説明

電池駆動の物体検出装置

【課題】低コストかつ簡単な構成で、電池のローバッテリーを送信することができる電池駆動の物体検出装置を提供する。
【解決手段】物体を検出して、検出情報信号を出力する電池駆動の物体検出装置Dであって、装着された電池12により駆動される検出ユニットUと、検出ユニットの電池12により駆動されて、検出ユニットUからの検出情報信号と、電池12の電圧低下を示すローバッテリー信号とのうち、少なくともローバッテリー信号を無線送信する送信機20とを備えている。また、電池12からの電圧を受けて送信機20へ供給電圧を出力するとともに、ロ−バッテリー判定回路21からの出力を受けてローバッテリー信号を送信機20へ出力する電源共用ユニット30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を検出して、検出情報信号を出力する電池駆動の物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線(IR)のような検知線を用いて物体を検出するAIR型(能動型赤外線方式)やPIR型(受動型赤外線方式)などの物体検出装置が知られている。この物体検出装置は、防犯用や自動ドア用などに使用される。例えば、AIR型の物体検出装置では、物体検出用の検知線を投光する投光器、および投光器に相対向して配置され、この検知線を受光して検出信号を出力する受光器の検出ユニットを備え、両光学系間での遮光による受光量(検出信号レベル)の変化により物体を検出し、これに基づいて警報信号やドア開閉信号などのような検出情報信号を出力する。
【0003】
この従来の物体検出装置の一例として、検出ユニットの光軸調整のために、受光器内に受光量を送信する送信機が設けられて、投光器内に設けられた受信機により受光量を受信させる防犯装置が挙げられる(例えば、特許文献1)。また、受光器内に設けられた送信機により、物体検出装置の外部に設けられた受信機へ警報信号を送信することも知られている。
【0004】
一方、近年、低消費電力化や配線工事の手間を少なくするなどのため、物体検出装置を検出ユニットの内部に装着された電池により駆動させる場合が多くなっている。このような装置では、電池の電圧低下による装置の誤作動や稼動停止を回避するため、電池の電圧低下を示すローバッテリーを検出して常時監視する必要があり、例えば警報信号を送信する警報用送信機とは別に、検出されたローバッテリー信号を送信するローバッテリー用送信機が設けられる。
【0005】
図7は、従来の電池駆動の物体検出装置における受光器の一例を示す斜視図である。この受光器52は、センサカバー56とバックボックス57とからなるケースに収納されている。通常、受光器52から警報信号が送信されるので、受光器52には警報用送信機71およびローバッテリー用送信機72の2つの電池駆動の送信機がバックボックス57の内部57aの上部に収納され、その下部には電池(バッテリー)62が収納される。警報用送信機71の電池収納部75には電池76、ローバッテリー用送信機72の電池収納部77には電池78が収納されている。図示しない投光器にはバッテリー62のほかにローバッテリー用送信機72のみが収納される。
【0006】
これら警報用送信機71およびローバッテリー用送信機72には、それぞれ各送信機の電池76、78の電圧が所定基準値よりも低下したロ−バッテリーとなっているか否かを判定する回路が内部に設けられており、送信機自身の電池76、78のロ−バッテリー信号も送信する。このローバッテリー用送信機72には、既存の送信機がそのまま使用される場合があり、この場合、警報用送信機とローバッテリー用送信機とは電池およびそのローバッテリーの基準値が異なる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−367045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、警報用送信機とローバッテリー用送信機の電池が異なる場合、個々のロ−バッテリー検出時にはそれぞれ電池交換する必要があり煩雑であった。また、個々の電池の寿命も異なる場合、寿命が短い方を基準に両方の電池交換を行うことが多く、寿命が長い方ではまだ電池容量があるにもかかわらず、電池交換されてしまい不経済であった。
【0009】
また、複数、例えば2セットの検出ユニットが設けられた物体検出装置において、物体検出装置の外部の受信機の受信チャネル部では、各検出ユニットにつき、受光器における警報用およびローバッテリー用送信機の2つのチャネルと、投光器におけるローバッテリー用送信機の1つのチャネルと、各送信機に搭載している電池についてのローバッテリー検出信号の3つのチャンネルとで、6つのチャネルが必要となるため、合計で6(チャネル)×2(セット)=12チャネルとなり、受信チャネル部が8チャネルの受信機の場合には2台必要となり、高コスト化する。
【0010】
本発明は、前記の問題点を解決して、低コストかつ簡単な構成で、電池のローバッテリー信号を送信することができる電池駆動の物体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一構成にかかる電池駆動の物体検出装置は、物体を検出して、検出情報信号を出力する電池駆動の物体検出装置であって、装着された電池により駆動される検出ユニットと、検出ユニットの前記電池により駆動されて、検出ユニットからの検出情報信号と、前記電池の電圧低下を示すローバッテリー信号とのうち、少なくともローバッテリー信号を無線送信する送信機とを備えている。
ここで、検出ユニットとは、例えば投光器と受光器を有し、投光器から投光された検知線を受光器で受光し、その受光量に基づいて物体を検出するユニットをいう。
【0012】
この構成によれば、送信機が検出ユニットの電池により駆動されるので、送信機の電池が不要となる。また、検出ユニットのうち、受光器は、送信機により検出情報信号だけでなくローバッテリー信号を送信するので、ローバッテリー用送信機が不要となる。これにより、低コストかつ簡単な構成で、電池のローバッテリー信号を送信することができる。
【0013】
好ましくは、前記送信機は、その内部に、前記検出ユニットの電池から供給された電圧が、所定基準値よりも低下したローバッテリーか否かを判定するロ−バッテリー判定回路を備えている。したがって、電池から供給された電圧がローバッテリーの場合に、送信機によりローバッテリー信号を送信することができる。
【0014】
好ましくは、前記電池からの電圧を受けて前記送信機へ供給電圧を出力するとともに、前記ロ−バッテリー判定回路からの出力を受けてローバッテリー信号を前記送信機へ出力する電源共用ユニットを備え、前記電源共用ユニットは、前記ローバッテリー信号に基づいて、前記電池からの供給電圧を、前記送信機のロ−バッテリー判定回路にロ−バッテリーと判定させる電圧に変更して出力する電圧変更回路を備えている。したがって、送信機内のロ−バッテリー判定回路により容易にロ−バッテリーを判定することができる。
【0015】
好ましくは、前記電圧変更回路では予め変更電圧が複数設けられており、前記電源共用ユニットは、該電圧変更回路による変更電圧を、使用される送信機の種類に応じて切り替える切替スイッチを備えている。したがって、種々のタイプの送信機を接続することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、送信機が検出ユニットの電池により駆動されるので、送信機の電池が不要となり、また、検出ユニットのうち、受光器は、送信機により検出情報信号だけでなくローバッテリー信号を送信するので、ローバッテリー用送信機が不要となるから、低コストかつ簡単な構成で、電池のローバッテリー信号を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池駆動の物体検出装置を示す斜視図である。
【図2】図1の物体検出装置の正面側から見た分解図である。
【図3】図1の物体検出装置の背面側から見た分解図である。
【図4】図1の物体検出装置の受光器を示す電気系統図である。
【図5】送信機内部の電池収納部を示す側面図である。
【図6】物体検出装置の構成の一例を示す図である。
【図7】従来の受光器の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電池駆動の物体検出装置の外観を示す斜視図である。図2は図1の前面側から見た分解図である。図3は、図1の背面側から見た分解図である。図1のように、この物体検出装置Dは、上下に配置された投光器1A、投光器1B(TX1、TX2)と、この投光器1A、1Bと相対向して配置されて、投光器1A、1Bから送信された赤外線IRのような検知線をそれぞれ受光する上下に配置された受光器2A、受光器2B(RX1、RX2)とからなる2セットの検出ユニットU1、U2を備えている。各投光器1A、1B、受光器2A、2Bは、ポール、壁等の装着部Kに装着される。
【0019】
図2は、投光器1A、1B、受光器2A、2Bのうち、受光器2Aを代表して示したもので、受光器2Aは、検知線を受光する図示しない受光素子とレンズ3からなる受光光学系5を2つ有している。投光器は、検知線を受光器へ向けて投光する投光素子とレンズからなる投光光学系を2つ有している。受光器2Aは、それぞれセンサカバー6とバックボックス部7とからなるケース内に収納され、センサカバー6内にセンサ本体部4が収納されている。図1の物体検出装置Dは、例えば、物体検出による検出情報信号として警報信号を出力する防犯装置に使用され、送信器1Aからの赤外線IRが遮光されたとき、相対向する受信器2Aで受信された検出信号の信号レベルの変化により物体を検出して、警報信号を出力する。
【0020】
図3のように、受光器2Aは、バックボックス部7の内部7aに、受光器2Aを駆動する電池(バッテリー)12、および警報信号、ローバッテリー信号を受信機へ送信する送信機20などが収納される。この物体検出装置Dの受光器2Aは、従来と異なり、送信機20は1個のみである。また、その電池収納部23には電池が設けられておらず、この電池収納部23を介して電池12から給電させるために、後述するダミーバッテリー24が電池の代わりに収納される。また、送信機20は電池を有していないため、自身のローバッテリー信号の送信は不要となる。さらに、バックボックス部7の内部7aには、電池12からの電圧を受けて送信機20へ供給電圧を出力するとともに、後述する送信機20のローバッテリー判定回路21からの出力を受けてローバッテリー信号を送信機20へ出力する電源共用ユニット30が設けられている。
【0021】
図4は、受光器2Aに含まれる送信機20および電源共用ユニット30を示す電気系統図である。受光器2Aは、前記検出信号レベルの変化により物体を検出して、警報信号A1を送信機20へ出力する物体検出回路10、前記した電池12、および電池12の電圧低下を所定基準値と比較して検出するローバッテリー検出回路13を含む。なお、投光器1A、1Bには受光器2A、2Bのような物体を検出するための物体検出回路10は設けられていない。送信機20は、受光器2A(検出ユニットU1)の電池12から供給された電圧が、種々の送信機20ごとに規定された所定基準値よりも低下したローバッテリーか否かを判定するロ−バッテリー判定回路21と、受光器2Aからの警報信号A、およびローバッテリー信号Lを受信機40へ送信する送信部22とを備えている。
【0022】
図4の電源共用ユニット30は、入力部31、電圧変更回路32、切替スイッチ33、および出力部34を備えている。入力部31は、電池12から給電された電圧E1およびローバッテリー信号L1を電源共用ユニット30に入力する。電圧変更回路32は、ローバッテリー信号L1に基づいて、電池12からの供給された電圧E1を、送信機20のロ−バッテリー判定回路21にロ−バッテリーと判定させる電圧に変更したローバッテリー信号L2を出力する。
【0023】
電圧変更回路32には、例えばレギュレータ(制御IC)のような周知の回路が使用される。この電圧変更回路32では、予め変更電圧が複数設けられている。切替スイッチ33は、電圧変更回路32による変更電圧を、使用される送信機20の種類に応じて切り替える。出力部34は、電池12から電圧変更回路32を介して供給された送信機20への給電用の電圧Eおよび電圧変更されたローバッテリー信号E(L2)を送信機20に出力する。なお、送信機20の駆動電圧が、電池12の電圧と異なる場合には、その電圧が電圧変更回路32で変更されて給電される。
【0024】
図3の送信機20内には、電池収納部23に、電池の代わりに、当該電池とほぼ同じ大きさの樹脂製のダミーバッテリー24が収納される。図5のように、給電線25a、25bの先端に接続された接片26a、26bを電池収納部23の正極(+)端子27および負極(−)端子28に当てがった状態でダミーバッテリー24を電池収納部23に押し込む。これにより、接片26a、26bはそれぞれダミーバッテリー24と正極端子27および負極端子28との間に挟まれた状態で、正極端子27および負極端子28に電気的に接続され、送信機20内の構造を変更することなく、電池収納部23に、電池の代わりにダミーバッテリー24を収納するだけで、電池収納部23を介して電池12から供給された電圧Eが送信機20に給電される。
【0025】
図6は、物体検出装置Dと、その外部に設けられた受信機40との配置を示す図である。物体検出装置Dは、投光器と受光器が複数、例えば2セットの検出ユニットU1、U2を有し、各送信機20から警報信号A、ローバッテリー信号Lが送信されて受信機40の受信チャネル部41に受信される。受信チャネル部41では、検出ユニットU1、U2ごとに、各受光器RX1、RX2における警報信号Aとローバッテリー信号Lを送信する送信機20の1つのチャネルと、各投光器TX1、TX2におけるローバッテリー信号Lを送信する送信機20の1つのチャネルとで2つのチャネルが必要となる。例えば、検出ユニットU1では、RX1 A、L用、RX1 A、L用、およびTX1 L用の3つのチャネルが必要となる。このため、検出ユニットU1、U2では、合計で3(チャネル)×2(セット)=6チャネルとなり、受信チャネル部41が8チャネルの受信機20の場合には1台で対応することができ、上記した従来の12チャネルと異なり、低コスト化が可能となる。
【0026】
このように、本発明では、検出ユニットU1、U2の投光器1A、1Bおよび受光器2A、2Bの送信機20が各電池12によりそれぞれ駆動されるので、送信機20の電池が不要となる。また、受光器2A、2Bは、送信機20により検出情報信号(警報信号)だけでなくローバッテリー信号を送信するので、ローバッテリー用送信機が不要となる。これにより、低コストで、かつ簡単な構成で電池のローバッテリー信号を送信することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、物体検出装置は、検出情報信号として警報信号を出力する防犯装置に使用されているが、これに限定されるものではなく、ドア開閉信号を出力する自動ドアなどに使用されてもよい。
【0028】
なお、上記実施形態では、AIR型の物体検出装置に適用しているが、PIR型の物体検出装置に適用してもよい。また、検知線として赤外線を使用しているが、これに何ら限定されず、可視光線、マイクロウェーブ、レーザーなどを使用してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1A、1B:投光器
2A、2B:受光器
12:電池(バッテリー)
20:送信機
21:ローバッテリー判定回路
30:電源共用ユニット
32:電圧変更回路
33:切替スイッチ
40:受信機
D:物体検出装置
U1、U2:検出ユニット
A:検出情報信号(警報信号)
E:供給電圧
L:ローバッテリー信号




【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を検出して、検出情報信号を出力する電池駆動の物体検出装置であって、
装着された電池により駆動される検出ユニットと、
検出ユニットの前記電池により駆動されて、検出ユニットからの検出情報信号と、前記電池の電圧低下を示すローバッテリー信号とのうち、少なくともローバッテリー信号を無線送信する送信機とを備えた、
電池駆動の物体検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記送信機は、その内部に、前記検出ユニットの電池から供給された電圧が、所定基準値よりも低下したローバッテリーか否かを判定するロ−バッテリー判定回路を備えている、電池駆動の物体検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記電池からの電圧を受けて前記送信機へ供給電圧を出力するとともに、前記ロ−バッテリー判定回路からの出力を受けてローバッテリー信号を前記送信機へ出力する電源共用ユニットを備え、
前記電源共用ユニットは、前記ローバッテリー信号に基づいて、前記電池からの供給電圧を、前記送信機のロ−バッテリー判定回路にロ−バッテリーと判定させる電圧に変更して出力する電圧変更回路を備えている、電池駆動の物体検出装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記電圧変更回路では予め変更電圧が複数設けられており、前記電源共用ユニットは、前記電圧変更回路による変更電圧を、使用される送信機の種類に応じて切り替える切替スイッチを備えている、電池駆動の物体検出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−101026(P2013−101026A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244397(P2011−244397)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)