説明

電池配線モジュール

【課題】本発明は、隣り合う電極端子間のピッチのずれを容易に調整可能な電池配線モジュールを提供する。
【解決手段】正極及び負極の電極端子14を有する複数の単電池11が並べられてなる単電池群12に取り付けられる電池配線モジュール13であって、異なる単電池11の電極端子14同士を接続する複数のバスバー15と、複数のバスバー15を連結するFPC17と、を備え、FPC17には、隣り合うバスバー15の間の位置に、FPC17の板面と交差する方向に膨出するようにFPC17を曲げてなる曲げ部38が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールでは、出力を大きくするために複数の単電池が横並びに接続されている。隣り合う単電池の電極端子間をバスバーなどの接続部材で接続することにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている。
【0003】
上記構成の電池モジュールを組み立てる際には、複数箇所の電極端子間を接続部材で接続する必要があるため、電極端子間にそれぞれ接続部材を接続する作業を繰り返すという煩雑な作業が必要になる。
【0004】
そこで、接続する電極端子間の数に応じて、インサート成形等により金型内に配置した複数の接続部材を樹脂内に一体成形した電池接続プレートを形成することが考えられる(たとえば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3990960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されている電池接続プレートを用いると、複数の単電池から突出する複数の電極端子に1つの電池接続プレートを取り付けるだけで、隣り合う単電池の電極端子間を複数箇所についてまとめて接続することができ、作業効率を向上させることが可能になる。
【0007】
しかしながら、並べられた複数の単電池間には、組み付け公差が設定されているため、複数の単電池が並べられた電池モジュールにおいては、隣り合う単電池に形成された電極端子間のピッチがずれる場合がある。すると、上記した電池接続プレートを電極端子に接続する際に、電極端子と、電池接続プレートの接続部材との間に位置ずれが生じるため、電池接続プレートの接続作業の効率が低下することが懸念される。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、隣り合う電極端子間のピッチのずれを容易に調整可能な電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられてなる単電池群に取り付けられる電池配線モジュールであって、異なる前記単電池の前記電極端子同士を接続する複数の接続部材と、前記複数の接続部材を連結するフレキシブルプリント基板と、を備え、前記フレキシブルプリント基板には、隣り合う前記接続部材の間の位置に、前記フレキシブルプリント基板の板面と交差する方向に膨出するように前記フレキシブルプリント基板を曲げてなる曲げ部が形成されている。
【0010】
本発明によれば、単電池の電極端子間のピッチが正規の寸法よりも広い場合には、フレキシブルプリント基板に形成された曲げ部が伸びることによりピッチのずれが吸収される。また、単電池の電極端子館のピッチが正規の寸法よりも狭い場合には、曲げ部が更に曲がることによりピッチのずれを吸収することができる。このように、単電池の電極端子間のピッチがずれた場合でも、ピッチのずれを容易に吸収することができる。
【0011】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記曲げ部には、プリント配線技術により形成された銅箔からなる曲げ部補強部が形成されていることが好ましい。
【0012】
曲げ部のように局所的に曲げられた部分には、応力が集中しやすくなる。上記の態様によれば、曲げ部補強部により曲げ部を補強することができる。この結果、曲げ部に応力が集中した場合でも、フレキシブルプリント基板に不具合が発生することを抑制できる。
【0013】
前記曲げ部補強部は、前記フレキシブルプリント基板の長さ方向に延びて細長く形成された前記銅箔が、前記フレキシブルプリント基板の幅方向に複数並んで形成されていることが好ましい。
【0014】
上記の態様によれば、幅方向に並ぶ銅箔の個数を増減させることにより、曲げ部の強度を容易に調整することができる。
【0015】
前記フレキシブルプリント基板には、プリント配線技術により導電路が形成されており、前記導電路には前記接続部材と電気的に接続されたランドが形成されていることが好ましい。
【0016】
上記の態様によれば、単電池の電極端子は、電極端子に接続された接続部材を介して、ランドと電気的に接続される。このランドはフレキシブルプリント基板の導電路と電気的に接続されているので、単電池の電極端子と、フレキシブルプリント基板の導電路とを、電気的に接続することができる。これにより、フレキシブルプリント基板を、単電池の状態を検知するための検知線として用いることができる。この結果、フレキシブルプリント基板とは別に、単電池の状態を検知するための検知線を用いる必要がなくなるので、部品点数を削減することができる。
【0017】
前記フレキシブルプリント基板には、前記ランドの近傍に、プリント配線技術により形成された銅箔からなるランド補強部が形成されていることが好ましい。
【0018】
上記の態様によれば、ランドの近傍においてフレキシブルプリント基板が撓み変形することが抑制される。これにより、ランドと接続部材との接続部分に対して過度の力が加えられることが抑制されるので、フレキシブルプリント基板と、接続部材との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0019】
前記ランド補強部は、前記フレキシブルプリント基板の長さ方向に延びて細長く形成された前記銅箔が、前記フレキシブルプリント基板の幅方向に複数並んで形成されていることが好ましい。
【0020】
上記の態様によれば、幅方向に並ぶ銅箔の個数を増減させることにより、ランドの近傍におけるフレキシブルプリント基板の強度を容易に調整することができる。
【0021】
前記複数の接続部材は、それぞれ、複数の収容部材に収容されており、前記収容部材には前記フレキシブルプリント基板のうち前記曲げ部と異なる部分を保持する保持部が設けられていることが好ましい。
【0022】
フレキシブルプリント基板は可撓性を有するので、外部から力が加えられると、曲げ部と異なる部分において変形するおそれがある。すると、電池配線モジュールを単電池群に取り付ける際に、フレキシブルプリント基板の形状を修正しながら取り付けなければならなくなるので、電池配線モジュールの取り付け作業の効率が低下することが懸念される。上記の態様によれば、フレキシブルプリント基板のうち曲げ部と異なる部分は、収容部材に形成された保持部によって保持される。これにより、収容部材によってフレキシブルプリント基板の形状が保持されるので、曲げ部と異なる部分の形状を保持しつつ、曲げ部における変形を許容することができる。この結果、電池配線モジュールを単電池群に取り付ける際の作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、隣り合う電極端子間のピッチのずれを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1はで一実施形態に係る電池モジュールを示す平面図ある。
【図2】図2は電池配線モジュールを示す平面図である。
【図3】図3は電池配線モジュールを示す斜視図である。
【図4】図4はカバーが開いた状態における電池配線モジュールを示す平面図である。
【図5】図5はバスバーを示す平面図である。
【図6】図6は複数のバスバーがFPCにより連結された状態を示す平面図である。
【図7】図7はカバーが開いて状態における電池配線モジュールを示す側面図である。
【図8】図8はFPCを示す一部拡大平面図である。
【図9】図9は複数のバスバーがFPCにより連結された状態を示す斜視図である。
【図10】図10は複数のバスバーがFPCにより連結された状態を示す側面図である。
【図11】図11は他の実施形態(1)に係るFPCを示す一部拡大平面図である。
【図12】図12は他の実施形態(2)に係るFPCを示す一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態>
本発明の一実施形態1を図1ないし図10を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池モジュール10は、例えば、図示しない電気自動車又はハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。電池モジュール10は、複数の単電池11が並べて配された単電池群12と、この単電池群12に取り付けられた電池配線モジュール13と、を備える。以下では、図1の左方を左方とし、右方を右方とする。また、図3の上方を上方とし、下方を下方として説明する。
【0026】
図1に示すように、単電池11は扁平な直方体形状をなしている。単電池11の内部には図示しない発電要素が収容されている。単電池11の上面には、正極及び負極からなる一対の電極端子14,14が上方に突出して形成されている。電極端子14の外周面にはねじ山が形成されている。電極端子14の正負の向きは、互いに隣り合う単電池11において逆向きになっている。これにより、互いに異極の電極端子14が隣り合うように構成されている。複数の単電池11は、図示しない保持板により固定されている。
【0027】
単電池群12の上面には、電池配線モジュール13が取り付けられている。電池配線モジュール13は、異なる単電池11の電極端子14同士を接続する複数のバスバー15(接続部材の一例)と、各バスバー15が収容される複数の収容部材16と、複数のバスバー15を連結するフレキシブルプリント基板17(以下、FPC17と記載)と、を備える。
【0028】
図1及び図2に示すように、複数の収容部材16は、複数の単電池11の並び方向に沿って並べられている。各収容部材16にはバスバー15が収容されている。また、図3に示すように、複数の収容部材16には、細長い帯状をなすFPC17が保持されている。
【0029】
図5に示すように、バスバー15は上方から見て略長方形状をなしている。バスバー15は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。バスバー15は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属からなる。バスバー15の表面には、スズ、ニッケル等のメッキ層が形成されていてもよい。
【0030】
バスバー15には、図5における上端部寄りの位置に、電極端子14が挿通される一対の端子挿通孔18,18が左右方向に並んで形成されている。単電池11の電極端子14は、端子挿通孔18内に挿通された状態で、図示しないナットが電極端子14に螺合されるようになっている。これにより、電極端子14とバスバー15とが電気的に接続されるようになっている。
【0031】
バスバー15のうち、図5における上端縁には、左右方向の中央付近に、切欠部19が形成されている。図6に示すように、バスバー15のうち、図6における略下半分の領域には、FPC17が重ねられるようになっている。バスバー15のうち、FPC17が載置される領域はFPC載置領域20とされ、FPC17が載置されない領域は、電極端子14同士を電気的に接続する機能を有する端子接続部21とされる。
【0032】
図6に示すように、FPC17は左右方向に細長い帯状をなしている。FPC17は、絶縁性を有する基材に、プリント配線技術によって導電路22が形成されてなる。基材は、絶縁性を有する合成樹脂からなる。合成樹脂としては、例えばポリイミドを用いることが可能であって、必要に応じて任意の合成樹脂を適宜に選択しうる。
【0033】
図5に示すように、バスバー15のうちFPC17が載置される領域には、バスバー15を貫通する4つのバスバー貫通孔23が形成されている。また、図6に示すように、FPC17には、バスバー15に重ねられた状態で、バスバー貫通孔23に対応する位置に、FPC貫通孔24が形成されている。バスバー貫通孔23と、FPC貫通孔24とは、略同形状をなしており、左右方向に細長い長円形状をなしている。
【0034】
図4に示すように、収容部材16は合成樹脂製であって、バスバー15が収容されるバスバー収容部25と、バスバー収容部25とヒンジ26を介して一体に連結されたカバー27と、を備える。
【0035】
バスバー収容部25は、バスバー15よりもやや大きな形状に形成されている。バスバー収容部25には、隣り合うバスバー15との絶縁を図るための絶縁壁28が、端子接続部21を三方から囲むように立設されている。絶縁壁28は、バスバー15のFPC載置領域20側には形成されていない。
【0036】
絶縁壁28には、バスバー15がバスバー収容部25内に収容された状態で、切欠部19に対応する位置に、バスバー15側に膨出する凸部29が形成されている。この凸部29の左右両側縁が、切欠部19の左右両側縁とそれぞれ当接することにより、バスバー15が、バスバー収容部25内において、左右方向に移動することが規制される。
【0037】
凸部29には、バスバー15の端子接続部21と上方から係止することにより、バスバー15がバスバー収容部25から上方へ外れることを規制する係止爪30が形成されている。
【0038】
図3及び図7に示すように、バスバー収容部25のうち、バスバー15のFPC載置領域20が載置される部分には、バスバー15及びFPC17が正規位置に載置された状態で、バスバー貫通孔23、及びFPC貫通孔24に対応する位置に、複数(本実施形態では4つ)のピン31(保持部の一例)が上方に突出して形成されている。ピン31は、上方から見て左右方向に細長い長円形状をなす柱状をなしている。ピン31の外形状は、バスバー貫通孔23及びFPC貫通孔24の内形状よりもやや小さく形成されている。これにより、ピン31はバスバー貫通孔23及びFPC貫通孔24内に挿通可能になっている。
【0039】
上記のピン31の外周面が、バスバー貫通孔23、及びFPC貫通孔24の内周面と当接することにより、バスバー15、及びFPC17が、収容部材16に保持されるようになっている。詳細に説明すると、ピン31の外周面がバスバー貫通孔23の外周面と当接することにより、バスバー15の板面に沿う方向について、バスバー15が移動することが規制されて、バスバー15が保持されるようになっている。また、ピン31の外周面がFPC貫通孔24の外周面と当接することにより、FPC17の板面に沿う方向について、FPC17が移動することが規制されて、FPC17が保持されるようになっている。
【0040】
図3及び図4に示すように、カバー27は、ヒンジ26を支点にして回動可能に形成されている。カバー27には、ヒンジ26とは反対側の端縁に、ロック部32が形成されている。このロック部32と、後述する絶縁壁28に形成されたロック受け部33とが係合することにより、カバー27は、FPC17を覆う状態で保持されるようになっている。
【0041】
カバー27には、ロック部32とロック受け部33とが係合した状態で、FPC17と対向する面に、FPC17を押さえる複数の押さえリブ34が形成されている。押さえリブ34は、FPC17の長さ方向に沿う方向に細長く延びた形状をなしている。複数の押さえリブ34は、FPC17の幅方向について間隔を空けて並んで形成されている。
【0042】
また、カバー27には、ロック部32とロック受け部33とが係合した状態で、ピン31とカバー27とが干渉することを避けるための逃がし凹部35が、カバー27の四隅であって、ピン31と対応する位置に陥没して形成されている。
【0043】
図8に示すように、FPC17に形成された導電路22の端部には、各バスバー15とそれぞれ接続される複数のランド36が形成されている。本実施形態においては、バスバー15のFPC載置領域20にFPC17が載置された状態で、ランド36は、バスバー15のFPC載置領域20と、電気的に接続されている。ランド36とバスバー15とは、はんだ付け、導電性接着剤、ろう付け等、必要に応じて任意の手法により接続される。ランド36とバスバー15とが接続されることで、複数のバスバー15はFPC17により連結されるようになっている。
【0044】
ランド36とバスバー15とが接続されることにより、FPC17と電極端子14とは、導電路22、ランド36、及びバスバー15を介して電気的に接続されている。これにより、FPC17は、電極端子14における単電池11の状態を検知する検知線として用いることができる。本実施形態においては、FPC17は単電池11の電圧を検知する電圧検知線として使用される。FPC17の一方の端部は、電池配線モジュール13から導出されて、図示しないECUに接続される。このECUにより、各単電池11の電極端子14における電圧が検知されるようになっている。
【0045】
ランド36は、4つのFPC貫通孔24に囲まれた領域の内部に形成されている。上記したように、ピン31と、FPC貫通孔24とが係合することにより、FPC17は収容部材16に保持されるようになっており、且つ、ピン31と、バスバー貫通孔23とが係合することにより、バスバー15は収容部材16に保持されるようになっている。即ち、ピン31を介して、FPC17とバスバー15との相対的な位置が保持されるようになっている。これにより、ランド36とバスバー15とが互いに位置ずれすることが規制されるので、ランド36とバスバー15との電気的な接続が確実にされるようになっている。
【0046】
図8に示すように、FPC17には、ランド36の近傍に、プリント配線技術により形成された銅箔からなるランド補強部37が形成されている。ランド補強部37は、4つのFPC貫通孔24に囲まれた領域内に形成されている。ランド補強部37は、FPC17の長さ方向(図8における左右方向)に細長く延びた複数の銅箔が、FPC17の幅方向(図8における上下方向)間隔を空けて並んで配されてなる。ランド補強部37同士は電気的に絶縁されている。また、ランド補強部37と導電路22とも電気的に絶縁されている。
【0047】
図9及び図10に示すように、FPC17には、FPC17に接続された隣り合う複数のバスバー15の間の位置に、FPC17の板面と交差する方向に膨出するようにFPC17を曲げてなる曲げ部38が形成されている。本実施形態においては、曲げ部38は、FPC17の板面に対して下方(図10における下方)に膨出して形成されている。この曲げ部38が曲がることにより、FPC17は、左右方向(図10における左右方向)について伸縮可能になっている。
【0048】
図8に示すように、曲げ部38には、プリント配線技術により形成された銅箔からなる曲げ部補強部39が形成されている。曲げ部補強部39は、曲げ部38を左右方向(図8における左右方向)に横断して形成されている。曲げ部補強部39は、FPC17の長さ方向(図8における左右方向)に細長く延びた複数の銅箔が、FPC17の幅方向(図8における上下方向)間隔を空けて並んで配されてなる。曲げ部補強部39同士は電気的に絶縁されている。また、曲げ部補強部39と導電路22とも電気的に絶縁されている。曲げ部補強部39は、曲げ部38に形成された導電路22を、FPC17の幅方向から挟む位置に形成されている。本実施形態においては、導電路22に対して、図8における上方及び下方の位置に、複数の導電路22が、それぞれ2つずつ配されている。
【0049】
(組み立て方法)
続いて、本実施形態に係る電池モジュール10の組み立て方法の一例について説明する。先ず、金属板材をプレス加工することにより複数のバスバー15を形成する。また、合成樹脂により複数の収容部材16を形成する。
【0050】
FPC17に対して、プリント配線技術によって、導電路22、ランド36、曲げ部補強部39、及びランド補強部37を形成する。また、FPC17をパンチなどで打抜くことにより、FPC貫通孔24を形成する。また、FPC17を所定の位置で曲げることにより曲げ部38を形成する。
【0051】
続いて、FPC17のランド36が形成された面のうち、曲げ部38と異なる領域に導電性接着剤を塗布する。その後、バスバー15の下面に対し、バスバー15を、バスバー貫通孔23及びFPC貫通孔24が整合する姿勢で貼着する。バスバー15とFPC17とは、図示しないプレス機等で加圧されることにより、接着される。これにより、ランド36とバスバー15とが電気的に接続される。なお、ランド36とバスバー15とは、半田付けにより接続してもよい。
【0052】
上記のようにして複数のバスバー15をFPC17により連結した後、FPC17及びバスバー15を収容部材16に収容する。詳細には、バスバー15の切欠部19をバスバー収容部25の凸部29に対応させると共に、バスバー貫通孔23及びFPC貫通孔24をピン31に対応させた姿勢で、バスバー15及びFPC17を、バスバー収容部25に載置する。このとき、収容部材16の係止爪30が、バスバー15に対して上方から係止することにより、バスバー15が上方へ抜けることが抑制される。
【0053】
カバー27のロック部32と、収容部材16のロック受け部33とが弾性的に係合することにより、カバー27は、収容部材16に対して閉鎖状態にロックされる。これにより、電池配線モジュール13が完成する。
【0054】
次いで、複数の単電池11を、電極端子14が形成された面が上を向く姿勢で、1列に並べる。このとき、隣り合う電極端子14の極性が互いに異なるようにして単電池11を配する。複数の単電池11を保持板で保持する。
【0055】
単電池群12の上面に、電池配線モジュール13を配置する。詳細には、バスバー15の端子挿通孔18に電極端子14を挿通させつつ、電池配線モジュール13を単電池群12の上方から取り付ける。その後、各電極端子14にナットを螺合させて締め付けることにより、電極端子14とバスバー15とを接続する。これにより、電池モジュール10が形成される。
【0056】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、FPC17には、隣り合う前記接続部材の間の位置に、FPC17の板面と交差する方向に膨出するようにFPC17を曲げてなる曲げ部38が形成されている。これにより、単電池11の電極端子14間のピッチが正規の寸法よりも広い場合には、FPC17に形成された曲げ部38が伸びることによりピッチのずれが吸収される。また、単電池11の電極端子14間のピッチが正規の寸法よりも狭い場合には、曲げ部38が更に曲がることによりピッチのずれを吸収することができる。このように、単電池11の電極端子14間のピッチがずれた場合でも、ピッチのずれを容易に吸収することができる。
【0057】
上記のように、曲げ部38が伸縮すると、曲げ部38のように局所的に曲げられた部分には、応力が集中しやすくなる。本実施形態によれば、曲げ部38には曲げ部補強部39が形成されている。この曲げ部補強部39により曲げ部38を補強することができるので、曲げ部38に応力が集中した場合でも、フレキシブルプリント基板に不具合が発生することを抑制できる。
【0058】
また、曲げ部補強部39は、FPC17の長さ方向に延びて細長く形成された銅箔が、FPC17の幅方向に複数並んで形成されている。これにより、幅方向に並ぶ銅箔の個数を増減させることにより、曲げ部38の強度を容易に調整することができる。
【0059】
また、FPC17には、プリント配線技術により導電路22が形成されており、この導電路22にはバスバー15と電気的に接続されたランド36が形成されている。これにより、単電池11の電極端子14は、電極端子14に接続されたバスバー15を介して、ランド36と電気的に接続される。このランド36はFPC17の導電路22と電気的に接続されているので、単電池11の電極端子14と、FPC17の導電路22とを、電気的に接続することができる。これにより、FPC17を、単電池11の状態を検知するための検知線として用いることができる。この結果、FPC17とは別に、単電池11の状態を検知するための検知線を用いる必要がなくなるので、部品点数を削減することができる。
【0060】
また、FPC17には、ランド36の近傍に、ランド補強部37が形成されている。これにより、ランド36の近傍においてFPC17が撓み変形することが抑制される。これにより、ランド36とバスバー15との接続部分に対して過度の力が加えられることが抑制されるので、FPC17と、バスバー15との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、ランド補強部37は、FPC17の長さ方向に延びて細長く形成された銅箔が、FPC17の幅方向に複数並んで形成されている。これにより、幅方向に並ぶ銅箔の個数を増減させることにより、ランド36の近傍におけるFPC17の強度を容易に調整することができる。
【0062】
また、複数のバスバー15は、それぞれ、複数の収容部材16に収容されており、収容部材16にはFPC17のうち曲げ部38と異なる部分を保持するピン31が設けられている。FPC17は可撓性を有するので、外部から力が加えられると、曲げ部38と異なる部分において変形するおそれがある。すると、電池配線モジュール13を単電池群12に取り付ける際に、FPC17の形状を修正しながら取り付けなければならなくなるので、電池配線モジュール13の取り付け作業の効率が低下することが懸念される。上記の態様によれば、FPC17のうち曲げ部38と異なる部分は、収容部材16に形成されたピン31によって保持される。これにより、収容部材16によってFPC17の形状が保持されるので、曲げ部38と異なる部分の形状を保持しつつ、曲げ部38における変形を許容することができる。この結果、電池配線モジュール13を単電池群12に取り付ける際の作業効率を向上させることができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、ランド補強部37、及び曲げ部補強部39は、FPC17の長さ方向に細長く延びた複数の銅箔が、FPC17の幅方向に間隔を空けて並んで配される構成としたが、これに限られず、例えば図11に示すように、比較的に幅広の銅箔によって、ランド補強部57、及び曲げ部補強部59が形成される構成としてもよい。
【0064】
(2)また、図12に示すように、導電路62の一部を膨出させることにより、ランド補強部67が導電路62と一体に形成される構成としてもよい。また、曲げ部38を横切る導電路62の一部を膨出させることにより、曲げ部補強部69Aが導電路62と一体に形成される構成としてもよい。
また、導電路63の一部を膨出させることにより、曲げ部補強部69Bが、ランド66に接続された導電路63と一体に形成される構成としてもよい。
【0065】
(3)本実施形態においては、曲げ部38は、FPC17の板面に対して下方に膨出するように曲げて形成される構成としたが、これに限られず、曲げ部38は、FPC17の板面に対して上方に膨出するように曲げて形成される構成としてもよい。また、曲げ部38は、側方から見て蛇腹状に曲げられて、FPC17の板面に対して上下両方向に膨出する構成としてもよい。
【0066】
(4)本実施形態においては、曲げ部38には曲げ部補強部39が形成される構成としたが、曲げ部補強部39は省略してもよい。
【0067】
(5)本実施形態においては、ランド36の近傍には、ランド補強部37が形成される構成としたが、これに限られず、ランド補強部37は省略してもよい。
【符号の説明】
【0068】
11…単電池
12…単電池群
13…電池配線モジュール
14…電極端子
15…バスバー(接続部材)
16…収容部材
17…FPC(フレキシブルプリント基板)
22…導電路
31…ピン(保持部)
36…ランド
37…ランド補強部
38…曲げ部
39…曲げ部補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられてなる単電池群に取り付けられる電池配線モジュールであって、
異なる前記単電池の前記電極端子同士を接続する複数の接続部材と、前記複数の接続部材を連結するフレキシブルプリント基板と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板には、隣り合う前記接続部材の間の位置に、前記フレキシブルプリント基板の板面と交差する方向に膨出するように前記フレキシブルプリント基板を曲げてなる曲げ部が形成されている電池配線モジュール。
【請求項2】
前記曲げ部には、プリント配線技術により形成された銅箔からなる曲げ部補強部が形成されている請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記曲げ部補強部は、前記フレキシブルプリント基板の長さ方向に延びて細長く形成された前記銅箔が、前記フレキシブルプリント基板の幅方向に複数並んで形成されている請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板には、プリント配線技術により導電路が形成されており、前記導電路には前記接続部材と電気的に接続されたランドが形成されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント基板には、前記ランドの近傍に、プリント配線技術により形成された銅箔からなるランド補強部が形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記ランド補強部は、前記フレキシブルプリント基板の長さ方向に延びて細長く形成された前記銅箔が、前記フレキシブルプリント基板の幅方向に複数並んで形成されている請求項5に記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記複数の接続部材は、それぞれ、複数の収容部材に収容されており、前記収容部材には前記フレキシブルプリント基板のうち前記曲げ部と異なる部分を保持する保持部が設けられている請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−69491(P2013−69491A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206203(P2011−206203)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】