説明

電池残量案内システム及び、それが適用された電子黒板装置

【課題】電池の電力を消費する副装置から電池残量を案内する機能を省略可能な電池残量案内システムを提供する。
【解決手段】電池残量案内システムは、電子黒板部2と、電池から供給される電力を消費しつつ電子黒板部2と分離されて使用されるペン4と、を備え、ペン4には、電池5が供給できる電力の残量を検出し、検出した電池残量の情報を赤外線にて送信可能なLED基板4Dが設けられ、電子黒板部2に取り付けられたコイン検出装置3には、ペン4から送信された電池残量の情報を受信する赤外線受光装置SJと、複数の色で発光するLED基板LKと、赤外線受光装置SJの受信結果に基づいてLED基板LKの発光する色を制御することにより電池5の電池残量を使用者に案内する制御ユニットSUとが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池が供給可能な電力の残量を使用者に案内する電池残量案内システム及び、それが適用された電子黒板装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池中の電力を消費しつつ主装置と分離されて使用される副装置が存在する。このような副装置の一例として、主装置としての電子黒板から分離されて使用され、電子黒板に文字等を描くために内蔵の電池から供給される電力を消費して超音波及び赤外線を出力する電子黒板用のペンが知られている(例えば、特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2及び3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−58425号公報
【特許文献2】特開2002−79792号公報
【特許文献3】特開2005−135081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電子黒板装置に使用される専用ペンには、通常、再充電可能な電池及び、充電装置が内蔵されるとともに、当該電池の電力状態を表示する表示部が設けられている。そして、この専用ペンに設けられた表示部を通じて、使用者は専用ペンに内蔵の電池の電池残量を認識する。しかし、このように専用ペン側に充電装置や表示部が設けられると、本来、紛失等され易く消耗品として扱われるべき専用ペンの高額化を招いてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、電池の電力を消費する副装置から電池残量を案内する機能を省略可能な電池残量案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池残量案内システムは、主装置(3)と、電池(5)から供給される電力を消費しつつ前記主装置と分離されて使用される副装置(4)を備え、前記副装置には、前記電池が供給できる電力の残量を検出する電池残量検出手段(4D)と、前記電池残量検出手段が検出した電池残量の情報を非接触状態で送信可能な情報送信手段(4D)とが設けられ、前記主装置には、前記副装置から送信された電池残量の情報を受信する受信手段(SJ)と、前記受信手段の受信結果に基づいて前記電池の電池残量を使用者に案内する案内手段(LK、SU)とが設けられているものである。
【0007】
本発明によれば、副装置から非接触状態で電池残量が送信され、主装置を通じで電池残量が案内される。このため、電池の電力を消費する副装置側で電池残量を案内する必要がない。従って、副装置から電池残量を案内する機能を省略可能である。これにより、使用による消耗、或いは、分離されて使用されることによる紛失等の可能性が高い副装置の製造コストの抑制を図ることができる。
【0008】
非接触状態で情報を送信可能であれば情報送信手段として、どのようなものが利用されてもよい。例えば、本発明の電池残量案内システムの一態様において、前記副装置には、前記情報送信手段として、赤外線を利用して電池残量の情報を送信する赤外線出力手段が設けられ、前記本体には、前記受信手段として、赤外線を受信する赤外線受信手段が設けられていてもよい。
【0009】
また、案内手段として、どのようなものが利用されてもよい。例えば、本発明の電池残量案内システムの一態様において、前記主装置には、前記案内手段として、電池残量を視覚的に表示することにより案内する表示装置が設けられていてもよい。
【0010】
案内手段として表示装置が設けられている態様において、前記表示装置は、発光するLEDと、前記LEDの発光を制御する発光制御手段(SU)と、を備え、前記発光制御手段は、前記電池残量が所定の残量以下の場合に発光するように前記LEDを制御してもよいし、前記表示装置は、複数の色の光を出力可能なLED(LK)と、前記LEDの発光を制御する発光制御手段(SU)と、を備え、前記発光制御手段は、前記電池残量に応じた色の光を出力するように前記LEDを制御してもよい。これらの場合、簡易な構成で電池残量を案内することができる。
【0011】
本発明の電子黒板装置は、上述した電池残量案内システムが適用され、表示面(6)を含む装置本体(2、3)と、前記表示面に文字等を描くためのペン(4)と、を備え、前記主装置として、前記装置本体に電池残量案内部(3)が設けられ、前記副装置として、前記電池残量案内部と分離されて使用される前記ペンが利用されているものである。この場合、電池の電力を消耗しつつ使用されるペンから電池残量を案内する機能を省略可能な電子黒板装置を実現することができる。
【0012】
本発明の電子黒板装置の一態様において、前記ペンは、ペン先が前記表示面と接触している接触状態と接触していない非接触状態とを検出可能に構成されており、前記情報送信手段は、前記非接触状態が検出された場合に、前記電池残量の情報を送信してもよい。電子黒板装置に利用されるペンは、ペン先が表示面に接触している場合には電子黒板に文字等を描くために使用されている可能性が高いので、電池残量を確認する必要性は低い。この場合、電池残量を確認する必要性が低い状態を避けて、電池残量の情報を送信することができる。また、この態様において、情報送信手段は、どのように電池残量の情報を送信してもよい。例えば、本発明の電子黒板装置の一態様において、前記情報送信手段は、前記電池残量の情報の送信を所定の間隔で間欠的に実行してもよい。
【0013】
本発明の電子黒板装置に一態様において、前記情報送信手段として、赤外線を出力する赤外線出力手段(4D)が設けられ、前記装置本体は、前記接触状態において前記赤外線出力手段が出力する赤外線を利用して、前記ペンの位置を検出するように構成されていてもよい。この場合。ペンの位置検出用に利用される赤外線を電池残量の情報の送信にも利用することができる。このような赤外線の兼用により、製造コストの抑制を更に図ることができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明によれば、副装置から非接触状態で電池残量が送信され、主装置を通じで電池残量が案内される。このため、副装置側で電池残量を案内する必要がない。従って、電池の電力を消費する副装置から電池残量を案内する機能を省略可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態に係る電池残量案内システムが適用された電子黒板装置の要部の斜視図。
【図2】コイン検出装置の正面図。
【図3A】ペンの拡大図。
【図3B】図3AのB−B線に関する断面図。
【図3C】ペン内部の制御系の概略を示すブロック図。
【図4】図2のIV−IV線に関する断面図。
【図5】図4の一点鎖線V部分の拡大図。
【図6】図1のVI−VI線に関する断面図。
【図7】電子黒板装置の制御系の概略図。
【図8】光点データベースの内容の一例を示す図。
【図9】カラーテーブルの内容の一例を示す図。
【図10】検出処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図11】IRカメラ画像処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図12】色認識用描画処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図13】カラーカメラ画像処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図14】残量案内処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一形態に係る電池残量案内システムが適用された電子黒板装置について説明する。図1は、電子黒板装置1の要部の斜視図である。図1に示すように、電子黒板装置1は、電子黒板部2と、主装置(電池残量案内部)としてのコイン検出装置3と、を備えている。コイン検出装置3は、電子黒板部2の右側に設けられている。そして、この形態では、コイン検出装置3が設けられた電子黒板部2(コイン検出装置3を含む)が装置本体として機能する。
【0018】
図2は、コイン検出装置3の正面図である。図2に示すように、コイン検出装置3の前面には、電子黒板装置1の利用の対価として支払われるコインを投入するためのコイン投入口3Aが設けられている。また、コイン投入口3Aの下方には、ホルダー部3Bが設けられている。ホルダー部3Bには、副装置としての複数のペン4が置かれる。なお、コイン検出装置3には、選択或いは決定をするためのボタン、電源スイッチ、ボリューム操作スイッチといった通常の電子黒板装置が備えている各種の入力装置及び出力装置が設けられていてもよい。
【0019】
図3Aは、ペン4の拡大図である。図3Aに示すように、ペン4は、略円筒状に形成され、ペン4の先端には、ペン4の軸線Ax上に突出部4Aが設けられている。突出部4Aはスクリーン6と接触した状態で使用されるので、突出部4Aには、摩耗が防止され、また、スクリーン6が傷つかないように耐摩耗性の高い部材が使用されている。一方、ペン4の後端には、他より径が大きい大径部4Cが設けられている。この突出部4Aの具体的な材料としては、例えばポリアセタール、テフロン(登録商標)、ナイロン等が利用され、高い耐摩耗性材料を求めると結果的に不透明な材料が選択されることになる。また、ペン4の後端側には、電池カバー部4Bが設けられている。電池カバー部4Bはペン4から着脱可能なように構成されており、ペン4は電池カバー部4Bが取り外されることにより、内部に電池を収納可能なように構成されている。
【0020】
図3Bは、図3AのB−B線に関する断面図である。また、図3Bでは、電池5が収納された状態を示している。このため、図3Bに示すように、ペン4の内部には、後端側に電池5が収容されている。ペン4の内部の先端は、透明な導光レンズ4Gにより塞がれている。導光レンズ4Gの中央には、突出部4Aが挿入される空間が軸線Axと同軸的に設けられている。導光レンズ4Gとして、例えば、透明なアクリル材が利用される。
【0021】
突出部4Aは、導光レンズ4Gの中央の空間を通じて、軸線Axに沿って、前後方向、つまり先端から後端に向かう方向(或いはその逆方向)に移動可能に取り付けられている。突出部4Aの後端には突出部4Aと同様に軸線Axに沿って前後方向に移動可能な連動部材4Hが取り付けられており、連動部材4Hには先端方向に付勢するバネ4Iが取り付けられている。また、突出部4Aには後端の周囲に鍔4Atが、導光レンズ4Gの中央の空間の径には段差が、それぞれ設けられ、導光レンズ4Gの段差に鍔4Atが引っ掛かり、突出部4Aは前方への移動が制限されるように構成されている。このため、突出部4Aは、連動部材4Hを介したバネ4Iの付勢及び、前方への移動の制限により、通常時は先端から突出するように位置している。これらにより、突出部4Aがスクリーン6等に押しつけられた場合には、突出部4Aは、後方への圧力により軸線Axに沿って連動部材4Hを介してバネ4Iを圧縮しつつ後端方向に移動し、圧力が解放された場合には連動部材4Hを介したバネ4Iの付勢により再び通常の先端から突出するような位置に戻るように構成されている。また、連動部材4Hは、突出部4Aが後方に押された場合には、突出部4Aと一体的に後方に移動するように取り付けられている。電池5の前方であって、突出部4Aの後方には昇圧回路を有するLED基板4Dが設けられている。
【0022】
LED基板4Dには、赤外線LED4Kと、可視光LED(カラーLED)4Mとが設けられている。赤外線LED4Kは軸線Axと同軸上に位置するように配置され、可視光LED4Mは赤外線LED4Kに近い側方に配置されている。また、可視光LED4Mは、RGB値の成分がペン4毎に異なるものとなるようなものが各ペン4に設けられている。図3Cは、ペン4内部の制御系の概略を示すブロック図である。図3Cに示すように、LED基板4Dには、スイッチSW及び各LED4K、4Mに接続され、スイッチSWの状態により各LED4K、4Mの出力を制御するCPU4Sが設けられている。CPU4Sは、電池残量検出手段としての検出器KS及び、フューズFZを介して、電池5に接続されている。そして、CPU4Sは、スイッチSWからの状態信号を受けてLED4K、4Mに発光制御の為の制御信号を出力している。検出器KSは、フューズFZを介して電池5に接続されており、電池5の電圧を検出する。また、電池5には、フューズFZを介して、DC−DCコンバータCOも接続されている。DC−DCコンバータCOは可視光LED4M等に接続され、それぞれを動作させるための電力を供給している。
【0023】
スイッチSWは、突出部4Aを介して連動部材4Hが後方に移動した押圧状態のときには連動部材4Hと連動して動作する不図示の動作部材に押されてON状態に、連動部材4Hが押圧状態にないときには連動部材4Hと連動して動作する動作部材から解放されてOFF状態に、それぞれ切り替えられるように配置されている。そして、CPU4Sは、スイッチSWがON状態の場合には、赤外線LED4Kが他方の波長の光としての赤外線を、可視光LED4Mが一方の波長の光としての可視光を、それぞれ出力するように各LED4K、4Mを制御する。この際、CPU4Sは、スイッチSWがON状態の場合には、継続して赤外線LED4Kが赤外線を出力する一方で、可視光LED4MはON状態から所定時間だけ可視光を出力するように各LED4K、4Mを制御する。なお、所定時間には後述の識別処理等に要する時間に応じたものが利用されればよく、例えば、1秒程度、或いは処理速度等によっては1秒以下の60分の3フレーム/秒が利用されてもよい。
【0024】
一方で、CPU4Sは、スイッチSWがOFF状態の場合には、可視光LED4Mは可視光を出力せずに、赤外線LED4Kが一定の間隔毎に赤外線を出力するように、各LED4K、4Mを制御する。この一定の間隔の一例として、例えば、赤外線が4分に1回出力されるようなものが利用されてよい。このように、CPU4Sは、スイッチSWを介して、連動部材4Hの押圧状態に応じて各LED4K、4Mの出力を制御するように構成されている。また、連動部材4Hは突出部4Aが後方に押されるのに伴って一体的に後方に移動するように取り付けられている。つまり、ペン4は、各LED4K、4Mの出力状態が、スクリーン6等との接触に伴う突出部4Aの移動によって切り替えられるように構成されている。
【0025】
各LED4K、4Mから出力された光は、前方の突出部4Aの周囲に位置する透明な導光レンズ4Gを通過して、ペン4の先端から外部に出力される。赤外線LED4Kは軸線Axと同軸的に配置され、突出部4Aも軸線Axと同軸的に配置されている。このため、外部に出力される赤外線は、出力範囲の中心の位置が突出部4Aの中心の位置と略一致するように出力される。一方、可視光LED4Mの位置は軸線Axと一致していないが、赤外線LED4Kの近くであるため、可視光LED4Mから出力される可視光の出力範囲は、赤外線の出力範囲の中心位置から一定の範囲内に収まるように出力される(図3B参照)。
【0026】
また、CPU4Sは、検出器KSが検出した検出結果を取得し、電池残量の情報として、外部に送信する。具体的には、CPU4Sは、押圧状態にない場合に一定の間隔毎に赤外線LED4Kが出力する赤外線を利用して、検出した電池残量の情報を赤外線信号として外部に送信する。このため、CPU4Sは、押圧状態にない場合に赤外線LED4Kが一定の間隔毎に出力する赤外線に電池残量の情報が含まれるように、赤外線LED4Kの出力を制御する。赤外線を利用した電池残量の情報の送信には、周知の技術が利用されてよい。例えば、赤外線を利用した電池残量の情報の送信として、赤外線LED4Kは赤外線を通じてパルス位置変調方式の信号を出力するように制御されてもよい。赤外線LED4KがCPU4Sによって赤外線信号を利用して外部に電池残量の情報を送信するように制御されることにより、CPU4S及び赤外線LED4Kの組合せが本発明の情報送信手段(赤外線出力手段)として機能する。また、押圧状態が本発明の接触状態に、押圧状態にない状態が本発明の非接触状態に、それぞれ相当する。
【0027】
一方、図4は、図2のIV−IV線に関する断面図である。図4に示すように、コイン検出装置3の内部には、コイン投入口3A等からの各種入力信号に基づいて、各種制御を実行する制御ユニットSUが設けられている。制御ユニットSUは、マイクロプロセッサとその動作に必要な主記憶装置(RAM、ROM)等の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニットSUには、各種の入力装置、及び、出力装置が接続されている。また、連通部LTを通じて、制御ユニットSUは、電子黒板部2とも接続されている。図4では、ホルダー部3Bを一点鎖線Vで囲っている。図4に示すように、制御ユニットSUに接続される各装置の一つとして、制御ユニットSUには、配線HSを介して、ホルダー部3Bの各機器が接続されている。なお、コイン検出装置3には、その他にも各種の入力装置及び出力装置が設けられているが、それらには周知の技術が適用されてよいため、詳細の図示は省略した。
【0028】
図5は、図4の一点鎖線V部分の拡大図である。図5に示すように、ホルダー部3Bは、上側部3B1と、下側部3B2と、を備えている。上側部3B1には、円筒状の空間として円筒部ETが設けられている。円筒部ETは、ペン4を挿入可能なように、ペン4の径よりも少し大きく、大径部4Cの径よりも小さい径を有している。つまり、円筒部ETは、ペン4を先端側から挿入可能な一方で、大径部4Cが円筒部ETの上端に引っ掛かり、大径部4Cにてペン4の挿入が規制されるように形成されている。これにより、ペン4は、円筒部ETを通じて上側部3B1により支持されている。図5の破線は、円筒部ETに挿入された状態のペン4を示している。また、図5に示すように、円筒部ETは、挿入されたペン4の軸線Axをスクリーン6の表面側、つまり使用者側にやや傾斜させるように形成されている。このため、円筒部ETに挿入されたペン4は、上側部3B1により、軸線Axを傾けられた状態で、支持される。
【0029】
上側部3B1には、円筒部ETにペン4が挿入されているか否かを検出するための透過型のフォトセンサPSが設けられている。フォトセンサPSは、発光部HBと、受光部JBと、を備えている。発光部HBと受光部JBとは、それぞれ円筒部ETを挟んで設けられ、円筒部ETを挟んだスクリーン6側(図5の右側)に発光部HBが、円筒部ETを挟んだ使用者側(図5の左側)に受光部JBが、それぞれ配置されている。発光部HBは、円筒部ETを挟んだ反対側の受光部JBに向かって光を出力している。このため、ペン4が円筒部ETに挿入されている場合には、発光部HBからの光がペン4により遮られる。そして、発光部HBが出力する光が遮られることにより、受光部JBがペン4の存在を検出する。フォトセンサPSは、制御ユニットSUに接続されており、検出結果を制御ユニットSUに出力する。
【0030】
また、上側部3B1の使用者側の表面には、LED表示部HGが設けられている。LED表示部HGの素材には、例えば、アクリル材が使用される。更に、上側部3B1には、LED表示部HGの内側の位置に、LED基板LKが設けられている。LED基板LKは、複数の色を発光可能に構成されている。LED基板LKは、光の出力方向がLED表示部HGを向くように配置されている。このため、LED基板LKが出力する光の色は、LED表示部HGを通して、使用者に認識される。また、LED基板LKは、制御ユニットSUに接続されている。そして、LED基板LKは、制御ユニットSUにより、発光が制御される。
【0031】
下側部3B2には、可視光をカットするカットフィルタCFと、ペン4から出力された赤外線信号を受信するための受信手段(赤外線受信手段)としての赤外線受光装置SJとが設けられている。カットフィルタCFは、赤外線受光装置SJの上方に配置され、上方からの可視光をカットする。つまり、赤外線受光装置SJは、カットフィルタCFにより可視光がカットされ、可視光が除かれた光を受けるように配置されている。また、下側部3B2には、隣接して置かれたペン4が出力する赤外線を隣に置かれたペン4に対応する赤外線受光装置SJが誤って受光しないように、ペン4毎に領域を区切る遮光用の仕切り板CBが設けられている。仕切り板CBの内部には、赤外線を100%遮断する金属板が設けられている。これにより、隣接するペン4の赤外線を隣の赤外線受光装置SJが受光することが抑制されている。
【0032】
赤外線受光装置SJは、赤外線受光モジュール部SJAを備えている。赤外線受光モジュール部SJAは、カットフィルタCFを介して、ペン4から出力された赤外線を受光する。図5の矢印Sは、ペン4から出力される赤外線の出力方向を示している。図5に示すように、赤外線受光モジュール部SJAは、ペン4から出力される赤外線の出力方向上に位置するように配置されている。赤外線受光モジュールは、基板SJB上に設けられている。そして、基板SJBは、制御ユニットSUに接続されている。
【0033】
図1に戻り、電子黒板部2の前面には、表示面としてのスクリーン6と、スクリーン6の上部に配置され、音声を出力するスピーカ7とが、それぞれ設けられている。スクリーン6には、ペン4によって文字等が描かれる。ペン4によって描かれた文字等は、電子黒板部2の内部から画像として投影されることにより、スクリーン6上に表示される。スクリーン6は、透明アクリル板の裏面にプロジェクションシートが貼付される、或いは、塗装が施される等により、内部から投影される画像が鮮明に表示されるように構成されている。
【0034】
図6は、図1のVI−VI線に関する断面図である。図6に示すように、電子黒板部2の内部には、プロジェクタ8と、カラーカメラ9と、IRカメラ10とが設けられている。プロジェクタ8は、電子黒板部2の内部の上方に配置されている。プロジェクタ8が画像を出力する出力方向の先には球面ミラー16が、球面ミラー16が画像を反射する反射方向の先には平面ミラー17が、平面ミラー17が画像を反射する反射方向の先にはスクリーン6が、それぞれ取り付けられている。図6では、プロジェクタ8の出力方向及び範囲を示す投射ラインTL、球面ミラー16の反射方向及び範囲を示す反射ラインHL、平面ミラー17の反射方向及び範囲を示す反射ラインRL、をいずれも二点鎖線で示している。
【0035】
図6に示すように、プロジェクタ8は、電子黒板部2の内部の上方に取り付けられた支持台15によって、画像の出力方向が球面ミラー16を向くように上方向に傾けられて下方から支持されている。球面ミラー16は下端が平面ミラー17の反射ラインRLと交差することを避けて上方の一部が電子黒板部2の内部から突出するように傾斜をつけて配置されている。電子黒板部2の上部の球面ミラー16の一部が突出した部分には、球面ミラー16を覆うように、突出カバー部19が設けられている。また、球面ミラー16は、反射方向にプロジェクタ8から出力された画像をやや拡大しつつ反射するように構成されている。このため、球面ミラー16に出力された画像は、拡大されて平面ミラー17に反射される。そして、平面ミラー17は球面ミラー16から反射された画像をスクリーン6の全体に反射できるように底面から一定の高さを有する基台20の上に傾斜をつけて配置されている。これらの各ミラー16、17により、プロジェクタ8が出力した画像がスクリーン6の全面に投影される。
【0036】
各カメラ9、10は、平面ミラー17の上端の上方の互いに近い位置に配置されている。具体的には、平面ミラー17の上方にIRカメラ10が、IRカメラの上方の近い位置にカラーカメラ9が、それぞれ配置されている。図6では、カラーカメラ9の撮影範囲を破線CHで、IRカメラ10の撮影範囲を一点鎖線ISで、それぞれ示している。図6で示すように、各カメラ9、10は、スクリーン6の全面が各撮影範囲CH、ISに収まるような位置に配置されている。カラーカメラ9には、赤外線カットフィルタ9Aが設けられている。これにより、カラーカメラ9は、赤外線をカットした画像を撮影可能(例えば、840mm以下の可視光だけを撮影できるように)に構成されている。一方、IRカメラ10には、可視光カットフィルタ10Aが設けられている。これにより、IRカメラ10は、可視光をカットした画像を撮影可能(例えば、920mm以上の赤外線だけを撮影できるように)に構成されている。更に、電子黒板部2の内部には、プロジェクタ8、各カメラ9、10といった各種機器が接続され、それらを制御する制御ユニットが設けられている。
【0037】
図7は、電子黒板装置1の制御系の概略図である。図7に示すように、電子黒板部2の内部の制御ユニット11には、コイン検出装置3の制御ユニットSU、各カメラ9、10、プロジェクタ8及び、スピーカ7が接続されている。その他にも制御ユニット11には、各種の周辺装置が接続され得るが、それらの図示は省略する。
【0038】
制御ユニット11は、マイクロプロセッサとその動作に必要な主記憶装置(RAM、ROM)等の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニット11には、制御部21と、記憶部22とが設けられている。制御部21は、各カメラ9、11が撮影した撮影結果及び、記憶部22に記憶されている各種データを適宜読み込むことにより、プロジェクタ8を通じてスクリーン6に投影すべき画像を生成するために必要な各種の演算及び、スピーカ7を通じて再生すべき音声再生信号の生成等を実行する論理的装置として構成されている。記憶部22は、電源の供給がなくても記憶を保持可能なように構成されている。記憶部22として、例えば、ハードディスク(磁気ディスク)、DVDROM、CDROM等の光学式記憶媒体、あるいはEEPROM等の不揮発性半導体メモリ装置といった外部記憶装置が利用されてもよい。記憶部22には、制御部21で利用されるデータとして光点データベース25、及び、カラーテーブル26が記憶されている。なお、記憶部22には、その他にも制御部21が各種処理を実行するために必要な各種のデータを記憶しているが、図示は省略した。
【0039】
図8は、光点データベース25の内容の一例を示す図である。図8に示すように、光点データベース25は、行及び、列を含むマトリクス状に形成されている。光点データベース25には、“光点”、 “光点の座標”、“光点の半径”、“ステータス”及び、“ID情報”の各項目が含まれている。そして、これらの各項目が行を形成するように、左から光点31、光点の座標32、光点の半径33、ステータス34、ID情報35の順に配置されている。各項目31〜35は、光点31をキーとして、光点31毎に、管理されている。
【0040】
光点31の管理には、“1”、“2”といった数字が使用される。また、光点の座標32の管理には、X軸、Y軸の座標を示す数字が使用される。X軸、Y軸は適宜に設定されてよい。ここでは一例として、使用者からみてスクリーン6の左下角をX軸、Y軸ともにゼロの座標とし、X軸としてゼロの座標から横方向(使用者から見て右方方向がプラス)を、Y軸としてゼロの座標から縦方向(上方向がプラス)を、それぞれ使用している(図1参照)。そして、このゼロの座標からの距離をmm単位で示す数字が、光点の座標32の管理に使用される。また、光点の半径33の管理には、スクリーン6上の各光点の半径をmm単位で示す数字が使用される。
【0041】
ID情報35の管理には、各ペン4に割り当てられた各色を示す数字が使用される。この数字は後述のカラーテーブル26にて管理されている。ステータス34の管理には、“未使用”、“色認識準備中”、“色認識中”、“ID確定”、“ID未登録”、にそれぞれ対応する文字が使用される。ここで、各文字の示す状態は次のとおりである。
【0042】
未使用 :光点の情報を管理していない状態。
色認識準備中:色認識を行う前の黒丸を表示するのを待っている状態。
色認識中 :色認識を行うための処理を実行している状態。
ID確定 :色認識を行って光点の色のIDが確定した状態。
ID未登録 :色認識を行ったがIDが見つからなかった状態。
【0043】
図8の例では、5つの光点が管理されている。このため、光点31の列には、“1”〜“5”の5つの数字が示されている。そして、光点31の“1”に対応する光点の座標32が“400,300”、つまり使用者側のスクリーン6の左下角から右横に400mm、縦上方に300mmの位置であること、その光点の半径33が“10”、つまり10mmであること、その光点のステータス34が“ID確定”、つまり光点の色のIDが確定した状態であること、その光点のID情報35が“3”、つまり光点“1”の形成に使用されているペン4に割り当てられた色を示すIDが“3”であることが、それぞれ管理されている。また、この例では、光点31の“3”のステータス34として、“未使用”が示されている。これは、“3”に該当する光点がスクリーン6上からなくなったことを意味する。また、ステータス34が“未使用”となっている行はスクリーン6上に新たな光点が検出された際に再利用される。ステータス34の更新に関する処理は後述する。
【0044】
一方、図9は、カラーテーブル26の内容の一例を示す図である。図9に示すように、カラーテーブル26も、行及び、列を含むマトリクス状に形成されている。カラーテーブル26には、“ペンNO”、 “RGB値”、及び、“色ID”の各項目が含まれている。そして、これらの各項目が行を形成するように、左からペンNO41、RGB値42、色ID43の順に配置されている。各項目41〜43は、ペンNO41をキーとして、ペンNO41毎に、管理されている。
【0045】
ペンNO41の管理には、“1”、“2”といったペン4の数に対応する数字が使用される。RGB値42の管理には、各ペン4の可視光LED4Mが出力する可視光のRGB値に対応する数字が使用される。また、色ID43の管理には、各ペンの色のIDとしてRGB値42毎にユニークに割り当てられた数字が使用される。また、この色ID43の管理に使用される数字は、光点データベース25のID情報35の管理に使用される数字と対応している。
【0046】
図9の例では、3つのペン4に関するカラーテーブル26が示されている。このため、ペンNO41の列には、“1”〜“3”の数字が示されている。そして、この例では、ある一のペン4に対応するペンNO41の“1”のRGB値42が“0,0,225”であること、このRGB値42に対応する色ID43が“1”であることが、それぞれ管理されている。
【0047】
次に、制御部21が実行する処理を説明する。コイン検出装置3に所定の対価が支払われる等、所定の条件が満たされると制御部21は電子黒板装置1が使用可能となるような各種処理を実行する。これらの処理には、プロジェクタ8を通じて、スクリーン6に各種画像を投影するための処理、各ペン4を利用してスクリーン6に描かれた文字や図形等をスクリーン6に投影するための処理といった処理が含まれる。制御部21は、各ペン4にて描かれた文字等のスクリーン6への投影等に必要な処理として、図10に示す検出処理ルーチン、図11に示すIRカメラ画像処理ルーチン、図12に示す色認識用描画処理ルーチン、及び、図13に示すカラーカメラ画像処理ルーチンのそれぞれを所定の周期で繰り返し実行する。
【0048】
図10は、制御部21が実行する検出処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。図10のルーチンが開始されると、制御部21は、まずステップS1にて、IRカメラ10からIRカメラ10が撮影した画像(可視光フィルタ10Aにより可視光がカットされたもの)を取得する。続くステップS2にて、制御部21は、ステップS1にて取得した画像に基づいて、IRカメラ画像処理を実行する。図11は、制御部21が実行するIRカメラ画像処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。
【0049】
図11のルーチンが開始されると、制御部21は、まずステップS11にて、IRカメラ10から取得した画像中に光点が存在するか否かを判断する。この判断は、一例として、予め用意された光点の判定基準となる判定用輝度値IrThresを利用し、この判定用輝度値IrThresに基づいて、判定用輝度値IrThresの輝度値を超える点を光点と認識することにより実現される。ステップS11にて、否定的判断をした場合、つまりIRカメラ10が撮影した画像中に判定用輝度値IrThresを超える輝度の点が存在しない場合には、以降のステップをスキップして、今回のルーチンを終了する。一方、ステップS11にて、肯定的判断をした場合、つまりIRカメラ10が撮影した画像中に判定用輝度値IrThresを超える輝度の輝点が存在する場合には、ステップS12に進む。
【0050】
ステップS12にて、制御部21は、画像中に存在する各光点の情報、具体的には各光点の中心の座標及び、半径を算出する。この算出は、一例として、IRカメラ10が撮影した画像中の各輝点に隣接する点の輝度値の最大値、最小値をX軸、Y軸(光点データベース25中の光点の座標32で利用されるX軸、Y軸と共通のもの)方向について求め、求めた最大値、最小値に基づいて各光点の中心座標、及び、半径を算出することにより実現される。
【0051】
続くステップS13にて、制御部21は、ステップS12で算出した各光点の情報に基づいて、画像中の各光点のうち一の光点が光点データベース25に存在するか否かを判断する。この判断は、例えば、ステップS12で算出した光点の座標と光点データベース25中の各光点の座標32とを比較することにより実現される。具体的には、画像中の光点の座標が光点データベース25中のいずれかの光点の座標32から一定距離内のものであれば、画像中の光点は、光点データベース25中の一定距離内に位置する光点31と同一の光点(ペン4)が移動したものとして、光点データベース25中に存在していると判断する。一方、画像中の光点が光点データベース25中のいずれの光点の座標32からも一定距離内にない場合には、光点データベース25に存在しない新たな光点と判断する。そして、ステップS13にて、制御部21は、光点が光点データベース25に存在しないと判断した場合にはステップS17に進む。
【0052】
ステップS17にて、制御部21は、画像中の光点が光点データベース25に存在しない光点であるとして、この光点の情報を光点データベース25に新規に登録する。この際、光点データベース25中でステータス34が“未使用”の行(或いは、新規な行)が登録に利用され、ステータス25は“色認識準備中”として登録される。ステップS17の処理が終了すると、制御部21はステップS15に進む。
【0053】
一方、ステップS13にて、光点が光点データベース25に存在すると判断した場合には制御部21はステップS14に進む。ステップS14にて、制御部21は、ステップS12で算出した光点の情報を利用して、光点データベース25の光点の座標32の情報を更新する。具体的には、制御部21は、画像中の光点の座標(ステップS12で算出されたもの)に当該座標から一定距離内にある光点データベース25中の光点の座標32の情報を更新して、ステップS15に進む。
【0054】
ステップS15にて、制御部21は、画像中に存在する光点のうち光点データベース25中に存在するか否かの判断が終了した一の光点の他に判断が終了していない他の光点があるか否か判断する。この判断が肯定的判断の場合には、ステップS13以降の処理が終了していない他の光点について光点データベース25との存在判断をすべくステップS13に戻って、他の光点について以降で同様の処理を実行する。一方、ステップS15にて、否定的判断をした場合には、画像中に存在するすべての光点についてステップS13、S14、S17の処理が終了したものとして、制御部21は、ステップS16に進む。ステップS16にて、制御部21は、光点データベース25のステータス34の情報を更新する。具合的には、制御部21は、今回のルーチンで光点データベース25中の光点の座標32が更新されなかった各光点31のステータス34が“未使用”となるように、光点データベース25を更新する。ステップS16の処理が完了すると、制御部21は、今回のルーチンを終了する。これにより、スクリーン6上の各光点について、新たな光点の認識、移動した光点の新たな座標、及び、スクリーン6上から消滅した(ペン4がスクリーン6から離れた)光点が判別される。
【0055】
図10のルーチンに戻り、制御部21は、ステップS2の処理を終えると、ステップS3に進む。ステップS3にて、制御部21は、色認識用描画処理ルーチンを実行する。図12は、制御部21が実行する色認識用描画処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。
【0056】
図12のルーチンが開始されると、まずステップS21にて、制御部21は、所定の光点の座標に黒丸が表示されるような画像をプロジェクタ8に出力する。具体的には、制御部21は、光点データベース25中でステータス34が“色認識準備中”若しくは、“色認識中”となっている画像中の光点を所定の光点として判別し、画像中のこれらの各光点の座標に黒丸が表示されるような画像をプロジェクタ8に出力する。黒丸の表示は、一例として、プロジェクタ8が出力している画像から対象の光点の座標を中心とした所定の範囲(ペン4からの可視光が収まるペン4の軸線Axから一定範囲を含むもの)のカラー画像を削除する処理により実現される。このため、黒丸の表示範囲は所定の範囲に限定される。
【0057】
続くステップS22にて、制御部21は、光点データベース25中のステータス34の情報を更新する。具体的には、ステップS22にて、制御部21は、光点データベース25中のステータス34が“色認識準備中”のものを“色認識中”に更新して、今回のルーチンを終了する。これにより、IRカメラ10により撮影された画像中の光点、つまりペン4が出力する赤外線とスクリーン6との接点の座標から所定の範囲内に関しては、プロジェクタ8から出力される画像から可視光が削除され、ペン4から出力される可視光の判別が比較的容易な環境が形成される。
【0058】
図10のルーチンに戻り、制御部21は、ステップS3の処理を終えると、ステップ4に進む。ステップS4にて、制御部21は、カラーカメラ9が撮影した画像(赤外線フィルタ9Aにより赤外線がカットされたもの)をカラーカメラ9から取得する。続くステップS5にて、制御部21は、カラーカメラ画像処理を実行する。図13は、制御部21が実行するカラーカメラ画像処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。
【0059】
図13のルーチンが開始されると、制御部21は、まずステップS31にて、光点データベース25中にステータス34が所定のステータスとなっている光点31があるか否か判断する。具体的には、所定のステータスとして、制御部21は、ステータス34が“色認識中”となっているものが存在するか否か判断する。この判断が否定的判断の場合、つまり、光点データベース25中にステータス34が“色認識中”となっているものが存在しない場合には、制御部21は、以降のステップをスキップして、今回のルーチンを終了する。
【0060】
一方、ステップS31にて、肯定的判断をした場合、つまり光点データベース25中にステータス34が“色認識中”となっているものが存在する場合には、制御部21は、ステップ32に進む。ステップ32にて、制御部21は、カラーカメラ9が撮影した画像中の各光点の色IDを識別する。この識別は、一例として、次のように実行される。
【0061】
まず制御部21は、光点データベース25のステータス34が“色認識中”となっている各光点31に対応する画像(赤外線フィルタ9Aにより赤外線がカットされたもの)中の各光点の座標を中心に所定の範囲内のRGB値を算出する。この算出の際に、より色彩をはっきりさせるために、画像中の光点の座標におけるRGB値の最小値を算出し、この最小値を減算等に利用してもよい。
【0062】
次に制御部21は、算出された各光点の所定の範囲のRGB値とカラーテーブル26とを画素毎に比較して、所定の範囲に含まれる各RGB値がカラーテーブル26中のいずれの色ID43に一番近いかを判別し、対応するカラーテーブル26中の色ID43を特定する。但し、一番近いRGB値でも算出されたRGB値との差が一定値以内でないものは色ID43が特定できないものとして判別する。そして、制御部21は、所定の範囲の各画素全ての判別結果に基づいて、一番多く特定された色ID43をこの所定の範囲に対応する光点の色ID43と識別する。一方で、一番多く特定された色ID43であっても、全画素数に占める特定された画像の数の割合が一定割合以下の場合には、色ID43が識別できなかった光点として扱う。このようにして、制御部21は、各光点の色ID43の識別を実行する。
【0063】
ステップS32に続いて、制御部21は、ステップ33にて、光点データベース25の内容を更新する。具体的には、ステップS33にて、制御部21は、ステップS32の結果、色ID43が識別できた光点については光点データベース25のステータス34を“ID確定”に、ID情報35をステップS32で識別した色ID43の数字に、それぞれ更新する。一方、制御部21は、ステップS32の結果、色ID43が識別できなかったものとして扱われた光点については光点データベース25のステータス34を“ID未登録”に、ID情報35を”0”に、それぞれ更新する。そして、制御部21は、ステップS33の処理が完了すると、今回のルーチンを終了する。これにより、スクリーン6上に存在する各光点の色ID43が識別され、その結果が光点データベース25のステータス34に反映される。また、一定の範囲を含むような所定の範囲内のRGB値が利用されるため、各カメラ9、10間の設置誤差やペン4内部の各LED4K、4Mの位置の差(光の出力方向の差)等を吸収することができる。
【0064】
図10のルーチンに戻り、制御部21は、ステップS5の処理を終えると、ステップS6に進む。ステップS6にて、制御部21は、IRカメラ10で撮影された画像中の各光点の座標位置に点を描画した画像を作成する。続くステップS7にて、制御部21は、ステップS6で作成した画像をプロジェクタ8に出力して、今回のルーチンを終了する。これにより、ペン4毎にスクリーン6上の位置が検出され、各ペン4の座標の位置に点が描画される。
【0065】
次に、コイン検出装置3に設けられた制御ユニットSUが実行する処理を説明する。制御ユニットSUは、ペン4に収容された電池5の電池残量を使用者に案内するために、図14の残量案内処理ルーチンを所定の周期で繰り返し実行する。図14は、制御ユニットSUが実行する残量案内処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。図14のルーチンが開始されると、まず制御ユニットSUは、ステップS41にて、ホルダー部3Bにペン4が存在するか否か判断する。具体的には、まず制御ユニットSUは、フォトセンサPSの受光部JBから検出結果を取得する。そして、制御ユニットSUは、取得した検出結果に基づいて、受光部JBが発光部HBからの光を受光できていた場合にはペン4がホルダー部3Bに存在しないと、受光できなかった場合にはペン4がホルダー部3Bに存在すると、それぞれ判断する。この判断が否定的判断の場合、つまりホルダー部3Bにペン4が存在しないと判断した場合には、以降のステップをスキップして、今回のルーチンを終了する。
【0066】
一方、制御ユニットSUは、ステップS41にて、肯定的判断をした場合、つまりペン4がホルダー部3Bに存在していると判断した場合には、ステップS42に進む。ステップS42にて、制御ユニットSUは、赤外線受光装置SJが受信した赤外線信号を取得する。この取得は、赤外線受光装置SJの赤外線受光モジュール部SJAの受光結果を取得することにより実現される。続くステップS43にて、制御ユニットSUは、ステップS42で取得した赤外線受光モジュール部SJAの受光結果から電池残量の情報を検出する。この検出には、周知の技術が利用されてよい。例えば、ペン4が赤外線を通じてパルス位置変調方式の信号を出力するように構成されている場合には、この検出は、制御ユニットSUが赤外線受光モジュール部SJAの受光結果に含まれるこの信号を解析することにより実現される。
【0067】
次のステップS44にて、制御ユニットSUは、ステップS43で検出した電池残量の情報に応じて、LED基板LKを発光させる。具体的には、電子黒板部2の内部の制御ユニット11が定期的に制御ユニットSUと通信して電池残量の情報を取得し、LED基板LKが電池残量に応じた色の発光を実行するように、制御ユニットSUを通じて、LED基板LKを制御する。この制御の一例として、電池残量が一定値以上の場合は青、一定値未満の場合は赤といった具合に、制御ユニットSUは、電池残量に応じて異なる色をLED基板LKに発光させるようなものを実行する。このステップS44の処理が完了すると、制御ユニットSUは、今回のルーチンを終了する。図14のルーチンを通じて、LED基板LK及び、制御ユニットSUの組合せが本発明の案内手段として機能する。また、制御ユニットSUは本発明の発光制御手段としても機能する。
【0068】
以上に説明したように、この電子黒板装置1によれば、ペン4がホルダー部3Bに置かれている場合には、文字等を描く際に位置の検出に利用される赤外線を通じて、ペン4内の電池の残量の情報が出力される。そして、制御ユニットSUは、出力結果に基づいて、電池残量に応じた色で発光するようにLED基板LKを制御する。これにより、LED表示部HGを通じたLED基板LKの発光色の変化を利用して、使用者に電池残量を案内することができる。このため、ペン4から電池残量を表示するための機能を省略することができる。これにより、電子黒板部2から分離して使用され、紛失等されやすい消耗品のペン4の製造コストを抑制することができる。また、ペン4が消費する電力を供給する電池として、再充電を必要としない交換型のものを使用可能なので、ペン4から充電装置も省略可能である。これにより、ペン4から金属接点を省略することもできるので、安全性を向上させることができるとともに、製造コストの削減をより実現することができる。
【0069】
本発明は上述した形態に限らず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、ペン4には電池を充電するための充電装置が省略されているが、充電装置が設けられていてもよい。この場合、ペンとして再充電可能な電池が内蔵されているものを利用することができる。上述の形態では、情報送信手段として、赤外線を出力するLED基板が利用されているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、情報送信手段として、電池残量の情報を非接触で送信可能なICチップが利用されてもよい。
【0070】
また、上述の形態では、案内手段として、LED基板LKを制御ユニットSUが制御することにより、光の色を通じて電池残量を案内するように構成された表示装置が利用されているが、表示装置はこのような形態に限定されるものではない。例えば、LED基板として単色のみ発光可能なものが利用され、制御ユニットは電池残量が早期に交換(或いは充電)が必要と考えられる所定の残量以下の場合に発光するようにLED基板を制御してもよい。また、その他にも、表示装置として、モニタ等を利用して電池残量を表す数字を表示するもの、電池の模式図を利用して電池残量を表示するものといった各種表示装置が利用されてよい。また、案内手段は、視覚的に案内されるものに限定されるものでもない。例えば、電池残量は音声を通じて案内されてもよい。
【0071】
上述の形態では、電子黒板部2の制御ユニット11が制御ユニットSUと通信して、制御ユニットSUを介して、LED基板LKの制御を実行しているが、このような形態に限定されるものではない。制御ユニットSUが直接LED基板LKを制御するように構成されていてもよい。また、上述の形態では、電子黒板部2に設けられた制御ユニット11とは別に、コイン検出装置3に制御ユニットSUが設けられているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、電子黒板装置は、コイン検出装置3の制御ユニットSUが省略され、この制御ユニットSUの役割も電子黒板部2の制御ユニット11が実行するように構成されていてもよい。
【0072】
また、上述の形態では、電池残量案内システムが電子黒板装置に適用されているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、電池残量案内システムは、車両のロック解除システムに適用されてもよい。この場合、車両が主装置として、車両から分離して使用され、赤外線でロック等の解除信号を出力するキーが副装置として、それぞれ利用されればよい。また、主装置としてモニタ等の表示装置が、副装置としてそれに対して指示を出力するリモコンが、それぞれ利用されもよい。また、主装置として、副装置とは別に用意された副装置の充電装置が利用されてもよい。このように副装置には使用者に保持されて使用されるものが多く適用され、主装置には据え置かれた状態で使用されるものが多く適用される。また、主装置と副装置とは、主装置に主な機能が設けられ、副装置は主装置の機能を補助するものとして利用される関係を有する場合も多い。但し、主装置と副装置とは、これらの関係を有するものに限定されるものではなく、2つの装置の一方の装置が主装置として、それから分離され、電力を消費しつつ使用される他方の装置が副装置として、それぞれ利用されればよい。
【符号の説明】
【0073】
1 電子黒板装置
2 電子黒板部(装置本体)
3 コイン検出装置(主装置、電池残量案内部)
4 ペン(副装置)
4D LED基板(電池残量検出手段、情報送信手段、赤外線出力手段)
6 スクリーン(表示面)
8 プロジェクタ
9 カラーカメラ
9A 赤外線カットフィルタ
10 IRカメラ
10A 可視光カットフィルタ
SU 制御ユニット(発光制御手段、案内手段、表示装置)
SJ 赤外線受光装置(受信手段、赤外線受信手段)
LK LED基板(案内手段、表示装置)
Ax 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主装置と、電池から供給される電力を消費しつつ前記主装置と分離されて使用される副装置と、を備え、
前記副装置には、前記電池が供給できる電力の残量を検出する電池残量検出手段と、前記電池残量検出手段が検出した電池残量の情報を非接触状態で送信可能な情報送信手段とが設けられ、
前記主装置には、前記副装置から送信された電池残量の情報を受信する受信手段と、前記受信手段の受信結果に基づいて前記電池の電池残量を使用者に案内する案内手段とが設けられていることを特徴とする電池残量案内システム。
【請求項2】
前記副装置には、前記情報送信手段として、赤外線を利用して電池残量の情報を送信する赤外線出力手段が設けられ、
前記本体には、前記受信手段として、赤外線を受信する赤外線受信手段が設けられている請求項1に記載の電池残量案内システム。
【請求項3】
前記主装置には、前記案内手段として、電池残量を視覚的に表示することにより案内する表示装置が設けられている請求項1又は2に記載の電池残量案内システム。
【請求項4】
前記表示装置は、発光するLEDと、前記LEDの発光を制御する発光制御手段と、を備え、
前記発光制御手段は、前記電池残量が所定の残量以下の場合に発光するように前記LEDを制御する請求項3に記載の電池残量案内システム。
【請求項5】
前記表示装置は、複数の色の光を出力可能なLEDと、前記LEDの発光を制御する発光制御手段と、を備え、
前記発光制御手段は、前記電池残量に応じた色の光を出力するように前記LEDを制御する請求項3に記載の電池残量案内システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電池残量案内システムが適用され、表示面を含む装置本体と、前記表示面に文字等を描くためのペンと、を備え、
前記主装置として、前記装置本体に電池残量案内部が設けられ、
前記副装置として、前記電池残量案内部と分離されて使用される前記ペンが利用されている電子黒板装置。
【請求項7】
前記ペンは、ペン先が前記表示面と接触している接触状態と接触していない非接触状態とを検出可能に構成されており、
前記情報送信手段は、前記非接触状態が検出された場合に、前記電池残量の情報を送信する請求項6に記載の電子黒板装置。
【請求項8】
前記情報送信手段は、前記電池残量の情報の送信を所定の間隔で間欠的に実行する請求項7に記載の電子黒板装置。
【請求項9】
前記情報送信手段として、赤外線を出力する赤外線出力手段が設けられ、
前記装置本体は、前記接触状態において前記赤外線出力手段が出力する赤外線を利用して、前記ペンの位置を検出するように構成されている請求項7又は8に記載の電子黒板装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−98764(P2012−98764A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243164(P2010−243164)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】