説明

電池式玩具用電源ユニット

【課題】 本発明は、電池により駆動する電池式玩具において、内部構造を変更することなく遠隔操作を行うことができる電源ユニットの提供を課題とする。
【解決手段】 電池A、受信アンテナ14、および制御回路15が一つの電源ユニット11に収容され、その電源ユニット11において送信機17からの前進命令または後退命令を受信して、駆動モータ6に電流を順方向または逆方向に供給する。これによれば、電源ユニット11を既存の電池式玩具1の電池収容部5にそのままセットすることによって、電池式玩具1をラジコンのような遠隔操作型の玩具として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池により走行する鉄道などの電池式玩具に用いられる電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製のレール上を走行する鉄道玩具などの電池式玩具が一般に知られている。この電池式玩具は、電池を収納する電池収容部と、車輪を駆動する駆動モータと、電池収容部とモータとの間に介在するスイッチとを備え、スイッチをオンにすると電池収容部に収容された電池からモータに電流が供給されることによりモータが駆動して玩具が走り出す。また、スイッチをオフにすると電池からモータに電流が供給されなくなり、それに伴ってモータが駆動しなくなり玩具が停止する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上述のような電池式玩具では、玩具を走らせるためにはわざわざ本体のスイッチをオンにし、逆に停止させるには本体のスイッチをわざわざオフにしなければならないため、遠隔操作で電池式玩具を自由に走行または停止させることができず不便であり、玩具としてのおもしろさが些か乏しくなるという問題があった。
【0004】
もとより、いわゆるラジコンに用いられる受信装置(送信機から送信された命令を受信する装置)とサーボ(受信装置により受信された命令に基づいて電気信号を機械的な動きに変えるための装置)を前記電池式玩具に適用すれば遠隔操作を行うことができるが、そのためには前記電池式玩具の内部構造を大幅に変更しなければならず、既存の前記電池式玩具にそのまま適用することができるものではなかった。
【特許文献1】特開平2003−320177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、電池により駆動する電池式玩具において、内部構造を変更することなく遠隔操作を行うことができる電源ユニットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、外面には電池式玩具(1)の電池収容部(5)のプラス側電極(5a)およびマイナス側電極(5b)に対応する前方電極(12a)および後方電極(12b)が設けられ、かつ内面には電池(A)のプラス側電極およびマイナス側電極に対応するプラス側電極(12c)およびマイナス側電極(12d)が設けられ、電池式玩具の電池収容部(5)に収容可能な大きさに形成されたユニット本体(12)と、
送信機(17)から送られてきた命令を受信する受信アンテナ(14)と、電流の流れる方向を制御する制御回路(15)と、前記ユニット本体(12)の外面およぼ内面の各電極(12a)〜(12d)を通電させる電線(15a)〜(15d)とが設けられ、前記ユニット本体(12)に設けられた電流制御装置(13)とを備え、
前記制御回路(15)は、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて、内面の前記プラス側電極(12c)から供給された電流を外面の前方電極(12a)または後方電極(12b)のうちいずれか一方の電極に流し、他方の電極からの電流を内面の前記マイナス側電極(12d)に流すものとなされていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、電源ユニット(11)の前記受信アンテナ(14)が送信機(17)から前進命令を受信すると、前記電源ユニット(11)の前記制御回路(15)は、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて、前記内面のプラス側電極(12c)から供給された電流を前方電極(12a)に流し、外面の後方電極(12b)からの電流を内面のマイナス側電極(12d)に流す。従って、玩具の駆動モータ(6)は、正規の電流供給を受けることにより順方向に回転駆動して、玩具が前進することができる。
【0008】
一方、例えば受信アンテナ(14)が送信機(17)から後退命令を受信すると、電源ユニット(11)の前記制御回路(15)は、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて、前記内面のプラス側電極(12c)から供給された電流を前記外面の後方電極(12b)に流し、外面の前方電極(12a)からの電流を内面のマイナス側電極(12d)に流す。従って、玩具の駆動モータ(6)は、正規とは逆の電流供給を受けることにより逆方向に回転駆動して、玩具が後退することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源ユニットを既存の電池式玩具の電池収容部にそのままセットすることによって、電池式玩具をラジコンのような遠隔操作型の玩具として使用することができ、ひいては現在保有している電池式玩具の利用価値を向上させることが可能となる。
また、電池交換と同じ要領で電源ユニットを電池収容部にセットするため、児童や幼児であっても安全かつ簡単に取り扱うことができる。
【0010】
さらに、電源ユニットの構造が簡易であるため、製造コストを低減させることができ、ラジコンに用いられるような受信機およびサーボに比べて非常に安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次にこの発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態では電池式玩具として鉄道玩具を用いるものとする。
【0012】
図1および図2において、(1)は既存の鉄道玩具である。
【0013】
この鉄道玩具(1)は、4輪の車輪(2)が設けられた基台(3)と、鉄道の外装が施された外装カバー(4)とが設けられており、外装カバー(4)は基台(3)に対して容易に取り外し可能なものとなされている。
【0014】
前記基台(3)上には、前方側にプラス側電極(5a)およびマイナス側電極(5b)を備えた電池収容部(5)と、後方側に駆動モータ(6)が収容された駆動モータ収容部(7)と、該駆動モータ収容部(7)の上部に設けられた切替スイッチ(8)とが設けられている。このため、電池収容部(5)に電池(例えば単2型電池)をセットした状態で切替スイッチ(8)をオンにすると、電流が電池から駆動モータ(6)に供給されることにより駆動モータ(6)が回転駆動し、それに伴って後輪(2)(2)が回って鉄道玩具(1)が前進することができる。
【0015】
図1および図2において、(11)は本発明に係る電源ユニットである。
【0016】
この電源ユニット(11)は、図3に示すように、玩具本体(1)の電池収容部(5)に収容可能な大きさ、例えば単二電池の大きさ程度に形成された円筒状のユニット本体(12)と、該電源ユニット本体(12)の内部に設けられた電流制御装置(13)とを備える。
【0017】
前記ユニット本体(12)の前方および後方の外面には、鉄道玩具(1)の電池収容部(5)のプラス側電極(5a)およびマイナス側電極(5b)にそれぞれ対応する2個の前方電極(12a)および後方電極(12b)が設けられている。このため、電源ユニット(11)を電池収容部(5)にセットした場合、電池収容部(5)のプラス側電極(5a)およびマイナス側電極(5b)と電源ユニット(11)の前方電極(12a)および後方電極(12b)とがそれぞれ通電可能な状態に接触することができる。
【0018】
また、前記ユニット本体(12)の前方および後方の内面には、電池(A)のプラス側電極およびマイナス側電極に対応するプラス側電極(12c)およびマイナス側電極(12d)が設けられている。このため、電池(A)をユニット本体(12)内にセットすると、電池(A)のプラス側電極およびマイナス側電極とユニット本体(12)のプラス側電極(12c)およびマイナス側電極(12d)をそれぞれ通電可能な状態で接触することができる。
【0019】
なお、ユニット本体(12)は前方が蓋状に形成され、内部の電池(A)を容易に取り外し可能なものとなされている。また、このとき用いられる電池(A)は、電池収容部(5)に直接セットする場合の電池(単一電池又は単二電池)よりも小さい電池(例えば単三電池)である。
【0020】
前記電流制御装置(13)の上面には、受信アンテナ(14)が設けられている。この受信アンテナ(14)は、送信機(17)から送信されてきた命令(電波)を受信して、その命令を後述する制御回路(15)に送信するものである。
【0021】
また、前記電流制御装置(13)の上面には、電流の流れる方向を制御する制御回路(15)が設けられている。この制御回路(15)は、各種コンデンサなどから構成されるもので、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて、前記内面のプラス側電極(12c)から供給された電流を前記外面の前方電極(12a)または後方電極(12b)の電極のうちいずれか一方の電極に流し、他方の電極からの電流を内面のマイナス側電極(12d)に流すものである。
【0022】
また、前記電流制御装置(13)には、前記ユニット本体(12)の外面と内面の各電極とを結ぶ電線(15a)〜(15d)が設けられている。具体的には、電線(15a)はユニット本体(12)の外面の前方電極(12a)と制御回路(15)とを、電線(15b)はユニット本体(12)の外面の後方電極(12b)と制御回路(15)とを、電線(15c)はユニット本体(12)の内面のプラス側電極(12c)と制御回路(15)とを、電線(15d)は内面のマイナス側電極(12d)と制御回路(15)とをそれぞれ結んでいる。
【0023】
次にこの実施形態に係る電源ユニット(11)の使用方法について説明する。
【0024】
まず、外装カバー(4)を基台(3)から取り外して、電池交換と同様の要領により前記電源ユニット(11)を電池収容部(5)にセットする。このとき、電池収容部(5)のプラス側電極(5a)およびマイナス側電極(5b)と電源ユニット(12)の前方電極(12a)および後方電極(12b)がそれぞれ通電可能な状態に接触しているが、制御回路(15)により未だ通電状態とはなっていない。なお、駆動モータ収容部(7)の切替スイッチ(8)はオンの状態にしておく。
【0025】
次に、送信機(17)において前進命令を送信すると、前記電源ユニット(11)の前記受信アンテナ(14)が前進命令を受信する。
【0026】
そして、前記電源ユニット(11)の前記制御回路(15)は、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて、内面の前記プラス側電極(12c)から供給された電流を外面の前方電極(12a)に流すとともに、外面の前記後方電極(12b)からの電流を内面の前記マイナス側電極(12d)に流すようにする。
【0027】
すると、電流が電池収容部(5)のプラス側電極(5a)から駆動モータ(6)に流れ、さらに駆動モータ(6)から電池収容部(5)のマイナス側電極(5b)に流れるので、駆動モータ(6)は正規の電流供給により順方向に回転駆動し、後輪(2)(2)が前方向に回って鉄道玩具(1)が前進する。
【0028】
一方、送信機(17)において後退命令を送信すると、前記電源ユニット(11)の前記受信アンテナ(14)が後退命令を受信する。
【0029】
そして、前記電源ユニット(11)の前記制御回路(15)は、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて、内面の前記プラス側電極(12c)から供給された電流を外面の前記後方電極(12b)に流すとともに、外面の前方電極(12a)からの電流を内面の前記マイナス側電極(12d)に流すようにする。
【0030】
すると、電流が電池収容部(5)のマイナス側電極(5b)から駆動モータ(6)に流れ、さらに駆動モータ(6)から電池収容部(5)のプラス側電極(5a)に流れるので、駆動モータ(6)は正規と逆の電流供給により逆方向に回転駆動し、後輪(2)(2)が逆方向に回って鉄道玩具(1)が後退する。
【0031】
また、送信機(17)において停止命令を送信すると、前記電源ユニット(11)の前記受信アンテナ(14)が停止命令を受信する。
【0032】
そして、前記電源ユニット(11)の前記制御回路(15)は、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて駆動モータ(6)に対する電流供給をストップする。
【0033】
すると、駆動モータ(6)に電流が供給されなくなるので、車輪(2)(2)が回らなくなり鉄道玩具(1)が停止する。
【0034】
本発明によれば、電源ユニット(11)を既存の鉄道玩具(1)の電池収容部(5)にそのままセットすることによって、鉄道玩具(1)をラジコンのような遠隔操作型の玩具として使用することができ、ひいては現在保有している鉄道玩具(1)の利用価値を向上させることが可能となる。
【0035】
また、電池交換と同じ要領で電源ユニット(11)を電池収容部(5)にセットするため、児童や幼児であっても安全かつ簡単に取り扱うことができる。
【0036】
さらに、電源ユニット(11)の構造が簡易であるため、製造コストを低減させることができ、ラジコンに用いられるような受信機およびサーボに比べて非常に安価である。
【0037】
なお、この実施形態では、電流制御装置(13)をユニット本体(12)の内部に設けるものとしたが、ユニット本体(12)の外部に設けるものとしてもよい。ただ、ユニット本体(12)の内部に設けた方が構造が簡易になるので好ましい。
【0038】
また、受信アンテナ(14)はコード状のものを用いたが、その他の形状のものであってもよい。
【0039】
また、本発明に係る電源ユニット(11)を鉄道玩具(1)に使用したが、自動車、船舶などその他の電池式玩具に使用してもよい。ただ、電源ユニット(11)では前進後退の駆動しか行うことができないため、あらかじめ走行方向がレール等により固定化されている鉄道玩具(1)に適している。特に子供向けの鉄道玩具(1)はバリエーションが豊富であり、近づいてきた列車同士が磁石により連結するものなどは、前進後退機能を使用することにより車庫にある列車を自動連結し、そのまま発信することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
既存の電池式玩具の内部構造を変更することなく、電池交換と同様の要領で電源ユニットを装着することにより、既存の電池式玩具を遠隔操作型の玩具に変更する用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態に係る電源ユニットを鉄道玩具にセットした状態を示す斜視図である。
【図2】図1の鉄道玩具の分解斜視図である。
【図3】電源ユニットの構成概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・玩具本体
2・・・車輪
3・・・基台
4・・・外装カバー
5・・・電池収容部
6・・・駆動モータ
11・・・電源ユニット
12・・・ユニット本体
13・・・電流制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面には電池式玩具(1)の電池収容部(5)のプラス側電極(5a)およびマイナス側電極(5b)に対応する前方電極(12a)および後方電極(12b)が設けられ、かつ内面には電池(A)のプラス側電極およびマイナス側電極に対応するプラス側電極(12c)およびマイナス側電極(12d)が設けられ、電池式玩具(1)の電池収容部(5)に収容可能な大きさに形成されたユニット本体(12)と、
送信機(17)から送られてきた命令を受信する受信アンテナ(14)と、電流の流れる方向を制御する制御回路(15)と、前記ユニット本体(12)の外面およぼ内面の各電極(12a)〜(12d)を通電させる電線(15a)〜(15d)とが設けられ、前記ユニット本体(12)に設けられた電流制御装置(13)とを備え、
前記制御回路(15)は、前記受信アンテナ(14)により受信された命令に基づいて、内面の前記プラス側電極(12c)から供給された電流を外面の前方電極(12a)または後方電極(12b)のうちいずれか一方の電極に流し、他方の電極からの電流を内面の前記マイナス側電極(12d)に流すものとなされていることを特徴とする電池式玩具用電源ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−6640(P2006−6640A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188371(P2004−188371)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(504246007)
【Fターム(参考)】