説明

電池用配線モジュール

【課題】積層型の単電池群を使用した電池モジュールでありながら、電圧検知端子と電極端子面とが確実に接続された状態にあるか否かを容易に検知できる電池用配線モジュールを提供する。
【解決手段】前面及び後面に正極および負極の電極端子面23Cを有する複数の単電池21を積層状態にして直列接続してなる単電池群20に設けられる電池用配線モジュール40であって、前後方向に延びる複数本の導電路42を集合させてなるフレキシブルプリント基板41と、導電路42と一体に形成された導入線部45を有してフレキシブルプリント基板41に設けられた導入片44と、導入片44の導入線部45に設けられ電極端子面23Cに接続状態となる電圧検知端子46と、電圧検知端子46と共に接続状態となる接続検知端子48とを備えるところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載される電池モジュールとして、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、上端に正極および負極の電極端子を有する複数の単電池を横並びに配置した単電池群と、単電池群に取り付けられる電池配線モジュールとを有している。
【0003】
電池配線モジュールは、隣り合う単電池における正極の電極端子と負極の電極端子とを接続することで単電池を直列接続するバスバーと、ナットを電極端子に螺合させることでバスバーと共に共締めされる電圧検知端子と、バスバーおよび電圧検知端子を内部に収容する絶縁性の樹脂プロテクタとを備えて構成されている。電圧検知端子は、電圧検知線によって例えばECUに接続されており、ECUによって各単電池の電圧が検知されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−91003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電池モジュールの小型化や軽量化を目的として、表裏に正極および負極の電極端子面を有する複数の単電池を積層して配置することで、隣り合う単電池の電極端子面同士を接触させて単電池を直列接続した積層型の単電池群を構成し、各単電池間の電極端子面と接続状態となる電圧検知端子を有した電池用配線モジュールを装着して、各単電池の電圧検知を行う電池モジュールが検討されている。このような構成によると、各単電池の上端に隣り合う単電池を接続するバスバーなどを用いる必要がないなど、従来の電池モジュールに比べて、電池モジュールの構造を小型化及び軽量化することができる。
【0006】
ところが、上記のような構成によると、ナットによって電圧検知端子を電極端子に締め付けて接続できない。また、電池用配線モジュールは、電圧検知端子と電極端子面とが接続された部分を保護するために、樹脂プロテクタによって上部を覆った構成とされるなど、電圧検知部と電極端子面とが確実に接触しているか否かを目視によって確認することは難しい。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、積層型の単電池群を使用した電池モジュールでありながら、電圧検知端子と電極端子面とが接続状態にあるか否かを確実かつ容易に検知できる電池用配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、表裏に正極および負極の電極端子面を有する複数の単電池を積層状態にして直列接続してなる単電池群に設けられる電池用配線モジュールであって、前記単電池の積層方向に延びて形成された複数本の導電路を集合させてなる集合導電線路と、前記導電路の一方の端末に前記単電池の所定個数毎に配された導入線部と、前記導入線部に設けられ、前記単電池の前記電極端子面に接続状態となる電圧検知端子と、前記電圧検知端子に対応して設けられ、前記電極端子面に対して前記電圧検知端子と共に接続状態となる接続検知端子とを備えるところ特徴を有する。
このような構成の電池用配線モジュールによると、電極端子面に対して、接続検知端子が電圧検知端子と共に接続状態となることで、接続検知端子と電圧検知端子とが電極端子面を通じて導通状態となることから、電極端子面と電圧検知部とが接続状態であるか否かを確実かつ容易に検知することができる。
また、電圧検知端子に対応して接続検知端子が設けられているので、何れの電圧検知端子が電極端子面と非接触状態にあるのか容易に判断することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記接続検知端子は、前記電圧検知端子の近傍に対をなして設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、電圧検知端子の近傍に設けられた一対の接続検知端子が電極端子面を通じて導通状態となることで、電圧検知部が電極端子面と接続状態であることを確実に検知することができる。
【0010】
前記集合導電線路はフレキシブルプリント基板により形成されており、前記フレキシブルプリント基板には、前記導電路から一体に延出された導入線部を有する導入片が設けられており、前記接続検知端子は、前記導入片に設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、導入片に接続検知端子を設けることができるので、電圧検知端子と接続検知端子とが個別に接続された複数の電線を束ねてなるワイヤーハーネスに比べて、電圧検知端子の近傍に接続検知端子を容易に配することができる。
【0011】
前記導入片は、前記単電池間の隙間に導入されるように構成されており、前記接続検知端子は、前記電圧検知端子よりも前記導入片の導入方向後方に対をなして設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、単電池間の隙間に電圧検知端子が導入された後に、接続検知端子が導入されることになることから、一対の接続検知端子が電極端子面を通じて導通状態となった際には、電圧検知端子が単電池間の隙間に配され、電圧検知端子と電極端子面とが確実に接続状態であることを検知することができる。
【0012】
前記接続検知端子は、前記電圧検知端子の両側に一対配されている構成としてもよい。
このような構成によると、電圧検知端子が一対の接続検知端子の間に配されていることになるので、一対の接続検知端子が電極端子面を通じて導通状態となった際には、電圧検知端子と電極端子面とが確実に接続状態であることを検知することができる。
【0013】
前記接続検知端子は、前記導入片上に金属箔を露出して形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、導入片上に別体の金属製の端子金具を接続したものに比べて、部品点数を低減させると共に、導入片上に端子金具を実装する作業工数を減らすことができるので、製造コストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、積層型の単電池群を使用した電池モジュールでありながら、電圧検知端子と電極端子面とが接続状態にあるか否かを確実かつ容易に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る電池モジュールの斜視図
【図2】実施形態1に係る電池モジュールの一部拡大平面図
【図3】実施形態1に係る電池モジュールの正面図
【図4】実施形態1に係る単電池群に電池用配線モジュールが装着された状態であって、電圧検知端子と張出端子及び平坦端子とが接続されると共に、接続検知と平坦端子とが接続された状態を示す要部拡大断面図
【図5】実施形態1に係る電池用配線モジュールの一部拡大平面図
【図6】実施形態1に係る電池用配線モジュールの正面図
【図7】実施形態1に係る電池用配線モジュールの一部拡大側面図
【図8】実施形態1に係る単電池群の一部拡大平面図
【図9】実施形態2に係る電池モジュールの斜視図
【図10】実施形態2に係る電池モジュールの一部拡大平面図
【図11】実施形態2に係る電池モジュールの正面図
【図12】図10のXII−XII線一部拡大側面図
【図13】実施形態2に係る単電池群に電池用配線モジュールが装着された状態であって、電圧検知端子及び接続検知端子と電池側端子とが接続された状態を示す要部拡大断面図
【図14】実施形態2に係る単電池群に電池用配線モジュールが装着される前の状態であって、電圧検知端子及び接続検知端子と電池側端子とが接続される前の状態を示す要部拡大断面図
【図15】実施形態2に係る電池用配線モジュールの一部拡大斜視図
【図16】実施形態2に係る電池用配線モジュールの正面図
【図17】実施形態2に係る電池用配線モジュールの一部拡大側面図
【図18】実施形態2に係る電池用配線モジュールのカバーの一部が開放された状態を示す一部拡大斜視図
【図19】実施形態2に係る電池用配線モジュールのカバーの一部が開放された状態を示す一部拡大平面図
【図20】実施形態2に係るフレキシブルプリント基板の一部拡大平面図
【図21】実施形態2に係るフレキシブルプリント基板の一部拡大正面図
【図22】実施形態2に係る単電池群の一部拡大斜視図
【図23】変形例1におけるフレキシブルプリント基板の一部拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1乃至図8を参照して説明する。
本実施形態に係る電池モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両を駆動するための電源として使用される。電池モジュール10は、図1に示すように、複数(本実施形態では38個)の単電池21が横並びに配置された単電池群20と、単電池群20に取り付けられる電池用配線モジュール40とを備えて構成されている。なお、以下の説明において、上下方向とは図3における上下方向を基準とし、左右方向とは図3における左右方向を基準とし、前後方向とは図2における左右方向を基準とする。
【0017】
単電池21は、図1及び図2に示すように、扁平な略直方体形状をなし、その内部には発電要素(図示省略)が収容されている。単電池21の上下左右の側面は、合成樹脂製の絶縁樹脂部22によって覆われており、単電池21の前後両側(表裏の両側)の面には、内部の発電要素と導通可能に接続された一対の電極端子23が設けられている。
【0018】
一対の電極端子23は金属製であって、図3に示すように、単電池21の外周形状よりも一回り小さい正面視略矩形状をなし、各電極端子23は、図4に示すように、隣り合う単電池21の電極端子23と前後方向に接触する電極端子面23Cを有している。一対の電極端子23は、一方が正極の電極端子23とされ、他方が負極の電極端子23とされている。また、図4に示すように、電極端子23のうち、前側に位置する電極端子23が絶縁樹脂部22の先端面よりも僅かに前方に張り出した張出端子23Aとされ、後側に位置する電極端子23が絶縁樹脂部22の後端面と面一状に形成された平坦端子23Bとされている。そして、張出端子23Aと平坦端子23Bとが隣り合うように複数の単電池21を前後方向に積層して配置して、張出端子23Aの前面(電極端子面23C)と平坦端子23Bの後面(電極端子面23C)とを接触させることで、複数の単電池21を電気的に直列接続した単電池群20が構成されている。
【0019】
また、単電池群20における前後両端には、図1及び図2に示すように、例えば前面もしくは後面が絶縁性樹脂部22に覆われた電極板24が取り付けられており、張出端子23Aおよび平坦端子23Bが前後方向に露出しないようになっている。また、単電池群20は、図示しない保持板などの固定手段によって、隣り合う単電池21の張出端子23Aと平坦端子23Bとが非接触状態とならないように固定されている。
【0020】
単電池21の上面には、上方に立ち上がる一対の係合片25が形成されており、一対の係合片25は、図3及び図8に示すように、係合片25の先端まで直線上に立ち上がった形態をなしている。両係合片25間には、図1乃至図3に示すように、電池用配線モジュール40が配され、両係合片25の内面と電池用配線モジュール40の左右両端部とが左右方向に係合することで、電池用配線モジュール40が単電池群20の上面に左右方向に位置決めされた状態で取り付けられている。
【0021】
電池用配線モジュール40は、前後方向に延びた形態をなし、フレキシブルプリント基板41(本発明の「集合導電線路」の一例)と、このFPC41における左右方向略中央部の上下両面を覆う電子部品保護フィルム60とを備えて構成されている。
フレキシブルプリント基板(以下、単に「FPC」ともいう)41は、図5に示すように、例えばポリイミドフィルムや液晶状フィルム等からなる絶縁性のベースフィルムの片面または両面にプリント配線技術により複数の導電路42を形成し、その導電路42の表面をフィルム(例えば、ポリイミド製フィルム)で覆った構造とされている。
【0022】
FPC41は、単電池21の積層方向である前後方向に延びるFPC本体部43と、FPC本体部43に一体に形成された複数の導入片44とを備えて構成されている。
FPC本体部43の前後方向の長さ寸法は、図1に示すように、単電池群20の前後方向の長さ寸法よりも長めに設定されており、FPC本体部43には、図5に示すように、前後方向に延びる複数の導電路42が集合した形態に形成されている。また、FPC本体部43における導電路42の後側の端末には、後述する導入片44の導入線部45が形成されており、導電路42の前側の端末には、例えば図示しないECUなどが接続されるようになっている。
【0023】
各導入片44は、FPC41におけるFPC本体部43の左右両側において、FPC41を上下方向に貫通する切り込みを形成することで、下方に向かって折り曲げられた短冊状に形成されている。
また、各導入片44は、FPC本体部43を中心に左右両側において、単電池21の厚さ寸法分だけ前後方向にずれた千鳥状に形成されることで、単電池21間毎に配されている。
【0024】
各導入片44には、FPC本体部43の導電路42における後側の端末から延出されて一体に形成された導入線部45が配されている。導入線部45は、例えば、FPC本体部43における導電路42の後端部から導入片44の左右方向に突出した部分向かって左右方向に延びて、その側端部から導入片44における下方に延びた部分に配されるように下側に延びて形成されている。また、導入線部45の下端部には、導入片44における前面のフィルムを取り除くことで、図示しない電極パッドが設けられている。この電極パッドのうち、左右方向略中央部の電極パッドには、図4及び図6に示すように、皿状の端子金具がリフロー半田付け等の公知の手法により接続されて電圧検知端子46が形成されている。また、導入片44における電圧検知端子46の上方には、ブロック状の温度センサ47が設けられている。
【0025】
電圧検知端子46は、単電池21の電極端子23に導通可能に接続されることで、単電池21の電圧に関する情報を取り込む検知端子であって、電圧検知端子46で得られた電圧に関する情報は、導入片44の左右方向略中央部に配された電圧検知用導入線部45Aと、導電路42とを通じて図示しないECUなどに取り込まれ、各単電池21の電圧が検知されるようになっている。
電圧検知端子46は、図4に示すように、電圧検知端子46の外周縁部よりもやや内側の位置から後方に向かうほど内側に傾斜するように後方に突出し、その後端部から前方に向かうほど更に内側に傾斜して外周縁部よりも前方に突出した形態をなしている。また、電圧検知端子46の中央部分は、スリットが形成されることで、前後方向に弾性変形可能に形成されている。
【0026】
一方、単電池21の張出端子23Aには、図4及び図8に示すように、単電池群20の上面に電池用配線モジュール40が装着される際に、導入片44の電圧検知端子46を内部に収容する端子収容部26が形成されている。
端子収容部26は、張出端子23Aの前面から後方に僅かに凹んだ形態で張出端子23Aの上縁部分に形成されており、上方及び前方に開口している。また、端子収容部26の前後方向の深さ寸法は、電圧検知端子46の前後方向の長さ寸法とほぼ同一に設定されている。ここで、ほぼ同一とは、端子収容部26の前後方向の深さ寸法が電圧検知端子46の前後方向の長さ寸法と同じ場合と、端子収容部26の前後方向の深さ寸法が電圧検知端子46の前後方向の長さ寸法よりも僅かに小さい場合とを含む。
【0027】
したがって、単電池群20に電池用配線モジュール40が装着され、図4に示すように、端子収容部26に電圧検知端子46が収容されると、導入片44に設けられた電圧検知端子46が、隣り合う単電池21の平坦端子23Bの後面と端子収容部26における後側の内面とによって挟持されることで、電圧検知端子46が前後方向に僅かに弾性変形し、電圧検知端子46と張出端子23A及び平坦端子23Bとが前後方向に接触して、導通可能に接続された状態となっている。
【0028】
また、端子収容部26の後側内面の中央に前方に突出する係合突起26Aが形成されており、この係合突起26Aは、電圧検知端子46と係合することで電圧検知端子46が端子収容部26内において位置ずれしないように抑制している。
【0029】
温度センサ47は、図6に示すように、導入線部45のうち、左右方向略中央部に配された温度センサ用導入線部45Bに設けられている。また、温度センサ47は、図4に示すように、端子収容部26内において、両電極端子23とは非接触の状態で配されており、温度センサ47で得られた温度情報は、温度センサ用導入線部45B及び導電路42を通じてECUに取り込まれ、ECUによって単電池群20の温度が検知されるようになっている。なお、温度センサ47は、導入片44に対して所定個数毎に設けられており、必要に応じて適宜設けることができる。
【0030】
電子部品保護フィルム60は、FPC41のFPC本体部43よりも前後方向に長い形態をなし、上下両側からFPC本体部43を挟み込むようにして形成されている。また、電子部品保護フィルム60には、FPC本体部43の上面に接続された図示しない電子部品を覆う電子部品保護部61が設けられている。
【0031】
さて、電圧検知端子46の上側近傍には、図4乃至図7に示すように、一対の接続検知端子48が設けられている。一対の接続検知端子48は、導入片44の左右両端部であって、電圧検知端子46よりも導入片44が単電池21間の隙間に導入される導入方向後方である上側に設けられている。また、両接続検知端子48は、導入線部45のうち、左右両側に配された接続検知用導入線部45Cの端末に導入片44の前面から前方に突出した形態で接続されている。また、両接続検知端子48は、図4に示すように、端子収容部26内において、電圧検知端子46が張出端子23A及び平坦端子23Bに接触して導通可能状態となった際に、平坦端子23Bの後面(電極端子面23C)に接続状態となり、両接続検知端子48が平坦端子23Bの後面23Cを介して導通状態となるように設定されている。なお、両接続検知端子48が導通状態となった情報は、接続検知用導入線部45C及び導電路42を通じて、ECUに取り込まれ、隣り合う単電池21間において電圧検知端子46と両電極端子23A,23Bとが導通可能に接続されたことを検知することができるようになっている。
【0032】
本実施形態の電池モジュール10は、上記のような構造であって、続いて単電池群20に電池用配線モジュール40を組み付ける手順の一例を簡単に説明する。
まず、張出端子23Aが前側に配されるように各単電池21間の間隔を僅かに開けた状態で、各単電池21を前後方向に並べ、電池用配線モジュール40を上方に配置する。そして、張出端子23Aの端子収容部26に導入片44の電圧検知端子46が挿入できるように前後方向の位置合わせを行い、単電池21の上面に電池用配線モジュール40を組み付けると同時に、各単電池21間の隙間を閉じる。すると、図5に示すように、隣り合う単電池21の張出端子23Aの前面と平坦端子23Bの後面とが導通可能に接続され、電圧検知端子46が張出端子23Aと平坦端子23Bとによって挟持されて導通可能な接続状態になると共に、両接続検知端子48が平坦端子23Bの後面23Cを介して導通可能な接続状態となり、電池モジュール10が完成する。
【0033】
以上のように、本実施形態によると、電圧検知端子46が張出端子23Aと平坦端子23Bとによって挟持されて、平坦端子23Bの後面23Cと導通可能な接続状態になると共に、両接続検知端子48が平坦端子23Bの後面23Cを介して導通可能な接続状態となる。そして、両接続検知端子48が電極端子面23Cを介して接続状態となった情報が接続検知用導入線部45C及び導電路42を通じてECUに取り込まれ、隣り合う単電池21間において電圧検知端子46と両電極端子23A,23Bとが導通可能に接続されたことを検知することができる。
【0034】
また、両接続検知端子48は、単電池21間の端子収容部26に電圧検知端子46が導入された後に、導入されることになることから、両接続検知端子48が平坦端子23Bの後面23Cを介して接続状態となった際には、電圧検知端子46が単電池21間の端子収容部26に配されて、電圧検知端子46と両電極端子23とが確実に接続状態となっていることを検知することができる。
また、本実施形態によると、FPC41に形成された導入片44に電圧検知端子46と共に、接続検知端子48が設けられているので、電圧検知端子と接続検知端子とが個別に接続された複数の電線を束ねてなるワイヤーハーネスに比べて、電圧検知端子46の近傍に接続検知端子48を容易に配することができるようになっている。
さらに、本実施形態によると、一対の接続検知端子48が各電圧検知端子46の近傍に設けられているので、単電池21の前後に配された電圧検知端子46のうち、どちらの電圧検知端子46が電極端子23と非接触状態にあるのか容易に判断することができる。
【0035】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、図9ないし図22を参照して説明する。
本実施形態に係る電池モジュール110は、上記の実施形態1に係る単電池21の上部の形状と、電池用配線モジュール40とを変更したものであって、上記実施形態と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、上記実施形態と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。なお、以下の説明において、上下方向とは図11における上下方向を基準とし、左右方向とは図11における左右方向を基準とし、前後方向とは図10における左右方向を基準とする。
【0036】
実施形態2における単電池21の上面には、図11及び図22に示すように、単電池21の左右方向中央部よりも左側に配されたモジュール受部125と、単電池21の左右方向中央部よりも右側に配された収容部126とが設けられている。
モジュール受部125は、ブロック状をなし、モジュール受部125の上部には、上方及び収容部126側に開口した受部側凹部125Aが形成されている。
【0037】
収容部126は、上方に開口したフード状をなし、収容部126の内部には、図12、図13及び図22に示すように、ばね部材127が保持固定されている。
ばね部材127は、ステンレス鋼等のばね性に優れた金属板材をプレス加工して形成されている。また、ばね部材127は、図13及び図14に示すように、長細い扁平な金属板128の一端128Aに板厚方向に貫通する矩形状の貫通孔129を形成し、金属板128を屈曲させて、金属板128の他端128Bを貫通孔129に貫通させて形成されている。なお、ばね部材127は、金属板128の一端128Aを上方から押圧することで、貫通孔129の前縁129Aと金属板128の他端128Bとの間の隙間が大きくなるように構成されている。
【0038】
ばね部材127の貫通孔129には、図13及び図14に示すように、収容部126の底壁から上方に真っ直ぐ立ち上がる電池側端子130が挿通されており、電池側端子130は、金属板128の他端128Bの前面に沿うようにして、貫通孔129の前縁129Aと金属板128の他端128Bとの間に配されている。
電池側端子130は、扁平な板状をなし、図示しないが単電池21の電極端子23に接続されている。
【0039】
収容部126におけるモジュール受部125側(左側)の壁部には、図12及び図22に示すように、上方及びモジュール受部125側に開口した収容部側凹部126Aが形成されている。この収容部側凹部126Aは、モジュール受部125の受部側凹部125Aと対をなすように対向して配されている。また、受部側凹部125Aと収容部側凹部126Aとの間には、電池用配線モジュール140の底部が嵌合可能とされており、電池用配線モジュール140の底部が受部側凹部125Aと収容部側凹部126Aとの間に嵌合されることで、図9及び図10に示すように、電池用配線モジュール140が前後左右に位置決めされた状態で単電池群20の上面に取り付けられている。
【0040】
収容部126の右側には、図11及び図22に示すように、ブロック状の電池側係止部131が形成されている。この電池側係止部131は、上方に向かって略矩形状に開口しており、電池側係止部131の上端開口縁における右側縁は、図12に示すように、内側(左側)に突出した形態をなしている。
【0041】
実施形態2に係る電池用配線モジュール140は、実施形態1の電池用配線モジュール40と同様に、図10乃至図12に示すように、単電池群20の上面に取り付けられている。
電池用配線モジュール140は、フレキシブルプリント基板141(本発明の「集合導電線路」の一例)と、このフレキシブルプリント基板141を全周に亘って包囲する樹脂プロテクタ160とを備えて構成されている。
【0042】
FPC141は、図9及び図20に示すように、単電池21の積層方向である前後方向に延びるFPC本体部143と、FPC本体部143に一体に形成された複数の導入片144とを備えて構成されている。
FPC本体部143には、前後方向に延びる複数の導電路142が集合した形態に形成されており、FPC本体部143の前後方向の長さ寸法は、単電池群20の前後方向の長さ寸法よりも長めに設定されている。
【0043】
また、FPC本体部143の左右方向略中央部には、FPC本体部143を上下方向に貫通する矩形状の挿通孔143Aが前後方向に間隔を空けて複数並んで形成されている。また、FPC本体部143における導電路142の後側の端末には後述する導入片144の導入線部145が形成されており、導電路142の前側の端末には、例えば図示しないECUなどが接続されるようになっている。
【0044】
各導入片144は、FPC本体部143の左右方向右側端部において単電池21毎に設けられている。また、各導入片144は、FPC本体部143から離れる方向に突出して、その前端縁から下方に延びた短冊状に形成されている。
各導入片144には、FPC本体部143の導電路142における後側の端末から延出されて一体に形成された導入線部45が配されている。また、導入線部145は、例えば、FPC本体部143における導電路142の後端部から導入片144に向かって右方向に延びて、その側端部から導入片144における下方に延びた部分に配されるように下側に延びて形成されている。
【0045】
導入線部145のうち、導入片144の左右方向略中央部に配された電圧検知用導入線部145Aの下端部には、電圧検知端子146が設けられている。電圧検知端子146は、略矩形状をなし、導入片144の表面を覆う保護フィルムを取り除くことで、導入片144上に金属箔を露出させて形成されている。
【0046】
電圧検知端子146は、図13に示すように、単電池群20の上面に電池用配線モジュール140が組み付けられ、FPC141の導入片144が単電池21のばね部材127の貫通孔129に挿入されることで、単電池21の電池側端子130の前面に沿うように配されている。そして、金属板128が弾性復帰しようとする弾性力により、導入片144が電極端子面23Cに接続された電池側端子130と共に、貫通孔129の前縁129Aと金属板128の他端128Bとによって前後方向両側から弾性的に挟持され、電圧検知端子146と電池側端子130とが導通可能な接続状態となる。なお、電圧検知端子146は、電池側端子130と接続状態となることで、単電池21の電圧に関する情報を、電圧検知用導入線部145A及び導電路142を通じて図示しないECUなどに取り込み、各単電池21の電圧が検知されるようになっている。
【0047】
また、電圧検知端子146の左右両側には、一対の接続検知端子148が形成されている。一対の接続検知端子148は、導入線部145のうち、導入片144の左右両側に配された接続検知用導入線部145Bの下端部に形成されている。また、一対の接続検知端子148は、図16及び図21に示すように、略矩形状をなし、電圧検知端子146と同様に、導入片144の表面を覆う保護フィルムを取り除くことで、導入片144上に金属箔を露出させて形成されている。したがって、導入片144が貫通孔129の前縁129Aと金属板128の他端128Bとによって前後方向両側から弾性的に挟持されると、両接続検知端子148は、電圧検知端子146と同時に電池側端子130と接続状態となり、両接続検知端子48が電池側端子130を介して接続状態となる。そして、両接続検知端子148が電池側端子130を介して接続状態となった情報は、接続検知用導入線部145B及び導電路142を通じてECUに取り込まれ、電圧検知端子146と電池側端子130とが接続状態であることを検知することができる。
【0048】
樹脂プロテクタ160は、絶縁性樹脂からなる連結ユニット161を前後方向に複数(本実施形態では4つ)並べて構成されている。また、隣り合う連結ユニット161は、FPC141が取り付けられることでFPC141を保持しつつ、FPC141によって連結されている。
連結ユニット161は、図16及び図17に示すように、FPC141が載置される載置部162と、載置部162の上面全体を覆うカバー163とを備えて構成されている。
【0049】
載置部162は、前後方向に縦長な形態をなしており、載置部162には、複数(本実施形態では2つ)の係合孔164と複数(本実施形態では10個)の治具挿入孔165とが形成されている。
係合孔164は、図12に示すように、載置部162を上下方向に貫通して形成されており、載置部162に載置されたFPC本体部143の挿通孔143Aと対応した位置に設けられている。
【0050】
治具挿入孔165は、単電池群20に対して電池用配線モジュール140を組み付ける際に、連結ユニット161の上方からばね部材127を操作する治具を挿入するための孔とされている。治具挿入孔165は、図19に示すように、略矩形状をなし、係合孔164と同様に、載置部162を上下方向に貫通して形成されている。また、治具挿入孔165は、載置部162の左右方向右側端部において、FPC141の導入片144に対応して形成されており、治具挿入孔165内には、図14及び図18に示すように、導入片144が上方から下方に向かって挿通されている。
【0051】
カバー163は、図12、図15及び図18に示すように、略矩形状をなし、載置部162の左側端縁に形成された可撓性の第一ヒンジ169を介して載置部162と一体に形成されている。このカバー163は、第一ヒンジ169を屈曲させることで、載置部162の上面を覆うことができるように形成されている。また、カバー163における左右方向略中央部には、載置部162の各係合孔164に係合される一対の弾性脚170が係合孔に対応して形成されている。
一対の弾性脚170は、係合孔164の下側周縁部に弾性的に係止可能に形成されており、両弾性脚170の先端部を係合孔164の下側周縁部に係止させることで、カバー163が載置部162の上面を覆った状態で載置部162に固定されている。
【0052】
また、カバー163の左右方向略中央部よりも右側の位置には、可撓性の第二ヒンジ171が複数(本実施形態では3つ)設けられており、この第二ヒンジ171を屈曲させることで、カバー163における第二ヒンジ171よりも右側部分を上側に開放させることができるようになっている。なお、カバー163における第二ヒンジ171よりも右側部分は、載置部162における導入片144と治具挿入孔165が配された上面を覆うように構成されている。
【0053】
カバー163の右側側縁には、左右方向に弾性変形可能な弾性係止片172が形成されている。弾性係止片172は、図15及び図16に示すようにカバー163における第二ヒンジ171よりも右側部分が治具挿入孔165の上面を覆った状態において、カバー163の右側側縁から下方に延びた形態をなし、単電池21の電池側係止部131内に挿入可能に形成されている。
弾性係止片172の先端は、右側外方に突出した形態をなし、図12に示すように、弾性係止片172が電池側係止部131内に挿入されると、弾性係止片172の先端部と電池側係止部131の上端開口縁とが係止して、連結ユニット161(樹脂プロテクタ160)が単電池群20に保持固定されるようになっている。
【0054】
実施形態2における電池モジュール110は、上記のような構造であって、続いて単電池群20に電池用配線モジュール140を組み付ける手順の一例を簡単に説明する。
まず、単電池群20の上方にカバー163における第二ヒンジ171よりも右側部分が開放された状態の電池用配線モジュール140を用意し、各単電池21のばね部材127に対して電池用配線モジュール140の各導入片144が配されるように配置する。
【0055】
次に、樹脂プロテクタ160の上方から図示しない治具を治具挿入孔165に挿入し、ばね部材127の金属板128の一端128Aを上方から押圧して、貫通孔129の前縁129Aと電池側端子130との間の大きくなった隙間に導入片144を挿入する。そして、貫通孔129の前縁129Aと電池側端子130との間に導入片144が挿入できたところで、治具を引き抜く。これにより、導入片144の電圧検知端子146と両接続検知端子148とが電池側端子130と共に、貫通孔129の前縁129Aと金属板128の他端128Bとによって弾性的に挟持され、電圧検知端子146と電池側端子130とが接続状態になると共に、両接続検知端子148が電池側端子130を介して接続状態となる。そして、両接続検知端子148が電池側端子130を介して接続状態となった情報がECUに取り込まれ、電圧検知端子146と電池側端子130とが接続状態されたことを検知することができる。
【0056】
最後に、治具が引き抜かれた治具挿入孔165の上面をカバー163で覆い、弾性係止片172を電池側係止部131内に挿入することで、弾性係止片172と電池側係止部131とが係止される。これにより、図4に示すように、電池用配線モジュール140が単電池群20に保持固定され、電池モジュール110が完成する。
【0057】
以上のように、実施形態2によると、電圧検知端子146が電池側端子130と接続状態となる共に、両接続検知端子148が電池側端子130を介して接続状態となることから、電圧検知端子146と電池側端子130とが導通可能に接続されたことを検知することができる。
また、本実施形態によると、両接続検知端子148は、電圧検知端子146の左右両側に配された構成となっているので、電圧検知端子146と電池側端子130とが接続状態となると同時に、両接続検知端子148が電池側端子130を介して接続状態となり、電圧検知端子146と電池側端子130とが確実に接続されていることを検知することができる。
【0058】
<変形例1>
次に、上記の実施形態2における導入片144の変形例1について、図23を参照して説明する。
変形例1は、実施形態2における導入片144の接続検知端子148を変更したものであって、実施形態2と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態2と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0059】
変形例1における接続検知端子248は、導入片244における電圧検知端子146の左右両側の何れか一方(本実施形態では左側)に1つだけ形成されており、もう一方の接続検知端子は、電圧検知端子146によって兼用されている。すなわち、ばね部材127によって導入片244が挟持されると、電圧検知端子146と接続検知端子248とが電池側端子130を介して接続状態となり、電圧検知端子146と電池側端子130とが確実に接続されていると検知することができるようになっている。したがって、電圧検知端子146の左右両側に一対の接続検知端子を形成する場合に比べて、導入片244の導入線部145及びFPC本体部143の導電路142を低減させることができ、FPC141の製造コストを低減させることができるようになっている。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)上記実施形態1では、導入片44の電極パッドに皿状の端子金具を接続することで、電圧検知端子を構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、導入片44の電極パッドに方形状の端子金具を接続することで電圧検知端子を構成してもよい。
(2)上記実施形態1では、一対の接続検知端子48を電圧検知端子46の上方に配した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、電圧検知端子46の上下両側に一対の接続検知端子48を配した構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、集合導電線路をフレキシブルプリント基板41、141によって構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、電線を束ねたワイヤーハーネスによって構成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10,110:電池用配線モジュール
20:単電池群
21:単電池
23C:電極端子面
41,141:FPC(集合導電線路)
42,142:導電路
44,144,244:導入片
45,145:導入線部
46,146:電圧検知端子
48,148,248:接続検知端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏に正極および負極の電極端子面を有する複数の単電池を積層状態にして直列接続してなる単電池群に設けられる電池用配線モジュールであって、
前記単電池の積層方向に延びて形成された複数本の導電路を集合させてなる集合導電線路と、
前記導電路の一方の端末に前記単電池の所定個数毎に配された導入線部と、
前記導入線部に設けられ、前記単電池の前記電極端子面に接続状態となる電圧検知端子と、
前記電圧検知端子に対応して設けられ、前記電極端子面に対して前記電圧検知端子と共に接続状態となる接続検知端子とを備えることを特徴とする電池用配線モジュール。
【請求項2】
前記接続検知端子は、前記電圧検知端子の近傍に対をなして設けられていることを特徴とする請求項1記載の電池用配線モジュール。
【請求項3】
前記集合導電線路はフレキシブルプリント基板により形成されており、
前記フレキシブルプリント基板には、前記導電路から一体に延出された導入線部を有する導入片が設けられており、
前記接続検知端子は、前記導入片に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電池用配線モジュール。
【請求項4】
前記導入片は、前記単電池間の隙間に導入されるように構成されており、
前記接続検知端子は、前記電圧検知端子よりも前記導入片の導入方向後方に対をなして設けられていることを特徴とする請求項3記載の電池用配線モジュール。
【請求項5】
前記接続検知端子は、前記電圧検知端子の両側に一対配されていることを特徴とする請求項3記載の電池用配線モジュール。
【請求項6】
前記接続検知端子は、前記導入片上に金属箔を露出して形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか一項に記載の電池用配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−80619(P2013−80619A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219987(P2011−219987)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】