説明

電池梱包体及び電池梱包方法

【課題】容器内において円筒状の電池等が転倒、遊動せず、且つ製品訴求性に優れた製品の電池梱包体を提供する。
【解決手段】円筒状の電池104を複数本直立させた状態で収納する電池梱包体100であって、複数本の電池104が一体となって構成される電池包装体103を、電池包装体103の側面部をその内壁面に内接させて収納する箱状の容器101と、収納部101の開口部を封塞する着脱自在の蓋部102と電池包装体103の略水平方向への遊動が拘束される、収納部101の中央に設けられた支持体106を備えることを特徴とする。これにより、収納部101内における電池104の転倒、散乱を抑止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状或いは円筒状の物品、例えば電池を収納する梱包体及び梱包方法にかかり、特に電池製品の保管、陳列、運搬時に電池梱包体の内部において電池の安定性を向上させることを目的とする電池梱包体及びこれを用いた電池梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文房具類、小型電気器具類、或いは電池類等の小物製品は、保管や運搬がされやすく、尚且つ製品を什器に陳列した際に例えば製品の外観や、製品の表面に施された表示が視認されるように梱包され流通される。円筒状の電池においては、単独では安定性が皆無で棚等の什器に直接陳列しにくいために、電池の姿勢を容易に保持できる種々の包装体或いは梱包体等が用いられる。
【0003】
特に、円筒状の電池においては、販売される店舗の業態により、電池梱包体の構成が必要に応じて使い分けられている。
例えば、電池製品を陳列するための専用の棚等が設けられた量販店等においては、比較的大きな専有スペースを活用することができる場合も多い。そのため、省スペース化や簡便な陳列形態だけではなく、消費者により強い印象を与え、購買意欲を惹起させる工夫が凝らされた見栄えの良い電池梱包体を採用し、自社製品の優位性を際立たせることも重要となっている。
【0004】
例えば、従来、棚等の平面スペースに陳列する電池梱包体の一例として、電池の長さ寸法と略同一の深さ、或いは電池の長さ寸法よりも浅い有底容器の電池梱包体が用いられていた。この電池梱包体は、樹脂或いは厚紙等の素材が用いられ、一本ずつ、或いは複数の電池を平面状に配列し、例えば収縮性フィルムによって一体的に包装されたシュリンクパックの電池包装体を複数収納する。この手法は、電池を多数密接集合させて配置することで直立状態の電池に安定性を与えるとともに、設置面積あたりに対して多くの製品を陳列させることを目的とするものであった。また、この手法では、概して方形の容器により構成された電池梱包体が用いられ、保管や運搬の作業効率の向上が図られていた。(特許文献1参照)
そして、この形態の電池梱包体は、上述の点において優れるため、市場には同様の形態を採る当業者の製品も多数流通されている。
【特許文献1】特開2003−205933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した容器を用いた電池梱包体では、収納される電池が、出荷時と同様の所定の本数が満載されていれば、整列された電池が容器内で相互に支持され、安定性が保持される。しかし、収納される電池のうち1本でも販売、或いは使用のために取り出された場合、容器内に空隙が生じ、全体としての安定性を欠く。
【0006】
このとき、単1形、或いは単2形といった、円筒状の電池の直径が電池の長さ寸法に対して比較的大きな電池、即ち太い電池もしくは角型電池であれば、多少の空隙が生じても安定性は損なわれず、転倒しない。
しかしながら単3形、単4形といった、電池の直径が長さ寸法に対して比較的小さな電池、即ち細い電池の場合では容易に転倒、遊動し、容器内に散乱する。また、単1形、単2形といった太い電池であっても、必ずしも転倒、散乱しないわけではない。さらに、電池が容器内に散乱することによって電池の端子部が他の電池と接触し、放電或いはショート等の事故が発生する虞も生じる。
【0007】
したがって、上述した従来の電池梱包体は、工場出荷時から店頭に陳列されるまでの製品の保管や運搬等の際の利便性には長けていたが、製品が店頭に陳列された以降においてはこれが重視されていなかった。
また、略同様の電池梱包形態を採用した当業者の製品が多く市場に流通しているため、他社との差別化を図ることができなかった。
よって、従来の電池梱包体には、保管時の利便性或いは製品訴求における独自性に問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点を克服し、電池梱包体の内部において、収納する電池を転倒、散乱させずに保持することができる電池梱包体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電池梱包体は、
円筒状もしくは多角柱状の有底容器と、
容器内部に配置される複数の電池であって、電池が相互に接するとともに、電池が容器の壁状内面に接するように配置されている複数の電池と、
容器の開口部に配置された蓋体とからなることを特徴とする。
【0010】
上述した容器は、熱可塑性樹脂を基材とし構成されることが好適である。
【0011】
上述の電池が、複数の電池を一体的に包装した電池包装体であることが好適である。
【0012】
本発明の電池梱包方法の特徴は、
円筒状もしくは多角柱状の有底容器と、
容器内部に配置される複数の電池であって、電池が相互に接するとともに、電池が容器の壁状内面に接するように配置されている複数の電池と、
容器の開口部に配置された蓋体とからなることを特徴とする電池梱包体を用いる電池梱包方法であって、
複数の電池を一体的に包装した電池包装体を、隣接する他方の電池包装体との側面同士において対接し、電池包装体の姿勢が相互に支持される位置に配置するという点にある。
【発明の効果】
【0013】
かかる構成により、電池梱包体の内部に収納する電池を転倒、散乱させずに保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本実施形態について図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の電池梱包体100を構成する有底容器101及び着脱自在な蓋部102を示す概念図である。
尚、図1において本実施形態を構成する部材以外は図示を省略し、また図示した部材においては、寸法或いは縮尺を実物とは一致させていない。以下、各図面においても同様である。
【0015】
図1における容器101及び蓋部102は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)や、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂を素材として真空成型され、円筒状に形成されている。容器101の深さ寸法dは、収納する電池104の長さ寸法と略同一に形成されており、電池104を直立させた状態で収納する。そして、所定の本数を収納した容器101の開口部に蓋部102を取り付けることで容器101が封塞され、電池梱包体100は電池104の保管、陳列、運搬等に対する利便性をもたらす。なお、容器101及び蓋部102の成型は、上述の真空成型に限らず、圧空成型等、他の手法によっても良い。
【0016】
図2は、本実施形態の容器101に収納される電池包装体103の一例の斜視図である。
電池包装体103は、収縮性フィルム105を熱収縮させて物品の表面に装着し、所定の形状に包装する、いわゆるシュリンクパック加工されている。
この電池包装体103は、シュリンクパック加工によって電池104が平面的に2本配列される。このため、電池包装体103を直立させた場合、単独の電池104に比べ、配列方向に対する安定性が向上する。即ち、電池104は、シュリンクパック加工されることによって、転倒しやすい方向を電池104の配列方向に対して垂直な2方向のみに限定することができる。
ここで、シュリンクパック加工は、専用の自動機器によって行われ、電池104の側面部のうち、製品名、商号、形式名等といった表示が記載されている面(製品表面)を所定の方向へ揃えて構成することが容易である。そして、電池包装体103の転倒しやすい方向面、即ち電池104の配列方向に対して垂直方向の面に製品正面が揃えられることが望ましい。また、これは上述の専用の自動機器によって、何らの負担もなく実現される。
【0017】
図3は、本実施形態の電池梱包体100において、蓋部102が取り外された状態の容器101を示す上面図である。
容器101には、図2に示す上述のシュリンクパック加工された電池包装体103が4パック収納される。電池包装体103は、容器101の底面に接地して直立し、容器101の壁状内面にそれぞれ接するように配置され、収納される。そして、隣接する他方の電池包装体103との側面同士において対接し、電池包装体103の姿勢が相互に支持される。
また、容器101の中央部に設けられた支持体106が電池包装体103の容器101の中心側の側面と対接することで、略水平方向への電池包装体103の遊動が拘束される。これにより、電池包装体103は、容器101の内壁面側において2点、支持体106において2点、そして電池包装体103同士がその両端において対接することによる2点、計6点で支持される。これにより、容器101内において電池包装体103の転倒、散乱を抑止することができる。
また、このとき、容器101の壁状内面方向、即ち容器101の外方向に電池104の製品正面が対向するように電池包装体103が収納されることが望ましい。これにより、電池梱包体100の外観は、全面においてそろえられた表示を有する優れた外観を構成する。
【0018】
電池包装体103を支持する支持体106は、容器101の底面から突出するように形成されたものであっても、電池包装体103が配置された後に容器101の中央に挿入されるものであっても良く、樹脂フィルムや気泡緩衝材を支持体として用いても良い。さらにまた、その素材は電池包装体103を支持できる適度な強度と可撓性或いは柔軟性を持つ素材であれば良い。
【0019】
そして、電池包装体103を収納した容器101の開口部に着脱自在の蓋部102を取り付けることによって、容器101が封塞される。容器101の壁状外面の上部には、所定の大きさの山型の凸部107が全周にわたって形成されている。また、蓋部102の壁状内面には、凸部107の形状に嵌合する形状の凹部108が全周にわたって形成されている。ポリエチレンやポリプロピレン或いはポリエチレンテレフタレート等によって構成された容器101及び蓋部102には可撓性があり、所定の圧力以上で蓋部102を押下されることで凸部107と凹部108が嵌合され、容器101の開口部が封塞される。
【0020】
これにより、電池包装体103は、それぞれが互いに対接しつつ、容器101の壁状内面と、支持体106とにより姿勢が支持され、何れの方向にも遊動せず、容器101内において転倒、散乱しない。また、容器101の開口部は蓋部102によって封塞されるため、振動や衝撃が加わったとしても、容器101から電池104が欠落されない。
【0021】
本実施形態の電池梱包体100の外観は、容器101に収納された電池104の製品正面が揃った状態であるため、電池梱包体100に特段の表記や説明等が表示されていなくとも見栄えが良く、優れた製品訴求効果を発揮する。
また、本実施形態の電池梱包体100は、円筒状の電池等を店頭に陳列する形態の電池梱包体としては、透視性のある円筒状の容器そのものが製品の形状として新鮮であり、消費者の購買意欲を惹起する作用効果も期待できる。つまり、電池梱包体100自体が製品のPOP(Point of purchase)広告になり得る作用効果をも発揮する。
【0022】
上述したように、本実施形態の電池梱包体100は、容器101内での電池104の転倒、散乱を抑止するための整列配置を行うことにより、優れた美観性の向上をも達成することができる。
【0023】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【0024】
例えば、本発明の容器101は円筒状のものを例示したが、図4に示す、八角形の容器201のような多角柱であっても良い。
八角形の容器201は、円筒状の容器101に比べ、店頭において棚等の什器に複数陳列する場合、互いに接触する面が平面であるために略水平方向における安定性の向上と、省スペースを実現することができる。また、運搬時においても同様の作用効果を発揮するため、コスト低減にも貢献することができる。
【0025】
さらに、本発明の容器101を封塞する蓋部102は、所定の形状の凹凸部が互いに嵌合することによって固定されるとした。しかし、容器101及び蓋部102双方に、同一のピッチの螺旋状の溝を形成することによるねじ込み式による固定を行なっても良い。
その他、開口部を封塞するための種々の加工を適宜採用することは構わない。
【0026】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる各部材の形状等は、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態の電池梱包体を構成する容器及び着脱自在な蓋部を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態の容器に収納される電池包装体の一例の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態の電池梱包体において、蓋部が取り外されている容器を示す上面図である。
【図4】本発明の容器の他の一例の態様を例示した概念図である。
【符号の説明】
【0028】
100…電池梱包体
101…容器
102…蓋部
103…電池包装体
104…電池
105…収縮性フィルム
106…支持体
107…凸部
108…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状もしくは多角柱状の有底容器と、
前記容器内部に配置される複数の電池であって、前記電池が相互に接するとともに、前記電池が前記容器の壁状内面に接するように配置されている複数の電池と、
前記容器の開口部に配置された蓋体とからなることを特徴とする電池梱包体。
【請求項2】
前記容器は、熱可塑性樹脂を基材とし構成されること特徴とする、請求項1に記載の電池梱包体。
【請求項3】
前記電池は、複数の電池を一体的に包装した電池包装体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池梱包体。
【請求項4】
請求項1に記載の容器を用いる電池梱包方法であって、
複数の電池を一体的に包装した電池包装体を、隣接する他方の電池包装体との側面同士において対接し、電池包装体の姿勢が相互に支持される位置に配置することを特徴とする電池梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−37904(P2009−37904A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201772(P2007−201772)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】