説明

電池用温調機構

【課題】電池モジュールの配設効率を向上すること。
【解決手段】電源装置1の電池モジュール10は、角型電池11を、角型電池11の厚み方向に複数配設することにより形成されている。各角型電池11の間には、スペーサ21が配設されるとともに、スペーサ21において角型電池11の厚み方向一面と対向する方向の第1面には、上側流路及び下側流路が形成されている。そして、各角型電池11の間にスペーサ21を配設することにより、各角型電池11の間には、熱媒体が流通する供給流通部及び排出流通部が形成される。そして、電池モジュール10において角型電池11の幅方向一方には、供給流路32と排出流路33を段積みして構成されたダクト30が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに設けられる電池用温調機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両などに搭載される電源装置は、複数の電池を接続することにより形成された電池モジュールに、電池の温度調節を行うための温調機構が設けられて構成されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、複数の角型電池を所定の間隔で角型電池の厚み方向に並べて配設するとともに、互いに隣接する角型電池の間には、角型電池を冷却するための冷却風を送風する冷却ダクトと、熱交換液が流通する熱交換パイプが設けられている。そして、角型電池の幅方向両側には、冷却ダクトと接続され、冷却ダクトに冷却風を送風する送風ダクトが設けられている。また、角型電池の幅方向において、送風ダクトの外側には、熱交換パイプに接続されて、熱交換パイプに熱媒体液を供給する循環チャンバーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、冷却ダクトに冷却風を送風する送風ダクト及び、熱交換パイプに熱交換液を供給する循環チャンバーは、角型電池を挟持するように、角型電池の幅方向両側に設けられる。このため、電源装置全体が、角型電池の幅方向に大型化している。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池モジュールの配設効率を向上することができる電池用温調機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、1又は複数の電池からなる電池体を複数配設することにより形成された電池モジュールに設けられ、前記電池体に対して熱媒体を供給することにより電池体の温度調節を行う電池用温調機構であって、前記電池体に対して前記熱媒体を供給する供給流路と前記電池体に対して供給された熱媒体を排出する排出流路が段積みされてなる段積流路を有することを要旨とする。
【0008】
これによれば、供給流路と排出流路が段積み構成とされる。このため、供給流路と排出流路を一方向に配設することができる。したがって、供給流路と排出流路を電池体を挟持するように、別々の方向に配設する場合と比べて、供給流路と排出流路の占有する領域が少なくなり、電池モジュールの配設効率が向上される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池用温調機構において、前記電池体は、角型電池からなり、前記段積流路は、第1角型電池に対して熱媒体を供給する供給流路と、前記第1角型電池に隣接する第2角型電池に対して供給された熱媒体が排出される排出流路からなることを要旨とする。
【0010】
これによれば、第1角型電池に対して供給される熱媒体の流通方向と、第2角型電池に対して供給される熱媒体の流通方向が異なった方向とされる。互いに隣接する角型電池に対して異なる方向から熱媒体を流通させる構成として、供給流路と排出流路は、二組必要となる。本発明では、供給流路と排出流路が段積み構成とされているため、各供給流路及び各排出流路を角型電池の幅方向に順次配設する場合と比べて、電池モジュールの配設効率が向上される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記段積流路から供給された前記熱媒体は前記第1角型電池と前記第2角型電池の間を流通されるように構成されたことを要旨とする。
これによれば、熱媒体は、互いに隣接する角型電池の間を流通する。角型電池は、流通方向の異なる熱媒体によって温度調節される。したがって、角型電池の一部が局所的に冷却されることが防止され、角型電池における温度分布の偏りを少なくすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電池用温調機構であって、前記電池体は、前記段積流路を挟んで配設され、前記供給流路は、前記段積流路を挟む両方の電池体に対して熱媒体を供給するとともに、前記排出流路は、前記段積流路を挟む両方の電池体に対して供給された熱媒体を排出することを要旨とする。
【0013】
これによれば、段積流路を挟む両方の電池体に対して熱媒体を供給する供給流路と、段積流路を挟む両方の電池体に対して供給された熱媒体を排出する排出流路とを共通化することができる。このため、段積流路を挟む電池体に対して熱媒体を供給する供給流路及び段積流路を挟む電池体に対して供給された熱媒体を排出する排出流路を各電池体に対して個別に設ける場合に比べて、部品点数が削減される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池モジュールの配設効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における電源装置の斜視図。
【図2】第1の実施形態におけるスペーサと電池の関係を示す図。
【図3】第1の実施形態におけるスペーサの側面図。
【図4】第1の実施形態におけるダクトの断面図。
【図5】第2の実施形態におけるスペーサと電池の関係を示す図。
【図6】第2の実施形態における第1スペーサの側面図。
【図7】第2の実施形態における第2スペーサの側面図。
【図8】第2の実施形態における電源装置の正面図。
【図9】第2の実施形態におけるダクトの断面図。
【図10】第3の実施形態における電源装置の概略平面図。
【図11】第4の実施形態における電源装置の斜視図。
【図12】第4の実施形態における電池ユニットの斜視図。
【図13】第4の実施形態における被挟持ダクトとスペーサの関係を示す断面図。
【図14】第4の実施形態における電源装置を示す図11のA−A線断面図。
【図15】別例の電池ユニットを示す斜視図。
【図16】別例の電池ユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の電池用温調機構を具体化した第1の実施形態について図1〜図4にしたがって説明する。
【0017】
図1に示すように、電源装置1の電池モジュール10は、電池体としての角型電池11を角型電池11の厚み方向に複数(本実施形態では12個)配設して形成されている。そして、電源装置1は、電池モジュール10に、電池用温調機構20を設けることにより構成されている。以下、電池用温調機構20について詳しく説明する。
【0018】
電池用温調機構20は、各角型電池11の間に設けられるスペーサ21と、段積流路としてのダクト30から構成されている。
図2に示すように、角型電池11の間には、各角型電池11の配設間隔を維持するための板状のスペーサ21が配設されている。スペーサ21において角型電池11の厚み方向一面と対向する方向(以下、「スペーサ21の対向方向」という)の両面は、その幅方向及び高さ方向の寸法が、角型電池11の厚み方向両面よりもわずかに大きく設定されている。そして、スペーサ21により、各角型電池11の間には、熱媒体が流通する流通部23,24が形成されている。本実施形態において、流通部23,24は、角型電池11の高さ方向に対して積層配置されている。本実施形態では、上側に位置する流通部23を熱媒体が供給される供給流通部23、下側に位置する流通部24を供給流通部23に供給された熱媒体を排出する排出流通部24としている。以下、各流通部23,24について詳しく説明する。
【0019】
図3に示すように、スペーサ21の対向方向第1面(図2中左面)S1及び対向方向第2面(図2中右面)S2の下方には、角型電池11が載置される載置部21aが形成されている。そして、角型電池11は、載置部21aに載置されるとともに、角型電池11の厚み方向両面にスペーサ21を配設した状態で、互いに隣接するスペーサ21に支持される。
【0020】
スペーサ21の対向方向第1面S1には、スペーサ21の幅方向第1面S3に開口し、かつ、スペーサ21の対向方向に凹む上側流路O1が形成されている。上側流路O1は、スペーサ21の幅方向第1面S3からスペーサ21の幅方向第2面(図3中左面)S4に向かって延びるとともに、スペーサ21の幅方向第2面S4側が、スペーサ21の幅方向第2面S4によって閉塞されている。また、スペーサ21の対向方向第1面S1には、スペーサ21の幅方向第1面S3に開口し、かつ、スペーサ21の対向方向に凹む下側流路O2が形成されている。下側流路O2は、スペーサ21の幅方向第1面S3からスペーサ21の幅方向第2面(図3中左面)S4に向かって延びるとともに、スペーサ21の幅方向第2面S4側が、スペーサ21の幅方向第2面S4によって閉塞されている。上側流路O1と下側流路O2は、略同一の形状とされており、上側流路O1と下側流路O2は、スペーサ21の高さ方向に並べて形成されている。上側流路O1と下側流路O2の間には、区画壁26が設けられている。区画壁26は、各流路O1,O2におけるスペーサ21の幅方向の長さよりも短く形成されている。これにより、スペーサ21の幅方向第2面(図3中左面)S4と、区画壁26におけるスペーサ21の幅方向第2面S4側の先端部の間には、上側流路O1と下側流路O2を連通させる連通部27が形成されている。
【0021】
そして、スペーサ21の対向方向第1面S1と、角型電池11が密着された状態で、スペーサ21の対向方向第1面S1と角型電池11におけるスペーサ21の対向方向第1面S1と対向する面が面接触することにより、上側流路O1は供給流通部23を形成し、下側流路O2は排出流通部24を形成する。
【0022】
スペーサ21において、上側流路O1、下側流路O2、連通部27の形成されている部分は、スペーサ21の対向方向への厚さが、薄く形成されている。具体的に言えば、供給流通部23及び排出流通部24を熱媒体が流通したときに、スペーサ21の対向方向第2面(図2中右面)S2側に配設される角型電池11に対して熱交換作用を及ぼすことのできる程度に薄く形成されている。
【0023】
また、スペーサ21の幅方向第1面S3下方向には、ダクト30が載置されるダクト載置部21bが形成されている。また、スペーサ21の幅方向第1面S3上方向には、ダクト30を支持する支持部となり得る爪部21cが形成されている。
【0024】
図1に示すように、ダクト30は、角型電池11の厚み方向(角型電池11の配設方向)に延設されている。そして、ダクト30の延設方向への長さは、電池モジュール10における角型電池11の厚み方向の長さと略同一とされている。また、ダクト30における角型電池11の高さ方向への長さは、角型電池11の高さ方向への長さと略同一とされている。ダクト30は、その上方向に爪部21cが嵌合される嵌合部30aが形成されており、ダクト30は、ダクト載置部21bに載置された状態で、爪部21cが嵌合部30aに嵌合することで電池モジュール10に取り付けられている。本実施形態では、電池モジュール10におけるスペーサ21の幅方向第1面S3側のみにダクト30が配設される。ダクト30は、断熱性の高い材料(例えば、プラスチックなど)からなる。
【0025】
図4に示すように、ダクト30は、ダクト30の延設方向に延びる区画壁31により、角型電池11の高さ方向二つの領域に区画されている。本実施形態では、上側の領域を供給流路32とするとともに、下側の領域を排出流路33としている。供給流路32と排出流路33は、区画壁31により非連通状態とされている。これにより、ダクト30内には、供給流路32と排出流路33が段積みされている。したがって、本実施形態では、ダクト30が段積流路とされている。
【0026】
ダクト30はダクト30の延設方向に対して開口する開口部34,35を有している。また、ダクト30における開口部34,35と対向する側は、終端壁30bにより閉塞されている。開口部34は、供給流路32に対して開口されており、図示しない熱媒体供給源と接続されることにより、開口部34から供給流路に熱媒体が供給されるように構成されている。また、開口部35は、排出流路33に対して開口しており、図示しない循環機構と接続されることにより、排出流路33から排出される熱媒体を循環させるように構成されている。
【0027】
供給流路32において、供給流通部23と対向する面には、供給流通部23に熱媒体を供給するための供給孔32aが複数形成されている。供給孔32aは、ダクト30が電池モジュール10に取り付けられた状態で、供給流通部23と供給流路32が連通されるように形成される。したがって、供給孔32aの数と供給流通部23の数は、一致するように構成されている。本実施形態において、供給流通部23の開口面積と供給孔32aの開口面積は略同一とされている。
【0028】
排出流路33において、排出流通部24と対向する面には、排出流通部24から排出される熱媒体を排出流路33に供給する排出孔33aが形成されている。排出孔33aは、ダクト30が電池モジュール10に取り付けられた状態で、排出流通部24と排出流路33が連通されるように形成される。したがって、排出孔33aの数と排出流通部24の数は一致するように構成されている。本実施形態において、排出流通部24の開口面積と排出孔33aの開口面積は略同一とされている。
【0029】
次に、本実施形態における電池用温調機構20の作用について説明する。
供給流路32と排出流路33を段積み構成としているため、本実施形態の電源装置1は、角型電池11の幅方向両側に供給流路32と排出流路33を別々に設ける場合に比べて、小型化が図られている。また、ダクト30を、角型電池11の幅方向において一方向にのみ配設しているため、更に電源装置1の小型化が図られる。すなわち、ダクト30の占有する領域を少なくすることにより、電池モジュール10の配設効率が向上されている。
【0030】
ダクト30の供給流路32に熱媒体が流入すると、供給流路32に形成された供給孔32aから、供給流通部23に熱媒体が流入される。そして、供給流通部23を流通した熱媒体は、排出流通部24に流入し排出孔33aを介して排出流路33に流出される。供給流通部23、排出流通部24を流通する熱媒体は、スペーサ21の対向方向第1面S1側に配設される角型電池11と接触することにより、角型電池11と熱交換を行う。したがって、熱媒体は、供給流通部23、排出流通部24を介して角型電池11に対して供給され、角型電池11の温度調節を行う。また、スペーサ21において、上側流路O1、下側流路O2、連通部27の形成される部分の厚みを薄くしていることから、熱媒体は、スペーサ21の対向方向第2面S2側に配設される角型電池11に対しても熱交換作用を及ぼす。
【0031】
また、ダクト30は、断熱性の高い材料からなる。このため、供給流路32を流通する熱媒体と、排出流路33を流通する熱媒体が、区画壁31を介して熱交換されることが抑制されている。
【0032】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)角型電池11に対して熱媒体を供給する供給流路32と供給流路32から供給された熱媒体を排出する排出流路33は、段積みされている。したがって、供給流路32と排出流路33を電池モジュール10における角型電池11の幅方向に分けて配設する場合に比べて、電池モジュール10を効率よく配設することができる。
【0033】
(2)更に、本実施形態では、角型電池11の幅方向において、一方向にのみダクト30を配設することにより、電池モジュール10を更に効率よく配設することができる。
(3)スペーサ21は、角型電池11の間の配設間隔を維持するだけでなく、流通部23,24を形成する部材としても機能する。したがって、各角型電池11の間に別途流通部23,24を形成する部材を設けることなく、流通部23,24を形成することができる。したがって、部品点数が削減され、電源装置1全体の製造費用の削減が図られる。
【0034】
(4)スペーサ21において、上側流路O1、下側流路O2、連通部27の形成されている部分の厚みを薄くしている。このため、スペーサ21の対向方向第2面S2側に配設される角型電池11も冷却することができる。すなわち、スペーサ21の対向方向両面に配設される角型電池11を冷却することができる。
【0035】
(5)ダクト30は、断熱性の高い材料からなる。このため、供給流路32を流通する熱媒体と、排出流路33を流通する熱媒体で、熱交換されにくくなっている。このため、供給流路32を流通する熱媒体の温度が、排出流路33を流通する熱媒体により温められたりすることが抑制され、適切に角型電池11の温調を行うことができる。
【0036】
(6)供給流通部23の開口面積と、供給孔32aの開口面積を略同一としている。また、排出流通部24の開口面積と排出孔33aの開口面積を略同一としている。このため、熱媒体は、適切に、供給流通部23、排出流通部24を流通することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に本発明の電池用温調機構を具体化した第2の実施形態を図5〜図9にしたがって説明する。以下に説明する実施形態において、すでに説明した実施形態と同一構成については同一符号を付すなどしてその重複する説明を省略又は簡略する。
【0038】
図5に示すように、本実施形態の電源装置2の電池モジュール40は、第1の実施形態の電源装置1と同一の構成とされている。本実施形態では、説明の便宜上、互いに隣接する角型電池41,42の一方を第1角型電池41、他方を第2角型電池42として説明を行う。そして、互いに隣接する第1角型電池41と第2角型電池42を一組の電池群43として説明を行う。
【0039】
以下、本実施形態における電池モジュール40に設けられる電池用温調機構について説明する。
電池用温調機構は、各電池群43を形成する第1角型電池41と第2角型電池42の間に設けられる平板状の第1スペーサ51と、各電池群43の間に設けられる平板状の第2スペーサ52と、段積流路としての第1ダクト61及び第2ダクト62から構成されている。
【0040】
第1スペーサ51において各角型電池41,42の厚み方向一面と対向する方向(以下、「第1スペーサ51の対向方向」という)の両面は、角型電池41,42の厚み方向両面よりもわずかに大きく設定されている。そして、第1スペーサ51により、各電池群43を形成する第1角型電池41と第2角型電池42の間には、第1流通部53が形成されている。また、第1スペーサ51と同一寸法の第2スペーサ52は、各電池群43の間に第2流通部54を形成している。以下、各流通部53,54について詳しく説明する。
【0041】
図6に示すように、第1スペーサ51の対向方向第1面S1には、第1スペーサ51の対向方向に凹み、かつ、第1スペーサ51の幅方向第1面S3から第1スペーサ51の幅方向第2面S4に延びる流路O3が形成されている。第1スペーサ51の幅方向第1面S3には、流路O3に開口する流出口55が形成されるとともに、第1スペーサ51の幅方向第2面S4には、流路O3に開口する流入口56が形成されている。流入口56と流出口55は、第1スペーサ51の高さ方向にずらされて形成されている。本実施形態において、流入口56は、流出口55よりも高さ方向上側に形成されている。また、流路O3には、流入口56から流出口55に向かって延びる平板状の誘導部材57が形成されている。本実施形態において、誘導部材57は、斜状の誘導部材57とされており、流入口56から流出口55に向かうように、下り勾配とされている。誘導部材57は、互いに隣接する誘導部材57同士が平行となるように、3箇所に形成されている。
【0042】
図7に示すように、第2スペーサ52において各角型電池41,42の厚み方向一面と対向する方向(以下、「第2スペーサ52の対向方向」という)の第1面S1には、第2スペーサ52の対向方向に凹み、かつ、第2スペーサ52の幅方向第1面S3から第1スペーサ51の幅方向第2面S4に延びる流路O4が形成されている。第2スペーサ52の幅方向第1面S3には、流路O4に開口する流入口56が形成されているとともに、第2スペーサ52の幅方向第2面S4には、流路O4に開口する流出口55が形成されている。本実施形態における流入口56は、流出口55よりも高さ方向上側に形成されている。すなわち、第2スペーサ52は、流入口56及び流出口55が形成される位置が第1スペーサ51と、その幅方向において逆側となっている。また、流路O4には、流入口56から流出口55に向かって延びる平板状の誘導部材58が形成されている。本実施形態において、誘導部材58は、斜状の誘導部材58とされており、流入口56から流出口55に向かうように、下り勾配とされている。誘導部材58は、互いに隣接する誘導部材58同士が平行となるように、3箇所に形成されている。
【0043】
第1スペーサ51及び第2スペーサ52に形成される誘導部材57,58の厚みは、第1スペーサ51及び第2スペーサ52において、流路O3,O4の形成されていない部分の厚みと同一とされている。
【0044】
第1スペーサ51及び第2スペーサ52の流路O3,O4が形成されている部分は、その対向方向への厚さが、薄く形成されている。具体的に言えば、第1流通部53は、第1流通部53を熱媒体が流通したときに、第1スペーサ51を介して第2角型電池42に熱交換作用を及ぼすことのできる程度に薄く形成されている。同様に、第2流通部54は、第2流通部54を熱媒体が流通したときに、第2スペーサ52を介して第1角型電池41に熱交換作用を及ぼすことができる程度に薄く形成されている。
【0045】
そして、第1スペーサ51は、第1スペーサ51と、第1角型電池41が密着された状態で、第1スペーサ51の対向方向第1面S1と第1角型電池41における第1スペーサ51の対向方向第1面S1と対向する面が面接触することにより、各電池群43を形成する第1角型電池41と第2角型電池42の間に第1流通部53を形成する。同様に、第2スペーサ52は、第2スペーサ52と、第2角型電池42が密着された状態で、第2スペーサ52の対向方向第1面S1と、第2角型電池42における第2スペーサ52の対向方向第1面S1と対向する面が面接触することにより、各電池群43の間に第2流通部54を形成する。
【0046】
第1スペーサ51と第2スペーサ52は、このように配設されることにより、互いに隣接するスペーサ51,52とされている。そして、第1スペーサ51と第2スペーサ52は、流入口56及び流出口55の位置を異ならせていることから、第1流通部53を流通する熱媒体と第2流通部54を流通する熱媒体の流通方向が異なるような流通部を形成している。したがって、本実施形態では、図5に示すように、電池モジュール40におけるスペーサ51,52の幅方向第1面S3側には、第1流通部53の流出口55と第2流通部54の流入口56が位置することになる。また、電池モジュール40におけるスペーサ51,52の幅方向第2面S4側には、第1流通部53の流入口56と第2流通部54の流出口55が位置することになる。
【0047】
本実施形態の第1スペーサ51及び第2スペーサ52の幅方向両面には、ダクト載置部21bと爪部21cが形成されている。
図8に示すように、電池モジュール40における第1及び第2スペーサ51,52の幅方向第1面S3側には、電池モジュール40における角型電池41,42の厚み方向に延設されてなる段積流路としての第1ダクト61が配設されている。また、電池モジュール40における第1及び第2スペーサ51,52の幅方向第2面S4側には、電池モジュール40における角型電池41,42の厚み方向に延設されてなる段積流路としての第2ダクト62が配設されている。
【0048】
第1ダクト61及び第2ダクト62の延設方向への長さは、電池モジュール40における角型電池41,42の厚み方向の長さと略同一とされている。また、第1ダクト61における角型電池41,42の高さ方向への長さは、角型電池41,42の高さ方向への長さと略同一とされている。第1ダクト61及び第2ダクト62は、断熱性の高い材料(例えば、プラスチックなど)からなる。
【0049】
図9に示すように、第1ダクト61は、第1ダクト61の延設方向に延びる区画壁63により、角型電池41,42の高さ方向二つの領域に区画されている。本実施形態では、上側の領域を供給流路64とするとともに、下側の領域を排出流路65としている。供給流路64と排出流路65は、区画壁63により非連通状態とされている。これにより、第1ダクト61内には、供給流路64と排出流路65が段積みされている。
【0050】
供給流路64においてスペーサ51,52の幅方向第1面S3と対向する面には、第2流通部54の流入口56に対応(対向)して供給孔64aが複数形成されている。供給孔64aは、第1ダクト61が電池モジュール40に取り付けられた状態で、第2流通部54の流入口56と連通するように形成される。したがって、第1ダクト61の供給孔64aの数と、第2流通部54の流入口56の数は、一致するように構成されている。本実施形態では、第2流通部54の流入口56の開口面積と第1ダクト61の供給孔64aの開口面積は略同一とされている。
【0051】
排出流路65においてスペーサ51,52の幅方向第1面S3と対向する面には、第1流通部53の流出口55に対応(対向)して排出孔65aが複数形成されている。排出孔65aは、第1ダクト61が電池モジュール40に取り付けられた状態で、第1流通部53の流出口55と連通するように形成される。したがって、第1ダクト61の排出孔65aの数と、第1流通部53の流出口55の数は、一致するように構成されている。本実施形態において、第1流通部53の流出口55の開口面積と第1ダクト61の排出孔65aの開口面積は略同一とされている。
【0052】
第2ダクト62は、第1ダクト61と略同一の構成とされているが、供給孔64a及び排出孔65aの形成される位置が、第1ダクト61とは異なっている。
すなわち、第2ダクト62の供給孔64aは、第1流通部53の流入口56に対応(対向)して形成されているとともに、第2ダクト62の排出孔65aは、第2流通部54の流出口55に対応(対向)して形成されている。
【0053】
上記の構成により、第2ダクト62は、各電池群43を形成する各第1角型電池41と第2角型電池42の間に形成された第1流通部53に熱媒体を供給する供給流路64と、第1流通部53と隣接する第2流通部54に供給された熱媒体が排出される排出流路65が段積みされて形成される段積流路となる。本実施形態では、第1流通部53に熱媒体が供給されることにより、第1角型電池41と熱媒体が直接接触することから、第1流通部53に供給される熱媒体は、第1角型電池41に対して供給されている。
【0054】
また、第1ダクト61は、各電池群43の間に形成された第2流通部54に熱媒体を供給する供給流路64と、第2流通部54と隣接する第1流通部53に供給された熱媒体が排出される排出流路65が段積みされる段積流路となる。本実施形態では、第2流通部54に熱媒体が供給されることにより、第2角型電池42と熱媒体が直接接触することから、第2流通部54に供給される熱媒体は、第2角型電池42に対して供給されている。
【0055】
次に、本実施形態における電池用温調機構の作用について説明する。
第1流通部53を流通する熱媒体は、第1角型電池41と接触することにより、第1角型電池41に熱交換作用を及ぼし、第1角型電池41の温度調節を行う。また、第1流通部53を流通する熱媒体は、第1スペーサ51を介して第2角型電池42に熱交換作用を及ぼし、第2角型電池42の温度調節を行う。
【0056】
第2流通部54を流通する熱媒体は、第2角型電池42と接触することにより第2角型電池42に熱交換作用を及ぼし、第2角型電池42の温度調節を行う。また、第2流通部54を流通する熱媒体は、第2スペーサ52を介して第1角型電池41に熱交換作用を及ぼし、第1角型電池41の温度調節を行う。
【0057】
この際、熱媒体は、誘導部材57,58によって誘導され、第1及び第2流通部53,54を満遍なく流通する。すなわち、流通部53,54を形成することにより、第1角型電池41と第2角型電池42の間に熱媒体が流通するように構成されている。
【0058】
第1及び第2角型電池41,42の厚み方向両面は、流通方向の異なる熱媒体によって熱交換される。第1及び第2流通部53,54を流通する熱媒体は、上流から下流に流通するにしたがい、第1及び第2角型電池41,42と熱交換され、熱交換効率が低減される。したがって第1及び第2角型電池41,42において下流側に位置する部分は、上流側に位置する部分に比べて、十分に熱交換されないおそれがある。本実施形態では、第1及び第2流通部53,54を流通する熱媒体の流通方向を異ならせることにより、角型電池41,42の幅方向において、どちらか一方のみが下流側になることを防止している。したがって、第1及び第2角型電池41,42の一部のみが局所的に冷却されることが防止されている。
【0059】
また、第1流通部53と第2流通部54を流通する熱媒体の流通方向を異ならせる構成として、供給流路64と排出流路65を二組設ける必要がある。本実施形態では、供給流路64と排出流路65を段積み構成とすることにより、電源装置2の小型化が図られている。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(7)第1及び第2角型電池41,42の厚み方向両面は、流通方向の異なる熱媒体によって温度調節される。このため、角型電池41,42の幅方向のどちらか一方が局所的に冷却されることがなく、角型電池41,42における温度分布の偏りを少なくすることができる。したがって、角型電池41,42の長寿命化が図られる。
【0061】
(8)また、互いに隣接する第1流通部53と第2流通部54を流通する熱媒体の流通方向を異ならせる構成として、供給流路64と排出流路65が二組必要とされる。本実施形態では、供給流路64と排出流路65を段積み構成としていることから、供給流路64と排出流路65を角型電池41,42の幅方向に順次配設していく場合と比べて、電源装置2の小型化が図られている。すなわち、電池モジュール40の配設効率が向上されている。
【0062】
(9)第1及び第2流通部53,54には、流入口56から流出口55に延びる誘導部材57,58が設けられている。このため、第1及び第2流通部53,54を流通する熱媒体は、誘導部材57,58により誘導され、第1及び第2流通部53,54を満遍なく流通する。このため、角型電池41,42の厚み方向両面に対する温調作用の均一化が図られる。
【0063】
(第3の実施形態)
次に本発明の電池用温調機構を具体化した第3の実施形態を図10にしたがって説明する。以下に説明する実施形態において、すでに説明した実施形態と同一構成については同一符号を付すなどしてその重複する説明を省略又は簡略する。
【0064】
図10に示すように、電源装置3の電池モジュール70は、平面視矩形状をなすケース71と、ケース71に収容される複数の円筒型電池72から構成されている。ケース71の内部領域は、区画壁73により平面視台形状の領域74,75に四分割されている。以下の説明において、平面視台形状の各領域74,75の上辺及び下辺(平行をなす2辺)のうち、長い辺を長辺H1とし、短い辺を短辺H2として説明を行う。各領域74,75は、区画壁73により非連通状態とされている。そして、各領域74,75の短辺H2側に配設される円筒型電池72の本数は、長辺H1側に配設される円筒型電池72の本数よりも少なくなっている。本実施形態では、各領域74,75に収容されている複数の円筒型電池72が電池体81,82を構成している。すなわち、本実施形態における電池体81,82の配設方向は、領域74,75を平面視したときに長辺H1及び短辺H2の延びる方向と同一方向となる。また、各電池体81,82は、同一構成とされているが、説明の便宜上互いに隣接する電池体81,82の一方を第1電池体81、他方を第2電池体82として説明を行う。また、第1電池体81の収容される領域を第1領域74、第2電池体82の収容される領域を第2領域75として説明を行う。
【0065】
次に、本実施形態における電池モジュール70に設けられる電池用温調機構について説明を行う。
ケース71には、各領域74,75の長辺H1に対応して、供給部71aが形成されているとともに、短辺H2に対応して排出部71bが形成されている。ケース71をこのように形成することにより、第1及び第2領域74,75に熱媒体を流通させることができる。すなわち、各領域74,75は、熱媒体が流通する流通部として機能する。
【0066】
ケース71において電池体81,82の配設方向と直交する方向には、第1ダクト61と第2ダクト62が、電池体81,82を挟持するように配設されている。
第1ダクト61及び第2ダクト62に形成される供給孔64aは、ケース71に形成される供給部71aに対応して形成されているとともに、第1ダクト61及び第2ダクト62に形成される排出孔65aは、ケース71に形成される排出部71bに対応して形成されている。したがって、本実施形態において、熱媒体は、各領域74,75を平面視したときの長辺H1側から、短辺H2側に向かって各領域74,75を流通する。
【0067】
第1ダクト61は、第1電池体81に対して熱媒体を供給する供給流路64と、第2電池体82に対して供給された熱媒体が排出される排出流路65が段積みされて形成されている。また、第2ダクト62は、第2電池体82に対して熱媒体を供給する供給流路64と、第1電池体81に対して供給された熱媒体が排出される排出流路65が段積みされて形成されている。
【0068】
上記したように、本実施形態の電池用温調機構は、ケース71、区画壁73、第1及び第2ダクト61,62から構成されている。
次に、本実施形態における電池用温調機構の作用について説明する。
【0069】
各領域74,75は、平面視台形状とされていることから、長辺H1側から短辺H2側に向かって狭くなっていく。したがって、長辺H1側を熱媒体が流通する上流側、短辺H2側を熱媒体が流通する下流側とすることにより、熱媒体の流通速度を、長辺H1側から短辺H2側に向かって向上させることができる。下流側を流通する熱媒体は、上流側に配設される円筒型電池72に対して熱交換作用を及ぼした後の熱媒体である。このため、下流側を流通する熱媒体ほど、円筒型電池72に対する熱交換作用は低減されている。本実施形態では、下流側を流通する熱媒体の流通速度を向上させていることから、上流側に配設される円筒型電池72に対する熱交換効率と下流側に配設される円筒型電池72に対する熱交換効率の均一化を図ることができる。
【0070】
また、円筒型電池72を収容するための第1領域74及び第2領域75を平面視台形状としているため、体積効率が悪い。しかしながら、第1領域74の短辺H2側に、第2領域75の長辺H1側が位置するように各領域74,75を形成することにより、互いに隣接する第1領域74と第2領域75で平面視矩形状の領域を形成でき、体積効率よく電源装置3を構成できる。すなわち、電池モジュール70の配設効率が向上されている。
【0071】
したがって、本実施形態によれば、第2の実施形態の効果(8)に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(10)各領域74,75は、熱媒体の流通速度が、上流側に比べて、下流側の方が速くなるように構成されている。このため、上流側に配設される円筒型電池72と、下流側に配設される円筒型電池72の温度分布の偏りが低減される。したがって、円筒型電池72の長寿命化が図られる。
【0072】
(11)また、第1領域74と第2領域75を平面視したときに、第1領域74の短辺H2側に第2領域75の長辺H1が、第1領域74の長辺H1側に第2領域75の短辺H2が、それぞれ位置するように形成されている。すなわち、第1領域74と第2領域75を併せることにより、平面視矩形状の領域が形成される。したがって、体積効率がよく、電源装置3の小型化が図られる。
【0073】
(第4の実施形態)
次に本発明の電池用温調機構を具体化した第4の実施形態を図11〜図14にしたがって説明する。以下に説明する実施形態において、すでに説明した実施形態と同一構成については同一符号を付すなどしてその重複する説明を省略又は簡略する。
【0074】
図11に示すように、電源装置100は、複数(本実施形態では2個)の電池ユニット101を四角箱状のケース102の内部に収容するとともに、ケース102の外部に熱媒体の温度調節を行う熱電変換ユニット103を取り付けることで構成されている。
【0075】
図12に示すように、各電池ユニット101は、第1電池モジュール105と、第2電池モジュール106と、電池モジュール105,106に設けられる電池用温調機構107から構成されている。各電池モジュール105,106は、第1の実施形態における電池モジュール10と同一の電池モジュールである。第1電池モジュール105の角形電池を第1電池体108とし、第2電池モジュール106の角型電池を第2電池体110とする。
【0076】
電池用温調機構107は、第1電池体108の各角形電池の間に設けられる第1スペーサ109と、第2電池体110の各角形電池の間に設けられる第2スペーサ111と、供給流路132と排出流路133を段積みしてなる段積流路としてのダクト104と、後述する熱電変換ユニット103と、後述する給排用ダクト112と、から構成されている。
【0077】
第1電池モジュール105と、第2電池モジュール106は、有底四角筒状のダクト104を挟持している。具体的にいえば、第1電池モジュール105と第2電池モジュール106は、ダクト104の長手方向に沿って配設されている。ダクト104において外方に露出する面(上面)には、爪部21cが嵌合する一対の嵌合部104aがダクト104の長手方向に延びるように形成されている。そして、ダクト104は、第1スペーサ109のダクト載置部21b及び第2スペーサ111のダクト載置部21bに載置されるとともに、第1スペーサ109の爪部21c及び第2スペーサ111の爪部21cが嵌合部104aに嵌合することで、第1電池モジュール105と第2電池モジュール106に挟持されている。
【0078】
図13に示すように、ダクト104において、第1電池モジュール105及び第2電池モジュール106に対向する一対の壁部104b,104cには、供給孔132a及び排出孔133aが形成されている。具体的にいえば、ダクト104の各壁部104b,104cには、各供給流通部23と対向するように供給孔132aが形成されるとともに、各排出流通部24と対向するように排出孔133aが形成されている。
【0079】
図11及び図14に示すように、ケース102の一側壁と、各電池ユニット101との間には、ダクト104に熱媒体を供給するとともに、各電池ユニット101のダクト104に供給された熱媒体が排出される四角箱状の給排用ダクト112が配設されている。給排用ダクト112は、段積流路(ダクト104)に合わせて段積構成とされている。給排用ダクト112の内部には、給排用ダクト112の長手方向に延びる区画壁112aが、給排用ダクト112の高さ方向の略中央に形成されている。そして、区画壁112aによって、給排用ダクト112の内部には、ダクト104に熱媒体を供給するダクト供給用流路113と、ダクト排出用流路114とが形成されている。
【0080】
給排用ダクト112の長手方向両端には、供給用開口部115と、排出用開口部116が形成されている。各供給用開口部115は、ダクト供給用流路113に開口するととともに、各排出用開口部116は、ダクト排出用流路114に開口している。そして、給排用ダクト112が電池ユニット101に取り付けられた状態で、供給用開口部115は、供給流路132の開口部34と重なり合って、ダクト供給用流路113と、供給流路132とが連通するようになっている。また、排出用開口部116は、排出流路133の開口部35と重なり合って、ダクト排出用流路114と、排出流路133とが連通するようになっている。
【0081】
図11に示すように、熱電変換ユニット103は、吸熱と放熱を行う複数の熱電変換モジュール117と、熱電変換モジュール117を間に挟んで配設される第1温調用ダクト118及び第2温調用ダクト119とから構成されている。そして、熱電変換モジュール117が吸熱と放熱を行うことで、第1温調用ダクト118内の熱媒体及び第2温調用ダクト119内の熱媒体のうち、一方が加熱され、他方が冷却される。第1温調用ダクト118には、ダクト供給用流路113に熱媒体を供給する供給用送風機120と、ダクト排出用流路114に排出された熱媒体を第1温調用ダクト118に供給する循環用送風機121とが配設され、供給用送風機120と循環用送風機121を駆動させることで、熱媒体を循環させる。また、第2温調用ダクト119には、第2温調用ダクト119に熱媒体を供給する温調用送風機122が配設されている。
【0082】
次に、本実施形態における電池用温調機構107の作用について説明する。
第1電池体108及び第2電池体110の温度調節を行うときには、供給用送風機120が駆動することで、熱電変換モジュール117によって加熱又は冷却された熱媒体が、ダクト供給用流路113に供給される。
【0083】
ダクト供給用流路113に供給された熱媒体は、各供給用開口部115から各供給流路132に流通する。そして、各供給流路132を流通する熱媒体は、第1スペーサ109と第1電池体108の間と、第2スペーサ111と第2電池体110の間のそれぞれに形成された供給流通部23及び排出流通部24を流通する。これにより、ダクト104を挟んで配設される両方の電池体となる第1電池体108及び第2電池体110に対して熱媒体が供給される。
【0084】
供給流通部23及び排出流通部24を流通した熱媒体は、各ダクト104の排出流路133に排出される。したがって、排出流路133には、第1電池体108及び第2電池体110に対して供給された熱媒体が排出される。
【0085】
排出流路133に排出された熱媒体は、各排出用開口部116からダクト排出用流路114に排出された後、循環用送風機121によって、第1温調用ダクト118を流通し、再度加熱又は冷却される。
【0086】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(12)第1電池体108及び第2電池体110は、ダクト104を挟むように配設されている。ダクト104の内部には、第1電池体108及び第2電池体110の両方に対して熱媒体を供給する供給流路132及び、第1電池体108と第2電池体110の両方に供給された熱媒体が排出される排出流路133が形成されている。したがって、第1電池体108用の供給流路132と第2電池体110用の供給流路132を共通化することができる。同様に、第1電池体108用の排出流路133と第2電池体110用の排出流路133を共通化することができる。このため、ダクト104を挟む第1電池体108及び第2電池体110に対して熱媒体を供給する供給流路132及び熱媒体を排出する排出流路133を各電池体108,110に対して個別に設ける場合に比べて、部品点数が削減される。
【0087】
(13)各供給流路132に熱媒体を供給するとともに、各排出流路133から排出される熱媒体が排出される給排用ダクト112は、各電池ユニット101と、熱電変換ユニット103との間に配設されている。このため、給排用ダクト112は、直接外気と隣り合わず、熱電変換モジュール117を介して外気と隣り合っている。したがって、熱電変換モジュール117に加熱又は冷却された熱媒体が、供給流路132に至るまでに外気と熱交換されることが抑制される。
【0088】
(14)ダクト104の供給流路132から供給された熱媒体は、供給流通部23を流通した後、排出流通部24を流通して、排出流路133に排出される。したがって、供給流路132に供給された熱媒体は、隣り合う第1電池体108の間及び隣り合う第2電池体110の間を流通することで、温度調節を行う。このため、供給流路132に供給された熱媒体は、外部との熱交換が抑制されて、効率よく温度調節を行うことができる。
【0089】
なお、上記各実施形態は以下のように変更しても良い。
○ 各実施形態において、供給流路32,64,と排出流路33,65の位置を逆にしてもよい。
【0090】
○ 各実施形態において、供給流路32,64と排出流路33,65を単一のダクトの内部領域を区画するのではなく、別のダクトを段積みすることにより段積流路を形成してもよい。
【0091】
○ 第1、第2及び第4の実施形態において、電池体として、複数の角型電池11,41,42からなる電池体を採用してもよいし、複数の円筒型電池を採用してもよい。
○ 第3の実施形態において、電池体81,82は、複数の角型電池から形成されていてもよい。
【0092】
○ 第3の実施形態において、電池体81,82を形成する円筒型電池72の数を変更してもよい。
○ 第3の実施形態において、ケース71の長辺方向に沿う円筒型電池72の配設間隔を変更してもよい。
【0093】
○ 図15に示すように、第4の実施形態において、電池ユニット101として、第2の実施形態の電池モジュール40及びスペーサ51,52によってダクト104を挟んだものを採用してもよい。各電池モジュール105,106は、ダクト104と、各電池モジュール105,106を挟んでダクト104と反対側にそれぞれ設けられる段積み流路としてのダクト130,131によって挟まれる。ダクト104には、第1電池モジュール105の第1スペーサ151及び第2電池モジュール106の第2スペーサ152の流入口56に対向するように、供給孔132aが形成されている。また、ダクト104には、第1電池モジュール105の第1スペーサ151及び第2電池モジュール106の第2スペーサ152の流出口55に対向するように排出孔133aが形成されている。同様に、ダクト130,131にも、流入口56に対向するように、供給孔132aが形成され、流出口55に対向するように排出孔133aが形成されている。この場合、ダクト104の供給流路132は、第1流通部53に熱媒体を供給することで、第1電池体108及び第2電池体110に対して熱媒体を供給する。また、ダクト104の排出流路133には、ダクト130の供給流路132から第1電池体108に対して供給された熱媒体と、ダクト131の供給流路132から第2電池体110に対して供給された熱媒体が排出される。したがって、電池モジュールとして、第2の実施形態に記載の電池モジュール40を用いても、ダクト104を挟んで配設される両方の電池体に対して熱媒体を供給する供給流路132及び、ダクト104を挟んで配設される両方の電池体に供給された熱媒体が排出される排出流路133を共通化することができる。
【0094】
○ 図16に示すように、第4の実施形態において、第2電池体110の幅方向に隣り合うように更に電池体141を設けてもよい。この場合、第2電池体110及び第2電池体110に隣り合う電池体141の厚み方向に隣り合うように単一のスペーサ142を設けることで、第2電池体110用のスペーサと、電池体141用のスペーサを共通化することができ、部品点数を削減することができる。また、単一のスペーサ142を用いることで、電池体141を配設しても段積流路(ダクト104)の数を増やすことなく、第2電池体110及び電池体141の温度調節を行うことができる。なお、第2電池体110の場合と同様に、第1電池体108の幅方向に隣り合うように電池体141を設けてもよい。また、第1の実施形態及び第2の実施形態の場合も同様に、2個以上の角型電池11,41,42を幅方向に配設して電池モジュール10,40を構成してもよい。
【0095】
○ 第4の実施形態において、熱電変換ユニット103を設けなくてもよい。この場合、熱媒体を循環させることで、電池体108,110の温度調節が行われる。
○ 第4の実施形態において、電池ユニット101の個数を増やしてもよいし、減らしてもよい。
【0096】
○ 第4の実施形態において、給排用ダクト112が設けられる場所を変更してもよい。例えば、電池ユニット101と、熱電変換ユニット103が設けられていない側壁との間などに配設してもよい。
【0097】
○ 第4の実施形態において、給排用ダクト112を設けず、送風機などの熱媒体供給源からダクト104の供給流路132に熱媒体を直接供給してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10,40,70…電池モジュール、11…角型電池、20,107…電池用温調機構、21…スペーサ、30,104…ダクト、32,64,132…供給流路、33,65,133…排出流路、41…第1角型電池、42…第2角型電池、61…第1ダクト、62…第2ダクト、71…ケース、72…円筒型電池、81,108…第1電池体、82,110…第2電池体、105…第1電池モジュール、106…第2電池モジュール、141…電池体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の電池からなる電池体を複数配設することにより形成された電池モジュールに設けられ、前記電池体に対して熱媒体を供給することにより電池体の温度調節を行う電池用温調機構であって、
前記電池体に対して前記熱媒体を供給する供給流路と前記電池体に対して供給された熱媒体を排出する排出流路が段積みされてなる段積流路を有することを特徴とする電池用温調機構。
【請求項2】
前記電池体は、角型電池からなり、
前記段積流路は、第1角型電池に対して熱媒体を供給する供給流路と、前記第1角型電池に隣接する第2角型電池に対して供給された熱媒体が排出される排出流路からなることを特徴とする請求項1に記載の電池用温調機構。
【請求項3】
前記段積流路から供給された前記熱媒体は前記第1角型電池と前記第2角型電池の間を流通されるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の電池用温調機構。
【請求項4】
前記電池体は、前記段積流路を挟んで配設され、前記供給流路は、前記段積流路を挟む両方の電池体に対して熱媒体を供給するとともに、前記排出流路は、前記段積流路を挟む両方の電池体に対して供給された熱媒体を排出することを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電池用温調機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−48083(P2013−48083A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−147170(P2012−147170)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】