説明

電池ユニット

【課題】冷却または加温の効率を向上させた構造を提供する。
【解決手段】電池ユニット200は、電池12、および電池12と熱交換する液状の熱交換媒体150を収容する収容部110と、収容部110の下面側に配置され、熱交換媒体150を加熱する加熱部130と、収容部110の上面側に配置され、熱交換媒体150を冷却する冷却部120とを備える。加熱部130は、電池12より下方に配置されている。冷却部120は、電池12より上方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ユニットの冷却または加温の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池などの電池は、高温下または低温下で充電または放電する場合に、電池の特性に悪影響を与える場合がある。そこで、電池は適宜冷却または加温されることが好ましい。特許文献1には、絶縁オイル中にバッテリを配置し、冷媒の気化熱で冷却されたエバポレータにより絶縁オイルを介してバッテリを冷却し、冷媒の凝縮熱で発熱したエバポレータにより絶縁オイルを介してバッテリを加温する電源装置が開示されている。
特許文献1 特開2009−37934号公報
特許文献2 特開2009−289668号公報
特許文献3 特開2006−331956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電源装置における電池を冷却または加温する構造は、冷却または加熱の効率が不十分であった。そこで、本発明は、冷却または加温の効率を向上させた構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る電池ユニットの1つの態様において、電池ユニットは、電池、および電池と熱交換する液状の熱交換媒体を収容する収容部と、収容部の下面側に配置され、熱交換媒体を加熱する加熱部と、収容部の上面側に配置され、熱交換媒体を冷却する冷却部とを備える。
【0005】
収容部は、加熱部および冷却部を収容してもよい。また、加熱部は、電池より下方に配置されもよい。さらに、冷却部は、電池より上方に配置されてもよい。
【0006】
上記電池ユニットは、複数の電池を備え、冷却部は、複数の電池の間に配置されてもよい。また、加熱部は、電池の真下に配置されてもよい。上記電池ユニットは、電池の上方で、かつ冷却部の間に回路基板をさらに備えてもよい。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
【図2】本実施形態に係る電池ユニットの斜視図である。
【図3】図2に示す電池ユニットのXZ平面の断面図である。
【図4】図2に示す電池ユニットのYZ平面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。特許請求の範囲または実施形態における「電池ユニット」および「電池」は、セル電池、複数のセル電池を有する電池ブロック、複数の電池ブロックを有する電池モジュールのいずれかを示す用語として用いられる。また、「電池ユニット」は、電池自体に加え、複数の電池を相互に固定または保持する部材、または電池を制御するための回路もしくは電池の状態を検出するための回路が設けられた基板を有する構造の名称としても用いられる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る電池モジュール100の斜視図である。電池モジュール100は、複数の電池ブロック10および回路基板20を有する。複数の電池ブロック10は、それぞれ直列に接続されている。電池ブロック10は、複数の電池12、一対の支持板14、および一対の電極板16を含む。
【0011】
複数の電池12は、円筒型電池であり、例えば18650型リチウムイオン二次電池セルである。複数の電池12は同一方向(X方向)に沿って略平行に配置されている。また、複数の電池12は、X方向に略垂直な面において千鳥状に配置されている。1つの電池ブロック10に含まれる電池12は、一対の電極板16を介して並列に接続されている。また、複数の電池ブロック10は、X方向と略垂直な方向(Y方向)に沿って一列に配列されており、直列に接続されている。
【0012】
一対の支持板14は、千鳥状に配置された複数の貫通孔を含み、複数の貫通孔に複数の電池12がそれぞれ挿入されることにより、複数の電池12を支持している。一対の電極板16のそれぞれは、複数の電池12のそれぞれの一方の電極と電気的に接続されている。複数の電池12のそれぞれの電極は、例えば、超音波溶接、パルス溶接などの溶接によりそれぞれの電極板16に接合されている。電極板16は、直列接続の対象となる隣接した電池ブロック側の周縁部に、複数の電池12側とは反対側に向かって屈曲した屈曲部16aを有する。屈曲部16aは、直列接続の対象となる電池ブロック10の電極板16が有する屈曲部16aと面接触している。これにより、隣接した電池ブロック10同士が直列に接続される。
【0013】
回路基板20は、一列に配置された複数の電池ブロック10の上方に配置され、複数の電池ブロック10を制御する制御回路を有する。
【0014】
図2は、本実施形態に係る電池ユニット200の斜視図である。図3は、図2に示す電池ユニットのXZ平面の断面図である。図4は、図2に示す電池ユニットのYZ平面の断面図である。
【0015】
電池ユニット200は、複数の電池モジュール100、冷却部120、加熱部130、収容部110、および外部出力端子102を備える。収容部110は、複数の電池モジュール100、冷却部120、および加熱部130を収容する。収容部110は、さらに、複数の電池モジュール100と熱交換する液状の熱交換媒体150を収容する。なお、収容部110は、外部との熱を遮断する断熱構造を有する。
【0016】
収容部110内には、熱交換媒体150が充満されおり、複数の電池モジュール100、冷却部120、および加熱部130は、熱交換媒体150に漬かっている。収容部110内には、さらに、複数の電池モジュール100の間に仕切板112が配置されている。
【0017】
冷却部120および加熱部130により、熱交換媒体150が温度調整されることで、複数の電池モジュール100の温度が予め定められた温度範囲に調整される。なお、熱交換媒体150は、電気的に絶縁性の液状の媒体であり、例えばシリコンオイルまたはハイドロフルオロエーテルである。
【0018】
複数の電池モジュール100は、直列に接続されており、両端の電池モジュールの一方の電極は、それぞれ外部出力端子102に接続されている。
【0019】
冷却部120は、収容部110の上面側の複数の電池モジュール100の上方に配置され、熱交換媒体150を冷却し、熱交換媒体150を介して電池モジュール100を冷却する。冷却部120は、冷媒の入口300および出口310を有する一本の配管を含む。冷却部120は、波状に折り曲げられ、複数の電池モジュール100の間に配置されている。回路基板20は、折り曲げられた冷却部120の間に配置されている。なお、冷却部120は、収容部110の外に配置されてもよい。
【0020】
冷却部120は、いわゆるヒートパイプの一部でもよい。ここで、ヒートパイプは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器、および環状配管を備える。圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器は、それぞれ環状配管を介して接続されている。環状配管内には、冷媒が充填されている。圧縮機は、過熱蒸気の冷媒を圧縮して高温および高圧の過熱蒸気にする。凝縮器は、圧縮機により高温および高圧の過熱蒸気となった冷媒から高熱源へと放熱させ、冷媒を過冷却液にする。膨張弁は、凝縮器により過冷却液となった冷媒を膨張させ湿り蒸気にする。蒸発器は、膨張弁により湿り蒸気となった冷媒に低熱源から吸熱させ、その冷媒を過熱蒸気にする。このようなヒートパイプが備える蒸発器を冷却部120として機能させてもよい。冷却部120は、膨張弁により湿り蒸気となった冷媒に液状の熱交換媒体150から吸熱させ、その冷媒を過熱蒸気にすることにより、熱交換媒体150を冷却する。
【0021】
加熱部130は、図3および図4に示すように、収容部110の下面側の電池モジュール100より下方に配置されている。加熱部130は、例えばヒータであり、熱交換媒体150を加熱し、熱交換媒体150を介して電池モジュール100を加熱する。加熱部130は、電池モジュール100を構成する電池12の直下に配置されてもよい。加熱部130は、収容部110の外に配置されてもよい。
【0022】
上記の通り、冷却部120が電池モジュール100の上方に配置され、加熱部130が電池モジュール100の下方に配置されている。熱交換媒体150は、比較的低温の場合には、下方に移動しやすく、比較的高温の場合には、上方に移動しやすい。よって、冷却部120により冷却された熱交換媒体150は、収容部110の下方に移動しやすい。また、加熱部130により加熱された熱交換媒体150は、収容部110の上方に移動しやすい。したがって、冷却部120および加熱部130を上記のように配置することで、熱交換媒体150は、収容部110内を循環しやすい。よって、本実施形態に係る電池ユニット200によれば、冷却または加温の効率を向上させられる。また、熱交換媒体150の温度を一定に保ち易くなるので、電池モジュール100の温度を一定に保ち易くなる。
【0023】
さらに、複数の電池モジュール100の間に仕切板112を設けることで、それぞれの電池モジュール100の周辺の熱交換媒体150の温度が、他の電池ブロック10の周辺の熱交換媒体150の温度に影響を受けにくい。したがって、仕切板112を設けることで、電池モジュール100の温度の調整をそれぞれ個別に制御しやすくなる。なお、収容部110内には熱交換媒体150の温度を検出する温度センサが設けられている。さらに、回路基板20は、温度センサから熱交換媒体150の温度を示す温度データを取得し、取得した温度データに基づいて冷却部120および加熱部130を制御する制御回路を有してもよい。
【0024】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0025】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0026】
10 電池ブロック
12 電池
14 支持板
16 電極板
20 回路基板
100 電池モジュール
102 外部出力端子
110 収容部
112 仕切板
120 冷却部
130 加熱部
150 熱交換媒体
200 電池ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池、および前記電池と熱交換する液状の熱交換媒体を収容する収容部と、
前記収容部の下面側に配置され、前記熱交換媒体を加熱する加熱部と、
前記収容部の上面側に配置され、前記熱交換媒体を冷却する冷却部と
を備える電池ユニット。
【請求項2】
前記収容部は、前記加熱部および前記冷却部を収容する請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記加熱部は、前記電池より下方に配置されている請求項1または請求項2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記冷却部は、前記電池より上方に配置されている請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電池ユニット。
【請求項5】
複数の前記電池を備え、
前記冷却部は、前記複数の電池の間に配置されている請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電池ユニット。
【請求項6】
前記加熱部は、前記電池の真下に配置されている請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の電池ユニット。
【請求項7】
前記電池の上方で、かつ前記冷却部の間に回路基板をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の電池ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226954(P2012−226954A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93214(P2011−93214)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(510078160)電動車両技術開発株式会社 (15)
【Fターム(参考)】