説明

電池残量判定装置、電池残量判定方法

【課題】特性が異なる複数種類の電池の何れが使用される場合であっても、適切に末期判定する。
【解決手段】制御部25は、A/D変換部36を通じて、撮影動作に伴う特定負荷への電流供給をしていない時の電池35の電圧値(第1電圧値)と、特定負荷への電流供給をしている時の電池35の電圧値(第2電圧値)とを検出し、第1電圧値と第2電圧値との差を算出し、算出された電圧値と予め設定された基準値とをもとに電池35の残量を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの電池を電源とする装置の電池残量判定装置、電池残量判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラや携帯電話機、PDA(personal digital assistant)などの携帯型の電子機器は、電池(乾電池)を電源として動作することができる。こうした装置では、電池の残量を検出して、ユーザに通知する機能が設けられている。
【0003】
従来、電池残量を検出する方法としては、電池電圧を測定し、この電圧値が規定値以下となった場合に、電池残量が少なくなっているものと判断している。
【0004】
例えば、電池の電圧値を測定し、装置の動作モード変動直後の回路安定までの電流増加分による電池電圧の降下値を測定し、この測定した降下値によって電池の電圧低下を検出する電池残量警告回路が考えられている(例えば、特許文献1)。
【0005】
電池の種類には、アルカリ電池、ニッケル水素電池、ニッカド電池の他、近年では正極にオキシ水酸化ニッケル、新二酸化マンガン及び新黒鉛を用いることで従来の例えばアルカリ電池などよりも高電圧を保持し続けることができる電池(以下、高電圧保持電池)なども使用されてきている。こうした様々の電池は、種類によって、使用に伴って変化する放電カーブ電圧特性が異なっている。例えば、図4には、アルカリ電池等の一般の放電カーブの特性と、高電圧保持電池の放電カーブの特性を示している。
【特許文献1】特開2004−37299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来では、電池の電圧値を測定して電池残量を判別しているが、図4に示すように、電池の種類によって電圧特性が異なるため、電池の使用が不可の状態にあることを判定するための末期判定を適切にできない場合が生じてしまう。
【0007】
例えば、図4に示す特性に示すように、アルカリ電池等では使用開始から急激に電圧値が低下するが2.0V以上の電圧で安定した状態が継続し、2.0V以下でもゆるやかに電圧値が低下していく。一方、高電圧保持電池では、使用開始からアルカリ電池等と比較して高電圧を保持し続けることができるが、2.0V以下では急激に電圧値が低下してしまう。
【0008】
従って、末期判定をするための基準電圧値を2.0Vとすると、アルカリ電池では末期判定がされた時に、例えばデジタルカメラにおいてズームレンズが繰り出された状態にあったとしても、電池の電圧が急激に低下しないので、末期判定後にレンズを収納させることができる。これに対して、高電圧保持電池では、末期判定された時点で急激に電圧値が低下してしまうために、レンズを収納するための動作が実行できず、レンズが繰り出された状態で動作が停止してしまうおそれがあった。
【0009】
一方、こうした高電圧保持電池を用いた場合を想定して、例えば基準電圧値を2.2Vとすれば、高電圧保持電池を用いた場合でも末期判定した後にレンズを収納してから動作を停止させることができる。しかしながら、この場合では、アルカリ電池等では早い段階で2.2Vに到達してしまうため、電池残量があるにも関わらず末期として判定されてしまう。
【0010】
本発明の課題は、特性が異なる複数種類の電池の何れが使用される場合であっても、適切に末期判定することが可能な電池残量判定装置、電池残量判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、電池の残量を判定する電池残量判定装置において、
特定負荷への電流供給をしていない時の前記電池の電圧値を検出する第1検出手段と、前記特定負荷への電流供給をしている時の前記電池の電圧値を検出する第2検出手段と、前記第1検出手段により検出された第1電圧値と前記第2検出手段により検出された第2電圧値との差を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された電圧値と予め設定された基準値とをもとに前記電池の残量を判定する判定手段とを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記特定負荷への電流供給の開始の指示を判別する判別手段を具備し、前記第1検出手段は、前記判別手段による判別に応じて、前記特定負荷への電流供給が開始される直前の電圧値を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1検出手段は、前記特定負荷へ電流供給する前後で電圧値を検出し、前記第2検出手段は、前記特定負荷へ電流供給をしている時に複数回、電圧値を検出し、前記算出手段は、前記第1検出手段により検出された電圧値の平均と、前記第2検出手段により検出された電圧値の平均との差を算出することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、複数の電池の種類別に前記判定手段による判定のもとになる基準値を記録する判定条件記録手段と、前記判定手段は、前記判定条件記録手段により記録された、判定対象とする電池に応じた基準値をもとに、電池の残量を判定することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、電池の種類を示す種類情報を入力する種類情報入力手段を具備し、前記判定手段は、前記種類情報入力手段により入力された種類情報に対応する前記判定条件記録手段により記録された基準値をもとに、電池の残量を判定することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記電池の初期の電圧値を検出する初期電圧値検出手段と、前記電圧値検出手段により電圧値を検出してから所定時間が経過した後の電圧値を測定する経過後電圧値検出手段と、前記初期電圧値検出手段により検出された電圧値と前記経過後電圧値検出手段により検出された電圧値との差をもとに前記電池の種類を判別する電池種類判別手段とを有し、前記判定手段は、前記電池種類判別手段により判別された種類に対応する前記判定条件記録手段により記録された基準値をもとに、電池の残量を判定することを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記判定手段は、現在必要とする電池残量を判別するための基準値をもとに、前記電池の残量を判定することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、電池により駆動されるデジタルカメラにおいて、シャッタ駆動をしていない時の前記電池の電圧値を検出する第1検出手段と、前記シャッタ駆動をしている時の前記電池の電圧値を検出する第2検出手段と、前記第1検出手段により検出された第1電圧値と前記第2検出手段により検出された第2電圧値との差を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された電圧値と予め設定された基準値とをもとに前記電池の残量を判定する判定手段とを具備したことを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明は、電池の残量を判定する電池残量判定方法であって、特定負荷への電流供給をしていない時の前記電池の電圧値を検出する第1検出ステップと、前記特定負荷への電流供給をしている時の前記電池の電圧値を検出する第2検出ステップと、前記第1検出ステップにより検出された第1電圧値と前記第2検出ステップにより検出された第2電圧値との差を算出する算出ステップと、前記算出ステップにより算出された電圧値と予め設定された基準値とをもとに前記電池の残量を判定する判定ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1,8,9記載の発明によれば、特定負荷に対して電流供給していない安定時の電池の電圧と、特定負荷に対して電流供給することで降下した電池の電圧値との差をもとに残量を判別するので、電池の種類によって異なる放電カーブと末期近くの電圧ドロップの特性を利用して、単に電池の電圧値だけでは末期状態を判断することができない種類の電池についても、正しく残量判定することが可能となる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、特定負荷への電流供給の開始の指示、例えばデジタルカメラにおけるシャッタ操作があったことを判別した場合に、シャッタ駆動のための負荷への電流供給が開始される直前の電圧値を検出することで、電池の残量判定に必要なタイミングでのみ電圧値の検出をすれば良いので、電池残量判定による処理負担が増大されるおそれがない。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、特定負荷へ電流供給する前後において検出される電圧値と、特定負荷へ電流供給をしている時に複数回検出される電圧値のそれぞれの平均値とをもとにして電池の残量判定をするので、瞬間的に現れる電圧値の変動などの影響を低減して、安定した電池残量の判定をすることができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、複数の電池の種類別に判定のもとになる基準値を記録しておき、判定対象とする電池に応じた基準値をもとに電池の残量を判定することで、電池の種類に応じた特性を利用して、より安定して電池の残量判定をすることができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、電池の種類を示す種類情報を入力できるようにすることで、例えばユーザが装置に装着した電池の種類を指定して、電池の残量判定に用いる基準値を設定することができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、種類の異なる電池では放電カーブの特徴が異なることを利用して、電池の初期の電圧値と所定時間が経過した後の電圧値との差をもとにして、使用されている電池の種類を判別し、電池の残量判定に用いる基準値を設定することができる。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、現在必要とする電池残量を判別するための基準値をもとに電池の残量を判定できるようにすることで、例えばデジタルカメラにおいてズームレンズの繰り出し中では、このズームレンズを収納する動作が可能な電池残量を残すようにして電池の末期判定することができ、ズームレンズが繰り出された状態で動作不能となるような状況を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態における電池残量判定装置を実現するカメラ装置1の構成を示すブロック図である。カメラ装置1は、例えばデジタルスチルカメラであり、電池を電源として動作することができる。
【0029】
図1に示すカメラ装置1において、基本モードである撮影モードにおいては、レンズ光学系において、モータ(M)10の駆動により絞り位置や通常撮影に応じたレンズ位置に撮影レンズ11が移動される。また、撮影レンズ11は、ズーム操作に応じて、図示せぬモータの駆動により繰り出し/収納される。撮影レンズ11の撮影光軸後方に配置された撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)12は、タイミング発生器(TG)13、垂直ドライバ14によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0030】
この光電変換出力は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整された後に、サンプルホールド(S/H)回路15でサンプルホールドされ、A/D変換器16でデジタルデータに変換され、さらにカラープロセス回路17で画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理が行なわれて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb,Crが生成され、DMA(Direct Memory Access)コントローラ18に出力される。
【0031】
DMAコントローラ18は、カラープロセス回路17の出力する輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを、同じくカラープロセス回路17からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度DMAコントローラ18内部のバッファに書込み、DRAMインタフェース(I/F)20を介してバッファメモリとして使用されるDRAM21にDMA転送を行なう。
【0032】
制御部25は、CPUと、該CPUで実行される動作プログラムやデータ等を固定的に記録したROM、及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成され、このカメラ装置1全体の制御動作を司る。例えば、制御部25は、電池残量判定処理プログラムに従う電池残量判定処理を実行することで、電源として用いられる電池35の残量判定のための処理を実行することができる。
【0033】
制御部25は、輝度及び色差信号のDRAM21へのDMA転送終了後に、この輝度及び色差信号をDRAMインタフェース20を介してDRAM21より読出し、VRAMコントローラ26を介してVRAM27に書込む。
【0034】
デジタルビデオエンコーダ28は、輝度及び色差信号をVRAMコントローラ26を介してVRAM27より定期的に読出し、これらのデータを元にビデオ信号を発生して表示部29に出力する。
【0035】
表示部29は、撮影モード時にはモニタ表示部(電子ファインダ)として機能し、デジタルビデオエンコーダ28からのビデオ信号に基づいた表示を行なうことで、その時点でVRAMコントローラ26から取込んでいる画像情報に基づく画像(スルー画像)をリアルタイムに表示することになる。
【0036】
表示部29にスルー画像がリアルタイムに表示されている表示状態で、静止画像を撮影するタイミングでキー入力部37のシャッタキーが操作されると、トリガ信号を発生する。
【0037】
制御部25は、このトリガ信号に応じてその時点でCCD12の駆動を停止した後、自動露出処理を実行して適正な露出値を得て、レンズ光学系の絞りとCCD12の露光時間を制御してあらためて撮像を実行させる。
【0038】
こうして新たに得られた1フレーム分の画像データがDRAM21にDMA転送されて書込まれた後、制御部25がDRAM21に書込まれている1フレーム分の画像データを読出して画像処理部30に書込む。画像処理部30は、画像データに対して、JPEG(Joint Photographic Experts Group)により画像データを符号化する。
【0039】
符号化された画像データは、カメラ装置1の記録媒体として着脱自在に装着されているメモリカード32、あるいはメモリカード32が装着されていない場合は固定的に内蔵されている内蔵メモリ33に書き込まれる。
【0040】
そして、1フレーム分のメモリカード32または内蔵メモリ33への画像データの書込み終了に伴なって、制御部25は、CCD12からDRAM21を経由したスルー画像を表示部29においてモニタ表示させる駆動を再開する。
【0041】
また、制御部25には、電源制御部34、キー入力部37、音声処理部40、ストロボ駆動部41が接続される。
【0042】
電源制御部34は、制御部25の制御のもとで、電池35から各部に対して電源供給するための制御を行う。
【0043】
電池35は、各部を動作させるための電源であり、各種の種類のものを使用可能である。例えばアルカリ電池、ニッケル水素電池、ニッカド電池などの他、正極にオキシ水酸化ニッケル、新二酸化マンガン及び新黒鉛を用いた高電圧保持電池を使用することができる。この高電圧保持電池は、アルカリ電池等と比較して電圧値を高く保持し続けるが、末期近くで(電池残量が少なくなった状態)で大電流が流れた場合に、電圧値の落ち込み(ドロップ)が大きい特性を有している(図3、図4参照)。
【0044】
A/D変換部36は、電池35に接続されており、電池35の電圧値を示すデータを制御部25に出力する。
【0045】
制御部25は、電池残量判定処理プログラムに従う電池残量判定処理において、A/D変換部36を通じて電池35の電圧値を取得して、この電圧値と予め設定された基準値とをもとに電池35の残量を判定する(末期判定)。制御部25は、カメラ装置1で使用される複数の電池の種類別に電池残量判定処理で用いられる基準値のデータを、判定条件テーブル25aとしてメモリに記録して保持している(第3実施形態)。
【0046】
キー入力部37は、電源キー、シャッタキー、モードスイッチ、メニューキー、選択キー、及び十字キー(カーソルキー)等から構成され、それらのキー操作に伴なう信号は直接制御部25へ送出される。
【0047】
音声処理部40は、PCM音源等の音源回路を備え、音声の録音時にはマイクロホン部(MIC)42より入力された音声信号をデジタル化し、所定のデータファイル形式、例えばMP3(MPEG-1 Audio Layer-3)規格に従ってデータ圧縮して音声データファイルを作成してメモリカード32または内蔵メモリ33へ送出する一方、音声の再生時にはメモリカード32または内蔵メモリ33から送られてきた音声データファイルの圧縮を解いてアナログ化し、スピーカ部(SP)43を駆動して、拡声放音させる。
【0048】
さらに音声処理部40は、制御部25からの制御に基づいて、各種動作音、例えばシャッタキーの操作に伴う擬似的なシャッタ音、他のキーの操作に伴うビープ音等も発生してスピーカ部43より拡声放音させる。
【0049】
ストロボ駆動部41は、静止画像撮影時に図示しないストロボ用の大容量コンデンサを充電した上で、制御部25からの制御に基づいてストロボ発光部45を閃光駆動する。
【0050】
(第1実施形態)
次に、第1実施形態のカメラ装置1における電源残量判定処理について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、電池35として、アルカリ電池や高電圧保持電池がユーザにより任意に装着されて使用されるものとする。
【0051】
図3(a)(b)は、カメラ装置1で使用される電池35の種類の違いによる電圧値の変化特性を示す図であり、例えばズーム駆動、フォーカス駆動、シャッタ駆動を含む一連の撮影動作を例えば10秒毎に繰り返して実行した場合の例を示している。図3(a)は、アルカリ電池の電圧変化を示す図であり、図3(b)は高電圧保持電池の電圧変化を示す図である。図3に示すように、各撮影動作を実行するために各部に電流供給することで、各撮影動作の実行に合わせて電圧値の落ち込みが発生している。また、図4は、アルカリ電池等の一般の放電カーブの特性と、高電圧保持電池の放電カーブの特性を電池の末期近くの状態をわかりやすく示す図である。
【0052】
図3(a)に示すように、アルカリ電池では、電圧値が高い状態にある時から電圧値が低くなるまで、撮影動作を実行(電流供給)した時の電圧値の電圧降下値(ドロップ幅)が徐々に大きくなる。これに対して、図3(b)に示すように、高電圧保持電池では、電圧値が高い状態にある時には、撮影動作を実行(電流供給)した時の電圧値降下値は小さいが、電圧値が下がってくるに従って電圧降下値が急激に大きくなってくるという特性を有している(図3中の破線で示す範囲を参照)。
【0053】
図5には、図3(b)に示す破線で示す範囲を拡大してわかりやすく示す図である。図5に示すように、撮影動作を実行するために各部(負荷)に電流供給することで、各部の駆動に合わせて電圧値の落ち込みが発生しており、特に図中に円で示すシャッタ駆動において最も大きな落ち込みが発生している。高電圧保持電池の場合、撮影動作を実行していない時(無負荷時)では高電圧状態にあっても、図4に示すように末期近くになると負荷時の落ち込みが大きくなり、その後、急激に無負荷時における電圧値も降下する。図6は、アルカリ電池と高電圧保持電池の負荷時のドロップ量を比較して示す図である。
【0054】
そこで、電池別のシャッタ駆動などの負荷時におけるドロップ量、例えば図6(c)に示す高電圧保持電池の負荷時の落ち込み(ドロップ量)をもとに、高電圧保持電池の末期を判定することができる電圧降下値に対する基準値を設定しておく。
【0055】
第1実施形態では、カメラ装置1の制御部25(CPU)は、通常の動作状態においては、残量判定の処理が他の動作に影響を与えないように一定時間(例えば1秒)ごとに電池残量判定処理を実行する。
【0056】
制御部25は、前回実行した電池残量判定処理から所定時間経過したことを判別すると(ステップA0、Yes)、他の動作中である場合には(ステップA1、Yes)、その動作が終了するのを待ってから電池35の電圧測定を実行する(ステップA1、No)。
【0057】
制御部25は、A/D変換部から電池の電圧値を示すデータを取得し、これを無負荷時の検出電圧として記録しておく(ステップA2)。ここで、制御部25は、記録された無負荷時の電圧値と、高電圧保持電池以外のアルカリ電池等の末期を判定するために設定された基準電圧値とを比較して末期判定を行う(ステップA3)。この結果、検出された電圧値が基準電圧値以下であった場合には(ステップA3、Yes)、使用されている電池35がアルカリ電池など高電圧保持電池以外であり、末期状態にあるものと判定する。
【0058】
この場合、制御部25は、VRAMコントローラ26を通じて、表示部29において電池残量の低下を通知するための表示をする、あるいは音声処理部40を通じてスピーカ部43から所定の警告音を出力することにより、ユーザに対して電池残量の低下を報知する(ステップA9)。
【0059】
また、現在、処理途中にある動作の全てを完了させ(ステップA10)、撮影レンズ11を収納して正常に終了させた後に(ステップA11)、各部への電源供給を停止(オフ)させる(ステップA12)。
【0060】
一方、無負荷時の電圧値が基準電圧値以下でなかった場合には、制御部25は、特定の負荷に対する電流供給を、電源制御部34に対して開始させる(ステップA4)。ここでは、ユーザ操作に応じて実行される機能を実現するための構成部品に対する電流供給としても良いし、あるいは電源残量判定のために実装されたダミー負荷としても良い。
【0061】
ここで、制御部25は、負荷へ電源供給することで変化した電池電圧を測定し、 負荷時の検出電圧として記録しておく(ステップA5)。そして、制御部25は、特定の負荷に対する電流供給を停止させる(ステップA6)。
【0062】
ここで、制御部25は、先に記録している無負荷時と負荷時の検出電圧の差を検出し(ステップA7)、この電圧の差が予め決められた所定値(基準値)以上となっているかを判別する(ステップA8)。
【0063】
ここで、無負荷時と負荷時の検出電圧の差が所定値以上でなかった場合には、制御部25は、電池35の残量が十分にあるものと判定する(ステップA8、No)。
【0064】
一方、無負荷時と負荷時の検出電圧の差が所定値以上であった場合には(ステップA8、Yes)、制御部25は、電池35の残量が少なくなり末期状態にあるものと判定する。すなわち、電池35の無負荷時の電圧値が高い状態にあったとしても、図4に示す特性に示すように、高電圧保持電池であるために急激に電圧値が降下していくおそれがあり、末期状態であるものと判定する。
【0065】
制御部25は、VRAMコントローラ26を通じて、表示部29において電池残量の低下を通知するための表示をする、あるいは音声処理部40を通じてスピーカ部43から所定の警告音を出力することにより、ユーザに対して電池残量の低下を報知する(ステップA9)。
【0066】
そして、現在、処理途中にある動作の全てを完了させ(ステップA10)、撮影レンズ11を収納して正常に終了させた後に(ステップA11)、各部への電源供給を停止(オフ)させる(ステップA12)。
【0067】
このようにして、第1実施形態では、無負荷時の電池電圧と無負荷時の電池電圧との差をもとにして、電池残量の判定を実行するので、電池電圧が高くても、末期近くでは動作時に電圧値が大きく低下してしまう特性を有する電池が使用されている場合であっても、処理途中の動作を完了させるだけの電池残量を残すように残量低下を判定して、現在の動作状態を正常に終了させることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のカメラ装置1における電源残量判定処理について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
第2実施形態では、カメラ装置1の一連の撮影動作においてシャッタ駆動時が最も電池35の電圧降下値が大きいことを利用し、シャッタ駆動前後の電池35の電圧値とシャッタ駆動中の電圧値との差をもとにして、電池35の残量判定を実行する。
【0069】
図8は、図5に示す高電圧保持電池を使用している場合のカメラ装置1の撮影動作に伴う電圧変化を示す図である。図8は、例えばズーム駆動、フォーカス駆動、シャッタ駆動を含む一連の撮影動作を10秒間隔で繰り返して実行した場合の電圧変化を示しており、シャッタ駆動時の電圧降下が最も大きいことを示している。なお、図8におけるシャッタ駆動による電圧降下している時間は、説明をわかりやすく拡大して示すものである(実際には、シャッタ駆動に伴って電圧が降下している時間は20ms程度)。また、図8中において電池電圧の測定タイミングをグラフ中の縦線により示している(通常の動作時には一定時間(例えば1秒)ごと)。
【0070】
まず、制御部25は、キー入力部37のシャッタボタンに対する押下操作を検出すると(ステップB0、Yes)、シャッタ駆動を開始する直前にA/D変換部から電池35の電圧値を示すデータ(電圧値A)を取得して記録しておく(ステップB1)。つまり、図8中のAのタイミングで一定時間ごとの検出とは別に、シャッタ駆動のために各部(特定負荷)に電流供給することで電圧降下が発生する直前の電池35の電圧値を検出する。
【0071】
ここで、制御部25は、記録されたシャッタ駆動直前(無負荷時)の電圧値と、高電圧保持電池以外のアルカリ電池等の末期を判定するために設定された基準電圧値とを比較して末期判定を行う(ステップB3)。この結果、検出された電圧値が基準電圧値以下であった場合には(ステップB3、Yes)、使用されている電池35がアルカリ電池など高電圧保持電池以外であり、末期状態にあるものと判定する。
【0072】
この場合、制御部25は、VRAMコントローラ26を通じて、表示部29において電池残量の低下を通知するための表示をする、あるいは音声処理部40を通じてスピーカ部43から所定の警告音を出力することにより、ユーザに対して電池残量の低下を報知する(ステップB11)。
【0073】
また、現在、処理途中にある動作の全てを完了させ(ステップB12)、撮影レンズ11を収納して正常に終了させた後に(ステップB13)、各部への電源供給を停止(オフ)させる(ステップB14)。
【0074】
一方、シャッタ駆動直前の電圧値が基準電圧値以下でなかった場合には、制御部25は、シャッタ駆動を開始し、電源制御部34によりシャッタ駆動を実行するための各部に対して電流を供給する。これにより、電池35の電圧値が図8に示すように降下する。
【0075】
ここで、制御部25は、A/D変換部から電池35の電圧値を示すデータ(電圧値B)を取得して記録しておく(ステップB4)。つまり、図8中のBのタイミングで電圧降下が発生している間の電池35の電圧値を検出する。
【0076】
さらに、シャッタ駆動が終了しない範囲で所定時間待機した後(ステップB5)、同様にして、図8中のCのタイミングで電圧降下が発生している間の電池35の電圧値(電圧値C)を測定して記録しておく(ステップB6)。
【0077】
その後、制御部25は、シャッタ駆動を停止させ(ステップB7)、電源制御部34によりシャッタ駆動を実行するための各部に対する電流の供給を停止する。これにより、電池35の電圧値が図8に示すようにシャッタ駆動前の電圧値程度に戻る。ここで、制御部25は、シャッタ駆動が終了した直後にA/D変換部から電池35の電圧値を示すデータ(電圧値D)を取得して記録しておく(ステップB8)。
【0078】
そして、制御部25は、シャッタ駆動の前後で測定した電圧値A,Dと、シャッタ駆動の間に測定した電圧値B,Cとをもとに、シャッタ駆動をしていない時の電圧値とシャッタ駆動時の電圧値との差を算出する(ステップB9)。すなわち、(電圧値A+電圧値D)/2−(電圧値B+電圧値C)/2により、シャッタ駆動の前後で測定した電圧値A,Dの平均値とシャッタ駆動の間に測定した電圧値B,Cの平均値との差を算出する。
【0079】
ここで、制御部25は、シャッタ駆動前後の電圧値の平均値とシャッタ駆動の間の電圧値の平均値との差が予め決められた所定値以上となっているかを判別する(ステップB10)。
【0080】
ここで、平均値の差が所定値以上でなかった場合には、制御部25は、電池35の残量が十分にあるものと判定する(ステップB10、No)。
【0081】
一方、平均値の差が所定値以上であった場合には(ステップB10、No)、制御部25は、電池35の残量が少なくなり末期状態にあるものと判定する。すなわち、電池35のシャッタ駆動前後の電圧値が高い状態にあったとしても、図4に示す特性に示すように、高電圧保持電池であるために急激に電圧値が降下していくおそれがあり、末期状態であるものと判定する。
【0082】
制御部25は、VRAMコントローラ26を通じて、表示部29において電池残量の低下を通知するための表示をする、あるいは音声処理部40を通じてスピーカ部43から所定の警告音を出力することにより、ユーザに対して電池残量の低下を報知する(ステップB11)。
【0083】
そして、現在、処理途中にある動作の全てを完了させ(ステップB12)、撮影レンズ11を収納して正常に終了させた後に(ステップB13)、各部への電源供給を停止(オフ)させる(ステップB14)。
【0084】
このようにして、第2実施形態では、電池35の電圧降下が大きいシャッタ駆動に伴う電圧降下を対象として、シャッタ駆動の前後とシャッタ駆動中に電池35の電圧値を測定して電池35の残量判定を実行するので、常時(例えば1秒より短い間隔)、電池35の電圧測定する必要がなく、電池残量判定による処理負担が増大されるおそれがない。また、複数回の電圧測定による平均値を用いて判定をするので、瞬間的に現れる電圧値の変動などの影響を低減することができ、安定した電池残量の判定が可能となる。
【0085】
なお、シャッタ駆動前後に測定した2回の平均値とシャッタ駆動時の2回の平均値とを用いている電圧値の差を算出しているが、電池35の電圧値を3回以上測定して平均値を算出するようにしても良い。また、シャッタ駆動前後に測定する回数とシャッタ駆動の間に測定する回数とが同じでなくても良い。
【0086】
さらに、前述した説明では、シャッタ駆動時を対象として、駆動前後の電圧値と駆動中の電圧値との差をもとにして電池35の残量判定をしているが、その他の特定負荷に対する電流供給により電圧降下を伴う駆動動作を対象として実行するようにしても良い。
【0087】
また、シャッタ駆動時などの負荷時に電圧値の測定を実行するので、通常の一定時間(例えば1秒)ごとの電圧値の測定の回数を減らして、より負担が軽減されるようにしても良い。
【0088】
(第3実施形態)
第3実施形態では、電池35の種類に応じた基準値を用いて電池残量判定処理を実行することで、電池種類の違いに関係なくより正確に残量(末期)判定をできるようにする。
【0089】
図9には、制御部25に予め用意される判定条件テーブル25aに登録されるデータの一例を示している。
【0090】
判定条件テーブル25aには、電池種類別に、定常動作時における電圧判定条件(電圧値)と、特定負荷(例えば、シャッタ駆動に関係する構成部)に電流供給することで降下する電圧に対する電圧降下判定条件(電圧値幅)と、電圧判定条件と電圧降下判定条件の両方に基づいて判定するか(AND条件)、あるいは一方に基づいて判定するか(OR条件)を示すAND/OR条件とが設定されている。
【0091】
例えば、図9では、アルカリ電池、ニッケル電池、高電圧保持電池などについてそれぞれのデータが登録されている。また、電池種類が特定されない場合のデフォルトのデータが登録されている。アルカリ電池に対するデータとしては、電圧判定条件として2.0V以下、電圧降下判定条件として0.4V以上、AND/OR条件としてAND条件をそれぞれ示すデータが登録されている。また、デフォルトに対するデータとしては、電圧判定条件として2.0V以下、電圧降下判定条件として0.6V以上、AND/OR条件としてOR条件のデータが登録されている。
【0092】
まず、判定条件テーブル25aに登録された基準値を示すデータの何れを使用するかを設定するための処理について説明する。第3実施形態では、ユーザがカメラ装置1に装着した電池35の種類を設定するための電池種類設定処理、あるいはカメラ装置1に装着された電池種類を自動的に判別する電池種類判別処理によって電池35の種類を特定して、この種類に対応して判定条件テーブル25aに登録されたデータを用いて電池残量判定処理を実行する。何れの処理を実行するかは、予め何れか一方のみが実行されるようしても良いし、ユーザがモード設定等において何れか一方を任意に選択することで実行されるようにしても良い。
【0093】
まず、図10(a)に示すフローチャートを参照しながら、電池種類設定処理について説明する。
【0094】
まず、ユーザによるキー入力部37の所定のキー操作によって、電池種類の設定要求が入力された場合、制御部25は、判定条件テーブル25aに登録された電池種類に応じて用意された電池種類選択メニューを、VRAMコントローラ26を通じて表示部29において表示させる(ステップC1)。例えば、電池種類選択メニューには、アルカリ電池、ニッケル電池、高電圧保持電池など対応する選択項目が用意されている。
【0095】
ここで、ユーザは、キー入力部37の十字キー(カーソルキー)の操作によって、電池種類選択メニューの選択項目の何れかを任意に選択候補として指定し、選択キーの操作によって選択確定することができる。
【0096】
制御部25は、電池種類選択メニューから何れかの選択項目(電池種類)が選択されると(ステップC2、Yes)、この選択された電池種類を示す種類情報を記録しておく(ステップC3)。これにより、後述する電池残量判定処理において、判定条件テーブル25aに登録された種類情報に応じたデータを用いた処理を実行させることができる。
【0097】
次に、図10(b)に示すフローチャートを参照しながら、電池種類判別処理について説明する。電池種類判別処理は、電池35がカメラ装置1に装着されることにより実行される。まず、制御部25は、A/D変換部36を通じて、電池35の装着直後の初期状態の電圧値を取得して記録しておく(ステップD1)。
【0098】
その後、制御部25は、通常の動作を実行しながら、電池35が装着されてから所定時間が経過したかを判別する(ステップD2)。
【0099】
例えば、カメラ装置1では、通常の撮影モードにおいては、モニタ表示部(電子ファインダ)として、その時点でVRAMコントローラ26から取込んでいる画像情報に基づく画像(スルー画像)を表示部29においてリアルタイムに表示している。こうした、通常の動作を5〜10分程度実行することで電池35が消費されて、電池種類に応じた放電カーブに従い電圧が降下していく。
【0100】
制御部25は、所定時間(例えば10分)が経過したと判別されると、その時点における電池35の電圧値をA/D変換部36を通じて取得し(経過後電圧値)、この経過後電圧値と先に記録している初期電圧値との差をもとに電池種別を判別する(ステップD4)。
【0101】
例えば、図3または図4に示すように、アルカリ電池等と高電圧保持電池では放電カーブが異なるために、電池35が装着されて通常動作を実行している間に所定時間が経過した後には、電池の種類に応じた放電カーブに従う電圧に降圧していることになる。例えば、高電圧保持電池よりもアルカリ電池の方が電圧降下値が大きくなっている。従って、経過後電圧値と初期電圧値との差をもとにして、装着された電池35の種類を判別することができる。
【0102】
なお、撮影モードにおいてスルー画像を表示している場合には、例えば10分が経過後に経過後電圧値を検出するとしているが、別の動作モードが実行されている場合(例えば、再生モード)には、その動作モードに応じた時間経過が監視されるようにしても良い。
【0103】
なお、所定時間が経過した後の経過後電圧値との差から電池種類を判別できなかった場合には(ステップD5、No)、さらに所定時間が経過した後に、サイド、経過後電圧値を測定して、同様にして初期電圧値との差を求めて電池種類を判別する(ステップD2〜D4)。ただし、2回目以降の経過後電圧値の測定をする場合には、経過時間を短縮するようにしても良い。
【0104】
制御部25は、電池35の電圧値の変化から電池種類が判別されると(ステップD5、Yes)、この判別された電池種類を示す種類情報を記録しておく(ステップD6)。これにより、後述する電池残量判定処理において、判定条件テーブル25aに登録された種類情報に応じたデータを用いた処理を実行させることができる。
【0105】
次に、第3実施形態における電池残量判定処理について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0106】
まず、制御部25は、使用されている電池35についての種類情報が設定されているかを判別する(ステップE1)。
【0107】
ここで、種類情報が設定されていない場合には(ステップE1、No)、制御部25は、判定条件テーブル25aに登録されたデフォルトに対する判定条件を採用し、判定条件テーブル25aから取得される電圧判定条件、電圧降下判定条件、AND/OR条件の各データを後続する処理で用いるために一時記憶する(ステップE2)。
【0108】
一方、種類情報が設定されている場合には(ステップE1、Yes)、制御部25は、判定条件テーブル25aに登録された該当する電池種類に対する判定条件を採用し、同様にして判定条件テーブル25aから取得される各データを一時記憶する(ステップE3)。
【0109】
ここで、制御部25は、A/D変換部36を通じて、特定負荷に対して電流を供給していない定常時の電圧値を取得する(ステップE4)。制御部25は、定常時の電圧値と、電圧判定条件において設定された電圧値の条件を満たしているかを判別する(ステップE5)。例えば、デフォルトの判定条件が採用されている場合には、定常時の電圧が2.0V以下となっているかを判別する。
【0110】
この結果、電圧判定条件を満たしていないとは判別された場合(ステップE5、No)、制御部25は、AND/OR条件としてAND条件が登録されている場合には(ステップE6、Yes)、電池35の残量有り(末期ではない)と判定する(ステップE10)。
【0111】
また、AND/OR条件としてAND条件が登録されていない場合には(ステップE6、No)、制御部25は、特定負荷としてシャッタ駆動時の電圧降下値を測定する(ステップE8)。すなわち、A/D変換部36を通じて、第2実施形態と同様にして、シャッタ駆動時における電圧値を複数回(2回)取得して平均を求め、先に定常時に測定した電圧値との差を電圧降下値として算出する。
【0112】
制御部25は、電圧降下値が、電圧降下判定条件において設定された電圧の条件を満たしているかを判別する(ステップE9)。例えば、デフォルトの判定条件が採用されている場合には、電圧降下値が0.6以上となっているかを判別する。
【0113】
ここで、電圧降下判定条件を満たしてない場合には(ステップE9、No)、制御部25は、電池35の残量有り(末期ではない)と判定する(ステップE10)。一方、電圧降下判定条件を満たしている場合には(ステップE9、Yes)、制御部25は、電池35の残量無し(末期)と判定する(ステップE11)。
【0114】
一方、ステップE5において、電圧判定条件を満たしていると判別された場合(ステップE5、Yes)、制御部25は、AND/OR条件としてOR条件が登録されている場合には(ステップE7、Yes)、電池35の残量無し(末期)と判定する(ステップE11)。
【0115】
また、AND/OR条件としてOR条件が登録されていない場合には(ステップE7、No)、制御部25は、前述と同様にして、特定負荷としてシャッタ駆動時の電圧降下値を測定する(ステップE8)。
【0116】
制御部25は、電圧降下値が、電圧降下判定条件において設定された電圧の条件を満たしているかを判別する(ステップE9)。
【0117】
ここで、電圧降下判定条件を満たしてない場合には(ステップE9、No)、制御部25は、電池35の残量有り(末期ではない)と判定し(ステップE10)、電圧降下判定条件を満たしている場合には(ステップE9、Yes)、電池35の残量無し(末期)と判定する(ステップE11)。
【0118】
このようにして、第3実施形態では、判定条件テーブル25aに登録された判定条件を用いて残量判定を実行するので、実際に装着された電池35の電池種類に応じた適切な末期判定を実行することができる。また、AND/OR条件を設定しておくことで、電圧判定条件に基づく判定だけでなく、第1及び第2実施形態と同様にして定常時の電圧値と負荷時の電圧値との差(電圧降下値)をもとに判定することができる。従って、電池種類の特性に応じて、例えば電圧判定条件を用いた判定のみで十分な電圧特性を持つ電池、あるいは電圧判定条件だけでなく電圧降下判定条件による判定を必要とする特性を持つ電池など、それぞれに適した判定を実行できる。
【0119】
なお、前述した各実施形態では、定常時の電圧値と負荷時の電圧値との差について、予め設定された基準値との比較により電池35の残量判定をしているが、末期状態においてカメラ装置1の動作を正常に終了させるために必要となる電力量を残すことができるように、現在の動作状態に応じて基準値を動的に変更するようにしても良い。例えば、撮影モードにおいて撮影レンズ11がズーム位置に繰り出されている状態の場合には、撮影レンズ11を正常に収納させるための電力を残す基準値を用い、また再生モードにおいてモータ10等の駆動が不要である場合にはより低い基準値を用いるようにすれば良い。
【0120】
また、前述した実施形態では、カメラ装置1を対象として説明しているが、その他の電池により駆動される機器、例えば携帯電話機やPDA(personal digital assistant)などにおいて適用することができる。例えば、携帯電話機の場合では、負荷時の電圧値の測定として、発信あるいは着信時の電圧値を測定することで、前述した第1〜第3実施形態と同様にして電池35の残量判定を実行することができる。
【0121】
また、前述した各実施形態では、末期近くで急激に電圧が降下する特性を有する高電圧保持電池について適切に末期判定ができるものとしているが、その他の粗悪な品質により製造された電池、すなわち安定した電圧値を維持できずに急激に電圧が降下する特性(放電カーブ)を有する電池についても適切に末期判定をすることができる。
【0122】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0123】
また、カメラ装置1に搭載されるコンピュータに実行させることのできる電池残量判定処理プログラムを、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで、あるいは通信媒体を通じて提供することができる。電池残量判定処理プログラムによりカメラ装置1に搭載されたコンピュータの動作を制御することで、前述した実施形態における電池残量監視機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態における電池残量判定装置を実現するカメラ装置1の構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態のカメラ装置1における電源残量判定処理について説明するためのフローチャート。
【図3】カメラ装置1で使用される電池35の種類の違いによる電圧値の変化特性を示す図。
【図4】アルカリ電池等の一般の放電カーブの特性と、高電圧保持電池の放電カーブの特性を電池の末期近くの状態を示す図。
【図5】図3(b)に示す破線で示す範囲を拡大してわかりやすく示す図。
【図6】アルカリ電池と高電圧保持電池の負荷時のドロップ量を比較して示す図。
【図7】第2実施形態のカメラ装置1における電源残量判定処理について説明するためのフローチャート。
【図8】第2実施形態における電圧値測定の動作を説明するための図。
【図9】第3実施形態における制御部25に予め用意される判定条件テーブル25aに登録されるデータの一例を示す図。
【図10】第3実施形態における電池種類設定処理と電池種類判別処理の動作を説明するためのフローチャート。
【図11】第3実施形態における電池残量判定処理について説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0125】
1…カメラ装置、11…撮影レンズ、10…モータ(M)、12…CCD、13…タイミング発生器(TG)、14…垂直ドライバ、15…サンプルホールド回路(S/H)、16…A/D変換器、17…カラープロセス回路、18…DMAコントローラ、20…DRAMインタフェース(I/F)、21…DRAM、25…制御部、26…VRAMコントローラ、27…VRAM、28…デジタルビデオエンコーダ、29…表示部、30…画像処理部、32…メモリカード、33…内蔵メモリ、34…電源制御部、35…電池、36…A/D変換部、37…キー入力部、40…音声処理部、41…ストロボ駆動部、42…マイクロホン部(MIC)、43…スピーカ部(SP)、45…ストロボ発光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の残量を判定する電池残量判定装置において、
特定負荷への電流供給をしていない時の前記電池の電圧値を検出する第1検出手段と、
前記特定負荷への電流供給をしている時の前記電池の電圧値を検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段により検出された第1電圧値と前記第2検出手段により検出された第2電圧値との差を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された電圧値と予め設定された基準値とをもとに前記電池の残量を判定する判定手段と
を具備したことを特徴とする電池残量判定装置。
【請求項2】
前記特定負荷への電流供給の開始の指示を判別する判別手段を具備し、
前記第1検出手段は、前記判別手段による判別に応じて、前記特定負荷への電流供給が開始される直前の電圧値を検出することを特徴とする請求項1記載の電池残量判定装置。
【請求項3】
前記第1検出手段は、前記特定負荷へ電流供給する前後で電圧値を検出し、
前記第2検出手段は、前記特定負荷へ電流供給をしている時に複数回、電圧値を検出し、
前記算出手段は、前記第1検出手段により検出された電圧値の平均と、前記第2検出手段により検出された電圧値の平均との差を算出することを特徴とする請求項1記載の電池残量判定装置。
【請求項4】
複数の電池の種類別に前記判定手段による判定のもとになる基準値を記録する判定条件記録手段と、
前記判定手段は、前記判定条件記録手段により記録された、判定対象とする電池に応じた基準値をもとに、電池の残量を判定することを特徴とする請求項1記載の電池残量判定装置。
【請求項5】
電池の種類を示す種類情報を入力する種類情報入力手段を具備し、
前記判定手段は、前記種類情報入力手段により入力された種類情報に対応する前記判定条件記録手段により記録された基準値をもとに、電池の残量を判定することを特徴とする請求項4記載の電池残量判定装置。
【請求項6】
前記電池の初期の電圧値を検出する初期電圧値検出手段と、
前記電圧値検出手段により電圧値を検出してから所定時間が経過した後の電圧値を測定する経過後電圧値検出手段と、
前記初期電圧値検出手段により検出された電圧値と前記経過後電圧値検出手段により検出された電圧値との差をもとに前記電池の種類を判別する電池種類判別手段とを有し、
前記判定手段は、前記電池種類判別手段により判別された種類に対応する前記判定条件記録手段により記録された基準値をもとに、電池の残量を判定することを特徴とする請求項4記載の電池残量判定装置。
【請求項7】
前記判定手段は、現在必要とする電池残量を判別するための基準値をもとに、前記電池の残量を判定することを特徴とする請求項1記載の電池残量判定装置。
【請求項8】
電池により駆動されるデジタルカメラにおいて、
シャッタ駆動をしていない時の前記電池の電圧値を検出する第1検出手段と、
前記シャッタ駆動をしている時の前記電池の電圧値を検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段により検出された第1電圧値と前記第2検出手段により検出された第2電圧値との差を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された電圧値と予め設定された基準値とをもとに前記電池の残量を判定する判定手段と
を具備したことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項9】
電池の残量を判定する電池残量判定方法であって、
特定負荷への電流供給をしていない時の前記電池の電圧値を検出する第1検出ステップと、
前記特定負荷への電流供給をしている時の前記電池の電圧値を検出する第2検出ステップと、
前記第1検出ステップにより検出された第1電圧値と前記第2検出ステップにより検出された第2電圧値との差を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された電圧値と予め設定された基準値とをもとに前記電池の残量を判定する判定ステップとを有することを特徴とする電池残量判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−162402(P2006−162402A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353285(P2004−353285)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】