側面被覆部10bとの接合部分は重なり合わず、外側に突出しないので、電池パック1の長手方向の幅も短くすることができる。
しかも、本実施の形態においては、素電池2の第1側面21及び第2側面22に当接された状態で、側面被覆部9b,9bと側面被覆部10b,10bとの接合が固定テープ3を介して完全に固定されるので、ラベルを巻き付けるときに、ラベルが浮き上がらず、ラベルにしわが生じたり、異物感を呈したりして、外観品位が低下するのが抑制されている。
【0050】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る電池パック31を示す一部側面図である。図中、図3と同一部分は同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
この電池パック31においては、実施の形態1の電池パック1に係る突出部9h,10h、係止部9i,10i、及び嵌合部9j,10jを有していない。
本実施の形態においては、突設部9f,10fに、該突設部9fと突設部10fとが当接する辺が傾斜するように凸部9g,10gが設けられているので、側面被覆部9b,10bを長手方向へ、又は前記厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合が外れるのが抑制されている。本実施の形態においては嵌合が良好であるので、側面被覆部9b,10bの前記厚み方向の厚みを薄くし、電池パック31を薄型化することができる。
また、本実施の形態においては、素電池の側面に当接する状態で、側面被覆部9bと側面被覆部10bとの接合が固定テープを介して固定されるので、素電池にラベルを巻き付けるときに、ラベルが浮き上がらず、外観品位が良好である。
【0051】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る電池パック32を示す一部側面図である。図中、図3と同一部分は同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
この電池パック32においては、実施の形態1の電池パック1に係る突出部9h,10h、係止部9i,10i、及び嵌合部9j,10jを有していない。
本実施の形態においては、突設部9f,10fの端部に、突設部10f,9fに向かい、平面視が矩形状をなす凸部9g,10gが設けられている。この凸部9gと凸部10gとが互いに係止されるので、側面被覆部9b,10bを長手方向へ、又は前記厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合が外れるのが抑制されている。本実施の形態においては嵌合が良好であるので、側面被覆部9b,10bの前記厚み方向の厚みを薄くし、電池パック32を薄型化することができる。
また、本実施の形態においては、素電池の側面に当接する状態で、側面被覆部9bと側面被覆部10bとの接合が固定テープを介して固定されるので、素電池にラベルを巻き付けるときに、ラベルが浮き上がらず、外観品位が良好である。
【0052】
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4に係る電池パック33を示す一部側面図である。図中、図3と同一部分は同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
この電池パック33においては、実施の形態1の電池パック1に係る凸部9g,10gを有していない。
本実施の形態においては、突出部9h,10hが係止部10i,9iに係止されているので、側面被覆部9b,10bを前記厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合が外れるのが抑制されている。本実施の形態においては嵌合が良好であるので、側面被覆部9b,10bの前記厚み方向の厚みを薄くし、電池パック33を薄型化することができる。
また、本実施の形態においては、素電池の側面に当接する状態で、側面被覆部9bと側面被覆部10bとの接合が固定テープを介して固定されるので、素電池にラベルを巻き付けるときに、ラベルが浮き上がらず、外観品位が良好である。
【0053】
実施の形態5.
図7は、本発明の実施の形態5に係る電池パック34を示す一部側面図である。図中、図3と同一部分は同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
この電池パック34においては、突出部9h,10hと、係止部10i,9iとが対向する辺が傾斜している。
本実施の形態においては、突出部9h,10hが、係止部10i,9iに係止されているので、側面被覆部9b,10bを前記厚み方向の外側へ引っ張る力が加わった場合に、嵌合が外れるのが抑制されている。本実施の形態においては嵌合が良好であるので、側面被覆部9b,10bの前記厚み方向の薄型化が図られ、電池パック34の薄型化が図られる。
また、本実施の形態においては、素電池の側面に当接する状態で、側面被覆部9bと側面被覆部10bとの接合が固定テープを介して固定されるので、ラベルを巻き付けるときに、ラベルが浮き上がらず、外観品位が良好である。
【0054】
なお、前記実施の形態1乃至5においては、電池パックの外装枠が2箇所の接合部分を有する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、外装枠が1箇所の接合部分を有する電池パックにおいて、本発明の接合構造を適用することにしてもよい。
また、前記実施の形態1乃至5においては、素電池がリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。
そして、前記実施の形態1乃至5においては、電池パックが携帯電話機の電源として用いられる場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、本発明は、ビデオカメラ、モバイルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、MP3プレーヤー等の他の携帯電子機器の電源として用いられる電池パックにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す斜視図である。
【図2】電池パックを示す分解斜視図である。
【図3】接合部の接合状態を示す一部拡大側面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す一部側面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る電池パックを示す一部側面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る電池パックを示す一部側面図である。
【図7】本発明の実施の形態5に係る電池パックを示す一部側面図である。
【図8】特許文献1等に記載された従来の電池パックを示す斜視図である。
【図9】電池パックを示す分解斜視図である。
【図10】ラベルを貼着する前の電池パックを示す斜視図である。
【図11】係止凸部と係止凹部との嵌合状態を示す一部拡大側面図である。
【図12】従来の他の電池パックを示す斜視図である。
【図13】ラベルを貼着する前の電池パックを示す斜視図である。
【図14】側面被覆部の嵌合状態を示す一部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1、31、32、33、34 電池パック
2 素電池
2a 負極端子
21 第1側面
22 第2側面
23 第3側面
24 第4側面
3 固定テープ
4 スペーサ
5 保護回路基板
51 保護回路実装部
52 出力端子
6 PTC素子
7 第1リード
8 第2リード
9 第1外装枠半体
9a 基板被覆部
9b、10a、10b 側面被覆部
9c 窓部
9d、10c 接合部
9e、10e 張出部
9f、10f 突設部
9g、10g 凸部
9h、10h 突出部
9i、10i 係止部
9j、10j 嵌合部
10 第2外装枠半体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二平面及び四側面を有する直方体状をなす素電池と、
該素電池の四側面を覆う枠体であり、1又は2の枠辺の中途部に、分離した枠辺部分の対向する端部同士を接合する接合構造を有する外装枠と
を備える電池パックにおいて、
前記接合構造は、
各枠辺部分の電池厚み方向の端部から他方の枠辺部分に向かう張出部と、
該張出部の端部から前記電池厚み方向の中央部に向かうように突設された突設部と
を備え、
各枠辺部分が、互いの突設部に係止される状態で接合されるように構成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
各突設部は、前記電池厚み方向の端部に、各枠辺部分の該電池厚み方向の離隔を抑制する凸部を有する請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
各突設部は、前記電池厚み方向の中央部側が端部側より幅広となるように、他方の枠辺部分の突設部に向かう辺が傾斜している請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
各突設部は、他方の突設部に係止される側と反対側に突き出した突出部を備え、
他方の枠辺部分は、前記突出部を係止する係止部を備える請求項1乃至3のいずれかに記載の電池パック。
【請求項5】
厚みが4mm未満である請求項1乃至4のいずれかに記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−43662(P2009−43662A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209921(P2007−209921)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(597176832)三洋ジーエスソフトエナジー株式会社 (94)
【Fターム(参考)】