説明

電池判別装置及びその制御方法

【課題】本発明は、一次電池と二次電池とが同一形状である場合であっても電池の判別が可能であり、かつ、短時間で電池を判別することができる電池判別装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】
電池装着部10は、図1の通り、充放電等に際し、電池を装着する部分であるため、電池の正極端子に対応するプラス電極1、及び電池の負極端子に対応するマイナス電極2を備え、さらに、電池の装着時において正極端子の周辺部と当接する位置に、電圧を検出するための電池検出端子3が配設されている。演算装置14内の電池判定部14cは、プラス電極1とマイナス電極2間の電圧データAと電池検出端子3とマイナス電極2間の電圧データBが等しいか否かを判断し、等しい場合に一次電池と判定し、等しくない場合に二次電池と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の種類を判別する技術に係り、特殊形状ではなく一般的な形状を有する二次電池であっても電池の種類を判別可能な電池判別装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電池を電源として利用する電子機器が市場に流通しており、特に、ディスクプレーヤ等の音楽・動画再生機器やレコーダ等の電子機器に使用され、さらに、ワイヤレスマイクやアンプ等の音響システムにも使用されている。
【0003】
このような電子機器の電源に用いられる電池としては、充電をすることで繰り返し使用可能なニッケル水素電池等の二次電池と、充電ができないマンガン乾電池やアルカリ乾電池等の一次電池とが存在する。
【0004】
すなわち、二次電池は、使用することで実際の電圧が低下した場合であっても充電器を接続することにより充電可能で繰り返し使用することができるのに対し、一次電池は、一旦低下した電圧を充電によって回復できない電池である。そのため、一次電池に対して誤って充電電流を流してしまうと電解液が漏洩し、一次電池が腐食するだけでなく充電電流の供給側の充電器が破壊するといった問題が生じていた。
【0005】
それ故、電池を電源として利用する電子機器においては、電池の使用に当たり一次電池に充電電流を流さないように一次電池と二次電池とを判別する必要があるので、下記のような種々の電池判別装置が提案されている。
【0006】
従来技術では、二次電池の残容量がなくなった場合において、二次電池を一次電池として判別しないようにする趣旨から、複数の電池から構成される電池パックの使用開始時の電圧と所定時間使用後の電圧とを対比することで差電圧を算出し、その差電圧と所定の基準値とから電池パック内の電池が一次電池か二次電圧であるかを判別する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
また、充電装置内の電池の両極間の電圧を所定時間検出することでこの電圧に基づいて当該電池が二次電池であるかを判定する判別方法が提案されている(特許文献2参照)。具体的には、電池の両極間の電圧の最大値が所定の閾値を超えるかを判定し、超える場合に当該電池が二次電池であると判別する。
【0008】
このように、複数の電池が装填される電池パックや電池の両極間の電圧に基づいて、当該電池が一次電池か二次電池であるかを判定する電池判別方法は従来から開発されている。しかしながら、上記のような方法では、電池が過放電されると一次電池か二次電池かの判別ができなくなり、判定精度が低下するという問題が生じていた。
【0009】
そこで、一次電池か二次電池であるかの判別精度を向上させるために、正極に電圧を加える他、電池判別回路により負極側の側面電極から電圧を検出することで、この検出された電圧により二次電池を判別する方法が提案されている(特許文献3参照)。より詳細には、二次電池の場合では負極側の側面に導通性を有し、一次電池の場合では側面に導通性を有しない点を利用して、側面電極を通じて検出した電池電圧の大きさにより、当該電池が一次電池あるか二次電池であるかを判定する。
【特許文献1】特開平11−3732号公報
【特許文献2】特開2000−228827号公報
【特許文献3】特開2004−87354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のような電池の側面電極からの電圧を検出し、その電圧に基づいて電池を判別する方法では、特殊加工された二次電池であれば側面電極から電池を判別することが可能であるが、一般に市販されている一次電池と同一形状の二次電池を使用する場合には、二次電池を一次電池と誤って認識してしまい適切に二次電池に充電することができない問題が生じた。
【0011】
また、このような方法では、電池の放電特性を一定時間測定することで一次電池か二次電池かの判別をしているので、電池の判別にある程度の時間を要する。そのため、電池の放電特性を測定中は電池に充電電圧が供給されてしまい、当該電池が一次電池であると電解液が漏洩し電池が腐食する可能性が生じた。
【0012】
さらに、上記のような側面電極から電圧を検出する方法では、2本の電池を判別対象としているため、1本の電池を使用する電子機器や、3本以上の電池を使用する電子機器に対して応用できるのかは不明であった。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解消するために提案されたものであって、その目的は、一次電池と二次電池とが同一形状である場合であっても電池の判別が可能であり、かつ、短時間で電池を判別することができる電池判別装置及びその制御方法を提供することにある。また、本発明は、単数本、あるいは複数本の電池を使用する機器に対しても適切に一次電池か二次電池かの判別が可能な電池判別装置及びその制御方法を提案することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、請求項1の発明は、電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかを判別する電池判別装置において、前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、に基づいて、当該電池が一次電池か二次電池であるかを判別する判別手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかをコンピュータが判別する電池判別装置の制御方法において、前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、前記コンピュータは、前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、に基づいて、当該電池が一次電池か二次電池であるかを判別する判別ステップを実行することを特徴とする
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電池判別装置において、前記判別手段は、前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、が一致する場合に当該電池を一次電池と判別し、一致しない場合に当該電池を二次電池と判別することを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項2に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、請求項6に記載の電池判別装置の制御方法において、前記判別ステップは、前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、が一致する場合に当該電池を一次電池と判別し、一致しない場合に当該電池を二次電池と判別することを特徴とする。
【0018】
以上のような態様では、電池検出端子を当該正極端子の周辺部に設けることにより、一次電池と二次電池とが同一形状であっても、電池の両極間の電圧と、電池検出端子と負極端子間の電圧とを比較することで一次電池か二次電池かの判別をすることが可能となる。つまり、正極端子の周辺部は一次電池の場合に導通性を有しており、二次電池の場合に導通性を有していないので、この正極端子の周辺部に電池検出端子を当接するだけで、一次電池と二次電池が同一形状であっても、電池の種類を判別することで可能となる。
【0019】
また、判別手段は、電池の放電特性を一定時間測定することなく、正極端子の周辺部の導通性・非導通性を通じて電池検出端子が導通するか否かを利用し、瞬時に、一次電池か二次電池かの判別を行うことができる。そのため、電池が一次電池と判別された場合であっても誤って当該一次電池に電圧を供給することを防止可能である。
ここで、「判別手段」とは、後述する本実施形態の演算装置内の電池判定部に対応する。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電池判別装置において、前記電池の両極間に充電電圧を印加する充電電源と、前記充電電圧を制御する充電制御手段と、を備え、前記充電制御手段は、前記判別手段により前記電池が一次電池と判別された場合に、前記電池への充電電圧を停止することを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項3に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、請求項6又は7に記載の電池判別装置の制御方法において、前記電池の両極間に充電電圧を印加する充電電源を備え、前記コンピュータは、前記判別ステップにより前記電池が一次電池と判別された場合に、前記電池への充電電圧を停止することを特徴とする。
【0022】
以上のような態様では、充電電源により充電機能を設け、判別手段により電池が一次電池と判定された場合に充電制御手段を通じて充電電圧の供給を停止することができるので、一次電池への電圧の供給を適確に防止することが可能となる。また、判別手段により電池が二次電池であると判定された場合には、充電制御手段を通じて判別された二次電池に対して適切に充電電圧を供給することが可能となる。
ここで、「充電電源」は、後述する本実施形態の充電器に対応する。
また、「充電制御手段」は、後述する本実施形態において、充電スイッチのON・OFFを制御する演算装置内の充電スイッチ制御部に対応する。
【0023】
請求項4の発明は、電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかを判別する電池判別装置において、前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、当該電池検出端子が導通する場合に前記電池が一次電池であると判定し、導通しない場合に前記電池が二次電池であると判定する導通判定手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項9の発明は、請求項4に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかをコンピュータが判別する電池判別装置の制御方法において、前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、前記コンピュータは、当該電池検出端子が導通する場合に前記電池が一次電池であると判定し、導通しない場合に前記電池が二次電池であると判定する導通判定ステップを実行することを特徴とする。
【0025】
請求項5の発明は、請求項4に記載の電池判別装置において、前記導通判定手段は、前記電池検出端子と負極端子間の電圧に基づいて、当該電池検出端子が導通しているかを判定することを特徴とする。
【0026】
請求項10の発明は、請求項5に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、請求項9に記載の電池判別装置の制御方法において、前記導通判定ステップは、前記電池検出端子と負極端子間の電圧に基づいて、当該電池検出端子が導通しているかを判定することを特徴とする。
【0027】
以上のような態様では、電池の両極間の電圧を検出しなくとも、電池検出端子と負極端子間の電圧を検出することで、検出された電圧に基づいて当該電池検出端子が導通しているか否かを判定することにより、同一形状の一次電池と二次電池の判別を行うことができる。
ここで、「導通判定手段」とは、後述する本実施形態の演算装置内の導通判定部に対応する。
【発明の効果】
【0028】
以上のような本発明によれば、同一形状の一次電池と二次電池が使用された場合であっても、電池検出端子を設けたことにより、電池の負極端子とこの電池検出端子とから得られる電圧に基づいて一次電池か二次電池であるかの判別をすることが可能となる。そのため、判別された二次電池に対して適切に充電電圧を供給することができる。
【0029】
また、電池の放電特性を一定時間測定することなく、一次電池か二次電池かの判別を瞬時に行うことを可能とするので、一次電池が混在していても誤って当該一次電池に充電電圧を供給してしまうことを防止できる。さらに、判別対象の電池が1本のときはもちろんのこと、複数本の場合であっても、電池毎に電池検出端子を設け、各電池の正極端子の周辺部に当該電池検出端子を当接させることで、各々電池の判別処理を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[本実施形態]
[1.構成]
次に、本実施形態に係る電池判別装置の構成について、図1〜4を参照して以下に詳述する。なお、本実施形態では、一次電池の正極端子の周辺部(肩の部分)に導通性があり、二次電池の正極端子の周辺部に導通性がないという、両電池の構造上の差異に着目し、電池を装着する電池ボックス等の電池装着部に、装着された正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を配設した構成を特徴としている。
【0031】
[1.1.電池装着部]
電池装着部10は、図1の通り、充放電等に際し、電池を装着する部分であるため、電池の正極端子に対応するプラス電極1、及び電池の負極端子に対応するマイナス電極2を備え、さらに、電池の装着時において正極端子の周辺部と当接する位置に、電圧を検出するための電池検出端子3が配設されている。
【0032】
二次電池は一次電池と異なり、正極端子の周辺部がガスケット(またはパッキング)等で覆われているので導通性を有しない。そのため、この正極端子の周辺部における一次電池の導通性及び二次電池の非導通性に着目し、図1及び2のように、電池装着部10には、電池の正極端子の周辺部に当接するよう電池検出端子3が配設される。なお、本実施形態では、後述するが、電池の両極間の電圧を検出するに留まらず、この電池検出端子3とマイナス電極2から電圧を検出可能とするものである。
【0033】
また、電池検出端子3は、図1及び2のようなU字型の形状に限定するものではなく、電池の正極端子の周辺部に当接する構成であれば如何なる形状も包含する。
【0034】
[1.2.電池判別装置の回路構成]
次に、本実施形態に係る電池判別装置の回路構成の一例を図3を参照して以下に説明する。
【0035】
本実施形態に係る電池判別装置は、図3の通り、上述したプラス電極1、マイナス電極2及び電池検出端子3を備えた電池装着部10に加え、充電器20が接続されるDCジャック部11と、充電のON・OFFを行う充電スイッチ12と、電池装着部10に装着された電池の電圧をADコンバータ13a、13bを介して取り込む演算装置14と、を備えている。また、この電池判別装置は、演算装置14の電源を作り出す安定化電源15と、電力を消費する負荷回路16と、当該負荷回路16に供給する電力のON・OFFを行う電源スイッチ17と、を備えている。
【0036】
DCジャック部11は、スイッチ機能付きのものを用いており、充電器20が接続されることで当該充電器20からDC電圧が供給される。充電スイッチ12は、例えばMOSFETリレーから構成され、DCジャック部11を介して供給される充電電圧をON・OFFする。
【0037】
A/Dコンバータ13aは、プラス電極1とマイナス電極2からの電圧をA/D変換し、A/Dコンバータ13bは、電池検出端子3とマイナス電極2からの電圧をA/D変換する。
【0038】
演算装置14は、図4の通り、DCジャック部11を介して充電器20の接続を認識する充電認識部14aと、充電スイッチ12のON・OFFを制御する充電スイッチ制御部14bと、A/Dコンバータ13a、13b各々からの電圧データを対比し、一次電池か二次電池かを判定する電池判定部14cと、を備えている。さらに、この演算装置14は、電池の判別処理が行わる時間が所定時間を超えるものかを判定する時間判定部14dと、負荷回路16に供給する電圧を制御する負荷電源制御部14eと、電源スイッチ17のON・OFFを制御する電源スイッチ制御部14fと、を備えている。
【0039】
安定化電源15は、演算装置14に供給する直流電源を作り出すものである。なお、本実施形態では、この安定化電源15が電圧を一定にする定電圧電源か、あるいは電流を一定にする定電流電源に限定するものではなく、双方の場合も包含する。また、安定化の方式も特別限定するものではない。負荷回路16は、充電器20からの電力、あるいは電池装着部10に装着される電池からの電力を電源スイッチ17を介して消費する回路である。
【0040】
[2.作用効果]
次に、本実施形態に係る上記構成に基づいた電池判別装置の電池判別処理手順を、図5のフローチャートを参照して、以下に説明する。なお、電池装着部10には電池が装着されているものとする。
【0041】
まず、DCジャック部11に充電器20が接続されると、演算装置14に電源が供給され、DCジャック部11のスイッチ機能により内蔵する充電器検出端子がプルアップされることで、演算装置14の充電認識部14aは、充電器20が接続されたことを認識する(STEP501)。ここで、演算装置14の充電スイッチ制御部14bは、充電スイッチ12をONするよう制御する(STEP502)。
【0042】
充電スイッチ12がONされると、電池装着部10に装着された電池が一次電池か二次電池かを問わず、一旦充電電圧が電池に供給され、プラス電極1とマイナス電極2間の電圧A(A/D変換後は電圧データA)がA/Dコンバータ13aに取り込まれる(STEP503)。また、A/Dコンバータ13bには、電池検出端子3とマイナス電極2間の電圧B(A/D変換後は電圧データB)が取り込まれる(STEP504)。
【0043】
そして、A/Dコンバータ13a、13bでA/D変換された各々の電圧データが演算装置14に取り込まれ、当該演算装置14の電池判定部14cは、当該電圧データに基づいて一次電池か二次電池かの判定を行う(STEP505)。具体的には、電池判定部14cは、演算装置14に取り込まれた電圧データAと電圧データBが等しいか否かを判断し、等しい場合(STEP505のYES)に一次電池と判定し、等しくない場合(STEP505のNO)に二次電池と判定する。
【0044】
電池判定部14cにより一次電池と判定された場合には(STEP505のYES)、演算装置14の充電スイッチ制御部14bが、充電スイッチ12をOFFするよう制御する(STEP506)。すなわち、充電スイッチ制御部14bを介して充電スイッチ12をOFFにすることにより、電池に供給する充電電圧を停止する。
【0045】
なお、STEP506で充電スイッチ12がOFFされるまで一次電池に充電電圧が供給されてしまうが、電池判定部14cによる処理は電圧データAと電圧データBが等しいかを判定するだけ、すなわち、電池検出端子3の導通性・非導通性に基づく電圧データの値を判断するだけである。そのため、STEP501〜STEP506までの処理は全体として瞬時に行われるので、一次電池に充電電圧がかけられても電池の仕様に支障がない範囲である。
【0046】
一方、電池判定部14cにより二次電池と判定された場合には(STEP505のNO)、充電スイッチ12をOFFに制御することなく、ONのままの状態で充電電圧を供給し続ける(STEP507)。
【0047】
そして、充電認識部14aにより充電器20の接続が認識され続けている間は、このような電池判別処理が一定間隔で行われる。具体的には、演算装置14の時間判定部14dにより、電池の判別処理時間が所定時間を超えるものかが判定され(STEP508)、所定時間を超える場合には、STEP503〜507までの処理が繰り返される。なお、図5のフローチャートでは、一例として電池の判別処理が行われる所定時間、すなわち判別処理が繰り返される一定間隔を1秒としている。
【0048】
ここで、STEP508において、演算装置14の時間判定部14dにより電池の判別処理時間が所定時間を超えると判定された場合には、演算装置14の充電認識部14aは、充電器20が接続されているかを確認する(STEP509)。充電認識部14aにより充電器20が接続されていると判定された場合には(STEP509のYES)、図5の通り、STEP503以降の処理が繰り返される。
【0049】
これに対し、充電認識部14aにより充電器20が接続されていないと判定された場合には(STEP509のNO)、DCジャック部11の充電器検出端子が0Vになり、演算装置14の充電スイッチ制御部14bが、充電スイッチ12をOFFすることにより(STEP510)、電池判別処理が終了する。なお、電池装着部10に装着される電池が複数本である場合は、電池毎に電池検出端子3を設け、各電池のプラス電極1の周辺部に当該電池検出端子3を当接させることで、上記図5のフローチャートと同様な判別処理を実現することが可能である。
【0050】
以上のような本実施形態によれば、同一形状の一次電池と二次電池が使用された場合であっても、電池装着部10に電池検出端子3を設けたことにより、電池検出端子3とマイナス電極2とから得られる電圧に基づいて一次電池か二次電池であるかの判別を行うことが可能となる。そのため、一次電池と同一形状の二次電池が使用されても二次電池として判別することができるので、判別された二次電池に対して適切に充電電圧を供給することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態では、電池の放電特性を一定時間測定することなく、一次電池か二次電池かの判別を瞬時に行うことを可能とするので、電池装着部10に一次電池が装着された場合であっても誤って当該一次電池に充電電圧を供給してしまうことを防止できる。
【0052】
さらに、本実施形態では、判別対象の電池が1本のときはもちろんのこと、複数本の場合であっても、電池毎に電池検出端子3を設け、各電池の正極端子の周辺部に当該電池検出端子3を当接させることで、各々電池の判別処理を実現することが可能となる。
【0053】
[他の実施形態]
(a)本発明は、上記のような電圧データAと電圧データBとを対比して一次電池か二次電池かを判別する実施形態に限定するものではなく、電圧データBに基づいて電池装着部に装着された電池が一次電池か二次電池かを判別する実施形態を包含する。
【0054】
具体的には、演算装置14内に電池検出端子が導通しているか否かにより電池の種類を判定する導通判定部を設け、当該導通判定部が、電池検出端子とマイナス電極間の電圧Bから、A/Dコンバータ13bを介してこの電池検出端子が導通しているかを判定する。電圧BがOVであると判定した場合、すなわち導通していないと判定した場合には、電池装着部に装着された電池が二次電池と判定し、電圧Bが0Vを超えると判定した場合、すなわち導通していると判定した場合には、装着された電池が一次電池であると判定する。
【0055】
フローチャートで示すと、図6の通りである。STEP603において、演算装置14には、電池の両極間の電圧Aを取り込まず、電池検出端子3とマイナス電極2間の電圧Bのみ取り込まれる。そして、STEP604で、演算装置14の導通判定部により、電圧データBに基づいて電池検出端子3が導通しているかが判定される。上記の通り、導通判定部により導通すると判定された場合に一次電池と判定され、導通していないと判定された場合に二次電池と判定され、それ以降の処理は図5のフローチャートと共通する(STEP506〜510)。
【0056】
(b)本発明は、上記のようなA/D変換するA/Dコンバータを使用する実施形態に限定するものではなく、当該A/Dコンバータの代わりに例えばLEDを使用する実施形態も包含する。すなわち、電池検出端子3とマイナス電極2間の電圧BをLEDに取り込むことで、一次電池の場合は、電池検出端子3が導通するので発光し、二次電池の場合は、電池検出端子3が非導通のため発光しない実施形態も本発明は包含する。
【0057】
なお、本発明は、LEDの代わりに音声出力を行う音声出力装置を設け、電圧Bを当該音声出力装置に取り込むことで、電池検出端子3が導通する場合に例えば「一次電池です」と、電池検出端子が導通しない場合に例えば「二次電池です」と音声出力する実施形態も包含する。
【0058】
(c)本発明は、上記のような充電回路が接続される実施形態に限定するものではなく、充電回路を有しなくても、単に電池装着部10に装着された電池からの電圧に基づいて一次電池か二次電池かを判別する実施形態も包含する。すなわち、本発明は、図5のフローチャートで言えば、STEP501及び502の処理が省略され、直接、プラス電極1とマイナス電極2からの電圧、並びに電池検出端子3とマイナス電極2からの電圧に基づいて電池の判別処理を行う実施形態を包含する。なお、図6のフローチャートで言えば、STEP601及び602の処理が省略され、直接、電池検出端子3とマイナス電極2間の電圧に基づいて電池の判定が行われる。
【0059】
(d)本発明は、上記の図3のような電池判別装置の回路に負荷回路16を備えた実施形態に限定するものではなく、負荷回路16を有しない実施形態も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る電池装着部の構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る電池検出端子の構成図(正極側からの図)。
【図3】本発明の実施形態に係る電池判別装置のブロック回路図。
【図4】本発明の実施形態に係る電池判別装置の演算装置のブロック図。
【図5】本発明の実施形態に係る電池判別処理例を示すフローチャート。
【図6】本発明の他の実施形態に係る電池判別処理例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
1…プラス電極
2…マイナス電極
3…電池検出端子
10…電池装着部
11…DCジャック部
12…充電スイッチ
14…演算装置
14a…充電認識部
14b…充電スイッチ制御部
14c…電池判定部
14d…時間判定部
14e…負荷電源制御部
14f…電源スイッチ制御部
15…安定化電源
16…負荷回路
17…電源スイッチ
20…充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかを判別する電池判別装置において、
前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、
前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、に基づいて、当該電池が一次電池か二次電池であるかを判別する判別手段を備えたことを特徴とする電池判別装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、が一致する場合に当該電池を一次電池と判別し、一致しない場合に当該電池を二次電池と判別することを特徴とする請求項1に記載の電池判別装置。
【請求項3】
前記電池の両極間に充電電圧を印加する充電電源と、
前記充電電圧を制御する充電制御手段と、を備え、
前記充電制御手段は、前記判別手段により前記電池が一次電池であると判別された場合に、前記電池への充電電圧を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池判別装置。
【請求項4】
電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかを判別する電池判別装置において、
前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、
当該電池検出端子が導通する場合に前記電池が一次電池であると判定し、導通しない場合に前記電池が二次電池であると判定する導通判定手段を備えたことを特徴とする電池判別装置。
【請求項5】
前記導通判定手段は、前記電池検出端子と負極端子間の電圧に基づいて、当該電池検出端子が導通しているかを判定することを特徴とする請求項4に記載の電池判別装置。
【請求項6】
電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかをコンピュータが判別する電池判別装置の制御方法において、
前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、
前記コンピュータは、
前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、に基づいて、当該電池が一次電池か二次電池であるかを判別する判別ステップを実行することを特徴とする電池判別装置の制御方法。
【請求項7】
前記判別ステップは、前記電池の両極間の電圧と、前記電池検出端子と負極端子間の電圧と、が一致する場合に当該電池を一次電池と判別し、一致しない場合に当該電池を二次電池と判別することを特徴とする請求項6に記載の電池判別装置の制御方法。
【請求項8】
前記電池の両極間に充電電圧を印加する充電電源を備え、
前記コンピュータは、
前記判別ステップにより前記電池が一次電池であると判別された場合に、前記電池への充電電圧を停止することを特徴とする請求項6又は7に記載の電池判別装置の制御方法。
【請求項9】
電池の電圧から、当該電池が、正極端子の周辺部に導通性部材を有する一次電池か正極端子の周辺部に非導通性部材を有する二次電池であるかをコンピュータが判別する電池判別装置の制御方法において、
前記正極端子の周辺部に当接する電池検出端子を設け、
前記コンピュータは、
当該電池検出端子が導通する場合に前記電池が一次電池であると判定し、導通しない場合に前記電池が二次電池であると判定する導通判定ステップを実行することを特徴とする電池判別装置の制御方法。
【請求項10】
前記導通判定ステップは、前記電池検出端子と負極端子間の電圧に基づいて、当該電池検出端子が導通しているかを判定することを特徴とする請求項9に記載の電池判別装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−238494(P2009−238494A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81343(P2008−81343)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】