説明

電池モジュール

【課題】電池モジュールの省スペース化を図りつつ、冷却効率の向上を図る。
【解決手段】電池モジュール10は、互いに電気的に接続された複数の電池30が並べられてなる電池スタック20と、電池30同士を電気的に接続するバスバー40と、バスバー40と電池30との間に設けられた冷却体100とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の電池が接続された電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電池(単セル)の起電力は低く、起電力が高いといわれるリチウムイオン電池においても4V程度である。そのため、より高い電圧が必要な場合には、複数個の電池を直列接続してモジュール化することが行われている(特許文献1参照)。ここで用いられる電池は通常、扁平な角形電池であり、これらの電池がバスバーとよばれる端子接続部材によって互いに直列接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−301877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電池モジュールでは、電気化学反応に起因して電池の温度が上昇することに加えて、電池からの熱伝導によりバスバーの温度が上昇する。バスバーの温度が上昇すると、電気抵抗の増加を招く。このため、複数の電池の底面側に電池を冷却するための冷却部材を設置するとともに、バスバーを冷却するために別の冷却部材を設ける必要があり、電池モジュールの省スペース化の妨げとなっていた。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池モジュールの省スペース化を図りつつ、冷却効率の向上を図ることができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電池モジュールである。当該電池モジュールは、外部端子をそれぞれ有し、互いに配列された複数の電池と、異なる電池の外部端子同士を電気的に接続する端子接続部材と、複数の電池と端子接続部材との間に配設され、複数の電池および端子接続部材と熱的に接続された冷却体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この態様の電池モジュールによれば、冷却体によって、端子接続部材、電池の両方を効率的に冷却することができ、端子接続部材と電池にそれぞれ個別に冷却部材を設ける必要がないため、端子接続部材と電池の冷却のために必要なスペースを低減することができ、ひいては、電池モジュールのコンパクト化を図ることができる。
【0008】
上記態様の電池モジュールにおいて、冷却体が、端子接続部材と接する絶縁性の第1の伝熱部材と、複数の電池と接する第2の伝熱部材と、第1の伝熱部材と第2の伝熱部材の間に設けられた冷却部材とを有してもよい。冷却部材が金属板であってもよい。冷却体の中に外部との熱の授受を行う熱媒体が流通する流路が形成されていてもよい。冷却体の上に外部との熱の授受を行う熱媒体が流通する熱媒体配管が設けられていてもよい。熱媒体配管は、電池とは反対側の端子接続部材の主表面を境界とする、電池側の領域に収まっていてもよい。
【0009】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電池モジュールの省スペース化を図りつつ、冷却効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係る電池モジュールの概略構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるA−A線に沿った断面図である。
【図3】電池の概略構造を示す断面図である。
【図4】図4(A)は、電池の端子形成面の配置を示す平面図である。図4(B)は、冷却板に設けられた貫通孔の配置を示す平面図である。
【図5】実施の形態1に係る電池モジュールの製造方法を示す工程図である。
【図6】実施形態2に係る電池モジュールの概略構造を示す断面図である。
【図7】実施形態3に係る電池モジュールの概略構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態1に係る電池モジュールの概略構造を示す斜視図である。図2は、図1におけるA−A線に沿った断面図である。なお、図2では、電池の筐体内部の図示を省略する。
【0014】
電池スタック20は、複数の電池30がバスバー40(端子接続部材)によって互いに電気的に接続され、かつ、複数の電池30とバスバー40との間に冷却体100が設けられた構造を有する。本実施形態では、計4個の電池30が直列に接続されて電池スタック20が形成されている。
【0015】
4個の電池30は、それぞれ扁平な角形電池であり、平面視で(図1中の矢印Z方向から見て)電池30の長手方向の辺が対向して略平行となるように所定の間隔で並べられている。各電池30は、端子形成面33aが上方を向くように配置されている。端子形成面33aには、長手方向の一端寄りに正極端子50が設けられ、他端寄りに負極端子60が設けられている。以下では適宜、正極端子50および負極端子60をあわせて外部端子と称する。隣接する電池30の正極端子50および負極端子60は、互いに反対側になるように配列されている。
【0016】
隣接する2つの電池30の一方の負極端子60と他方の正極端子50とがバスバー40によって互いに接続されて、4個の電池30が直列接続されている。バスバー40は、帯状の金属板である。バスバー40は、外部端子上に載置されており、バスバー40に設けられた貫通孔41に外部端子が挿通された状態でバスバー40と外部端子との境界部分がレーザー溶接等の溶接方法によって溶接されることで、外部端子に固定されている。なお、バスバー40と外部端子との接続は、ねじ止め固定等であってもよい。
【0017】
電池30の直列接続の一方の終端となる正極端子50’および他方の終端となる負極端子60’は、電池モジュール10の外部に引き回される配線を介して外部負荷(ともに図示せず)と接続可能になっている。なお、電池30の数は特に限定されない。また、複数の電池は、互いに並列接続されていてもよく、あるいは直列および並列に接続されていてもよい。複数の電池30は、絶縁性を有する板状のセパレータ22を挟んで並べられている。
【0018】
図3は、電池の概略構造を示す断面図である。図3に示すように、電池30は、外装缶(筐体)31内に、正負極が渦巻状に巻回されてなる電極体32が外装缶31の缶軸方向に対し横向きに収納されている。外装缶31の開口は、筐体の一部を構成する封口板33により封口されている。封口板33には、接続部50a,60aと当該接続部50a,60aの一方の主表面から突出する突起部50b,60bとをそれぞれ有する正極端子50および負極端子60が設けられている。また、封口板33には、ガス排出弁(図示せず)が形成されている。封口板33は、端子形成面33aを構成し、外装缶31の端子形成面33aに対向する面は、電池30の底面31aを構成する。
【0019】
本実施の形態の接続部50a,60aは、封口板33から突出する円柱形状をなすが、接続部50a,60aは、円柱形状に限られず、角柱状であってもよい。
【0020】
正極端子50の突起部50bは、側面にガスケット34が当接した状態で、封口板33の正極用開口33bに嵌め込まれている。また、突起部50bは、封口板33の電池内側において正極タブ部材53と接続している。なお、突起部50bの先端には、正極用開口33bに沿って側壁が形成されるような凹部51が設けられている。凹部51の縁部分が広がるようにかしめることで、正極端子50が正極タブ部材53に対して固定されている。
【0021】
正極タブ部材53と封口板33の電池内側面との間には、絶縁板35が設けられている。正極用開口33bにおいて、絶縁板35とガスケット34とが当接している。これにより、正極タブ部材53および正極端子50が封口板33から絶縁されている。正極タブ部材53は、電極体32の一方の端面から突出した正極集電板群32aに接続されている。なお、正極集電板群32aは、電極体32の一方の端面から突出した複数の正極集電板を束ねたものである。
【0022】
負極端子60の突起部60bは、側面にガスケット34が当接した状態で、封口板33の負極用開口33cに嵌め込まれている。また、突起部60bは、封口板33の電池内側において負極タブ部材62と接続している。なお、突起部60bの先端には、負極用開口33cに沿って側壁が形成されるような凹部61が設けられている。凹部61の縁部分が広がるようにかしめることで、負極端子60が負極タブ部材62に対して固定されている。
【0023】
負極タブ部材62と封口板33の電池内側面との間には、絶縁板35が設けられている。負極用開口33cにおいて、絶縁板35とガスケット34とが当接している。これにより、負極タブ部材62および負極端子60が封口板33から絶縁されている。負極タブ部材62は、電極体32の他方の端面から突出した負極集電板群32bに接続されている。なお、負極集電板群32bは、電極体32の他方の端面から突出した複数の負極集電板を束ねたものである。
【0024】
図1、2に戻り、冷却体100は、複数の電池30とバスバー40との間に配設され、複数の電池30およびバスバー40と熱的に接続されている。より具体的には、本実施の形態の冷却体100は、第1の伝熱層102、冷却板104、第2の伝熱層106がこの順で積層された積層体で形成されている。
【0025】
第1の伝熱層102は、冷却板104と電池30との間を電気的に絶縁すると共に、冷却板104と電池30とを熱的に接続する機能を担う。また、第2の伝熱層106は、冷却板104とバスバー40との間を電気的に絶縁すると共に、冷却板104とバスバー40とを熱的に接続する機能を担う。このような機能を担う第1の伝熱層102および第2の伝熱層106に適した材料として、アルミナが挙げられる。
【0026】
冷却板104は、第1の伝熱層102を介して電池30から伝導した熱を電池モジュールの外部に放熱する機能を担う。このような冷却板104に適した材料として、熱伝導性が高いAl、Cuなどの金属が挙げられる。
【0027】
冷却体100には、第1の伝熱層102、冷却板104および第2の伝熱層106を貫通する貫通孔108が設けられている(図4(A)および図4(B)参照)。貫通孔108には、電池30の外部端子が挿通される。なお、貫通孔108において、冷却体100に設けられた貫通孔108の側壁に絶縁体105が形成されており、冷却板104と外部端子とが電気的に絶縁されている。なお、冷却体100には電池30に設けられたガス排出弁の設置位置に対応した貫通孔が形成されていてもよい。このような貫通孔を設けることにより、ガス排出弁からガスが排出されたときに、電池モジュール10の外部にガスを確実に排出することができる。
【0028】
以上説明した電池モジュールによれば、冷却体100によって、バスバー40、電池30の両方を効率的に冷却することができ、バスバー40と電池30にそれぞれ個別に冷却部材を設ける必要がないため、バスバー40と電池30の冷却のために必要なスペースを低減することができ、ひいては、電池モジュール10のコンパクト化を図ることができる。
【0029】
(電池モジュールの製造方法)
図5(A)乃至図5(C)は、実施の形態1に係る電池モジュール10の製造方法を示す工程図である。図5(A)に示すように、電池30およびセパレータ22の上面が面一になるように整列させる。具体的には、各電池30の外部端子を収めることができる凹部302が設けられた台座300を用意し、端子形成面を下に向け、外部端子を対応する凹部302に収まるように、台座300の上に電池30を載置する。このとき、台座300の上面と各電池30の端子形成面が接することにより、各電池30の端子形成面が面一に整列する。
【0030】
次に、図5(B)に示すように、あらかじめ第1の伝熱層102、冷却板104および第2の伝熱層106をこの順で積層しておいた冷却体100を電池30およびセパレータ22の上面に積層する。冷却板104に設けられた貫通孔108の側壁は絶縁体105で被覆されており、冷却板104とこの貫通孔108に挿通される外部端子との電気的な絶縁が保たれている。この状態において、電池30およびセパレータ22の上面が面一になるように整列済みであるため、第1の伝熱層102、冷却板104、第2の伝熱層106の各厚みを面方向で均一とすることにより、第2の伝熱層106の上面を平坦な面とすることができる。電池30およびセパレータ22の上面に冷却体100を積層したときに、貫通孔108に挿通された外部端子の先端部分が冷却体100の上面に対して上方に突出するように外部端子の突出長さを予め設計しておく。また、冷却体100の上面から突出する部分の外部端子の長さは、後述するバスバー40の厚さと同等となるように設計される。
【0031】
第1の伝熱層102自体および第2の伝熱層106自体に接着性を持たせることにより、第2の伝熱層106の上面を平坦な面とした状態で、電池30およびセパレータ22の上面に冷却体100を固定することができる。なお、第1の伝熱層102と電池30とを接着剤を用いて固定してもよい。また、第1の伝熱層102と冷却板104とを接着剤を用いて固定してもよい。
【0032】
次に、図5(C)に示すように、第2の伝熱層106の上面にバスバー40を配置し、バスバー40の貫通孔に外部端子の先端部分を挿通する。この状態で、バスバー40と外部端子との境界部分をレーザ照射し、バスバー40と外部端子とを溶接する。
【0033】
以上の工程により、実施の形態1に係る電池モジュール10を製造することができる。
【0034】
バスバーと電池の端子を溶接する形態において、バスバーの上面と電池の底面にそれぞれ冷却部材を設けた場合、各電池が電池冷却用の冷却部材に接するように、各電池の底面を面一に整列し、かつ、バスバーと各電池の外部端子を溶接するために、電池の上面を面一にする必要がある。ところが、上述した電池モジュールの製造方法では、冷却体100の設置およびバスバー40と各電池30の外部端子との溶接に際し、電池30の上面を面一にするだけでよく、各電池30の底面を面一にすることを要しない。このため、電池モジュール10の製造に要する手間を低減し、電池モジュール10の製造時間や製造コストを低減することができる。
【0035】
(実施の形態2)
図6は、実施形態2に係る電池モジュールの概略構造を示す断面図である。上述した実施の形態1では、冷却板104としてAlなどの金属が例示されているが、本実施の形態では、冷却板104の内部に、外部との熱の授受を行う熱媒体が流通する流路110が形成されている。熱媒体としては、水などの液体、空気などの気体が挙げられる。
【0036】
本実施の形態によれば、流路110を流通する熱媒体により、電池30およびバスバー40の熱をより効率的に奪い、奪った熱を外部に速やかに放熱することができる。
【0037】
(実施の形態3)
図7は、実施形態3に係る電池モジュールの概略構造を示す断面図である。本実施の形態では、冷却体100の上に外部との熱の授受を行う熱媒体が流通する熱媒体配管112が設けられている。より詳しくは、熱媒体配管112は、冷却板104と接するように配置されている。これによれば、冷却板104から熱媒体配管112を流通する熱媒体への熱伝導性を向上させることができる。熱媒体配管112は、熱伝導性が良好な材料であればよく、このような材料としてはAlなどの金属や、ポリイミドなどの絶縁樹脂が挙げられる。熱媒体配管112を金属で形成した場合には、熱媒体配管112と冷却板104とをはんだを用いたろう付けにより固定することができる。熱媒体配管112を絶縁樹脂で形成した場合には、熱媒体配管112と冷却板104とを接着剤を用いて固定することができる。
【0038】
本実施の形態によれば、熱媒体配管112を冷却板104の上部に設けることにより、熱媒体配管112を流通する熱媒体による放熱効果を得つつ、冷却板104の厚さを実施の形態2の冷却板104の厚さに比べて薄型化することができる。これにより、電池モジュール10のさらなるコンパクト化、あるいは低背化を図ることができる。たとえば、実施の形態2では、径が0.5cmの流路110を冷却板104に内蔵するためには、冷却板の厚さが1cm程度必要となるが、本実施の形態では、冷却板104の内部に流路110のスペースを確保する必要がないため、冷却板104の厚さを3mm程度まで薄型化することが可能となる。
【0039】
熱媒体配管112は、バスバー40の配置を阻害しない領域であれば特に限定されないが、本実施の形態では、電池30とは反対側のバスバー40の主表面を境界とする、電池30側の領域に熱媒体配管112が収まっている。これによれば、熱媒体配管112がバスバー40の上方に突出する場合に必要なスペースを確保しなくてよいため、電池モジュール10のより一層のコンパクト化、あるいは低背化を図ることができる。
【0040】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0041】
上述した各実施の形態では、冷却体100が積層体で形成されているが、冷却体100は、バスバー40と電池30との間の絶縁、および異なる電池30間の絶縁を保ちつつ、バスバー40および電池30の冷却機能を担う部材であればよく、たとえば、冷却体100は、AlNなどの高伝熱性を有する単層の絶縁材料で形成されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 電池モジュール、20 電池スタック、30 電池、40 バスバー、50,50’ 正極端子、60,60’ 負極端子、100 冷却体、102 第1の伝熱層、104 冷却板、106 第2の伝熱層、108 貫通孔、110 流路、112 熱媒体配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子をそれぞれ有し、互いに配列された複数の電池と、
異なる電池の外部端子同士を電気的に接続する端子接続部材と、
前記複数の電池と前記端子接続部材との間に配設され、前記複数の電池および前記端子接続部材と熱的に接続された冷却体と、
を備えることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記冷却体が、前記端子接続部材と接する絶縁性の第1の伝熱部材と、前記複数の電池と接する第2の伝熱部材と、前記第1の伝熱部材と前記第2の伝熱部材の間に設けられた冷却部材とを有する請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記冷却部材が金属板である請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記冷却体の中に外部との熱の授受を行う熱媒体が流通する流路が形成されている請求項2または3に記載の電池モジュール
【請求項5】
前記冷却体の上に外部との熱の授受を行う熱媒体が流通する熱媒体配管が設けられている請求項2または3に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記熱媒体配管は、前記電池とは反対側の前記端子接続部材の主表面を境界とする、前記電池側の領域に収まっている請求項5に記載の電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−216360(P2012−216360A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79901(P2011−79901)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】