電池用電解液及び電池
【課題】有害な刺激臭や、毒性がない酸性水及びアルカリ水を電解液として使用することで、人体と環境に悪影響を及ぼさない電解液と電池を提供する。
【解決手段】槽1に満たされた硫酸イオンを含む酸性水中に、プラスの電位をもった銅板からなる陽極3と、マイナスの電位を持った亜鉛板からなる陰極4を付けた構成であって、硫酸イオンを含む酸性水は、原水(水道水)中に電解剤として珪藻類、藍藻類の化石の堆積土が固化してなる植物性の化石土類であって1%の硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及び凝灰岩を投入することにより原水中に化石土類及び凝灰岩からイオン物質を溶出させて電解液を生成し、この電解液を電気分解することにより生成されるものである。
【解決手段】槽1に満たされた硫酸イオンを含む酸性水中に、プラスの電位をもった銅板からなる陽極3と、マイナスの電位を持った亜鉛板からなる陰極4を付けた構成であって、硫酸イオンを含む酸性水は、原水(水道水)中に電解剤として珪藻類、藍藻類の化石の堆積土が固化してなる植物性の化石土類であって1%の硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及び凝灰岩を投入することにより原水中に化石土類及び凝灰岩からイオン物質を溶出させて電解液を生成し、この電解液を電気分解することにより生成されるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用電解液及び電池に関し、特に、一次電池、二次電池のような電池に係わる電解液及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池としてのボルタ電池は、異なる電位差の二種類の金属としての亜鉛(亜鉛板)と銅(銅板)を電解液としての希硫酸に浸すことで、イオン化傾向の大きい金属である亜鉛からイオン化傾向の小さい金属である銅に電子が移動する。この時、イオン化傾向の小さい銅が陽極になり、イオン化傾向の大きい亜鉛が陰極になって電池が構成されるし、陽極と陰極に導電線を介してLEDをつなげば、LEDが点灯する。
【0003】
また、従来の電池としての蓄電池(バッテリ)は、電解液としての比重1.25の希硫酸中に鉛を陰極に、二酸化鉛を陽極に入れた構造であり、この蓄電池(バッテリ)では、電子を残して鉛イオンが希硫酸中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸鉛になる。電子は導線を流れて陽極(二酸化鉛)に行き、導線に接続された負荷を稼働する。
【0004】
また、従来の電池として、陽極および負極と、陽極、負極の間に設けた隔膜とを有する電池部を備え、この電池部の陽極と隔膜の間、負極と隔膜の間にそれぞれ同一の硫酸溶液を充填した二次電池があり、特に、電解液としての硫酸溶液は溶解度の制限がなく価数変化が大きくとれ、エネルギー密度の大きい、安価なものであり、高い経済性を持つことができる効果があるとされている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許公開2008−414221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の電池では、電解液として希硫酸や硫酸を使用しており、有害な刺激臭や、毒性があるばかりか、人体と環境に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0006】
本出願人は、所有する特許(特許第3535451号)における酸性水及びアルカリ水が、硫酸イオンを含むこと、また、この酸性水及びアルカリ水は、有害な刺激臭や、毒性がないばかりか、人体と環境に悪影響を及ぼすことなく、容易にかつ安価に提供できるという利点があることに着目して、この酸性水及びアルカリ水を電池の電解液として用いる実験を行なった。この結果、酸性水及びアルカリ水が電池の電解液として有用であることを見いだした。
【0007】
本発明は、上記した事柄に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、有害な刺激臭や、毒性がない酸性水及びアルカリ水を電解液として使用することで、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電池は、少なくとも陽極と、陰極と、電解液を備えた電池であって、前記電解液として、植物性の化石土類であって硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩から溶出される硫酸イオン物質を含む液体を電気分解することにより生成される、硫酸イオンを含む酸性水、及び硫酸イオンを含むアルカリ水を使用するようにしたことを特徴とする。
【0009】
かかる構成により、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である、硫酸イオンを含む酸性水、及び硫酸イオンを含むアルカリ水は、有害な刺激臭や、毒性がなく、化粧水としての使用が可能であるし、人体と環境に悪影響を及ぼさないばかりか、簡単な設備で容易に作ることができるものであり、このために、この硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液に使用することで、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することができる。
【0010】
また、本発明に係る電池は、上記した本発明に係る電池において、陽極と陰極を、イオン化傾向の違う二種類の金属で構成したことを特徴とする。
【0011】
かかる構成により、イオン化傾向の違う二種類の金属としての、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛(亜鉛板)と金、銀、銅(銅板)を、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である、硫酸イオンを含む酸性水(又は、硫酸イオンを含むアルカリ水)に浸すことで、イオン化傾向の大きい金属である亜鉛からイオン化傾向の小さい金属である銅に電子が移動し、この時、イオン化傾向の小さい銅が陽極になり、イオン化傾向の大きい亜鉛が陰極になり、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することができる。
【0012】
また、本発明に係る電池は、上記した本発明に係る電池において、陽極をプラスの電位を持った金、銀、銅で構成し、前記陰極をマイナスの電位を持った、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロムで構成したことを特徴とする。
【0013】
かかる構成により、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である、硫酸イオンを含む酸性水(又は、硫酸イオンを含むアルカリ水)を電解液として、この電解液中にマイナスの電位を持った、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロムを陰極に、プラスの電位を持った金、銀、銅を陽極に入れることで、電子を残して銅イオンが硫酸銅イオンを含む酸性水(又は、硫酸イオンを含むアルカリ水)中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸銅になり、電子は導線を流れて陽極に行き、導線に接続された負荷を稼働する蓄電池(バッテリ)を構成することができ、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電池によれば、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は本発明の電池の構成説明図である。
【0017】
図1に示す本発明の電池は、槽1と、この槽1に満たされた電解液としての硫酸イオンを含む電解液2と、銅板からなる陽極3と、亜鉛板からなる陰極4とから構成してある。そして、LED5の(+)側接続端子5aが導電線6を介して陽極3に接続してあり、LED5の(−)側接続端子5bが導電線7を介して陰極4に接続してある。
【0018】
ここで、硫酸イオンを含む電解液2とは、既に、本出願人が所有する特許(特許第3535451号など)における硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水である。詳しくは、原水(水道水)中に電解剤として珪藻類、藍藻類の化石の堆積土が固化してなる植物性の化石土類であって1%の硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及び凝灰岩を投入することにより原水中に化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩からイオン物質を溶出させて電解液を生成し、この電解液を電気分解することにより生成された硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水である。
【0019】
酸性水の試験検査の内容及び成績は以下の通りである。
PH値:2.2
電気伝導率(−mS/m):330
酸化還元電位(ORP):550
溶存酸素(DO):11.3mg/L
硝酸性窒素及び亜塩素酸性窒素(mg/L):3.3
塩化物イオン(mg/L):45
硫酸イオン(mg/L):320
硬度(mg/L):12
有機物(過マンガン酸力リウム消費量)(mg/L):6.2
燐(mg/L):0.02
銅(mg/L):4.4
亜鉛(mg/L):10
鉄(mg/L):3.7
マンガン(mg/L):1.6
力ルシウム(mg/L):45
マダネシウム(mg/L):19
ナトリウム(mg/L):27
カリウム(mg/L):5.0
クロロホルム(mg/L):0.005
ジプロモクロロメタン(mg/L):0.001未満
プロモジクロロメタン(mg/L):0.002
クロモホルム(mg/L):0.017
総トリハロメタン(mg/L):0.024
【0020】
また、アルカリ水の試験検査の内容及び成績は以下の通りである。
PH値:9.4
電気伝導率(−μS/cm):550
酸化還元電位(ORP):150
溶存酸素(DO):7.9
硝酸性窒素及び亜塩素酸性窒素(mg/L):1.7
塩化物イオン(mg/L):26
硫酸イオン(mg/L):81
硬度(mg/L):19
有機物(過マンガン酸力リウム消費量)(mg/L):7.6
燐(mg/L):0.1未満
銅(mg/L):0.03
亜鉛(mg/L):0.038
鉄(mg/L):0.86
マンガン(mg/L):0.070
力ルシウム(mg/L):6
マグネシウム(mg/L):1.8
ナトリウム(mg/L):93
クロロホルム(mg/L):0.001
ジプロモクロロメタン(mg/L):0.001未満
プロモジクロロメタン(mg/L):0.001未満
プロモホルム(mg/L):0.002
総トリハロメタン(mg/L):0.003
【0021】
上記したように、硫酸イオンを含む電解液2は、原水(水道水)中に電解剤として珪藻類、藍藻類の化石の堆積土が固化してなる植物性の化石土類であって1%の硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩を投入することにより原水中に化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩からイオン物質を溶出させて電解液を生成し、この電解液を電気分解することにより生成された硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水であるために、その生成過程において次亜塩素酸や塩素ガスなどが発生せず環境に優しく、かつ硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水は人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水として使用が可能なものである。
【0022】
ボルタ電池と同じように、イオン化傾向の違う、電位差の異なる二種類の金属としての亜鉛(亜鉛板)と銅(銅板)を電解液としての硫酸イオンを含む電解液2、この場合、硫酸イオンを含む酸性水に浸し、導電線6、LED5及び導電線7でつなげば、イオン化傾向の大きい金属である亜鉛からイオン化傾向の小さい金属である銅に電子が移動し、この時、イオン化傾向の小さい銅が陽極3になり、イオン化傾向の大きい亜鉛が陰極4になり、電池が構成されてLED5が点灯する。また、電解質の水溶液としての硫酸イオンを含む電解液2として、硫酸イオンを含むアルカリ水を用いた場合も、同様に電池が構成されてLED5が点灯する。
【0023】
本発明の実施例によれば、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなる。
【0024】
上記した電池は一次電池であるが、二次電池としての蓄電池(バッテリ)の場合も、電解液に化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を使用することができる。例えば、従来の鉛蓄電池は、電解液としての比重1.25の希硫酸中に鉛を陰極に、二酸化鉛を陽極に入れた構造であり、陰極(鉛)は、電子を残して鉛イオンが希硫酸中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸鉛になる。電子は導線を流れて陽極(二酸化鉛)に行き、導線に接続された負荷を稼働する。この場合、電解液としての比重1.25の希硫酸に変えて硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を使用すると、電子を残して鉛イオンが、硫酸イオンを含む酸性水中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸鉛になる。電子は導線を流れて陽極(二酸化鉛)に行き、導線に接続された負荷を稼働することになる。
【0025】
また、二次電池としての蓄電池(バッテリ)の場合も、電解液に化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含むアルカリ水を使用することができる。
【0026】
この場合にも、人畜無害であって、化粧水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなる。
【0027】
【表1】
【0028】
表1は、pH2.2で伝導率が330mS/mの酸性水を200ccずつ図1に示す2つのセルに入れて種々の陽極及び陰極の材料を変更した場合に得られる電圧値を示す表である。陽極及び陰極の大きさは、約2.5cm四方の金属片とした。
【0029】
表1に示すように、陽極材料としてAuを選択した場合には、陰極材料としてAl,Zn,Ni,Crのいずれを選択しても、1.5Vを超える電圧値が得られる。また、陽極材料としてAgを選択した場合には、1.8Vを超える電圧値が得られる。さらに、陽極材料としてCuを選択した場合にも、1Vを超える電圧値が得られる。陽極材料としてSUS(ステンレス鋼)を選択した場合にも、陰極がAlの場合を除き、1.2Vを超える電圧値が得られる。
そして、陽極材料に着目すれば、電圧面からはAgに優位性が見られる。一方、陰極材料に着目すれば、電圧面からはZnに優位性が見られる。
【表2】
【0030】
表2は、表1に対応する短絡電流値を示す表である。表2に示すように、陽極材料としてSUSを選択し、陰極材料としてAlを用いた場合を除き、3mA以上の短絡電流値が確認され、陽極材料としてAuを選択し、陰極材料としてZnを用いた場合には、7mAもの短絡電流値が確認された。
【0031】
また、陽極材料としてCuを選択し、陰極材料としてZnを用いて、図1に示す装置によってLED(スタンレー社製:2V−100mA定格)の点灯実験をしてみた。LEDの照度は約5LUXであり、LEDの連続点灯時間は1000時間を超えた。なお、点灯時電圧は約1.75Vで、負荷電流は30μAであった。また、連続点灯してから数日後には、酸性水のpH値は、2.2から5.2に変化していて、また、伝導率も330mS/mから125mS/mに変化していた。
【0032】
なお、比較のため、上記酸性水に代えて、玉川温泉水(硫酸バリュウム、ラジュム泉、pH1.6、伝導率3S/m)を用いて実験をしてみた。その結果、LEDの連続点灯時間は、約3時間であった。そこで、この玉川温泉水に対して、その約5%の量の食塩を添加してみた。その結果、LEDが再度点灯したものの、約1時間後には消灯した。また、LEDの連続点灯中の水質測定をしたところ、pH1.65、伝導率2.8S/m、ORP525mVであった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る電池によれば、人畜無害であって、化粧水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなるができるという効果を有しており、一次電池、二次電池を問わず電池一般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る電池の構成説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 槽
2 硫酸イオンを含む電解液
3 陽極
4 陰極
5 LED
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用電解液及び電池に関し、特に、一次電池、二次電池のような電池に係わる電解液及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池としてのボルタ電池は、異なる電位差の二種類の金属としての亜鉛(亜鉛板)と銅(銅板)を電解液としての希硫酸に浸すことで、イオン化傾向の大きい金属である亜鉛からイオン化傾向の小さい金属である銅に電子が移動する。この時、イオン化傾向の小さい銅が陽極になり、イオン化傾向の大きい亜鉛が陰極になって電池が構成されるし、陽極と陰極に導電線を介してLEDをつなげば、LEDが点灯する。
【0003】
また、従来の電池としての蓄電池(バッテリ)は、電解液としての比重1.25の希硫酸中に鉛を陰極に、二酸化鉛を陽極に入れた構造であり、この蓄電池(バッテリ)では、電子を残して鉛イオンが希硫酸中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸鉛になる。電子は導線を流れて陽極(二酸化鉛)に行き、導線に接続された負荷を稼働する。
【0004】
また、従来の電池として、陽極および負極と、陽極、負極の間に設けた隔膜とを有する電池部を備え、この電池部の陽極と隔膜の間、負極と隔膜の間にそれぞれ同一の硫酸溶液を充填した二次電池があり、特に、電解液としての硫酸溶液は溶解度の制限がなく価数変化が大きくとれ、エネルギー密度の大きい、安価なものであり、高い経済性を持つことができる効果があるとされている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許公開2008−414221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の電池では、電解液として希硫酸や硫酸を使用しており、有害な刺激臭や、毒性があるばかりか、人体と環境に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0006】
本出願人は、所有する特許(特許第3535451号)における酸性水及びアルカリ水が、硫酸イオンを含むこと、また、この酸性水及びアルカリ水は、有害な刺激臭や、毒性がないばかりか、人体と環境に悪影響を及ぼすことなく、容易にかつ安価に提供できるという利点があることに着目して、この酸性水及びアルカリ水を電池の電解液として用いる実験を行なった。この結果、酸性水及びアルカリ水が電池の電解液として有用であることを見いだした。
【0007】
本発明は、上記した事柄に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、有害な刺激臭や、毒性がない酸性水及びアルカリ水を電解液として使用することで、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電池は、少なくとも陽極と、陰極と、電解液を備えた電池であって、前記電解液として、植物性の化石土類であって硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩から溶出される硫酸イオン物質を含む液体を電気分解することにより生成される、硫酸イオンを含む酸性水、及び硫酸イオンを含むアルカリ水を使用するようにしたことを特徴とする。
【0009】
かかる構成により、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である、硫酸イオンを含む酸性水、及び硫酸イオンを含むアルカリ水は、有害な刺激臭や、毒性がなく、化粧水としての使用が可能であるし、人体と環境に悪影響を及ぼさないばかりか、簡単な設備で容易に作ることができるものであり、このために、この硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液に使用することで、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することができる。
【0010】
また、本発明に係る電池は、上記した本発明に係る電池において、陽極と陰極を、イオン化傾向の違う二種類の金属で構成したことを特徴とする。
【0011】
かかる構成により、イオン化傾向の違う二種類の金属としての、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛(亜鉛板)と金、銀、銅(銅板)を、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である、硫酸イオンを含む酸性水(又は、硫酸イオンを含むアルカリ水)に浸すことで、イオン化傾向の大きい金属である亜鉛からイオン化傾向の小さい金属である銅に電子が移動し、この時、イオン化傾向の小さい銅が陽極になり、イオン化傾向の大きい亜鉛が陰極になり、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することができる。
【0012】
また、本発明に係る電池は、上記した本発明に係る電池において、陽極をプラスの電位を持った金、銀、銅で構成し、前記陰極をマイナスの電位を持った、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロムで構成したことを特徴とする。
【0013】
かかる構成により、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である、硫酸イオンを含む酸性水(又は、硫酸イオンを含むアルカリ水)を電解液として、この電解液中にマイナスの電位を持った、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロムを陰極に、プラスの電位を持った金、銀、銅を陽極に入れることで、電子を残して銅イオンが硫酸銅イオンを含む酸性水(又は、硫酸イオンを含むアルカリ水)中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸銅になり、電子は導線を流れて陽極に行き、導線に接続された負荷を稼働する蓄電池(バッテリ)を構成することができ、人体と環境に悪影響を及ぼさない電池を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電池によれば、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は本発明の電池の構成説明図である。
【0017】
図1に示す本発明の電池は、槽1と、この槽1に満たされた電解液としての硫酸イオンを含む電解液2と、銅板からなる陽極3と、亜鉛板からなる陰極4とから構成してある。そして、LED5の(+)側接続端子5aが導電線6を介して陽極3に接続してあり、LED5の(−)側接続端子5bが導電線7を介して陰極4に接続してある。
【0018】
ここで、硫酸イオンを含む電解液2とは、既に、本出願人が所有する特許(特許第3535451号など)における硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水である。詳しくは、原水(水道水)中に電解剤として珪藻類、藍藻類の化石の堆積土が固化してなる植物性の化石土類であって1%の硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及び凝灰岩を投入することにより原水中に化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩からイオン物質を溶出させて電解液を生成し、この電解液を電気分解することにより生成された硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水である。
【0019】
酸性水の試験検査の内容及び成績は以下の通りである。
PH値:2.2
電気伝導率(−mS/m):330
酸化還元電位(ORP):550
溶存酸素(DO):11.3mg/L
硝酸性窒素及び亜塩素酸性窒素(mg/L):3.3
塩化物イオン(mg/L):45
硫酸イオン(mg/L):320
硬度(mg/L):12
有機物(過マンガン酸力リウム消費量)(mg/L):6.2
燐(mg/L):0.02
銅(mg/L):4.4
亜鉛(mg/L):10
鉄(mg/L):3.7
マンガン(mg/L):1.6
力ルシウム(mg/L):45
マダネシウム(mg/L):19
ナトリウム(mg/L):27
カリウム(mg/L):5.0
クロロホルム(mg/L):0.005
ジプロモクロロメタン(mg/L):0.001未満
プロモジクロロメタン(mg/L):0.002
クロモホルム(mg/L):0.017
総トリハロメタン(mg/L):0.024
【0020】
また、アルカリ水の試験検査の内容及び成績は以下の通りである。
PH値:9.4
電気伝導率(−μS/cm):550
酸化還元電位(ORP):150
溶存酸素(DO):7.9
硝酸性窒素及び亜塩素酸性窒素(mg/L):1.7
塩化物イオン(mg/L):26
硫酸イオン(mg/L):81
硬度(mg/L):19
有機物(過マンガン酸力リウム消費量)(mg/L):7.6
燐(mg/L):0.1未満
銅(mg/L):0.03
亜鉛(mg/L):0.038
鉄(mg/L):0.86
マンガン(mg/L):0.070
力ルシウム(mg/L):6
マグネシウム(mg/L):1.8
ナトリウム(mg/L):93
クロロホルム(mg/L):0.001
ジプロモクロロメタン(mg/L):0.001未満
プロモジクロロメタン(mg/L):0.001未満
プロモホルム(mg/L):0.002
総トリハロメタン(mg/L):0.003
【0021】
上記したように、硫酸イオンを含む電解液2は、原水(水道水)中に電解剤として珪藻類、藍藻類の化石の堆積土が固化してなる植物性の化石土類であって1%の硫黄(硫酸塩)を含む化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩を投入することにより原水中に化石土類及びケイ酸塩類の凝灰岩からイオン物質を溶出させて電解液を生成し、この電解液を電気分解することにより生成された硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水であるために、その生成過程において次亜塩素酸や塩素ガスなどが発生せず環境に優しく、かつ硫酸イオンを含む酸性水、硫酸イオンを含むアルカリ水は人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水として使用が可能なものである。
【0022】
ボルタ電池と同じように、イオン化傾向の違う、電位差の異なる二種類の金属としての亜鉛(亜鉛板)と銅(銅板)を電解液としての硫酸イオンを含む電解液2、この場合、硫酸イオンを含む酸性水に浸し、導電線6、LED5及び導電線7でつなげば、イオン化傾向の大きい金属である亜鉛からイオン化傾向の小さい金属である銅に電子が移動し、この時、イオン化傾向の小さい銅が陽極3になり、イオン化傾向の大きい亜鉛が陰極4になり、電池が構成されてLED5が点灯する。また、電解質の水溶液としての硫酸イオンを含む電解液2として、硫酸イオンを含むアルカリ水を用いた場合も、同様に電池が構成されてLED5が点灯する。
【0023】
本発明の実施例によれば、人畜無害であって、化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなる。
【0024】
上記した電池は一次電池であるが、二次電池としての蓄電池(バッテリ)の場合も、電解液に化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を使用することができる。例えば、従来の鉛蓄電池は、電解液としての比重1.25の希硫酸中に鉛を陰極に、二酸化鉛を陽極に入れた構造であり、陰極(鉛)は、電子を残して鉛イオンが希硫酸中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸鉛になる。電子は導線を流れて陽極(二酸化鉛)に行き、導線に接続された負荷を稼働する。この場合、電解液としての比重1.25の希硫酸に変えて硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を使用すると、電子を残して鉛イオンが、硫酸イオンを含む酸性水中に溶け出し、硫酸イオンと反応して硫酸鉛になる。電子は導線を流れて陽極(二酸化鉛)に行き、導線に接続された負荷を稼働することになる。
【0025】
また、二次電池としての蓄電池(バッテリ)の場合も、電解液に化粧水、殺菌水、洗浄水としての使用が可能である硫酸イオンを含むアルカリ水を使用することができる。
【0026】
この場合にも、人畜無害であって、化粧水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなる。
【0027】
【表1】
【0028】
表1は、pH2.2で伝導率が330mS/mの酸性水を200ccずつ図1に示す2つのセルに入れて種々の陽極及び陰極の材料を変更した場合に得られる電圧値を示す表である。陽極及び陰極の大きさは、約2.5cm四方の金属片とした。
【0029】
表1に示すように、陽極材料としてAuを選択した場合には、陰極材料としてAl,Zn,Ni,Crのいずれを選択しても、1.5Vを超える電圧値が得られる。また、陽極材料としてAgを選択した場合には、1.8Vを超える電圧値が得られる。さらに、陽極材料としてCuを選択した場合にも、1Vを超える電圧値が得られる。陽極材料としてSUS(ステンレス鋼)を選択した場合にも、陰極がAlの場合を除き、1.2Vを超える電圧値が得られる。
そして、陽極材料に着目すれば、電圧面からはAgに優位性が見られる。一方、陰極材料に着目すれば、電圧面からはZnに優位性が見られる。
【表2】
【0030】
表2は、表1に対応する短絡電流値を示す表である。表2に示すように、陽極材料としてSUSを選択し、陰極材料としてAlを用いた場合を除き、3mA以上の短絡電流値が確認され、陽極材料としてAuを選択し、陰極材料としてZnを用いた場合には、7mAもの短絡電流値が確認された。
【0031】
また、陽極材料としてCuを選択し、陰極材料としてZnを用いて、図1に示す装置によってLED(スタンレー社製:2V−100mA定格)の点灯実験をしてみた。LEDの照度は約5LUXであり、LEDの連続点灯時間は1000時間を超えた。なお、点灯時電圧は約1.75Vで、負荷電流は30μAであった。また、連続点灯してから数日後には、酸性水のpH値は、2.2から5.2に変化していて、また、伝導率も330mS/mから125mS/mに変化していた。
【0032】
なお、比較のため、上記酸性水に代えて、玉川温泉水(硫酸バリュウム、ラジュム泉、pH1.6、伝導率3S/m)を用いて実験をしてみた。その結果、LEDの連続点灯時間は、約3時間であった。そこで、この玉川温泉水に対して、その約5%の量の食塩を添加してみた。その結果、LEDが再度点灯したものの、約1時間後には消灯した。また、LEDの連続点灯中の水質測定をしたところ、pH1.65、伝導率2.8S/m、ORP525mVであった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る電池によれば、人畜無害であって、化粧水としての使用が可能である硫酸イオンを含む酸性水(又は硫酸イオンを含むアルカリ水)を電池の電解液として使用するために、従来の電池の電解液としての希硫酸など有害な電解液に比べて安全であり、かつ環境にも優しいものとなるができるという効果を有しており、一次電池、二次電池を問わず電池一般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る電池の構成説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 槽
2 硫酸イオンを含む電解液
3 陽極
4 陰極
5 LED
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性の化石土類であって硫黄(硫酸塩)を含む化石土類(珪藻類)及びケイ酸塩鉱物類の凝灰岩から溶出される硫酸イオン物質を含む液体を電気分解することにより生成される、硫酸イオンを含む酸性水、又は、硫酸イオンを含むアルカリ水を使用するようにしたことを特徴とする電池用電解液。
【請求項2】
請求項1に記載の電池用電解液が用いられる電池。
【請求項3】
陽極と陰極を、電位差の異なる二種類の金属で構成したことを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記陽極を金、銀、銅、SUSのいずれかで構成し、前記陰極を亜鉛、ニッケル、クロム、アルミニウムのいずれかで構成したことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項1】
植物性の化石土類であって硫黄(硫酸塩)を含む化石土類(珪藻類)及びケイ酸塩鉱物類の凝灰岩から溶出される硫酸イオン物質を含む液体を電気分解することにより生成される、硫酸イオンを含む酸性水、又は、硫酸イオンを含むアルカリ水を使用するようにしたことを特徴とする電池用電解液。
【請求項2】
請求項1に記載の電池用電解液が用いられる電池。
【請求項3】
陽極と陰極を、電位差の異なる二種類の金属で構成したことを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記陽極を金、銀、銅、SUSのいずれかで構成し、前記陰極を亜鉛、ニッケル、クロム、アルミニウムのいずれかで構成したことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【図1】
【公開番号】特開2010−153206(P2010−153206A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329968(P2008−329968)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(395024296)株式会社細田電機 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(395024296)株式会社細田電機 (8)
【Fターム(参考)】
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