説明

電池監視装置

【課題】監視ICをマイコンによって制御する電池監視装置において、マイコンが起動する前に、監視ICの動作が不安定となることを防止する。
【解決手段】複数の電池セル10が直列に接続して構成される組電池1から電力が供給されることで作動すると共に、複数の電池セル10の状態を監視する監視IC21と、組電池1から監視IC21への電力の供給状態を許容状態および遮断状態のいずれかに切り替える切替部22と、監視IC21および切替部22それぞれを制御するマイコン24と、を備える。そして、マイコン24は、その起動時に、切替部22により組電池1から監視IC21への電力の供給状態を遮断状態から許容状態に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを直列接続した組電池を監視する電池監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車では、走行用モータの電力供給源として、複数の電池セルを直列接続した組電池が採用されている。この組電池の各電池セルの充放電状態等は、電池監視装置によって監視されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
電池監視装置は、コネクタを介して各電池セルに接続され、各電池セルを監視する監視手段である監視IC、監視ICを制御する制御手段である制御装置(マイコン)等を備えている。なお、監視ICは、組電池から電力供給により作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−312396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池監視装置では、車両の製造段階、車両の点検や電池交換等を行う際に、監視ICと組電池とが接続されると共に、制御装置と車載バッテリ(システム電源)とが接続される。
【0006】
この際、監視ICと組電池とが、システム電源から制御装置に電力が供給される前に接続されると、制御装置が起動する前に、組電池から監視ICに電力が供給されることとなる。この場合、制御装置が起動しておらず、監視ICを制御装置にて制御することができないため、監視ICの動作が不安定となる。この結果、例えば、監視ICが誤動作すると、組電池の充放電状態が不安定となったり、監視ICが故障したりする虞がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、監視手段を制御手段によって制御する電池監視装置において、制御手段が起動する前に、監視手段の動作が不安定となることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電池セルが直列に接続して構成される組電池から電力が供給されることで作動すると共に、複数の電池セルの状態を監視する監視手段と、組電池から監視手段への電力の供給状態を許容状態および遮断状態のいずれかに切り替える切替手段と、監視手段および切替手段それぞれを制御する制御手段と、を備え、制御手段は、制御手段が起動した際に、切替手段により組電池から監視手段への電力の供給状態を遮断状態から許容状態に切り替えることを特徴とする。
【0009】
これによると、制御手段の起動した際に、組電池から監視手段に電力が供給されるので、制御手段によって監視手段を適切に制御することができる。従って、制御手段が起動する前に、監視手段の動作が不安定となることを防止することができる。
【0010】
具体的には、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の電池監視装置において、制御手段を、監視手段を制御する監視制御部、および切替手段を制御する切替制御部で構成し、切替制御部が、監視制御部の起動後、切替手段により組電池から監視手段への電力の供給状態を遮断状態から許容状態に切り替える構成とすることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の電池監視装置において、切替制御部を、監視制御部よりも消費電力を小さい構成とすれば、電池監視装置における消費電力の増大を抑制することができる。
【0012】
ところで、車両の点検や電池交換等を行う際、作業者の安全や製品保護の観点から、監視手段と組電池との接続を解除すると共に、制御手段による監視手段の制御を停止することがある。この際、監視手段と組電池との接続の解除が、制御手段による監視手段の制御を停止した後に行われると、制御手段で監視手段を制御することができないことがある。この場合、監視手段を制御手段にて制御することができないため、監視手段の作動が不安定となる。
【0013】
そこで、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池監視装置において、制御手段は、監視手段の制御を停止する際に、切替手段により組電池から監視手段への電力の供給状態を許容状態から遮断状態に切り替えることを特徴とする。
【0014】
これによると、制御手段による監視手段の制御を停止する際には、組電池から監視手段への電力供給を遮断するので、制御手段による監視手段の制御を停止する際に監視手段の動作が不安定となることを防止することができる。
【0015】
具体的には、請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電池監視装置において、切替手段をノーマルオープン型のスイッチング素子で構成し、制御手段からの切替信号に基づいて、組電池から監視手段への電力の供給状態を遮断状態から許容状態に切り替えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る電池監視装置を含む電源システムの全体構成図である。
【図2】実施形態に係る制御装置が実行する制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図1、図2に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る電池監視装置を含む電源システムの全体構成図である。電源システムは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車に適用されるものであり、車両に搭載された各種電気負荷に電力を供給するものである。
【0018】
図1に示すように、電池システムは、主たる構成として、組電池1、電池監視装置2、およびバッテリ3を備えている。
【0019】
組電池1は、最小単位である電池セル10を複数直列に接続して構成された電池群である。組電池1は、車両に搭載された走行用モータ等の電気負荷を駆動する電源に用いられる。なお、組電池1を構成する電池セル10としては、充放電可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池)が用いられる。
【0020】
バッテリ3は、組電池1に比べて容量の小さい電池で構成されており、車両に搭載された制御装置等の補機を駆動する電源に用いられる。なお、組電池1は、その電池電圧が200V以上の高圧電源を構成し、バッテリ3は、その電池電圧が12V〜24V程度の低圧電源を構成する。
【0021】
電池監視装置2は、電池セル10の状態として過充電や過放電を監視する過充放電検出機能を有している。本実施形態の電池監視装置2は、主に、組電池1を構成する各電池セル10の状態を監視する装置である。このような電池監視装置2は、監視IC21、切替部22、電圧検出部23、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)24、電力供給装置25を備えて構成されている。
【0022】
監視IC21は、組電池1から電力が供給されることで作動すると共に、各電池セル10の状態を監視する監視手段を構成する。なお、監視IC21は、コネクタ4を介して組電池1に接続されている。
【0023】
本実施形態の監視IC21は、各電池セル10に接続された比較器を有し、当該比較器において、各電池セル10の両端電圧(セル電圧)と閾値電圧との大小関係を比較することで、電池セル10の過放電および過充電を判定する。なお、監視IC21における過放電および過充電の判定結果は、マイコン24に出力される。
【0024】
切替部22は、監視IC21と組電池1との間に設けられ、組電池1から監視IC21への電力の供給状態を許容状態および遮断状態のいずれかに切替える切替手段を構成する。なお、切替部22および監視IC21は、別体で構成されている。
【0025】
具体的には、切替部22は、ノーマルオープン型(スイッチ操作を行わない通常時に接点が開いているタイプ)のスイッチング素子22aを用いており、マイコン24からの制御信号(切替信号)が入力されることで、組電池1から監視IC21への電力の供給状態を遮断状態から許容状態へと切り替える。これにより、切替部22に対してマイコン24からの制御信号が入力されるまでは、組電池1から監視IC21への電力の供給が遮断される。なお、切替部22に用いるスイッチング素子22aとしては、機械式や半導体式にもので構成することができ、例えば、プルダウン抵抗を用いることができる。
【0026】
電圧検出部23は、監視IC21を介して各電池セル10に接続されており、各電池セル10の両端電圧(セル電圧)を検出する電圧検出手段を構成している。この電圧検出部23としては、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータを採用することができる。電圧検出部23で検出された検出値(セル電圧)は、マイコン24に出力される。
【0027】
マイコン24は、図示しないCPU、ROM、RAM、EEPROM等を備え、ROM等に記憶された制御プログラムに従って、監視IC21および切替部22を制御する制御手段である。
【0028】
本実施形態のマイコン24は、監視IC21に接続されて監視IC21を制御する主マイコン(監視制御部)24aと、切替部22や主マイコン24aの起動を制御する従マイコン(切替制御部)24bといった二種のマイコンで構成されている。主マイコン24aおよび従マイコン24bは、双方向通信が可能に構成されている。
【0029】
主マイコン24aは、監視IC21を制御するために、監視IC21に対して電池セル10の監視の開始や終了を指示する制御信号を出力する。一方、主マイコン24aには、監視IC21からの電池セル10の過充電および過放電の判定結果が入力されると共に、電圧検出部23からセル電圧が入力される。
【0030】
従マイコン24bは、切替部22に対して、組電池1から監視IC21への電力の供給状態を許容状態(ON状態)に指示する制御信号を出力する。また、従マイコン24bは、後述する電力供給装置25の主電力供給部25aに対して、バッテリ3から主マイコン24aへの電力の供給開始を指示する制御信号を出力する。なお、従マイコン24bとしては、主マイコン24aよりも消費電力の小さいマイコンを用いている。
【0031】
電力供給装置25は、コネクタ5を介してバッテリ3に接続されており、バッテリ3から所定の電圧を生成してマイコン24に供給する電力供給手段(電圧変換器)である。本実施形態の電力供給装置25は、主マイコン24aに電力を供給する主電力供給部25aと、従マイコン24bに電力を供給する従電力供給部25bとを有して構成されている。
【0032】
上述したように、主電力供給部25aは、従マイコン24bからの制御信号が入力されることで、主マイコン24aに電力を供給する。換言すれば、主電力供給部25aは、従マイコン24bからの制御信号が入力されるまでは、主マイコン24aへの電力供給を遮断する。このため、主マイコン24aは、従マイコン24bが起動した後に、起動することとなる。具体的には、主電力供給部25aおよび従電力供給部25bとしては、DC−DCコンバータを用いることができる。
【0033】
本実施形態の電力供給装置25は、その内部にバッテリ3からの電力を一時的に蓄えるための蓄電手段としてコンデンサ(図示略)が設けられており、電力供給装置25とバッテリ3との接続が解除されたとしても、所定の時間は動作可能な構成となっている。
【0034】
以上が、本実施形態に係る電池監視装置2を含む電池システムの説明であり、以下では、電池監視装置2による組電池1の監視に係る作動について簡単に説明する。
【0035】
電池監視装置2による組電池1の監視に係る作動は、電池監視装置2が外部(例えば、車両全体の制御装置)からの指令を受けたとき等に開始される。本実施形態の電池監視装置2では、各電池セル10が過充電状態および過放電状態を検出する。
【0036】
具体的には、過充電状態を検出する際には、主マイコン24aが監視IC21に対して、比較器にて各電池セル10のセル電圧と予め設定された過充電閾値電圧(過充電基準電圧)との比較を指示する制御信号を出力する。監視IC21では、比較器にてセル電圧と過充電閾値電圧との大小関係を比較し、その結果を主マイコン24aに出力する。主マイコン24aでは、監視IC21からの出力に基づいて、電池セル10のセル電圧が過充電になっているか否かを検出する。
【0037】
一方、過放電状態を検出する際には、主マイコン24aが監視IC21に対して、比較器にて各電池セル10のセル電圧と予め設定された過放電閾値電圧(過放電基準電圧)との比較を指示する制御信号を出力する。監視IC21は、比較器にてセル電圧と過放電閾値電圧との大小関係を比較し、その結果を主マイコン24aに出力する。主マイコン24aは、監視IC21からの出力に基づいて、電池セル10のセル電圧が過放電になっているか否かを検出する。
【0038】
ところで、電池システムの製造工程や電池交換等のメンテナンスを行う際には、コネクタ4で電池監視装置2の監視IC21を組電池1に接続すると共に、コネクタ5で電力供給装置25をバッテリ3に接続する。
【0039】
この際、監視IC21と組電池1との接続を、電力供給装置25とバッテリ3との接続よりも前に行うと、マイコン24の主マイコン24aに電力が供給されていない状態、すなわち主マイコン24aが起動していない状態で、監視IC21に電力が供給されることとなる。この場合、主マイコン24aが起動しておらず、主マイコン24aによって監視IC21を制御することができないので、外部ノイズ等の影響によって、監視IC21の動作が安定せず、監視ICの誤動作を引き起こす虞がある。
【0040】
また、電池システムのメンテナンスを行う際には、作業者の安全性の確保や製品保護の観点から、監視IC21と組電池1との接続を解除すると共に、電力供給装置25とバッテリ3との接続を解除することがある。
【0041】
この際、監視IC21と組電池1との接続の解除が、電力供給装置25とバッテリ3との接続の解除の後に行われると、マイコン24に電力が供給されていない状態、すなわち主マイコン24aによる監視IC21の制御が停止された状態で、監視IC21と組電池1とが接続されていることになる。このような場合にも、主マイコン24aによって監視IC21を制御することができないので、監視IC21の動作が安定せず、監視IC21の誤動作を引き起こす虞がある。
【0042】
このため、本実施形態では、監視IC21の動作の安定化を図るために、従マイコン24bにて、電池監視装置2の監視IC21および主マイコン24aに対する電力供給を制御するようにしている。
【0043】
図2は、従マイコン24bにて行う監視IC21および主マイコン24aに対する電力供給制御の制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、電力供給装置25とバッテリ3とが接続され、従電力供給部25bから従マイコン24bに電力が供給されることで実行される。
【0044】
従電力供給部25bから従マイコン24bに電力が供給されると、先ず、従マイコン24bに従電力供給部25bから電力が供給されると、各種フラグやタイマ等の初期化が行われる(S10)。
【0045】
その後、主電力供給部25aに対して、主マイコン24aへの電力供給を許可する許可信号を出力する(S20)。これにより、主電力供給部25aから主マイコン24aに電力が供給されて、主マイコン24aが起動する。
【0046】
次に、主電力供給部25aから主マイコン24aに電力が供給されてから予め定められた所定時間が経過したか否かを判定する(S30)。なお、所定時間としては、従マイコン24bから主電力供給部25aに許可信号を出力してから、主マイコン24aが起動を完了するまでの時間が設定される。
【0047】
S30の判定処理の結果、主電力供給部25aから主マイコン24aに電力が供給されてから所定時間が経過していないと判定された場合(S30:NO)には、所定時間が経過するまで待機する。
【0048】
一方、主電力供給部25aから主マイコン24aに電力が供給されてから所定時間が経過したと判定された場合(S30:YES)には、従マイコン24bが切替部22に対して組電池1から監視IC21への電力供給を許可する許可信号(切替信号)を出力する(S40)。
【0049】
切替部22では、従マイコン24bからの許可信号(切替信号)が入力されると、組電池1から監視IC21への電力の供給状態を遮断状態から許容状態に切り替える。これにより、監視IC21と組電池1とが接続されている場合には、組電池1から監視IC21に電力が供給されて、監視IC21が起動する。また、監視IC21と組電池1とが接続されていない場合には、監視ICと組電池1とが接続されるまでは、監視IC21が起動しない。
【0050】
このように、本実施形態では、従マイコン24bの制御処理によって、監視IC21を制御する主マイコン24aが起動してから、監視IC21が起動するようになっている。
【0051】
次に、組電池1の監視を終了するか否かを判定する(S50)。この判定は、車両全体を制御する制御装置等からの監視制御の終了を指令する制御信号や、バッテリ3とマイコン24との接続が解除されているか否かにより判定することができる。なお、バッテリ3とマイコン24との接続が解除されている場合には、電力供給装置25におけるコンデンサ(蓄電手段)に蓄えられた電力にてマイコン24が動作する。
【0052】
ステップS50の判定処理の結果、組電池1の監視を終了しないと判定された場合(S50:NO)には、組電池1の監視を継続し、組電池1の監視を終了すると判定された場合(S50:YES)には、ステップS60の処理に移行する。
【0053】
ステップS60の処理では、切替部22に対して組電池1から監視IC21への電力供給を遮断する。つまり、切替部22に対して、組電池1から監視IC21への電力供給を許可する許可信号の出力を停止して、組電池1から監視IC21への電力供給を遮断する遮断信号(切替信号)を出力する。
【0054】
切替部22では、従マイコン24bからの遮断信号(切替信号)が入力されると、組電池1から監視IC21への電力の供給状態を供給状態から遮断状態に切り替える。これにより、監視IC21と組電池1とが接続されている場合には、組電池1から監視IC21への電力供給が遮断されて、監視IC21での組電池1の監視が停止される。なお、監視IC21と組電池1との接続が解除されている場合、既に組電池1から監視IC21への電力供給が遮断されているので、監視IC21での組電池1の監視停止が維持される。
【0055】
次に、切替部22に対して遮断信号を出力してから、予め定められた所定時間が経過したか否かを判定する(S70)。なお、所定時間としては、切替部22に対して遮断信号を出力してから、実際に組電池1から監視IC21への電力供給が遮断されるまでの時間が設定される。
【0056】
ステップS70の判定処理の結果、切替部22に対して遮断信号を出力してから所定時間が経過していないと判定された場合(S70:NO)には、所定時間が経過するまで待機する。
【0057】
一方、切替部22に対して遮断信号を出力してから所定時間が経過したと判定された場合(S70:YES)には、主電力供給部25aに対して、主マイコン24aへの電力供給を遮断する遮断信号を出力する(S80)。これにより、主電力供給部25aから主マイコン24aへの電力供給が遮断されて、主マイコン24aが停止する。
【0058】
このように、本実施形態では、従マイコン24bの制御処理によって、組電池1から監視IC21への電力供給が遮断されてから、主電力供給部25aから主マイコン24aへの電力供給が遮断されるようになっている。
【0059】
次に、ステップS90に移行して、従マイコン24b自体を停止する終了処理を行って、従マイコン24bによる電池監視装置2の監視IC21および主マイコン24aに対する電力供給の制御を終了する。この終了処理では、例えば、従マイコン24bが従電力供給部25bに対して、電力供給を遮断する遮断信号を出力する。
【0060】
以上説明した本実施形態によれば、主電力供給部25aから主マイコン24aへ電力供給された後、組電池1から監視IC21へ電力供給される。すなわち、主マイコン24aの起動時に、組電池1から監視IC21に電力が供給されるので、主マイコン24aによって監視IC21を適切に制御することができる。
【0061】
従って、制御手段であるマイコン24が起動する前に、監視手段である監視IC21の動作が不安定となることを防止することができる。
【0062】
また、マイコン24による監視IC21の制御を停止する際には、組電池1から監視IC21への電力供給が遮断された後、主電力供給部25aから主マイコン24aへの電力供給が遮断される。すなわち、主マイコン24aによる監視ICaの制御を停止する際には、組電池1から監視IC21への電力供給を遮断するので、主マイコン24aによる監視IC21の制御を停止する際に監視IC21の動作が不安定となることを防止することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、監視IC21および主マイコン24aに対する電力供給を制御する従マイコン24bを主マイコン24aよりも消費電力が小さいマイコンを用いているので、電池監視装置2における消費電力の増大を抑制することができる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0065】
(1)上述の実施形態では、切替部22をノーマルオープン型のスイッチング素子で構成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、常時、従マイコン24bによるスイッチ操作が可能な状況であれば、他のスイッチング素子を採用することができる。
【0066】
(2)上述の実施形態では、監視IC21によって各電池セル10の過充放電を監視する構成について説明したが、監視IC21によって、各電池セル10のセル電圧の均等化や故障診断を行う構成としてもよい。なお、監視IC21にて、各電池セル10のセル電圧の均等化を行う場合、監視IC21の内部にマルチプレクサ等によって、各電池セル10と監視IC21との接続を切り替える構成が採用されることがあるが、当該マルチプレクサと切替部22とは、切り替える対象が同じであるものの、その機能において相違する。
【0067】
(3)上述の実施形態では、制御手段を主マイコン24aおよび従マイコン24bといった2つのマイコンで構成する例について説明したが、これに限定されず、例えば、上述した主マイコン24aおよび従マイコン24bとしての機能を有する1つのマイコンで制御手段を構成してもよい。
【0068】
(4)上述の実施形態では、電力供給装置25を主電力供給部25aおよび従電力供給部25bといった2つの電力供給部で構成する例について説明したが、これに限定されず、例えば、上述した主電力供給部25aおよび従電力供給部25bを1つの電力供給部で構成してもよい。
【0069】
(5)上述の実施形態では、電池監視装置2を車両に搭載された組電池1を監視する監視装置に適用したが、電池監視装置2の適用はこれに限定されず、組電池1を利用する様々な装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 組電池
2 電池監視装置
21 監視IC(監視手段)
22 切替部(切替手段)
24 マイコン(制御手段)
24a 主マイコン(監視制御手段)
24b 従マイコン(切替制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが直列に接続して構成される組電池から電力が供給されることで作動すると共に、前記複数の電池セルの状態を監視する監視手段と、
前記組電池から前記監視手段への電力の供給状態を許容状態および遮断状態のいずれかに切り替える切替手段と、
前記監視手段および前記切替手段それぞれを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記制御手段が起動した際に、前記切替手段により前記組電池から前記監視手段への電力の供給状態を前記遮断状態から前記許容状態に切り替えることを特徴とする電池監視装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記監視手段を制御する監視制御部、および前記切替手段を制御する切替制御部を有し、
前記切替制御部は、前記監視制御部が起動した後、前記切替手段により前記組電池から前記監視手段への電力の供給状態を前記遮断状態から前記許容状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項3】
前記切替制御部は、前記監視制御部よりも消費電力が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の電池監視装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記監視手段の制御を停止する際に、前記切替手段により前記組電池から前記監視手段への電力の供給状態を前記許容状態から前記遮断状態に切り替えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池監視装置。
【請求項5】
前記切替手段は、ノーマルオープン型のスイッチング素子で構成され、前記制御手段からの切替信号に基づいて、前記組電池から前記監視手段への電力の供給状態を前記遮断状態から前記許容状態に切り替えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電池監視装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−117935(P2012−117935A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268590(P2010−268590)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】